結論
ツカモトコーポレーションは、着物と洋服の生地の卸から始まった老舗の商社だ。今の稼ぎの柱は、東京に持つ2つのビルの賃料と、持ち合いの銀行の株の配当である。筆者の結論は割高である。ビルと株の値打ちは時価総額の数倍あるが、それが生む利益は資本に比べて細い。
本業の物販は、売上が10年で272億円から101億円に縮んだ。ユニフォームは小さく稼ぐが、健康・生活、ホームファニシング、和装の3つは赤字だ。2026年3月期の営業利益は0.2億円で、ビルの賃貸の6億円を物販の赤字がほとんど食べた。
帳簿の自己資本は162億円あり、ビルの含み益を足せば190億円近い。だが、資産の値打ちは清算されない限り株主に届かない。株主のものになる利益は年に数億円で、自己資本利益率(ROE)は1%台だ。
大株主のフリージア・マクロスが持株を18%まで増やしてきた。資産の組み替えを促す力になりうるが、それは上側の筋書きの話だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ツカモトは「厚い資産を持つが、それを稼ぎに変えられない会社」だ。東京のビルと銀行の株は確かな値打ちを持つ。だが、オーナーにとって大事なのは、資産の額ではなく、資産が毎年いくら生むかだ。
筆者がいちばん気にしているのは、資産の利回りの低さと、物販の赤字だ。270億円近い資産が生む賃料と配当は年に9億円ほどで、借入の利払いと物販の赤字を引くと、手元には数億円しか残らない。ROEが資本コストに届かない会社では、ためた利益は帳簿の額ほどの値打ちを持たない。
帳簿の値の3分の1という今の値段は、一見すると安い。だが、その安さは資産が株主に届かないことへの値段でもある。清算も売却もされないなら、株主は細い配当を受け取り続けるだけだ。オーナーとして持ちたいのは、持ち合いの株を売って借入を返し、自社株買いに回す方針が数字で出た時だと考える。
何で稼ぐ会社か
ツカモトは、江戸時代に近江の商人が始めた呉服の商いに始まる。本社は東京の中央区にあり、売上は約101億円だ。事業は5つある。
1つ目は洋装で、売上の半分を占める。中心はユニフォーム事業で、企業や介護、物流の現場の制服を作って売る。売上は46億円で、5つの中で物販として唯一まとまった利益を出す。
2つ目は建物の賃貸だ。東京の中央区のツカモトビルと、目黒区の目黒東山スクエアビルを貸す。売上は約10億円だが、利益は6億円で会社の稼ぎのほぼ全部をここが生む。2つのビルの時価は162億円で、帳簿の値より37億円高い。
3つ目の健康・生活は、健康の器具や生活の雑貨を売る。売上は26億円あるが、3億円の赤字だ。4つ目の和装は着物の卸で、市場の縮みで売上は10億円を切った。5つ目のホームファニシングは寝具やインテリアで、売上4億円に対し2億円の赤字だ。
会社はほかに、時価108億円の上場株を持つ。半分以上が三菱UFJフィナンシャル・グループの株で、その配当が毎年の利益を支える。株の多くは銀行の借入の担保に入っている。
優良さと弱いところ
強みは、資産の厚さだ。東京の2つのビルと銀行の株は、合わせて時価で270億円に近い。借入は80億円あるが、資産の値打ちで十分に返せる。
弱さは、その資産が稼がないことだ。ビルの賃料と株の配当を足しても年に9億円ほどで、資産の時価の3%台にしかならない。そこから借入の利払いを引き、物販の赤字を引くと、株主に残る利益はわずかだ。
物販には堀、つまり他社がまねできない強みが無い。着物の市場は長く縮み、健康の器具や雑貨は安い輸入品とネット通販に押される。ユニフォームは大手の専業が強く、値段の競争になりやすい。過去12年で営業利益率が5%を超えた年は無い。
経営は中計で「黒字体質への転換」を最優先に掲げる。ただ、目標は2028年度にROE2%で、資本コストには遠い。赤字の事業を畳む決断は遅く、10年かけて売上が6割縮む間も、多くの事業を抱え続けた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
繊維の卸の市場は、長く縮んできた。着物の市場は1980年代の1兆8,000億円から、今は2,000億円台に細った。若い世代が着物を買わなくなり、問屋の数も減っている。洋服の生地の卸も、アパレルの会社が海外で直接作るようになり、仲介の役割は薄れた。
ユニフォームの市場は5,000億円前後で、比較的安定している。介護、物流、外食の現場で人が働く限り制服は要り、買い替えの需要もある。だが、大手の専業が規模で仕入れと縫製の値段を抑え、中堅の取り分は小さい。
健康の器具や雑貨は、ネット通販と安い輸入品の競争が激しい。差のつかない商品を卸す商売は、物価の高い時代に値段を上げにくい。
東京の事務所の賃料は、物価の高い時代に緩やかに上がる。都心の古いビルは新しいビルとの競争で空室が出やすいが、日本橋の再開発の進む地域は需要が底堅い。筆者は、10年でツカモトの稼ぎの柱が、さらに賃貸に寄るとみる。
賃貸の事業には、物価の高い時代ならではの両面がある。賃料は上がるが、建物の償却は取得した時の額のまま増えないので、会計の利益は見かけ上ふくらむ。一方で、改装や設備の更新の費用は建築費の上昇で膨らみ、現金は思ったほど残らない。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。2026年3月期の配当は総額1.2億円で、純利益の約7割にあたる。自社株買いは「検討する」とするだけで、実施していない。株主優待は無い。
財務は借入に頼る。有利子負債は80億円で、現金は13億円だ。短期の借入45億円には、持ち合いの株の100億円分が担保に入る。ビルの改装の投資は年に1億円台だ。
大株主は、フリージア・マクロスが18%を持つ。2020年の6%から1〜2%ずつ買い増してきた。ほかに明治安田生命と大手の銀行が並ぶ。会社が持ち合いの株やビルを売り、借入を返して株主に還元する方針を示せば、資産の値打ちが株主に届く道が開く。今のところ、その数字の方針は無い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
資産が時価総額を大きく上回る。上場株は時価108億円、ビルの時価は162億円で、借入80億円を引いても190億円近い値打ちが残る。時価総額58億円はその3分の1に満たない。
稼ぎの柱は安定している。ビルの賃料は東京の事務所の需要に支えられ、建物の償却は取得した時の額のまま増えないので、賃料が上がればそのまま利益が増える。三菱UFJの株の配当も、銀行の利益の伸びで増え続けている。
物販の赤字は止められる。中計は赤字の事業を「再生」と「改善」に分け、黒字体質への転換を最優先に掲げる。ユニフォームはすでに利益を3倍近くに増やした。
フリージア・マクロスが18%まで買い増し、資産の使い方に圧力がかかる。持ち合いの株を売って借入を返し、自社株買いに回せば、ROEは一気に上がる。
銀行の株の配当は、金利の上がる時代に増えやすい。会社が何もしなくても、配当の収入は物価以上に伸びる可能性がある。借入も、株を売れば一度に返せる額にすぎない。
慎重な見方
資産は厚いが、株主には届かない。ビルも銀行の株も、会社は売る方針を数字で示していない。株は借入の担保に入り、自由には売れない。清算されない限り、資産の値打ちは帳簿の上にとどまる。
物販の赤字は長く続いている。売上は10年で6割縮み、2024〜2025年3月期は2期続けて営業赤字だった。中計の目標はROE2%で、資本コストの9%には遠い。健康・生活とホームファニシングは、安い輸入品とネット通販に勝つ手立てが見えない。
借入80億円の金利は上がり、利払いは年に1.5億円から3億円に増える。ビルの改装の投資も建築費の上昇で膨らむ。銀行の株の配当は、金利の局面が変われば減ることもある。
大株主の買い増しは、他の株主の利益になるとは限らない。会社の支配を目指す動きなら、少数株主に有利な条件が出る保証は無い。
ユニフォームの利益の回復も、大手の専業との値段の競争で長くは続かない恐れがある。物販の4つの事業を抱えたまま、本社の費用は物価とともに膨らむ。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。資産の厚さは本物だが、その値打ちを株主に届ける方針が無く、物販の赤字と利払いの増加が稼ぎを削る構造は10年で大きく変わりにくい。中立を最も厚くし、やや悲観と悲観を合わせて35%に置いた。大株主の動きと、持ち合いの株の売却の方針で見直す。資産の厚さは悲観の深さを和らげるが、清算されない限り床にはならないとみた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,371 円55 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 368 円15 億円)。 今の値に割り戻すと 818 円33 億円、今との差 −42.8%、 期待の年率 +2.0%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,533 円102 億円 | 744 円30 億円 | +129.0% | +8.6% | 262 円11 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,010 円81 億円 | 496 円20 億円 | +75.1% | +5.8% | 501 円20 億円 |
| 中立 | 37% | 1,433 円58 億円 | 372 円15 億円 | +26.1% | +2.3% | 668 円27 億円 |
| やや悲観 | 23% | 819 円33 億円 | 248 円10 億円 | −25.4% | −2.9% | 245 円10 億円 |
| 悲観 | 12% | 402 円16 億円 | 124 円5 億円 | −63.3% | −9.5% | 63 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,371 円55 億円 | 368 円15 億円 | +21.6% | +2.0% | 1,739 円70 億円 |
今の株価時価総額 1,431 円58 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 大株主の後押しで赤字の事業を畳み、ユニフォームと賃貸に絞る 利益 9 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 2,533 円102 億円
大株主のフリージア・マクロスが発言力を強め、会社が事業を大きく組み替える筋書きだ。赤字の健康・生活とホームファニシングを縮め、和装も小さな利益の出る形に絞る。残るのは、企業の制服を作るユニフォームと、東京の2つのビルの賃貸だ。
ユニフォームは介護と物流の現場の需要で数量が少し伸び、利益率は4.5%に上がる。ビルは改装で賃料を物価並みに上げ、建物の償却は取得した時の額のまま増えないので、賃貸の利益率は7割近くに上がる。営業利益は12億円ほどになる。
配当を増やし、自社株買いも始める。持ち合いの株は持ち続け、銀行の配当の伸びが利益を支える。
- 和装:数量 15.0(反物・製品の販売(千反・推定))× 価格 0.04(1反あたりの売上(百万円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。和装を絞る、収支均衡
- 洋装(ユニフォーム・アパレル):数量 120(制服・衣料の販売(万着・推定))× 価格 67(1着あたりの売上(百円))→ 売上 80 億円・営業利益 4 億円。120万着×物価並み、4.5%
- ホームファニシング:数量 18.0(商品の販売(万点・推定))× 価格 27(1点あたりの売上(百円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。18万点、収支均衡
- 健康・生活:数量 60.0(商品の販売(万点・推定))× 価格 39(1点あたりの売上(百円))→ 売上 23 億円・営業利益 0 億円。60万点×1.30倍、2%
- 建物の賃貸:数量 21.5(貸している床の面積(千㎡・推定))× 価格 67(1千㎡あたりの年間の賃料(百万円))→ 売上 14 億円・営業利益 10 億円。改装で貸す面積が増え賃料は物価並み、償却は増えず68%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.9% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 102 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:赤字の3事業を10年で整理し、賃貸のビルの改装で賃料も上げる筋だ。過去12年の山の営業利益率4.9%(2012年3月期)を超える営業利益が要り、会社の中計はROE2%にとどまるので8%とした。
やや楽観 20% 中計どおり赤字を止め、賃貸と配当で細く稼ぐ 利益 7 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 2,010 円81 億円
中計の「黒字体質への転換」が実を結ぶ筋書きだ。健康・生活と和装は赤字を止め、ユニフォームは数量と値段の両方で少しずつ伸びる。ビルの賃料は物価に少し届かない程度に上がり、償却は増えないので賃貸の利益率は上がる。
営業利益は9億円ほどになる。持ち合いの銀行の株の配当も増え、借入の金利の上昇を打ち消す。純利益は7億円ほどで、ROEは4%前後に上がる。
配当は利益の3割ほどを配り、自社株買いは小さく行う。持ち合いの株とビルは持ち続け、会社の形は大きく変わらない。大株主との対話で、資本の使い方の議論は少しずつ進む。
- 和装:数量 25.0(反物・製品の販売(千反・推定))× 価格 0.04(1反あたりの売上(百万円))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。25千反×1.30倍、収支均衡
- 洋装(ユニフォーム・アパレル):数量 112(制服・衣料の販売(万着・推定))× 価格 66(1着あたりの売上(百円))→ 売上 74 億円・営業利益 3 億円。112万着×1.32倍、4%
- ホームファニシング:数量 19.0(商品の販売(万点・推定))× 価格 26(1点あたりの売上(百円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。19万点、−2%
- 健康・生活:数量 75.0(商品の販売(万点・推定))× 価格 38(1点あたりの売上(百円))→ 売上 28 億円・営業利益 0 億円。75万点×1.25倍、収支均衡
- 建物の賃貸:数量 19.8(貸している床の面積(千㎡・推定))× 価格 64(1千㎡あたりの年間の賃料(百万円))→ 売上 13 億円・営業利益 9 億円。面積は今のまま、賃料1.28倍、償却は増えず67%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.9% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 81 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計は2028年度のROE2%を掲げ、洋装は2026年3月期にセグメント利益が3倍近くに増えた。赤字の事業を収支均衡まで戻す筋として20%とした。
中立 37% 賃貸が稼ぎ、物販の赤字がそれを削る形が続く 利益 5 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,433 円58 億円
会社が今の形のまま、ビルの賃貸と持ち合いの株の配当で稼ぎ、物販の赤字がそれを削る筋書きだ。ユニフォームは小さな利益を保つが、健康・生活、ホームファニシング、和装の赤字は縮むだけで消えない。
ビルの賃料は10年で1.25倍に上がり、建物の償却は取得した時の額のまま増えない。賃貸の利益率は66%に上がる。ただ、改装の投資は建築費の上昇で膨らみ、現金は思ったほど残らない。営業利益は6億円台になる。
借入の金利は3.5%に上がり、利払いは年に3億円になる。配当の収入でそれを打ち消し、純利益は5億円ほどだ。ROEは3%前後で、資本コストに遠く届かない。
- 和装:数量 22.0(反物・製品の販売(千反・推定))× 価格 0.04(1反あたりの売上(百万円))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。22千反×1.30倍、−5%
- 洋装(ユニフォーム・アパレル):数量 108(制服・衣料の販売(万着・推定))× 価格 65(1着あたりの売上(百円))→ 売上 70 億円・営業利益 2 億円。108万着×1.30倍、3.5%
- ホームファニシング:数量 18.0(商品の販売(万点・推定))× 価格 26(1点あたりの売上(百円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。18万点×1.30倍、−8%
- 健康・生活:数量 70.0(商品の販売(万点・推定))× 価格 38(1点あたりの売上(百円))→ 売上 26 億円・営業利益 −1 億円。70万点×1.25倍、−5%
- 建物の賃貸:数量 19.8(貸している床の面積(千㎡・推定))× 価格 63(1千㎡あたりの年間の賃料(百万円))→ 売上 12 億円・営業利益 8 億円。面積は今のまま、賃料1.25倍(東京の事務所の賃料の伸び)、償却は増えず66%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.9% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 58 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去12年の営業利益率は多くの年で2%未満で、物販の赤字は何度も続いた。賃貸と配当の安定と、物販の赤字の縮小が中計ほど進まない落としどころとして37%とした。
やや悲観 23% 物販の赤字が広がり、ビルの賃料も伸びない 利益 3 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 819 円33 億円
物販の赤字が広がり、賃貸の稼ぎを食べてしまう筋書きだ。和装は着物の市場の縮みで売上が減り、健康・生活とホームファニシングは安い輸入品とネット通販に押される。ユニフォームも値段の競争で利益率が2%に落ちる。
東京の事務所の空室が増え、ビルの賃料は10年で1.16倍にとどまる。営業利益は4億円を切り、配当の収入を足しても利払いの増加で純利益は2億円台になる。
配当は今の水準に据え置く。ビルと持ち合いの株は持ち続けるが、株主の手に届くのは細い利益だけだ。清算されない限り、資産の値打ちは株主に回らない。
- 和装:数量 18.0(反物・製品の販売(千反・推定))× 価格 0.04(1反あたりの売上(百万円))→ 売上 7 億円・営業利益 −1 億円。18千反×1.20倍、−8%
- 洋装(ユニフォーム・アパレル):数量 95.0(制服・衣料の販売(万着・推定))× 価格 60(1着あたりの売上(百円))→ 売上 57 億円・営業利益 1 億円。95万着×1.20倍、2%
- ホームファニシング:数量 15.0(商品の販売(万点・推定))× 価格 24(1点あたりの売上(百円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。15万点、−10%
- 健康・生活:数量 60.0(商品の販売(万点・推定))× 価格 34(1点あたりの売上(百円))→ 売上 20 億円・営業利益 −2 億円。60万点×1.13倍、−8%
- 建物の賃貸:数量 19.8(貸している床の面積(千㎡・推定))× 価格 58(1千㎡あたりの年間の賃料(百万円))→ 売上 12 億円・営業利益 7 億円。空室で賃料1.16倍、62%
倍率:ROEは1%台で資本コストを大きく下回り、稼ぐ力(純利益÷k)は約28億円。今の自己資本162億円に0.15倍を掛けた約24億円とみる。ビルと持ち合いの株を売る方針は数字で示されておらず、少数株主は清算を求められないので、資産の値打ちは床に入れない。EV(時価総額+純負債67億円)÷営業利益は約23倍で、借入の重さで株主の取り分が薄い形でも見た。
確率:2024〜2025年3月期は2期続けて営業赤字だった。物販の赤字が広がり、事務所の空室が増える筋として23%とした。
悲観 12% 物販が総崩れになり、ビルの稼ぎも利払いに消える 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 402 円16 億円
物販の事業が総崩れになる筋書きだ。和装は市場の縮みで売上が3割台に落ち、健康・生活とホームファニシングは赤字のまま縮む。ユニフォームも大手との競争で利益がほぼ消える。
ビルは空室が増え、賃料はほとんど上がらない。改装の投資を借入で賄い、利払いは年に3.5億円に増える。銀行の株の配当が減る局面と重なれば、純利益は赤字になる。
会社はビルの一部を売って借入を返すが、売る値段は買い手が決める。持ち合いの株は借入の担保に入っており、自由には売れない。株主に残る値打ちは、帳簿の自己資本の1割ほどになる。資産はあっても、稼がない資産は株主を守らない。
- 和装:数量 10.0(反物・製品の販売(千反・推定))× 価格 0.03(1反あたりの売上(百万円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。10千反、−15%
- 洋装(ユニフォーム・アパレル):数量 85.0(制服・衣料の販売(万着・推定))× 価格 55(1着あたりの売上(百円))→ 売上 47 億円・営業利益 0 億円。85万着、0.5%
- ホームファニシング:数量 10.0(商品の販売(万点・推定))× 価格 22(1点あたりの売上(百円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。10万点、−15%
- 健康・生活:数量 45.0(商品の販売(万点・推定))× 価格 32(1点あたりの売上(百円))→ 売上 14 億円・営業利益 −2 億円。45万点、−12%
- 建物の賃貸:数量 19.8(貸している床の面積(千㎡・推定))× 価格 53(1千㎡あたりの年間の賃料(百万円))→ 売上 10 億円・営業利益 6 億円。賃料1.05倍、55%
倍率:稼ぐ力はほぼ無く、床にならない。今の自己資本162億円に0.10倍を掛けた約16億円とみる。ビルと株を売れば帳簿以上の値打ちがあるが、清算されない限り少数株主には届かないので床に数えない。EV(時価総額+純負債67億円)÷営業利益は50倍を超え、事業の値打ちの多くが借入の側に帰する形でも見た。
確率:売上は10年で272億円から101億円に縮んだ。物販の縮みが止まらず、借入の利払いが稼ぎを上回る構造的な負けの筋として12%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
和装
着物の生地と製品の卸。
| 数量反物・製品の販売(千反・推定) | 価格1反あたりの売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 32.3 | 0.03 | 10 | −1 |
| 10 年後 中立 | 22.0 | 0.04 | 9 | 0 |
取り方:数の開示が無いため推定。売上9.70億円を、卸の平均の単価(1反0.03百万円)で割った約3.2万反。セグメント損失0.87億円。
洋装(ユニフォーム・アパレル)
企業や介護・物流の現場の制服と、洋服の卸。
| 数量制服・衣料の販売(万着・推定) | 価格1着あたりの売上(百円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 103 | 50 | 51 | 2 |
| 10 年後 中立 | 108 | 65 | 70 | 2 |
取り方:数の開示が無いため推定。売上51.40億円(うちユニフォーム46.15億円)を平均の単価(1着50百円)で割った約103万着。セグメント利益1.94億円。
ホームファニシング
寝具・インテリアの卸と販売。
| 数量商品の販売(万点・推定) | 価格1点あたりの売上(百円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 20.4 | 20 | 4 | −2 |
| 10 年後 中立 | 18.0 | 26 | 5 | 0 |
取り方:数の開示が無いため推定。売上4.07億円を平均の単価(1点20百円)で割った約20万点。セグメント損失2.24億円。
健康・生活
健康の器具と生活の雑貨の卸と販売。
| 数量商品の販売(万点・推定) | 価格1点あたりの売上(百円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 86.4 | 30 | 26 | −3 |
| 10 年後 中立 | 70.0 | 38 | 26 | −1 |
取り方:数の開示が無いため推定。売上25.93億円を平均の単価(1点30百円)で割った約86万点。セグメント損失3.17億円。
建物の賃貸
東京の中央区のツカモトビルと目黒区の目黒東山スクエアビルの賃貸。
| 数量貸している床の面積(千㎡・推定) | 価格1千㎡あたりの年間の賃料(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 19.8 | 50 | 10 | 6 |
| 10 年後 中立 | 19.8 | 63 | 12 | 8 |
取り方:面積の開示が無いため推定。売上9.92億円を、都心の事務所の賃料の目安1千㎡あたり年50百万円で割った約2万㎡。セグメント利益6.01億円(償却後)。
リスクと懸念
物販の赤字
健康・生活、ホームファニシング、和装の3つは合わせて年6億円を超える赤字だ。中計で黒字体質への転換を掲げるが、止まらなければ賃貸の稼ぎがそのまま消える。
借入と金利
有利子負債は80億円で、利払いは年1.5億円だ。借り換えの金利が上がれば年3億円近くに増え、純利益の多くが消える。
持ち合いの株の値動き
上場株108億円の半分以上が三菱UFJの株で、借入の担保にも入る。銀行の株が大きく下がれば、自己資本と借入の余力が同時に縮む。
ビルの空室と改装の投資
2つのビルが稼ぎのほぼ全部を生む。大口のテナントが抜ければ利益は大きく減り、改装の投資は建築費の上昇で膨らむ。
資産が株主に届かない
ビルと株を売る方針は数字で示されていない。資産の値打ちが帳簿の上にとどまれば、株主の取り分は細い配当だけになる。
今後の分かれ目
- 持ち合いの株の売却と自社株買いの方針を数字で示したら
- 資産が株主に届く道が開いたとみて、余った資産の足し方と上側の確率を見直す。
- フリージア・マクロスが持株を3分の1超に増やす、または公開買付けを始めたら
- 支配の動きとして、時価総額の見方と少数株主の取り分を見直す。
- 健康・生活とホームファニシングが2期続けて黒字になったら
- 中計の実行の証拠として、やや楽観の確率を上げる。
- ビルの大口のテナントが退去したら
- 稼ぎの柱が揺らぐとみて、やや悲観に重みを移す。
- 営業赤字が再び2期続いたら
- 悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 物販の3事業のセグメント損益
- 建物の賃貸の売上と空室
- 有利子負債と支払利息
- 持ち合いの株の売却の方針
- フリージア・マクロスの持株比率
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価やPBRを見ずに、ROEとk 9.0%から決めた。中立のROEは3%前後で資本コストに遠く届かないので、PERは1÷kの11.1倍の7.5割に置いた。ビルの賃料と持ち合いの株の配当を利益に入れたので、その資産の値打ちは別に足していない。帳簿の値の3分の1という今の値段は割安の根拠にしていない。賃貸の償却は取得した時の額のまま増えないとして利益率を上げた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→11.11 倍・やや楽観 PER 9.4→11.11 倍・中立 PER 8.3→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。