結論
ニチモウは、すり身やカニなどの水産物を世界から仕入れて売る会社だ。漁網や食品加工機械も持つ。筆者の結論は「割高」である。事業は多面的で、機械と海洋は質が高い。ただ売上の6割以上を占める食品は薄利で、相場に利益を左右される。
2026年3月期の売上は1,398億円で、過去最高だった。営業利益は28億円で、利益率は2%にとどまる。すり身の市況低迷と、2月の工場火災が響いた。
稼ぎの質は事業によって大きく違う。機械の利益率は10%を超え、海洋は4%台だ。食品は2%を切る。全社の費用が約19億円あり、セグメント利益の合計47億円を4割削る。
借金は多い。有利子負債は352億円で、時価総額の1.8倍ある。多くは水産物の買付資金で、在庫の増減に連動する。金利が上がると、利払いが増える。ROEは6.4%で、資本コストに届かない。
中立の10年後は営業利益41億円、時価総額207億円。確率で重みをつけた本質価値は、今より3割余り低い。
バリュー投資の観点から
この会社を、長く持ちたいか。筆者の答えは「事業の一部は持ちたいが、全体としては値段に見合わない」だ。
機械と海洋は持ちたい。顧客の現場に根ざし、利益率も高い。ただ売上の6割以上は食品で、薄利と相場に支配される事業だ。ここから利益を取り出すのは難しい。
いちばん気になるのは、借金の性格だ。有利子負債352億円は、水産物の買付資金が中心だ。在庫が売れれば返せる借金で、すぐに危ういものではない。ただ、2026年3月期の営業キャッシュフローは赤字だった。在庫を積み増す年は、現金が出ていく。
資本の効率も気になる。ROEは10年の中央値で8.5%と、資本コストの9%近くで、取り立てて高くはない。直近は6.4%に下がった。
安全域はあるか。悲観の床は、持ち合い株の税引き後と工場の整理で約60億円。今の時価総額の3割だ。倒産は遠いが、今の値段に厚い安全域はない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は5本ある。食品、海洋、機械、資材、その他だ。売上の64%が食品、18%が海洋、10%が機械、7%が資材で、その他は2%足らずである。
食品は、すり身、カニ、サケ・マス、中国向けの北方凍魚、たらこ、加工食品を扱う。世界の漁場から仕入れ、自社の工場でも加工して売る。2026年3月期の売上は899億円、利益は17億円(利益率1.8%)だった。すり身は国内の市況が低迷し、南米での生産も計画に届かなかった。一方、北方凍魚は中国向けが伸び、タラバガニなど高付加価値の品を広げている。
海洋は漁網、ロープ、養殖用のいけす、エサ、活魚、船の機械だ。売上は246億円、利益は11億円で、増収増益だった。陸上養殖のシステムの外販も計画している。
機械は、食品工場向けの加工機械だ。国内の大型案件が減って売上は134億円に減ったが、円安の効果で利益は14億円を保った。利益率は10%を超え、最も良い。
資材は、食品包装や農業用のフィルムだ。売上93億円、利益3.8億円。製造コストの上昇で化成品の利益が落ちた。
その他は物流、バイオティックス、不動産賃貸で、利益は1億円程度の小さな集まりだ。
見落とせないのは、全社の費用だ。セグメントに配られない費用が約19億円ある。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、事業ごとに違う。食品には弱い。機械と海洋には中くらいある。
機械は、水産・食品工場の現場に合わせた加工機械で、保守と部品の付き合いが続く。顧客を深く知っていることが強みで、利益率が10%を超える。海洋は、漁網や養殖資材の長年の実績と、漁業者との関係が土台だ。
食品は商社的な仕事だ。仕入れと販売の間の差で稼ぎ、値段は相場が決める。取り扱いの品目と、自社工場での加工で差をつけようとしているが、競合はニッスイ、極洋、東洋水産など大手が並ぶ。大手の株を持ち合う関係で、競争にもなり、協力にもなる。
資本の効率は低い。ROEは過去10年の中央値で8.5%だが、直近は6.4%に下がった。中計は10%を掲げる。
弱点は3つある。第1は、相場と為替に利益が左右されること。第2は、運転資金のために借金が膨らむこと。第3は、全社の費用が利益を削ることだ。
筆者は事業の質を「機械と海洋は良い、食品は普通以下、全体は普通」と見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
水産物の市場は、需要が細り、価格が上がっている。日本人の魚の消費は減っている。一方で、世界の魚の需要は増え、輸入価格は円安もあって上がった。食品の取扱量は減る一方、価格は物価を上回るのが実態だ。
すり身は、スケトウダラなどの漁獲の規制と、国内の練り製品の需要で決まる。市況は荒く、2026年3月期は低迷した。米国やロシアの漁獲枠、南米の生産が左右する。
カニや北方凍魚は、日本と中国の需要で動く。中国向けの北方凍魚は2026年3月期に大きく伸びた。インバウンドの需要も堅調だ。
海洋は、漁業の担い手の高齢化と漁獲の縮小の中で、養殖が新しい柱になる。陸上養殖は久慈の自社プラントが2026年3月に試験運転を始め、システムの外販を狙う。
機械は、食品工場の人手不足で省力化の需要がある。北米、オセアニア、アジアの食品加工メーカー向けの海外が伸びしろだ。
卸売全体は、中抜き圧力と人件費の上昇が逆風になる。食品卸の営業利益率は1〜3%の薄利で、ニチモウもその範囲にある。
競争は、大手のニッスイ、極洋、マルハニチロなどが水産物の調達と加工で先行する。ニチモウは規模では劣るが、すり身や北方凍魚など得意な品目で差をつける。
資本政策と M&A
資本の使い方は、積極に変わりつつある。
配当は性向35%以上を目標に、実質の累進配当を続ける。2026年3月期の配当性向は38%だった。中長期には性向40%以上、DOE4%以上を目指す。自社株買いも検討し、株主優待も視野に入れる。
中計(2026〜2028年3月期)は総額120億円の投資枠を置く。事業投資40億円、DX20億円、M&A枠60億円だ。M&Aは食品・機械の関連が中心になる。
借金は運転資金で膨らむ。D/Eは1倍以内が目標で、期末は0.8倍台だった。短期格付「a-2」を取得し、金利上昇に備える。
持ち合い株は約98億円。ニッスイ(約37億円)、みずほFG、理研テクノス、東洋水産などだ。縮減の数値目標は確認できなかった。配当は純利益に入っており、倍率で数え済みなので、余り資産には足していない。
大株主は朝日生命(約7.6%)、個人(約7.5%)、渡辺冷食(約6.4%)。TOBの可能性はkabufuの試算で10年以内に28%と、やや高い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
底は過ぎ、これから利益が戻る。2026年3月期は売上が過去最高で、営業利益の減少はすり身の市況、工場火災、全社費用の増加という一時的な要因が大きい。27年3月期は営業利益32億円を見込み、主要4事業すべてが増収増益になる。
機械は海外が伸びる。北米・アジアの食品加工メーカーは人手不足で省力化が必要になり、保守体制もM&Aで広げる。海洋は養殖資材と陸上養殖のシステムが新しい柱だ。
食品は、カニや加工食品など高付加価値の品目を広げ、利益率を上げる。中計は28年3月期に営業利益43億円を掲げ、前の中計で利益の安定を実現した実績がある。
財務も整えている。短期格付を取得し、D/Eは1倍以内に抑えた。配当は累進を続け、性向を40%へ上げる。PBRは0.6倍で、1倍超を目標に掲げる。60億円のM&A枠が実れば、利益は大きく変わる。
外食・中食の人手不足は、機械の需要を押し上げる。インバウンドの回復は、カニなど高付加価値品の追い風になる。物価が上がる世界では、在庫の価値も名目で上がる。
慎重な見方
食品は相場の事業で、利益は安定しない。2026年3月期はすり身の不振と火災で大幅に計画を下回った。第4四半期は輸入水産物の買付先行で赤字に転じた。過去20年に赤字の期が4回あり、2019年3月期は27億円の最終赤字だった。
借金は重い。有利子負債は352億円で、時価総額の1.8倍。営業キャッシュフローは赤字で、短期借入で在庫を賄った。金利が上がれば、利払いは年に数億円増える。営業利益は支払利息の5.6倍にすぎない。
全社の費用が約19億円あり、セグメント利益の4割を削る。中計のセグメント目標の合計は58.8億円なのに、連結の目標は43億円だ。差の16億円は消える費用である。
資本の効率は低い。ROEは直近6.4%で、資本コストに届かない。M&Aの60億円は、実行の失敗が怖い。食品のM&Aは成功の例が少ない。
食品の取扱量は、日本人の魚離れで長期に減る。
持ち合い株は約98億円あるが、数値の縮減目標がない。資産は厚くても、株主に戻る道は細い。物価の世界では、薄利の商売が借金を抱えて拡大するほど、金利のリスクが重くなる。
どちらに重みを置いたか
数字の勝負では、慎重な見方がやや強い。食品は薄利で相場に動かされ、借金は重く、ROEは資本コストに届かない。一方で、機械と海洋の質は高く、中計の足取りも確かなので、強気の見方も一定の根拠がある。そこで、中立に4割弱を置き、やや悲観に3割を寄せた。楽観は5%、悲観は12%にとどめた。確率は、慎重な側の合計(4割強)が強気の側(2割)の2倍になる形だ。強気の見方で最も強い、機械と海洋の伸びは、やや楽観に反映した。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,611 円219 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,016 円85 億円)。 今の値に割り戻すと 1,796 円151 億円、今との差 −20.9%、 期待の年率 +4.8%(資本コスト 8.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 5,986 円503 億円 | 1,785 円150 億円 | +242.2% | +13.1% | 389 円33 億円 |
| やや楽観 | 15% | 4,354 円366 億円 | 1,381 円116 億円 | +152.5% | +9.7% | 860 円72 億円 |
| 中立 | 38% | 3,537 円297 億円 | 1,143 円96 億円 | +106.1% | +7.5% | 1,778 円149 億円 |
| やや悲観 | 30% | 770 円65 億円 | 833 円70 億円 | −29.4% | −3.4% | 481 円40 億円 |
| 悲観 | 12% | 692 円58 億円 | 298 円25 億円 | −56.4% | −8.0% | 119 円10 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,611 円219 億円 | 1,016 円85 億円 | +59.7% | +4.8% | 3,627 円305 億円 |
今の株価時価総額 2,271 円191 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 5% 機械と養殖資材が海外で伸び、食品の利益率も上がる 利益 44 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 5,986 円503 億円
中計の 60 億円の M&A 枠が実り、機械と食品の海外拠点が増える。機械は北米・アジアで売上が 1.5 倍になり、利益率は 10% を保つ。海洋は陸上養殖のシステムの外販が加わり、養殖資材と合わせて 15% 伸びる。
食品は取扱量が横ばいで、価格は物価を上回る 1.45 倍だ。タラバガニやサバの加工品など高付加価値の品目が増え、利益率は 2.3% に上がる。
全社の営業利益は 62 億円、売上は 2,200 億円。営業利益率は 2.8% で、過去の山(2.8%)に並ぶ。
借金は運転資金で膨らむが、D/E は 1 倍以内に収まる。配当性向は 40% 以上に上がる。
- 食品(すり身・カニ・北方凍魚・加工食品の仕入れと販売):数量 100(取扱量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.45(取扱量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 1,303 億円・営業利益 30 億円。活動量 100(今 100)× 価格 1.45 倍、利益率 2.3%
- 海洋(漁網・漁具・養殖資材・船舶機械):数量 115(取扱量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.40(取扱量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 395 億円・営業利益 23 億円。活動量 115(今 100)× 価格 1.40 倍、利益率 5.8%
- 機械(食品加工機械):数量 150(販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.40(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 282 億円・営業利益 28 億円。活動量 150(今 100)× 価格 1.40 倍、利益率 10.0%
- 資材(包装フィルム・農畜資材):数量 120(販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.40(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 156 億円・営業利益 7 億円。活動量 120(今 100)× 価格 1.40 倍、利益率 4.3%
- その他(物流・バイオティックス・不動産賃貸ほか):数量 110(販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.40(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 41 億円・営業利益 2 億円。活動量 110(今 100)× 価格 1.40 倍、利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 44 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.0% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 503 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:食品の高付加価値化(カニ・加工食品)、機械の海外倍増、養殖資材の拡大、60 億円の M&A 枠が実り、10 年のあいだに相場の悪化がない形。10 年のあいだに全部がそろう確率は低く、5% にとどめる。
やや楽観 15% 中計に近い形で、機械と海洋が利益を押し上げる 利益 32 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 4,354 円366 億円
機械と海洋が計画どおり伸び、食品は取扱量を保つ。機械は活動量が 1.25 倍、海洋は 1.08 倍になる。食品の利益率は 2.1% で、中計の目標(2.6%)に届かない。
価格は物価をわずかに上回る 1.38 倍。すり身の市況は戻るが、乱高下の波は残る。
全社の営業利益は 51 億円、純利益は 32 億円。営業利益率は 2.6% で、過去の山(2.8%)に近づく。
配当は性向 40% で累進し、自社株買いも少しやる。ROE は 6.5% まで上がる。
ただ、10 年のうちに相場が一度も崩れない前提は強い。強気の見方に近いが、中立と大きく離れない形だ。
- 食品(すり身・カニ・北方凍魚・加工食品の仕入れと販売):数量 97.0(取扱量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.38(取扱量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 1,203 億円・営業利益 25 億円。活動量 97(今 100)× 価格 1.38 倍、利益率 2.1%
- 海洋(漁網・漁具・養殖資材・船舶機械):数量 108(取扱量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.37(取扱量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 363 億円・営業利益 20 億円。活動量 108(今 100)× 価格 1.37 倍、利益率 5.5%
- 機械(食品加工機械):数量 125(販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.38(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 231 億円・営業利益 23 億円。活動量 125(今 100)× 価格 1.38 倍、利益率 10.0%
- 資材(包装フィルム・農畜資材):数量 108(販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.36(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 136 億円・営業利益 6 億円。活動量 108(今 100)× 価格 1.36 倍、利益率 4.2%
- その他(物流・バイオティックス・不動産賃貸ほか):数量 100(販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.36(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 37 億円・営業利益 2 億円。活動量 100(今 100)× 価格 1.36 倍、利益率 4.5%
倍率:事業の純利益 32 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.2% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 366 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計(28 年 3 月期に営業利益 43 億円)をその先も物価の分だけ伸ばす形。会社が前の中計でも利益を安定させたと自負する点は評価するが、ROE は 10% を下回り続けた実績があり、確率は中立の半分以下に置く。
中立 38% 相場に左右される商社的な利益が、物価の分だけ伸びる 利益 26 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 3,537 円297 億円
食品は取扱量が年 0.5% ずつ減り、価格は物価並みの 1.34 倍にとどまる。すり身の市況は乱高下する。カニ・サケ・マスの加工と中国向けの北方凍魚が、その穴を埋める。利益率は 1.9% で、前の山より低い。
海洋は、養殖資材と漁網が堅調で、利益率が 5% になる。機械は海外が伸び、取扱が 1.15 倍。資材とその他は物価並みに伸びる。
全社の営業利益は 41 億円、純利益は 26 億円。営業利益率は 2.2%。ROE は 5.4% にとどまる。利払いは 3.5% の借り換えで増えるが、営業利益の増加が打ち消す。
配当は性向 40% の水準を保つ。
- 食品(すり身・カニ・北方凍魚・加工食品の仕入れと販売):数量 95.0(取扱量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.34(取扱量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 1,144 億円・営業利益 22 億円。活動量 95(今 100)× 価格 1.34 倍、利益率 1.9%
- 海洋(漁網・漁具・養殖資材・船舶機械):数量 100(取扱量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.34(取扱量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 329 億円・営業利益 17 億円。活動量 100(今 100)× 価格 1.34 倍、利益率 5.0%
- 機械(食品加工機械):数量 115(販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.34(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 207 億円・営業利益 21 億円。活動量 115(今 100)× 価格 1.34 倍、利益率 10.0%
- 資材(包装フィルム・農畜資材):数量 100(販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.34(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 124 億円・営業利益 5 億円。活動量 100(今 100)× 価格 1.34 倍、利益率 4.0%
- その他(物流・バイオティックス・不動産賃貸ほか):数量 100(販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.34(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 36 億円・営業利益 1 億円。活動量 100(今 100)× 価格 1.34 倍、利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 26 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.3% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 297 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:27 年 3 月期の会社予想(営業利益 32 億円)と中計(28 年 3 月期に 43 億円)を、過去の安定を下限に置いて織り込み、10 年後の利益率を 2.2% に置く形。最も厚く置く。
やや悲観 30% 水産物の相場が崩れ、食品の利益が消える 利益 11 億円 · PER 5.9 倍 · 株価時価総額 770 円65 億円
水産物の相場が下がり続け、買付先行の在庫が評価損を生む。食品の取扱量は年 1.2% ずつ減り、価格は 1.25 倍と物価に届かない。利益率は 1.2% に下がる。
海洋は漁獲規制と養殖の失敗で、利益率が 4% に下がる。機械は海外の伸びが止まり、国内の大型案件も減る。
全社の営業利益は 18 億円、純利益は 11 億円。営業利益率は 1.1% で、2009 年 3 月期の 0.6% に近づく。
借入は膨らんだまま、利払いが増える。配当は今の水準を守ろうとして、純利益を上回る年が出る。
M&A の枠は使わず、財務の立て直しが先になる。金利が上がる中で、利払いが営業利益を圧迫し続ける。
- 食品(すり身・カニ・北方凍魚・加工食品の仕入れと販売):数量 88.0(取扱量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.25(取扱量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 988 億円・営業利益 12 億円。活動量 88(今 100)× 価格 1.25 倍、利益率 1.2%
- 海洋(漁網・漁具・養殖資材・船舶機械):数量 92.0(取扱量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.25(取扱量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 282 億円・営業利益 11 億円。活動量 92(今 100)× 価格 1.25 倍、利益率 4.0%
- 機械(食品加工機械):数量 95.0(販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.25(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 159 億円・営業利益 14 億円。活動量 95(今 100)× 価格 1.25 倍、利益率 8.5%
- 資材(包装フィルム・農畜資材):数量 90.0(販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.25(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 104 億円・営業利益 3 億円。活動量 90(今 100)× 価格 1.25 倍、利益率 3.0%
- その他(物流・バイオティックス・不動産賃貸ほか):数量 90.0(販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.25(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 30 億円・営業利益 1 億円。活動量 90(今 100)× 価格 1.25 倍、利益率 3.0%
倍率:事業の純利益 11 億円、自己資本 382 億円で ROE 2.9%。k 8.75%、残る割合 1/2 から RONIC 5.9%。正当化 PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)、g 4.0% で 6.5 倍。利益の質が落ちる筋書きなので、式の答えの 9 割に置く(やや悲観は稼ぐ力から置き、7 割へ引き上げない)。EV÷営業利益が 20 倍を超えて見えるのは、水産物の在庫と売掛金を借入で賄うため、借金が運転資金だからである。営業利益で測る谷の年なので、利益の倍率で割安・割高を言わない筋書きだ。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 5.88 倍・時価総額 65 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:食品は薄利で、すり身の市況・為替・火災のような一過性の事故の影響を直に受ける。2019 年 3 月期には 27 億円の最終赤字もあった。売上の 3 分の 2 が相場に動く事業なので、中立に次ぐ厚さで置く。
悲観 12% 相場の崩れと火災の連鎖で、運転資金の借入が重荷になる 利益 −12 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 692 円58 億円
構造的な負けになる。中国向けの北方凍魚が止まり、すり身も大きく減る。食品の取扱量は 2 割減り、価格は 1.10 倍にとどまる。在庫の評価損と、取引先の貸倒れが重なる。
海洋は漁獲の縮小で 2 割減る。機械も大型案件が出ず、4 分の 1 縮む。
営業損益は 12 億円の赤字になる。減損と整理で自己資本が 40 億円ほど減り、D/E が 1 倍を超える。配当は大きく削る。
借入は運転資金で回るが、金利が上がる中で借り換えの条件が厳しくなる。持ち合い株を売って返済に回す。
株主が手にするのは、事業の稼ぎでなく、売れる資産の残りだけだ。食品の事業は小さくなり、機械と海洋だけが残る。
- 食品(すり身・カニ・北方凍魚・加工食品の仕入れと販売):数量 78.0(取扱量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.10(取扱量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 771 億円・営業利益 −2 億円。活動量 78(今 100)× 価格 1.10 倍、利益率 -0.3%
- 海洋(漁網・漁具・養殖資材・船舶機械):数量 80.0(取扱量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.10(取扱量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 216 億円・営業利益 4 億円。活動量 80(今 100)× 価格 1.10 倍、利益率 2.0%
- 機械(食品加工機械):数量 75.0(販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.10(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 111 億円・営業利益 7 億円。活動量 75(今 100)× 価格 1.10 倍、利益率 6.0%
- 資材(包装フィルム・農畜資材):数量 80.0(販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.10(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 82 億円・営業利益 1 億円。活動量 80(今 100)× 価格 1.10 倍、利益率 1.0%
- その他(物流・バイオティックス・不動産賃貸ほか):数量 80.0(販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.10(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 24 億円・営業利益 0 億円。活動量 80(今 100)× 価格 1.10 倍、利益率 0.0%
倍率:赤字の筋書きなので PBR で置く。床は売れる資産の税引き後で、持ち合い株 約 98 億円の 7 割(約 69 億円)から工場の整理費を引いた約 60 億円。今の自己資本 342 億円に PBR 0.17 を掛けた。運転資金の借入は、同額の在庫・売掛金とともに動くので、床の計算では引かない。
確率:食品の取引先の破綻、相場の急落、買付先行の在庫の評価損が重なる形。無借金ではなく、運転資金に借入を使う事業なので、1 割強に置く。売れる資産(持ち合い株・工場)が歯止めになる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
食品(すり身・カニ・北方凍魚・加工食品の仕入れと販売)
すり身、カニ、サケ・マス、中国向けの北方凍魚、たらこ、加工食品を、世界の漁場から仕入れて加工し、国内外へ売る。売上の6割以上を占める。
| 数量取扱量(2026/03 を 100 とした指数) | 価格取扱量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 1.00 | 899 | 17 |
| 10 年後 中立 | 95.0 | 1.34 | 1,144 | 22 |
取り方:食品の売上 898.5 億円、セグメント利益 16.6 億円(1.8%)。トン数の開示が無く、魚種も多いので指数で置く。
海洋(漁網・漁具・養殖資材・船舶機械)
漁網・ロープ・養殖用のいけす・エサ・活魚と、船の機械を売る。陸上養殖のシステムも手がける。
| 数量取扱量(2026/03 を 100 とした指数) | 価格取扱量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 1.00 | 246 | 11 |
| 10 年後 中立 | 100 | 1.34 | 329 | 17 |
取り方:売上 245.6 億円、セグメント利益 10.7 億円(4.4%)。品目が多く指数で置く。
機械(食品加工機械)
惣菜・水産加工などの食品工場向けの機械を国内外に売る。利益率が最も高い。
| 数量販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数) | 価格活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 1.00 | 134 | 14 |
| 10 年後 中立 | 115 | 1.34 | 207 | 21 |
取り方:売上 134.1 億円、セグメント利益 14.3 億円(10.7%)。大型案件の有無で年ごとにぶれるので指数で置く。
資材(包装フィルム・農畜資材)
食品包装や農業用のフィルム、耐熱フィルムなどを作って売る。
| 数量販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数) | 価格活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 1.00 | 93 | 4 |
| 10 年後 中立 | 100 | 1.34 | 124 | 5 |
取り方:売上 92.7 億円、セグメント利益 3.8 億円(4.1%)。
その他(物流・バイオティックス・不動産賃貸ほか)
物流の事業、バイオティックス(微生物の事業)、不動産賃貸、人材派遣。小さな事業の集まり。
| 数量販売の活動量(2026/03 を 100 とした指数) | 価格活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 1.00 | 27 | 1 |
| 10 年後 中立 | 100 | 1.34 | 36 | 1 |
取り方:売上 26.9 億円、セグメント利益 1.1 億円(物流 0.1 億円・バイオティックス 0.1 億円・その他 0.9 億円)。
リスクと懸念
水産物の相場と為替
食品は仕入れが海外中心で、すり身やカニの相場、為替の動きで利益が大きく変わる。2026年3月期はすり身の市況低迷で食品の利益が減った。買付先行の在庫に評価損が出れば、四半期で赤字に転じる。
運転資金の借金と金利上昇
有利子負債は352億円で、時価総額の1.8倍。多くは短期借入で、金利が上がるとすぐ利払いに響く。営業利益は支払利息の5.6倍にすぎない。D/Eは0.8倍台だが、在庫の積み増しで1倍を超える恐れがある。
工場の事故と漁獲規制
2026年2月、ヤマイチ水産の紋別ミール工場でボイラー室の火災が起きた。再建費用は予想に織り込んだが、生産停止の影響は他の品目で補う計画だ。漁獲枠の縮小と海水温の上昇は、主要な商材に直接響く。
全社費用の重さ
セグメントに配られない費用が約19億円あり、セグメント利益の4割を削る。物価で増え、DX投資の償却も加わる。利益が伸びない年は、営業利益がほとんど消える。
M&A の実行
中計は60億円のM&A枠を置く。食品と機械の関連が中心だが、のれんの減損や統合の失敗のリスクがある。食品のM&Aは薄利の事業を買うことが多く、成功の例が少ない。
国内の魚の消費の長期減少
日本の魚の消費は減り続ける。国内向けの水産加工品は数量が縮み、価格を上げて売上を保つ構図だ。海外の売上比率は約10%で、5ポイントの引き上げを狙うが、道のりは遠い。
持ち合い株の下落
上場の持ち合い株は約98億円で、ニッスイが約37億円を占める。株価が下がれば自己資本が減る。縮減の数値目標は確認できず、資産の厚みが稼ぎにつながりにくい。
今後の分かれ目
- 27年3月期の営業利益が32億円以上で着地し、食品の利益率が2%を超えたら
- やや楽観の確率を上げる。すり身の市況と火災の一過性が裏づけられる。
- すり身の市況が再び下がり、買付先行の在庫に評価損が出たら
- やや悲観・悲観の確率を上げる。食品の利益が相場に振れる構造が前面に出る。
- 60億円のM&A枠で、機械か食品の関連会社の買収が発表されたら
- 規模と買収額で判断する。のれんの大きさで、悲観側の自己資本を見直す。
- 日銀の利上げが進み、短期の借入金利が3%に近づいたら
- 利払いの増加で純利益が下がる。筋書きの純利益を下に直す。
- 持ち合い株の売却と自社株買いが数値で発表されたら
- 余り資産の足し込みと戻り方を見直す。ROEの改善が見えれば倍率を上げる。
- 陸上養殖のシステムの外販が受注として積み上がったら
- 海洋の成長軸になる。やや楽観の確率を上げる。
見ておくもの
- 食品の営業利益率と、すり身・カニの相場
- 有利子負債とD/Eレシオ、営業キャッシュフロー
- 機械の海外受注と、M&Aの発表
- 全社費用の水準
- 持ち合い株の売却額と、配当・自社株買い
倍率と資本コストの決め方
今の株価から逆算せず、先にセグメントごとの取扱量 × 価格で積み、全社費用を引いた。倍率は事業の ROE(中立で5.4%、k を下回る)から式で出し、中立は式の答えの9割、やや悲観は稼ぐ力から置いた。持ち合い株は配当を純利益に残して余り資産に足していない。悲観の床は、持ち合い株の税引き後と工場の整理費から出し、過去の PBR の底は使っていない。今の時価総額と比べたのは最後で、市場の PBR 0.6倍に寄せていない。借金は運転資金(在庫と売掛金)に連動するので、純負債を床からは引かなかった。リースは小さく(本社の賃借のみ)、新リース会計の影響は大きくない。形は今と同じ家賃を費用に入れた形でそろえた。業種ノートに水産物卸の節が無かったため、食品・日用品卸の節(営業利益率1〜3%)を物差しにし、水産物の価格は物価並み以上に置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.51→11.43 倍・やや楽観 PER 8.05→11.43 倍・中立 PER 7.97→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。