結論
平和紙業は、色や手ざわりの違う特殊紙を多く扱う、大阪発祥の紙の卸だ。筆者の結論は、純資産の半分以下という値段でも割高だ、というものだ。
一番の理由は、本業がほとんど稼がないことだ。2026/03期の営業利益は1億円に届かず、売上の0.6%しか残らない。ROEは1%に満たない。利益の半分以上は、持っている取引先の株の配当だ。
貸借対照表は厚い。純資産は100億円を超え、取引先の株を40億円、現金を21億円持つ。ただ、その株は取引を守るための持ち合いで、売る方針の数字は無い。会社が持ち続ける限り、株主に届くのは配当の分だけだ。
10年後の中立は、紙の取扱量が2割減り、営業利益率は1%前後と見る。特殊紙の伸びは本物だが、普通の紙の縮みを埋めるのがやっとだ。稼ぐ力から測った価値は、今の時価総額を大きく下回る。値段の安さは、稼がない資本に付いた正しい値札だと筆者は見る。
下値を支えるのは配当だ。利益をほぼ全部配る形なので、持っていれば年2%強の配当は届く。だが、それだけでは資本コストに遠い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、安く見えて安くない会社だ。
純資産は時価総額の2倍以上ある。だが、その純資産はほとんど稼いでいない。本業の利益は年1億円ほどで、利益の半分以上は取引先の株の配当だ。資本コストを8%台とすれば、毎年その差の分だけ株主の価値が目減りしている。
持っている株と不動産を売り、そのお金を株主に戻すなら話は変わる。だが少数の株主には、それを決める力が無い。会社にはその方針も見えない。資産が会社の中にとどまる限り、株主のものになる利益は配当の分だけだ。
特殊紙の品ぞろえは小さな強みだ。それでも、縮む紙の市場で卸の取り分を広げるのは難しい。払う値段に見合う稼ぎの道筋が、筆者にはまだ見えない。安全域は、資産の厚さではなく稼ぐ力から取るものだ。
もし会社が持ち合いの株を売り、その代金で自社株を買うと決めたら、筆者の見方は大きく変わる。それまでは外から見ておきたい。
何で稼ぐ会社か
平和紙業は、製紙会社から紙を仕入れ、印刷会社や紙製品の会社、デザイナーに売る卸だ。1946年に大阪で生まれ、東京、名古屋、大阪を拠点に全国へ売る。香港にも小さな子会社を持ち、アジアへも紙を出す。
主力は特殊紙だ。多様な色と風合いを持つファンシーペーパーが売上の約2割を占める。その厚物で、化粧品や菓子の箱に使うファインボードが1割強だ。高級印刷紙と、上質紙など普通の紙がそれぞれ2割強、偽造防止や耐水の技術紙が15%ほどになる。
強みとして会社が挙げるのは三つある。何千種類もの紙を少量ずつ在庫し、すぐ届ける力。用途に合う紙を選んで提案する力。全国に届ける物流網だ。製紙会社と組んで独自の銘柄も作り、自社の店「ペーパーボイス」で個人にも紙を売る。
稼ぎ方は、仕入れ値に2割ほどの粗利を乗せて売る形だ。ただ、在庫と物流と営業の費用が、その粗利をほぼ食う。
もう一つ、小さな不動産の賃貸がある。大阪の自社ビルの一部と、名古屋の賃貸住宅だ。賃料は年1億円に届かない。
売上の大半は国内だ。顧客は全国の中小の印刷会社や紙器の会社で、1社に頼る形ではない。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは細い。特殊紙の品ぞろえと即納の力は本物だが、それで値段を自分で決めるところまでは行かない。
仕入れ値は製紙会社が決める。値上げは卸の取り分を広げず、そのまま客に回すだけだ。普通の紙では、日本紙パルプ商事や国際紙パルプ商事のような大手が規模で勝つ。特殊紙でも、竹尾のような専門の卸が強い競争相手だ。
資本効率は低い。過去10年のROEの中央値は1.6%で、資本コストに遠く届かない。純資産の4割は取引先の株と現金で、本業には使われていない。在庫も37億円と重い。
経営は資本の重さを自覚している。中計で営業利益率を1.5%へ上げ、在庫を絞る目標を出した。ただ、ROE2.2%という目標そのものが、資本コストの4分の1ほどだ。
強みを一つ挙げるなら、色と手ざわりで選ばれる紙を、何千種類も切らさず持つ在庫の力だ。ただ、それは費用の重さの裏返しでもある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
紙の卸は、需要が縮む市場で戦っている。チラシ、カタログ、雑誌、本が電子に移り、印刷用の紙の国内出荷は毎年数%ずつ減っている。この流れは戻らない。物価が上がって企業が販促の予算を絞ると、真っ先に削られるのも印刷物だ。
残る需要もある。高級な化粧品や菓子の箱、書籍の装丁、推し活のグッズ、プラスチックの代わりの紙の包装だ。量は小さいが、色や手ざわりで選ばれる紙は値段が通りやすい。平和紙業が力を入れるのはここで、厚い特殊紙の売上は今も2桁で伸びている。
卸の役割も細っている。大手の印刷会社は製紙会社から直接買う。卸が残るのは、少量で多品種の注文を、在庫からすぐ届ける場面だ。
費用は上がる。運送費、倉庫、人件費はどれも物価以上に上がりやすい。製紙会社も工場を減らし、銘柄を絞っている。
10年の中立では、取扱量は2割ほど減り、値段は物価にやや遅れて上がると見る。卸の数は減り、統合の話も増えるだろう。
海外では、アジアの印刷会社や紙器の会社に日本の特殊紙を売る道がある。ただ、関税と為替で需要がぶれやすく、柱になるほどの大きさは無い。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。1株あたりの配当を据え置いて続け、総額は年1.1億円ほど。利益より配当が多い年が続いている。2025年11月には約1億円の自社株買いもした。
中計は安定配当を掲げ、自社株買いと増配を「検討する」とした。数字の約束は無い。
手元には取引先の株が40億円ある。会社はこれを持ち続けており、売って株主に戻す方針は出していない。手元の現金21億円も、短期の借入17億円と在庫の資金に使われている。
買収の側に回る話は無い。純資産の半分以下の値段で、現金と株を持つ会社なので、買われる側になる可能性は残る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強気の見方は、値段の安さと、特殊紙の伸びる用途に目を向ける。
時価総額は純資産の半分以下だ。取引先の株40億円と現金21億円だけで、時価総額を上回る。会社は資本コストを意識した対応を出し、自社株買いと増配を検討すると言い始めた。東証の圧力は続き、持ち合いの株を減らす流れは他社でも広がっている。持ち合いの株を売って還元に回せば、株主の取り分は一気に増える。
本業にも芽がある。化粧品や菓子の高級な箱に使う厚い特殊紙は2桁で伸びている。脱プラスチックで紙の包装は増える。技術紙も伸びる。少量で多品種を即納できる卸は限られ、紙の種類が減るほど在庫を持つ卸の価値は上がる。
中計どおり営業利益率が1.5%に乗り、名古屋と大阪の賃料が入れば、利益は今の3倍になる。さらに、現金と株を持つ低PBRの会社は、買収や経営陣による買い取りの的になりやすい。
配当も利益をほぼ全部払う形で続いており、持っている間の取り分はある。
慎重な見方
慎重な見方は、20年続く縮小と、稼がない資本を突く。
売上は2015/03期の205億円から158億円に減った。営業利益率が2%を超えた年は、2008年以降一度も無い。印刷用の紙の需要は毎年減り、卸を飛ばして製紙会社から直接買う客も増える。厚い特殊紙の伸びは本物でも、売上の1割強にすぎない。
値決めの力も無い。仕入れ値は製紙会社が決め、運送費と人件費は上がる。中計の営業利益率1.5%は、過去の最良に近い水準で、届く保証は無い。前の年にも、計画した利益を下方修正している。
持ち合いの株は、取引の関係を守るために持っている。売れば取引が細るので、会社は売らないだろう。そうであれば、40億円の株は年1億円の配当の価値しかない。
ROE2%の会社の純資産は、帳簿どおりの価値を持たない。PBRが低いのは、市場の見誤りではなく、稼ぐ力の正しい値段だ。
配当を利益以上に払い続ければ、いずれ減配か資産の取り崩しになる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。強気の見方の柱は、持ち合いの株を売って還元する、という会社の行動の変化だ。だが、その方針は数字で示されておらず、実績も無い。本業の利益率は20年近く1%台以下で、特殊紙の伸びはそれを変えるほど大きくない。確率は中立と慎重の側に寄せ、資産が動く可能性は強気の側と、事業の外の出来事として見ておく。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 218 円20 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 109 円10 億円)。 今の値に割り戻すと 169 円16 億円、今との差 −63.9%、 期待の年率 −3.5%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 483 円45 億円 | 162 円15 億円 | +38.2% | +3.3% | 39 円4 億円 |
| やや楽観 | 19% | 344 円32 億円 | 141 円13 億円 | +3.7% | +0.4% | 92 円9 億円 |
| 中立 | 40% | 241 円22 億円 | 124 円12 億円 | −21.8% | −2.4% | 146 円14 億円 |
| やや悲観 | 23% | 89 円8 億円 | 76 円7 億円 | −64.8% | −9.9% | 38 円3 億円 |
| 悲観 | 12% | 55 円5 億円 | 43 円4 億円 | −78.9% | −14.4% | 12 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 218 円20 億円 | 109 円10 億円 | −30.1% | −3.5% | 326 円30 億円 |
今の株価時価総額 467 円43 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 特殊紙と箱の紙が伸び、利益率2% 利益 4 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 483 円45 億円
化粧品や菓子の高級な箱、書籍の装丁、紙の包装が伸び、特殊紙の比率が上がる。普通の紙の減りは続くが、取扱量は10年で1割減にとどまる。
特殊紙は値段が通りやすく、平均の単価は物価をやや上回って4割上がる。在庫を絞る管理が効き、営業利益率は2%に乗る。大阪と名古屋の賃料も入る。
純利益は約3.8億円になり、ROEは3%台に上がる。それでも資本コストには届かない。配当は少しずつ増え、自社株買いも時々行う。
強気の筋書きでも、本業の稼ぎは純資産に比べて小さい。株主の取り分を大きく変えるのは、会社が持ち合いの株を売る決断をした時だけだ。
それでも、10年かけて利益の出る卸に戻った姿は、今の会社とは別物だ。
- 和洋紙卸売(不動産賃貸を含む):数量 35.6(取扱量(千トン、推定))× 価格 56(平均単価(万円/トン、推定))→ 売上 199 億円・営業利益 4 億円。取扱量−10%、単価+40%、利益率2%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.4% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 45 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:営業利益率2%は2008/03期以来届いていない。高級な箱と技術紙の伸び、値上げの浸透、賃料の上乗せがそろう必要があり、6%に抑えた。
やや楽観 19% 中計どおり利益率1.5% 利益 3 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 344 円32 億円
中計の施策がおおむね効く。新しい取引先と高い利益率の紙を増やし、販管費を抑える。取扱量は10年で15%減るが、単価は物価並みに上がる。
営業利益率は1.5%に乗り、営業利益は約2.7億円になる。賃料が年0.7億円ほど入り、持ち合いの株の配当も続く。純利益は約2.7億円で、ROEは2.5%ほどだ。
配当は今の水準から少し増える。自社株買いも小さく続ける。会社は小さな利益を確実に出す形に落ち着く。
それでも資本コストとの差は大きい。純資産の多くは、取引先の株と在庫に寝たままだ。
中計の数字を守ったこと自体は、経営への信頼を少し高める。ただ、株主の価値を大きく動かすほどではない。
- 和洋紙卸売(不動産賃貸を含む):数量 33.6(取扱量(千トン、推定))× 価格 54(平均単価(万円/トン、推定))→ 売上 181 億円・営業利益 3 億円。取扱量−15%、単価+35%、利益率1.5%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.5% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 32 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の2028年度の目標が利益率1.5%で、賃貸の本格化と在庫の圧縮という具体策がある。ただ過去12年で届いた年は2015/03期の1.8%だけで、2割弱に置いた。
中立 40% 紙は2割減り、利益率1% 利益 2 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 241 円22 億円
印刷用の紙の需要は減り続ける。特殊紙の伸びがそれを一部埋め、取扱量は10年で2割減る。単価は物価にやや遅れて3割上がる。
運送費と人件費は物価で上がる。値上げとの差は埋まらず、営業利益率は1%前後にとどまる。営業利益は約1.6億円で、持ち合いの株の配当と賃料が足され、純利益は約1.9億円になる。
配当は今の1株あたりの額を続け、利益のほぼ全部を配る。純資産は105億円ほどでほとんど増えず、ROEは2%に届かない。
事業は続くが、株主の価値はほとんど増えない。値段を支えるのは、配当と、いつか資産が動くかもしれないという期待だけになる。
持ち合いの株も賃貸の不動産も、会社の中にとどまり続ける。
- 和洋紙卸売(不動産賃貸を含む):数量 31.6(取扱量(千トン、推定))× 価格 52(平均単価(万円/トン、推定))→ 売上 164 億円・営業利益 2 億円。取扱量−20%、単価+30%、利益率1%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 1.8% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 22 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去10年の営業利益率は0.6〜1.8%で、売上は年2.5%ずつ減った。その延長に近い姿がいちばん起こりやすく、4割に置いた。
やや悲観 23% 卸の取り分が消え、本業は収支ゼロ 利益 0 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 89 円8 億円
電子化が進み、印刷用の紙は10年で3割減る。大手の印刷会社は製紙会社から直接買い、卸の出番が減る。特殊紙も客の予算が細り、伸びが止まる。
単価は物価に遅れ、運送費と倉庫と人件費だけが上がる。本業の営業利益はゼロ近くに沈む。持ち合いの株の配当で黒字は保つが、倉庫や在庫の評価損も出る。純利益は年0.3億円ほどだ。
配当は減らし、自社株買いは止まる。会社は存続するが、純資産はゆっくり目減りする。
残る価値は、取引先の株と不動産と、全国の顧客の網を誰かが買う時の値段だけになる。
在庫を絞る動きも、売れない紙の値下げ処分を伴い、利益をさらに削る。
- 和洋紙卸売(不動産賃貸を含む):数量 27.6(取扱量(千トン、推定))× 価格 50(平均単価(万円/トン、推定))→ 売上 138 億円・営業利益 0 億円。取扱量−30%、単価+25%、収支ゼロ
倍率:本業は稼がず、稼ぐ力では測れない。持ち合いの株と不動産は会社が持ち続け、少数の株主には届かない。今の自己資本102.5億円の0.08倍。
確率:2021/03期と2026/03期に営業利益率は0.1〜0.6%まで落ちた。運送費の上昇と取扱量の減りが重なれば本業の利益は消える。2割強に置いた。
悲観 12% 紙の卸が細り、赤字が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 55 円5 億円
構造的に負ける筋書きだ。印刷用の紙は10年で4割減り、特殊紙もデジタルの表現と安い輸入紙に押される。卸を通さない買い方が広がり、少量の即納という強みも生きる場面が減る。
単価は物価に大きく遅れ、運送費と人件費は上がる。営業損益は毎年赤字になり、倉庫と在庫の整理の損も出る。配当は大きく減る。
会社は持ち合いの株を少しずつ売って赤字を埋める。純資産は90億円を割り込む。
株主に残るのは、細った事業と、会社の外へ出てこない資産だ。誰かが会社ごと買う時にしか、その資産は株主に届かない。
紙の卸が業界で統合されれば、条件の悪い側として吸収される形になりやすい。
- 和洋紙卸売(不動産賃貸を含む):数量 23.7(取扱量(千トン、推定))× 価格 48(平均単価(万円/トン、推定))→ 売上 114 億円・営業利益 −2 億円。取扱量−40%、単価+20%、赤字
倍率:赤字が続き稼ぐ力は無い。売れる資産は持ち合いの株と不動産だが、会社が手放さず少数の株主に届く見込みは低い。今の自己資本102.5億円の0.05倍。
確率:20年で売上は4割減り、2013/03期と2021/03期に赤字があった。卸を飛ばす流れが速まれば赤字は続く。1割強に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
和洋紙卸売(不動産賃貸を含む)
特殊紙を主力に、和洋紙と紙加工品を仕入れて売る。大阪と名古屋の小さな賃貸を含む。
| 数量取扱量(千トン、推定) | 価格平均単価(万円/トン、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 39.5 | 40 | 158 | 1 |
| 10 年後 中立 | 31.6 | 52 | 164 | 2 |
取り方:取扱量の開示は無い。特殊紙と普通の紙の混ざった平均単価を1トン40万円と推定し、売上158億円から約3.95万トンと置いた。賃貸の売上0.3億円は同じ欄に含める。営業利益は全社の0.99億円。
リスクと懸念
印刷用の紙の需要の縮み
チラシ、カタログ、雑誌の電子化で、印刷用の紙は毎年数%ずつ減る。売上の半分近くは普通の紙と高級印刷紙で、この縮みを直接受ける。
卸を飛ばす流れ
大手の印刷会社やパッケージの会社は、製紙会社から直接買う。卸が残るのは少量で多品種の注文だけで、その場も細れば取扱量はさらに減る。
運送費と人件費
物流の人手不足で、運送費と倉庫の費用は物価以上に上がりやすい。粗利が2割の卸では、少しの費用の上昇で利益が消える。
持ち合いの株の値動き
取引先の株を40億円持つ。株価が下がれば純資産が減り、配当が減れば利益の半分が揺らぐ。売らない限り、株主に届くのは配当の分だけだ。
在庫の重さ
何千種類もの紙を少量ずつ在庫するのが強みだが、在庫は37億円ある。売れ残りが出れば評価損になり、資金も寝る。
今後の分かれ目
- 持ち合いの株を売る額と、その使い道を数字で出した
- 資産が株主に届く道が見える。株の価値を事業と別に足して見直す。
- 営業利益率が2期続けて1.5%を超えた
- 中計の施策が効いた合図だ。やや強気の筋書きの確率を上げる。
- 買収や経営陣による買い取りの提案が出た
- 純資産に近い値段がつく可能性がある。事業の稼ぎと別に、株主の取り分が決まる。
- 本業の営業損益が2期続けて赤字になった
- 卸の取り分が消える構造が見えた。慎重な筋書きの確率を上げる。
- 配当を利益に合わせて減らした
- 安定配当の方針が崩れた合図で、株主に戻る額の見通しを下げる。
見ておくもの
- 紙・板紙の国内出荷量
- 特殊紙(ファンシーペーパー・ファインボード)の売上の伸び
- 営業利益率と販管費
- 投資有価証券の残高と売却の有無
- 配当と自社株買いの額
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。中立のROEは2%弱で資本コスト8.5%に遠く、PERの上限は1÷kの約11.4倍で、その約7割の8倍に置いた。今の株価やPBR0.4倍、同業の値付けは倍率の根拠に使っていない。持ち合いの株は配当を利益に残すので価値を別に足さず、悲観の床の説明にだけ使った。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9→11.76 倍・やや楽観 PER 8.5→11.76 倍・中立 PER 8→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にquality +1.25%を足した8.75%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.50%。