結論
太洋物産は、牛肉・鶏肉・豚肉などの食肉と、緑豆・蕎麦などの農産物を輸入して売る専門商社だ。売上は 197 億円で、利ざやは売上の 4% に満たない。筆者の結論は「割高」。事業は堅いが、借入が 59 億円と自己資本 10 億円の 6 倍あり、金利が上がるほど株主の取り分が削られる。
食料部が柱で、サイゼリヤが売上の 15% を占める。もう 1 つの大口は中国の貿易会社で、2 割を超える。2 社で売上の 36% になり、顧客の偏りは大きい。
前期は売上が 5% 増えたが、営業利益は 7% 減った。円安で仕入れが膨らみ、売掛金が 9 億円増えて、営業のキャッシュは 5.6 億円の流出だった。配当は無配で、優待に年 0.4 億円を使っている。
財務の厚みが無いのが最大の弱点だ。自己資本比率は 12% で、金利が 1 ポイント上がるだけで、利息は 0.6 億円増える。純利益の半分近くだ。
10 年を見ると、物価で売上が増えても運転資金の借入が同じだけ増え、利ざやの率は変わらない。利息だけが重くなる構造だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「借金を前提に薄い利ざやを積み上げる事業に、長く持つ価値があるか」を問う。答えは、金利が上がる世界では厳しい、である。
商社の機能は残るが、堀は無い。値段は相場が決め、顧客は少数、人員は 31 人で、仕組みは小さく軽い。反面、取引の規模を増やすには借入を増やすしかない。
帳簿の自己資本は 10 億円あるが、稼ぐ力が資本コストを下回る会社の帳簿は、割安の根拠にならない。売掛金と在庫は事業を回すための資産で、売れる資産とは見ない。
筆者が評価するのは、無配を選んで財務を立て直そうとしている点だ。ただ、金利が上がる 10 年は、その努力を削る向かい風になる。
長く持ちたい事業ではない。値段に見合う安全域を見つけるのは難しい。
数字の上で自己資本が 10 億円あっても、そのうちの多くは売掛金と在庫に変わっている。回収の遅れや相場の下落で、簡単に目減りする。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、輸入した食品と農産物の売買で得る薄い利ざやだ。売上総利益率は 3.8%、営業利益率は 1% 台にとどまる。
部門は 4 つある。食料部は牛肉・鶏肉・豚肉・タイ産の加工食品を扱い、売上は 88 億円で最大。農産部は緑豆や蕎麦などで 28 億円、中国開拓部は中国向けの貿易で 60 億円、生活産業部は化学品などで 21 億円だ。
最大の販売先はサイゼリヤで、売上の 14.8%。外食チェーンの食材の調達を担う。もう 1 つの大口は北京の貿易会社で 21.5%。
従業員は提出会社で 31 人しかいない。連結子会社は無く、非連結子会社 1 社と関連会社 2 社を持つ。人を絞り、取引ごとの利ざやで稼ぐ商社だ。利ざやの率は部門で違い、食料部の 2.5% に対し、中国開拓部は 2% 前後にとどまる。
事業の資金は、金融機関からの短期借入で賄う。売上債権と在庫を持つ限り、借入は売上とともに増える。
商品は在庫として持つ期間が短い。売掛金の回収が遅れると、すぐに資金繰りに響く。取引先の与信管理が事業の生命線だ。
優良さと弱いところ
優良さは「低い」と見る。堀が無く、財務は薄く、顧客と仕入れの偏りが大きい。
商品は牛肉や鶏肉、農産物で、値段は海外の相場と為替で決まる。商社が値段を決められる範囲は小さく、売上総利益率は 4% 前後で頭打ちだ。会社は 4% 以上を目標にしたが、前期も届かなかった。
強みは、サイゼリヤのような外食チェーンに食材を安定して納める実績と、中国とのつながりだ。ただ、どちらも少数の顧客に依存し、取引が細ると売上が直接落ちる。
営業利益率は過去 12 年で最高でも 1.7%、赤字の年も 6 回ある。自己資本は 2016 年と 2020 年に一時マイナスだった。
財務の健全化が最大の経営課題で、会社も自己資本比率の改善を課題に挙げる。無配を続けて財務基盤の強化を優先している点は、評価できる。
人員が 31 人と少なく、1 人あたりの取扱高は大きい。効率の高さは長所だが、担当者の退職で取引が止まる危うさもある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
食肉の輸入は、世界の相場と為替、輸入の規制で動く市場だ。日本は牛肉も鶏肉も輸入に頼り、外食と中食の需要が数量を支える。ただ、人口が減る国内の食の量は横ばいから微減だ。
競合は、総合商社の食料部門や、専門商社、食肉の卸大手である。仕入れの規模では総合商社が優位に立つ。専門商社は、特定の産地や用途に絞って小さく稼ぐ。
追い風は、外食の回復と、輸入の鶏肉や豚肉の価格競争力だ。一方、円安が長引けば、仕入れ値が膨らむ。為替予約で一部を和らげても、完全には消せない。
家畜の疾病(鳥インフルエンザや豚熱)と輸入の規制は、数量を一気に止める。産地の事情で供給が途切れるリスクがある。
中国向けの貿易は、中国の景気と通商の摩擦に左右される。前期は中国開拓部の売上が 15% 減った。
筆者は、この領域は取引量の大きい総合商社と大手卸が有利で、小さな専門商社は顧客と産地の関係で生き残るが、利ざやは頭打ちだと見ている。
外食の食材調達は、価格より納期と品質の安定が評価される分野だ。ここに実績がある点が、数少ない強みになる。
資本政策と M&A
資本政策は守りだ。前期は無配で、財務基盤の強化を優先するとしている。配当の代わりに株主優待を続け、費用は前期で 0.36 億円だった。想定より増えた。
優待は株主への還元で、年 0.36 億円は純利益 1.5 億円の 4 分の 1 にあたる。10 年続けば 3.6 億円になるので、還元の額に入れて数える。
借入は 59 億円ほどで、ほとんどが短期借入だ。前期は短期借入が 4.9 億円増えた。支払利息は 0.77 億円で、営業利益 2.5 億円の 3 割にあたる。
金融機関の融資姿勢が変われば、必要な額を調達できなくなるリスクを、会社自身が挙げている。
リースの記載は無く、事業の資産は在庫と売掛金が中心だ。TOB や再編の可能性は小さくないが、価値の評価には使わない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
食料部は着実に伸びている。前期は売上が 22% 増え、利益も 13% 増えた。サイゼリヤのような外食チェーンの調達を担う関係は、簡単に他社へ移らない。
会社が掲げる売上総利益率 4% は、取扱品目を絞れば手が届く。品目の取捨選択と、越境 EC や海外のラーメンブランドなど新しい事業が、利ざやを押し上げる。
物価が上がれば、食材の売値も上がり、売上が膨らむ。利ざやの率が同じなら、利益も名目で増える。金利が上がっても、運転資金の金利は売値に転嫁できる範囲がある。
今期は売上 251 億円、営業利益 3 億円を見込む。達成すれば、無配のまま自己資本は積み上がり、財務の傷は癒える。
食料部の利益率は 2.5% で、他の部門より高い。この部門の比率が上がれば、全体の利ざやも厚くなる。
自己資本比率が上がれば、借入の条件も改善し、金融機関との関係も良くなる。10 年の中立でも、利益は今の 2 倍に届く余地がある。
慎重な見方
利ざやは売上の 1% 台しか無く、わずかな相場の変動と為替で消える。前期も売上は増えたのに営業利益は減った。
借入は 59 億円で、自己資本は 10 億円。借り換えのたびに金利が上がれば、利息だけで営業利益の大半が消える。物価で売上が膨らむと、運転資金の借入もそれ以上に膨らむ。
顧客は偏る。2 社で売上の 36% を占め、1 社が離れれば数字が落ちる。中国向けは通商の摩擦のリスクがある。為替で仕入れ値が変われば、売値に転嫁しきれない。
営業のキャッシュは 5.6 億円の流出だった。売掛金の増加が重く、利益が出ても現金は増えない。
家畜疾病や輸入規制で供給が止まる。担当者が 31 人しかいない会社に、危機への対応の余力は小さい。これまでの 12 年、利益を積み上げて財務を直した実績は無い。
会社の掲げる売上総利益率 4% 以上の目標も、何年も届いていない。目標が毎年先送りされる点が、計画への信頼を下げる。
どちらに重みを置いたか
需要と顧客の安定を評価しつつ、借入の重さと金利の上昇を重く見た。確率は中立に厚く、やや悲観と悲観で 42% を置いた。
楽観は、売上総利益率 4% が達成され、財務が立ち直る筋書きで 6% にとどめた。金利が上がる 10 年で、利ざやの薄い事業が株主に残せる利益は、今より小さいとみる。
優待の費用が利益の 4 分の 1 を占める点も、株主にとっては実質の還元だが、事業の余裕を削る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した株価時価総額 327 円6 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 176 円3 億円)。 今の値に割り戻すと 239 円5 億円、今との差 −75.0%、 期待の年率 −6.2%(資本コスト 9.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 999 円19 億円 | 310 円6 億円 | +36.8% | +3.2% | 79 円2 億円 |
| やや楽観 | 16% | 595 円12 億円 | 238 円5 億円 | −13.0% | −1.4% | 133 円3 億円 |
| 中立 | 36% | 337 円7 億円 | 186 円4 億円 | −45.3% | −5.9% | 188 円4 億円 |
| やや悲観 | 28% | 156 円3 億円 | 140 円3 億円 | −69.1% | −11.1% | 83 円2 億円 |
| 悲観 | 14% | 51 円1 億円 | 93 円2 億円 | −84.9% | −17.2% | 20 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 327 円6 億円 | 176 円3 億円 | −47.4% | −6.2% | 503 円10 億円 |
今の株価時価総額 957 円19 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 売上総利益率 4% が実現し、財務が立ち直る 利益 2 億円 · PER 10.3 倍 · 株価時価総額 999 円19 億円
食料部が外食チェーンの調達で取引を広げ、取扱高は 1.3 倍になる。品目の取捨選択が進み、売上総利益率は 4% に届く。
価格は物価並みの 1.34 倍で、売上は 315 億円ほどになる。営業利益率は 1.8% と、過去の最高をわずかに超える。
運転資金の借入は売上とともに増えるが、利益の積み上がりで自己資本比率は 2 割に戻る。配当を再開し、優待と合わせて 10 年で 6 億円ほど還元する。
中国向けは横ばいで、顧客の偏りは少し薄まる。会社の越境 EC などの新しい事業が、小さく上乗せされる。
- 食料部(牛肉・鶏肉・豚肉・加工食品):数量 1.3(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 118(今の売上(億円、名目))→ 売上 153 億円・営業利益 5 億円。規模 1.30 倍・価格 1.34 倍、利益率 3%
- 農産部(緑豆・蕎麦など):数量 1.0(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 37(今の売上(億円、名目))→ 売上 37 億円・営業利益 1 億円。規模 1.00 倍・価格 1.34 倍、利益率 2%
- 中国開拓部(中国向けの貿易):数量 1.0(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 80(今の売上(億円、名目))→ 売上 80 億円・営業利益 2 億円。規模 1.00 倍・価格 1.34 倍、利益率 2.4%
- 生活産業部(化学品など):数量 1.6(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 28(今の売上(億円、名目))→ 売上 45 億円・営業利益 1 億円。規模 1.60 倍・価格 1.34 倍、利益率 1.5%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.9% が k 9.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 10.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.3 倍。全体の PER 10.3 倍、時価総額 17 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:外食の調達と品目の整理が実り、利ざやが厚くなる筋書き。12 年で営業利益率が 1.7% を超えた実績が無いので 6% にとどめた。
やや楽観 16% 食料部が伸び、利ざやは小さく改善する 利益 1 億円 · PER 10.3 倍 · 株価時価総額 595 円12 億円
食料部は取扱高が 1.15 倍に伸び、価格は物価並み。農産部と中国向けは細り、生活産業部は小さく伸びる。
営業利益率は 1.5% に上がる。本社費は物価で増え、利益の伸びを抑える。借入は売上とともに増え、利息が営業利益の半分近くを持っていく。
自己資本は 16 億円ほどに積み上がり、優待を続けながら小さな配当を再開する。
中国向けは通商の摩擦を避けながら小さく縮み、顧客の偏りは少し薄まる。
外食チェーンとの関係が厚くなる一方、顧客の偏りは変わらない。
優待は続き、10 年で 3.6 億円に小さな配当を加えた額を還元する。借入の金利負担は重いままで、財務の改善は緩やかだ。
- 食料部(牛肉・鶏肉・豚肉・加工食品):数量 1.2(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 118(今の売上(億円、名目))→ 売上 136 億円・営業利益 4 億円。規模 1.15 倍・価格 1.34 倍、利益率 2.8%
- 農産部(緑豆・蕎麦など):数量 1.0(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 37(今の売上(億円、名目))→ 売上 35 億円・営業利益 1 億円。規模 0.95 倍・価格 1.34 倍、利益率 1.9%
- 中国開拓部(中国向けの貿易):数量 0.9(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 80(今の売上(億円、名目))→ 売上 74 億円・営業利益 2 億円。規模 0.92 倍・価格 1.34 倍、利益率 2.2%
- 生活産業部(化学品など):数量 1.3(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 28(今の売上(億円、名目))→ 売上 36 億円・営業利益 1 億円。規模 1.30 倍・価格 1.34 倍、利益率 1.4%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.9% が k 9.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.3 倍。全体の PER 10.26 倍、時価総額 10 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:食料部の伸びと利ざやの小さな改善が重なる筋書き。16%。
中立 36% 売上は伸びるが、利息が利ざやを食い、薄い黒字 利益 1 億円 · PER 10.3 倍 · 株価時価総額 337 円7 億円
取扱高は部門ごとに分かれる。食料部は横ばい、農産部は 1 割減、中国向けは 15% 減、生活産業部は 1 割増。価格は物価並みの 1.34 倍で、売上は 245 億円ほどになる。
営業利益率は 1.2% 前後を保つ。本社費は物価で増え、利ざやの薄さは変わらない。
借入は売上とともに 70 億円台まで増え、借り換えの金利で利息が 2.4 億円ほどに膨らむ。営業利益はほぼ利息に消え、純利益は 0.6 億円ほどにとどまる。
優待は続き、10 年で 3.6 億円を株主に渡す。配当は出さず、自己資本は 13 億円ほどにとどまる。
- 食料部(牛肉・鶏肉・豚肉・加工食品):数量 1.0(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 118(今の売上(億円、名目))→ 売上 118 億円・営業利益 3 億円。規模 1.00 倍・価格 1.34 倍、利益率 2.5%
- 農産部(緑豆・蕎麦など):数量 0.9(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 37(今の売上(億円、名目))→ 売上 33 億円・営業利益 1 億円。規模 0.90 倍・価格 1.34 倍、利益率 1.7%
- 中国開拓部(中国向けの貿易):数量 0.9(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 80(今の売上(億円、名目))→ 売上 68 億円・営業利益 1 億円。規模 0.85 倍・価格 1.34 倍、利益率 2.07%
- 生活産業部(化学品など):数量 1.1(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 28(今の売上(億円、名目))→ 売上 31 億円・営業利益 0 億円。規模 1.10 倍・価格 1.34 倍、利益率 1.25%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.7% が k 9.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.3 倍。全体の PER 10.26 倍、時価総額 6 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:取扱高は横ばいで、金利の上昇が利益を削る標準の姿。確率の中心。
やや悲観 28% 金利と相場に挟まれ、赤字すれすれが続く 利益 −1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 156 円3 億円
取扱高は部門ごとに 1 割から 3 割減り、価格は物価に届かず 1.25 倍にとどまる。
営業利益率は 0.8% 台に落ち、営業利益はほぼ本社費に消える。借入の金利は 3.5% 前後になり、利息が営業利益を上回る。
純損益は赤字になる年が増える。優待は 25% 減らして続け、10 年で 2.7 億円ほどを株主に渡す。
金融機関は融資に慎重になり、運転資金が絞られる。取扱高の減りが固定費の重さを増す。
食料部でも利ざやが縮み、外食チェーンの値下げ要求に押される。人員の整理も進まず、固定費の重さが残る。
- 食料部(牛肉・鶏肉・豚肉・加工食品):数量 0.9(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 110(今の売上(億円、名目))→ 売上 99 億円・営業利益 2 億円。規模 0.90 倍・価格 1.25 倍、利益率 1.8%
- 農産部(緑豆・蕎麦など):数量 0.8(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 35(今の売上(億円、名目))→ 売上 28 億円・営業利益 0 億円。規模 0.80 倍・価格 1.25 倍、利益率 1.2%
- 中国開拓部(中国向けの貿易):数量 0.7(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 75(今の売上(億円、名目))→ 売上 49 億円・営業利益 1 億円。規模 0.65 倍・価格 1.25 倍、利益率 1.6%
- 生活産業部(化学品など):数量 0.9(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 26(今の売上(億円、名目))→ 売上 23 億円・営業利益 0 億円。規模 0.90 倍・価格 1.25 倍、利益率 0.8%
倍率:純利益は赤字で稼ぐ力に値が付かない。今の自己資本 9.9 億円に PBR 0.3 倍を掛け、売れる資産の税後を床とした。EV ÷ 営業利益は赤字に近く意味を持たないので、売れる資産を主に見た。
確率:金利の上昇と円安で利ざやが削られる筋書き。実績に近い姿として 28%。
悲観 14% 大口の顧客を失い、借入に飲まれる 利益 −2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 51 円1 億円
サイゼリヤか中国の大口の取引が細り、取扱高は 4 割前後減る。価格は 1.10 倍にとどまる。
営業利益は赤字になり、利息の負担が重なる。金融機関が融資を絞り、運転資金が回らなくなる。
在庫と売掛金の整理で損失が出て、自己資本はほぼ消える。優待は半分に減らす。
大口の顧客を失った穴は、新しい取引では埋まらない。運転資金の縮小で借入は減るが、自己資本はそれ以上に目減りする。
株主の取り分は、持っている売掛金と在庫の回収で決まる。
取引先が離れた分の運転資金は戻るが、回収の損失が自己資本を削る。残るのは小さな事業の骨組みだけだ。
- 食料部(牛肉・鶏肉・豚肉・加工食品):数量 0.6(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 97(今の売上(億円、名目))→ 売上 58 億円・営業利益 0 億円。規模 0.60 倍・価格 1.10 倍、利益率 0.8%
- 農産部(緑豆・蕎麦など):数量 0.5(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 31(今の売上(億円、名目))→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。規模 0.50 倍・価格 1.10 倍、利益率 0.5%
- 中国開拓部(中国向けの貿易):数量 0.4(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 66(今の売上(億円、名目))→ 売上 23 億円・営業利益 0 億円。規模 0.35 倍・価格 1.10 倍、利益率 0.7%
- 生活産業部(化学品など):数量 0.6(取扱高の規模(実質、今を 1))× 価格 23(今の売上(億円、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。規模 0.60 倍・価格 1.10 倍、利益率 0.3%
倍率:構造的に負けた姿。純損失で稼ぐ力に値が付かず、売れる資産が床になる。今の自己資本 9.9 億円に PBR 0.1 倍。
確率:構造的に負ける筋書き。大口 2 社の離脱と融資の縮小で縮む。14%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
食料部(牛肉・鶏肉・豚肉・加工食品)
外食チェーンなどに食肉と加工食品を納める。サイゼリヤが売上の約 15%。
| 数量取扱高の規模(実質、今を 1) | 価格今の売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 1.0 | 88 | 88 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 118 | 118 | 3 |
取り方:売上 88.10 億円・セグメント利益 2.21 億円(有報)。数量が開示されず、取扱高の規模を今を 1 とする指数で置いた(推定)。
農産部(緑豆・蕎麦など)
緑豆・蕎麦などの農産物を輸入して売る。
| 数量取扱高の規模(実質、今を 1) | 価格今の売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 1.0 | 28 | 28 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.9 | 37 | 33 | 1 |
取り方:売上 27.74 億円・セグメント利益 0.47 億円(有報)。数量が開示されず、取扱高の規模を今を 1 とする指数で置いた(推定)。
中国開拓部(中国向けの貿易)
中国向けの輸出入。北京の貿易会社が売上の 21.5%。
| 数量取扱高の規模(実質、今を 1) | 価格今の売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 1.0 | 60 | 60 | 1 |
| 10 年後 中立 | 0.9 | 80 | 68 | 1 |
取り方:売上 59.94 億円・セグメント利益 1.24 億円(有報)。数量が開示されず、取扱高の規模を今を 1 とする指数で置いた(推定)。
生活産業部(化学品など)
化学品などの輸出入と国内取引。
| 数量取扱高の規模(実質、今を 1) | 価格今の売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 1.0 | 21 | 21 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.1 | 28 | 31 | 0 |
取り方:売上 20.83 億円・セグメント利益 0.26 億円(有報)。数量が開示されず、取扱高の規模を今を 1 とする指数で置いた(推定)。
リスクと懸念
金利の上昇
借入は 59 億円で、ほとんどが短期。借り換えで金利が 3.5% 前後になれば、利息は営業利益の大半を超える。売上とともに運転資金の借入も増える。
顧客の偏り
サイゼリヤが 14.8%、北京の貿易会社が 21.5%。2 社で売上の 36% を占め、1 社を失うと数字が大きく落ちる。
相場と為替
食肉と農産物の値段は海外の相場と円安で決まる。為替予約で和らげても、完全には消せず、利ざやが先に削られる。
家畜疾病と輸入規制
鳥インフルエンザや豚熱などで輸入が止まれば、供給が途切れ数量が急に落ちる。担当者が 31 人しかおらず、対応の余力が小さい。
融資姿勢の変化
事業資金の大半を金融機関からの短期借入に頼る。融資の姿勢が変われば、資金が回らなくなる。自己資本比率は 12% と低い。
中国向けの通商リスク
中国開拓部は売上の 3 割を占める。中国景気や通商の摩擦で、売上が前期のように 15% 減る恐れがある。
今後の分かれ目
- 売上総利益率が 4% に届いたら
- 利ざやの改善とみて、楽観・やや楽観の確率を引き上げる。
- 自己資本比率が 20% に近づいたら
- 財務の立て直しが進んだとみて、中立の倍率を上げる。
- 大口の顧客のどちらかが取引を減らしたら
- 売上の落ち込みとみて、やや悲観・悲観を引き上げる。
- 支払利息が年 1.5 億円を超えたら
- 利息が利益を食い始めたとみて、中立の純利益を下げる。
- 配当を再開したら
- 財務に余裕が出たとみて、還元の額を上げる。
見ておくもの
- 売上総利益率
- 自己資本比率
- 支払利息と借入残高
- 主な販売先 2 社の構成比
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。ROE が k 9.75% を下回る筋書きは、PER の上限が 1÷k = 10.3 倍で、利息に左右される薄い黒字の会社なので中立は 7.8 割の 8.0 倍にとどめた。悲観側は純現金ではなく売れる資産の税後を床にした。今の株価・過去の倍率は使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9→10.3 倍・やや楽観 PER 8.5→10.26 倍・中立 PER 8→10.26 倍)。
資本コスト 9.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 2.25% = 9.75%。個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表す。