結論
高島は、建材・産業資材・電子部品を扱う専門商社だ。売上は約 900 億円で、うち建材が 6 割強を占める。営業利益は約 21 億円と、売上の 2% ほどしか残らない。
筆者の結論は「割高」だ。いちばんの理由は、稼ぐ力が資本コストにわずかに届かないこと。ROE は過去 10 年の中央値で 7% 台、直近は 5% 台まで落ちた。それなのに、利益のほぼ全部を配当に回している。
会社は 2028 年度に営業利益 30 億円、ROE 8% 以上を掲げる。建築の請負機能を強め、グループの加工・施工の力で元請けに近づき、産業資材の工場の稼働を上げる筋書きだ。方向は妥当だが、利益が 12 年間ほぼ横ばいだった会社の目標としては高い。
今期は不運が重なった。出資先 DG Takashima の事業が行き詰まり、貸付金の一部が不正に流れた。連結で約 7 億円の損失が出た。投資の目利きと管理の甘さを示す出来事で、100 億円の戦略投資にも影が差す。
筆者は、10 年後の中立を営業利益 27 億円ほどと見る。計画の 30 億円には届かない。10 年の筋書きを確率で重みづけした本質価値は、今の時価総額を 3 割ほど下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点でまず見るのは、株主の手元に残る利益だ。高島は、利益が薄いうえに、ほぼ全部を配っている。
営業利益は売上の 2% ほど。そこから税を払い、残った利益を配当にほぼ使い切る。自己資本は増えない。ROE が資本コストに届かない会社が、利益を配って資本を増やさないのは、悪くない選択だ。ただ、そのぶん成長は投資と借入に頼る。
次に資本の使い方を見る。DG Takashima への出資と貸付は、結果として損失になった。M&A の目利きが問われる。サンワシステムや ASF が同じ轍を踏まないか、見極めが要る。
安全域はどうか。今の時価総額は自己資本の 1.2 倍ほど。ROE が 5% 台の会社に、この値段は安全域が厚いとは言えない。
10 年後も存在し、今より強いか。筆者の答えは「存在する。ただ、強くなると言い切れない」だ。確信を持てない事業には、安全域を厚くとる。
何で稼ぐ会社か
高島は、メーカーと現場の間に立ち、資材を調べて、組み合わせて、納めるのが仕事だ。3 つの事業がある。
1 つ目は建材。売上の 64% を占める本業だ。壁材・基礎杭・断熱材・太陽光パネルの資材などを、住宅や非住宅の建築現場に売る。企画から設計、施工まで受ける。全国に販売網を持つが、利益率は 3% 弱と薄い。
2 つ目は産業資材。売上の 2 割で、利益率は 7% 近い。樹脂の材料と成形品、鉄道車両の部材、産業用の繊維、LED の工事などを扱う。防衛省向けの繊維や、車・電子機器向けの樹脂が伸びている。グループにメーカーを持つので、売るだけでなく作る利益も取る。
3 つ目は電子・デバイス。売上の 16%。メーカーから電子部品を仕入れて売る事業と、タイとベトナムの自社工場で基板を実装する事業がある。アジアに 11 の拠点を持つ。国内の白物家電では、中国勢にシェアを奪われている。
売り先は分散している。売上の 1 割を超える取引先は無い。売上の約 86% は国内だ。
仕入れ先は、壁材・断熱材・樹脂・電子部品のメーカーで、仕入高は年 780 億円ほどに上る。仕入れて売るだけでなく、グループの工場で加工し、物流と施工まで束ねて納める。ここが、単純な右から左の卸との違いだ。
優良さと弱いところ
事業の質は「普通」から「やや弱い」だ。
強みは、現場に近い提案力と、複数の機能を組み合わせる力だ。資材を納めるだけでなく、加工や物流や施工まで自社のグループで引き受けられる。売り先も分散し、特定の顧客に頼らない。自己資本比率は 4 割で、純有利子負債もほぼ無く、財務は安定している。
弱みは、値決め力と利益率だ。仕入れた資材に上乗せできる幅は小さく、粗利は 1 割前後。人件費や物流費の上昇を、販売価格に十分転嫁できない恐れがある。営業利益率は過去 12 年、2% 前後から動いていない。
資本効率も弱い。会社自身が、ROE と ROIC が資本コストを下回ると認めている。2025 年度の純利益は、投資有価証券の売却益 8 億円ほどに支えられた。本業の稼ぎだけなら、もっと低かった。
ガバナンスには傷がある。DG Takashima の件では、貸付金の一部が関係会社へ不正に流出した。外部の相手を見抜く力と、貸したあとの管理が足りなかった。再発防止の中身が、今後の評価を左右する。
堀、つまり他社がまねできない強みと呼べるものは、産業資材の一部のメーカー機能くらいで、強い堀とは言えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の建材は、新築が減り、改修と非住宅が支える構図だ。
国土交通省の見通しで、2025 年度の建設投資は約 75.6 兆円、前年度比 3.2% 増。名目では伸びているが、これは資材と人件費の値上がりが大きい。新設住宅の着工は人口減で細る。2009 年度には、前年比で約 3 割減った実例がある。
建材商社は、地域ごとに分かれた競争だ。同業にはジャパン建材を持つ JK ホールディングス、ヨンキュウ、コンドーテックなどがいる。寡占ではなく、価格を決める力は弱い。メーカーの直販やネット通販が、中抜きの脅威になる。
産業資材は、需要の顔ぶれが多い。防衛、車、電子機器、鉄道、医療、リサイクルなど。景気の山谷は建材より小さい。
電子部品は、国内の民生機器の生産が海外に移り、顧客の需要が細る。一方、ASEAN に自社工場を持つ強みは、外資系メーカーへの拡販に使える。
人手不足と物流費の上昇は全体に響く。転嫁できる会社とできない会社の差が、利益率の差になる。高島は、グループの加工・施工まで束ねることで、その差をつけに行く。
資本政策と M&A
資本政策の特徴は、利益を超える勢いの還元と、積極的な投資の両立を掲げることだ。
今期の配当性向は 100% を超えた。来期の予想も配当性向は 98% と高く、前期から小幅に増やす。2024〜2025 年度は、配当性向 80% 以上・総還元性向 100% を時限で実施した。新しい計画は、累進配当、つまり減らさない配当と、機動的な自社株買いを続ける。
投資は、3 年で 100 億円の枠を置く。直近はサンワシステム(産業用太陽光の施工)の買収と、ASF(EV 関連)への出資だ。前の計画の 150 億円の成長枠には、DG Takashima の設立とサンワホールディングスの子会社化が含まれた。
政策保有株は、純資産の 10% 未満へ減らす方針で、売却益が出ている。持ち合い株の配当は利益に入っているので、売っても価値は別に足さない。
筆者は、利益のほぼ全部を配ったうえで投資も借入で賄うのは、バランスが危ういと見る。配当を守れば、投資の余力は小さくなる。
株主構成では、取引先の持株会が約 12.6% を持つ。2026 年 7 月には、別の個人の大口保有が 5% を超えたと報告された。TOB の動きは見えない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社は変わり始めている。建材は営業領域を広げ、元請けに近づく。加工と物流と施工をグループで持つ会社は少なく、一括で請ける案件が増えれば、粗利が厚くなる。
産業資材は、すでに結果が出ている。今期は利益が 3 割増え、利益率は 7% 近い。防衛、車、医療、リサイクルと需要が分かれ、工場の稼働が上がった。電子・デバイスも、ASEAN の工場と外資系への拡販で、再び伸びる余地がある。
今期の悪化は、DG Takashima の損失と為替差損という、一過性が大きい。損失が出尽くせば、営業利益は来期に 23 億円、2028 年度に 30 億円まで届く。売上が 1,100 億円に伸びる計画は、買収を含めて手が届く水準だ。
財務も堅い。自己資本比率は 4 割で、純有利子負債はほぼ無い。累進配当は下限になり、売却益の出る政策保有株の縮減も進む。資本効率の改善を、経営が明言していることも大きい。
産業資材の改善は、偶然ではない。グループの工場の稼働を上げ、売るだけでなく作る利益を取る形に変えた結果だ。同じ型を建材の加工・施工に広げれば、利益率が上がる余地がある。
慎重な見方
利益は 12 年間、14〜21 億円の範囲から出ていない。営業利益率は 2% 前後で動かない。計画の 30 億円は、その範囲を大きく超えるが、実績は一度も無い。
建材は、人口減で新築が細る。基礎関連の工事は低調で、今期は減益だった。人件費と物流費は上がり続け、価格転嫁には限りがある。中抜きの脅威も強まる。
電子・デバイスは、中国勢の台頭で国内の白物家電の需要を失っている。今期は利益が 35% 減った。
資本の使い方も不安だ。DG Takashima では、出資と貸付が損失に変わり、不正な資金流出まで起きた。100 億円の戦略投資が、同じ結果にならない保証は無い。配当は利益をほぼ使い切るので、投資は借入に頼る。金利が上がる世界で、利払いが利益を食う。
自社株買いは、割高なうちは株主の価値を損なう。ROE が 5% 台の会社が、自己資本の 1.2 倍の値段で自社株を買うのは、資本の効率を下げる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方のほうが強い。理由は三つ。第一に、利益が 12 年横ばいで、計画の 30 億円に前例が無い。第二に、資本配分の失敗が、今期はっきり出た。第三に、利益のほぼ全部を配るので、成長を借入で賄う構造が、金利上昇に弱い。
強気の見方にも確かな材料がある。産業資材の改善と、財務の堅さは評価できる。そこで悲観の確率は 12% にとどめた。
確率は、中立を 40%、やや悲観を 27%、悲観を 12% に置いた。楽観は 5%、やや楽観は 16%。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 656 円224 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 443 円151 億円)。 今の値に割り戻すと 616 円210 億円、今との差 −21.0%、 期待の年率 +3.5%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 1,496 円511 億円 | 703 円240 億円 | +182.0% | +10.9% | 110 円38 億円 |
| やや楽観 | 16% | 1,160 円396 億円 | 601 円205 億円 | +125.6% | +8.5% | 282 円96 億円 |
| 中立 | 40% | 727 円248 億円 | 498 円170 億円 | +57.0% | +4.6% | 490 円167 億円 |
| やや悲観 | 27% | 283 円97 億円 | 352 円120 億円 | −18.7% | −2.0% | 171 円58 億円 |
| 悲観 | 12% | 237 円81 億円 | 146 円50 億円 | −50.8% | −6.8% | 46 円16 億円 |
| 加重平均 | 100% | 656 円224 億円 | 443 円151 億円 | +40.9% | +3.5% | 1,099 円375 億円 |
今の株価時価総額 780 円266 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 5% 楽観:元請け化と産業資材が育ち、計画を超える 利益 33 億円 · PER 15.5 倍 · 株価時価総額 1,496 円511 億円
建材は元請けに近い案件が増え、取扱高は今の 1.25 倍。人手不足による工事単価の上昇を転嫁でき、価格は 1.32 倍。利益率は 3.5% に上がる。
産業資材は防衛・医療・リサイクルで伸び、取扱高は 1.3 倍、価格は 1.38 倍。電子・デバイスは ASEAN の工場と外資系への販売が伸びて、利益率は 4%。
営業利益は 46 億円前後で、計画の 30 億円を超える。全社費用は物価で増えるが、売上の伸びで薄まる。純利益は 33 億円、ROE は 13% 台に乗る。
配当は累進を守りつつ増える。買収した会社の利益が積み上がり、戦略投資の 100 億円が計画どおり収益に変わる筋書きだ。DG Takashima のような失敗は、この 10 年で繰り返さない。
- 建材:数量 730(取扱高(実質・今の値段の億円)=国内建設投資 × 当社シェア)× 価格 1.32(建材の販売価格指数(今=1.0。名目))→ 売上 964 億円・営業利益 34 億円。取扱高 1.25 倍、価格 1.32 倍。利益率 3.5%
- 産業資材:数量 234(取扱高(実質・今の値段の億円))× 価格 1.38(産業資材の販売価格指数(今=1.0。名目))→ 売上 322 億円・営業利益 23 億円。取扱高 1.3 倍、価格 1.38 倍。利益率 7%
- 電子・デバイス:数量 172(取扱高(実質・今の値段の億円))× 価格 1.20(電子部品の販売価格指数(今=1.0。名目))→ 売上 206 億円・営業利益 8 億円。取扱高 1.2 倍、価格 1.20 倍。利益率 4%
倍率:事業の純利益 33 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.1% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.5 倍。全体の PER 15.48 倍、時価総額 511 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:計画の達成に加え、買収が実を結び、産業資材が伸び続ける必要がある。12 年の実績に例が無いので 5% にとどめた。
やや楽観 16% やや楽観:計画に近い水準まで届く 利益 27 億円 · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 1,160 円396 億円
建材は取扱高が今の 1.17 倍、価格は 1.29 倍。利益率は 3.3% に上がる。産業資材は取扱高 1.2 倍、価格 1.34 倍で、利益率は 6.8%。電子・デバイスは、取扱高が 1.1 倍に戻る。
営業利益は 37 億円前後。会社の 2028 年度の目標 30 億円を、10 年かけて上回る水準だ。純利益は 27 億円、ROE は 11% 台。
戦略投資の大半が黒字化し、DG Takashima の損失は一度きりで終わる。ただ、人件費と物流費の上昇を完全には転嫁できず、利益率は楽観ほど上がらない。
- 建材:数量 684(取扱高(実質・今の値段の億円)=国内建設投資 × 当社シェア)× 価格 1.29(建材の販売価格指数(今=1.0。名目))→ 売上 882 億円・営業利益 29 億円。取扱高 1.17 倍、価格 1.29 倍。利益率 3.3%
- 産業資材:数量 216(取扱高(実質・今の値段の億円))× 価格 1.34(産業資材の販売価格指数(今=1.0。名目))→ 売上 289 億円・営業利益 20 億円。取扱高 1.2 倍、価格 1.34 倍。利益率 6.8%
- 電子・デバイス:数量 157(取扱高(実質・今の値段の億円))× 価格 1.17(電子部品の販売価格指数(今=1.0。名目))→ 売上 184 億円・営業利益 6 億円。取扱高 1.1 倍、価格 1.17 倍。利益率 3.5%
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.2% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.7 倍。全体の PER 14.66 倍、時価総額 396 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:産業資材の改善と建材の請負機能の強化が、計画の 8 割ほどまで届く可能性は十分ある。ただ過去の例が無いので 16% とした。
中立 40% 中立:営業利益 27 億円まで戻り、そこで頭打ち 利益 19 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 727 円248 億円
建材は新築が減り、改修と非住宅がそれを支える。買収で元請けの案件が増え、取扱高は今の 1.1 倍。価格は、相場が物価に連動しにくく、競争で転嫁が限られるので 1.25 倍にとどまる。利益率は 3.0% を保つ。
産業資材は防衛・医療・リサイクルで取扱高が 1.1 倍、価格 1.30 倍。利益率は 6.0% へ、今の 6.8% から下がる。電子・デバイスは、国内の家電の縮小を ASEAN が埋め、取扱高は横ばい。
営業利益は 27 億円前後。全社費用は物価で増えて 17.5 億円になる。純利益は 19 億円。配当は累進を守り、自己資本はほぼ今の水準で、ROE は 8% 前後にとどまる。
- 建材:数量 643(取扱高(実質・今の値段の億円)=国内建設投資 × 当社シェア)× 価格 1.25(建材の販売価格指数(今=1.0。名目))→ 売上 803 億円・営業利益 24 億円。取扱高 1.1 倍、価格 1.25 倍。利益率 3%
- 産業資材:数量 198(取扱高(実質・今の値段の億円))× 価格 1.30(産業資材の販売価格指数(今=1.0。名目))→ 売上 257 億円・営業利益 15 億円。取扱高 1.1 倍、価格 1.30 倍。利益率 6%
- 電子・デバイス:数量 143(取扱高(実質・今の値段の億円))× 価格 1.15(電子部品の販売価格指数(今=1.0。名目))→ 売上 164 億円・営業利益 5 億円。取扱高横ばい、価格 1.15 倍。利益率 3%
倍率:事業の純利益 19 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.0% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 7.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.1 倍。全体の PER 13.06 倍、時価総額 248 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:強気と慎重の議論の落としどころ。会社の計画 30 億円の 9 割に届かず、ここ 12 年の最高の営業利益率 2.3% の範囲に収まる。利益が 12 年横ばいだった実績と、投資の失敗の履歴を考え、中立に厚く 40% を置いた。
やや悲観 27% やや悲観:新築の減少と人件費の上昇で利益が細る 利益 8 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 283 円97 億円
新築が人口減で細り、建材の取扱高は今の 0.88 倍。価格は費用の上昇に届かず 1.12 倍。利益率は 2.4% に下がる。産業資材は取扱高が横ばいで、価格は 1.2 倍。利益率は 5%。電子・デバイスは中国勢にシェアを奪われ、取扱高は 0.85 倍。
営業利益は 11 億円前後。配当は累進を維持できず、引き下げに向かう。純利益は 8 億円。
電子・デバイスは、国内の家電向けを失った穴を ASEAN で埋め切れない。建材では、基礎関連の工事の低調が続き、元請けへの転換も進みが遅い。利払いは借入の増えでやや重くなる。DG Takashima のような投資の損失が、もう一度出る可能性も織り込んだ。
- 建材:数量 514(取扱高(実質・今の値段の億円)=国内建設投資 × 当社シェア)× 価格 1.12(建材の販売価格指数(今=1.0。名目))→ 売上 576 億円・営業利益 14 億円。取扱高 0.88 倍、価格 1.12 倍。利益率 2.4%
- 産業資材:数量 180(取扱高(実質・今の値段の億円))× 価格 1.20(産業資材の販売価格指数(今=1.0。名目))→ 売上 216 億円・営業利益 11 億円。取扱高横ばい、価格 1.2 倍。利益率 5%
- 電子・デバイス:数量 122(取扱高(実質・今の値段の億円))× 価格 1.05(電子部品の販売価格指数(今=1.0。名目))→ 売上 128 億円・営業利益 3 億円。取扱高 0.85 倍、価格 1.05 倍。利益率 2.2%
倍率:ROE は 4% 台で資本コストを大きく下回る。稼ぐ力は純利益 ÷ k の約 94 億円。上限 1÷k の約 11.8 倍に近い 12.06 倍とした。PBR は約 0.4 倍で中立より低い。
確率:新築の減少、人件費・物流費の転嫁の遅れ、電子の需要喪失が重なる筋書きは、中立の次に起きやすい。過去 12 年の最高益の範囲を下回る姿でもあり 27% を置いた。
悲観 12% 悲観:新築と電子を失い、投資の失敗も重なる 利益 −6 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 237 円81 億円
新築が 3 割以上減り、建材の取扱高は今の 0.65 倍。価格は 1.05 倍と、費用の上昇に大きく届かない。利益率は 0.8%。電子・デバイスは国内の需要を失い、取扱高は 0.6 倍で赤字になる。産業資材は、車と電子の不振で利益率が 3.5% に落ちる。
営業利益は赤字に転じる。M&A で取得した会社で減損が出て、配当は大きく減る。純損益は 6 億円の赤字。株主に残る価値は、自己資本と売れる資産の 4 割前後に縮む。
人口減による新築の落ち込みと、ネット通販による中抜きが同時に進む。取引先の持株会の売却で、需給も悪化する。経営は事業の整理と配当の削減に動く。
- 建材:数量 380(取扱高(実質・今の値段の億円)=国内建設投資 × 当社シェア)× 価格 1.05(建材の販売価格指数(今=1.0。名目))→ 売上 399 億円・営業利益 3 億円。取扱高 0.65 倍、価格 1.05 倍。利益率 0.8%
- 産業資材:数量 180(取扱高(実質・今の値段の億円))× 価格 1.10(産業資材の販売価格指数(今=1.0。名目))→ 売上 198 億円・営業利益 7 億円。取扱高横ばい、価格 1.10 倍。利益率 3.5%
- 電子・デバイス:数量 85.7(取扱高(実質・今の値段の億円))× 価格 1.00(電子部品の販売価格指数(今=1.0。名目))→ 売上 86 億円・営業利益 0 億円。取扱高 0.6 倍、価格横ばい。利益率 0%
倍率:赤字で稼ぐ力はない。減損後の自己資本 150 億円の約 5 割強を、売れる資産と運転資本の回収で見込む。今の自己資本 232 億円に対しては 0.35 倍前後。EV÷営業利益は意味を持たない水準。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.54 倍・時価総額 81 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:構造的に負ける筋書き。新築の大幅な落ち込み、電子の需要喪失、投資の失敗が重なる。売り先が分散し、財務が堅いので、倒れるまでは想定せず 12% にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建材
壁材・基礎杭・断熱材・太陽光資材などを住宅・非住宅の現場に売る。施工まで受ける。
| 数量取扱高(実質・今の値段の億円)=国内建設投資 × 当社シェア | 価格建材の販売価格指数(今=1.0。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 584 | 1.00 | 584 | 17 |
| 10 年後 中立 | 643 | 1.25 | 803 | 24 |
取り方:建材セグメントの売上 584 億円・営業利益 17.2 億円(2026/3 期決算短信)。国内建設投資は 2025 年度見通しで約 75.6 兆円(国土交通省)なので、当社のシェアは約 0.08%。数量の開示が無く、市場規模 × シェアで取扱高(今の値段)を置き、物価と相場の変化は価格の指数に分けた。
産業資材
樹脂の材料と成形品、鉄道車両の部材、産業用繊維、LED 工事など。グループにメーカーを持つ。
| 数量取扱高(実質・今の値段の億円) | 価格産業資材の販売価格指数(今=1.0。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 180 | 1.00 | 180 | 12 |
| 10 年後 中立 | 198 | 1.30 | 257 | 15 |
取り方:産業資材セグメントの売上 179.7 億円・営業利益 12.2 億円(2026/3 期決算短信)。品目が多く数量の開示が無いので、今の値段で見た取扱高を数量、物価と素材相場を価格の指数とした。
電子・デバイス
電子部品の販売と、タイ・ベトナムの自社工場での基板実装。国内の白物家電が弱い。
| 数量取扱高(実質・今の値段の億円) | 価格電子部品の販売価格指数(今=1.0。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 143 | 1.00 | 143 | 5 |
| 10 年後 中立 | 143 | 1.15 | 164 | 5 |
取り方:電子・デバイスセグメントの売上 142.9 億円・営業利益 4.7 億円(2026/3 期決算短信)。数量は点数の開示が無いので、今の値段で見た取扱高と価格の指数に分けた。部品は技術の進歩で単価が下がりやすい。
リスクと懸念
利益が 12 年横ばいで、計画に前例が無い
営業利益は 2015 年 3 月期から 14〜21 億円の範囲で、営業利益率も 2% 前後から動かない。2028 年度の 30 億円は、その範囲を大きく超える。建材の請負機能の強化や買収が成果を出せなければ、計画は届かない。
投資の目利きとガバナンス
DG Takashima は事業が行き詰まり、貸付金の一部が関係会社へ不正に流出した。連結で約 7 億円の持分法投資損失が出た。3 年で 100 億円の戦略投資が同じ結果にならないか。管理の仕組みが改善されるかを、出資のたびに確かめたい。
利益のほぼ全部を配る構造
配当は前期から小幅増(性向 98%)の予想で、累進配当を掲げる。利益が下がれば、配当を守るために借入が増える。投資も借入頼みになり、金利が上がる世界では利払いが利益を食う。
新築の減少と中抜き
建材の売上の大半は、住宅と非住宅の新築向けだ。新設住宅の着工は人口減で細る。メーカーの直販やネット通販が、卸の機能を削る。基礎関連の工事は今期低調で、建材の利益は 7% 減った。
電子・デバイスの需要喪失
国内の白物家電では、中国勢にシェアを奪われ、今期は利益が 35% 減った。デジタルカメラ向けのアセンブリは伸びたが、特定の分野に偏る。タイ・ベトナムの工場の稼働が落ちれば、固定費が重くなる。
人件費・物流費の上昇
人手不足と物流費の上昇は、卸の共通の悩みだ。粗利は 1 割前後と薄く、販売価格への転嫁が遅れれば、利益率が下がる。全社費用も物価で増える。
今後の分かれ目
- 2027 年度に営業利益が 23 億円を超え、建材の利益率が 3% に戻ったら
- 計画の 30 億円への道が見えてくる。中立から楽観寄りへ確率を少し移す。21 億円前後で止まれば、中立の営業利益を 25 億円に下げて見る。
- サンワシステム・ASF などの戦略投資が、2 年以内に黒字になったら
- 投資の目利きが改善した証拠になる。損失や追加の貸付が出れば、悲観の確率を上げる。
- 自社株買いを自己資本の 1.2 倍の値段で大きく実施したら
- ROE が資本コスト未満の会社が割高に買い戻すことになり、価値を損なう。実施の規模と価格を見る。
- 電子・デバイスの営業利益が 2 年続けて 3 億円を割ったら
- 中国勢にシェアを奪われる流れが固まったと見る。構成を減らす動きが出るかを確かめる。
- 国債金利が想定より上がり、借り換え金利が 5% 近くになったら
- 借入で賄う投資の利払いが増える。配当の水準との兼ね合いを見る。
- 大口の個人株主が持株比率を高め、経営への関与を強めたら
- 配当や資本配分の方針が変わる可能性がある。TOB の確率を見直す材料になる。
見ておくもの
- 新設住宅着工と建設投資の月次、建材の取扱高
- 産業資材の営業利益(防衛・車・医療向け)と工場の稼働
- 電子・デバイスの利益と、ASEAN 工場の稼働
- 戦略投資の案件と、DG Takashima の損失の確定・回収
- 配当性向と、自社株買いの規模・価格
- 大口株主の保有割合の変化
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業の経済性だけで置いた。10 年後の中立は、純利益 19 億円・ROE 8% 前後。ROE が資本コスト 7.75% をわずかに下回るので、正当化 PER の上限は 1÷k の約 11.8 倍。弱い堀・M&A の失敗の履歴・中抜きの脅威は k の上乗せと残る割合 1/3 で見ているので重ねて引かず、上限の約 9 割の 10.5 倍に置いた。市場の PER・PBR や今の株価からは逆算していない。今の株価が倍になっても半分になっても、この計算は動かない。純有利子負債は小さいので、EV÷営業利益は意味のある水準に収まる。リースは、新リース会計基準で 2028/03 期から BS に載るが、倉庫や事務所を借りる卸の影響は小さく、10 年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。持ち合い株の配当は利益に入っているので、価値を別に足していない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12→15.48 倍・やや楽観 PER 11.5→14.66 倍・中立 PER 10.5→13.06 倍・やや悲観 PER 11→12.06 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.0% を足した。赤字が続く会社ではなく、財務も堅いので上乗せ(distress)は付けない。DG Takashima の不正、M&A の失敗、投資の資金繰りなど個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 7.75%。