結論
大光は、岐阜県大垣市を地盤に、東海地方の飲食店や給食の現場へ食材を届ける業務用食品の卸だ。飲食店の人が自分で買いに来る「アミカ」という店も 54 店営む。筆者の結論は、今の値段は割高だというものだ。売上は 800 億円近くまで伸びたが、残る利益はその 1% に満たず、借金の利払いが増えれば残りはさらに細る。
2026 年 5 月期は売上が 6% 増えたのに、営業利益は 8 割減った。アミカの新しい店の費用と、水産品の子会社の赤字が響いた。2027 年 5 月期は持ち直す予想だが、それでも営業利益率は 1% に届かない。
卸の商売は、仕入れた食材に薄い口銭を乗せて運ぶことだ。売上が増えるほど売掛金と在庫が膨らみ、その分を借金で賄う。純有利子負債は 100 億円を超え、時価総額を上回る。
アミカは地域の飲食店に根づいた良い業態だ。それでも、会社全体の稼ぐ力は資本コストに届かない。値段を正当化するには、利益率が過去の山を大きく超える必要がある。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「地域に欠かせないが、オーナーに残す稼ぎが細い会社」だ。
東海の飲食店にとって、食材を毎日届けてくれる卸は欠かせない。アミカも地域の店主の台所になっている。事業が 10 年後も続くことに疑いは無い。
だが、続くことと稼ぐことは違う。売上のうち営業利益として残るのは 1% に満たず、そこから利払いを払う。売上が伸びるほど売掛金と在庫に資金が要り、それを借金で賄うので、株主の手元に残る現金は増えにくい。
物価が上がれば売上は膨らむが、口銭の率は変わらない。むしろ金利が上がるほど、借金で回す卸の取り分は細る。
今の時価総額は、利益率が過去の山の 1.5% に戻り、それが続く姿に近い値段だ。筆者には、安全域、つまり見込み違いに備えたゆとりが見えない。借金を減らし、アミカの利幅を会社全体に広げる道筋が見えた時に、改めて考えたい。
何で稼ぐ会社か
事業は三つに分かれる。売上の 3 分の 2 を占める外商は、営業担当とトラックで飲食店、ホテル、病院や学校の給食に食材を届ける。冷凍食品、調味料、肉、野菜、油まで、厨房で使うものを一通りそろえる。取引先は個人の店から地域のチェーンまで幅広く、筆者は 1 万店を超えると見る。2026 年 5 月期の売上は 532 億円、利益は 6 億円だった。
二つ目のアミカは、業務用の食材を飲食店の人や一般の客が自分で買いに来る店だ。大袋の冷凍食品や調味料を安く売る。愛知と岐阜を中心に 54 店あり、売上は 235 億円、利益は 10 億円と、会社でいちばん稼ぐ。
三つ目の水産品は、子会社のマリンデリカが魚を仕入れて卸す。輸出にも力を入れるが、2026 年 5 月期は 3 億円の赤字だった。
利益を伸ばすために、自社の商品「プロの選択」や、業務用食品の卸の仲間で共同開発する「ジェフダ」を売り込む。卸の口銭より利幅が厚いからだ。本社の費用は年 11 億円あり、三つの事業の利益の大半を食う。
商売の形を一言で言えば、外商で客の数を、アミカで利幅を稼ぎ、その差し引きを本社と利払いが食う構図だ。売上の伸びほど利益が伸びないのは、この構図のためだ。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは薄い。業務用の食材の卸は、同じ商品を同じメーカーから仕入れて運ぶ商売だ。値段は取引先の飲食店と競合の卸との間で決まり、口銭は薄い。過去 20 年の営業利益率は高くて 2% 台で、近年は 1% 前後にとどまる。
アミカは違う顔を持つ。飲食店の人が朝に買い足しに来る店で、地域に根づけば客は離れにくい。営業利益率は 4〜5% あり、外商の 4 倍だ。ただ、神戸物産の業務スーパーやディスカウントの店とも客を取り合う。
資本効率は、借金で膨らませた分だけ見かけがよい。過去 10 年の ROE の中央値は 8% だが、自己資本比率は 2 割と低い。売掛金と在庫を借金で賄う形で、利益が少し減るだけで ROE は大きく落ちる。2021 年 5 月期のコロナの年は赤字だった。
経営は創業家の金森家が担い、地元の飲食店との長い付き合いを大事にしてきた。ただ、新しい店を出すたびに利益が細る年があり、投資の採算への目線は甘い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
業務用の食材の需要は、外食と給食の数で決まる。国内の外食の市場はコロナの谷から戻ったが、人口が減る中で、店の数と客の数は長い目で横ばいか少しずつ減る。東海地方は製造業が厚く、人の減り方は全国より緩やかだ。
値段の面では、物価の上昇がそのまま売上を押し上げる。食材の仕入れ値が上がれば、卸の売上も膨らむ。ただ、口銭の率はほぼ変わらず、物流費と人件費の上昇が先に利益を削る。トラックの運転手の残業の上限が厳しくなり、配送の費用は上がり続ける。
業界は細かく割れている。全国の業務用食品の卸は数千社あり、地域ごとに中小の卸が飲食店を取り合う。全国に網を持つ大手の卸も、地方の卸を傘下に収めてきた。後継ぎのいない中小の卸を買う動きは、この先も続く。
アミカのような業務用の食品の店は、飲食店と節約志向の一般の客の両方を取り込んで伸びてきた。神戸物産の業務スーパーが全国に広がり、店どうしの競争は年々厳しくなる。
10 年の分かれ目は、卸の口銭を自社の商品と物流の効率でどこまで厚くできるかだ。売上の大きさで勝負する時代は終わり、1 件の配送でいくら残すかが問われる。規模の小さい地方の卸ほど、この変化に追いつくのは難しい。大光はアミカという利幅の厚い売り場を持つ点で、ほかの地方の卸より恵まれている。
資本政策と M&A
還元は配当と自社株買いだ。配当は累進配当、つまり減らさないことを基本とし、自己資本に対する配当の割合 3% 以上を目安にする。年 2 億円ほどを配る。2026 年 5 月期には 2.35 億円の自社株買いもした。株主優待は無い。
資本の使い方の重心は、アミカの出店と物流の拠点だ。年 10 億円前後を投じるが、店が増えても利益は思うほど伸びていない。売上の伸びに合わせて売掛金と在庫が膨らみ、借金は 5 年で 2 倍余りになった。
大株主は創業家だ。社長の金森武氏と専務の金森久氏の資産管理会社、一族を合わせて 2 割強を持ち、従業員と取引先の持株会、地元の大垣共立銀行が続く。親会社は無い。規模が小さく、大手の食品卸の傘下に入る選択肢はあるが、表立った動きは無い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
アミカは本物の業態だ。飲食店の店主が朝に足りない食材を買い足しに来る店で、地域に根づけば客は離れない。営業利益率は 4〜5% あり、外商の 4 倍稼ぐ。愛知と岐阜にはまだ出店の余地があり、静岡や三重にも広げられる。
外商も、後継ぎのいない中小の卸の取引先を引き継ぐ好機にある。物流費が上がるほど、規模の小さい卸は運べなくなる。東海で大きな配送網を持つ大光に、客が集まる。
物価の上昇は売上を押し上げる。自社の商品「プロの選択」の比率を上げれば、口銭も厚くなる。2024 年 5 月期には営業利益 11 億円を出しており、新しい店の費用と水産品の赤字が消えれば、その水準にすぐ戻る。
累進配当と自社株買いの方針もあり、株主への姿勢は前向きだ。
創業家が経営を担い、地元の飲食店と銀行との付き合いも長い。東海の業務用の食材の配送で、これだけの網を一から作るのは難しい。時間をかけて築いた取引先の厚さは、数字に出にくい財産だ。
慎重な見方
利益率が薄すぎる。営業利益は売上の 1% に満たない。2026 年 5 月期は売上が 6% 増えたのに、営業利益は 8 割減った。少しの費用の増加で利益が消える構造だ。
借金は重い。純有利子負債は 100 億円を超え、自己資本の 1.6 倍ある。売上が伸びるほど売掛金と在庫が膨らみ、借金も増える。金利が 3.5% に上がれば、利払いだけで今の営業利益を上回る。
アミカは神戸物産の業務スーパーと真っ向から競う。業務スーパーは自社の工場で作った安い商品を全国の店で売り、値段で勝つのは難しい。新しい店は採算に乗るまで時間がかかり、減損も出た。
水産品の子会社は赤字に転じ、立て直しの道筋は見えない。人手不足で配送の運転手も倉庫の人も集まりにくい。外食の客が減る年には、真っ先に利益が消える。
創業家が大株主で、店を増やす方針は変わりにくい。利益より規模を追う姿勢が続けば、借金だけが積み上がる。金利が上がる世の中で、借金で売上を膨らませる経営は危うい。
どちらに重みを置いたか
アミカの強さは認めるが、会社全体の利益率の薄さと借金の重さの方が重い。2026 年 5 月期の大幅な減益は、少しの費用で利益が消える構造をはっきり示した。中立は利益率が過去並みに戻る姿としたが、確率は慎重な側に寄せた。楽観は過去の山を超える利益率が要るので薄くした。借金の重さは、悲観の筋書きで傷を深くする。2021 年 5 月期の赤字の再来を、確率の上で軽く見ることはできない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した株価時価総額 502 円72 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 181 円26 億円)。 今の値に割り戻すと 317 円45 億円、今との差 −45.2%、 期待の年率 +1.7%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,243 円177 億円 | 280 円40 億円 | +163.0% | +10.2% | 107 円15 億円 |
| やや楽観 | 20% | 815 円116 億円 | 231 円33 億円 | +80.6% | +6.1% | 209 円30 億円 |
| 中立 | 38% | 524 円75 億円 | 196 円28 億円 | +24.4% | +2.2% | 274 円39 億円 |
| やや悲観 | 23% | 175 円25 億円 | 140 円20 億円 | −45.6% | −5.9% | 72 円10 億円 |
| 悲観 | 12% | 105 円15 億円 | 70 円10 億円 | −69.8% | −11.3% | 21 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 502 円72 億円 | 181 円26 億円 | +17.9% | +1.7% | 683 円97 億円 |
今の株価時価総額 579 円83 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:アミカが 72 店、外商も中小の卸の客を取り込む 利益 15 億円 · PER 11.7 倍 · 株価時価総額 1,243 円177 億円
アミカは静岡と三重にも広がり、72 店になる。業務スーパーとのすみ分けが進み、飲食店の店主の固定客で利益率は 5.8% に上がる。
外商は、後継ぎのいない中小の卸の取引先を引き継ぎ、1 万 5 千店を超える。自社の商品の比率が上がり、利益率は 1.6% と過去の山を少し超える。水産品も輸出で黒字に戻る。
本社の費用は物価並みに増えるが、売上の伸びがそれを上回る。営業利益は 25 億円台に乗り、利払いを払っても純利益は 15 億円になる。配当は累進で増え、自社株買いも続く。売上の伸びで借金は増えるが、利益の伸びが上回り、財務は少しずつ軽くなる。
- 外商(業務用食品の卸):数量 15,500(取引先の店舗数(店・推定))× 価格 0.06(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 856 億円・営業利益 14 億円。取引先 1.17 倍、1 店あたり 1.38 倍
- アミカ(業務用食品の店):数量 72.0(店舗数(店))× 価格 5.99(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 432 億円・営業利益 25 億円。店 1.33 倍、1 店あたり 1.38 倍
- 水産品(マリンデリカ):数量 3.6(取扱量(千トン・推定))× 価格 14(1 千トンあたりの売上(億円))→ 売上 50 億円・営業利益 1 億円。輸出で黒字
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.8% が k 9.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.7 倍。全体の PER 11.67 倍、時価総額 177 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:アミカの出店と外商の取引先の拡大が同時に進み、利益率が過去の山を超える筋書き。過去 20 年で営業利益率 2% を超えた年は 1 度しかなく、1 割に満たない。
やや楽観 20% やや楽観:アミカが 66 店、利益率は過去の山に戻る 利益 11 億円 · PER 10.9 倍 · 株価時価総額 815 円116 億円
アミカは年 1 店ほどのペースで増え、66 店になる。新しい店も採算に乗り、利益率は 5.3% と 2025 年 5 月期の水準に戻る。
外商は東海の飲食店の客をじわじわ広げ、1 万 4 千 8 百店になる。物流の効率化と自社の商品で、利益率は 1.45% に戻る。水産品はわずかな黒字を保つ。
営業利益は 18 億円台になり、利払いの増加を吸収して純利益は 10 億円台に乗る。ROE は 10% 台で、資本コストをやや上回る。配当は累進で増える。借金は売上とともに増えるが、利益の伸びで自己資本も厚くなる。
- 外商(業務用食品の卸):数量 14,800(取引先の店舗数(店・推定))× 価格 0.05(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 805 億円・営業利益 12 億円。取引先 1.11 倍、1 店あたり 1.36 倍
- アミカ(業務用食品の店):数量 66.0(店舗数(店))× 価格 5.91(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 390 億円・営業利益 21 億円。店 1.22 倍、1 店あたり 1.36 倍
- 水産品(マリンデリカ):数量 3.4(取扱量(千トン・推定))× 価格 14(1 千トンあたりの売上(億円))→ 売上 46 億円・営業利益 1 億円。わずかな黒字
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.4% が k 9.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 10.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.9 倍。全体の PER 10.87 倍、時価総額 116 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新しい店の費用が消え、利益率が 2024 年 5 月期の水準に戻る筋書き。その年に営業利益 11 億円を出した実績があるので 2 割に置いた。
中立 38% 中立:アミカは 62 店、利益率は 1% 余りにとどまる 利益 7 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 524 円75 億円
外食の店の数は横ばいで、外商の取引先は中小の卸の撤退で少し増え、1 万 4 千店になる。値段は物価並みに上がるが、物流費と人件費も上がり、利益率は 1.3% にとどまる。
アミカは年 1 店弱の純増で 62 店になる。業務スーパーとの競争で利益率は 4.8% に落ち着く。水産品はほぼ損益ゼロだ。本社の費用は物価で増え、年 14 億円台になる。
営業利益は 13 億円前後になるが、売上の伸びで売掛金と在庫が膨らみ、借金は 140 億円近くに増える。利払いは年 5 億円近くになり、純利益は 7 億円台にとどまる。ROE は 8% 前後で、資本コストに届かない。配当は累進で少しずつ増える。
- 外商(業務用食品の卸):数量 14,000(取引先の店舗数(店・推定))× 価格 0.05(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 750 億円・営業利益 10 億円。取引先 1.05 倍、1 店あたり 1.34 倍
- アミカ(業務用食品の店):数量 62.0(店舗数(店))× 価格 5.82(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 361 億円・営業利益 17 億円。店 1.15 倍、1 店あたり 1.34 倍
- 水産品(マリンデリカ):数量 3.2(取扱量(千トン・推定))× 価格 13(1 千トンあたりの売上(億円))→ 売上 43 億円・営業利益 0 億円。ほぼ損益ゼロ
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.9% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 75 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:売上は物価とともに伸びるが、利益率は過去並みにとどまり、利払いが増える姿。どちらの見方にも決め手が無く、業界の向きに沿った姿として一番厚くした。
やや悲観 23% やや悲観:費用に押されて利益が消える 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 175 円25 億円
外食の客が減り、外商の取引先は 1 万 2 千 5 百店に細る。物流費と人件費の上昇に値上げが追いつかず、利益率は 0.9% に下がる。
アミカは業務スーパーとの値下げ競争で客を失い、店を閉めて 56 店になる。利益率は 3.8% に落ちる。水産品の赤字も続く。
営業利益は 3 億円を切り、増えた借金の利払いを払うと純利益はほぼゼロになる。配当は累進の方針で守るが、利益では賄えず、借金が増える。ROE は資本コストに遠く届かず、減損で自己資本も削られる。会社は事業を絞るか、大手の卸の傘下に入るかを迫られる。
- 外商(業務用食品の卸):数量 12,500(取引先の店舗数(店・推定))× 価格 0.05(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 650 億円・営業利益 6 億円。取引先 0.94 倍、1 店あたり 1.30 倍
- アミカ(業務用食品の店):数量 56.0(店舗数(店))× 価格 5.56(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 311 億円・営業利益 12 億円。店 1.04 倍、1 店あたり 1.28 倍
- 水産品(マリンデリカ):数量 2.8(取扱量(千トン・推定))× 価格 13(1 千トンあたりの売上(億円))→ 売上 35 億円・営業利益 −1 億円。赤字
倍率:PBR 0.40 倍を今の自己資本 62.4 億円に掛けた。純利益はほぼゼロで稼ぐ力は無く、価値は売れる資産の床 25 億円で測る。EV ÷ 営業利益は約 47 倍で、利益の倍率では測れない。
確率:物流費と人件費の上昇に口銭が追いつかず、2026 年 5 月期の姿が続く筋書き。その年に営業利益が 8 割減った実績があり、楽観側より厚くした。
悲観 12% 悲観:アミカも外商も負け、借金が残る 利益 −10 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 105 円15 億円
外食の店の数が大きく減り、外商の取引先は 1 万 1 千店になる。運転手が集まらず配送の費用が膨らみ、外商はほぼ利益を出せない。
アミカは業務スーパーに客を奪われ、48 店に減る。利益率は 2% まで落ち、閉めた店の減損が続く。水産品からは撤退する。
本社の費用は残り、会社全体は営業赤字になる。借金の利払いが重なり、毎年の純損失で自己資本はほとんど消える。配当は止まる。大手の食品卸に安い値段で事業を売るのが、株主に残された道になる。
地域の飲食店に食材を運ぶ仕事は誰かが引き継ぐが、株主の手に残るのは土地と持ち合いの株の値打ちの一部だけだ。
- 外商(業務用食品の卸):数量 11,000(取引先の店舗数(店・推定))× 価格 0.05(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 550 億円・営業利益 2 億円。取引先 0.83 倍、ほぼ利益なし
- アミカ(業務用食品の店):数量 48.0(店舗数(店))× 価格 5.21(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 250 億円・営業利益 5 億円。店 0.89 倍、1 店あたり 1.20 倍
- 水産品(マリンデリカ):数量 2.5(取扱量(千トン・推定))× 価格 12(1 千トンあたりの売上(億円))→ 売上 30 億円・営業利益 −2 億円。撤退
倍率:PBR 0.24 倍を今の自己資本 62.4 億円に掛けた。純利益は赤字で、価値は売れる資産の床 15 億円で測る。積み上げた自己資本には掛けていない。
確率:外食の構造的な縮小と業務スーパーとの競争で、両方の事業が赤字に沈む筋書き。2021 年 5 月期に赤字の実績があり、借金も重いので 1 割強に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
外商(業務用食品の卸)
飲食店・ホテル・給食に食材を届ける卸。冷凍食品・調味料・肉・野菜・油まで扱う。
| 数量取引先の店舗数(店・推定) | 価格1 店あたりの年間の売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 13,300 | 0.04 | 532 | 6 |
| 10 年後 中立 | 14,000 | 0.05 | 750 | 10 |
取り方:売上 532.2 億円・セグメント利益 6.03 億円は有報(本社費の配分前)。店舗数の開示は無く、個人店から給食まで 1 店あたり年 400 万円前後と見て約 1.33 万店と推定。
アミカ(業務用食品の店)
飲食店の人や一般の客が自分で買いに来る業務用食品の店。愛知・岐阜中心に 54 店。
| 数量店舗数(店) | 価格1 店あたりの年間の売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 54.0 | 4.34 | 235 | 10 |
| 10 年後 中立 | 62.0 | 5.82 | 361 | 17 |
取り方:売上 234.6 億円・セグメント利益 9.71 億円・期末 54 店は有報。
水産品(マリンデリカ)
子会社が魚介を仕入れて卸し、輸出もする。
| 数量取扱量(千トン・推定) | 価格1 千トンあたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 3.0 | 10 | 30 | −3 |
| 10 年後 中立 | 3.2 | 13 | 43 | 0 |
取り方:売上 30.3 億円・セグメント損失 2.94 億円は有報。取扱量の開示は無く、1 千トンあたり 10 億円前後と見て 3.03 千トンと推定。
リスクと懸念
薄い口銭
営業利益は売上の 1% に満たない。物流費や人件費が少し上がるだけで利益が消える。2026 年 5 月期は売上が 6% 増えたのに営業利益は 8 割減った。
借金と金利
純有利子負債は 100 億円を超え、自己資本の 1.6 倍ある。売上が伸びるほど売掛金と在庫が膨らみ、借金も増える。金利が上がれば利払いが利益を食う。
業務スーパーとの競争
アミカは神戸物産の業務スーパーと客を取り合う。自社の工場の安い商品を全国で売る相手に、値段で勝つのは難しい。
水産品の子会社
マリンデリカは 2026 年 5 月期に 3 億円の赤字に転じた。立て直せなければ、会社全体の利益をさらに削る。
人手と配送
運転手の残業の上限が厳しくなり、配送の費用は上がり続ける。倉庫と店の人手も集まりにくく、時給の上昇が利益を削る。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 2 期続けて 1.5% を超える
- 中立の外商とアミカの利益率を上げ、やや楽観の確率を上げる。
- 純有利子負債が 80 億円を下回る
- 借金の分の資本コストの上乗せを下げる。
- アミカの既存店の売上が 2 年続けて前年を下回る
- 中立のアミカの店と利益率を下げる。
- 水産品の子会社の売却や撤退を決める
- 赤字の分が消えるとみて、中立の利益を少し上げる。
- 大手の食品卸が買収を提案する
- 分析を止め、提示の値段で考える。
見ておくもの
- 営業利益率(2026/05 期 0.2%)
- 純有利子負債(101 億円)
- アミカの店の数と既存店の売上
- 水産品の損益
- 自社の商品の比率
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE・g・k の式だけで決め、今の PER や同業の倍率は見ていない。中立は ROE が k を下回るので上限 1÷k の約 8 割。2026/05 期の純利益は減損で細いので、流れの起点は 2027/05 期の会社予想 4.0 億円にした。アミカの店は建物の多くを自社で持つが、解約不能のリース 20 億円もある。家賃は今の形のまま置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.8→11.67 倍・やや楽観 PER 10→10.87 倍・中立 PER 9→10.53 倍)。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 1.5% = 9.0%。同じ領域の久世(8.5%、純現金)・セントラルフォレスト(8.0%)・サトー商会(8.0%)より借金の分だけ高い。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 9.50%。