結論
レカムは、もとは中小企業に複合機やビジネスホンを売る会社だ。今は売上の 7 割を東南アジアで稼ぎ、LED 照明や電気部品、AI サーバーを売る商社に姿を変えつつある。筆者の結論ははっきり割高である。
一番の理由は、売上の伸びが株主の利益になりにくい作りにある。売る品の多くは他社の汎用品で、値段を決める力は弱い。伸びの多くは借金での買収と、運転資金の膨らみで買っている。6 月末の借入は 70 億円で、時価総額に迫る。
金利が上がる世界では、この借金の利払いが利益を大きく削る。さらに、新株予約権で株は最大 2 割増える。会社は 2027 年 9 月期に営業利益率 10% と ROE 20% を掲げるが、今の利益率は 4% に満たない。過去の最高でも 9% 弱で、目標と実力の差は大きい。
10 年で売上が倍近くに伸びても、利払いと希薄化を引いた株主の取り分は細いと筆者は見る。脱炭素という追い風は本物だが、それを利益に変える仕組みがまだ無い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、持ちたい会社ではない。売上の伸びは速いが、その伸びを株主の利益に変える仕組みが弱い。良い事業は、伸びるほど現金を生む。この会社は伸びるほど現金を食う。
商社として他社の汎用品を売る限り、値段を決めるのは仕入れ先と客だ。粗利は薄く、売上が増えるほど在庫と売掛金に現金が吸われる。足りない分は借金と増資で埋めてきた。株主から見ると、会社が大きくなるほど 1 株の取り分が薄まる形になる。
筆者がいちばん気にしているのは、金利が上がる世界での借金の重さだ。70 億円の借入は、金利が 5% になれば年 3.5 億円の利払いになる。今の営業利益の 6 割を超える額だ。
安全域を考えるなら、今の値段は 10 年先の楽観に近い姿をすでに映している。払う値段に見合う確かさは無いと考える。せめて借金を減らし、買収の数より質を示すまでは、持ち続けたい事業の形とは言えない。
何で稼ぐ会社か
事業は三つに分かれる。稼ぎの中心は海外ソリューションで、売上の 7 割を占める。マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア、シンガポールに拠点を持ち、工場や商業施設に LED 照明と電気部品、業務用エアコンを売る。2026 年 1 月にはシンガポールの照明会社 Lumitron を買い、同国では AI サーバーの販売が急に伸びた。9 か月の海外売上のうち、LED と AI サーバー、電気部品がほぼ 3 分の 1 ずつを占める。
二つ目は国内ソリューションだ。直営店と FC 加盟店、代理店を通じて、中小企業に複合機やビジネスホン、LED、防犯機器を売る。2026 年には盛岡のカワハラ事務機と福島のとみやを買い、東北に地盤を広げた。利益率は 7% 前後と、三つの中で最も安定している。
三つ目は DX 事業で、中国の大連でデータ入力などの事務を代行し、RPA と生成 AI の導入も手がける。売上は 5 億円ほどで赤字が続く。
どの事業も、自社で作る製品はほとんど無い。他社の品を仕入れ、提案と施工、保守を付けて売る商社の稼ぎ方だ。
優良さと弱いところ
優良さは低いと筆者は見る。理由は値決め力と資本の使い方の二つにある。
LED 照明と電気部品は、中国や地場の作り手が多い汎用品だ。AI サーバーも、エヌビディアの部品を組んだ品を右から左に流す商売で、粗利は薄い。シンガポールの照明のシェアは約 5% で、価格を決められる位置ではない。
資本の使い方も心配だ。過去 20 年で 8 回、株を増やして資金を集めてきた。今回もグロース・キャピタル社に新株と新株予約権を割り当て、株は最大で 2 割余り増える。買収で得たのれんは 31 億円に膨らみ、自己資本の半分を超える。
強みは、東南アジアの 5 か国に営業網を持ち、脱炭素の需要に早く乗った点だ。日系の工場を足場に地場の企業へ広げる力はある。ただ、それが高い利益率に変わった実績はまだ無い。売上が増えるたびに在庫と売掛金が膨らみ、現金を食う点も弱みだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
東南アジアの脱炭素の需要は、10 年で見て確かに伸びる。ここは追い風と見てよい。電気代の上昇と各国の脱炭素の目標で、工場や商業施設は古い照明を LED に替え、省エネの空調を入れる。マレーシアやベトナムは製造業の移転先でもあり、新しい工場の設備需要も続く。
ただし、LED の買い替えは一巡すれば終わる需要だ。日本の国内では LED 化が既に 8 割前後まで進み、東南アジアもいずれ同じ道をたどる。照明の器具は値下がりが速く、数量が伸びても売上ほどには利益が伸びない。
AI サーバーは、シンガポールの国を挙げた AI 投資で急に伸びた。しかし大型案件の有無で売上が大きく振れ、1 四半期に 15 億円の案件が入るかどうかで業績が変わる。デルや HPE、スーパーマイクロの販売網と競う商売で、長く続く強みは見えにくい。
国内の複合機とビジネスホンは、ペーパーレスとクラウドの電話で数量が細る市場だ。地方の中小企業の IT 化には余地があるが、リコーやキヤノンの販売会社、大塚商会との競争は厳しい。レカムの直営店と FC の網は、この大手の間で小さな会社を拾う役割にとどまる。
資本政策と M&A
配当は性向 30% を基準にしているが、総額は年 1 億円ほどと小さい。自社株買いはわずかで、むしろ株を増やして資金を集める回数が多い。
資金の使い道は M&A だ。2026 年だけでカワハラ事務機、Lumitron、とみやを買い、レカム IE パートナーの少数株主の持ち分も株式交換で取り込む。これらの多くは借金と自己株の交付でまかなった。
2026 年 10 月にはグロース・キャピタル社へ新株 50 万株と新株予約権 1,938 万株分を割り当てた。行使価額は今の株価の 1.1〜1.7 倍で下方修正の条項は無いが、全部行使されれば約 23 億円が入り、株は 2 割余り増える。買収を続けるための資金だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
東南アジアの脱炭素は 10 年続く大きな波だ。電気代の上昇と各国の目標で、工場の照明と空調の入れ替えは避けられない。レカムは 5 か国に拠点を持ち、日系の工場から地場の企業へ客を広げている。海外の売上は 9 か月で 35% 伸びた。
AI サーバーは新しい柱になりうる。シンガポールは国を挙げて AI 投資を進め、受注は前年の 1.7 倍だ。会社は AI インフラを中核にする構想を掲げ、照明会社の Lumitron の買収で現地の販売網も厚くした。
中期計画は 2027 年 9 月期に営業利益率 10%、ROE 20% を目指す。そこまで届かなくても、買収した会社の費用の重複を削れば利益率は 6% に乗る。新株予約権に下方修正の条項は無く、株価が上がって初めて行使される設計で、既存の株主の利害とも合う。
借金も怖くない。売上の伸びに合わせて在庫と売掛金が増えただけで、案件が納品されれば現金に戻る。行使で入る資金が返済に回れば、利払いの重さも軽くなる。
慎重な見方
売上の伸びは、ほとんどが借金と運転資金で買ったものだ。6 月末の借入は 70 億円と 1 年前の 1.6 倍、在庫と売掛金も 9 か月で 18 億円膨らんだ。AI サーバーは大型案件 1 つで売上が 15 億円振れ、納期がずれれば利益が消える。
利益率の目標は何度も遠のいてきた。営業利益率は 2018 年 9 月期の 8.9% が最高で、その後は 0〜5% を行き来した。2021 年 9 月期は大きな赤字も出した。中期計画の 10% は、今の 3% 台から見て根拠が薄い。
株主の取り分は薄まり続ける。過去 20 年で 8 回株を増やし、今回も最大 2 割余りの新株予約権を出した。金利が上がれば、借入 70 億円の利払いは年 3 億円を超え、税と少数株主の分を引くと利益はほとんど残らない。
買収で膨らんだのれんも重い。買った会社の稼ぎが計画に届かなければ、減損で自己資本が一気に削られる。2021 年 9 月期の赤字も、その形だった。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方のほうが強い。脱炭素の需要は本物でも、汎用品の商社としての薄い利益率と、借金と増資に頼る成長の形は 10 年で変わりにくい。確率は中立とやや悲観に厚く置き、楽観は 1 割にとどめた。
買収が当たって利益率が上がる道は残るが、それには過去に一度も無い水準を長く保つ必要がある。借金の多さが、外れた時の傷を深くする点も確率に入れた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した株価時価総額 43 円35 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 11 円9 億円)。 今の値に割り戻すと 25 円21 億円、今との差 −72.7%、 期待の年率 −5.2%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 101 円83 億円 | 18 円15 億円 | +29.7% | +2.6% | 12 円10 億円 |
| やや楽観 | 18% | 73 円60 億円 | 15 円12 億円 | −4.9% | −0.5% | 16 円13 億円 |
| 中立 | 35% | 46 円38 億円 | 11 円9 億円 | −38.2% | −4.7% | 20 円16 億円 |
| やや悲観 | 22% | 13 円11 億円 | 9 円7 億円 | −75.9% | −13.3% | 5 円4 億円 |
| 悲観 | 15% | 6 円5 億円 | 2 円2 億円 | −90.7% | −21.2% | 1 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 43 円35 億円 | 11 円9 億円 | −41.6% | −5.2% | 54 円44 億円 |
今の株価時価総額 92 円76 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 10% ASEAN の脱炭素と AI 投資を取り切る 利益 9 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 101 円83 億円
ASEAN の工場と商業施設で LED と省エネ空調の入れ替えが続き、地場の企業にも客が広がる。シンガポールの AI サーバーは国の投資に乗って毎年の柱になる。海外の顧客の数は 10 年で倍近くになる。
買収した会社の拠点と費用をまとめ、仕入れも一本化して、海外の利益率は 7.5% に上がる。全社の営業利益は 18 億円に近づく。株価が上がって新株予約権がすべて行使され、約 23 億円で借金を減らす。
株は 2 割余り増えるが、利払いが軽くなり、純利益は 9 億円台に乗る。それでも自己資本利益率は資本コストに届かない。
- 海外ソリューション:数量 4,000(取引する顧客企業の数(社・年、推定))× 価格 6.70(1 社あたりの年間売上(百万円・名目))→ 売上 268 億円・営業利益 20 億円。顧客1.90倍・1社1.34倍・利益率7.5%
- 国内ソリューション:数量 20,000(販売・入れ替えの契約件数(件・年、推定))× 価格 0.27(1 件あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 54 億円・営業利益 5 億円。件数1.05倍・1件1.35倍・利益率8.5%
- DX(BPO・RPA):数量 160(事務代行に当たる人員(人、推定))× 価格 3.40(1 人あたりの年間売上(百万円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。人員0.80倍(AI代替)・1人1.36倍・利益率4%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.3% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 102 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の中期計画(営業利益率10%)に近い姿で、過去に一度も無い利益率を長く保つ必要があるので1割。
やや楽観 18% 海外が伸び、借金の重さを吸収する 利益 6 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 73 円60 億円
海外の顧客は 10 年で 7 割近く増え、LED と電気部品が安定して売れる。AI サーバーは年による振れが大きいが、平均すれば売上を押し上げる。海外の利益率は 7% と今並みを保つ。
国内は東北の 2 社を足場に件数を保ち、複合機の減りを LED と防犯機器で埋める。新株予約権は第 25 回までが行使され、約 17 億円が入る。
借金の利払いは増えるが、営業利益が 13 億円台に伸びて吸収する。純利益は 6 億円台で、株主の取り分は株が 16% 増える分だけ薄まる。自己資本利益率は 6% 前後で、資本コストには届かない。
- 海外ソリューション:数量 3,500(取引する顧客企業の数(社・年、推定))× 価格 6.60(1 社あたりの年間売上(百万円・名目))→ 売上 231 億円・営業利益 16 億円。顧客1.67倍・1社1.32倍・利益率7.0%
- 国内ソリューション:数量 19,000(販売・入れ替えの契約件数(件・年、推定))× 価格 0.27(1 件あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 51 億円・営業利益 4 億円。件数1.00倍・1件1.35倍・利益率8%
- DX(BPO・RPA):数量 140(事務代行に当たる人員(人、推定))× 価格 3.35(1 人あたりの年間売上(百万円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。人員0.70倍(AI代替)・1人1.34倍・利益率2%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.8% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 71 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:海外の伸びが続き、買収の費用の重複を削れる形。売上の伸びは実績どおりだが、利益率の改善は小幅にとどまるとみた。
中立 35% 売上は伸びるが、利払いが利益を削る 利益 4 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 46 円38 億円
海外の顧客は 10 年で 4 割余り増える。LED の値下がりと物価の上昇が打ち消し合い、1 社あたりの売上は物価をやや下回って伸びる。AI サーバーは大型案件のある年と無い年で振れ、ならせば海外の利益率は 6.5% にとどまる。
国内は複合機の減りを LED などで埋め、件数は 5% 減る。大連の事務代行は AI エージェントに仕事を奪われ、人員は 3 分の 2 に縮む。
借入は 70 億円前後のまま残り、利払いは年 3 億円を超える。営業利益 9 億円のうち、税と少数株主の分を引いて手元に残る純利益は 3〜4 億円台だ。
- 海外ソリューション:数量 3,050(取引する顧客企業の数(社・年、推定))× 価格 6.40(1 社あたりの年間売上(百万円・名目))→ 売上 195 億円・営業利益 13 億円。顧客1.45倍・1社1.28倍・利益率6.5%
- 国内ソリューション:数量 18,050(販売・入れ替えの契約件数(件・年、推定))× 価格 0.27(1 件あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 48 億円・営業利益 3 億円。件数0.95倍・1件1.34倍・利益率7%
- DX(BPO・RPA):数量 130(事務代行に当たる人員(人、推定))× 価格 3.35(1 人あたりの年間売上(百万円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。人員0.65倍(AI代替)・1人1.34倍・利益率0%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.1% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 42 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:売上は東南アジアの需要で伸びるが、利益率は過去の平均に近く、利払いの増加が重なる、最も起こりやすい姿。
やや悲観 22% AI サーバーが途切れ、利益が細る 利益 2 億円 · PER 6.5 倍 · 株価時価総額 13 円11 億円
シンガポールの AI サーバーは、大手の販売網に押されて大型案件が取れなくなる。LED は中国製の値下がりが速く、海外の利益率は 6% に下がる。顧客の数は 3 割増にとどまる。
国内は複合機の数量の減りが速く、利益率は 6% に落ちる。大連の事務代行は赤字が続く。新株予約権は株価が届かず行使されない。
借入はそのまま残り、利払いが営業利益の半分を食う。純利益は 2 億円を割り、配当も細る。買収した会社ののれんは、減損の手前で持ちこたえる。株価は低迷し、次の買収の資金は銀行の借入に頼るしかなくなる。
- 海外ソリューション:数量 2,700(取引する顧客企業の数(社・年、推定))× 価格 6.30(1 社あたりの年間売上(百万円・名目))→ 売上 170 億円・営業利益 10 億円。顧客1.29倍・1社1.26倍・利益率6%
- 国内ソリューション:数量 17,000(販売・入れ替えの契約件数(件・年、推定))× 価格 0.26(1 件あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 45 億円・営業利益 3 億円。件数0.89倍・1件1.31倍・利益率6%
- DX(BPO・RPA):数量 110(事務代行に当たる人員(人、推定))× 価格 3.20(1 人あたりの年間売上(百万円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。人員0.55倍(AI代替)・1人1.28倍・赤字
倍率:事業の ROE 2.2% が k 9% 以下なので、ためた利益は額面未満の価値で PER の上限は 1÷k=10.0 倍。やや悲観は利払いで稼ぐ力が細るので、上限の 6 割の 6.5 倍。
確率:AIサーバーの大型案件が途切れ、LEDの値下がりが速まる形。2021年9月期の赤字のように、利益が細る年はこれまでも何度もあった。
悲観 15% 買収が裏目に出て、のれんを落とす 利益 −5 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 6 円5 億円
LED の入れ替え需要は一巡し、地場の業者との値下げ合戦になる。AI サーバーは客を大手に取られて消える。海外の顧客は今より減り、利益率は 3.5% まで落ちる。
国内も件数が 4 分の 1 減り、全社の営業利益は赤字になる。利払いがそれに重なり、純利益は年 4 億円を超える赤字になる。買収した会社ののれんのうち約 15 億円を減損する。
銀行との借り換えの条件は厳しくなり、資金を得るために株をさらに増やすか、海外の子会社を安く売る話が出る。株主に残るものはわずかになる。10 年前に描いた商社の構想は、借金の重さだけを残して終わる。
- 海外ソリューション:数量 2,000(取引する顧客企業の数(社・年、推定))× 価格 6.00(1 社あたりの年間売上(百万円・名目))→ 売上 120 億円・営業利益 4 億円。顧客0.95倍・1社1.20倍・利益率3.5%
- 国内ソリューション:数量 14,000(販売・入れ替えの契約件数(件・年、推定))× 価格 0.25(1 件あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 35 億円・営業利益 1 億円。件数0.74倍・1件1.25倍・利益率4%
- DX(BPO・RPA):数量 80.0(事務代行に当たる人員(人、推定))× 価格 3.00(1 人あたりの年間売上(百万円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。人員0.40倍(AI代替)・赤字
倍率:赤字でのれんを約15億円落とし、借金70億円が残る。純負債の会社で売れる資産の税後は借金でほぼ消えるため、残るのは再建の見込みの分だけとみて直近の決算の自己資本50億円の0.1倍とした。
確率:借金で買った会社の稼ぎが崩れ、のれんを落とす形。過去20年に赤字の期が5回あり、買収の多い会社なので15%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
海外ソリューション
マレーシア・タイ・ベトナム・インドネシア・シンガポールなどで、工場や商業施設に LED 照明・電気部品・業務用エアコンを売り、シンガポールでは AI サーバーも売る。
| 数量取引する顧客企業の数(社・年、推定) | 価格1 社あたりの年間売上(百万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09 | 2,100 | 5.00 | 105 | 8 |
| 10 年後 中立 | 3,050 | 6.40 | 195 | 13 |
取り方:2026年9月期は9か月の実績87.4億円と通期予想148億円から約105億円と見込んだ。顧客数は開示が無いので推定で、1社あたり年500万円とおいて約2,100社。数量は顧客の数(実質)、物価とLEDの値下がりは1社あたりの売上に入れる。内訳はLED・AIサーバー・電気部品がほぼ3分の1ずつ(会社の管理数値)。
国内ソリューション
直営店・FC 加盟店・代理店を通じ、中小企業に複合機・ビジネスホン・LED 照明・空調・防犯機器を売る。2026年に盛岡のカワハラ事務機、福島のとみやを買った。
| 数量販売・入れ替えの契約件数(件・年、推定) | 価格1 件あたりの売上(百万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09 | 19,000 | 0.20 | 38 | 3 |
| 10 年後 中立 | 18,050 | 0.27 | 48 | 3 |
取り方:9か月の実績33.2億円に第4四半期の季節の弱さを見て通年約38億円とした(買収した2社の通年分は10年の数量に入れる)。1件あたり平均20万円(複合機・電話・LEDのリースの取次と保守)と推定し、約19,000件。
DX(BPO・RPA)
中国の大連の拠点で、データ入力などの事務の代行と RPA・生成 AI の導入支援を請け負う。
| 数量事務代行に当たる人員(人、推定) | 価格1 人あたりの年間売上(百万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09 | 200 | 2.50 | 5 | 0 |
| 10 年後 中立 | 130 | 3.35 | 4 | 0 |
取り方:9か月3.7億円から通年約5億円。人員は開示が無く、1人年250万円とおいて約200人と推定。人月で売る型なので、AIエージェントの代替で数量は10年0.55〜0.75倍を中立の基本にする。
リスクと懸念
借金と金利
6月末の借入は約70億円で、時価総額に迫る。借り換えのたびに金利が上がれば、利払いは今の年1億円強から3億円台に増え、営業利益の多くを食う。返済が滞れば増資に頼ることになる。
株の希薄化
過去20年で8回株を増やした。2026年10月の新株予約権は最大1,938万株で、全部行使されれば株は2割余り増える。買収の資金に使う方針で、今後も増資が続く恐れがある。
AIサーバーの振れ
海外の売上の3分の1がシンガポールのAIサーバーで、大型案件1件で売上が15億円振れる。大手の販売網との競争で案件が取れなくなれば、成長の柱が消える。
LEDの値下がりと一巡
照明の器具は中国製の値下がりが速い。入れ替え需要が一巡すれば数量も細る。日本では既にLED化が進み切っており、東南アジアも同じ道をたどる。
買収とのれん
のれんは31億円と自己資本の半分を超える。買った会社の稼ぎが計画に届かなければ減損で自己資本が削られ、借金の条件も厳しくなる。
AIエージェントによる事務代行の置き換え
大連の事務代行は人の手間で売る仕事で、AIエージェントに置き換わりやすい。売上は既に前年から2割近く減っている。規模は小さいが赤字が続く。
今後の分かれ目
- 株価が行使価額を超え新株予約権が行使される
- 借金は減るが株は増える。払い込みの額と希薄化の差し引きで、株主の取り分はほぼ変わらない。
- 2027年9月期に営業利益率6%を達成する
- 中期計画の道筋が本物で、やや楽観の筋書きに近づく。
- AIサーバーの売上が2期続けて落ちる
- 海外の伸びの柱が崩れ、やや悲観の筋書きに近い。
- 借入がさらに増えて買収が続く
- 利払いと減損の恐れが増え、悲観側の確率が上がる。
- 買収した会社ののれんを減損する
- 悲観の筋書きの入口で、増資による資金の手当ての恐れが高まる。
見ておくもの
- 海外ソリューションの売上と営業利益率(9か月で7.0%)
- AIサーバーの受注と納品の時期
- 借入の残高と金融費用
- 新株予約権の行使の進み
- のれんの額と減損の有無
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価を見ずに決めた。資本コスト9%に対し、10年後の自己資本利益率は利払いの増加で中立でも4%前後と届かないので、PERの上限は1÷k=10倍、中立はその7.5割に置いた。純有利子負債は時価総額の6割で、中立の時価総額と純負債を足したEVは営業利益の約8倍。新株予約権は筋書きごとに行使の数を変え、holder_shareで株主の取り分を落とした。純負債の会社なので悲観側の床に純現金は無く、やや悲観・悲観のPBRが0.2を割る注意は、借金を引くと売れる資産がほぼ残らないためそのまま残した。IFRSなのでリースは既にBSに載っている。過去のPERや同業の値付けは使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9→11.11 倍・やや楽観 PER 8.5→11.11 倍・中立 PER 7.5→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityの+2.5%を足した(決まりv2)。希薄化と買収の失敗の恐れは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 10.00% → 9.00%。