結論
スズデンは、工場の自動化に使う制御機器や電設資材を仕入れ、約5000社に売る独立系の専門商社だ。売上の半分強がFA機器で、オムロン製品が軸になる。筆者の結論は、今の値段は割高というものだ。最大の理由は、今期の利益が半導体製造装置の投資の山に乗っている点にある。
会社は2027年3月期の純利益を27.8億円と予想する。前期の1.6倍だ。東京エレクトロン系を中心とする主要顧客の受注が急に増えたためで、第1四半期の営業利益はすでに2.5倍になった。ただ、この会社は2023年3月期にも似た山を作り、その後の3年で純利益が半分近くまで減った。山の年の利益に、高い倍率を付ける理由はない。
10年でならして見ると、利益は名目で28億円前後に収まるとみる。物価で売上は膨らむが、商社の取り分は薄い。しかも増えた利益の8割は配当に回す方針で、会社に残る分が少ない。
財務は堅い。純現金が56億円あり、倒れる心配は小さい。ただ、安全であることと、割安であることは別の話だ。楽観の筋書きでも、10年後の時価総額は447億円と今の484億円に届かない。確率の重みで測ると、価値は今の半分ほどだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この事業をオーナーとして持ち続けたいかが問われる。答えは「持ち続けたいが、今の値段では買いたくない」に近い。
事業の質は悪くない。現金が有利子負債を上回り、配当に8割を回しても資金が回る。悪い年でも赤字になりにくい。ただし、仕入値も売値も他社が決め、増やした再投資が高い収益を生み続ける保証はない。利益率が5%前後の商社に、数十年かけて資本を複利で増やす力は期待しにくい。
大事なのは、利益の質だ。今期の予想純利益は、前期の1.6倍に跳ねる。その大半は、半導体装置の投資という他人の景気に乗った分だ。山の利益を永続する力と勘違いすると、必ず高値づかみになる。
安全域は、ならした利益に立つべきだ。10年で名目28億円なら、資本コストと成長から見た妥当な倍率は11〜12倍で、時価総額は320億円ほどになる。いまの484億円はそれを5割上回る。強気の筋書きでも450億円に届かない。
経営は誠実だ。創業家との関係を整理し、利益の大半を配る。この点は評価する。だが、評価と買い値は別のものだ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は単純だ。国内の有力メーカーから商品を仕入れ、国内の企業に売る。仕入先は1000社を超え、客は約5000社ある。売上の99%は、この「電機・電子部品販売事業」が占める。
中身は4つに分かれる。最大はPLC(工場の機械を動かす制御装置)やセンサー、リレーなどのFA機器で、前期の売上は約251億円。全体の55%だ。次が照明や配電盤などの電設資材で約107億円、その次が電子デバイスの約54億円、パソコンや組込ボードなどの情報通信の約43億円と続く。主力の仕入先はオムロンで、スズデンはその正規の販売店のひとつだ。
売るだけの商社ではない。専任のエンジニアがソフトの開発まで手伝い、制御盤の設計や施工も請け負う。Web上で在庫と納期を確かめられる受発注の仕組みも持つ。
残りの1%が製造事業だ。宮城の大和工場で半導体製造装置向けのアルミフレームを組み立て、長野のユーボン工場で制御盤などを作る。規模は小さく、前期は小さな赤字だった。
見ておくべきは、客の偏りだ。東京エレクトロン宮城が売上の10.1%を占める(前期は13.0%)。半導体装置の投資が増えれば追い風、止まれば向かい風という関係が、いまの利益の振れ方を決めている。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、広く浅い品揃えと、現場に入り込む技術営業にある。1000社を超える仕入先の商品を一か所で頼めて、工場の止まりやすい部品を在庫で持ち、翌日に届ける。客にとっては便利だが、他社が同じことをするのも難しくない。堀、つまり他社がまねできない強みと呼べるほど深くはない。
弱みは値段を自分で決められないことだ。仕入値はメーカーが握り、オムロンは自社のオンライン直販も持つ。営業利益率は、過去10年余りで1%から6.5%の間を行き来した。前期は4.5%だった。
資本の使い方には好感が持てる。2025年には創業家の資産管理会社を買い取り、同社が持っていた自社株を実質的に自己株式として取り込んだ。大株主の持ち合いをほどく動きで、1株あたりの価値を高める。
財務は堅い。自己資本比率は59%で、純現金は56億円ある。赤字の年は、過去10年余りで見当たらない。
一方で、規模は小さい。時価総額は約480億円で、競合の三菱電機系の立花エレテックのように大きなメーカー系列を背負ってもいない。一社の客や一社の仕入先が傾くと、ダメージが大きい。優良ではあるが、突出した優良とは言いにくい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
FA機器の市場は、2年続いた落ち込みを抜けた。日本電気制御技術工業会の集計では、2025年度の電気制御機器の国内出荷は約3,800億円で、前の年度より約4%増えた。日本電機工業会のPLCは1.6割増だった。在庫調整が一巡し、国内の設備投資も戻りつつある。
今期の追い風は半導体だ。生成AI向けの先端メモリで製造装置メーカーが投資を増やし、その装置に組み込まれる制御機器の需要が跳ねた。スズデンの予想の上方修正は、この波を取り込んだものだ。ただし半導体装置の投資は数年おきに山と谷を繰り返す。スズデン自身の実績でも、2023年3月期の山のあと3年は売上が細った。
電設資材は静かな市場だ。卸の年商は全国で3兆円前後と推計され、人口減で新築は細るが、省エネ更新やデータセンターの電源設備が下支えする。伸びは物価並みで、スズデンは売上の2割ほどをこの分野で稼ぐ。
構造の変化も進む。メーカーの直販サイトが育ち、小口の注文は商社を通らなくなりつつある。オムロンの制御機器の販売店は全国に559件あり、すでに多い。商社は「安く早く届ける」だけでなく、ソフトや設計の相談に乗れる会社に絞られていく。10年後の勝ち残りの条件は、この付加価値にある。
資本政策と M&A
株主への還元は、配当に偏る。会社は配当性向80%を配当総額の基準としており、前期の性向は86.4%だった。今期は利益の上方修正に合わせて配当も大きく増える見込みだ。自社株買いの方針は示しておらず、株主優待もない。
利益の8割を出すので、自己資本はほとんど膨らまない。自己資本利益率(ROE)は、利益が増えれば素直に上がる作りだ。ただし景気が悪い年には、配当も同じ割合で縮む。
2025年の動きは重要だった。創業家の資産管理会社ベルを完全子会社にし、同社が持っていたスズデン株約62万株(約42億円)を自己株式として取り込んで消却した。持ち合いに近い大株主を整理した。自己資本が減り、株数も減ったが、1株あたりの価値には前向きだ。
筆頭株主は株式会社トレンドで、約1割を持つ(2025年9月末)。kabufuの推計では、10年以内に買収される確率は18%ある。時価総額が小さく、財務が堅く、主力のオムロンとの縁も長い。買われる側の条件は整っているが、具体的な動きは確認できない。
買収する側に回る気配はなく、M&Aで規模を買う戦略も見えない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
半導体製造装置の投資は、AIという新しい柱を得た。先端メモリの増産が続く見通しで、会社も8月に通期の予想を大きく上げた。第1四半期の営業利益は前年の2.5倍で、通期予想の39.6億円は控えめな数字かもしれない。
しかもスズデンは、山の年に売上を大きく伸ばす力を示してきた。主要顧客の東京エレクトロン宮城は売上の1割で、関連会社の東京エレクトロンテクノロジーソリューションズや九州とも取引がある。制御機器の国内出荷も3年ぶりに増え、PLCは1.6割伸びた。FAの需要は、人手不足を背景に自動化投資が続く10年に入る。
電設資材もデータセンターの電源工事で伸びる。財務が堅いので、受注が増えても運転資金に困らない。配当性向80%の方針で、利益が増えるほど配当も増える。
この会社は規模が小さい分、ひとつの大口が決まると利益が大きく動く。山が10年に何度か訪れるなら、均した利益は、過去5年の平均である23億円よりずっと高くなる。10年後の純利益が35億円を超える筋書きを、確率ゼロとは言えない。
慎重な見方
今期の利益は、半導体装置メーカー1社の景気に寄りすぎている。東京エレクトロン宮城が売上の1割を占め、その関連を含めればさらに大きい。装置メーカーが購買先を集約したり、直接調達に切り替えたりすれば、売上は一気に減る。しかも大口の客は値引きの要求も強く、取り分を守りにくい。
同じことは2023年3月期にも起きた。売上は674億円まで膨らんだが、翌期は509億円、その翌期は466億円と細り、純利益は33億円から17億円まで下がった。山が来ると会社は配当を増やすが、谷では配当も減る。株主の手元には、ならした利益しか残らない。
商社としての構造も弱い。仕入値はオムロンなどのメーカーが決め、メーカーは直販サイトを広げている。小口の注文が直販に流れれば、商社の仕事は大口の技術案件に絞られ、取り分は薄くなる。
今の時価総額484億円は、予想純利益27.8億円のおよそ17倍だ。商社としては高い。山の利益に17倍を払えば、山が去るだけで価値は半分に縮む。10年という長さで見れば、この会社の利益が今期の水準を保つ保証はどこにもない。
どちらに重みを置いたか
半導体装置の投資が山にあることは確かで、ならした利益を押し上げる要素も残る。だが、商社の薄い取り分と客の偏りは10年で消えない。そこで確率は、中立を34%と厚めに置いた。楽観側は合わせて29%、悲観側は合わせて37%と、慎重な見方に少し寄せた。
主な理由は、強気の筋書きが「山が何度も来る」ことを前提にしている点だ。山は来るが、谷も同じ数だけ来る。均した利益で見れば、いまの値段は割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,687 円341 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,302 円165 億円)。 今の値に割り戻すと 2,131 円270 億円、今との差 −41.5%、 期待の年率 +0.9%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 4,673 円593 億円 | 1,664 円211 億円 | +73.8% | +5.7% | 507 円64 億円 |
| やや楽観 | 21% | 3,938 円499 億円 | 1,538 円195 億円 | +50.2% | +4.2% | 1,150 円146 億円 |
| 中立 | 34% | 3,456 円438 億円 | 1,459 円185 億円 | +34.8% | +3.0% | 1,671 円212 億円 |
| やや悲観 | 24% | 902 円114 億円 | 1,057 円134 億円 | −46.3% | −6.0% | 470 円60 億円 |
| 悲観 | 13% | 729 円92 億円 | 741 円94 億円 | −59.7% | −8.7% | 191 円24 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,687 円341 億円 | 1,302 円165 億円 | +9.4% | +0.9% | 3,989 円506 億円 |
今の株価時価総額 3,645 円462 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 半導体装置の投資が高止まりし、取り分も広がる 利益 36 億円 · PER 16.7 倍 · 株価時価総額 4,673 円593 億円
AIを軸にした半導体の設備投資が10年にわたって高い水準を保つ。東京エレクトロン系の装置はメモリ以外にも広がり、スズデンは宮城のほか、九州の拠点向けの取引も広げる。FA機器の売上は、市場の伸びと取り分の拡大で今の1.9倍に達する。
電設資材はデータセンターの電源設備で伸び、売上は1.5倍になる。電子デバイスと情報通信は、組込機器の商流が太る。製造事業も黒字になる。
営業利益率は5.6%と、過去の山である6.5%を下回る水準に収まる。利益の大半は配当に回り、自己資本は小幅にしか増えない。それでも、純利益は今の2倍の35億円台になる。商社としては最良の10年だ。
- FA機器:数量 5,472(国内の電気制御機器の出荷(億円・実質)× 取り分の変化)× 価格 1.34(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 487 億円・営業利益 30 億円。市場 3,774 億円の実質 1.45 倍(市場 1.18 倍×取り分 1.23 倍)、営業利益率 6.2%
- 電設資材:数量 33,000(国内の電設資材の卸流通額(億円・実質)× 取り分の変化)× 価格 1.34(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 157 億円・営業利益 7 億円。市場の実質 1.10 倍、営業利益率 4.2%
- 電子デバイス・情報通信・製造:数量 20,250(産業向けの電子デバイス・IT機器の流通額(億円・実質)× 取り分の変化)× 価格 1.30(値段の指数(今=1.00。部品単価の下落を含む名目))→ 売上 178 億円・営業利益 9 億円。実質 1.35 倍、部品単価の下落で価格は物価より低い 1.30 倍、営業利益率 5.3%
倍率:事業の純利益 36 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.1% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.7 倍。全体の PER 16.69 倍、時価総額 592 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:山が何度も来て、取り分も広がり続ける必要がある。10年という長さを考えると、条件は厳しい。同じ領域のサンワテクノスと同じ8%に置いた。
やや楽観 21% FAと半導体装置の追い風が続く 利益 31 億円 · PER 16.1 倍 · 株価時価総額 3,938 円499 億円
製造業の人手不足で自動化投資が続き、国内の制御機器市場は実質で3割ほど増える。半導体装置向けの需要も、山と谷を繰り返しながら、均すと今期の予想に近い水準に落ち着く。スズデンは取り分を1割ほど広げる。
電設資材は、省エネ更新とデータセンターで実質1割強伸びる。電子デバイスと情報通信は、小さな客を直販に取られながらも、大口の技術案件で踏みとどまる。
営業利益率は5.3%。山の年に6%を超え、谷の年に4%に沈む波を均した値だ。純利益は31億円前後で、前期の1.8倍になる。配当は性向8割で出し続けるが、自己資本は少しずつ積み上がり、ROEは14%台に乗る。会社は規模を保ったまま、効率よく稼ぐ商社になる。
- FA機器:数量 5,019(国内の電気制御機器の出荷(億円・実質)× 取り分の変化)× 価格 1.34(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 447 億円・営業利益 26 億円。実質 1.33 倍(市場 1.20 倍×取り分 1.11 倍)、営業利益率 5.9%
- 電設資材:数量 32,200(国内の電設資材の卸流通額(億円・実質)× 取り分の変化)× 価格 1.34(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 154 億円・営業利益 6 億円。実質 1.07 倍、営業利益率 4.1%
- 電子デバイス・情報通信・製造:数量 18,500(産業向けの電子デバイス・IT機器の流通額(億円・実質)× 取り分の変化)× 価格 1.29(値段の指数(今=1.00。部品単価の下落を含む名目))→ 売上 162 億円・営業利益 8 億円。実質 1.23 倍、営業利益率 4.9%
倍率:事業の純利益 31 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.5% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.1 倍。全体の PER 16.11 倍、時価総額 499 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:自動化投資と半導体の設備投資が、均すと今より強い。会社の予想の上方修正が示す勢いを踏まえて、慎重な見方を少し下回る重みを置いた。
中立 34% 山と谷を均すと、今の予想より低い水準に落ち着く 利益 28 億円 · PER 15.7 倍 · 株価時価総額 3,456 円438 億円
今期の山を過ぎると、半導体装置の投資は数年かけて落ち着き、また次の山へ向かう。10年目の2036年3月期には、売上は物価の分と実質の伸びを合わせて、今の1.6倍の720億円ほどになる。
FA機器は市場が実質で1割強伸びるうえ、取り分も1割ほど広がる。電設資材は物価並みに伸び、電子デバイスと情報通信は部品単価の下落で価格が物価より伸びない。
営業利益率は5.0%。2022年から前期までの5期の平均より少し低く、過去の山である6.5%には届かない。純利益は28億円、配当性向80%の方針のもとで、10年に185億円を株主へ配る。自己資本は209億円に留まり、ROEは13%になる。会社は堅実に稼ぐが、特別に伸びる会社にはならない。
- FA機器:数量 4,733(国内の電気制御機器の出荷(億円・実質)× 取り分の変化)× 価格 1.34(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 422 億円・営業利益 24 億円。実質 1.25 倍(市場 1.12 倍×取り分 1.12 倍)、営業利益率 5.6%
- 電設資材:数量 31,500(国内の電設資材の卸流通額(億円・実質)× 取り分の変化)× 価格 1.34(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 150 億円・営業利益 6 億円。実質 1.05 倍、営業利益率 4.0%
- 電子デバイス・情報通信・製造:数量 17,250(産業向けの電子デバイス・IT機器の流通額(億円・実質)× 取り分の変化)× 価格 1.28(値段の指数(今=1.00。部品単価の下落を含む名目))→ 売上 150 億円・営業利益 7 億円。実質 1.15 倍、部品単価の下落で価格 1.28 倍、営業利益率 4.6%
倍率:事業の純利益 28 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.4% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.7 倍。全体の PER 15.65 倍、時価総額 438 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:半導体装置の投資は山と谷を繰り返す。均した利益は、会社の今期予想と過去5期の平均の間に来るとみる。商社の薄い取り分と、客の偏りを合わせた中心の筋書きだ。
やや悲観 24% 客と仕入先の力が強まり、取り分が削られる 利益 14 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 902 円114 億円
東京エレクトロン系が調達先を絞り、関連会社の分も含めて商社経由の購買が減る。オムロンなどのメーカーは直販サイトを広げ、小口の注文が商社を通らなくなる。スズデンの取り分は1割弱縮む。
市場自体は実質で横ばい、価格は競争で物価より低い伸びに留まる。全体の売上は550億円に届かない。電設資材は新築の減少に更新需要が追いつかず、電子デバイスは単価の下落で縮む。
営業利益率は3.4%。本社費や人件費は物価で膨らむのに、粗利が追いつかない。純利益は14億円で、前期の8割。配当は利益に連動して縮み、10年の累計で134億円に留まる。会社は黒字を保つが、誰からも注目されない存在になる。
- FA機器:数量 3,472(国内の電気制御機器の出荷(億円・実質)× 取り分の変化)× 価格 1.30(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 300 億円・営業利益 11 億円。実質 0.92 倍(取り分 0.92 倍)、価格は競争で 1.30 倍、営業利益率 3.6%
- 電設資材:数量 29,000(国内の電設資材の卸流通額(億円・実質)× 取り分の変化)× 価格 1.30(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 134 億円・営業利益 4 億円。実質 0.97 倍、営業利益率 3.2%
- 電子デバイス・情報通信・製造:数量 14,000(産業向けの電子デバイス・IT機器の流通額(億円・実質)× 取り分の変化)× 価格 1.22(値段の指数(今=1.00。部品単価の下落を含む名目))→ 売上 116 億円・営業利益 4 億円。実質 0.93 倍、価格 1.22 倍、営業利益率 3.5%
倍率:事業の純利益 14.3 億円・事業 ROE 7.4% は k 8% 以下なので、PER の上限は 1÷k=11.4 倍。成長も堀の持ちも低く見る筋書きなので、上限の約 70% の 8.0 倍に置いた。
確率:半導体装置メーカーの調達集約と、メーカー直販の広がりは、すでに起きている動き。10年のうちにどちらかが進む確度は高いとみて、中立より少し低い重みを置いた。
悲観 13% メーカー直販と主要顧客の調達集約で、商社の役割が縮む 利益 5 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 729 円92 億円
オムロンが販売店の絞り込みとオンライン直販の拡大に動き、FA機器の主力商品を直接客に売る。東京エレクトロン系は調達を本社に集約し、スズデンの取引は大幅に減る。FA機器の取り分は4分の3まで縮み、価格も競争で伸びない。
営業利益率は1.5%まで下がる。売上が減っても、営業所の賃借料や人件費は物価で膨らむ。固定費の重さが利益を削る。電設資材は地域の電材店に押され、電子デバイスは利益が消える。
純利益は5億円。配当は大きく縮み、10年で94億円に留まる。事業の稼ぐ力は57億円分で、純現金と運転資金の回収を足した95億円のほうが大きい。株主が手にするのは、事業の価値ではなく、資産の価値になる。
- FA機器:数量 2,717(国内の電気制御機器の出荷(億円・実質)× 取り分の変化)× 価格 1.22(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 220 億円・営業利益 4 億円。実質 0.72 倍(市場 0.95 倍×取り分 0.76 倍)、価格 1.22 倍、営業利益率 1.8%
- 電設資材:数量 26,000(国内の電設資材の卸流通額(億円・実質)× 取り分の変化)× 価格 1.25(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 116 億円・営業利益 2 億円。実質 0.87 倍、営業利益率 1.8%
- 電子デバイス・情報通信・製造:数量 11,000(産業向けの電子デバイス・IT機器の流通額(億円・実質)× 取り分の変化)× 価格 1.12(値段の指数(今=1.00。部品単価の下落を含む名目))→ 売上 83 億円・営業利益 1 億円。実質 0.73 倍、価格 1.12 倍、営業利益率 0.8%
倍率:事業の純利益 5 億円・事業 ROE は 2.8% と k 8% を大きく下回る。稼ぐ力は 5 億円÷k=約 57 億円で、売れる資産(約 95 億円)のほうが大きい。今の自己資本 168 億円に 0.55 倍を掛けた。優位を失う筋書きなので、ためた利益を帳簿の額で見ない。
確率:仕入先のオムロンの販売方針の転換と、主要顧客の調達集約が重なる複合の筋書き。主力の仕入先と大口の客に偏る小さな商社が、一度崩れると立て直しにくいことを踏まえて、サンワテクノスと同じ13%に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
FA機器
PLC・センサー・リレーなど工場の自動化に使う制御機器の販売。オムロン製品が中心で、売上の半分強を占める。
| 数量国内の電気制御機器の出荷(億円・実質)× 取り分の変化 | 価格値段の指数(今=1.00。物価込みの名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,774 | 1.00 | 251 | 12 |
| 10 年後 中立 | 4,733 | 1.34 | 422 | 24 |
取り方:開示はFA機器の売上 250.8 億円。数量は、日本電気制御技術工業会の 2025 年度の国内出荷見込み 3,774 億円を市場とし、スズデンの取り分を約 6.6% とした。セグメント別の営業利益は開示が無く、販売事業全体の利益率 4.6% から FA を 4.8% と推定した。
電設資材
照明・配電盤・配線器具・電線管などを工場・ビル向けに売る。売上の約 23%。
| 数量国内の電設資材の卸流通額(億円・実質)× 取り分の変化 | 価格値段の指数(今=1.00。物価込みの名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 30,000 | 1.00 | 107 | 4 |
| 10 年後 中立 | 31,500 | 1.34 | 150 | 6 |
取り方:開示は電設資材の売上 106.7 億円。数量は、国内の電設資材卸の市場を約 3 兆円と推定した(卸組合の会員年商 2.7 兆円と、外部の推計 3.6 兆円の間)。取り分は約 0.36%。利益率は開示が無く、全社より低い 3.9% と推定。
電子デバイス・情報通信・製造
電子デバイス、パソコン・組込ボードなどの情報通信、半導体装置向けフレームの製造をまとめた組。
| 数量産業向けの電子デバイス・IT機器の流通額(億円・実質)× 取り分の変化 | 価格値段の指数(今=1.00。部品単価の下落を含む名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 15,000 | 1.00 | 102 | 5 |
| 10 年後 中立 | 17,250 | 1.28 | 150 | 7 |
取り方:電子デバイス 53.9 億円、情報通信 43.2 億円、製造 4.5 億円の合計 101.6 億円。市場は産業向けの電子部品・組込機器・IT 機器の流通を約 1.5 兆円と推定(統計が見つからず概算)。取り分は約 0.68%。製造事業は前期 0.15 億円の赤字で、これを含めた利益を 4.65 億円と推定。全社の営業利益 20.7 億円との差は調整額。
リスクと懸念
主要顧客と半導体装置の景気への偏り
東京エレクトロン宮城が売上の10.1%を占める。関連会社を含めれば、さらに大きい。今期の利益は半導体装置の投資が増えたことに乗っており、投資が止まれば売上は2023年3月期の山からの落ち方と同じように、一気に細る。
仕入先オムロンへの依存とメーカー直販
FA機器の仕入れは、オムロンが軸になる。会社自身も有価証券報告書でこの依存を挙げている。オムロンはFAストアで直販を持ち、販売店の絞り込みに動けば、スズデンの取り分は大きく変わる。
山の利益を持続力と読み違える危うさ
今期の予想純利益27.8億円は、前期の1.6倍。これは景気の山であり、過去5期の平均である23億円を上回る。山の年の数字に平常時の倍率を掛けると、価値を実際より高く見てしまう。
配当を利益の8割に連動させる方針
配当性向80%の方針は、利益が増える年には配当も増えるが、減る年には配当も同じ割合で減る。2023年3月期から続く運営なので、減配の経験もある。安定した配当を期待して持つ会社ではない。
小さな会社の規模の弱さ
時価総額は約480億円と小さく、営業所は賃借で、人手不足の中で技術営業の人材を確保する費用も重くなる。大きな商社やメーカー系の商社と比べて、仕入れ条件の交渉力が弱い。
買収される側になる可能性
kabufuの推計では、10年以内にTOB(株式公開買付け)にかかる確率は18%。買収価格の上乗せ(プレミアム)は株主に利益だが、実現するかは不確かで、本質価値の判断には入れていない。
今後の分かれ目
- 半導体製造装置メーカーの設備投資が減速し、主要顧客の受注が落ち始めたら
- 山が過ぎたと見て、やや悲観の筋書きの確率を上げる。第2四半期の売上が会社の見込み312億円を割るかを最初の目安にする。
- 営業利益率が6%を超えた状態が2年以上続いたら
- 過去の山を超える利益の質が定着した可能性が出る。中立の営業利益率5.0%を上げ、楽観側へ確率を移す。
- オムロンが販売店の絞り込みや取引条件の変更を発表したら
- 悲観の筋書きが近づく。FA機器の取り分と利益率の前提を下げる。
- 自社株買いの方針を打ち出したら
- 余った現金の使い道が株主向けにはっきりする。配当性向80%に自社株買いが上乗せされるなら、還元の見方を引き上げる。
- 東京エレクトロン宮城向けの売上の割合が15%を超えたら
- 偏りが強まったと見て、不況時の落ち込みを深く見積もる。
- 買収提案(TOB)が出たら
- 提案の価格と、ならした利益から見た価値を比べて判断する。
見ておくもの
- 四半期ごとの売上と営業利益率(5%の上か下か)
- 東京エレクトロン宮城向けの売上の割合
- FA機器の売上と、日本電気制御技術工業会の国内出荷
- オムロンの販売店政策とオンライン直販の動き
- 配当性向80%の方針の維持と自社株買いの有無
倍率と資本コストの決め方
数量は、国内の制御機器の出荷・電設資材の卸流通・電子デバイスの流通の3つの市場に取り分を掛けて置き、数量は実質、価格は物価の指数にだけ入れた。倍率は資本コスト 8%(基本 7.5%+quality 1.25%)、g 4.0%、堀は普通として式から出し、楽観〜中立は上限の約 86〜90% に置いた。中立は 1÷k の下限を守る。会社が予想する今期の利益(PER 約 17 倍に当たる)には寄せていない。今期の山の利益は数年で落ちる前提で、10年はならした利益から置いた。悲観は稼ぐ力(5 億円÷k)より売れる資産の税後のほうが大きいため、今の自己資本に 0.55 倍を掛けた。新リース会計基準で営業所の賃借が貸借対照表に載っても、10年後の数字は家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.6→16.69 倍・やや楽観 PER 11.8→16.11 倍・中立 PER 11.5→15.65 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality を足した(決まり v2)。個別の事業リスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.00%。