結論
のむら産業は、お米を詰める袋と、精米工場でお米を量って袋に詰める機械を売る会社だ。米穀用の自動計量包装機では国内の首位にいる。筆者の結論は、今の値段はほぼ適正だ、というものだ。
この会社の強みは、機械と袋の組み合わせにある。精米工場に機械を入れると、その機械に合う袋を毎年買ってもらえる。機械は10年ほどで更新され、そのたびに次の機械も入れてもらえる。営業利益率は2025/10期に10%を超えた。
逆風もはっきりしている。日本人のお米の消費は、毎年少しずつ減る。袋の数も、長い目では減っていく。2026/10期の好調は、米価の高騰と機械の更新の山が重なった面があり、そのまま続くとはみない。
10年後の中立では、お米の量は1割強減るが、小さい袋への移り変わりと、買収した東和グラビヤ印刷の食品の袋で単価が上がる。営業利益は今より2割ほど多い約9億円になる。借入は無く、純現金は時価総額の半分近くある。確率を重ねた本質価値は、今の時価総額とほぼ同じだ。現金が株主に戻りにくい分と、今期の山の反動が、安く見える倍率を打ち消す。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、小さいが居心地の良い事業だ。
お米の袋と計量包装機は、目立たない市場だ。大きな会社が狙うほどの規模は無く、のむら産業は長い付き合いで顧客をつかむ。機械を入れた工場は、袋も買い続ける。この組み合わせが、毎年の売上を安定させる。
資本はほとんど要らない。袋は外の工場で作り、機械の工場も小さい。借入は無く、稼いだ現金は積み上がる。
弱みは、顧客の市場が縮むことだ。お米の消費は毎年減る。長く持つには、単価を上げ続けるか、お米の外に出る必要がある。東和グラビヤ印刷の買収は、その一歩だ。
経営の資本の使い方は、まだ評価が定まらない。現金は積み上がるが、還元は配当の25%だけだ。買収への対応方針も続ける。安全域は、純現金が時価総額の半分近くあることと、今の利益に対して倍率が低いことにある。
何で稼ぐ会社か
のむら産業は、包装関連事業を柱とする。2025/10期の売上71億円のうち、87%がこの事業だ。
一つめの柱は、包装資材だ。精米したお米を詰める袋を企画し、印刷会社や製袋会社に作ってもらって売る。顧客は、全国の米穀の卸、農協、精米工場、スーパーの精米の部門だ。袋のデザインや、鮮度を保つための材質まで提案する。2025/10期の売上は42億円だった。
二つめの柱は、包装機械だ。精米工場で、お米を決まった重さに量り、袋に詰めて口を閉じるまでを自動で行う機械を、自社で設計して作る。米穀用の自動計量包装機では国内の首位にいる。精米機の大手のサタケは株主でもあり、取引の相手だ。2025/10期の売上は20億円で、タイやベトナムにも納め始めた。
稼ぎ方の要は、機械と袋の組み合わせにある。機械を納めた工場は、その機械に合う袋を毎年買う。機械の保守と部品の販売も続く。
三つめの物流梱包事業は、子会社のパックウェルが通販の会社に緩衝材などを売る事業だ。2026年10月に中国の会社に6.5億円で売り、本業に絞る。11月には、袋を仕入れていた東和グラビヤ印刷を買い、袋の印刷と製袋を自社で行う。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、狭いが確かにある。
米穀用の計量包装機は、市場が小さく、新しく入ってくる会社が少ない。のむら産業は60年かけてお米の業界と付き合い、精米工場の細かい要望を知る。機械が工場に入ると、袋もその機械に合わせて選ばれる。顧客にとって、袋だけを別の会社に替える手間は小さくない。
一方、袋そのものは、他社でも作れる。印刷会社や製袋会社は全国にあり、値段で選ばれる場面も多い。原料の樹脂の値段が上がった時に、値段に転嫁できるかが利益を決める。2025年からの転嫁は、米価の高騰で顧客がゆとりを持った面もあった。
資本効率は高い。借入が無く、自己資本は小さいままで、ROEは20%前後だ。営業利益率は2021年の6%台から10%台に上がった。業務の効率化と、のれんの償却が終わった分が効いた。ただし、厚い現金が自己資本に積もるほど、ROEは下がっていく。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
顧客の米穀の業界は、長い下り坂にある。日本人一人あたりのお米の消費は、50年前の半分以下になった。人口も減る。主食用のお米の需要は年に約700万トンで、毎年1%前後ずつ減っている。
2024年から2025年にかけては、異例の年が続いた。お米が足りなくなり、値段は2倍近くに上がった。政府は備蓄米を放出し、外国産のお米も増えた。精米工場は、少ないお米を小さい袋に分けて売り、袋の数はむしろ増えた。この混乱が、のむら産業の好調を後押しした。
先の10年は、二つの力が引き合う。消費の量は減り続け、袋の数も長い目では減る。一方で、単身や高齢の世帯が増え、2キロや5キロの小さい袋への移り変わりが進む。袋1枚あたりの単価は高く、お米1トンあたりの袋の売上は増える。
精米工場の人手不足も追い風だ。量って詰める作業を自動にする機械の需要は、量が減っても消えない。工場の数が減って大きな工場に集まるほど、高い機械への更新が進む。東南アジアでは、精米の工場の機械化がこれから進む。
10年の中立では、お米の需要量は1割強減り、袋と機械の単価は物価と小袋化の分だけ上がる、と筆者は見る。
資本政策と M&A
還元は配当が中心で、配当性向は25%ほどを目安にする。自社株買いはほとんどしていない。2026/10期の配当は前の期より3割多い計画だ。
借入は無く、現金と預金は2025/10期末で23億円、2026年7月末で25億円ある。純現金は時価総額の半分近い。ただし、仕入先への支払いの猶予の分が厚く、その一部は事業を回すのに要る現金だ。
使い道は、買収だ。会社は、買収や業務の提携を積極的に進めると述べる。2026年は、袋を作る東和グラビヤ印刷を買い、物流梱包のパックウェルを売った。
株は、清川悦男社長が10.5%、精米機の大手のサタケが8.4%を持つ。親会社は無い。一方で、20%以上の買付けに手続きを求める、買収への対応方針を続けている。現金が株主に戻る道は、まだ細い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強気の見方は、小さな市場の首位と、厚い現金を買い場と見る。
お米の計量包装機は、市場が小さく、新しく入ってくる会社がいない。のむら産業は国内の首位で、機械を入れた精米工場に毎年袋を売る。機械と袋の組み合わせは、顧客が他社に替える手間を大きくする。営業利益率は5年で6%台から10%台に上がった。
お米の量は減るが、袋の数は減りにくい。単身と高齢の世帯が増え、小さい袋が増える。精米工場の人手不足で、量って詰める作業の自動化も進む。東南アジアの精米の工場には、これから機械が入る。
東和グラビヤ印刷の買収で、袋の印刷と製袋を自社で行う。外に払っていた利益を取り込める。物流梱包を売り、本業に集中する判断も筋が良い。
そして、借入は無く、純現金は時価総額の半分近い。今の倍率は、利益が伸び続けた会社としては低い。
会社の計画も、強気を支える。中期の計画の最終年度の営業利益の目標を、2年早く超えた。2026/10期は営業利益をさらに上方修正し、配当も3割増やす。お米の業界の混乱の中で、顧客の要望に素早く応えた結果だ。
慎重な見方
慎重な見方は、顧客の市場が縮むことと、今期の好調の中身を突く。
お米の消費は、50年かけて半分以下になった。人口が減る中で、この流れは変わらない。米価の高騰で、消費者はパンや麺にさらに移った恐れがある。袋と機械の需要の土台は、確実に細る。
2026/10期の好調は、異例の年の産物だ。お米が足りず、小さい袋に分けて売る動きと、値段の転嫁が重なった。機械の更新の山も重なった。山が過ぎれば、利益は下がる。
袋そのものは、他社でも作れる。東和グラビヤ印刷は売上13億円に対して利益が薄く、内製化の効果は確かではない。
現金は厚いが、株主には戻らない。配当性向は25%で、自社株買いは無い。買収への対応方針も続ける。純現金は、少数の株主にとって半分の価値しかないかもしれない。
さらに、袋の原料の樹脂の値段は、原油と為替で大きく動く。2026年は中東の情勢で原料が上がり、転嫁は顧客のゆとりに助けられた。米価が下がれば、顧客は袋の値上げを受け入れにくくなる。利益率は、山の水準から下がる恐れが強い。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は、小さな市場の首位と、機械と袋の組み合わせを正しく見ている。慎重な見方は、お米の消費の長い減少と、今期の山の反動という動かしにくい事実に立つ。
そこで、2026/10期の山を起点にせず、2025/10期から積んだ。中立を厚くし、強気の側を慎重な側より少し重くした。現金は戻り方を半分に見た。今期の山を割り引くと、今の値段はほぼ適正に落ち着く。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/10 期)
確率で加重した株価時価総額 10,795 円143 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,226 円16 億円)。 今の値に割り戻すと 6,092 円81 億円、今との差 +65.1%、 期待の年率 +12.5%(資本コスト 7.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 16,764 円222 億円 | 1,665 円22 億円 | +399.4% | +17.4% | 2,211 円29 億円 |
| やや楽観 | 23% | 13,997 円185 億円 | 1,438 円19 億円 | +318.3% | +15.4% | 3,550 円47 億円 |
| 中立 | 35% | 11,850 円157 億円 | 1,211 円16 億円 | +253.9% | +13.5% | 4,571 円60 億円 |
| やや悲観 | 20% | 6,333 円84 億円 | 984 円13 億円 | +98.3% | +7.1% | 1,463 円19 億円 |
| 悲観 | 10% | 1,506 円20 億円 | 757 円10 億円 | −38.7% | −4.8% | 226 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 10,795 円143 億円 | 1,226 円16 億円 | +225.8% | +12.5% | 12,022 円159 億円 |
今の株価時価総額 3,690 円49 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 12% 小袋化と機械の更新、東南アジアで伸びる 利益 9 億円 · PER 23.9 倍 · 株価時価総額 16,764 円222 億円
お米の値段が落ち着き、外食と中食の需要と輸出で、主食用のお米の需要量は650万トンで止まる。単身と高齢の世帯で小さい袋が当たり前になり、お米1トンあたりの袋の売上は物価以上に上がる。
東和グラビヤ印刷を土台に、お米の外の食品の袋の顧客が広がる。印刷と製袋を自社で行い、資材の利益率は10%に上がる。
機械は、精米工場の人手不足で自動化の更新が続く。タイとベトナムを足がかりに、東南アジアの精米の工場にも機械が入る。機械の利益率は16%だ。
営業利益は12億円台に乗り、純利益は約9億円になる。現金は積み上がり、次の買収にも使う。
- 包装資材(精米袋、2027/10期から東和グラビヤ印刷の食品の袋を含む):数量 650(主食用米の需要量(万トン))× 価格 1,100(お米1トンあたりの袋の売上(円))→ 売上 72 億円・営業利益 7 億円。需要量650万トン、単価1.86倍(物価1.34倍、小袋化、東和の食品の袋)、利益率10%
- 包装機械(米穀用の自動計量包装機と保守):数量 650(主食用米の需要量(万トン))× 価格 520(お米1トンあたりの機械と保守の売上(円))→ 売上 34 億円・営業利益 5 億円。単価1.82倍(物価、自動化の更新、東南アジア)、利益率16%
- 物流梱包事業(パックウェル、2026年10月に売却):数量 0.0(事業の数)× 価格 1,227(1事業あたりの売上(百万円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年10月に売却
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 41.8% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 24.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 23.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 23.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)5 億円。全体の PER 23.94 倍、時価総額 215 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:お米の消費が下げ止まり、機械の海外の販売が育つには、いくつもの条件が要る。2026/10期の好調が続く姿は1割強とみた。
やや楽観 23% 東和の内製化が効き、利益が少しずつ伸びる 利益 8 億円 · PER 23.6 倍 · 株価時価総額 13,997 円185 億円
主食用のお米の需要量は、年に1%弱ずつ減り、630万トンになる。小さい袋への移り変わりは続き、袋1枚あたりの単価は上がる。
東和グラビヤ印刷で袋の印刷と製袋を自社で行い、外に払っていた利益を取り込む。お米の外の食品の袋も少しずつ増える。資材の利益率は9%を保つ。
機械は、精米工場の自動化と更新で売上が伸びる。海外の納入も年に数件ずつ増える。機械の利益率は15%だ。
営業利益は約10.5億円、純利益は約7.5億円になる。配当は利益の25%ほどで続き、残りの現金は積み上がる。
買収への対応方針は続くが、自社株買いも少しずつ始める。
- 包装資材(精米袋、2027/10期から東和グラビヤ印刷の食品の袋を含む):数量 630(主食用米の需要量(万トン))× 価格 1,050(お米1トンあたりの袋の売上(円))→ 売上 66 億円・営業利益 6 億円。需要量630万トン、単価1.77倍(物価、小袋化、東和)、利益率9%
- 包装機械(米穀用の自動計量包装機と保守):数量 630(主食用米の需要量(万トン))× 価格 480(お米1トンあたりの機械と保守の売上(円))→ 売上 30 億円・営業利益 5 億円。単価1.68倍(物価、更新、海外)、利益率15%
- 物流梱包事業(パックウェル、2026年10月に売却):数量 0.0(事業の数)× 価格 1,227(1事業あたりの売上(百万円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年10月に売却
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 38.1% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 22.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 23.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 23.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)5 億円。全体の PER 23.55 倍、時価総額 178 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社は3年後に営業利益9億円超を目指し、2026/10期はそれを先取りした。東和の内製化で利益率を保つ姿は十分ありうる。2割強に置いた。
中立 35% お米は1割強減るが、小袋化と東和で単価が上がる 利益 6 億円 · PER 23.2 倍 · 株価時価総額 11,850 円157 億円
主食用のお米の需要量は、10年で1割強減り610万トンになる。2026/10期の米価の高騰と機械の更新の山は落ち着き、利益はいったん下がる。
その後は、小さい袋への移り変わりで、お米1トンあたりの袋の売上が物価以上に上がる。東和グラビヤ印刷のお米の外の食品の袋も加わる。ただし、東和の利益率は低く、資材の利益率は8.5%に少し下がる。
機械は、精米工場が大きな工場に集まる中で、自動化の更新が続く。海外の納入は少しずつ増える。機械の利益率は14%だ。
営業利益は約9億円、純利益は約6.4億円になる。借入は無いまま、現金は積み上がる。配当は利益の25%ほどで続く。
- 包装資材(精米袋、2027/10期から東和グラビヤ印刷の食品の袋を含む):数量 610(主食用米の需要量(万トン))× 価格 1,015(お米1トンあたりの袋の売上(円))→ 売上 62 億円・営業利益 5 億円。需要量610万トン、単価1.71倍(物価1.34倍、小袋化5%、東和の社外の売上)、利益率8.5%
- 包装機械(米穀用の自動計量包装機と保守):数量 610(主食用米の需要量(万トン))× 価格 444(お米1トンあたりの機械と保守の売上(円))→ 売上 27 億円・営業利益 4 億円。単価1.55倍(物価、自動化と海外)、利益率14%
- 物流梱包事業(パックウェル、2026年10月に売却):数量 0.0(事業の数)× 価格 1,227(1事業あたりの売上(百万円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年10月に売却
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 34.7% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 21.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 23.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 23.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)5 億円。全体の PER 23.15 倍、時価総額 150 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:お米の消費の減少は止まらないが、小袋化と自動化の需要は確かだ。2026/10期の山から戻り、物価並みに少し伸びる姿がいちばん起こりやすいとみた。
やや悲観 20% お米の消費の減少が速まり、袋の値段の競争が強まる 利益 4 億円 · PER 18.0 倍 · 株価時価総額 6,333 円84 億円
米価の高騰をきっかけに、パンや麺に移った消費者が戻らない。主食用のお米の需要量は10年で2割減り、560万トンになる。
袋は、印刷会社や製袋会社との値段の競争が強まる。東和グラビヤ印刷の工場は稼働が上がらず、資材の利益率は7%に下がる。
機械は、精米工場の数が減り、更新の間隔も延びる。海外の販売は伸び悩む。機械の利益率は11%だ。
営業利益は約6億円、純利益は約4.2億円になる。現金は積み上がるが、使い道の買収はうまくいかない。
配当は利益の25%ほどで続くが、増やす余力は小さい。ROEは厚い現金に薄まり、資本コストを下回る。
- 包装資材(精米袋、2027/10期から東和グラビヤ印刷の食品の袋を含む):数量 560(主食用米の需要量(万トン))× 価格 900(お米1トンあたりの袋の売上(円))→ 売上 50 億円・営業利益 4 億円。需要量560万トン、単価1.52倍、利益率7%
- 包装機械(米穀用の自動計量包装機と保守):数量 560(主食用米の需要量(万トン))× 価格 380(お米1トンあたりの機械と保守の売上(円))→ 売上 21 億円・営業利益 2 億円。単価1.33倍、利益率11%
- 物流梱包事業(パックウェル、2026年10月に売却):数量 0.0(事業の数)× 価格 1,227(1事業あたりの売上(百万円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年10月に売却
倍率:純利益約4.2億円、ROEは資本コストを下回る。上限は1÷kの約11.8倍。ためた利益の価値が額面を下回る分を見て18.01倍。
確率:米価の高騰で消費者のお米離れが進む恐れがあり、2026/10期の好調の反動も大きい。袋の値段の競争が強まる筋書きは2割に置いた。
悲観 10% お米の需要が大きく減り、袋と機械の利益が細る 利益 2 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 1,506 円20 億円
構造的に負ける筋書きだ。主食用のお米の需要量は3割余り減り、480万トンになる。外国産のお米が増え、海外で精米して袋に詰めた商品も店に並ぶ。国内の精米工場は減り、袋と機械の需要がともに細る。
袋は値段の叩き合いになり、東和グラビヤ印刷の工場は重荷になる。資材の利益率は4%だ。機械は更新の需要しか残らず、利益率は6%に落ちる。
営業利益は2.5億円ほど、純利益は約1.9億円になる。現金は残るが、失敗した買収に一部を使う。
株主に残るのは、積み上がった現金と、細った事業の稼ぐ力だけになる。配当は今の額を保つのがやっとで、増配は止まる。
- 包装資材(精米袋、2027/10期から東和グラビヤ印刷の食品の袋を含む):数量 480(主食用米の需要量(万トン))× 価格 800(お米1トンあたりの袋の売上(円))→ 売上 38 億円・営業利益 2 億円。需要量480万トン、単価1.35倍、利益率4%
- 包装機械(米穀用の自動計量包装機と保守):数量 480(主食用米の需要量(万トン))× 価格 330(お米1トンあたりの機械と保守の売上(円))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。単価1.15倍、利益率6%
- 物流梱包事業(パックウェル、2026年10月に売却):数量 0.0(事業の数)× 価格 1,227(1事業あたりの売上(百万円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年10月に売却
倍率:純利益約1.9億円、ROEは資本コストを大きく下回る。稼ぐ力の価値は純利益÷kで約22億円。それを少し下回る9.5倍。
確率:外国産のお米の輸入が増え、海外で精米して袋詰めした商品が入ると、国内の精米工場の仕事が減る。構造的に負ける道は1割とみた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
包装資材(精米袋、2027/10期から東和グラビヤ印刷の食品の袋を含む)
精米したお米を詰める袋を企画して売る。2026年11月からは袋の印刷と製袋を自社で行う。
| 数量主食用米の需要量(万トン) | 価格お米1トンあたりの袋の売上(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/10 | 705 | 593 | 42 | 4 |
| 10 年後 中立 | 610 | 1,015 | 62 | 5 |
取り方:包装資材の売上41.77億円は短信のセグメントの分解。主食用米の需要量を約705万トンとし、1トンあたりの売上を出した。資材と機械の利益の分け方は非開示で、資材の利益率を9%と推定した。
包装機械(米穀用の自動計量包装機と保守)
精米工場でお米を量り、袋に詰めて口を閉じる機械を設計して作り、保守と部品も売る。
| 数量主食用米の需要量(万トン) | 価格お米1トンあたりの機械と保守の売上(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/10 | 705 | 286 | 20 | 3 |
| 10 年後 中立 | 610 | 444 | 27 | 4 |
取り方:包装機械の売上20.18億円は短信のセグメントの分解。需要量705万トンで割って1トンあたりの売上を出した。利益は包装関連の6.80億円から資材の推定を引いた残りで、利益率は約15%。
物流梱包事業(パックウェル、2026年10月に売却)
通販や物流の会社に緩衝材や紙テープと梱包の機械を売る。2026年10月27日に全株を売る予定。
| 数量事業の数 | 価格1事業あたりの売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/10 | 1.0 | 916 | 9 | 1 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 1,227 | 0 | 0 |
取り方:物流梱包事業の売上9.16億円と利益0.74億円は短信の開示。パックウェルの売却で10年後はゼロ。
リスクと懸念
お米の消費の減少
主食用のお米の需要は、毎年1%前後ずつ減る。米価の高騰で消費者がほかの主食に移れば、減り方は速まる。袋と機械の需要の土台が細る。
2026/10期の山の反動
2026/10期は、米価の高騰による値段の転嫁と、機械の更新の山が重なった。来期以降は売上と利益がいったん下がる恐れがある。
原料の値段と袋の競争
袋の原料は樹脂と紙で、値段は原油と為替で動く。値段の転嫁が遅れれば、利益率は下がる。袋は他社でも作れ、値段の競争になりやすい。
買収の成否
東和グラビヤ印刷は売上13億円に対して利益が薄い。内製化の効果が出なければ、資材の利益率を押し下げる。積み上がった現金を高い値段の買収に使う恐れもある。
外国産のお米の増加
外国産のお米の輸入が増え、海外で精米して袋に詰めた商品が増えると、国内の精米工場の仕事が減る。
今後の分かれ目
- 包装機械の売上が2期続けて25億円を超え、海外の売上が増えた
- 自動化と海外の需要が根付いた合図だ。やや強気の筋書きの確率を上げる。
- 東和グラビヤ印刷を入れた後も、包装関連の利益率が10%を保った
- 内製化が効いている。中立から、やや強気に寄せる。
- 主食用のお米の需要量が年2%以上減った
- 消費者のお米離れが速まった。慎重な筋書きの確率を上げる。
- 自社株買いを始めた、または配当性向を4割以上に上げた
- 積み上がった現金が株主に戻り始めた。戻り方を0.75以上に上げる。
- 大きな買収を発表した
- 値段と相手の利益率を見て、現金の使い方の良し悪しを判断する。
見ておくもの
- 主食用米の需要量(農林水産省)
- 包装資材と包装機械の売上
- 包装関連の利益率
- 東和グラビヤ印刷の売上と利益
- 純現金と配当性向
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。中立は事業のROEが資本コスト7.5%を大きく上回るが、お米の量が年1%強減るので、上限の正当化PERの7割ほどの12倍に置いた。今の株価や、今のPER、PBRの推移、同業の値付けは倍率の根拠に使っていない。2026/10期の好調は10年の起点にせず、2025/10期の実績から積んだ。資材と機械の利益の分け方は推定だ。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14→23.94 倍・やや楽観 PER 13→23.55 倍・中立 PER 12→23.15 倍・やや悲観 PER 10→18.01 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にquality +1%を足した8.5%。買収への対応方針は戻り方で見た。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 7.50%。