結論
ビューティガレージは、美容サロンが仕入れを済ませるネット通販を運営する会社だ。化粧品、美容機器、店舗の什器まで扱い、サロンの開業支援や店舗設計も手がける。売上は約 380 億円、営業利益は約 15 億円。筆者の結論は「ほぼ適正」だ。成長の実績は強いが、利益率が 10 年間ほとんど上がらなかった点が、今の値段との差を縮めている。
強みは、サロンの仕入れの入口を押さえたことだ。登録事業主は約 74 万に上り、売上の 9 割近くがネット経由である。10 年で売上は 5 倍に伸びた。ただし営業利益率は 5% 前後のまま、直近は新物流拠点の立ち上げ費用で 4.0% に下がった。
2027 年 4 月期の会社予想は、営業利益 22 億円と 4 割増だ。物流の費用が落ち着く前提である。2030 年 4 月期に売上 620 億円、経常利益 40 億円(経常利益率 6.5%)という中期計画も掲げる。筆者はこの利益率が、過去の最高 5.9% を超えるため、10 年の中立では届かないと見る。
10 年の中立は、物販の取扱量が 1.65 倍になり、営業利益率が 5% 台前半で定着する姿に置いた。ROE は 13% で資本コストを上回る。それでも倍率は式の上限の 9 割にとどめた。成長の確かさと、競争で利益率が削られるリスクが、ほぼ釣り合っている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず事業の中身が分かりやすい。サロンが毎月使う消耗品を、ネットで速く安く届ける。需要は景気に左右されにくく、10 年後も続く。ただし、商品の多くは他社でも買えるので、堀は深くない。粗利益率が 24% 台と低いことが、その証拠だ。
オーナー利益、つまり株主が自由にできる利益は、純利益 9 億円から、成長のための物流投資と運転資金を引いた額に近い。売上が伸びる間は在庫と売掛金が増え、利益のほとんどが事業に残る。時価総額は 204 億円で、今期予想の純利益の 15 倍だ。成長が止まっても払える値段ではなく、成長の確かさにお金を払う値段である。
資本の配分は、これまで投資を優先してきた。柏の新拠点に十数億円を投じ、利益が一時的に下がった。この投資が稼ぎを生むかは、2027 年 4 月期の営業利益 22 億円で確かめられる。筆者は、安全域は薄いが、成長の実績の分だけ割高ではないと考える。
何で稼ぐ会社か
事業は三つに分かれる。物販事業が売上 312 億円(営業利益 12 億円)で全体の 8 割を占める。店舗設計事業が 39 億円(利益 2 億円)、ソリューション事業が 31 億円(利益 3 億円)だ。
物販は、サロン向けの美容商材のネット通販「BEAUTY GARAGE Online Shop」が中心である。化粧品・材料が 203 億円、美容機器が 104 億円、金属スチール家具が 5 億円。ネット経由の売上は 277 億円で、全体の 89% に当たる。メーカーの商品に加え、海外の工場で作らせた自社ブランドの商品を、中間の流通を通さずにサロンへ直接売る。この点が、従来のルートセールス中心の美容ディーラーと違う。
店舗設計は、美容サロンやクリニック、飲食店の設計と施工を受ける。東京、名古屋、大阪など 7 都市に拠点がある。ソリューション事業は、居抜き物件の仲介、店舗リース、開業資金の調達支援、保険、決済、講習会など、開業から運営までを支える。物販でサロンの顧客基盤を作り、そこへ店舗とお金とシステムを売る構図だ。
物流は千葉県柏市に二つ、兵庫県尼崎市に一つの拠点がある。2025 年 5 月に自動化設備を備えた柏フルフィルメントセンターが開設し、保管能力は従来の 2.6 倍、出荷能力は 2.8 倍になった。連結子会社と持分法適用会社は 19 社。2025 年にスパガレージ(旧サウナガレージ)とメディカルガレージ(旧アルク)をグループに加えた。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、普通の水準と筆者は見る。サロンの購買データとネットの利便性、自社ブランドの粗利、物流の規模という三つが土台だ。アクティブな顧客は約 21 万口座、うち毎年買うロイヤルな顧客が約 9 万口座いる。一度仕入れの習慣がついたサロンは、簡単には動かない。
ただ、商品は多くが他社でも買える。価格はネットで比べられ、粗利益率は 24% 台と低い。直近は新物流拠点の並行稼働で、支払送料と派遣費用が膨らんだ。売上が 5 倍になっても営業利益率が上がらなかったのは、成長のために費用を先に使ってきたからだ。
資本効率は高い。ROE は過去 10 年の中央値が 13.9%、自己資本比率は 45%、純現金が約 5 億円ある。借入は設備投資のために増えたが、軽い。店舗リースの転貸は金融の機能を持ち、貸倒れの目配りが要る。
経営は、代表取締役会長兼 CEO の野村秀輝氏への依存を、会社自身がリスクに挙げる。2025 年から代表取締役を 2 人体制にして、権限の委譲を進めている。野村氏は発行済株式の約 23% を持つ筆頭株主だ。
従業員は連結で 425 人と少なく、1 人あたりの売上は大きい。ネットで受け付け、倉庫で出す仕組みが、人手を抑えている。反面、物流の現場は派遣と臨時の人手に頼る部分が大きく、賃金の上昇が直接効く。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の美容サロンの数は増えも減りもしない成熟市場だ。厚生労働省の統計では、2024 年 3 月末の美容所は約 27 万 4 千、前年度比 1.5% の増加。理容所は約 11 万で 1.9% 減った。人口は減るが、美容室は個人の開業が続き、数は高止まりしている。一方で、サロンの倒産は 2024 年に 1〜11 月で 107 件と、前年同期より 37% 増えた。
会社は、サロン向けの仕入れの市場を約 6,300 億円と見て、自社のシェアを 5% 強とする。サロン 1 軒あたり年間 230 万円の仕入れを積むと、この大きさになる。筆者の推定でも、市場の大きさは数千億円で、数量は実質で横ばいに近い。シェアの上昇が、成長の中身になる。
競合は三つのタイプに分かれる。メーカーが営業担当を通じて売る従来の美容ディーラー、メーカーによる直販、そして総合通販だ。ネットの価格比較が進むほど、サロンは安い仕入れ先に移りやすい。逆に、物流が速く、品ぞろえが広く、開業支援まで揃う会社は、サロンが離れにくい。
会社はフィットネス、整骨院、温浴施設、動物病院、美容クリニックへの拡大も掲げる。この領域まで含めた潜在市場は 1 兆 4,500 億円と試算する。ただし、まだ売上の実績は小さく、10 年の中立には少ししか入れていない。
循環の位置は、サロンの開業と消耗品の購入がともに安定した局面だ。物価の上昇は商品の値上げとして通りやすく、数量の伸びはシェアで決まる。再編では、美容ディーラーの統合や、メーカーによるサロン向け直販の強化が考えられる。ビューティガレージ自身が買う側に回る場面もありうる。
資本政策と M&A
配当は業績に連動させる方針で、配当性向は 2026 年 4 月期で 22%、次期は増配を予定する。中期計画は配当性向 20% 超を掲げ、獲得した利益は投資に回して成長を取るという姿勢だ。自社株買いはしていない。成長が落ち着くにつれて、還元は厚くなると見て置いた。
大株主は、野村秀輝氏(23.3%)、供田修一氏(8.2%)、日本マスタートラスト信託銀行(6.9%)、SIX SIS(5.2%)、TAKUMI CAPITAL(4.8%)など。上位 10 社で 64% を占める。野村氏が筆頭株主で、買収されにくい。
M&A は買う側で、小さな会社を積み重ねている。2025 年 2 月にカラログを持分法適用会社にし、同年 5 月にスパガレージ、12 月にメディカルガレージを子会社にした。取得額とのれんは開示が小さく、規模は大きくない。のれんの残りは約 1 億円で、償却は約 0.7 億円だ。
減価償却は物価で増やさない。今ある設備の償却は取得した時の値段のままで、増えるのは更新と新規の分だけだ。償却は 2027 年 4 月期の約 4 億円が、10 年後に約 10 億円。柏の自動化設備は 10 年先に更新の時期を迎え、建築費と機械の値上がりで更新の投資は膨らむ。会計の利益と現金の動きは同じ向きに動かない。
財務は軽い。有利子負債は 30 億円で、現金は 35 億円ある。前受金と契約負債が 15 億円あり、現金の一部は顧客からの預かりなので、余った現金とは見ていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社は、10 年で売上を 5 倍にした。ネットで美容サロンの仕入れを一手に引き受ける仕組みは、他社が簡単にまねできない。登録事業主は約 74 万、アクティブな顧客は約 21 万口座で、まだ伸びている。市場全体は数千億円あり、シェアは 5% 強にすぎない。取り込む余地は大きい。
利益率が上がらなかったのは、費用を先に使ったからだ。柏フルフィルメントセンターは能力が従来の 2.8 倍になり、新しい拠点の立ち上げ費用は 2026 年 4 月期で一巡した。2027 年 4 月期の会社予想は営業利益 22 億円で、過去最高になる。第 1 四半期は経常利益が 88% 増えた。
ソリューション事業も伸びている。売上は 25% 増の 31 億円で、店舗リース、保険、決済が積み上がる。開業の支援から運営までを一括で受ける企業は少ない。フィットネスや整骨院にも広がれば、潜在市場は 1 兆円を超える。自己資本比率は 45% で、財務は軽い。
慎重な見方
利益率の実績が重い。10 年間で売上が 5 倍になっても、営業利益率は 5% 前後のまま、直近は 4.0% に下がった。中期計画の経常利益率 6.5% は、一度も達成していない水準だ。売上総利益率は 24% 台と低く、人件費と物流費が上がれば、すぐに削られる。
競争も厳しい。商品の多くは他社でも買え、ネットでは価格が比べられる。大手の総合通販やメーカーの直販が本気で参入すれば、値引きが避けられない。AI が仕入れ先を比べて発注する時代には、独自サイトへの囲い込みも効きにくい。
市場の中身も弱い。サロンの数は横ばいで、倒産が増えている。店舗リースの転貸は、サロンの貸倒れを抱える。解約できない賃借料の約束は 44 億円あり、売上が落ちても残る。野村氏への依存と、小さな会社の買収を重ねる経営は、判断を誤るリスクがある。
今期予想の営業利益 22 億円は、物流費が落ち着く前提の数字だ。並行稼働の費用が一巡しても、人件費と運賃の上昇は止まらない。会社の予想が外れた年は、成長の物語そのものが疑われる。
どちらに重みを置いたか
成長の実績と、サロンの購買の入口を握る位置は、強気の見方が正しい。ただし、利益率が 10 年上がらなかった実績と、競争で値段が下がるリスクは、慎重な見方が重い。中立は、物販の取扱量が 1.65 倍になり、営業利益率が 5% 台前半で定着する筋書きに置いた。確率は中立を最も厚くし、悲観側を楽観側より少し重く寄せた。また、会社の予想が出発点として実現するかは、2027 年 4 月期の決算で確かめられる。確かめられれば、強気の見方の確率を上げる余地がある。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/04 期)
確率で加重した株価時価総額 3,566 円447 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 611 円77 億円)。 今の値に割り戻すと 2,202 円276 億円、今との差 +41.4%、 期待の年率 +10.4%(資本コスト 7.2%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 7,235 円908 億円 | 988 円124 億円 | +428.1% | +18.1% | 576 円72 億円 |
| やや楽観 | 21% | 5,804 円728 億円 | 837 円105 億円 | +326.5% | +15.6% | 1,395 円175 億円 |
| 中立 | 38% | 4,011 円503 億円 | 670 円84 億円 | +200.6% | +11.6% | 1,779 円223 億円 |
| やや悲観 | 23% | 1,224 円154 億円 | 391 円49 億円 | +3.7% | +0.4% | 371 円47 億円 |
| 悲観 | 11% | 319 円40 億円 | 199 円25 億円 | −66.7% | −10.4% | 57 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,566 円447 億円 | 611 円77 億円 | +168.3% | +10.4% | 4,177 円524 億円 |
今の株価時価総額 1,557 円195 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 7% 美容の仕入れの入口を握り、利益率も上がる 利益 46 億円 · PER 19.7 倍 · 株価時価総額 7,235 円908 億円
美容業界の仕入れの入口を、ほぼ握る筋書きだ。サロンの登録は 74 万事業主を超えて広がり、化粧品・材料の取扱いは自社ブランドを軸に伸びる。物流は柏と尼崎の自動化で 1 件あたりの費用が下がり、利益率が過去最高を超える。店舗リースと開業支援が定着し、サロンの開業から運営までを一括で受ける。フィットネスや整骨院、クリニックなど隣の業界にも広がり、取扱量は 2 倍を超える。買収した会社も利益に貢献する。会社は成長が落ち着くにつれて配当性向を引き上げ、10 年後には 5 割に近づく。
(名目の前提)商品の値段・施工費・手数料は物価に連れて上がる。取扱量は実質(物の数・施工の量)で置いた。人件費と物流費も同じ速さで上がるので、利益率は物価で勝手に下がらない。
(自己資本の流れ)前期の純利益 9 億円から流し、2027 年 4 月期は会社予想の 14 億円に置いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備(柏フルフィルメントセンターの自動化設備が中心)は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で 8 年に按分した。償却は 2027 年 4 月期の約 4 億円が 10 年後に約 15 億円(物価で一律に増やすと約 5.6 億円)。成長のための投資が大きく、償却は物価の一律増を大きく上回る。
- 物販(美容サロン向け EC・化粧品・美容機器):数量 230(取扱量の指数(化粧品・材料・機器の実質の販売量。2026/04 期=100))× 価格 4.30(億円/指数 1(売上を取扱量の指数で割った実効単価))→ 売上 990 億円・営業利益 54 億円。取扱量2.30倍・価格1.38倍・利益率5.5%・償却は物価で増やさず按分(全社の10年後 15億円)
- 店舗設計:数量 200(施工量の指数(案件の件数と規模。2026/04 期=100))× 価格 0.57(億円/指数 1(売上を施工量の指数で割った実効単価))→ 売上 114 億円・営業利益 8 億円。取扱量2.00倍・価格1.45倍・利益率7.0%
- ソリューション(店舗リース・開業支援・保険・決済ほか):数量 300(取扱量の指数(リース件数・保険契約・決済などの取扱い。2026/04 期=100))× 価格 0.41(億円/指数 1(売上を取扱量の指数で割った実効単価))→ 売上 124 億円・営業利益 17 億円。取扱量3.00倍・価格1.34倍・利益率13.5%
倍率:事業の純利益 46 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.0% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.1%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.7 倍。全体の PER 19.73 倍、時価総額 908 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:利益率が過去の最高 5.9% を超えて定着する必要がある。10 年で売上が 5 倍近くなっても利益率は上がらなかった実績から、1 割に満たない確率に置いた。
やや楽観 21% 中期計画の線に近づく 利益 38 億円 · PER 19.2 倍 · 株価時価総額 5,804 円728 億円
中期計画の線に近いところまで進む筋書きだ。物販は自社ブランドと化粧品の拡大で伸び、サロンあたりの購入額も増える。店舗設計は開業の増減に左右されるが、施工量は 8 割増える。ソリューション事業は店舗リースと保険、決済で 2.6 倍になる。物流の費用が落ち着き、営業利益率は 6% 前後で定着する。ただし、過去の最高 5.9% を超える分は、物流の自動化の効果が出た場合だけだ。配当性向は段階的に上がる。
(名目の前提)商品の値段・施工費・手数料は物価に連れて上がる。取扱量は実質(物の数・施工の量)で置いた。人件費と物流費も同じ速さで上がるので、利益率は物価で勝手に下がらない。
(自己資本の流れ)前期の純利益 9 億円から流し、2027 年 4 月期は会社予想の 14 億円に置いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備(柏フルフィルメントセンターの自動化設備が中心)は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で 8 年に按分した。償却は 2027 年 4 月期の約 4 億円が 10 年後に約 13 億円(物価で一律に増やすと約 5.6 億円)。投資は内部の資金と借入で賄える。
- 物販(美容サロン向け EC・化粧品・美容機器):数量 195(取扱量の指数(化粧品・材料・機器の実質の販売量。2026/04 期=100))× 価格 4.24(億円/指数 1(売上を取扱量の指数で割った実効単価))→ 売上 827 億円・営業利益 45 億円。取扱量1.95倍・価格1.36倍・利益率5.4%・償却は物価で増やさず按分(全社の10年後 13億円)
- 店舗設計:数量 180(施工量の指数(案件の件数と規模。2026/04 期=100))× 価格 0.56(億円/指数 1(売上を施工量の指数で割った実効単価))→ 売上 100 億円・営業利益 7 億円。取扱量1.80倍・価格1.42倍・利益率6.5%
- ソリューション(店舗リース・開業支援・保険・決済ほか):数量 260(取扱量の指数(リース件数・保険契約・決済などの取扱い。2026/04 期=100))× 価格 0.41(億円/指数 1(売上を取扱量の指数で割った実効単価))→ 売上 107 億円・営業利益 14 億円。取扱量2.60倍・価格1.34倍・利益率13.0%
倍率:事業の純利益 38 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.5% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.4%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.2 倍。全体の PER 19.16 倍、時価総額 728 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の中期計画(2030 年 4 月期に売上 620 億円・経常 40 億円)に近い線。成長の実績は強いが、利益率の実績が足りないので 2 割強に抑えた。
中立 38% 中立:シェアを広げ、利益率は5%台前半で定着 利益 28 億円 · PER 18.0 倍 · 株価時価総額 4,011 円503 億円
物販が市場の伸びを超えて広がり、利益率は 5% 台前半で定着する筋書きだ。サロンの数は横ばいだが、登録が増え、化粧品と材料の購入が EC に移る。シェアは 5% 強から 8% 前後へ上がり、物販の取扱量は 1.65 倍になる。店舗設計は 1.6 倍、ソリューションは 2.2 倍だ。物流は新拠点が安定稼働し、費用が落ち着く。それでも人件費と物流費の上昇で、中期計画の経常利益率 6.5% には届かない。配当性向は 22% から 5 割へ段階的に上がる。
(名目の前提)商品の値段・施工費・手数料は物価に連れて上がる。取扱量は実質(物の数・施工の量)で置いた。人件費と物流費も同じ速さで上がるので、利益率は物価で勝手に下がらない。
(自己資本の流れ)前期の純利益 9 億円から流し、2027 年 4 月期は会社予想の 14 億円に置いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備(柏フルフィルメントセンターの自動化設備が中心)は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で 8 年に按分した。償却は 2027 年 4 月期の約 4 億円が 10 年後に約 10 億円(物価で一律に増やすと約 5.6 億円)。営業利益は +32 億円。投資は内部の資金で賄え、10 年後は純現金になる。会計の利益は更新の投資で現金が細る分だけ、見かけより小さな現金に変わる。
- 物販(美容サロン向け EC・化粧品・美容機器):数量 165(取扱量の指数(化粧品・材料・機器の実質の販売量。2026/04 期=100))× 価格 4.18(億円/指数 1(売上を取扱量の指数で割った実効単価))→ 売上 690 億円・営業利益 33 億円。取扱量1.65倍・価格1.34倍・利益率4.8%・償却は物価で増やさず按分(全社の10年後 10億円)
- 店舗設計:数量 160(施工量の指数(案件の件数と規模。2026/04 期=100))× 価格 0.55(億円/指数 1(売上を施工量の指数で割った実効単価))→ 売上 88 億円・営業利益 5 億円。取扱量1.60倍・価格1.40倍・利益率6.0%
- ソリューション(店舗リース・開業支援・保険・決済ほか):数量 220(取扱量の指数(リース件数・保険契約・決済などの取扱い。2026/04 期=100))× 価格 0.41(億円/指数 1(売上を取扱量の指数で割った実効単価))→ 売上 91 億円・営業利益 11 億円。取扱量2.20倍・価格1.34倍・利益率12.5%
倍率:事業の純利益 28 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.0% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.1%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.0 倍。全体の PER 17.97 倍、時価総額 503 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:サロン数は横ばい、シェアは 5% 強から 8% 前後への緩やかな上昇、利益率は 5% 台前半という中心の筋書き。最も厚くした。
やや悲観 23% 競争で値段と利益率が削られる 利益 15 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 1,224 円154 億円
競争で値段と利益率を削られ、成長が鈍る筋書きだ。大手の総合 EC やメーカーの直販が、サロンの仕入れを奪い返す。物販の取扱量は 3 割増にとどまり、料金は物価に届かない。店舗設計は開業の減少で伸びず、利益率が 3% 台に落ちる。ソリューションの店舗リースは貸倒れが増える。柏の新拠点は能力が余り、固定費の重さが残る。営業利益は今の 1.6 倍にとどまる。
(名目の前提)商品の値段・施工費・手数料は物価に連れて上がる。取扱量は実質(物の数・施工の量)で置いた。人件費と物流費も同じ速さで上がるので、利益率は物価で勝手に下がらない。
(自己資本の流れ)前期の純利益 9 億円から流し、2027 年 4 月期は会社予想の 14 億円に置いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備(柏フルフィルメントセンターの自動化設備が中心)は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で 8 年に按分した。償却は 2027 年 4 月期の約 4 億円が 10 年後に約 8 億円(物価で一律に増やすと約 5.6 億円)。投資を絞り、借入は返済に回る。
- 物販(美容サロン向け EC・化粧品・美容機器):数量 130(取扱量の指数(化粧品・材料・機器の実質の販売量。2026/04 期=100))× 価格 4.06(億円/指数 1(売上を取扱量の指数で割った実効単価))→ 売上 527 億円・営業利益 19 億円。取扱量1.30倍・価格1.30倍・利益率3.6%・償却は物価で増やさず按分(全社の10年後 8億円)
- 店舗設計:数量 120(施工量の指数(案件の件数と規模。2026/04 期=100))× 価格 0.53(億円/指数 1(売上を施工量の指数で割った実効単価))→ 売上 64 億円・営業利益 2 億円。取扱量1.20倍・価格1.35倍・利益率3.5%
- ソリューション(店舗リース・開業支援・保険・決済ほか):数量 160(取扱量の指数(リース件数・保険契約・決済などの取扱い。2026/04 期=100))× 価格 0.40(億円/指数 1(売上を取扱量の指数で割った実効単価))→ 売上 64 億円・営業利益 6 億円。取扱量1.60倍・価格1.30倍・利益率9.0%
倍率:事業の ROE 8.3% は資本コスト 7.25% の近辺。RONIC はほぼ k で、正当化 PER は 12.7 倍。成長が鈍り利益の質が落ちるので、約 8 割の 10 倍に置いた。余り資産は立てていない。
確率:大手の総合 EC とメーカー直販の競争、人件費と物流費の上昇という慎重な見方が強い。利益率は 10 年で上がらなかった実績があるので、強気の見方より少し厚く置いた。
悲観 11% サロンが減り、仕入れの入口を奪われる 利益 4 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 319 円40 億円
構造的な負けの筋書きだ。サロンの数が減り、残った店も大手の総合 EC やメーカー直販で仕入れを済ませる。AI が仕入れ先を比べて発注する世界では、独自サイトの囲い込みが効かない。物販の取扱量は 5% 減り、価格競争で利益率は 2% まで落ちる。店舗設計は赤字になり、店舗リースは貸倒れで傷む。物流の拠点とリース料、人件費は売上が落ちても減らない。買収した会社の減損も出る。
(名目の前提)商品の値段・施工費・手数料は物価に連れて上がる。取扱量は実質(物の数・施工の量)で置いた。人件費と物流費も同じ速さで上がるので、利益率は物価で勝手に下がらない。
(自己資本の流れ)前期の純利益 9 億円から流し、2027 年 4 月期は会社予想の 14 億円に置いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備(柏フルフィルメントセンターの自動化設備が中心)は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で 8 年に按分した。償却は 2027 年 4 月期の約 4 億円が 10 年後に約 6 億円(物価で一律に増やすと約 5.6 億円)。投資を絞るが、減損で自己資本は下に外れる。
- 物販(美容サロン向け EC・化粧品・美容機器):数量 95.0(取扱量の指数(化粧品・材料・機器の実質の販売量。2026/04 期=100))× 価格 3.74(億円/指数 1(売上を取扱量の指数で割った実効単価))→ 売上 356 億円・営業利益 7 億円。取扱量0.95倍・価格1.20倍・利益率2.0%・償却は物価で増やさず按分(全社の10年後 6億円)
- 店舗設計:数量 80.0(施工量の指数(案件の件数と規模。2026/04 期=100))× 価格 0.49(億円/指数 1(売上を施工量の指数で割った実効単価))→ 売上 39 億円・営業利益 0 億円。取扱量0.80倍・価格1.25倍・利益率0.0%
- ソリューション(店舗リース・開業支援・保険・決済ほか):数量 100(取扱量の指数(リース件数・保険契約・決済などの取扱い。2026/04 期=100))× 価格 0.37(億円/指数 1(売上を取扱量の指数で割った実効単価))→ 売上 37 億円・営業利益 2 億円。取扱量1.00倍・価格1.20倍・利益率5.0%
倍率:事業の ROE 2.6% は資本コスト 7.25% 以下で、PER の上限は 1÷k=12.5 倍。利益が谷まで落ちた構造的な負けの筋書きなので、上限の約 8 割の 10 倍に置いた(稼ぐ力は純利益 4 億円 ÷ k 7.25% = 約 50 億円で、売れる資産の税後 31 億円を上回る)。余り資産は立てていない。
確率:サロンの減少と価格競争、AI による仕入れ先の比較が重なる筋書き。純現金と売れる資産があり倒産は置かず、1 割強にした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
物販(美容サロン向け EC・化粧品・美容機器)
サロン向けのネット通販を軸にした美容商材の販売。化粧品・材料、美容機器、金属スチール家具。自社ブランドの商品を含む。
| 数量取扱量の指数(化粧品・材料・機器の実質の販売量。2026/04 期=100) | 価格億円/指数 1(売上を取扱量の指数で割った実効単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 100 | 3.12 | 312 | 12 |
| 10 年後 中立 | 165 | 4.18 | 690 | 33 |
取り方:物販の売上 311.93 億円を、取扱量の指数 100 で割った実効単価(販売量は開示がなく、筆者の推定で指数にした)。営業利益 12.49 億円は有報のセグメント利益。取扱量は、サロン数が横ばいでも、シェアの上昇と 1 軒あたりの購入額の増加で伸びる。価格は物価並み。
店舗設計
美容サロン、クリニック、飲食店の店舗の設計・施工管理。東京・名古屋・大阪など 7 都市。
| 数量施工量の指数(案件の件数と規模。2026/04 期=100) | 価格億円/指数 1(売上を施工量の指数で割った実効単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 100 | 0.39 | 39 | 2 |
| 10 年後 中立 | 160 | 0.55 | 88 | 5 |
取り方:店舗設計の売上 39.24 億円を、施工量の指数 100 で割った実効単価(件数と規模は開示がなく、筆者の推定)。営業利益 1.82 億円は有報のセグメント利益。工事の単価は建築費の上昇で物価を上回って上がりうる。
ソリューション(店舗リース・開業支援・保険・決済ほか)
居抜き物件の仲介、店舗リースと転貸、開業資金の調達支援、保険、決済、講習会、システム導入など。
| 数量取扱量の指数(リース件数・保険契約・決済などの取扱い。2026/04 期=100) | 価格億円/指数 1(売上を取扱量の指数で割った実効単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 100 | 0.31 | 31 | 3 |
| 10 年後 中立 | 220 | 0.41 | 91 | 11 |
取り方:ソリューションの売上 30.78 億円を、取扱量の指数 100 で割った実効単価(取扱量は開示がなく、筆者の推定)。営業利益 3.14 億円は有報のセグメント利益。直近は売上が 25% 増えた。店舗リースは金融の機能を持つので、貸倒れの目配りが要る。
リスクと懸念
利益率が上がらないまま、競争で削られる
10 年で売上が 5 倍になっても営業利益率は 5% 前後だった。商品の多くは他社でも買え、ネットでは価格が比べられる。大手の総合通販やメーカーの直販が本気で来れば、値引きで利益率が下がる。粗利益率は 24% 台と低く、余裕が小さい。値引きに耐える粗利の余裕は小さい。
物流の固定費と並行稼働の再発
柏と尼崎の拠点は賃借で、年間の賃借料は合計で約 8 億円、解約できない約束は 44 億円ある。新拠点の立ち上げでは、並行稼働の費用が営業利益を押し下げた。取扱量が計画を下回れば、能力の余りが固定費として残る。
経営の野村氏への依存
会社自身が、会長兼 CEO の野村氏への依存を挙げる。2025 年から代表取締役を 2 人体制にしたが、事業戦略の策定は同氏が担う。一部の事業所の賃借では、同氏が債務保証をしている。固定費は売上が落ちても減らない。
店舗リースの貸倒れ
ソリューション事業の店舗リース・転貸は、サロンの信用を取る。サロンの倒産は 2024 年に前年より 37% 増えた。貸倒れが増えれば、利益の伸びを食う。リース投資資産は 2026 年 4 月期末で 6 億円に倍増している。
円安と仕入れ価格
自社ブランドの商品の多くは、海外の工場から仕入れる。円安が進めば仕入れ価格が上がり、粗利を削る。この計算はドル円を 150 円で固定しているが、為替の振れは別のリスクとして残る。円安は別のリスクとして残る。
AI が仕入れ先を比べる世界
AI が複数の仕入れ先を比べて発注する世界では、独自サイトでの囲い込みが弱まる。品ぞろえと価格、物流の速さだけで選ばれる。サロン向けのデータと開業支援の取引が、この変化を和らげるかが分かれ目になる。
買収の実行と減損
小さな会社の買収を重ねている。のれんの残りは約 1 億円と小さいが、買収後の統合が進まなければ、減損が出る。取得額は開示が小さく、外から検証しにくい。
今後の分かれ目
- 2027 年 4 月期の営業利益が 22 億円に届いたら
- 柏の新拠点の費用が一巡し、物流の効果が出た証拠になる。中立の利益率を 5% 台前半に置く根拠が強まる。
- 営業利益率が 6% を超えて定着したら
- 過去の最高 5.9% を超える。自社ブランドの粗利と物流の自動化が効いた証拠として、楽観側へ確率を移してよい。
- アクティブな顧客が 30 万口座を超えたら
- 中期計画の 35 万口座に近づく。シェアの上昇が数量の伸びとして確かめられる。
- 大手の総合通販やメーカー直販が、サロン向けの値引きを始めたら
- 売上総利益率が下がる兆しとして扱い、やや悲観側へ確率を移す。
- 店舗リースの貸倒れや、サロンの倒産が増えたら
- ソリューション事業の利益率の置き方を見直す。悲観側の重みを増やす。
- 野村氏の持分が大きく動くか、他社が公開買付けを持ちかけたら
- 筆頭株主が 23% を持つので、決めるのは同氏と上位株主だ。買付けの値段を利益ベースの価値と比べる。
見ておくもの
- 営業利益率(5.1% の会社予想から、6% 近くまで上がるか)
- 物販の取扱量とアクティブな顧客(21 万口座から 35 万口座へ)
- 売上総利益率(24% 台を保てるか)と、柏フルフィルメントセンターの稼働
- 店舗リース・転貸の貸倒れとリース投資資産の増え方
- 配当性向の引き上げと、中期計画(2030 年 4 月期に経常利益 40 億円)の進み方
倍率と資本コストの決め方
今の株価や PER から筋書きを作らず、物販・店舗設計・ソリューションの取扱量の指数(筆者の推定)と名目の単価から営業利益を積んだ。資本コストは 7.25%(基本 7.5% に循環と値決め力の+0.5%)。中立は ROE が約 13% で k を上回り、正当化 PER は約 15.6 倍、その約 9 割の 14.0 倍に置いた。今期の会社予想(営業利益 22 億円)は物流費の正常化を前提にした見通しで、10 年の出発点としてだけ使った。新リース会計基準(2028 年 4 月期)で貸借対照表の形が変わるが、10 年後の数字は今と同じ形(賃借料を営業費用に入れた形)で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 16→19.73 倍・やや楽観 PER 15→19.16 倍・中立 PER 14→17.97 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +0.5% を足した 8.0%。事業は傾いていないので上乗せは置かない。野村氏への依存や買収の実行のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.25%。