結論
セントラルフォレストグループは、東海地方の総合食品卸の持株会社だ。トーカンと国分中部が 2019 年に統合してできた。売上の 4 割がスーパー、1 割強がコンビニ向けで、外食・給食向けは 17% にとどまる。筆者の結論は「やや割高」である。本質価値は今の時価総額を 2 割ほど下回る。
稼ぎ方は典型的な薄利多売だ。2025 年 12 月期は売上 3,660 億円、営業利益 30 億円で、利益率は 0.8% しかない。食品卸の中でも最も薄い部類で、物流費と人件費の上昇がそのまま利益を削る。
目を引くのは現金の厚さだ。現金は 226 億円あり、有利子負債はほぼない。時価総額は 234 億円なので、事業はほぼタダに見える。ただ、現金の大半は仕入先への支払いを待つ間の手元資金で、自由に使える余剰ではない。
親会社の国分グループ本社が 41% を持つ親子上場でもある。配当性向は 2 割ほどで、自社株買いはない。現金が株主に戻る道筋は細い。
10 年後の中立は、営業利益 34 億円と今よりわずかに多い程度だ。物価の分は売上が伸びるが、人口減で食品の量は細り、利益率は上がらない。分かれ目は、国分との連携で物流を効率化できるか、ファミリーマートなど大口に利益率を削られないかの 2 点である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「安全だが、増えない」。売上は安定し、財務も堅い。しかし利益率が 0.8% では、事業の価値は小さく、物価が上がるほど運転資金と設備の更新に自己資本が食われる。
見るべきは現金の中身だ。226 億円の現金は、時価総額とほぼ同じだ。これを「タダ同然」と見るのは早い。卸の現金の大半は、買掛金を払うまでの資金で、事業を続ける限り減らせない。筆者が数えるのは、利息として利益に入る分だけである。
事業そのものの稼ぐ力は、10 年後も営業利益で 30 億円台前半と見る。物価の分は伸びるが、量の減少と費用の上昇で打ち消される。ROE は 5〜6% にとどまり、資本コストの 8% に届かない。
親会社が 41% を握る点も、少数株主には重い。現金を戻すか、事業に使うかは、国分が決める。資本の使い方に株主が口を出せない会社は、帳簿の現金を満額で評価できない。
結論として、今の値段は事業の実力に対してやや高い。現金を割り引いても、安全域は十分とは言えない。
何で稼ぐ会社か
会社の稼ぎは、メーカーから仕入れた食品と酒を、小売や外食に届けることだ。2025 年 12 月期の売上 3,660 億円のうち、加工食品が 1,722 億円、酒類が 882 億円、チルド・冷凍が 775 億円を占める。単一のセグメントで、商品別の利益は開示されていない。
販売先はスーパーが 1,456 億円と最大だ。愛知の三河、静岡、三重の食品スーパーが重点になる。次いで外食・中食・給食が 631 億円、コンビニが 497 億円、ドラッグストアが 497 億円と続く。ファミリーマート 1 社で売上の 11.5% を占め、大口への依存は小さくない。
成り立ちは 2 社の統合だ。トーカンは外食・中食・スーパー・コンビニ向けに強い名古屋の食品卸で、国分中部は酒類に強い。国分グループ本社の傘下にあった国分中部と合わせ、販路と商品を補い合う狙いだった。2021 年には三給を取得し、国分フードクリエイトの低温食品卸も譲り受けた。
物流が収益のかなめだ。小牧の常温センターに自動倉庫を入れる投資が 2026 年 9 月に終わる。連結の従業員は 798 人で、臨時を入れても卸の中では小さい。持株会社の本体は 34 人しかおらず、全員が子会社からの出向だ。
2026 年から長期戦略の第 2 次が始まった。標語は「『卸』を変える。」で、共同物流、デジタル投資、収益性の高い事業への転換を課題に挙げる。数値目標は人事の指標が中心で、利益の目標は開示が乏しい。
優良さと弱いところ
この会社の質は、堀の浅い薄利の流通業だ。売上は安定しているが、利益を守る力が弱い。食品卸は取引先の小売に値段の主導権があり、卸の取り分は物流費と人件費の上昇で削られ続ける。
強みは 3 つある。第 1 に東海という地盤の濃さだ。スーパー、コンビニ、外食への配送網は、一朝一夕には作れない。第 2 に国分グループの調達力で、全国の大手メーカーと有利に取引できる。第 3 に財務が堅く、有利子負債がほとんどない。
弱みは利益率の薄さだ。営業利益率は 0.8% で、食品卸の同業(1.3〜2.0%)より低い。ファミリーマートが売上の 1 割強を占め、条件を引き下げられると利益がすぐ消える。統合から 6 年たつが、利益率は 0.3% から 0.8% に上がった段階にとどまる。
資本の効率は低い。ROE は 7.0% で、過去 7 年の中央値は 6.2% だ。現金 226 億円が自己資本の厚みを作るが、稼ぐ力は上がらない。自己資本比率は 27% で、卸としては普通の水準にあたる。
経営は堅実だが野心は小さい。配当は 2026 年から累進配当に変わったが、性向は 2 割ほどだ。親の国分が 41% を握る以上、少数株主に向けた大きな資本政策は期待しにくい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
食品卸の市場は、量が細り、値段が上がる構図だ。人口が減るので、食品の量は実質で緩やかに減る。一方、メーカーの値上げと物流費の転嫁で、金額は物価並みに増える。2025 年は売上が 5% 伸び、酒類は 7.5%、外食・中食・給食は 6.6% の増収だった。
利益は伸びにくい。2026 年の業界は、中東情勢の影響で物流費が高止まりし、各社の利益が苦戦している。値上げの効果は続くが、卸の取り分は小さい。
競合は大手が全国に並ぶ。国分グループ本社、三菱食品、日本アクセスが三強で、東海では国分系の当社がその一角を占める。地域では旭食品、加藤産業、ヤマエグループなどが各地で規模を積んでいる。再編と共同物流が進み、規模の小さい卸ほど生き残りが難しい。
追い風もある。中食と冷凍食品の需要が伸び、チルド・冷凍は成長の領域だ。保管と配送に手間がかかる分、利益率も常温より高い。物流の自動化は人手不足の対策になり、早く投資した会社が荷主を引き寄せる。
循環の位置としては、需要が景気にほぼ左右されない守りの業種だ。ただし利益率が薄いので、費用の上昇に弱い。卸の機能を「物流・金融・情報」に広げられるかが、10 年の分かれ目になる。
資本政策と M&A
資本政策は保守的だ。配当の総額は年約 5 億円で、性向は 2 割ほどにとどまる。2026 年 12 月期から 2030 年 12 月期までは累進配当を行う方針で、減配はしにくい。自社株買いの実績はない。
株主優待は、自社グループの商品を 2 千〜3 千円相当贈る。半年以上の継続保有が条件だ。年間の費用は 1 億円に届かないとみる。
現金は 226 億円で、有利子負債はほとんどない。ただし卸の現金は、仕入先への支払いを待つ間の資金の性格が強い。売上の月商は 300 億円ほどで、買掛金は当期だけで 32 億円増えた。自由に使える余剰は、表の額よりかなり小さい。
政策保有株は上場分で 79 億円ある。壱番屋が 32 億円、ブロンコビリーが 14 億円で、取引先の外食企業が中心だ。売る方針は示されていない。
M&A は小粒で、2021 年の三給と低温食品卸の譲受が主な例だ。国分グループ本社が 41% を持つので、将来は国分による完全子会社化もありうる。時価総額が現金と同じ水準で、買う側には安い買い物に見える。ただし時期も条件も不明で、筋書きの確率には織り込まない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
現金 226 億円を持ち、時価総額 234 億円とほぼ並ぶ。事業の利益 24 億円を払わずに買えるのと同じで、下値は固い。
累進配当で減配はなく、配当は年 5 億円から増える方向にある。親の国分が配当の強化を求めれば、性向 2 割は 3〜4 割へ上がる余地がある。現金の積み上がりを考えれば、還元の余力は大きい。
チルド・冷凍と中食、外食向けは伸びている。外食等は 6.6% の増収で、冷凍は保管と配送に手間がかかる分、利益率も厚い。小牧の自動倉庫が稼働すれば、人手不足の中で物流費を抑えられる。
国分グループの調達力と全国網も強みだ。統合から 6 年で利益率は 0.3% から 0.8% に上がった。この改善が続けば、営業利益は 40 億円を超えて、10 年で今の 1.4 倍になる。
親による完全子会社化の可能性もある。現金を考えれば、買収価格は今の値段より上になりやすい。この上振れは、確率で見ればまだ小さいが、無視はできない。
慎重な見方
現金は見かけほど自由ではない。卸は仕入先に払う前に売り先から集めるため、手元の資金は大きく見える。事業を続ける限りこの資金は減らせず、余剰とは呼べない。
利益率が 0.8% では、少しの費用増で赤字になる。中東情勢による物流費の高騰が続き、2026 年の会社予想は営業利益 30.5 億円と横ばいだ。値上げの効果は一巡しつつある。
食品の量は人口減で細り、10 年で 1 割ほど減る。ファミリーマートは売上の 11.5% を占め、条件を引き下げられれば痛い。大手卸との競争で、帳合を取られる恐れもある。
ROE は 7.0% で、資本コストを下回る。現金が積み上がるほど ROE は下がり、内部留保 1 億円は、1 億円未満の価値しか持たない。
親が 41% を握る限り、少数株主は還元を迫れない。配当性向は 2 割で、自社株買いは一度もない。完全子会社化の際も、親は安く買える立場にある。
酒類は売上の 4 分の 1 弱を占めるが、長く量が減っている。利益率はさらに薄く、構成が悪くなると全社の利益率が下がる。
最後に、統合の効果は出尽くした可能性がある。2 社の重複が整理された後は、利益を伸ばす材料が物流の自動化くらいしか残らない。
どちらに重みを置いたか
双方に理があるが、筆者は慎重な側に少し寄せた。強気の根拠である現金の厚さは、中身が運転資金で、自由度が低い。慎重な側の根拠である薄利と親の支配は、数字にすでに出ている。
中立を 38%、やや悲観を 25%、悲観を 10% に置いた。強気側は、やや楽観 20%、楽観 7% とした。食品卸は崩れにくいが、良くなる材料も乏しいため、確率は中立に厚く置いている。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 4,624 円378 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,130 円92 億円)。 今の値に割り戻すと 2,910 円238 億円、今との差 +1.1%、 期待の年率 +7.2%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 6,164 円504 億円 | 1,345 円110 億円 | +160.7% | +10.1% | 526 円43 億円 |
| やや楽観 | 20% | 5,875 円481 億円 | 1,210 円99 億円 | +146.0% | +9.4% | 1,417 円116 億円 |
| 中立 | 38% | 5,508 円451 億円 | 1,113 円91 億円 | +129.9% | +8.7% | 2,516 円206 億円 |
| やや悲観 | 25% | 3,182 円260 億円 | 1,052 円86 億円 | +47.0% | +3.9% | 1,058 円87 億円 |
| 悲観 | 10% | 1,284 円105 億円 | 1,076 円88 億円 | −18.1% | −2.0% | 236 円19 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,624 円378 億円 | 1,130 円92 億円 | +99.8% | +7.2% | 5,753 円471 億円 |
今の株価時価総額 2,880 円236 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 利益率が 0.85% に乗り、チルド・冷凍と中食が伸びる 利益 36 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 6,164 円504 億円
統合の効果が出続け、営業利益率は 0.85% まで上がる。小牧の自動倉庫などの投資が実り、人手不足の下でも物流費を抑える。チルド・冷凍は中食の需要で量が 12% 増え、利益率は 1.15% になる。
加工食品は人口減を共同物流とシェア拡大で補い、量の減りは 2% にとどまる。酒類は量が 1 割減るが、物価の分は転嫁できる。
営業利益は 43 億円で、今の 1.4 倍だ。現金の利息も増え、純利益は 36 億円になる。
親の国分との連携が深まり、配当の性向も 3 割台へ上がる。大口への依存も下がり、利益率の改善が続く姿である。
- 加工食品:数量 37.5(加工食品の取扱数量(万トン))× 価格 612(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 2,295 億円・営業利益 20 億円。数量 37.505、売値 612.0、利益率 0.85%
- 酒類:数量 11.3(酒類の取扱数量(万キロリットル))× 価格 952(1 リットルあたりの売値(円・名目))→ 売上 1,080 億円・営業利益 8 億円。数量 11.34、売値 952.0、利益率 0.70%
- チルド・冷凍食品:数量 12.4(チルド・冷凍の取扱数量(万トン))× 価格 952(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 1,180 億円・営業利益 14 億円。数量 12.398、売値 952.0、利益率 1.15%
- 非食品・自社製品(惣菜など):数量 2.5(非食品・自社製品の取扱数量(万トン))× 価格 816(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 208 億円・営業利益 4 億円。数量 2.544、売値 816.0、利益率 2.00%
倍率:事業の純利益 36 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.4% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 450 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:7%。物流の自動化と統合の効果が利益率に出て、商品の構成も厚くなる姿。薄利の流通業で長く続く確率は低い。
やや楽観 20% 統合の効果が続き、利益率が緩やかに上がる 利益 33 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 5,875 円481 億円
営業利益率は 0.8% 台を保ち、わずかに上向く。加工食品の量は 5% 減、酒類は 13% 減にとどまり、チルド・冷凍は 7% 伸びる。
物価の分は価格に転嫁でき、価格は 1.35 倍になる。物流費の上昇は自動化で吸収するが、完全には消せない。
営業利益は 38 億円、純利益は 33 億円ほどだ。現金の利息が 2% に上がる効果で、純利益は営業利益ほどには落ちない。外食・中食向けの伸びがチルド・冷凍を押し上げ、構成が少しずつ厚くなる。
配当は累進配当で緩やかに増え、性向は 3 割台に近づく。
国分グループの調達力は保たれ、東海のスーパー向けの配送網も維持される。大きな買収はなく、統合の効果がゆっくり利益率に出る、穏やかな姿である。
- 加工食品:数量 36.4(加工食品の取扱数量(万トン))× 価格 608(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 2,209 億円・営業利益 18 億円。数量 36.357、売値 607.5、利益率 0.80%
- 酒類:数量 11.0(酒類の取扱数量(万キロリットル))× 価格 945(1 リットルあたりの売値(円・名目))→ 売上 1,036 億円・営業利益 7 億円。数量 10.962、売値 945.0、利益率 0.67%
- チルド・冷凍食品:数量 11.8(チルド・冷凍の取扱数量(万トン))× 価格 945(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 1,119 億円・営業利益 12 億円。数量 11.845、売値 945.0、利益率 1.08%
- 非食品・自社製品(惣菜など):数量 2.3(非食品・自社製品の取扱数量(万トン))× 価格 810(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 189 億円・営業利益 4 億円。数量 2.332、売値 810.0、利益率 1.90%
倍率:事業の純利益 33 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.1% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 412 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:20%。過去 6 年の改善が緩やかに続く姿。強気と中立の間に置く。
中立 38% 量は細り、物価の分だけ売上が伸びる。利益はほぼ横ばい 利益 30 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 5,508 円451 億円
食品の量は人口減で緩やかに細る。加工食品は 7% 減、酒類は 15% 減、チルド・冷凍だけは中食の需要で 3% 増える。価格は物価並みの 1.34 倍になる。
売上は 4,400 億円に増えるが、利益率は 0.78% で今とほぼ変わらない。物流費と人件費は上がり、値上げと自動化でちょうど打ち消される。
営業利益は 34 億円で、今の 30 億円をわずかに上回る。現金の利息が 2% に上がり、純利益は 30 億円になる。
配当は累進配当で、性向を上げながら緩やかに増える。現金は積み上がるが、親の意向で大きくは戻らない。
- 加工食品:数量 35.6(加工食品の取扱数量(万トン))× 価格 603(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 2,146 億円・営業利益 16 億円。数量 35.591、売値 603.0、利益率 0.75%
- 酒類:数量 10.7(酒類の取扱数量(万キロリットル))× 価格 938(1 リットルあたりの売値(円・名目))→ 売上 1,005 億円・営業利益 7 億円。数量 10.71、売値 938.0、利益率 0.65%
- チルド・冷凍食品:数量 11.4(チルド・冷凍の取扱数量(万トン))× 価格 938(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 1,070 億円・営業利益 11 億円。数量 11.402、売値 938.0、利益率 1.00%
- 非食品・自社製品(惣菜など):数量 2.1(非食品・自社製品の取扱数量(万トン))× 価格 804(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 170 億円・営業利益 3 億円。数量 2.12、売値 804.0、利益率 1.70%
倍率:事業の純利益 30 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.6% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 375 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:38%。人口減で量が細り、物価の分で売上は伸びる。利益率は 0.8% を超えない、10 年の中心の姿として最も厚く置いた。
やや悲観 25% 物流費の上昇を転嫁しきれず、利益率が 0.65% に下がる 利益 23 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 3,182 円260 億円
物流費と人件費の上昇が続き、値上げは通りにくくなる。価格は物価に届かず、1.30 倍にとどまる。加工食品の量は 12% 減、酒類は 2 割減る。
営業利益率は 0.65% に下がり、利益は 26 億円になる。配当収入も減り、純利益は 23 億円ほどだ。
累進配当の方針は守るが、利益が減るので性向が上がる。現金の積み上がりも鈍る。
自己資本は伸びにくく、ROE は 4% 台になる。物流投資の効果が出る前に費用が先に増え、現金の出入りも細る。親の国分は帳合の整理を進めず、東海の競争はむしろ厳しくなる。
- 加工食品:数量 33.7(加工食品の取扱数量(万トン))× 価格 585(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 1,970 億円・営業利益 13 億円。数量 33.678、売値 585.0、利益率 0.65%
- 酒類:数量 10.1(酒類の取扱数量(万キロリットル))× 価格 910(1 リットルあたりの売値(円・名目))→ 売上 917 億円・営業利益 5 億円。数量 10.08、売値 910.0、利益率 0.55%
- チルド・冷凍食品:数量 10.8(チルド・冷凍の取扱数量(万トン))× 価格 910(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 987 億円・営業利益 8 億円。数量 10.849、売値 910.0、利益率 0.85%
- 非食品・自社製品(惣菜など):数量 1.9(非食品・自社製品の取扱数量(万トン))× 価格 780(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 149 億円・営業利益 2 億円。数量 1.908、売値 780.0、利益率 1.40%
倍率:事業の純利益 23 億円・ROE 約 4.6% は k 8.0% を大きく下回り、上限は 1÷k=12.5 倍。物流費とコスト増を転嫁しきれない筋書きなので、上限の約 7 割弱の 8.5 倍に置いた。
確率:25%。薄利の卸がコスト増を取り戻せない姿。大口の条件も厳しくなる。
悲観 10% 大口の離脱と帳合の喪失で、薄利が消える 利益 14 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 1,284 円105 億円
ファミリーマートなど大口の条件が悪化し、帳合の一部が大手卸に移る。加工食品の量は 2 割、酒類は 3 割減る。価格も物価に届かず、1.25 倍にとどまる。
営業利益率は 0.45% まで落ち、営業利益は 14 億円に細る。拠点の統廃合費用が出て、純利益も 14 億円ほどだ。
累進配当は守るため、配当が利益の半分近くを占める。現金は少しずつ減る。
酒類とスーパー向けの売上が細り、固定費の重い物流センターの稼働率が下がる。拠点の統廃合が遅れれば、費用だけが残る。
親の国分が子会社化を選ぶ場合も、価格は現金の増減を織り込んだ低い水準に落ち着く。少数株主は、薄い利益と動かない親の間で身動きが取れなくなる。
- 加工食品:数量 30.6(加工食品の取扱数量(万トン))× 価格 563(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 1,722 億円・営業利益 8 億円。数量 30.616、売値 562.5、利益率 0.45%
- 酒類:数量 8.8(酒類の取扱数量(万キロリットル))× 価格 875(1 リットルあたりの売値(円・名目))→ 売上 772 億円・営業利益 3 億円。数量 8.82、売値 875.0、利益率 0.40%
- チルド・冷凍食品:数量 10.0(チルド・冷凍の取扱数量(万トン))× 価格 875(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 872 億円・営業利益 5 億円。数量 9.963、売値 875.0、利益率 0.60%
- 非食品・自社製品(惣菜など):数量 1.7(非食品・自社製品の取扱数量(万トン))× 価格 750(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 127 億円・営業利益 1 億円。数量 1.696、売値 750.0、利益率 1.00%
倍率:事業の純利益 14 億円・ROE 約 3.1% で稼ぐ力は弱い。大口の離脱と帳合の喪失で薄利が消える筋書きなので、上限の 6 割の 7.5 倍に置いた。親の支配で現金が戻らない点も反映した。
確率:10%。大口の離脱、大手卸への帳合の移動、物流費の高騰が重なる構造的な負け。薄利で、慎重な側にしっかり厚みを置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
加工食品
調味料・缶詰・乾物・菓子などの常温の加工食品。スーパー・コンビニ・外食に配る。
| 数量加工食品の取扱数量(万トン) | 価格1 キロあたりの売値(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 38.3 | 450 | 1,722 | 14 |
| 10 年後 中立 | 35.6 | 603 | 2,146 | 16 |
取り方:2025 年 12 月期の加工食品の売上 1,722 億円を、卸値の平均 0.45 千円のキロ単価で割った推定値。商品別の営業利益は開示がなく、全社 30.4 億円を商品別の売上と利益率の差(酒は薄く、チルドと自社製品は厚い)で割り振った推定。数量は実質、物価の分は価格に入れた。
酒類
ビール・洋酒・日本酒など。国分中部の強みで、売上の 4 分の 1 弱を占める。
| 数量酒類の取扱数量(万キロリットル) | 価格1 リットルあたりの売値(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 12.6 | 700 | 882 | 7 |
| 10 年後 中立 | 10.7 | 938 | 1,005 | 7 |
取り方:酒類の売上 882 億円を、卸値の平均 0.7 千円のリットル単価で割った推定値。ビールは安く洋酒は高いため、平均で置いた。利益率は酒税の絡む薄利で 0.7% 台と推定。
チルド・冷凍食品
チルド・冷凍の食品。中食・外食の伸びで増えている。
| 数量チルド・冷凍の取扱数量(万トン) | 価格1 キロあたりの売値(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 11.1 | 700 | 775 | 8 |
| 10 年後 中立 | 11.4 | 938 | 1,070 | 11 |
取り方:チルド・冷凍の売上 775 億円を、平均 0.7 千円のキロ単価で割った推定値。保管と配送に手間がかかる分、利益率は常温より厚い 1% 台と推定。
非食品・自社製品(惣菜など)
日用品などの非食品と、惣菜・農産加工の自社製品。
| 数量非食品・自社製品の取扱数量(万トン) | 価格1 キロあたりの売値(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2.1 | 600 | 127 | 2 |
| 10 年後 中立 | 2.1 | 804 | 170 | 3 |
取り方:非食品 77 億円と自社製品 50 億円の合計 127 億円を、平均 0.6 千円のキロ単価で割った粗い推定値。
リスクと懸念
利益率 0.8% の薄さ
営業利益率は 0.8% しかなく、同業の食品卸(1.3〜2.0%)より低い。物流費と人件費の上昇を値段に移せなければ、売上が増えても利益が減る。少しの費用増で営業利益が半分に近づく。
大口取引先への依存
ファミリーマート 1 社で売上の 11.5%(421 億円)を占める。取引条件の引き下げや帳合の移動があれば、利益率の薄い会社にはすぐに響く。売上の減りより、固定費の重さが痛い。
親会社の国分が握る資本政策
国分グループ本社が 41% を持つ。現金の使い方、配当、自社株買い、完全子会社化の時期と価格は親が決める。少数株主に不利な条件で子会社化される可能性は、確率に出せないが残る。
物流費の高止まりと人手不足
中東情勢で物流費が高騰し、2026 年の業界は利益が苦戦している。自動倉庫など投資は重く、減価償却より投資額が大きいと、現金が出ていく。投資の効果が出る前に費用だけ先に増えるリスクがある。
人口減と酒類の需要減
食品の量は人口減で細り、酒類は長く減り続けている。酒類は売上の 4 分の 1 弱を占め、利益率はさらに薄い。量の減りを物価の分で埋められなくなれば、売上自体が縮む。
現金の中身と政策保有株
現金 226 億円の大半は運転資金の性格が強く、自由な余剰ではない。政策保有株 79 億円は外食企業が中心で、株価が下がると自己資本が減る。「現金が厚いから安全」とは言い切れない。
今後の分かれ目
- 国分グループ本社が完全子会社化のTOBを発表したら
- 現金を考慮した買収価格になりやすい。ただし条件は親が決めるので、価格の水準は別に確かめる。
- 営業利益率が 3 期続けて 1% を超えたら
- 物流の効率化が実を結んだと読み、やや楽観・楽観の確率を上げてよい。
- 配当性向が 4 割に引き上げられ、自社株買いが始まったら
- 現金が株主に戻る道が開く。戻り方の評価を上げる。
- ファミリーマートとの取引条件が悪化し、売上が 1 割減ったら
- やや悲観・悲観の確率を上げる。薄利のため利益は売上以上に減る。
- 物流費の高騰が 2 年以上続いたら
- 利益率は 0.6% 台に下がる見方に傾く。
見ておくもの
- 営業利益率の推移(四半期)
- 外食・中食・給食とチルド・冷凍の売上の伸び
- 累進配当の水準と配当性向
- 物流費と小牧の自動倉庫の効果
- 国分グループ本社の持株比率と資本政策の発表
- 現金と買掛金の残高
倍率と資本コストの決め方
今の株価や PER には寄せていない。売上は商品別の数量(実質)と売値(名目、物価 3% 込み)から積み上げた。利益率は過去 7 年の山(0.8%)を超えない置き方で、強気だけがわずかに上回る。倍率は ROE が資本コスト 8% を下回るので、上限 1÷k(12.5 倍)の 8 割(10.0 倍)を中立に置いた。時価総額が現金と同水準な点は、倍率の根拠にしていない。現金は運転資金の性格が強いと見て、余った現金に分けなかった。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→12.5 倍・やや楽観 PER 10.5→12.5 倍・中立 PER 10→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.5% を足した(決まり v2)。個別の事業リスクは筋書きと確率で表す。