結論
モスフードサービスは、ハンバーガーチェーン「モスバーガー」の本部だ。国内に 1,300 店余りを持ち、その 8 割はフランチャイズ(FC)の加盟店である。本部の稼ぎは、加盟店への食材と資材の卸売と、直営店の売上だ。
筆者の結論は、今の値段は大きく割高というものだ。ブランドは強く、店は長く愛されている。ただ国内は成熟した市場で、客数は実質では伸びない。10 年後の価値は、今の時価総額の 4 割ほどにとどまると見る。
利益の 9 割を国内のモスバーガー事業が稼ぐ。ここは利益率が 9% 台で、外食の本部としては悪くない。海外は店が 400 余りあるのに、利益はほとんど出ていない。紅茶店や和食の新業態は赤字が続く。
最近の決算は良かった。ただ 2027 年 3 月期は、原材料の高騰で営業利益が 12% 減る予定だ。直近の 3 か月は半分以下になった。材料高を値上げに映す力は、思ったより強くない。
筆者が注目するのは、利益の質と資本の重さだ。純現金は時価総額の 2 割を超えるが、ROE は 10 年の中央値で 5% にとどまる。現金を抱えたまま資本効率が上がらない会社に、高い値段は払いにくい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「良い看板と、低い資本効率の同居」と映る。
良い点は、10 年後もモスバーガーという看板が残ることだ。手づくりと国産素材という個性は、価格競争に巻き込まれにくい。加盟店の店主との長い関係も、簡単には崩れない資産である。
悪い点は、稼いだ利益に対して、資本があまりに重いことだ。自己資本の 4 割強を純現金が占め、残りの店と工場も、稼ぐ力に見合うほどの利益を生んでいない。株主のものになる利益、つまり純利益から設備の更新費を引いた分は、見かけの純利益よりかなり小さい。
経営者の資本の使い方は堅実だが、攻めがない。現金は積み上がり、ROE は目標でも 6.6% にとどまる。海外と新業態の赤字を耐えているのも、成果が見えにくい。
安全域は無いに等しい。足元の利益で測れば、払う値段は事業の価値を大きく上回る。筆者は、値段がかなり下がるまで、持ち続けたい会社とは見ない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、国内のモスバーガー事業だ。全国に 1,310 店あり、直営が 229 店、加盟店が 1,081 店である。売上は 840 億円ほどで、全社の 8 割を占める。
本部の収入は二つある。一つは加盟店に売る食材と包装資材の卸売で、これが売上の大きな部分を占める。もう一つは直営店の売上だ。パティやソースは自社の工場で作り、野菜は子会社のモスファームが育てる。素材を自前で押さえるのが、この会社の個性である。
海外事業は、台湾、香港、シンガポール、タイ、韓国、フィリピンで 400 店余りを展開する。売上は 150 億円台だが、営業利益は数億円で、利益率は 2% ほどだ。台湾やフィリピンでは食材の工場も持つ。不採算店を閉じ、収益の立て直しを進めている。
新規飲食事業は、紅茶店のマザーリーフ、和食のあえん、高価格帯のモスプレミアムなどだ。計 25 店で、営業赤字が続く。
その他の事業には、加盟店の衛生検査や、加盟店向けの貸付・保険代理が入る。売上は小さいが、利益率は 2 割と高い。
つまり利益はほぼ国内の一本足だ。国内の客数と、原材料の値上がりをどれだけ価格に映せるかで、会社の利益が決まる。
優良さと弱いところ
堀は、ブランドへの愛着と、素材を自前で押さえる仕組みだ。モスバーガーは注文を受けてから作る手づくりが売りで、価格が高めでも根強いファンを持つ。国産野菜を使うこだわりも、他社が簡単にまねできない。
ただ、堀の深さは中程度だと筆者は見る。同じ市場に、マクドナルドが 3,000 店あまりで構える。規模が約 2.3 倍あり、仕入れも広告も圧倒的だ。モスは値段を上げても客が離れにくい反面、市場の大きな流れを決める側ではない。
資本効率は低い。ROE は過去 10 年の中央値で 5% にとどまり、会社の中計の最終年度の目標も 6.6% だ。外食の本部としては低く、資本コストを下回る年が多かった。赤字の期は、2008 年、2019 年、2023 年と 15 年で 3 回ある。
財務は堅い。自己資本比率は 7 割近く、借金はほぼない。ただ堅さで稼ぐ力が増えるわけではなく、現金がたまるだけになっている。
値決めの力は並みだ。FC の加盟店は、本部の値上げと食材の仕切り値の上げに限度がある。加盟店の利益が薄くなれば、閉店が増える。本部の利益の源泉が加盟店の健全さにある点が弱みだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のハンバーガー市場は、帝国データバンクの推計で 2024 年度に約 1 兆 160 億円となり、初めて 1 兆円を超えた。2025 年度も 1 兆 300 億円前後とされる。伸びの中身は客数でなく、単価の上昇だ。
市場は二つに分かれている。一つは、低価格と便利さで勝つマクドナルドだ。もう一つは、素材や調理にこだわる高価格のバーガーで、モスはこちらの先頭にいる。ここにバーガーキング、ゼンショー傘下に移ったゼッテリア、フレッシュネスバーガー、クア・アイナなどが並ぶ。
需要は人口とともに細る。若い世代は少なくなり、食の選択肢は増え続ける。国内の店舗数は、モスバーガーでもここ数年は横ばいに近い。2026 年 4〜6 月期は、出店 4 に対し閉店が 8 だった。
コスト面では、原材料と人件費の上昇が続く。牛肉、油、小麦、包装資材、物流費が同時に上がり、2026 年 4〜6 月期は国内事業の利益が 26% 減った。値上げは客数に響きやすく、転嫁には時間がかかる。
追い風もある。訪日客が増え、消費は高価格帯と低価格帯に二極化している。モスは高価格側にいて、手づくりの価値を伝えやすい。ただ 10 年で見れば、国内の客数は実質で 1 割ほど減り、名目は物価の分だけ育つというのが素直な読みだ。
資本政策と M&A
資本政策は慎重で、現金をためてきた。2025〜2027 年度の中計は、配当性向 30% を目安に置く。直近期の配当性向は 2 割台前半にとどまり、純現金は 10 年で約 3 倍の 260 億円に積み上がった。
自社株買いは少額で、2026 年夏に取得を終えたとの開示がある。規模は確かめていない。
成長投資は大きい。3 年間で約 220 億円を投じる計画で、大型店の改装に 85 億円、本部のシステムに 44 億円、食材の供給網に 41 億円を充てる。台湾には新しい工場を建てた。ただ投資の見返りは数字にまだ表れていない。
中計の最終年度の目標は、売上 1,080 億円、営業利益 63 億円、ROE 6.6% だ。営業利益は、直近の実績が目標をすでに上回っている。目標の置き方が低いことも、資本効率への意識の弱さを映す。
買収は大きなものがなく、中計は M&A と提携を視野に入れると述べるにとどまる。親会社はいない。事業会社の保有分は小さい。再編の対象になる余地はあるが、その兆しは確かめられていない。
株主優待(現物の還元):年およそ4億円を会社の費用ベースで見込む(優待券(100株で年数千円)×優待株主約4万人×原価率。会社の開示額は確認できず推計)。費用は販管費として利益から引き済みなので、10年の還元には「年額×10×続く見込み」(中立1.0・やや悲観0.75・悲観0.5)を受け取り分として足した。自己資本の流れには入れない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
モスバーガーは、値段が高めでも選ばれる数少ないチェーンだ。手づくりと国産素材という個性は、市場が二極化するほど値打ちを増す。訪日客の増加も、高価格帯の強みを後押しする。
原材料の高騰は一時的な山だ。店頭の値上げが浸透すれば、国内事業の利益率は 10% 台まで戻る余地がある。直近の 2 年で営業利益は 52 億円から 66 億円に増え、材料高の前までは、加盟店への卸売の利ざやも広がっていた。
海外は、不採算店の整理が進んだ。台湾の新工場が動き出し、食材の供給網が整えば、海外の利益率は 2% から 6% 台に上がる。海外の店はなお 400 店あり、立て直しが効けば利益の伸び幅は大きい。
新規飲食は、紅茶のマザーリーフなど高付加価値の業態が育つ。赤字は、育つまでの先行投資だ。
財務は堅く、純現金が 260 億円ある。中計は配当性向 30% を掲げ、ROE は 6.6% を目標にしている。会社が資本効率に向き合い、自社株買いを増やせば、ROE は 10% 台に近づく。物価が年 3% 上がる世界では、値上げができる看板の利益は、名目で自然に伸びる。10 年かければ、今の値段も見合うと言える。
慎重な見方
国内の人口は減り続ける。ハンバーガーの客数も、実質では細る。直近の 3 か月も、出店 4 に対し閉店は 8 だった。店は増えていない。
原材料の高騰が、利益の弱さを見せた。2026 年 4〜6 月期は、国内事業の利益が 26% 減った。値上げは客足を遠のかせ、加盟店の利益も薄くする。加盟店が閉店すれば、本部の卸売の売上が先に減る。
市場の主役はマクドナルドだ。3,000 店あまりで、広告も仕入れも桁違いに大きい。モスの客数が伸びるのは、値段を上げた分の客単価だけだ。
海外は、店が 400 を超えるのに、利益は数億円しかない。台湾の新工場とフィリピンの投資は、収益の改善に時間がかかる。新規飲食は、25 店で赤字を重ねている。
資本効率は、10 年の中央値で 5% だ。中計の最終年度ですら ROE 6.6% で、資本コストを下回る。純現金は積み上がるのに、還元は配当性向の 2 割台前半にとどまる。この水準の ROE の会社に、利益の 25 倍前後の値段が付くのは、先の成長を織り込みすぎている。直営店の家賃は固定費で、客数が落ちれば利益が一気に消える。
どちらに重みを置いたか
事業の看板では、強気の見方が正しい。手づくりと国産素材の個性は残り、国内の本部収入は堅い。しかし、10 年の成長が物価の値上げに頼り、実質では横ばいから微減になる点と、ROE が資本コストを下回る点は、慎重な見方が突いている。
原材料高の影響が直近の利益に出ているのも、見過ごせない事実だ。そのため確率は中立を中心に置いたうえで、やや悲観を上振れより厚くした。コロナ禍の前後を含め、15 年に赤字が 3 回あり、悲観は 1 割とした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,933 円902 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 796 円245 億円)。 今の値に割り戻すと 1,977 円608 億円、今との差 −51.6%、 期待の年率 −0.9%(資本コスト 7.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 5,739 円1,764 億円 | 1,155 円355 億円 | +68.8% | +5.4% | 483 円148 億円 |
| やや楽観 | 20% | 4,319 円1,328 億円 | 937 円288 億円 | +28.7% | +2.6% | 1,051 円323 億円 |
| 中立 | 40% | 3,173 円975 億円 | 774 円238 億円 | −3.4% | −0.3% | 1,579 円485 億円 |
| やや悲観 | 23% | 1,305 円401 億円 | 690 円212 億円 | −51.2% | −6.9% | 459 円141 億円 |
| 悲観 | 10% | 980 円301 億円 | 592 円182 億円 | −61.5% | −9.1% | 157 円48 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,933 円902 億円 | 796 円245 億円 | −8.7% | −0.9% | 3,728 円1,146 億円 |
今の株価時価総額 4,085 円1,256 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 値上げが定着し、海外も黒字化する 利益 99 億円 · PER 16.9 倍 · 株価時価総額 5,739 円1,764 億円
国内は、手づくりの個性が支持され、店が 1,400 店ほどまで増える。値上げが客数を傷めず、1 店あたりの売上は物価を上回って伸びる。原材料の高騰も、価格と仕入れの工夫でこなし、利益率は 10% 台に乗る。海外は、台湾の新工場を軸に供給網が整い、不採算店の整理も終わって、利益率が 6% 台まで上がる。新規飲食は、紅茶店などが当たり、70 店ほどに増えて黒字になる。営業利益は 140 億円台に乗る。会社は余った現金を配当と自社株買いで戻し、ROE は 11% 台まで上がる。ただこれは、国内の客数が人口減に負けず、マクドナルドとの差も保てた、うまくいき過ぎの筋書きだ。
株主優待は現物の還元で、年およそ4億円(会社の費用ベース・推計)。続く見込み1で10年に40億円を還元へ足した(費用は利益から引き済み)。
- 国内モスバーガー事業:数量 1,400(国内の店舗数(店))× 価格 0.96(1 店あたりの年間売上(億円・名目。直営店の売上と加盟店向け卸売の合計))→ 売上 1,349 億円・営業利益 142 億円。国内 1,400 店、1 店あたり今の 1.50 倍、利益率 10.5%
- 海外事業:数量 470(海外の店舗数(店))× 価格 0.55(1 店あたりの年間売上(億円・名目。為替は 150 円で固定))→ 売上 258 億円・営業利益 17 億円。海外 470 店、今の 1.45 倍、利益率 6.5%
- 新規飲食事業:数量 70.0(店舗数(店))× 価格 1.25(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 88 億円・営業利益 5 億円。新規飲食 70 店、今の 1.45 倍、利益率 6%
- その他の事業(衛生検査・加盟店向け金融・グループ業務):数量 1,400(国内店舗に連動する提供先数(店))× 価格 0.03(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 10 億円。その他は国内店に連動、今の 1.50 倍、利益率 22%
倍率:事業の純利益 97 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.1% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)90 億円。全体の PER 16.9 倍、時価総額 1,735 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:値上げの定着、海外の立て直し、新業態の成功が全部そろう必要があり、直近の利益が材料高で崩れた事実もあるため、確度は低い。
やや楽観 20% 値上げを乗せて、国内が堅調に育つ 利益 77 億円 · PER 15.8 倍 · 株価時価総額 4,319 円1,328 億円
国内の店は 1,340 店ほどで、ほぼ横ばいを保つ。値上げと高価格商品の投入で、1 店あたりの売上は物価を少し上回って伸びる。原材料の高騰は数年で落ち着き、国内の利益率は 9% 台半ばに戻る。海外は不採算店の整理が終わり、台湾の工場の効果で、利益率が 5% ほどまで上がる。新規飲食は 50 店ほどで、収支は小さな黒字になる。営業利益は 110 億円ほどだ。会社は配当性向を 4 割台まで引き上げ、ROE は 9% 台に近づくが、資本コストを大きくは超えない。物価を超える実質の伸びはわずかで、上振れの源は単価と海外の改善に限られる。
株主優待は現物の還元で、年およそ4億円(会社の費用ベース・推計)。続く見込み1で10年に40億円を還元へ足した(費用は利益から引き済み)。
- 国内モスバーガー事業:数量 1,340(国内の店舗数(店))× 価格 0.91(1 店あたりの年間売上(億円・名目。直営店の売上と加盟店向け卸売の合計))→ 売上 1,223 億円・営業利益 116 億円。国内 1,340 店、今の 1.42 倍、利益率 9.5%
- 海外事業:数量 440(海外の店舗数(店))× 価格 0.53(1 店あたりの年間売上(億円・名目。為替は 150 円で固定))→ 売上 233 億円・営業利益 12 億円。海外 440 店、今の 1.40 倍、利益率 5%
- 新規飲食事業:数量 50.0(店舗数(店))× 価格 1.21(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 60 億円・営業利益 2 億円。新規飲食 50 店、今の 1.40 倍、利益率 3%
- その他の事業(衛生検査・加盟店向け金融・グループ業務):数量 1,340(国内店舗に連動する提供先数(店))× 価格 0.03(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 40 億円・営業利益 8 億円。その他は国内店に連動、今の 1.42 倍、利益率 21%
倍率:事業の純利益 75 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.3% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)90 億円。全体の PER 15.75 倍、時価総額 1,276 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:値上げの浸透と海外の改善が進む筋書き。直近の利益の弱さもあり、中立より確度は低い。
中立 40% 実質は微減、物価の分だけ育つ 利益 58 億円 · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 3,173 円975 億円
10 年後も、モスバーガーは今の姿に近い。国内の店は 1,270 店ほどに 3% 減り、1 店あたりの売上は物価並みの 1.34 倍になる。加盟店の閉店を新規の出店で埋める程度で、市場の主役はマクドナルドのままだ。原材料と人件費の上昇は価格に映すが、時間差が残り、国内の利益率は 8% 台半ばになる。海外は店を 400 店に絞り、利益率は 4% まで上がる。新規飲食は 30 店に縮み、収支はとんとんになる。営業利益は 80 億円台、純利益は 60 億円ほどだ。会社は純利益の 4 割を戻すが、現金は積み上がり、ROE は 7% 台にとどまる。
株主優待は現物の還元で、年およそ4億円(会社の費用ベース・推計)。続く見込み1で10年に40億円を還元へ足した(費用は利益から引き済み)。
- 国内モスバーガー事業:数量 1,270(国内の店舗数(店))× 価格 0.86(1 店あたりの年間売上(億円・名目。直営店の売上と加盟店向け卸売の合計))→ 売上 1,094 億円・営業利益 93 億円。国内 1,270 店(今の 0.97 倍)、今の 1.34 倍、利益率 8.5%
- 海外事業:数量 400(海外の店舗数(店))× 価格 0.51(1 店あたりの年間売上(億円・名目。為替は 150 円で固定))→ 売上 203 億円・営業利益 8 億円。海外 400 店、今の 1.34 倍、利益率 4%
- 新規飲食事業:数量 30.0(店舗数(店))× 価格 1.16(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 35 億円・営業利益 0 億円。新規飲食 30 店、今の 1.34 倍、収支とんとん
- その他の事業(衛生検査・加盟店向け金融・グループ業務):数量 1,270(国内店舗に連動する提供先数(店))× 価格 0.03(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 36 億円・営業利益 7 億円。その他は国内店に連動、今の 1.34 倍、利益率 20%
倍率:事業の純利益 56 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.6% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)90 億円。全体の PER 14.39 倍、時価総額 900 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:成熟した国内需要で、実質の客数は横ばいから微減、価格は物価並みという素直な置き方。看板は強いが、利益の質に不安もあり、上振れと下振れを同じ程度に見る。
やや悲観 23% 材料高と競争で、国内の利益が細る 利益 32 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 1,305 円401 億円
原材料の高騰が長引き、値上げは客数に響く。国内の店は 1,150 店ほどに減り、閉店は加盟店から先に増える。1 店あたりの売上は物価に追いつかず、国内の利益率は 6% 台半ばまで下がる。海外は店が 350 店ほどに縮み、収益は黒字をやっと保つだけだ。新規飲食は 20 店に縮み、赤字が残る。直営店の家賃と本社の費用は、売上が減っても減らない。営業利益は 40 億円台まで減り、純利益は 30 億円ほどだ。店舗や工場の減損も出て、自己資本は伸びない。ROE は資本コストを大きく下回り、ためた利益の値打ちは額面未満になる。
株主優待は現物の還元で、年およそ4億円(会社の費用ベース・推計)。続く見込み0.75で10年に30億円を還元へ足した(費用は利益から引き済み)。
- 国内モスバーガー事業:数量 1,150(国内の店舗数(店))× 価格 0.82(1 店あたりの年間売上(億円・名目。直営店の売上と加盟店向け卸売の合計))→ 売上 946 億円・営業利益 61 億円。国内 1,150 店、今の 1.28 倍、利益率 6.5%
- 海外事業:数量 350(海外の店舗数(店))× 価格 0.47(1 店あたりの年間売上(億円・名目。為替は 150 円で固定))→ 売上 166 億円・営業利益 3 億円。海外 350 店、今の 1.25 倍、利益率 2%
- 新規飲食事業:数量 20.0(店舗数(店))× 価格 1.04(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 21 億円・営業利益 −1 億円。新規飲食 20 店、今の 1.20 倍、利益率 -6%
- その他の事業(衛生検査・加盟店向け金融・グループ業務):数量 1,150(国内店舗に連動する提供先数(店))× 価格 0.03(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 31 億円・営業利益 5 億円。その他は国内店に連動、今の 1.28 倍、利益率 15%
倍率:ROE 4.8% が k 7.5% 以下なので、ためた利益は額面未満の値打ちで、正当化 PER は 1÷k=12.5 倍が頭。ROE が資本コストを大きく下回り、頭の 1÷k の 12.5 倍も遠い。稼ぐ力の落ちた構造とみて、9.5 倍に置いた。余った現金は今の 0.75 倍の 90 億円(戻り方 0.5)を別に足している。
確率:材料高の長期化と、国内店の減少、ブランドの陳腐化が重なる確率を、やや上振れより厚く置く。直近の利益の落ち込みがその前触れだ。
悲観 10% 加盟店の閉店が連鎖し、構造的に傷む 利益 13 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 980 円301 億円
原材料と人件費の上昇を価格に映せず、加盟店の利益が消える。閉店が相次ぎ、国内は 950 店まで減る。本部は加盟店向けの卸売が先に細り、直営店は家賃だけが残る。1 店あたりの売上は物価に大きく遅れ、国内の利益率は 5% まで下がる。海外は店が 280 店に縮み、赤字になる。新規飲食は 10 店に縮み、撤退に近い。営業利益は 15 億円ほどで、2023 年 3 月期のような赤字の前触れだ。店舗や工場で 150 億円の減損が出る。配当は削られ、貯めた現金も閉店の費用と赤字の穴埋めで目減りする。これは稼ぐ力が構造的に失われ、小さな外食企業に落ちた姿だ。
株主優待は現物の還元で、年およそ4億円(会社の費用ベース・推計)。続く見込み0.5で10年に20億円を還元へ足した(費用は利益から引き済み)。
- 国内モスバーガー事業:数量 950(国内の店舗数(店))× 価格 0.74(1 店あたりの年間売上(億円・名目。直営店の売上と加盟店向け卸売の合計))→ 売上 702 億円・営業利益 35 億円。国内 950 店、今の 1.15 倍、利益率 5%
- 海外事業:数量 280(海外の店舗数(店))× 価格 0.42(1 店あたりの年間売上(億円・名目。為替は 150 円で固定))→ 売上 117 億円・営業利益 −1 億円。海外 280 店、今の 1.10 倍、利益率 -1%
- 新規飲食事業:数量 10.0(店舗数(店))× 価格 0.95(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 −1 億円。新規飲食 10 店、今の 1.10 倍、利益率 -8%
- その他の事業(衛生検査・加盟店向け金融・グループ業務):数量 950(国内店舗に連動する提供先数(店))× 価格 0.02(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 23 億円・営業利益 2 億円。その他は国内店に連動、今の 1.15 倍、利益率 8%
倍率:事業の稼ぐ力は小さく、ROE 2.5% は k 7.5% を大きく下回る。床は純現金と売れる資産の税後(約 300 億円)で測り、今の自己資本 591 億円に 0.51 倍を掛けた。事業の稼ぐ力は小さく、床は純現金と売れる資産の税後で測る。今の自己資本に 0.51 倍を掛けた額を置いた。
確率:手づくりのブランドは残りやすく、構造の負けは起きにくい。ただ 15 年で 3 回の赤字があり、材料高と加盟店の疲弊が重なる前例もあるため、1 割を置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内モスバーガー事業
国内のモスバーガー直営店と、加盟店への食材・資材の卸売。パティ工場とモスファームを含む。
| 数量国内の店舗数(店) | 価格1 店あたりの年間売上(億円・名目。直営店の売上と加盟店向け卸売の合計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,310 | 0.64 | 842 | 79 |
| 10 年後 中立 | 1,270 | 0.86 | 1,094 | 93 |
取り方:2026 年 3 月末の国内 1,310 店(直営 229・加盟店 1,081)。売上 842 億円(セグメント間含む)を割ると 1 店あたり約 0.64 億円。客数の増減は店舗数に、物価と値上げは 1 店あたり売上に入れた。
海外事業
台湾・香港・シンガポール・タイ・韓国・フィリピンでのモスバーガー展開と、台湾・フィリピンの食材製造。
| 数量海外の店舗数(店) | 価格1 店あたりの年間売上(億円・名目。為替は 150 円で固定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 409 | 0.38 | 155 | 3 |
| 10 年後 中立 | 400 | 0.51 | 203 | 8 |
取り方:海外は 2026 年 3 月末に 409 店。売上 154.8 億円を割ると 1 店あたり約 0.38 億円。食材製造の売上も含むので、店の売上より大きく出る。
新規飲食事業
紅茶店マザーリーフ、和食のあえん、高価格帯のモスプレミアムなど。
| 数量店舗数(店) | 価格1 店あたりの年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 25.0 | 0.86 | 22 | −2 |
| 10 年後 中立 | 30.0 | 1.16 | 35 | 0 |
取り方:2026 年 3 月末で計 25 店、売上 21.6 億円を割ると 1 店あたり約 0.86 億円。営業赤字 2.1 億円。
その他の事業(衛生検査・加盟店向け金融・グループ業務)
加盟店の衛生検査、加盟店向けの貸付・保険代理・機器レンタル、グループの業務受託。
| 数量国内店舗に連動する提供先数(店) | 価格1 店あたりの年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,310 | 0.02 | 27 | 6 |
| 10 年後 中立 | 1,270 | 0.03 | 36 | 7 |
取り方:国内の 1,310 店向けのサービスとみて、売上 27.4 億円を割ると 1 店あたり約 0.021 億円。国内店の増減に連動させる(推定)。
リスクと懸念
原材料の高騰と値上げの限界
牛肉・油・小麦・包装資材・物流費が同時に上がり、国内事業の 2026 年 4〜6 月期の利益は 26% 減った。値上げは客数に響き、加盟店の仕切り値の上げにも限度がある。転嫁に時間がかかる年が続けば、利益率 9% 台が先に崩れる。
加盟店の疲弊と閉店
国内の店の 8 割は加盟店で、本部の卸売収入は加盟店の元気に頼る。人件費と食材費の上昇で加盟店の利益が薄くなれば、閉店が増える。直近の 3 か月も出店 4 に対し閉店 8 で、店の数は増えていない。
マクドナルドとの競争
店数で 2 倍以上の相手は、価格・広告・仕入れで勝負を仕掛けられる。ゼッテリアなど新しい競合も動いている。高価格側の需要が薄くなれば、モスの客数は一気に減る。
海外の赤字体質
海外は店が 400 店あるのに、営業利益はわずか数億円で、2026 年 4〜6 月期は 64% 減った。台湾の新工場やフィリピンの投資は、回収に時間がかかる。立て直しが進まなければ、減損の恐れがある。
新規事業が育たない
新規飲食は 25 店で赤字が 2 億円あり、年々広がっている。中計は新しい柱の育成をうたうが、利益に結びつく兆しは出ていない。資本が薄い成果にとどまるリスクがある。
資本効率の低さと現金の滞留
ROE は過去 10 年の中央値で 5%、中計の最終年度の目標でも 6.6% だ。純現金は 260 億円に積み上がるが、戻し方は遅い。現金が事業にも還元にも使われなければ、株主の価値は目減りする。
直営店の家賃と新リース会計
直営 229 店は賃借が中心とみられ、家賃は売上が落ちても減らない固定費だ。2028 年 3 月期から新しいリース会計が貸借表に載り、見かけの借金と自己資本比率の形が変わる。約束の額は確かめていない。
今後の分かれ目
- 国内モスバーガー事業の利益率が、3 期続けて 10% を超えたら
- 値上げが定着したとみて、やや楽観・楽観の確率を厚くする。
- 国内の店の数が 3 期続けて前の期を下回ったら
- 加盟店の閉店が出店を上回ったとみる。やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 海外事業の利益率が 5% を超えて定着したら
- 台湾の工場と構造改革が効いたとみて、中立の海外利益率 4% を上げる。
- 配当と自社株買いで利益の 6 割以上を戻す方針が示されたら
- 成長は変わらないが、現金の戻り方が上がる。余った現金の戻り方を 1.0 に直す。
- 新規飲食の赤字が 3 期続けて広がったら
- 事業を畳む判断が近いとみて、売れる資産の床を厚めに見直す。
- 原材料の高騰が収まらず、国内の利益が 2 期続けて減ったら
- 値上げの限界が表に出たとみて、中立の利益率 8% 台半ばを下げ、やや悲観の確率を厚くする。
見ておくもの
- 国内モスバーガー事業の既存店の売上・客数・客単価(四半期の決算説明資料)
- 国内の出店数と閉店数、直営と加盟店の内訳
- 海外事業の利益率と店舗数、台湾工場の稼働
- 還元方針の更新(配当性向、自社株買いの規模)と現金の使い道
倍率と資本コストの決め方
倍率は、資本コスト 7.5%(基本 7.5% + 循環 +0.25%・値決め力 +0.25%)と、長期の成長 4% から利益ベースの正当化 PER で出した。中立は ROE 7% 台で資本コストに届かず、頭は 1÷k の 12.5 倍だ。今の株価や PER、同業の倍率は見ていない。10 年の数量は国内の客数を実質で横ばいから微減、価格は物価並みの 1.34 倍に置き、海外と新規飲食は小さく置いた。余った現金は 120 億円と推定して分け、悲観ほど食い潰すとみた。直営店の家賃は固定費として残るので、悲観では利益率を大きく下げた。新リース会計基準(2028/03 期から貸借表に載る)で営業利益と純有利子負債の形が変わるが、10 年後の数字は今と同じ、家賃を営業費用に入れた形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.2→16.9 倍・やや楽観 PER 11.4→15.75 倍・中立 PER 10.6→14.39 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。