結論
ナイスは、木材・建材の卸と、マンションの分譲・中古再販を営む会社だ。筆者の結論は「やや割高」である。資産は厚いが、稼ぐ力が薄い。しかも借入が重く、金利の上昇が利益を削る。
売上の4分の3は建築資材で、利益率は1%に満たない。利益を稼ぐのは、売上の2割にすぎない住宅事業だ。営業利益53億円は、本社費を引く前の事業の利益70億円から出ており、住宅がその5割強を稼ぐ。この利益が長く続くかが、価値の分かれ目になる。
会社は、2030年に営業利益75億円、ROE6%を掲げる。木造建築、中古再販、物流を柱に、売上3,000億円を目指す。筆者は、ここまでは届かず、中立で営業利益は60億円弱と見る。
時価総額は純資産の4割弱で、資産の価値は見かけ上は厚い。しかし純有利子負債は時価総額と同じ規模で、販売用不動産と借入が膨らんでいる。政策保有株も約60億円ある。ただ、その配当は純利益に入っており、価値には足さない。
確率をかけて均し、資本コストで割り引いた価値は、今の時価総額を下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ナイスは「資産は厚いが、稼ぐ力が弱い」会社だ。10年後も事業は存在するが、堀は深くない。利益の大半を稼ぐ住宅事業は、市況に左右される。
株主のものになる利益は、見た目の純利益より小さい。販売用不動産の積み増しに、毎年お金が出ていく。物流拠点と工場の投資も重い。利息は、金利の上昇で10億円近く増える。
資本の使い方は、守りに寄っている。増配は評価できるが、買収で資本を増やした実績は乏しい。会社の資本コストの認識は5〜6%と、筆者の見立てより低い。目標のROE6%を達成しても、資本コストを超えない。
安全域は、資産にある。時価総額は純資産の4割弱で、土地や不動産の価値は見かけ上は厚い。しかし純有利子負債が時価総額と同じ規模で、資産を取り出す手段は少数株主にはない。
結論として、価値は今の時価総額をやや下回る。払う値段は、ためた資産の見かけに支えられている。
何で稼ぐ会社か
ナイスの稼ぎは、三つに分かれる。売上の4分の3を占めるのは建築資材だ。木材の調達と加工、建材と住宅設備の販売・施工、木材市場の運営を行う。客は工務店と建設会社で、利益率は1%に満たない。
利益の柱は住宅事業だ。分譲マンションの新築と中古買取再販、戸建、マンション管理と賃貸仲介を手がける。売上は2割だが、事業の利益の5割強を稼ぐ。販売用不動産は約300億円で、前期から3割増えた。
その他は、ソフト開発とケーブルテレビ、工事だ。売上は1割に満たないが、利益率は10%を超える。
会社の成長戦略は、「超・新築」「超・物流」「超・領域」の三つだ。新築住宅が細る中で、国産木材と非住宅の木造、中古再販で穴を埋める。全国の物流拠点を使い、現場への配送を請け負う。
稼ぎ方の本質は、建築の流れの川上から川下まで、モノと不動産を動かす手数料を得ることだ。ただし川の水量は、新築住宅の着工に左右される。連結の従業員は約2,800人で、臨時の従業員も7百人を超える。物流と施工の現場を、多くの人手が支えている。人件費の上昇は、薄利の事業に直接響く。
優良さと弱いところ
堀は深くない。建材の卸は、地域ごとに多数の会社が競い、値段を自分で決められない。粗利は1割前後で、メーカーの直販やネット通販が脅威だ。木材市場の運営と物流拠点は、地域の工務店には使い勝手がよいが、他社にまねできない強みとは言えない。筆者は「強い堀」とは見ない。
住宅事業では、買取再販の仕入れの目利きが差を生む。ただし不動産の市況に左右され、利益の大半を稼ぐ事業が、景気の波をまともに受ける。
資本の効率は低い。過去10年のROEの中央値は4%台で、資本コストの半分に届かない。2020年3月期には38億円の赤字、2009年3月期には121億円の赤字を出している。
財務は軽くない。自己資本比率は3割台で、借入は約440億円ある。現金は約220億円と厚いが、販売用不動産への投資が先に出る。
株主構成には特徴がある。ヤマダホールディングスが約17%、技研ホールディングスが約17%を持つ。ヤマダ向けの建材取引が続き、資本の関係は2021年に結ばれた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
建築資材の市場は、新設住宅の着工と改修の量で決まる。新設住宅は、人口減で長く減り続ける。10年で2〜3割減るという見方が多い。これを、非住宅の木造、改修、ストック事業が補う。
木材は、国産材の利用が政策で後押しされる。ナイスは、徳島と香川に集成材の工場を建てる計画を持つ。ただし投資が大きく、稼働率が上がるまで利益は出にくい。国産材は価格が安定しやすい反面、輸入材との競争で採算が薄くなる局面もある。
住宅は、マンション価格が上がり続けた局面にいる。新築が減る一方、中古の買取再販は需要が強い。ただし価格の調整が入れば、在庫を抱える側が先に傷む。
金利の上昇は、この業界に二重に響く。借入の利息が増え、買い手の住宅ローンも重くなる。建築資材の卸は、人件費と物流費の上昇も受ける。2024年問題で運賃が上がり、転嫁できるかが利益を分ける。
再編は続く。大手が地場の卸を束ねる動きがあり、ナイス自身も買収を進めてきた。直近では、セレックスを連結子会社にして建材と住宅設備の販売網を広げた。ただし卸は粗利が薄く、規模を取っても利益は伸びにくい。
資本政策と M&A
資本政策は、改善の途上にある。中期計画では、毎期増配する累進配当を掲げ、2030年3月期に配当を今の1.4倍へ引き上げる。直近の配当性向は約33%。2026年3月期には自社株買いも約7億円行った。株主優待も導入し、QUOカードを配る。
費用は非開示だが、筆者は年1億円弱と推定する。10年の還元に、続く見込みを掛けて足した(中立1.0、やや悲観0.75、悲観0.5)。
政策保有株は、上場15銘柄で約60億円。取締役会が毎年見直しているが、売却は小さな銘柄にとどまる。会社は2025年12月に、ROE6%以上を目指し、保有方針の見直しを課題に挙げた。配当収入は純利益に入っているので、価値には足さない。
投資の配分は、M&Aに130億円以上、設備に35億円、ITに50億円。買収で成果を出した実績は限られる。
会社は、株主資本コストを5〜6%と見ている。筆者は9%とみる。この差が、会社の目標が易しすぎるかどうかの分かれ目だ。
筆頭株主が2社並び、ヤマダの発言力は大きい。買収の標的になる可能性は、PBRの低さからも否定できない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ナイスは、新築の縮小に正面から答えている。中古マンションの買取再販と管理賃貸で、ストックの収益を積み上げる。国産木材と非住宅の木造は、国の政策が追い風だ。物流拠点を活かした現場への配送も、人手不足の中で価値が上がる。
住宅事業はすでに事業の利益の5割強を稼ぎ、利益率は7%台まで上がった。再販の仕入れが回れば、新築が減っても利益は落ちない。
資本政策も動いている。毎期増配する累進配当を掲げ、自社株買いと優待も始めた。ROE6%以上、将来8%超を目指し、政策保有株の見直しも課題に挙げた。筆頭株主が2社並ぶ構造は、経営の安定にもつながる。木造ビルの需要は、国の補助と脱炭素の流れで、まだ立ち上がったばかりだ。
時価総額は純資産の4割弱で、土地や不動産、投資有価証券を含む資産の厚みが、下値を支える。会社の計画(営業利益75億円)が実現すれば、価値は今を大きく上回る。
株価が純資産の4割弱という状況は、会社自身も問題と認めている。ROEの目標を掲げ、政策保有株と余剰資金の使い方を見直す姿勢は、株主にとって追い風だ。大株主の2社が経営に関心を持つことも、改革を後押しする。
慎重な見方
利益の質に疑問がある。事業の利益70億円のうち、住宅が5割強を稼ぐが、その利益は不動産市況の山にある。マンション価格が調整すれば、販売用不動産の評価損が出て、利益は一気に消える。過去に38億円と121億円の赤字を出した会社だ。
建築資材は売上の4分の3だが、利益率は1%に満たない。新築住宅は人口減で細り、メーカーの直販も脅威だ。値段を決める力はなく、人件費と物流費の上昇を転嫁しきれない。
借入が重い。純有利子負債は時価総額と同じ規模で、金利が3.5%に上がれば、利息は10億円ほど増える。営業利益の2割に当たる。
資本の効率は低く、会社の目標のROE6%でも、資本コストには届かない。時価総額が純資産の4割弱なのは、市場が稼ぐ力の弱さを見ているからだ。資産は売れない限り、少数株主の手には入らない。
さらに、住宅事業の利益率が高いのは、価格が上がり続けた今の市況の産物かもしれない。買い取った中古マンションを高く売れる局面は、金利の上昇で終わりうる。筆頭株主が2社並ぶことは、少数株主にとって、方針が読めないリスクでもある。累進配当の看板も、利益が落ちれば重荷になる。優待の導入も、還元の薄さを糊塗するにすぎない。
どちらに重みを置いたか
住宅の収益力と、中古再販の伸びでは、強気の見方に分がある。しかし利益の大半を稼ぐ事業が市況に左右されることと、借入が重く金利の上昇が利益を削ることでは、慎重な見方の指摘が重い。
中立は、新築が細り、中古再販が補い、利益率が物価の中で据え置かれる姿に置いた。確率は中立に4割弱、強気側に2割台、慎重な側に3割台とした。過去の赤字の実績と借入の重さを見て、慎重な側を厚くした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,500 円292 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 947 円111 億円)。 今の値に割り戻すと 1,803 円210 億円、今との差 −4.9%、 期待の年率 +6.2%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 4,958 円578 億円 | 1,269 円148 億円 | +228.4% | +12.6% | 436 円51 億円 |
| やや楽観 | 19% | 3,845 円449 億円 | 1,166 円136 億円 | +164.3% | +10.2% | 952 円111 億円 |
| 中立 | 38% | 3,030 円353 億円 | 1,054 円123 億円 | +115.4% | +8.0% | 1,552 円181 億円 |
| やや悲観 | 25% | 877 円102 億円 | 780 円91 億円 | −12.6% | −1.3% | 414 円48 億円 |
| 悲観 | 11% | 471 円55 億円 | 377 円44 億円 | −55.2% | −7.7% | 93 円11 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,500 円292 億円 | 947 円111 億円 | +81.8% | +6.2% | 3,448 円402 億円 |
今の株価時価総額 1,896 円221 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 木造と中古再販が育ち、会社の中期計画に近づく 利益 45 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 4,958 円578 億円
国産材と非住宅木造が育ち、建築資材の利益率が1%台に乗る。中層の木造ビルで、設計から資材の納入までを一括で受ける案件が増える。住宅は、新築が細る一方、中古マンションの買取再販と管理で、安定した利益を積み上げる。物流拠点を使ったラストワンマイル配送で、現場の手間を肩代わりし、値上げも通りやすくなる。販売用不動産は回転が速まり、借入が膨らまない。政策保有株の売却で、借入の一部が減る。営業利益は80億円台に乗り、会社の目標に近づく。ただし利益率は2%台半ばにとどまり、卸と分譲という薄利の構造は変わらない。借入の金利が上がる影響も、利益を削る。会社の資本効率の目標は達成するが、筆者が見る資本コストには届かない。
- 建築資材(木材・建材・住宅設備・木材市場):数量 98,000(国内の建築資材流通の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 2.5%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 2,466 億円・営業利益 32 億円。市場 今の 0.98 倍、シェアは今のまま、値段 1.30 倍、利益率 1.3%
- 住宅(分譲マンション・戸建・中古再販・管理賃貸):数量 150,000(営業地域の分譲住宅・中古再販・管理の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 0.5%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 769 億円・営業利益 58 億円。市場 今の 1.00 倍、シェアは今のまま、値段 1.40 倍、利益率 7.5%
- その他(ソフト開発・ケーブルテレビ・工事):数量 2,850(営業地域のソフト開発・有線放送・小規模工事の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 4.8%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 136 億円・営業利益 16 億円。市場 今の 0.95 倍、シェアは今のまま、値段 1.34 倍、利益率 12.0%
倍率:事業の純利益 45 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.7% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 562 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:住宅の利益率の高止まり、木材の工場の稼働、非住宅木造の拡大が同時にそろう必要がある。会社の2030年の営業利益目標は75億円で、これを上回る姿なので、7%にとどめる。
やや楽観 19% 中古再販とストック事業が伸び、新築の縮小を補う 利益 35 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 3,845 円449 億円
新築住宅の着工が減る中で、中古マンションの買取再販と管理賃貸が伸びる。住宅の利益率は7%近くを保つ。建築資材は、木材の価格転嫁と住宅設備の提案販売で、利益率が1%を少し上回る。ヤマダグループ向けの取引も続く。木材市場は縮むが、国産材の工場が稼働して穴を埋める。借入の金利は上がるものの、利益がそれを上回って伸びる。営業利益は70億円近くになる。株主還元は、毎期の増配を守る。会社は自社株買いも続けるが、規模は小さい。物流拠点の整備で配送の効率が上がり、人手不足の中でも粗利を守れる。木造の非住宅でも、設計段階から資材を押さえる案件が少しずつ増える。事業の収益性は改善するが、資本コストにはなお届かない。
- 建築資材(木材・建材・住宅設備・木材市場):数量 95,000(国内の建築資材流通の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 2.5%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 2,372 億円・営業利益 26 億円。市場 今の 0.95 倍、シェアは今のまま、値段 1.29 倍、利益率 1.1%
- 住宅(分譲マンション・戸建・中古再販・管理賃貸):数量 142,500(営業地域の分譲住宅・中古再販・管理の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 0.5%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 715 億円・営業利益 50 億円。市場 今の 0.95 倍、シェアは今のまま、値段 1.37 倍、利益率 7.0%
- その他(ソフト開発・ケーブルテレビ・工事):数量 2,760(営業地域のソフト開発・有線放送・小規模工事の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 4.8%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 132 億円・営業利益 15 億円。市場 今の 0.92 倍、シェアは今のまま、値段 1.34 倍、利益率 11.5%
倍率:事業の純利益 35 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.6% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 435 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中古再販と管理の積み上げは着実に進んでいる。会社の計画(営業利益75億円)には届かないが、近づく姿は十分ありうるので、2割弱に置く。
中立 38% 新築は細るが、中古再販と管理が補う。稼ぎは物価並みで、利息が重い 利益 27 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 3,030 円353 億円
新築住宅の着工は人口減で細り、建築資材の数量は1割弱減る。値段は、合板や鋼材の相場に連動して、物価をやや下回る程度しか上がらない。住宅は、新築の縮小を中古再販と管理で補うが、数量は1割減る。マンション価格が物価並みに上がるので、売上は増える。ただし利益率は、今の7%台から6%台半ばに落ち着く。本社費は物価並みに増え、人件費の上昇を吸収できない。借入の金利は3.5%へ上がり、利息が10億円ほど増える。営業利益は物価の分だけ増え、純利益は今と同じ水準にとどまる。還元は毎期増配を守り、少額の自社株買いが加わる。
- 建築資材(木材・建材・住宅設備・木材市場):数量 92,000(国内の建築資材流通の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 2.5%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 2,261 億円・営業利益 23 億円。市場 今の 0.92 倍、シェアは今のまま、値段 1.27 倍、利益率 1.0%
- 住宅(分譲マンション・戸建・中古再販・管理賃貸):数量 135,000(営業地域の分譲住宅・中古再販・管理の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 0.5%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 663 億円・営業利益 43 億円。市場 今の 0.90 倍、シェアは今のまま、値段 1.34 倍、利益率 6.5%
- その他(ソフト開発・ケーブルテレビ・工事):数量 2,700(営業地域のソフト開発・有線放送・小規模工事の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 4.8%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 129 億円・営業利益 14 億円。市場 今の 0.90 倍、シェアは今のまま、値段 1.34 倍、利益率 11.0%
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.7% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 334 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:営業利益は過去12年で45億円から100億円の間を行き来し、足元は50億円台。住宅の好調な利益率が定着するかが読み切れない。中立に4割弱、慎重な側にやや厚く置く。
やや悲観 25% 住宅市況が崩れ、金利の上昇で利益が消える 利益 9 億円 · PER 6.7 倍 · 株価時価総額 877 円102 億円
マンションの価格が調整に入り、販売が長引く。販売用不動産は積み上がり、評価損を出す。借入が膨らみ、金利の上昇が利益を直撃する。建築資材は、新設住宅の着工が3割近く減り、数量が落ちる。価格競争も強まり、値上げは通りにくい。営業利益は20億円台まで落ちる。利息の負担が10年前より重く、純利益はほぼ消える。配当は累進配当の看板を守りきれず、増配を止める。財務の余力はあるが、資産の価値を取り出せないまま、低い収益が続く。会社は不動産の売却と借入の圧縮で時間を稼ぐ。政策保有株も売却して返済に回すが、売却益は一度きりで、稼ぐ力は戻らない。木造や物流への投資は後ろ倒しになり、成長の絵は描き直される。
- 建築資材(木材・建材・住宅設備・木材市場):数量 82,000(国内の建築資材流通の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 2.4%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 1,936 億円・営業利益 16 億円。市場 今の 0.82 倍、シェアは今のまま、値段 1.22 倍、利益率 0.8%
- 住宅(分譲マンション・戸建・中古再販・管理賃貸):数量 108,000(営業地域の分譲住宅・中古再販・管理の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 0.5%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 494 億円・営業利益 25 億円。市場 今の 0.72 倍、シェアは今のまま、値段 1.25 倍、利益率 5.0%
- その他(ソフト開発・ケーブルテレビ・工事):数量 2,400(営業地域のソフト開発・有線放送・小規模工事の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 4.5%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 107 億円・営業利益 10 億円。市場 今の 0.80 倍、シェアは今のまま、値段 1.25 倍、利益率 9.0%
倍率:事業の ROE 0.7% が k 8% を大きく下回り、ためた利益は額面未満。上限 11.1 倍の約 6 割の 6.7 倍に置く(稼ぐ力に見合う倍率)。
確率:新築マンションの価格が調整し、販売用不動産の回転が落ちる。2020年3月期には38億円の赤字が出ており、起こりうる。借入が重いので、慎重な側を厚めに置く。
悲観 11% 新築が構造的に半減し、不動産の在庫で損を出す 利益 −29 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 471 円55 億円
新築住宅の着工が半分近くまで減り、販売用不動産の価格が大きく下がる。在庫の評価損を出し、住宅事業は赤字に落ちる。建築資材も数量が3割減り、価格競争で利益がほとんど出ない。借入は残り、金利が上がって利息が重くのしかかる。営業利益は赤字となり、純損失が続く。配当は大きく減らさざるを得ず、優待も見直される。貸し手の目も厳しくなり、物件や政策保有株の売却を迫られる。会社は存続するが、少数株主に残るのは、売れる資産から借入を引いた額に絞られる。清算されない限り、その使い方は少数株主には決められない。ヤマダグループ向けの取引も縮み、大株主の発言力だけが残る。筆頭株主の再編が起きれば、価格は買い手の事情で決まる。
- 建築資材(木材・建材・住宅設備・木材市場):数量 70,000(国内の建築資材流通の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 2.2%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 1,558 億円・営業利益 6 億円。市場 今の 0.70 倍、シェアは今のまま、値段 1.15 倍、利益率 0.4%
- 住宅(分譲マンション・戸建・中古再販・管理賃貸):数量 75,000(営業地域の分譲住宅・中古再販・管理の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 0.4%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 302 億円・営業利益 0 億円。市場 今の 0.50 倍、シェアは今のまま、値段 1.10 倍、利益率 0.0%
- その他(ソフト開発・ケーブルテレビ・工事):数量 1,950(営業地域のソフト開発・有線放送・小規模工事の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 4.1%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 80 億円・営業利益 5 億円。市場 今の 0.65 倍、シェアは今のまま、値段 1.15 倍、利益率 6.0%
倍率:稼ぐ力は赤字で、価値は売れる資産から借入を引いた額で決まる。今の自己資本 594 億円に PBR 0.093 倍を掛けた 55 億円は、下の床の内訳に合わせたもの。ためた利益や土地の帳簿価額には掛けない。
確率:リーマン級の住宅不況が長引く構造的な負け。2009年3月期に121億円の赤字を出した実績があり、借入が重い今は、同じ打撃を受けうる。1割強に置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建築資材(木材・建材・住宅設備・木材市場)
木材の調達・加工・販売、建材と住宅設備の販売・施工、木材市場の運営。工務店と建設会社が主な客先。
| 数量国内の建築資材流通の市場(億円・今の値段の実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100,000 | 1.9% | 1,935 | 18 |
| 10 年後 中立 | 92,000 | 2.5% | 2,261 | 23 |
取り方:2026/03 期のセグメント売上1,935億円・利益17.5億円(有報の集計)。市場は国内の建材・木材・住宅設備の流通を約10兆円と推定し、シェア約1.9%。利益率は0.9%と薄い。新設住宅着工と改修の量、合板・鋼材の相場に連動する。
住宅(分譲マンション・戸建・中古再販・管理賃貸)
新築と中古買取再販のマンション、戸建、注文住宅、マンション管理と賃貸仲介。
| 数量営業地域の分譲住宅・中古再販・管理の市場(億円・今の値段の実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 150,000 | 0.4% | 549 | 39 |
| 10 年後 中立 | 135,000 | 0.5% | 663 | 43 |
取り方:売上549億円・利益38.9億円で、売上は2割、事業の利益の5割強。販売用不動産は308億円(マンション208・戸建54・その他46)。市場は営業地域の分譲・再販・管理を約15兆円と推定し、シェア約0.4%。
その他(ソフト開発・ケーブルテレビ・工事)
ソフトウェアの開発・販売、有線放送(ケーブルテレビ)、工事。
| 数量営業地域のソフト開発・有線放送・小規模工事の市場(億円・今の値段の実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,000 | 3.6% | 107 | 14 |
| 10 年後 中立 | 2,700 | 4.8% | 129 | 14 |
取り方:売上107億円・利益13.5億円。前期は売上92億円・利益6.2億円。市場は地域のケーブルテレビとソフトの合計を約3,000億円と推定し、シェア約3.6%。
リスクと懸念
不動産市況の調整と販売用不動産の評価損
販売用不動産は約308億円あり、前期から3割増えた。マンション価格が調整すれば、売れ残りと評価損が出る。住宅は事業の利益の5割強を稼ぐため、傷は全体に響く。
借入の重さと金利の上昇
借入は約440億円。借り換えで金利が3.5%に上がると、利息は10年で数億円増える。営業利益の2割ほどに当たり、純利益の伸びを抑える。
新設住宅の着工の長期的な減少
人口減で、新設住宅は10年で2〜3割減るという見方が多い。建築資材は売上の4分の3を占め、数量が減る。非住宅の木造と改修で補えるかが焦点になる。
薄利の卸と転嫁の力
建築資材の利益率は1%に満たない。人件費、物流費、木材や鋼材の相場の変動を転嫁できなければ、赤字に近づく。メーカーの直販も脅威だ。
大株主の動向
ヤマダホールディングスと技研ホールディングスが、それぞれ約17%を持つ。株主の意向で、経営の方向や資本政策が変わる可能性がある。持ち分が売られれば、需給にも響く。
M&Aと設備投資の規律
中期計画では、M&Aに130億円以上、木材の工場などに数十億円を使う。過去に成果が限られており、稼働率が上がらなければ償却が重くなる。更新の投資は建築費の上昇で膨らむ。
AIエージェントによる代替は限られる
扱うのは木材、建材、不動産という現物で、AIエージェントに置き換わるのは見積もりや受発注の事務の一部にとどまる。営業の省力化は進むが、売上の縮小要因にはしていない。
今後の分かれ目
- 中古再販の販売戸数が伸び、住宅の営業利益が50億円を超えたら
- 強気の筋書きの確率を上げる。住宅の利益率の前提を上げる。
- 販売用不動産の評価損が出る、または在庫が積み上がり続けたら
- 慎重な筋書きに重みを移す。借入の重さが利益を削る。
- 政策保有株の売却額が目標として開示され、借入の返済や自社株買いに回されたら
- 資本効率の改善が確かになる。余った資産の価値を別に足す余地が出る。
- 新設住宅着工が年間の減少率を超えて落ちたら
- 建築資材の数量の前提を下げる。
- ヤマダホールディングスが出資比率の引き上げや資本の再編を打ち出したら
- 価格次第で株主価値が上がる。ただし確度は低い。
- 木材の工場が稼働し、国産材の取扱いが伸びたら
- 建築資材の利益率の前提を上げる余地が出る。
見ておくもの
- 住宅事業の営業利益と販売用不動産の残高
- 建築資材の営業利益率(今期0.9%)
- 借入の平均金利と利息の負担
- 政策保有株の売却額と使い道
- ヤマダホールディングス・技研ホールディングスの持ち分
倍率と資本コストの決め方
倍率は、事業のROEと資本コスト8%から、ROEがk以下のため1÷k=11.1倍を上限にして、その6〜9割に置いた。今の株価や同業の倍率は使っていない。悲観は売れる資産から借入を引いた額と、清算されない前提の少数株主の取り分から出した。政策保有株の配当は純利益に残し、価値に足していない。純現金はなく(純有利子負債222億円)、余った現金は分けていない。家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。新リース会計基準(2028年3月期から強制)で数字の形が変わるが、価値は変わらないので今の形のままにした。市場の規模とシェアは開示が無く、推定で精度は低い。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→12.5 倍・やや楽観 PER 9.4→12.5 倍・中立 PER 8.9→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。