結論
中央魚類は、豊洲市場で水産物を集めて売る大卸が本業の会社だ。冷蔵倉庫と不動産賃貸が利益の下支えになり、保有する有価証券は時価総額と同じ規模にある。筆者は、利益の質は低いが、この資産が安全域になると見る。10 年の価値は今の時価総額とほぼ同じで、適正の範囲と見る。
売上 1,586 億円の 94% は水産卸だが、営業利益 33 億円のうち水産卸は 19 億円。営業利益率は 1.2% と薄い。残りは冷蔵倉庫の 8 億円、不動産賃貸の 6 億円が稼ぐ。小さな売上で大きな利益を出す、収益の安定源だ。
財務は両面を持つ。純有利子負債は 153 億円で、時価総額と同じ規模。だが投資有価証券が 156 億円あり、含み益が大きい。自己資本は 366 億円と、時価総額の 2.4 倍ある。
問題は資本効率だ。ROE は 8% だが、今期の特別利益を除くと 7% 弱で、資本コストの 8.5% に届かない。会社は 2031 年度に ROE 7% を目指すが、それでも届かない。
配当性向は 20% を下限にする方針を決めた。自己資本比率は 44% から 50% へ高める。株主還元はこれから少しずつ厚くなる、と筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、本業の質を見る。水産卸は利益率が 1% 台で、堀は薄い。冷蔵倉庫と不動産は安定しているが、全体の利益の 4 割にとどまる。10 年後も豊洲の大卸は残るが、市場外の流通が増えれば、取扱数量の減りは避けられない。
次に、資本の使い方を問う。借入を使いながら有価証券を積み上げ、配当は利益の 16% にとどめてきた。株主の取り分を後回しにしてきた形だ。新しい計画で配当性向の下限を置いたのは前向きだが、ROE は 7% が目標で、資本コストには届かない。
安全域は資産にある。純資産の半分を超える有価証券が時価総額と同じ規模にあり、含み益の税を引いても 100 億円を超える。借入が重く、完全に自由な資産ではないが、悲観の筋書きでも床になる。
筆者は、本業の利益には控えめな倍率を、保有する有価証券には戻り方 0.5 を掛けて見る。それでも今の時価総額は、中立の価値よりやや低い。ただ上昇の幅は小さく、割安と言い切れる水準ではない。
何で稼ぐ会社か
事業は 4 つあるが、実質は水産卸、冷蔵倉庫、不動産の 3 つだ。
水産物卸売事業は、売上の 94% を占める。豊洲市場で全国と世界から魚を集め、スーパー、外食、加工業者などに売る。2026 年 3 月期の売上は 1,493 億円、営業利益は 19 億円。豊洲の大卸 7 社の中でシェアを広げているが、市場外の取引も育てている。傘下の柏魚市場、ホウスイ(水産商社)も含まれる。
冷蔵倉庫事業は、ホウスイなどが首都圏で冷凍冷蔵倉庫を運営し、荷物を預かって保管料と荷役料を受け取る。売上は 80 億円、営業利益は 8 億円で、前期比 24% 増えた。保管料の値上げが効いた。
不動産賃貸事業は、保有するマンションや施設を貸す。売上は 6 億円、営業利益は 6 億円。グループ内への賃貸収入が大きく、社内の費用と相殺される。
荷役事業は、市場内の荷役と配送で、売上は 7 億円、営業利益は 0.3 億円と小さい。
そのほか、せんにち(食品製造)、水産流通と中央フーズ(小売・外食向けの仕分けと配送)などで、サプライチェーンを一気通貫でそろえる。
優良さと弱いところ
強みは、豊洲市場の大卸という立ち位置と、グループの機能がそろっていることだ。集荷力、目利き力、保管・加工・配送を一通り持つ。2026 年 3 月期は、サンマの水揚増と冷凍品、エビ・カニ・サケなどで販売が増え、売上が 6% 伸びた。
ただ収益力は低い。営業利益率は 1〜2% の薄い商売で、水揚の増減と市況で利益がぶれる。過去 10 年の ROE は中央値で 5.1% と、資本コストを大きく下回る。2024〜2026 年の ROE 8〜9% は、薄い利益率が少し改善した結果にとどまる。
資本配分は課題だった。自己資本比率は 40% 前後で、有利子負債が重い。それでも有価証券を増やし、含み益を積み上げてきた。新しい中期経営計画で、配当性向の下限と自己資本比率の目標を初めて示したのは前進だ。
弱みは、豊洲市場の機能に依存する点にある。市場外の取引が増えれば、卸の仲介機能は薄れる。冷蔵倉庫も、参入企業の増加で競争が強まっている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
水産物の流通は、数量が細り、単価が上がる構図にある。国内の魚の消費は人口減少と魚離れで減る。一方、魚価は資源の減少、燃料や人件費の上昇、世界の需要拡大で上がる。2025 年度の上半期は、豊洲市場の取扱数量が 2 年ぶりに減り、金額は 5 年連続で増えた。豊洲の大卸 7 社の取扱高は、2024 年度に 16 年ぶりに 5,000 億円台に乗った。
卸売市場の仕組みも変わる。生産者から小売や外食へ直接届ける流通、市場外の取引、ネット通販が増え、市場経由の比率は細っている。大卸 7 社は集荷力と価格形成の機能を持つが、仲介だけでは利益が出にくい。会社は、加工、保管、配送を一体で提供して付加価値を高める戦略だ。
冷蔵倉庫は、共働き世帯の増加で冷凍食品が伸びて堅調だが、新規参入が増えて競争は強い。人手不足とドライバーの残業規制は、物流コストを押し上げる。電力料の上昇も続く。値上げを通せる荷主を持てるかが分かれ目だ。
不動産賃貸は安定した利益源で、賃料は契約の更新で少しずつ上がる。大規模な改修を計画している。
資本政策と M&A
新しい中期経営計画(2026〜2028 年度)で、配当性向 20% を下限にする方針を決めた。2027 年 3 月期の配当から適用する。年間配当は 2026 年 3 月期も 2027 年 3 月期予想も同額で、配当性向は 16% 前後と低かった。3 年間で営業キャッシュ 110 億円を見込み、成長投資 45 億円、更新投資 35 億円、株主還元 14 億円、借入返済 16 億円に配分する。
自己資本比率は 2025 年度末の 42% から、2028 年度末に 50% へ高める。借入を減らして財務を軽くする方針だ。ROE の目標は 2028 年度に 6.7%、2031 年度に 7% で、資本コストには届かない。
M&A は柏魚市場やホウスイなどで進めてきた。譲渡制限付き株式報酬の導入も決めた。TOB の確率は kabufu の推定で 32% と高めだが、親会社的な存在は見当たらない。株主優待は 2024 年 3 月の権利分で廃止した。
有価証券 156 億円は、過去に売却益を出している。2026 年 3 月期も 7 億円の売却益を計上した。売却して借入を返す余地があるが、売却の方針は開示されていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
水産の卸は薄利でも、安定した需要を持つ。豊洲の大卸 7 社の取扱高は 5 年連続で増え、2024 年度に 16 年ぶりに 5,000 億円台に乗った。会社はそのなかで取扱シェアを広げている。集荷力、目利き力、グループ内の保管・加工・配送が、荷主と販売先の信頼を呼ぶ。
冷蔵倉庫は保管料の値上げで営業利益が 24% 伸びた。老朽設備を更新し、自動化を進めれば、営業利益率はさらに上がる。不動産も安定している。
計画は、2028 年度に営業利益 35 億円、2031 年度に 40 億円。達成すれば純利益は 28 億円を超える。配当性向の下限 20% と、自己資本比率 50% の目標は、財務と還元の両面で改善を約束する。
資産の厚みも見逃せない。有価証券が 156 億円と時価総額に並び、売却すれば借入を一気に減らせる。純資産の半分以下という値付けは、売り急ぎがなければ行き過ぎだ。
配当性向の下限を置き、株主への還元を約束したことは、これまでの低い還元からの転換点になる。業績が計画に近づけば、配当は増える。
慎重な見方
ROE は過去 10 年の中央値で 5.1%、資本コストを大きく下回る。利益率が 1〜2% の卸売は、市況と数量が少し動くだけで利益が消える。2027 年 3 月期の会社計画は営業利益が 8% 減る。
市場外の流通は増え続け、卸の仲介機能は薄れる。大手小売は産地から直接仕入れる。取扱数量はすでに 2 年ぶりに減り、金額は価格の上昇に支えられているにすぎない。
冷蔵倉庫は、参入企業の増加で競争が激しい。電力料と人件費の上昇に対し、荷主への価格転嫁は限られる。
有価証券は帳簿上は厚いが、借入と対になっている。売却すれば税がかかり、配当収入も減る。そもそも少数株主は、これを売って返すかを決められない。会社は配当性向を 16% にとどめ、現金を溜めてきた。新しい下限の 20% でも、他社より低い。
新リース会計基準が始まれば、賃借している倉庫や土地の約束が負債として載り、自己資本比率の目標 50% は一段と遠くなる。ROE の目標も、積み上がる自己資本の前では達成が難しい。
どちらに重みを置いたか
水産卸の利益率の低さと資本効率の低さは変わらない。慎重な見方の、市場外流通による取扱数量の減少には、やや悲観の確率を厚く置いた。一方、有価証券と不動産という資産の厚みと、新方針による還元の改善は、悲観の床を高くする。強気の言い分がわずかに強い。確率は、楽観 8%・やや楽観 20%・中立 38%・やや悲観 23%・悲観 11%。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 9,464 円379 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,538 円62 億円)。 今の値に割り戻すと 5,431 円217 億円、今との差 +45.6%、 期待の年率 +11.4%(資本コスト 8.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 15,079 円604 億円 | 2,386 円96 億円 | +368.2% | +16.7% | 1,397 円56 億円 |
| やや楽観 | 20% | 12,774 円511 億円 | 1,929 円77 億円 | +294.2% | +14.7% | 2,940 円118 億円 |
| 中立 | 38% | 11,299 円452 億円 | 1,601 円64 億円 | +245.9% | +13.2% | 4,902 円196 億円 |
| やや悲観 | 23% | 5,119 円205 億円 | 1,144 円46 億円 | +67.9% | +5.3% | 1,441 円58 億円 |
| 悲観 | 11% | 2,108 円84 億円 | 819 円33 億円 | −21.5% | −2.4% | 322 円13 億円 |
| 加重平均 | 100% | 9,464 円379 億円 | 1,538 円62 億円 | +195.0% | +11.4% | 11,002 円440 億円 |
今の株価時価総額 3,730 円149 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 豊洲の集荷力が高まり、物流と不動産の安定利益が加わる 利益 38 億円 · PER 14.9 倍 · 株価時価総額 15,079 円604 億円
中央魚類は豊洲の大卸で集荷力を強め、東南アジアへの輸出と加工品で取扱数量を保つ。水産の価格は 1.4 倍になり、営業利益率は 1.5% に上がる。
冷蔵倉庫は値上げと自動化で営業利益率が 11% に届き、不動産の賃料もリノベーションで伸びる。営業利益は 55 億円、純利益は 38 億円。配当性向は 30% に引き上がり、還元は 10 年で 96 億円。自己資本比率は目標の 50% を超え、保有する有価証券の含み益は大きいまま残る。中立との差は、水産の価格が 1.4 倍に届くことと、利益率が 0.3 ポイント高いことだ。冷蔵倉庫の値上げが定着し、豊洲での取扱シェアの拡大が続く前提になる。
- 水産物卸売:数量 9.6(取扱数量(万トン・推定))× 価格 220(1 トンあたり取扱額(万円・名目))→ 売上 2,110 億円・営業利益 32 億円。9.6 万トン × 1 トン 1.4 倍、営業利益率 1.5%
- 低温物流(冷蔵倉庫・荷役):数量 27.0(保管能力(万トン・推定))× 価格 4.90(1 トンあたり年間売上(万円・名目))→ 売上 132 億円・営業利益 15 億円。保管能力 27 万トン × 1 トン 1.4 倍、営業利益率 11%
- 不動産賃貸:数量 3.7(賃貸面積(万㎡・推定))× 価格 23(1 ㎡あたり年間賃料(千円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 8 億円。3.7 万㎡ × 1.35 倍
倍率:事業の純利益 37 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)90 億円。全体の PER 14.87 倍、時価総額 570 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:豊洲の取扱高は 5,000 億円台で伸びており、会社はシェアを広げている。シェア拡大と輸出が重なり、水産の営業利益率が 1.5% まで上がる筋書きは、中期経営計画の 2031 年目標(営業利益 40 億円)を大きく超える。実現の幅が狭いので 8% にとどめた。
やや楽観 20% 集荷力は保つが、数量は緩やかに減る 利益 32 億円 · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 12,774 円511 億円
国内の魚の消費は細るが、輸出と軽加工の商品で取扱数量の減りを 3 年ほどで止め、10 年では 5% の減に収める。水産の価格は 1.37 倍、営業利益率は 1.35%。冷蔵倉庫は老朽設備の更新が進み、営業利益率は 10%。
営業利益は 47 億円、純利益は 32 億円。配当性向は 27% 程度に高まり、10 年の還元は 77 億円。有価証券は時価の水準を保ち、財務は目標の自己資本比率 50% に近づく。中立との差は、取扱数量の減りが 1 割でなく 5% にとどまり、水産の営業利益率が 0.15 ポイント高いことだ。輸出と軽加工が数量の減少を補う前提になる。
- 水産物卸売:数量 9.2(取扱数量(万トン・推定))× 価格 215(1 トンあたり取扱額(万円・名目))→ 売上 1,979 億円・営業利益 27 億円。9.2 万トン × 1 トン 1.37 倍、営業利益率 1.35%
- 低温物流(冷蔵倉庫・荷役):数量 26.0(保管能力(万トン・推定))× 価格 4.78(1 トンあたり年間売上(万円・名目))→ 売上 124 億円・営業利益 12 億円。保管能力 26 万トン × 1 トン 1.37 倍、営業利益率 10%
- 不動産賃貸:数量 3.6(賃貸面積(万㎡・推定))× 価格 22(1 ㎡あたり年間賃料(千円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 8 億円。3.6 万㎡ × 1.27 倍
倍率:事業の純利益 30 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.8% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)90 億円。全体の PER 14.67 倍、時価総額 466 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期経営計画の 2028 年度計画(営業利益 35 億円)は達成し、その後は物価並みに伸びる筋書き。計画達成の可能性は高いが、水産の市況と人手不足で上下するので 2 割にした。
中立 38% 数量は細り、価格は物価並み。利益はゆっくり伸びる 利益 26 億円 · PER 15.2 倍 · 株価時価総額 11,299 円452 億円
国内の魚の消費は人口とともに細り、取扱数量は 10 年で 1 割減る。ただ魚価は上がり続け、金額では物価並みの 1.34 倍。水産の営業利益率は今と同じ 1.2%。冷蔵倉庫は保管料の値上げを重ね、営業利益率は 9.3% を保つ。
物流・人件費の上昇は価格に移せる範囲で、営業利益は 39 億円まで伸びる。借入の借り換えで利払いは増え、純利益は 26 億円。配当性向は新方針の下限 20% を少し上回る 25% 程度で、10 年の還元は 64 億円。ROE は 5% に届かず、資本コストを下回り続ける。有価証券の評価は時価の水準で横ばいとし、含み益が増えることも減ることも見込まない。
- 水産物卸売:数量 8.6(取扱数量(万トン・推定))× 価格 210(1 トンあたり取扱額(万円・名目))→ 売上 1,799 億円・営業利益 22 億円。8.55 万トン(今の 0.9 倍)× 1 トン 1.34 倍、営業利益率 1.2%(今と同じ)
- 低温物流(冷蔵倉庫・荷役):数量 25.0(保管能力(万トン・推定))× 価格 4.68(1 トンあたり年間売上(万円・名目))→ 売上 117 億円・営業利益 11 億円。保管能力 25 万トン(横ばい)× 1 トン 1.34 倍、営業利益率 9.3%(今と同じ)
- 不動産賃貸:数量 3.5(賃貸面積(万㎡・推定))× 価格 20(1 ㎡あたり年間賃料(千円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 7 億円。3.5 万㎡ × 1.15 倍(長期契約で賃料の上げは物価に届かない)
倍率:事業の純利益 24 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.9% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)90 億円。全体の PER 15.16 倍、時価総額 393 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:魚の消費の減少、物流コスト、人手不足を織り込んでも、会社の計画の線に沿う形が最も起こりやすい。強気と慎重の中間で 4 割弱にした。
やや悲観 23% 集荷の中抜きと数量減で、利益率が薄くなる 利益 16 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 5,119 円205 億円
魚の消費がさらに細り、市場外の直取引が伸びて、取扱数量は今の 0.8 倍まで減る。魚価は 1.25 倍にとどまり、水産の営業利益率は 0.9% に落ちる。
冷蔵倉庫は参入企業が増えて競争が強まり、営業利益率が 7% に下がる。営業利益は 27 億円、純利益は 16 億円。配当は下限の 20% 台前半で、還元は 46 億円。利払いの増加が重く、財務目標の自己資本比率 50% は届かない。冷蔵倉庫と不動産は安定しているが、全体の利益の増減を支えるには足りない。有価証券は時価のまま保ち、売却はしないが、含み益が増えることもない。
- 水産物卸売:数量 7.6(取扱数量(万トン・推定))× 価格 196(1 トンあたり取扱額(万円・名目))→ 売上 1,492 億円・営業利益 13 億円。7.6 万トン(今の 0.8 倍)× 1 トン 1.25 倍、営業利益率 0.9%
- 低温物流(冷蔵倉庫・荷役):数量 25.0(保管能力(万トン・推定))× 価格 4.19(1 トンあたり年間売上(万円・名目))→ 売上 105 億円・営業利益 7 億円。保管能力 25 万トン × 1 トン 1.2 倍、営業利益率 7%
- 不動産賃貸:数量 3.4(賃貸面積(万㎡・推定))× 価格 19(1 ㎡あたり年間賃料(千円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 6 億円。3.4 万㎡ × 1.1 倍
倍率:ROE 3.1% は k 8% を大きく下回る。稼ぎは維持が精一杯で、上限 11.8 倍の 7 割弱の 8.0 倍にした。
確率:市場外取引と大手小売の直接仕入れが進み、卸の取扱数量が 2 割減る筋書き。魚の消費の減少は避けられないが、数量の減りが 2 割に及ぶのは、集荷力が落ちた場合に限られる。2 割強にした。
悲観 11% 中抜きで卸の機能が薄れ、赤字に近い低採算が続く 利益 7 億円 · PER 6.0 倍 · 株価時価総額 2,108 円84 億円
市場外流通が主流になり、豊洲の大卸 7 社の取扱数量は 3 分の 2 に縮む。シェアを広げてきた会社でも減少は避けられず、魚価の上がりは 1.1 倍にとどまる。水産の営業利益率は 0.4% まで落ちる。
冷蔵倉庫は競争の激化と電力料の上昇で営業利益率が 4% に下がる。営業利益は 13 億円、純利益は 7 億円。配当は下限の 20% を保てても金額は小さく、10 年の還元は 33 億円。利払いが増えて財務は硬直する。保有する有価証券を売って凌ぐ局面になる。冷蔵倉庫も更新投資を絞り、不動産の売却で現金を作る。自己資本の多くは有価証券と固定資産で、稼ぐ力に結びつかない。
- 水産物卸売:数量 6.2(取扱数量(万トン・推定))× 価格 173(1 トンあたり取扱額(万円・名目))→ 売上 1,071 億円・営業利益 4 億円。6.2 万トン(今の 0.65 倍)× 1 トン 1.1 倍、営業利益率 0.4%
- 低温物流(冷蔵倉庫・荷役):数量 24.0(保管能力(万トン・推定))× 価格 3.84(1 トンあたり年間売上(万円・名目))→ 売上 92 億円・営業利益 4 億円。保管能力 24 万トン × 1 トン 1.1 倍、営業利益率 4%
- 不動産賃貸:数量 3.2(賃貸面積(万㎡・推定))× 価格 17(1 ㎡あたり年間賃料(千円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 5 億円。3.2 万㎡ × 1.0 倍
倍率:ROE 1.5% は k 8% を大きく下回る。稼ぎは小さく、上限 11.8 倍の半分強の 6.0 倍にした。床は保有有価証券と不動産の売却価値。
確率:卸売市場を通さない流通が主流になり、大卸の取扱数量が 35% 減る構造的な負けの筋書き。豊洲に頼る事業なので、シェア拡大が止まれば固定費が重くなる。1 割強にした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
水産物卸売
豊洲市場などで水産物を集め、スーパー・外食・加工業者に売る。柏魚市場とホウスイ(水産商社)を含む。
| 数量取扱数量(万トン・推定) | 価格1 トンあたり取扱額(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 9.5 | 157 | 1,492 | 19 |
| 10 年後 中立 | 8.6 | 210 | 1,799 | 22 |
取り方:売上 1,493 億円(営業利益 18.64 億円)。数量は開示がなく、豊洲の大卸 7 社が取扱高 5,000 億円台で平均単価が 1 トン約 160 万円と推定し、約 9.5 万トンとした(推定)。
低温物流(冷蔵倉庫・荷役)
冷凍冷蔵倉庫で荷物を預かり保管料と荷役料を受ける。市場内の荷役と配送も含む。
| 数量保管能力(万トン・推定) | 価格1 トンあたり年間売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 25.0 | 3.49 | 87 | 8 |
| 10 年後 中立 | 25.0 | 4.68 | 117 | 11 |
取り方:冷蔵倉庫 80.4 億円と荷役 6.9 億円の合計 87.3 億円(営業利益 7.83 億円と 0.32 億円)。保管能力は中期経営計画のグラフから約 25 万トンと推定し、1 トンあたり年 3.5 万円とした(推定)。
不動産賃貸
保有するマンション・施設・土地を貸す。グループ内への賃貸が多い。
| 数量賃貸面積(万㎡・推定) | 価格1 ㎡あたり年間賃料(千円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3.5 | 17 | 6 | 6 |
| 10 年後 中立 | 3.5 | 20 | 7 | 7 |
取り方:外部売上は 5.9 億円。利益はグループ内への賃料を含め 5.9 億円(営業利益率はほぼ 100%)。面積は推定で、結論への影響は小さい(推定)。
リスクと懸念
市場外流通による中抜き
生産者から小売・外食への直接取引、ネット通販が増え、卸売市場を通す魚は細る。取扱数量は 2025 年度の上半期に 2 年ぶりに減った。豊洲に集荷する価値が薄れると、固定費の重い大卸の利益率は急に悪化する。
魚価と水揚の変動
サンマやサケなど大衆魚の水揚は年ごとにぶれ、市況で利益が動く。2026 年 3 月期も水産卸の営業利益は 7% 減った。気候変動による漁場の変化と、漁業者の高齢化が供給を不安定にする。
薄い利益率と費用の上昇
営業利益率は 1.2% で、人件費、燃料、資材、物流費の上昇を価格に移せないと、利益が簡単に消える。ドライバーの残業規制も運賃を押し上げる。
借入と金利
純有利子負債は 153 億円。借り換えで金利が 3.5% 前後になると、利払いが 10 年で年 4 億円ほど増える。営業利益 33 億円に対して無視できない負担になる。
有価証券の価格変動と少数株主の立場
投資有価証券 156 億円は株価で上下する。評価差額金は自己資本に入っているので、相場が崩れると自己資本が目減りする。売却する時期や使い道は会社が決めるため、少数株主には読めない。
冷蔵倉庫の競争と設備更新
冷蔵倉庫業界への参入企業が増え、競争が強まっている。老朽設備の更新に年 10 億円規模の投資が要り、建築費の上昇で膨らむ。更新が遅れれば稼働が落ち、早すぎれば減価償却が利益を削る。
新リース会計基準
2028 年 3 月期から、賃借している倉庫・土地・設備がリース負債として貸借対照表に載る。自己資本比率の目標 50% の達成が難しく見える恐れがある。
今後の分かれ目
- 豊洲の取扱数量が 3 年続けて減る
- 市場外流通の影響が本格化している。やや悲観の確率を高め、水産卸の営業利益率を 1% 未満に見直す。
- 中期経営計画の 2028 年度計画(営業利益 35 億円)を達成する
- やや楽観の確率を厚くできる。冷蔵倉庫の値上げと水産のシェア拡大が計画どおりと確かめられる。
- 有価証券を売却して借入を返す方針が出る
- 資産が負債と相殺され、資本コストを超える利益の見通しが立つ。余った資産の戻り方を 0.5 から高める材料になる。
- 配当性向が 25% を超える水準に引き上げられる
- 株主への還元が現実になる。ROE が資本コストに届かなくても、評価が一段上がる。
- 冷蔵倉庫の営業利益率が 8% を割る
- 競争と電力料の上昇が価格転嫁を上回っている。安定利益源という前提が崩れる。
- 親会社や買収者による TOB の提案が出る
- 資産の厚みにプレミアムがつく可能性がある。ただ、少数株主の取り分が公正かは確かめる必要がある。
見ておくもの
- 豊洲市場の取扱数量・金額(大卸 7 社)と中央魚類のシェア
- 水産物卸売の営業利益率と、冷蔵倉庫の営業利益
- 配当性向の実績(下限 20%)と自己資本比率(目標 50%)
- 有価証券の売却と残高
- 借入残高と金利
- 新リース会計基準の適用
倍率と資本コストの決め方
倍率は、資本コスト 8%(基本 7.5% に、値決めの弱さ +0.5%・循環と借入 +0.25% ずつ)と ROE から式で出した。今の PBR 0.41 倍や同業の倍率は見ていない。ROE が 4〜6% と資本コストを下回るので、PER の上限は 1÷k=11.8 倍で、その 7〜8 割に置いた。
有価証券 156 億円のうち、取引先との関係で持つ分を除いた 120 億円を余った資産とみて、戻り方を 0.5 とした。配当収入は純利益に入っているので、その分は事業の利益から外して重ねていない。特別利益の売却益 6.8 億円は流れの起点に使わず、ならした純利益 25.4 億円を使った。償却は今の設備の簿価のままで年 24 億円、更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、借入が増えれば利払いが増える。10 年後の数字は、賃借料を営業費用に入れた今と同じ形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→14.87 倍・やや楽観 PER 9.5→14.67 倍・中立 PER 9→15.16 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に、循環 +0.25%・値決め +0.5%・借入 +0.25% を足して 8.5%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 8.00%。