結論
ナラサキ産業は、北海道を地盤にした専門商社だ。三菱電機の電機機器、セメントと石油、倉庫・港湾運送を扱う。筆者の結論は「適正」である。事業の収益性は並みで、現金の厚みが値段を支えている。
売上の半分強は建設資材と石油だが、利益率は1%台と薄い。利益の柱は、三菱電機の代理店として売る電機関連だ。営業利益は30億円前後で、過去12年の最高水準にある。
期待は北海道の半導体投資だ。電機の需要が積み上がれば、利益は伸びる。ただし石油とセメントは、人口減と電動化で長く縮む。国内の縮小と省人化の追い風は、拮抗すると見る。
現金は借入を引いても約100億円あり、時価総額の4割を超える。ただし、そのうち事業に不要なのは半分ほどだ。しかも会社は、現金を長く積み上げてきた。株主に戻る度合いは、まだ読み切れない。配当は利益の3割ほどで、自社株買いも始まったばかりだ。
確率をかけて均し、資本コストで割り引いた価値は、今の時価総額とほぼ同じ水準になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ナラサキ産業は「悪くないが、儲けは薄い」会社だ。事業は10年後も存在する。北海道に根を張った代理店の取引は、簡単には崩れない。ただし堀は仕入先との関係の中にあり、自社の力だけでは守れない。
株主のものになる利益は、見た目の純利益に近い。設備は小さく、物流倉庫の投資は年に十数億円ほどだ。在庫も軽い。利益のほとんどが、現金として手元に残る。
問題は、その現金の使い方だ。自己資本の約3分の1が、事業に使われない現金だ。会社は少しずつ還元を増やしてきたが、買収で成果を出した実績も、大きな自社株買いの実績もない。
安全域は、現金の厚みにある。悲観の筋書きでも、現金の半分は残る。しかし現金の価値を満額で見ない以上、割安とも言い切れない。
結論として、価値は今の時価総額とほぼ同じだ。払う値段に、大きな余裕はないが、無理もない。
何で稼ぐ会社か
ナラサキ産業の稼ぎは、四つの部門に分かれる。売上の大きさでは、建設・エネルギー関連が半分強を占める。セメント、生コン、建築資材、石油製品、道路を削る機械、コンクリートを運ぶポンプ車を扱う。住友大阪セメントとENEOSの特約店という立場だ。利益率は1%台で、薄い。
利益の柱は電機関連だ。売上は3割弱だが、利益はほぼ半分を稼ぐ。三菱電機の配電・制御機器や空調を売り、レーザ加工機も扱う。中国とASEANでは、工場の自動化機器も売る。
機械関連は、農業施設と産業機械、環境設備を売る。売上は1割に満たない。農業のDXを担うスマートアグリを育てているが、まだ小さい。
海運関連は、子会社のナラサキスタックスが担う。苫小牧を拠点に、港湾運送、倉庫、通関を一貫して請け負う。八戸に新しい倉庫を建て、苫小牧に本社を新築している。
稼ぎ方の本質は、メーカーと現場の間に立ち、納入と在庫、支払いの期日を引き受けることにある。付加価値は薄いが、地元に根を張った取引は簡単には崩れない。従業員は連結で約740人、海運関連に約230人がいる。人手の要る物流が、利益の安定に一役買っている。
優良さと弱いところ
堀は、仕入先の代理店権と地元の取引にある。三菱電機、住友大阪セメント、ENEOSといった大手の特約店は、新しい卸が簡単に取れる立場ではない。北海道という広い土地で、納入から保守までを担える会社も多くない。
ただし堀は深くない。メーカーが直販を強めれば、代理店の取り分は削られる。三菱電機は筆頭株主でもあり、最大の取引先でもある。取引の条件を握られている。筆者は、堀を「強い」とは見ない。
資本の効率は、並みだ。過去10年のROEの中央値は9.7%だが、直近は7%台まで下がった。理由は現金の積み上がりだ。事業そのものの稼ぎ(現金を除く)は、10%近い水準にある。
財務は堅い。自己資本比率は46%で、借入は小さい。ただし純現金の大半は、仕入先への支払いまでの「時間差」に支えられている面がある。見かけほど余裕があるとは見ない。
営業利益率は、過去最高でも2.8%だ。人件費と物流費を転嫁できるかが、利益の守りになる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
電機関連の市場は、国内の省人化と半導体投資が追い風だ。世界の工場自動化市場は、年6〜12%で伸びるという予測が多い。ただしこれは名目の金額で、台数や数量は、そのうちの3分の1から半分ほどだ。国内は、人手不足による自動化投資が続く。
北海道では、半導体の新工場の建設が進む。千歳の工場とその周辺の投資は、電機、空調、建設の需要を押し上げる。ただし、ナラサキ産業がその工事を直接受注しているかは確認できなかった。恩恵を受ける位置にいるが、受注額はまだ読めない。
建設・エネルギーは逆風が強い。ガソリンと灯油は、人口減と電動化で数量が減る。セメントと生コンも、新設の工事が細る。利益は、道路機械とポンプ車の更新で守っている。
海運関連は、2024年問題の追い風がある。陸の運賃が上がれば、海と倉庫を組み合わせた輸送の価値が上がる。八戸の新倉庫が稼働すれば、取扱量が増える。
全体として、卸売業は中抜きの圧力を受け続ける。メーカーがネットで直販する流れだ。残る卸は、在庫、物流、技術提案という機能を提供できる会社に限られる。
資本政策と M&A
資本政策は、保守から攻めへ動いている。中期計画では、2026年度に配当性向30%以上、累進配当を掲げた。直近は配当が利益の約3割で、2026年3月期には自社株買いも約5億円行った。
ただし現金は積み上がってきた。10年前に近い水準だった純現金は、100億円前後まで増えている。2019年の株主総会では、配当性向が低いとして株主提案が出た。会社は少しずつ還元を増やしてきたが、現金の使い道は読み切れない。
政策保有株は、上場18銘柄で約31億円。保有意義が認められないものは売却する方針だが、数値目標は無い。配当収入は純利益に入っているので、価値には足さない。
設備投資は、苫小牧の本社新築と八戸の倉庫に約12億円を使う。M&Aの具体案件は確認できなかった。
株主優待は確認できなかった。
買われる側になる可能性は、現金の厚さと小ささから否定できない。ただし三菱電機が筆頭株主で、取引上の縛りもあり、第三者の提案は簡単には通らない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
北海道は、半導体の大型投資という10年に一度の追い風を受ける。工場の建設と周辺の整備で、電機、空調、建設資材の需要が積み上がる。三菱電機の代理店であるナラサキ産業は、その恩恵を受ける位置にある。
電機関連は、省人化の需要が構造的に続く。人手不足が深まるほど、自動化機器の需要は強まる。中国とASEANの現地法人も、成長の余地が大きい。
海運関連は、2024年問題の追い風を受けている。八戸の新倉庫が稼働すれば、取扱量が増える。苫小牧の本社新築で、港湾運送の効率も上がる。
現金は約100億円ある。会社は、配当性向30%以上と累進配当を掲げ、自社株買いも始めた。PBR1倍超を目標にしており、株主還元は増えていく。ROE10%の目標も、事業の稼ぎでは既に届いている。
中期計画の営業利益40億円を達成すれば、価値は今の時価総額を超える。人口が減る北海道でも、物流と電機の需要は、都市部への集中でむしろ強まる。売上1,200億円の規模を持つ卸は、地方では数少ない存在だ。
慎重な見方
建設・エネルギーは、構造的に縮む。ガソリンと灯油は電動化で減り、セメントと生コンは人口減で細る。売上の半分強を占める事業が、長く縮むのは重い。
電機関連の利益も、安泰ではない。三菱電機が直販を強めれば、代理店の取り分は削られる。筆頭株主であり、最大の仕入先でもある相手の方針に、ナラサキ産業は逆らえない。
北海道の半導体投資は、いつまで続くか読めない。工場の建設は一時的で、その後の需要は小さい。ナラサキ産業が実際に受注しているかも、確認できていない。
現金は積み上がってきたが、株主に戻る保証はない。10年前は純現金がほぼゼロだったのに、今は100億円前後ある。過去の株主提案が示すように、株主還元には消極的な歴史がある。
営業利益率は2%台で、人件費と物流費の上昇を転嫁できなければ、すぐに2%を割る。この水準の利益に、高い倍率はつかない。自己資本比率は4割台を維持しているが、中期計画の目標40%の通過点にすぎず、これ以上の余力があるわけではない。三菱電機が筆頭株主である以上、少数株主は取引条件の変化に声を上げにくい。
どちらに重みを置いたか
電機関連の底堅さと、北海道の追い風では、強気の見方が優勢だ。ただし建設・エネルギーの縮小と、仕入先への依存、現金の使い道が見えない点では、慎重な見方の指摘が重い。
中立は、電機が伸び、建設が細り、利益率が過去最高に並ぶ姿に置いた。確率は中立に4割弱、強気側に3割弱、慎重な側に3割強とした。現金の還元が進むかが読み切れないため、慎重な側をやや厚くした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 9,474 円477 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 2,228 円112 億円)。 今の値に割り戻すと 6,275 円316 億円、今との差 +44.9%、 期待の年率 +10.5%(資本コスト 7.2%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 16,554 円833 億円 | 3,083 円155 億円 | +353.5% | +16.3% | 1,375 円69 億円 |
| やや楽観 | 20% | 13,850 円697 億円 | 2,726 円137 億円 | +282.8% | +14.4% | 3,315 円167 億円 |
| 中立 | 38% | 11,793 円594 億円 | 2,414 円122 億円 | +228.1% | +12.6% | 5,399 円272 億円 |
| やや悲観 | 24% | 3,741 円188 億円 | 1,788 円90 億円 | +27.7% | +2.5% | 1,327 円67 億円 |
| 悲観 | 11% | 1,512 円76 億円 | 1,093 円55 億円 | −39.8% | −5.0% | 287 円14 億円 |
| 加重平均 | 100% | 9,474 円477 億円 | 2,228 円112 億円 | +170.3% | +10.5% | 11,702 円589 億円 |
今の株価時価総額 4,330 円218 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 7% ラピダス関連の設備投資と省人化が追い風になり、卸の機能が評価される 利益 41 億円 · PER 18.0 倍 · 株価時価総額 16,554 円833 億円
北海道の半導体工場とその周辺の投資で、配電・制御機器、空調、レーザ加工機の需要が積み上がる。三菱電機の代理店として、納入から保守まで一括で受ける案件が増える。省人化投資も続く。農業施設では、スマートアグリが小さな黒字で定着する。建設・エネルギーは、セメントと石油が細るが、再開発と半導体の工事が下げ止める。海運関連は、八戸の新倉庫と苫小牧の本社新築が稼働し、2024年問題で運賃を引き上げやすくなる。倉庫の稼働率が上がるほど、固定費の重さは薄まる。営業利益率は3%台に乗る。ただし売上の6割は薄利の建設・エネルギーなので、全体の利益率の上げ幅は限られる。現金は積み上がり、還元も増える。
- 電機関連(三菱電機の代理店・FA・空調):数量 9,100(営業地域(北海道・東北中心)と中国・ASEANの対象機器市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 6.1%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数(物価並みで10年1.34倍))→ 売上 554 億円・営業利益 28 億円。市場 今の 1.30 倍、シェアは今のまま、値段 1.34 倍、利益率 5.0%
- 機械関連(農業施設・産業機械・環境設備):数量 3,150(営業地域の農業施設・産業機械・環境設備の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 4.2%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 133 億円・営業利益 7 億円。市場 今の 1.05 倍、シェアは今のまま、値段 1.34 倍、利益率 5.0%
- 建設・エネルギー関連(セメント・生コン・石油・道路機械):数量 20,000(営業地域の建設資材・石油製品・建設機械の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 4.2%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 844 億円・営業利益 14 億円。市場 今の 1.00 倍、シェアは今のまま、値段 1.34 倍、利益率 1.6%
- 海運関連(港湾運送・倉庫・通関):数量 3,850(営業地域の港湾運送・倉庫・通関の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 6.3%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 243 億円・営業利益 7 億円。市場 今の 1.10 倍、シェアは今のまま、値段 1.38 倍、利益率 3.0%
倍率:事業の純利益 39 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.9% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.1%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)135 億円。全体の PER 17.96 倍、時価総額 833 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:電機関連の大型案件、北海道の半導体投資、倉庫の稼働が同時にそろう必要がある。営業利益率が過去最高の2.8%を上回るので、7%にとどめる。
やや楽観 20% 電機関連が着実に伸び、会社の中期計画に近づく 利益 36 億円 · PER 17.1 倍 · 株価時価総額 13,850 円697 億円
電機関連が国内の省人化と海外の工場向けで伸び、営業利益の柱になる。建設・エネルギーはゆるやかに縮むが、道路機械とポンプ車の更新、生コンの値上げで利益を守る。機械関連のスマートアグリは小さいまま、黒字を保つ。海運関連は倉庫が稼働して伸びる。営業利益率は3%近くになり、中期計画の40億円は数年遅れで達成する。現金は増え続けるが、会社は配当性向30%以上と自社株買いの組み合わせで少しずつ還元する。成長はするが、卸の利益は薄いままだ。北海道の半導体関連の工事は、直接の受注は確認できないが、周辺の電機と空調の需要を押し上げる。人手不足で自動化投資が続く限り、電機関連の数量は年に1%ほど伸びる。ただし石油とセメントの縮小が、その伸びの半分を打ち消す。
- 電機関連(三菱電機の代理店・FA・空調):数量 8,260(営業地域(北海道・東北中心)と中国・ASEANの対象機器市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 6.1%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数(物価並みで10年1.34倍))→ 売上 503 億円・営業利益 24 億円。市場 今の 1.18 倍、シェアは今のまま、値段 1.34 倍、利益率 4.7%
- 機械関連(農業施設・産業機械・環境設備):数量 3,000(営業地域の農業施設・産業機械・環境設備の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 4.2%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 127 億円・営業利益 6 億円。市場 今の 1.00 倍、シェアは今のまま、値段 1.34 倍、利益率 4.6%
- 建設・エネルギー関連(セメント・生コン・石油・道路機械):数量 18,800(営業地域の建設資材・石油製品・建設機械の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 4.2%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 793 億円・営業利益 12 億円。市場 今の 0.94 倍、シェアは今のまま、値段 1.34 倍、利益率 1.5%
- 海運関連(港湾運送・倉庫・通関):数量 3,675(営業地域の港湾運送・倉庫・通関の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 6.2%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 229 億円・営業利益 6 億円。市場 今の 1.05 倍、シェアは今のまま、値段 1.36 倍、利益率 2.7%
倍率:事業の純利益 33 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.5% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.4%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)126 億円。全体の PER 17.13 倍、時価総額 697 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期計画の営業利益40億円は、直近の30億円台前半から見て届きうる水準。電機関連と海運が計画どおりに進む確度は十分あるので、2割に置く。
中立 38% 電機関連が支え、建設・エネルギーは細る。卸の利益は薄いまま 利益 31 億円 · PER 16.3 倍 · 株価時価総額 11,793 円594 億円
電機関連は国内の設備更新と省人化で年1%ほど数量が伸び、利益の柱であり続ける。機械関連は農家の減少で細り、スマートアグリが穴を埋めきれない。建設・エネルギーは、石油製品とセメントの需要が人口減と電動化で縮み、数量は1割強減る。値段は物価並みに上がるので、売上は名目で増える。海運関連は倉庫の新設分が加わり、運賃も物価並みに上がる。営業利益率は2%台後半で、過去最高に並ぶ。ただし、人件費と物流費の上昇を転嫁できる範囲に限られる。配当は利益の3割強で、自社株買いが加わる。現金は積み上がり、倍率の足を引っ張る。設備は小さく、償却費の増え方は利益率に影響しない。
- 電機関連(三菱電機の代理店・FA・空調):数量 7,700(営業地域(北海道・東北中心)と中国・ASEANの対象機器市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 6.1%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数(物価並みで10年1.34倍))→ 売上 469 億円・営業利益 21 億円。市場 今の 1.10 倍、シェアは今のまま、値段 1.34 倍、利益率 4.4%
- 機械関連(農業施設・産業機械・環境設備):数量 2,850(営業地域の農業施設・産業機械・環境設備の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 4.2%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 121 億円・営業利益 5 億円。市場 今の 0.95 倍、シェアは今のまま、値段 1.34 倍、利益率 4.4%
- 建設・エネルギー関連(セメント・生コン・石油・道路機械):数量 17,600(営業地域の建設資材・石油製品・建設機械の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 4.2%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 743 億円・営業利益 10 億円。市場 今の 0.88 倍、シェアは今のまま、値段 1.34 倍、利益率 1.4%
- 海運関連(港湾運送・倉庫・通関):数量 3,500(営業地域の港湾運送・倉庫・通関の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 6.1%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 215 億円・営業利益 5 億円。市場 今の 1.00 倍、シェアは今のまま、値段 1.34 倍、利益率 2.5%
倍率:事業の純利益 29 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.3% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)116 億円。全体の PER 16.34 倍、時価総額 594 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:営業利益率は2%台半ばを行き来してきた。電機関連の伸びと建設・エネルギーの縮小が拮抗するので、中立に4割近く置く。現金の還元は進まないと見て、慎重な見方を重く見た。
やや悲観 24% 設備投資が冷え、建設・エネルギーが想定より縮む 利益 22 億円 · PER 7.6 倍 · 株価時価総額 3,741 円188 億円
半導体投資が一巡し、電機関連の大型案件が途切れる。製造業の設備投資が冷え、数量は5%減る。建設・エネルギーは石油製品とセメントの需要が想定より速く縮み、数量は2割以上減る。価格競争で値上げも通りにくい。海運関連は倉庫の稼働率が上がらず、新設の償却が重くなる。営業利益率は2%台前半に下がり、営業利益は3割落ちる。それでも赤字には落ちず、配当は累進配当の考えで据え置く。現金は使い道を見つけられず、積み上がらないまま、株主への還元も増えない。会社は営業の効率化で人員を絞るが、人件費の上昇のほうが速い。仕入先の取引条件が厳しくなる気配もあり、卸の機能を磨いても利益が伸びない1期が続く。
- 電機関連(三菱電機の代理店・FA・空調):数量 6,650(営業地域(北海道・東北中心)と中国・ASEANの対象機器市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 5.8%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数(物価並みで10年1.34倍))→ 売上 387 億円・営業利益 14 億円。市場 今の 0.95 倍、シェアは今のまま、値段 1.28 倍、利益率 3.6%
- 機械関連(農業施設・産業機械・環境設備):数量 2,550(営業地域の農業施設・産業機械・環境設備の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 4.0%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 103 億円・営業利益 4 億円。市場 今の 0.85 倍、シェアは今のまま、値段 1.28 倍、利益率 3.5%
- 建設・エネルギー関連(セメント・生コン・石油・道路機械):数量 15,600(営業地域の建設資材・石油製品・建設機械の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 4.0%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 629 億円・営業利益 7 億円。市場 今の 0.78 倍、シェアは今のまま、値段 1.28 倍、利益率 1.1%
- 海運関連(港湾運送・倉庫・通関):数量 3,220(営業地域の港湾運送・倉庫・通関の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 5.9%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 189 億円・営業利益 4 億円。市場 今の 0.92 倍、シェアは今のまま、値段 1.28 倍、利益率 2.0%
倍率:事業の ROE 5.8% が k 7.25% 以下なので、正当化 PER の上限は 1÷k=11.8 倍。上限の約 6.5 割の 7.6 倍に置く。余った現金は今の額の 0.75 倍(37.5 億円)を、戻り方 0.5 で足す。
確率:北海道の投資が一巡し、国内製造業の設備投資が停滞する。2009年と2010年には赤字の年があり、起こりうる。慎重な見方の指摘が重いので、やや厚く置く。
悲観 11% 三菱電機の直販化と国内の縮小で、卸の機能が削られる 利益 10 億円 · PER 6.0 倍 · 株価時価総額 1,512 円76 億円
主要な仕入先であるメーカーが直販を強め、代理店の取り分が削られる。電機関連の数量は4分の3まで落ちる。農業施設と産業機械は農家の減少で半分近くまで縮む。建設・エネルギーは、石油製品が電動化で細り、セメントと生コンは人口減で需要が落ちる。海運関連は荷主を失い、新設した倉庫と本社の償却が重くのしかかる。営業利益は10億円台まで落ち、投資に使った資産に減損も出る。国内の取引先の統廃合で、信用リスクも高まる。配当は大きく減らさざるを得ない。ただし財務は堅く、現金は残る。少数株主に残るのは、稼ぐ力と、使い道を決められない現金の半分に絞られる。苫小牧の本社と八戸の倉庫は、需要の落ちた地域に建てた過大な投資として重荷になる。株価は、稼ぐ力に見合った水準まで落ちる。
- 電機関連(三菱電機の代理店・FA・空調):数量 5,250(営業地域(北海道・東北中心)と中国・ASEANの対象機器市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 5.2%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数(物価並みで10年1.34倍))→ 売上 274 億円・営業利益 7 億円。市場 今の 0.75 倍、シェアは今のまま、値段 1.15 倍、利益率 2.5%
- 機械関連(農業施設・産業機械・環境設備):数量 1,950(営業地域の農業施設・産業機械・環境設備の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 3.6%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 71 億円・営業利益 1 億円。市場 今の 0.65 倍、シェアは今のまま、値段 1.15 倍、利益率 2.0%
- 建設・エネルギー関連(セメント・生コン・石油・道路機械):数量 12,000(営業地域の建設資材・石油製品・建設機械の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 3.6%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 435 億円・営業利益 2 億円。市場 今の 0.60 倍、シェアは今のまま、値段 1.15 倍、利益率 0.5%
- 海運関連(港湾運送・倉庫・通関):数量 2,800(営業地域の港湾運送・倉庫・通関の市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 5.3%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 147 億円・営業利益 2 億円。市場 今の 0.80 倍、シェアは今のまま、値段 1.15 倍、利益率 1.0%
倍率:事業の ROE 3.1% が k 7.25% を大きく下回り、ためた利益は額面未満。上限 11.8 倍の約 5 割の 6.0 倍に置く(稼ぐ力に見合う倍率)。余った現金は今の額の 0.5 倍(25 億円)を、戻り方 0.5 で足す。
確率:主要な仕入先の販売方針が変わり、代理店の取り分が削られる構造的な負け。単一の仕入先への依存と、北海道への集中があるため、1割強に置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
電機関連(三菱電機の代理店・FA・空調)
配電・制御機器、空調・冷凍設備、レーザ加工機、セラミックスの販売。中国とASEANでは工場の自動化機器も売る。
| 数量営業地域(北海道・東北中心)と中国・ASEANの対象機器市場(億円・今の値段の実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数(物価並みで10年1.34倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 7,000 | 4.5% | 318 | 14 |
| 10 年後 中立 | 7,700 | 6.1% | 469 | 21 |
取り方:2026/03 期のセグメント売上318億円・利益13.7億円(決算の集計)。市場は営業地域の配電制御・空調・レーザ機器と、中国・ASEANのFA機器の合計を約7,000億円と推定し、シェア約4.5%。市場の細かい数字は開示が無く、ここは推定。
機械関連(農業施設・産業機械・環境設備)
農業施設、産業機械、環境設備、情報システムの販売。スマートアグリは育成中。
| 数量営業地域の農業施設・産業機械・環境設備の市場(億円・今の値段の実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,000 | 3.2% | 95 | 4 |
| 10 年後 中立 | 2,850 | 4.2% | 121 | 5 |
取り方:売上95億円・利益4.2億円。2024/03 期の売上123億円から大きく減っている(大型案件の剥落)。対象市場は約3,000億円と推定し、シェア約3.2%。
建設・エネルギー関連(セメント・生コン・石油・道路機械)
セメント、生コン、建築資材、石油製品、道路切削舗装機、コンクリートポンプ車の販売。北海道が地盤。
| 数量営業地域の建設資材・石油製品・建設機械の市場(億円・今の値段の実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 20,000 | 3.1% | 630 | 9 |
| 10 年後 中立 | 17,600 | 4.2% | 743 | 10 |
取り方:売上630億円・利益8.8億円で、売上の半分強、利益の3割弱。利益率は1.4%と薄い。住友大阪セメントの特約店、ENEOSの特約店、極東開発工業の販売特約店という立場。対象市場は約2兆円と推定し、シェア約3.1%。
海運関連(港湾運送・倉庫・通関)
子会社ナラサキスタックス(苫小牧)が行う海陸一貫輸送、港湾運送、倉庫、通関。
| 数量営業地域の港湾運送・倉庫・通関の市場(億円・今の値段の実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,500 | 4.6% | 160 | 4 |
| 10 年後 中立 | 3,500 | 6.1% | 215 | 5 |
取り方:売上160億円・利益4.0億円。対象市場は約3,500億円と推定し、シェア約4.6%。八戸の6号倉庫と本社新築の投資が進行中。
リスクと懸念
主要仕入先(三菱電機)の販売方針
電機関連は営業利益のほぼ半分を稼ぐ。三菱電機は筆頭株主で、代理店の条件を握る。直販やネット販売が進めば、取り分が削られる。単一の取引先に依存する構造だ。
石油・セメントの構造的な縮小
ガソリンや灯油は人口減と電動化で減る。セメントと生コンも新設工事が細る。売上の半分強を占める事業なので、数量が2割減れば全体の利益が動く。
北海道への地域集中
営業地域は北海道が中心で、人口減が速い。半導体投資という追い風はあるが、一巡したあとの需要は読めない。公共工事の予算にも左右される。
現金の使い方と株主還元
純現金は約100億円で、時価総額の4割を超える。戻り方が読めず、買収に使えば失敗する可能性もある。還元が増えなければ、倍率は上がらない。
設備投資の負担
八戸の倉庫と苫小牧の本社新築で、年に十数億円を投じている。稼働率が上がらなければ、償却が利益を圧迫する。更新の投資は建築費の上昇で膨らむ。
薄利ゆえの利益の振れ
営業利益率は2%台で、人件費と物流費の上昇を転嫁できなければすぐに下がる。2009年と2010年には赤字の期もあった。取引先の信用リスクも、薄利には重い。
AIエージェントによる代替は限られる
扱うのはセメント、石油、機械などの現物と、現場への納入である。AIエージェントが置き換えるのは、見積もりや受発注の事務の一部にとどまる。営業の人員は効率化されるが、売上の縮小要因にはしていない。
今後の分かれ目
- 北海道の半導体投資で、電機・空調・建設の大型受注が開示されたら
- 強気の筋書きの確率を上げる。電機関連の数量の前提を上げる。
- 三菱電機が代理店の取引条件を見直したら
- 電機関連の利益率を下げ、悲観の確率を上げる。
- 配当性向が40%を超え、大きな自社株買いが行われたら
- 余った現金の戻り方を0.5から1.0へ引き上げる余地が出る。
- 石油・セメントの数量が年3%を超えて減り続けたら
- 建設・エネルギーの前提を下げ、やや悲観に重みを移す。
- 八戸の倉庫の稼働率が目標を超えたら
- 海運関連の利益の前提を上げる。
- 第三者から買収や資本提携の提案が出たら
- 現金が厚いため、価格次第で株主価値は上がる。ただし筆頭株主との関係から、確度は低い。
見ておくもの
- 電機関連の営業利益(今期13.7億円)
- 三菱電機との取引条件
- 建設・エネルギーの数量(石油・セメント)
- 純現金の推移と配当性向
- 八戸倉庫と本社新築の稼働
倍率と資本コストの決め方
倍率は、事業のROE(余った現金を除く)と資本コスト7.25%から、利益ベースの正当化PERを求め、その6.5〜9割に置いた。今の株価や同業の倍率は使っていない。悲観は稼ぐ力と、運転資金を除いた現金の半分から出した。余った現金は、戻り方0.5で足した。政策保有株の配当は純利益に残し、価値に足していない。家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。新リース会計基準(2028年3月期から強制)で形が変わるが、価値は変わらないので今の形のままにした。市場の規模とシェアは開示が無く、推定で精度は低い。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.8→17.96 倍・やや楽観 PER 12.3→17.13 倍・中立 PER 11.8→16.34 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。