結論
YKT は、電子部品の実装機と欧州製の工作機械を売る機械商社だ。創業は 1924 年で、売上の過半はパナソニックコネクトの実装機が占める。中国向けの輸出が主力で、2025 年 12 月期の売上は 134 億円、営業損益は 2 億円の赤字だった。
筆者の結論は、今の値段はやや割高というものだ。株価は純資産の 4 割ほどで、一見すると安い。しかし、仕入先の言い値で売る代理店は、利益率が 3% に届かず、ためた資本を生かせていない。
足元は強い。2026 年 6 月までの半年で、売上は 2 倍の 89 億円になり、営業利益も黒字に戻った。中国の車載機器向け投資が戻ったためだ。ただ、2022 年の山のあとに売上が 4 割減った実績があり、この水準が続くとは見ない。
中立の 10 年では、売上は 180 億円ほど、営業利益率は 3% で、純利益は 5 億円ほどにとどまる。現金は厚いが、その大半は輸出の前受金で、自由に使えるお金ではない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は安く見えるが、持ち続けたいオーナー事業ではない。手元の純資産は厚いが、稼ぐ力が弱く、純資産が利益に変わっていないからだ。
筆者が重く見るのは、利益の質である。過去 12 年の営業利益率は 3% 前後で、仕入先の都合で売上が山と谷を繰り返す。オーナーとして手にできる利益は、年 3〜5 億円ほどだ。
現金 66 億円は、輸出の前受金 25 億円と買掛金 22 億円に支えられている。実質で自由に使える現金は 12 億円ほどにとどまる。しかも、個人の大株主が約 38% を持ち、配当は小さく、戻る額は半分とみる。
そのうえで、純資産を下回る値段は、安全域として悪くない。ただ、買いたいと思える利益の安定がない。実装機の仕入先との関係が続くかどうかが、すべてを決める。次の 10 年で見るのは、利益率が 3% を超えて定着するかどうかだ。
何で稼ぐ会社か
事業は、生産設備の販売である。創業から 100 年を超える機械専門商社で、売上の大半は「電子機器及び工作機械等」が占める。
主力は電子機器だ。パナソニックコネクトの実装機と周辺機を、国内と中国・台湾で売る。海外の販売は、上海と台北の子会社を通じ、円建ての取引が中心だ。この仕入先の製品が、売上の過半を占める。
次に、輸入の工作機械と測定機器がある。欧州メーカーの工具研削盤や複合加工機、米欧の三次元測定機を、総代理店として国内で売る。顧客は、切削工具・医療器具・タービン部品のメーカーだ。
残りは光電子装置で、子会社が光アンプやファイバーレーザーを売る。売上は年 6 億円前後と小さい。
従業員は 135 人と少ない。売上が人件費の何十倍にもなる、薄利多売の商社である。販売先は製造業の設備投資に左右され、受注の波が大きい。受注の先行きは、前受金の増減に出る。顧客が代金の一部を先に払うため、足元の前受金の積み上がりは、受注の強さを映している。売る商品は 1 台数千万円と高額で、売れ方に波がある。本社は渋谷区代々木にあり、大阪と名古屋に支店を持つ。上海・台北・バンコクの現地法人が、海外の販売を支える。
優良さと弱いところ
同社の強みは、100 年の取引関係と技術サービスにある。実装機の据え付けや修理、保守を自前で持ち、メーカーの代わりに顧客に張りつく。仕入先との関係は長く、友好的な関係が続くと会社は説明している。
弱みは 3 つある。第 1 に、特定の仕入先への依存だ。パナソニックコネクトの製品が売上の過半を占め、契約が変われば事業が揺らぐ。第 2 に、利益率の薄さだ。過去 12 年の営業利益率は最高でも 4.6%、赤字の年も 4 回ある。第 3 に、輸入機械が為替で痛む。欧州通貨に対する円安で仕入れ原価が上がり、2025 年は営業赤字の主因になった。
堀、つまり他社がまねできない強みは、代理店契約と技術サービスの束で、仕入先が変えられる程度のものだ。筆者は、残る割合を普通以下の水準でみる。
経営は、個人の大株主 2 名が約 38% を持つ。2025 年にはイタリアの仕入先への前渡金で、1.2 億円の貸倒引当金を積んだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
実装機の市場は、電子機器の生産が増える限り伸びるが、波が大きい。世界の市場は 65 億ドル前後で、年 6〜9% の成長が予測されている(調査会社ごとにばらつく)。電気自動車と車載機器、産業用電子機器が、需要を引っ張る。
中国の設備投資は、2022 年に山を作り、その後 2 年ほど冷えた。2025 年から車載機器とスマート家電向けの投資が戻り、同社の輸出が急増した。ただ、中国には現地の実装機メーカーが育ち、日本製を高く買う理由が薄れつつある。
工作機械の輸入は、国内の切削工具の生産が減って低調だ。欧州通貨に対する円安は、輸入品の円価格を押し上げる。国内の設備投資の回復待ちである。工具研削盤の顧客である切削工具メーカーは、国内の生産量の減少に直面している。
競合は、実装機ではヤマハ発動機、富士、ASMPT のような専業メーカーの直販と、各社の代理店だ。同社はパナソニックコネクトの国内外の代理店として、メーカーの意向に価格や台数が左右される。
10 年の中立では、実装機の台数は今より小幅に増え、輸入機械は横ばいで推移する。
資本政策と M&A
還元は小さい。配当は「安定的に」の方針で、総額は年 0.6 億円。2025 年 12 月期は純利益 0.55 億円をほぼ全て配当に回した。自社株買いは目立たない。
資本の使い方は、運転資金が中心だ。2025 年は商品が 17 億円増え、仕入債務と前受金の増加で賄った。借入は 39 億円あり、2025 年に 15 億円の短期借入が加わった。
本社ビルと賃貸不動産で 28 億円の固定資産があり、賃貸分の時価は帳簿を 1 億円ほど上回る。賃料は営業外で年 1 億円入る。
会社は第 13 次中期経営計画で、2027 年度に売上 130 億円・ROE 5% 以上、2034 年度に売上 200 億円・ROE 12% 以上を掲げる。ただ ROE 12% は、今の稼ぎ方では遠い。個人の大株主が約 38% を持ち、買収の動きは見えない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
中国の設備投資が戻っている。2026 年 6 月までの半年で売上が 2 倍の 89 億円になり、営業利益も黒字に戻った。通期の売上予想は 160 億円で、2022 年の山の 221 億円には届かないが、受注は積み上がっている。前受金が 41 億円まで増えたのは、その証拠だ。
株価は純資産の 4 割で、現金だけで時価総額に近い。賃貸不動産も時価が帳簿を上回り、下値は固い。会社も ROE 5% と売上 130 億円(2027 年度)を掲げ、利益の改善に動いている。
実装機は、車載と家電の電動化・自動化で、構造的に需要が伸びる。パナソニックコネクトの代理店として、国内と中国で技術サービスを持つ強みも大きい。需要が続けば、営業利益率は 4% 台に乗り、純利益は 9 億円に届く。会社の言う ROE 12% には届かなくても、今の 1% 未満から大きく改善する。投資家が見落としているのは、この回復の大きさだ。
慎重な見方
稼ぐ力が弱い。過去 12 年の営業利益率は最高でも 4.6% で、2024 年と 2025 年は連続して営業赤字だった。足元の黒字も、中国向けの輸出が増えたことで、利幅の薄い輸出の比率が上がっている。2026 年 12 月期の営業利益予想は 2 億円にすぎない。
現金 66 億円は、前受金 25 億円と買掛金 22 億円に見合う運転資金で、自由な現金ではない。2026 年 6 月は前受金が 41 億円に増えて現金も厚いが、商品も 49 億円に積み上がっている。受注が崩れれば、在庫だけが残る。
売上の過半が一社の製品で、契約が変われば事業が揺らぐ。中国では現地メーカーが育ち、日本製を高く買う理由が薄れている。個人の大株主が約 38% を持ち、配当は小さく、余った現金が株主に戻る見込みも薄い。2022 年の山のあとの 4 割減も、前例として重い。需要の波で売上が動く商社に、ROE の改善を期待しすぎるのは危うい。
どちらに重みを置いたか
足元の受注の強さは本物だが、10 年を決めるのは稼ぐ力の薄さと一社への依存だ。株価の安さは、現金の大半が運転資金であることと、利益率の低さを映している。慎重な見方を強く見て、確率は楽観を 25%、悲観側を 35% に置き、やや悲観に寄せた。株価が安いこと自体は、買う理由にならない。足元の数字が強気の見方を支えても、10 年の稼ぐ力を押し上げるほどの根拠にはならない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 470 円55 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 53 円6 億円)。 今の値に割り戻すと 238 円28 億円、今との差 −11.2%、 期待の年率 +6.9%(資本コスト 8.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 947 円110 億円 | 103 円12 億円 | +291.5% | +14.6% | 73 円9 億円 |
| やや楽観 | 18% | 721 円84 億円 | 78 円9 億円 | +198.0% | +11.5% | 144 円17 億円 |
| 中立 | 40% | 544 円63 億円 | 59 円7 億円 | +124.7% | +8.4% | 241 円28 億円 |
| やや悲観 | 23% | 194 円23 億円 | 22 円3 億円 | −19.2% | −2.1% | 50 円6 億円 |
| 悲観 | 12% | 103 円12 億円 | 26 円3 億円 | −52.1% | −7.1% | 15 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 470 円55 億円 | 53 円6 億円 | +95.2% | +6.9% | 523 円61 億円 |
今の株価時価総額 268 円31 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 中国の実装機需要が長く続き、輸入機械も戻る 利益 9 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 947 円110 億円
中国の電気自動車と家電向けの設備投資が長く続き、実装機の販売台数は今の 1.45 倍になる。2022 年の山を超える水準が定着し、台数に頼らず、保守や改造のサービスも売上に乗る。
輸入の工作機械は、工具研削盤の需要が戻り、欧州通貨への円安も一服する。2025 年に問題が出たイタリアの仕入先に頼る度合いも下がり、販売の台数は 3 割増える。
営業利益率は 4% 台まで戻る。過去 12 年の最高が 4.6% なので、これを超える置き方はしない。純利益は 9 億円、会社が掲げる 2034 年度の売上 200 億円も超える。
- 電子機器(実装機):数量 480(実装機・周辺機の販売台数(台相当・推定))× 価格 3,658(1 台あたり売上(万円))→ 売上 176 億円・営業利益 5 億円。台数 1.45 倍・価格 1.34 倍
- 輸入機械(工作機械・測定機器):数量 130(輸入機械の販売台数(台・推定))× 価格 5,092(1 台あたり売上(万円))→ 売上 66 億円・営業利益 4 億円。台数 1.3 倍
- 光電子装置:数量 330(販売件数(件・推定))× 価格 335(1 件あたり売上(万円))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。光電子は 3 割増
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.6% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)9 億円。全体の PER 11.43 倍、時価総額 110 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:実装機の需要が長く高水準で続き、輸入機械の不振も解け、利益率が過去の最高に近づくという条件が重なる必要がある。2022 年の山でも営業利益率は 4.6% で、条件が多いので 7% にした。
やや楽観 18% 実装機が伸び、輸入機械は緩やかに回復する 利益 7 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 721 円84 億円
電子部品実装機の需要は、中国の車載とスマート家電を中心に、今の高水準から少しだけ下がって長く続く。販売台数は今の 1.25 倍になり、会社の掲げる 2034 年度の売上 200 億円に近づく。
輸入機械は、足元で測定機器が戻っており、工具研削盤の需要もゆっくり回復する。円安の逆風は残るが、販売価格に転嫁できる。
営業利益率は 3.6% に上がる。実装機の利幅は薄いままだが、売上の増加で固定費が薄まる。純利益は 6〜7 億円で、会社が目標に掲げる ROE 5% を少し上回る。ただし、実装機の利幅は薄く、増益のほとんどは台数の増加によるものだ。
- 電子機器(実装機):数量 410(実装機・周辺機の販売台数(台相当・推定))× 価格 3,604(1 台あたり売上(万円))→ 売上 148 億円・営業利益 4 億円。台数 1.25 倍・価格 1.32 倍
- 輸入機械(工作機械・測定機器):数量 115(輸入機械の販売台数(台・推定))× 価格 5,016(1 台あたり売上(万円))→ 売上 58 億円・営業利益 3 億円。台数 1.15 倍
- 光電子装置:数量 290(販売件数(件・推定))× 価格 335(1 件あたり売上(万円))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。光電子は 15% 増
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.9% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)9 億円。全体の PER 11.43 倍、時価総額 84 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元の実装機の強さは 2022 年の山に近く、計画の売上 200 億円(2034 年度)に近い数字が出る筋書き。足元の強さを根拠に 18% を置いた。
中立 40% 中国の需要は山と谷をならし、利益率は 3% にとどまる 利益 5 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 544 円63 億円
実装機の需要は、中国の設備投資の波に合わせて上下し、10 年の平均では今より 5% 増える程度になる。足元は強いが、2022 年の山のあとに売上が 4 割減った例もあり、この水準が続くとは見ない。
輸入機械は、工具の生産が戻らず、円安も続いて、台数は今と同じ水準にとどまる。価格は物価並みに上がるが、為替の分は上げきれない。
営業利益率は 3.1%。過去 12 年の平均に近い。営業外の不動産賃料と仕入割引が、営業利益に純利益で 1 割ほど上乗せされる。純利益は 5 億円ほどで、ROE は資本コストを大きく下回る。
- 電子機器(実装機):数量 350(実装機・周辺機の販売台数(台相当・推定))× 価格 3,549(1 台あたり売上(万円))→ 売上 124 億円・営業利益 3 億円。台数 1.05 倍・価格 1.30 倍
- 輸入機械(工作機械・測定機器):数量 100(輸入機械の販売台数(台・推定))× 価格 4,940(1 台あたり売上(万円))→ 売上 49 億円・営業利益 2 億円。台数は横ばい
- 光電子装置:数量 250(販売件数(件・推定))× 価格 325(1 件あたり売上(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。光電子は横ばい
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)9 億円。全体の PER 11.43 倍、時価総額 63 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:実装機は景気に応じて山谷を繰り返し、輸入機械は低調なままという実績の延長。2022 年の山と 2024〜25 年の赤字の中間に置いた。
やや悲観 23% 中国の実装機が国産に押され、輸入機械も戻らない 利益 2 億円 · PER 5.6 倍 · 株価時価総額 194 円23 億円
中国の実装機メーカーが力をつけ、同じ性能の機械が安く売られる。代理店は値引きを強いられ、販売台数は今の 85% に減り、価格も物価に届かない。
輸入機械は、切削工具の国内生産が戻らず、台数がさらに 2 割減る。為替の予約で損失を抑えても、利幅は戻らない。欧州メーカーは円安のたびに円建ての仕入れ価格を上げ、代理店はその値上げを客に転嫁しきれない。
営業利益率は 1.8% まで落ち、純利益は 2 億円ほど。2013〜14 年のように、赤字の年も混ざる。手元の現金は、運転資金に食われて減る。個人の大株主は配当を増やさず、会社は在庫の整理に追われる。
- 電子機器(実装機):数量 280(実装機・周辺機の販売台数(台相当・推定))× 価格 3,331(1 台あたり売上(万円))→ 売上 93 億円・営業利益 1 億円。台数 0.85 倍・価格 1.22 倍
- 輸入機械(工作機械・測定機器):数量 80.0(輸入機械の販売台数(台・推定))× 価格 4,560(1 台あたり売上(万円))→ 売上 37 億円・営業利益 1 億円。台数 0.8 倍
- 光電子装置:数量 200(販売件数(件・推定))× 価格 300(1 件あたり売上(万円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。光電子は 2 割減
倍率:事業の純利益 2.1 億円・事業 ROE は約 2.3% で k 8.75% を大きく下回る。上限は 1÷k の約 10.8 倍だが、新たに投じる資本の稼ぎが k を大きく下回るので、7 割に引き上げず約 52% の 5.6 倍に置いた。余った現金は谷で食う想定で 0.75 倍の 9 億円を戻り方 0.5 で足した。
確率:中国の実装機メーカーが力をつけ、値下げ競争で利幅が薄くなる。2013〜14 年にも赤字が続いた実績があり、23% を置いた。
悲観 12% 主力の代理店契約を失い、中国向けも細る 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 103 円12 億円
主力の仕入先が事業の整理や代理店契約の見直しに動き、実装機の取り扱いを失う。売上の過半を支える商品がなくなり、中国向けの台数は今の 55% まで減る。
輸入機械も、イタリアの仕入先のような取引先の不調が重なり、台数は 3 割減る。固定費は人件費と本社ビルの償却で、売上が減っても落ちない。
営業利益は赤字になり、純利益もマイナスに沈む。会社は人員を減らし、賃貸不動産の売却に動く。自己資本は在庫の評価損で細り、少数株主の取り分は帳簿の 1〜2 割ほどに下がる。中国の現地メーカーの台頭で、代わりの商品を見つけるのも難しい。
- 電子機器(実装機):数量 180(実装機・周辺機の販売台数(台相当・推定))× 価格 3,003(1 台あたり売上(万円))→ 売上 54 億円・営業利益 −1 億円。台数 0.55 倍・価格 1.10 倍
- 輸入機械(工作機械・測定機器):数量 70.0(輸入機械の販売台数(台・推定))× 価格 4,180(1 台あたり売上(万円))→ 売上 29 億円・営業利益 0 億円。台数 0.7 倍
- 光電子装置:数量 150(販売件数(件・推定))× 価格 275(1 件あたり売上(万円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。光電子は 4 割減
倍率:主力の代理店契約を失い赤字になる筋書きで PBR で置いた。自己資本は今の 79.5 億円に掛けた。清算すれば約 48 億円が残るが、清算はされず現金も少数株主には戻らないとみて、さらに在庫の評価損と戻らない現金を見込み、約 0.15 倍に置いた。清算価値の約 4 分の 1 で、中立の PBR を大きく下回る。
確率:パナソニックコネクトの事業再編や代理店契約の見直しで主力の実装機を失う構造的な負け。売上の過半を握る一社への依存は、実績から見て現実のリスクとして 12% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
電子機器(実装機)
パナソニックコネクトの電子部品実装機と周辺機を、国内と中国・台湾で売る。売上の過半を占める主力。
| 数量実装機・周辺機の販売台数(台相当・推定) | 価格1 台あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 330 | 2,730 | 90 | −1 |
| 10 年後 中立 | 350 | 3,549 | 124 | 3 |
取り方:推定。電子機器及び工作機械等(売上 128.1 億円・営業損失 2.6 億円)のうち、電子機器をパナソニックコネクト製品が売上の過半と開示されることから約 9 割の 90 億円、輸入機械を残りの 38 億円と置いた。1 台相当は平均 2,700 万円前後と仮定。輸出の比率が上がり利幅は薄く、営業損益は −0.5 億円と推定。
輸入機械(工作機械・測定機器)
欧州の工具研削盤・複合加工機、米欧の三次元測定機などを、総代理店として国内で売る。
| 数量輸入機械の販売台数(台・推定) | 価格1 台あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 3,800 | 38 | −2 |
| 10 年後 中立 | 100 | 4,940 | 49 | 2 |
取り方:推定。電子機器及び工作機械等の営業損失 2.6 億円のうち、主因が輸入機械の不振(工具生産の停滞と欧州通貨への円安)と開示されるため、営業損失を −2.1 億円と置いた。1 台平均 3,800 万円と仮定。
光電子装置
子会社のサンインスツルメントが、光アンプ・ファイバーレーザー・レーザー加工装置を売る。
| 数量販売件数(件・推定) | 価格1 件あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 230 | 250 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 250 | 325 | 8 | 1 |
取り方:開示値。セグメント売上 5.75 億円(前期比 40.5% 減)、営業利益 0.57 億円。件数と単価は推定(1 件 250 万円)。
リスクと懸念
一社の製品への依存
売上の過半はパナソニックコネクトの実装機で、代理店契約が解除されたり、事業計画の変更で縮んだりすれば、事業が揺らぐ。会社自身も有価証券報告書で依存を認めている。
中国の設備投資の波
2022 年の売上は 221 億円まで伸びたが、2023 年は 129 億円に落ちた。足元は 2026 年 6 月までの半年で売上が 2 倍になったが、同じ波が引けば在庫だけが残る。
在庫と前受金の振れ
2026 年 6 月は商品が半年で 23 億円増え、前受金は 16 億円増えた。受注が崩れれば前受金は返す義務があり、在庫は評価損になる。現金 61 億円は見かけほど自由ではない。
輸入機械と為替
欧州通貨に対する円安で、輸入品の円価格が上がり、2025 年の営業赤字の主因になった。為替予約で短期の影響は抑えるが、長く続けば価格に転嫁しきれない。
仕入先の信用
2026 年 1 月、イタリアの輸入機械の仕入先に払った前渡金のうち 1.2 億円を貸倒引当金にした。その仕入先は保全処分を受け、発注した商品の出荷が不透明になった。
個人の大株主
個人の大株主 2 名が約 38% を持つ。配当は小さく、余った現金が株主に戻るかは大株主の判断に左右される。少数株主の意向は通りにくい。
今後の分かれ目
- パナソニックコネクトが実装機事業の再編や代理店契約の見直しを発表する
- 売上の過半を支える商品の先行きが揺らぐので、悲観側の確率を上げる。
- 2026 年 12 月期の営業利益が予想の 2 億円を超える
- 輸入機械の回復が見え、中立の利益率 3% を引き上げる余地が出る。
- 前受金が減りに転じ、商品が積み上がる
- 受注の先細りと在庫の評価損が同時に来る。現金の見かけが縮む。
- 自己資本比率が 40% を割り、借入が増える
- 財務制限条項(純資産の維持)に近づく。配当の維持が難しくなる。
- 個人の大株主が株の売却や非上場化を打ち出す
- 買付けがあれば価格次第で少数株主に区切りがつく。公表された動きは今のところ無い。
見ておくもの
- 半期ごとの受注と前受金の増減
- 商品(在庫)の水準と評価損
- 営業利益率(輸出と輸入の構成)
- パナソニックコネクトの実装機事業の方針
- 為替(欧州通貨に対する円)
倍率と資本コストの決め方
倍率は式(正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)、k 8.75%、g 4%)と事業の経済性だけで置いた。ROE が k に届かない筋書きは 1÷k の約 10.8 倍が上限で、代理店の薄い利益と仕入先依存から 5〜9 割に置いた。今の株価・過去の PER・PBR は使っていない。純資産の厚さ(PBR)は割安の根拠にしていない。10 年後は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.7→11.43 倍・やや楽観 PER 8.6→11.43 倍・中立 PER 7.5→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality を足した(決まり v2)。イタリアの仕入先への前渡金や個人の大株主の影響は k に足さず、筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.25% → 8.75%。