結論
バイク王&カンパニーは、中古バイクの買取で国内首位の会社だ。買い取った車両を自社の店で売り、残りを業者向けのオークションに卸す。筆者の結論は、ほぼ適正。利益は相場しだいで薄く、今の値段はそれを素直に映している。
強みは集客にある。テレビ広告で名前を知られ、売りたい人がまず電話をかける先になっている。買い取った車両を整備して自社で売れば、オークションに卸すより厚い粗利が取れる。会社はこの小売の比率を上げてきた。
弱みは値段を自分で決められないことだ。仕入れも売りも相場で決まり、相場が下がれば在庫で損を抱える。2023 年 11 月期は赤字になった。営業利益率は過去 12 年の大半で 3% を下回る。
筆者は、乗る人の高齢化で台数は伸びにくいが、小売の比率の上昇と物価の分で利益は緩やかに増えるとみる。業者向けオークションの最大手の 3 分の 1 を持つことも、目立たない支えだ。ただ、稼ぐ力は資本コストの周りにとどまり、大きな上積みは見込みにくい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、持ち続けたい会社かと問えば、答えは「どちらとも言えない」だ。
良い点は、事業がわかりやすいことだ。バイクを買って直して売る。10 年後もこの商いは残り、名前の強さも残る。財務も倒れる心配は小さい。業者向けオークションの持分という、目立たない資産もある。
悪い点は、利益を自分で決められないことだ。相場が下がれば、在庫の損で 1 年分の利益が消える。稼ぐ力は資本コストの周りを行き来し、ためた利益が価値を大きく増やす形ではない。
払う値段で見ると、今の時価総額は純資産をやや下回る程度だ。稼ぐ力が資本コスト並みなら、それが妥当な値段になる。安全域は厚くも薄くもない。
筆者が見たいのは、小売の比率の上昇が、相場の谷でも利益を残せる形に育つかだ。次の相場の下落で赤字を避けられれば、評価を一段上げてよい。
何で稼ぐ会社か
事業は 1 つ、バイクの売り買いだ。流れは、買う、直す、売るの 3 段で、売り先が 2 つに分かれる。
入口は買取だ。全国の店と出張で、個人からバイクを買い取る。テレビ広告と電話の受付が集客の柱で、業界では名前が最も通っている。
出口の 1 つ目はリテール、つまり自社の店での小売だ。店は 84 あり、整備した車両に保証や点検の束ね売りを付けて売る。売上の 6 割ほどがこちらとみる。粗利が厚く、会社が伸ばそうとしている所だ。
出口の 2 つ目はホールセール、つまり業者への卸だ。小売に向かない車両を、業者向けのオークションに出す。最大の売り先はジャパンバイクオークションで、売上の 36% を占める。この会社はバイク王が議決権の 33.5% を持つ関連会社で、その利益の持分は経常利益に入る。2026 年 11 月期の予想で、経常利益が営業利益を 3 億円ほど上回るのはこのためだ。
従業員は 1 千人強で、店と出張の買取に人を張る商いだ。利益を左右するのは、買い取ってから売るまでの日数と、その間の相場の動きだ。在庫を早く回すほど、相場の変動を受けにくい。
優良さと弱いところ
優良さを一言で言えば、名前は強いが、値段は弱い。
強みは 2 つある。第一に、買取の入口での知名度だ。売りたい人の多くがまずバイク王を思い浮かべ、車両が集まる。第二に、業者向けオークションの最大手の 3 分の 1 を持つことだ。業界の流通の要に座り、相場の情報も入る。
弱みは利益の薄さと振れだ。仕入れも売りも相場で決まり、営業利益率は過去 12 年で 6% を超えたことがない。在庫を抱える間に相場が動けば、利益はすぐに消える。店の家賃と広告費は固定でかかる。
財務は堅く、自己資本比率は 54% ある。ただ、純現金は 0 で、在庫を借入でまかなう形だ。資本コストは基本より 0.75 ポイント高い 8.25% とみる。
経営は小売の強化という筋の通った戦略を続けている。ただ、店を増やすほど家賃という固定の約束も増える。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
業界を動かすのは、乗る人の数、新車の値段、売り買いの場の 3 つだ。中古の流通は、個人から業者が買い、業者向けオークションで業者どうしが売り買いし、店で個人に売る形で回っている。バイク王はこの流れの入口と出口の両方に立つ。
乗る人は高齢化している。二輪の新車の国内出荷は、年 40 万台前後で長く横ばいだ。若い人の免許の取得は細り、増えているのは中高年が再び乗るリターンライダーだ。126cc 以上の趣味の需要は根強いが、台数が大きく伸びる業界ではない。
値段は新車に引っ張られる。部品と人件費の上昇で新車の値上げが続き、中古の相場もそれに付いてくる。筆者は、中古の値段は物価並みに上がるとみる。
売り買いの場は変わりつつある。フリマアプリや一括査定のサイトで、個人どうしで売り買いする道が広がる。業者の中では、レッドバロンのような大手の販売店が自前で買い取る。バイク王の強みである「まず電話する先」の地位が、比べるサイトに崩されるかが 10 年の分かれ目だ。
EV の二輪は、趣味の大型ではまだ広がっていない。10 年で中古の流通を変えるほどではないとみる。ガソリンの小型車の生産終了は、むしろ古い車両の希少さを高め、中古の値段を支える面もある。
資本政策と M&A
資本政策は安定配当が軸だ。配当は年 1.6 億円ほどで据え置かれ、純利益の 3 割前後になる。自社株買いは小さく、社員向けの株式信託に株を回している。
大株主は 2 人の個人で、石川秋彦氏が 27%、創業者の加藤義博氏が 21% を持つ。合わせて半分近い。経営の安定にはなるが、外からの買収は起きにくい。
買収は小さなものを重ねてきた。バイクの販売店や輸入車の会社を子会社にし、2025 年にはプレミアグループと合弁会社を作った。株主優待は自社で小売するバイクの割引券で、使うのは買う株主だけだ。会社の費用は年 1 億円に届かず、還元への上乗せは小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
小売の比率を上げる戦略は、確実に効いている。買い取った車両を自社で売れば、卸すより厚い粗利が取れる。店を増やし、保証と点検を束ねて売る形は、客単価を押し上げる。2026 年 11 月期は、相場の堅さもあって営業利益の予想を 2 割上げた。
新車の値上げは中古の相場を支える。部品と人件費が上がり続ける限り、新車は安くならず、中古の値段も付いてくる。相場が物価並みに上がれば、在庫の損の心配は小さい。
業者向けオークションの最大手の 3 分の 1 を持つことは、見過ごされた強みだ。業界の流通が集まる所に座り、その利益の一部が毎年入る。
大株主の 2 人が半分を持ち、経営は安定している。純資産を下回る値段は、この堅さを映していない。
2026 年の上方修正は、相場の追い風だけでなく、小売の粗利の厚さが効いた結果だ。利益の底が上がっている。2025 年に作ったプレミアグループとの合弁も、ローンや保証で客単価を上げる道になる。
慎重な見方
上方修正は相場の追い風によるもので、会社自身も相場の堅さを理由に挙げた。追い風は向きを変える。
利益はいつも薄い。営業利益率は 12 年の大半で 3% を下回り、6% を超えたことがない。相場が下がれば在庫の損ですぐ赤字になる。2023 年 11 月期がそうだった。
乗る人は高齢化している。新しく乗る若者は少なく、10 年後に中古の流通量が増えている姿は描きにくい。
買取の入口も危うい。売り手はフリマアプリや一括査定で比べるようになり、テレビ広告の名前だけでは車両が集まらなくなる。比べられれば、買取の値段を上げるしかなく、粗利が削られる。
店の家賃と人件費は物価で上がる。小売を伸ばすほど固定費は重くなり、相場の谷では利益を食う。資本コストを超えて稼げない会社の純資産に、帳簿どおりの価値は無い。
過去 10 年の自己資本利益率の中央値は 5% ほどで、資本コストを下回り続けた。小売を強めた後の数年が良かったのは、コロナ期の特需が重なったからでもある。
どちらに重みを置いたか
どちらの言い分にも理がある。小売の比率の上昇と持分の利益は本物だが、相場に値段を決められる弱さも本物だ。
確率は中立を軸に、上と下をほぼ同じ重さに置いた。利益が相場で振れる会社なので、どちらかに大きく寄せる根拠は無い。結論は、今の値段がほぼ中立の筋書きを映しているということだ。小売の比率の上昇で利益の底が上がった点は認め、中立の利益率は過去の中央より少し上に置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/11 期)
確率で加重した株価時価総額 918 円131 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 175 円25 億円)。 今の値に割り戻すと 533 円76 億円、今との差 +15.7%、 期待の年率 +9.0%(資本コスト 8.3%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 2,136 円306 億円 | 279 円40 億円 | +423.9% | +18.0% | 242 円35 億円 |
| やや楽観 | 22% | 1,353 円194 億円 | 216 円31 億円 | +240.5% | +13.0% | 345 円49 億円 |
| 中立 | 38% | 831 円119 億円 | 168 円24 億円 | +116.8% | +8.0% | 380 円54 億円 |
| やや悲観 | 20% | 358 円51 億円 | 159 円23 億円 | +12.2% | +1.2% | 103 円15 億円 |
| 悲観 | 10% | 196 円28 億円 | 35 円5 億円 | −50.0% | −6.7% | 23 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 918 円131 億円 | 175 円25 億円 | +137.1% | +9.0% | 1,093 円157 億円 |
今の株価時価総額 461 円66 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 10% 小売が主役になり、利益率が過去の最高に近づく 利益 20 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 2,136 円306 億円
中高年のリターンライダーと、趣味で大型に乗る層が厚く残る。バイク王は買取で集めた良質の車両を自社の店で売る形を磨き、小売の台数は 10 年で 35% 増える。店は 100 を超え、整備と保証を付けた売り方で客単価も物価を上回る。
卸は小売に回す分が増えて 1 割減るが、ジャパンバイクオークションの取扱いが伸び、持分法の利益も増える。
全社の営業利益率は 4.7% と、2021 年の特需の水準に近づく。小売の厚い粗利が効き、本社と店の固定費を吸収できるからだ。配当は利益に沿って増え、純利益の 3 割を戻す。
- リテール(自社店舗での小売・部品):数量 61.6(小売の台数(千台/年・推定))× 価格 73(1 台あたり売上(万円・名目、部品・保証を含む))→ 売上 447 億円・営業利益 22 億円。小売 35% 増・整備と保証で客単価が上がる
- ホールセール(オークションへの卸・海外):数量 71.1(卸の台数(千台/年・推定))× 価格 28(1 台あたり売上(万円・名目))→ 売上 199 億円・営業利益 3 億円。小売に回す分だけ卸は減る
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.3% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.8 倍。全体の PER 14.79 倍、時価総額 299 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:小売の台数 3 割増と利益率 5% の両方が要る。利益率 5% 超は 2021 年のコロナ特需の 1 期だけで、1 割にとどめる。
やや楽観 22% 小売が伸び、相場も底堅い 利益 14 億円 · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 1,353 円194 億円
小売の台数は 10 年で 2 割増える。店の数は今の 84 から 90 台に増え、通販とパートナーズパック、つまり整備と保証の束ね売りが客単価を押し上げる。
オークションの相場は物価並みかやや上で推移する。新車の値段が上がり続けるため、中古の値段も付いてくる。卸の台数は 5% 減る。
全社の営業利益率は 3.6% まで戻り、本社と店の固定費の重さはやや和らぐ。持分法の利益も増え、純利益は営業利益の 8 割になる。配当は利益に沿って増える。
大株主の 2 人が半分近くを持つ形は変わらず、経営は安定している。稼ぐ力は資本コストを少し上回る所に届き、小売に投じたお金がそれに見合う稼ぎを生む会社になる。
- リテール(自社店舗での小売・部品):数量 54.7(小売の台数(千台/年・推定))× 価格 70(1 台あたり売上(万円・名目、部品・保証を含む))→ 売上 383 億円・営業利益 15 億円。小売 2 割増
- ホールセール(オークションへの卸・海外):数量 75.0(卸の台数(千台/年・推定))× 価格 27(1 台あたり売上(万円・名目))→ 売上 206 億円・営業利益 3 億円。卸は 5% 減
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.3% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.4 倍。全体の PER 13.4 倍、時価総額 190 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:小売の比率を上げる戦略は会社が続けており、2026 年の上方修正も相場の堅さによる。起こりやすい側として 22%。
中立 38% 台数はほぼ横ばい、利益率は 2% 台後半 利益 10 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 831 円119 億円
バイクに乗る人は高齢化し、新しく免許を取る若者は多くない。それでも 126cc 以上の趣味の需要は根強く、中古の流通量はほぼ横ばいで推移する。小売の台数は戦略の分だけ 8% 増え、卸は 5% 減る。
値段は物価並みに上がる。新車の値上げが中古の相場を支えるからだ。
営業利益率は 2.4% と、2026 年の予想並みにとどまる。店の家賃と人件費は物価で上がり、小売の粗利の伸びを食う。持分法の利益は安定して入る。
配当は今の年 1.6 億円ほどの水準から利益に沿って増え、10 年の還元は純利益の 3 割だ。
会社の形は今とほぼ変わらない。買取の知名度で車両を集め、小売で稼ぎ、残りを関連会社のオークションに流す。資本コストを少し下回る稼ぎが続き、純資産に見合う程度の値打ちに落ち着く。
- リテール(自社店舗での小売・部品):数量 49.2(小売の台数(千台/年・推定))× 価格 67(1 台あたり売上(万円・名目、部品・保証を含む))→ 売上 330 億円・営業利益 10 億円。小売 8% 増・物価並み
- ホールセール(オークションへの卸・海外):数量 75.0(卸の台数(千台/年・推定))× 価格 27(1 台あたり売上(万円・名目))→ 売上 201 億円・営業利益 2 億円。卸 5% 減・物価並み
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.8% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 116 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:乗る人の高齢化で数量は伸びにくく、利益率は過去 12 年の中央の少し上。最もありそうな筋書きとして 38%。
やや悲観 20% 相場が下がり、小売も伸び悩む 利益 5 億円 · PER 10.3 倍 · 株価時価総額 358 円51 億円
中古の相場が下がる局面が繰り返す。買い取った車両を売るまでの間に値が下がり、在庫で損を抱える。2023 年 11 月期と同じ形だ。
小売の台数は 5% 減る。大手のバイク販売店と、フリマアプリでの個人間の売買が客を取る。卸の台数も 1 割減る。
店の家賃は売上が落ちても下がらない。営業利益率は 1.4% と、ここ数年の低い所に張り付く。
配当は今の額を守るが、利益の伸びは無い。純利益の 4 割近くを配当に回す形になり、純資産も伸びない。
会社は倒れないが、稼ぐ力は資本コストの半分ほどにとどまる。ためた利益は在庫と店に回り、株主の取り分として育たない。
- リテール(自社店舗での小売・部品):数量 43.3(小売の台数(千台/年・推定))× 価格 63(1 台あたり売上(万円・名目、部品・保証を含む))→ 売上 271 億円・営業利益 5 億円。相場安と個人売買で小売 5% 減
- ホールセール(オークションへの卸・海外):数量 71.1(卸の台数(千台/年・推定))× 価格 26(1 台あたり売上(万円・名目))→ 売上 182 億円・営業利益 1 億円。卸 1 割減・差益が薄い
倍率:ROE 4.7% が k 8.25% 以下なので、上限は 1÷k=12.1 倍。稼ぐ力が資本コストに届かない筋書きなので、上限に引き上げず 8.5 割の 10.30 倍に置いた。
確率:2023/11 期は相場の下落で赤字になった。同じ谷は 10 年の中で十分に起こりうるので 2 割。
悲観 10% 買取の場を個人売買に奪われる 利益 0 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 196 円28 億円
売り手はフリマアプリや一括査定のサイトで、より高く売れる先を探すようになる。テレビ広告で集めた客は比べてから売るので、買取の値段を上げないと車両が集まらない。小売の台数は 25% 減り、卸も 2 割減る。
店の家賃と人件費は物価で上がり、売上の減りに追いつかない。営業は赤字になり、持分法の利益で純利益がかろうじて残る。
会社は店を減らし、配当も絞る。価値は、相場で売れる在庫と、ジャパンバイクオークションの持分で測るしかない。
少数株主は、残った資産の使い道に口を出せない。大株主の 2 人が会社を売る気にならない限り、在庫と持分の価値が株主に戻る道は細い。
- リテール(自社店舗での小売・部品):数量 34.2(小売の台数(千台/年・推定))× 価格 58(1 台あたり売上(万円・名目、部品・保証を含む))→ 売上 197 億円・営業利益 −1 億円。個人売買に客を取られ小売 25% 減・赤字
- ホールセール(オークションへの卸・海外):数量 63.2(卸の台数(千台/年・推定))× 価格 24(1 台あたり売上(万円・名目))→ 売上 152 億円・営業利益 −1 億円。卸も 2 割減・赤字
倍率:営業が赤字で稼ぐ力では測れないため、売れる在庫とオークション会社の持分で測る。今の自己資本 70 億円に約 0.4 倍を掛けた額が床の推定と一致する。
確率:フリマアプリと一括査定のサイトが買取の入口を奪えば、集客の強みが消える。構造的に負ける筋書きとして 1 割。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
リテール(自社店舗での小売・部品)
買い取ったバイクを整備して自社の店舗と通販で一般の客に売る。部品・用品と保証の販売を含む。
| 数量小売の台数(千台/年・推定) | 価格1 台あたり売上(万円・名目、部品・保証を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 45.6 | 50 | 228 | 5 |
| 10 年後 中立 | 49.2 | 67 | 330 | 10 |
取り方:単一セグメントのため分けて推定した。売上 386 億円からオークション会社などへの卸を引いた約 228 億円をリテールとし、1 台 50 万円(126cc 以上が中心、部品と保証込み)で割って約 4.6 万台。営業利益 5.9 億円のうち、粗利の厚い小売に 4.5 億円を割り当てた(推定)。
ホールセール(オークションへの卸・海外)
買い取ったバイクのうち小売に回さない分を、業者向けのオークション(主に持分法の関連会社ジャパンバイクオークション)と海外に卸す。
| 数量卸の台数(千台/年・推定) | 価格1 台あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 79.0 | 20 | 158 | 1 |
| 10 年後 中立 | 75.0 | 27 | 201 | 2 |
取り方:有報の主要販売先のジャパンバイクオークション向け 138 億円(36%)に海外などを足して約 158 億円。1 台 20 万円で割って約 7.9 万台(推定)。利益は相場の差で決まり、率は 1% 弱と推定。
リスクと懸念
中古の相場の下落
仕入れも売りも相場で決まる。在庫を持つ間に相場が下がれば、評価損と値引きで利益が消える。2023/11 期は相場の下落で赤字になった。
個人売買と一括査定
フリマアプリや一括査定のサイトで売り手が値段を比べるようになれば、テレビ広告の名前だけでは車両が集まらない。買取の値段を上げれば粗利が削られる。
乗る人の高齢化
二輪の新車の国内出荷は横ばいで、若い乗り手は細る。中高年のリターンライダーが離れる時期が来れば、中古の流通量そのものが減る。
店の家賃と人件費
84 の店の多くは借りており、家賃は売上が落ちても下がらない固定の約束だ。人件費も物価で上がり、小売を伸ばすほど相場の谷での損が深くなる。
オークション会社への依存
売上の 36% が関連会社のジャパンバイクオークション向けだ。業者向けの流通の仕組みが変われば、卸の出口と持分の利益の両方に響く。
今後の分かれ目
- 2026/11 期の営業利益が修正予想の 8.6 億円を上回る
- 小売の比率の上昇が利益に表れている証拠。やや楽観の確率を上げる。
- オークションの相場が前年を 1 割以上下回る
- 在庫の損が出やすくなる。やや悲観の確率を上げる。
- 店の数が 100 を超え、小売の台数が 2 割伸びる
- 粗利の厚い売り方が根付いた合図。中立の利益率を上げる。
- 一括査定やフリマアプリの取扱いがバイクで急に増える
- 買取の入口が崩れ始めた合図。悲観側に確率を移す。
- 大株主の 2 人が持株を手放す
- 買収や再編の道が開く。10 年の価値の見立ては変えないが、筋書きの確率を見直す。
見ておくもの
- 業者向けオークションの成約単価と台数
- 小売の台数と店の数
- 在庫の回転と評価損
- 二輪の新車の国内出荷台数
- ジャパンバイクオークションの持分法の利益
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価や同業の値付けから置かず、10 年後の自己資本利益率と資本コスト 8.25% から決めた。中立の ROE は資本コストをわずかに上回る程度で、倍率は 11 倍台にとどまる。持分法の利益は純利益に残して PER を掛け、持分の価値は別に足していない(二重にしない)。店の賃借は新リース会計(2028 年から)で BS に載るが、数字は今の形で置いた。償却は店の内装が中心で小さく、物価で増やさない。今の株価は計算に使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.95→14.79 倍・やや楽観 PER 11.6→13.4 倍・中立 PER 10.67→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.75% を足して 8.25%。