結論
イメージワンは、病院向けの医用画像システムと、衛星画像・測量・放射線計測の販売を営む小さな会社だ。売上は2025年9月期で8.7億円、今期は5.8億円の見通しで、営業損益は2019年9月期から赤字が続く。筆者の結論ははっきりしていて、「割高」だ。
時価総額は13億円。純資産は9億円ほどあるが、現金は6.2億円で、年4億円前後の損失を出している。通期の営業損失は7.4億円と予想され、現金が尽きるのは遠くない。調達のたびに株は薄まる。
会社は、医療ITの立て直しに加え、機能性繊維、医療ツーリズム、AIデータセンター、フィジカルAIと、新しいテーマを矢継ぎ早に掲げる。2030年に売上50億円・事業利益5億円という目標は、今の売上の9倍近い。
もう一つの気がかりは、過去の不祥事だ。第三者委員会の調査報告書と課徴金の勧告があり、訴訟も係争中だ。確率で重みを付けた本質価値は、今の時価総額を大きく下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、現金の少ない会社が現金を使い切る前に事業の形を見つけられるか、が唯一の論点になる。いまは、事業の形が見えていない。新しいテーマを掲げるたびに、本業の収益力を確かめる機会が遠のく。
筆者が確かめたいのは三つ。保守収益が積み上がって赤字が止まるか。現金が尽きる前に、薄まりの小さい形で資金を調達できるか。過去の不祥事の整理が終わるか。三つとも、いまは確かだと言える材料が足りない。
時価総額が純資産に近い水準にあるので、安く見えるかもしれない。ただ、純資産は損失で急に減る資産で、帳簿の価値を前提にすることはできない。安全域を取れる価格には見えない。
オーナーとして持ちたい会社かと問われれば、事業の中身が毎年変わる会社は、長く持つ前提が置けない。経営の一貫性が、数字で確かめられるまで待つべきだと考える。
何で稼ぐ会社か
事業は二つある。一つは、ヘルスケアソリューションで、病院向けの医用画像管理システム(PACS)や電子カルテの導入と保守を手がける。売上の約8割を占める主力だが、競合との価格競争で新規の導入は細っている。2026年7月には、PACSの開発元である札幌のプリズム・メディカルを100%子会社にし、開発と保守を一体化した。
もう一つは、地球環境ソリューションで、衛星画像の販売・解析、ドローンと3D計測のソフト、耐放射線カメラやトリチウム連続計測器の販売代理を行う。IAEA(国際原子力機関)への耐放射線カメラの納入が、受注の拡大につながるかが注目点だ。
2026年2月には、医療経営管理システム「ONE Viewer」と支払代行「ONE Payment」を1.5億円で他社に譲渡した。一方で、機能性繊維のスタートアップ(2nd SKIN LABS)の株式を取得し、日本法人ENERGY SKIN JAPANを設立するなど、新規事業を広げている。売上のない新規事業の費用が、損失の一部を占める。会社全体の固定費は、売上の縮みに追いついていない。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、病院のシステムに入り込んだあとの保守収益と、衛星画像の海外大手との独占販売の権利だ。ただ、どちらも規模が小さく、競合との価格競争にさらされる。堀と呼べるほどの優位ではない。
弱みは三つ。第一に、営業赤字が2019年9月期から続き、事業を何度も入れ替えてきたこと。第二に、現金が急速に減っていること。第三に、ガバナンスへの不信だ。2024年に第三者委員会が不適切な取引を認定し、2025年に課徴金納付命令が勧告された。
最近の資金の使い方にも疑問がある。2026年6月、同社は医療コンサルティングの会社に1.25億円を年15%・無担保で貸し付けた。貸付先は純資産が0.19億円しかなく、営業損失を出している。10月にも貸付の続報がある。現金が細る会社の資金配分として、安全域を取れた判断とは言いにくい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
医療IT市場は、電子カルテと周辺システムが成熟し、新規の導入は価格競争で粗利が落ちている。大手のベンダーが病院のクラウド化を進める一方、小規模の事業者は保守と部門システムに活路を探している。病院の収支は悪化しており、IT投資の予算は絞られやすい。
PACS分野は、画像診断支援AIとサイバーセキュリティ対策の需要が追い風だと会社は言う。実際、病院のランサムウェア被害を受けて、セキュリティ投資は増えている。ただ、その需要は大手と、セキュリティを専業にする会社に流れやすい。
衛星画像・測量の分野は、ドローンと3D計測の普及で、土地家屋調査士や自治体、建設会社に用途が広がる。再生可能エネルギーの案件は発生時期が読みにくい。原子力関連は、IAEAの採用が決まれば大きいが、まだ実証の段階にある。全体として、安定して稼げる市場の広がりは限られる。小さな会社が複数の分野に手を広げるほど、どの分野でも規模の経済が働かず、人員の負担が重くなる。
人材の面でも、医療ITの技術者と、衛星画像・測量の営業を同じ会社で抱える効率の悪さがある。
資本政策と M&A
還元の余地はない。無配が続き、株主優待もない。2026年に減資と欠損補填を行い、資本金を縮めて利益剰余金の赤字を埋めた。
資金は新株予約権の行使で調達してきた。2026年7月には、役員向けの有償ストック・オプション(第15回、発行済みの約5%)を発行している。損失の補填のために、今後も調達が続く見通しで、既存の株主の持ち分は薄まる。
M&Aは、事業の譲渡(ONE Viewer)と譲受(プリズム・メディカル、2nd SKIN LABS)を同時に進める形だ。貸付金の1.37億円には貸倒引当金が積まれている。仮払金3.7億円と仮受金5.6億円という、第三者委員会の調査に基づく取引の整理は、差額を超える負担が生じる可能性があると会社自身が説明している。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
医療ITは、プリズム・メディカルの統合で、開発・販売・保守が一体になり、保守収益が安定する。病院のセキュリティ投資とAI導入の需要が追い風で、既存の顧客基盤から追加の売上が取れる。
地球環境は、IAEAによる耐放射線カメラの採用が決まれば、販売台数が大きく伸びる。トリチウム連続計測器も、福島の取り組みから国内外に広がる余地がある。自治体の防災用途も、新しい収益源になる。
新規の機能性繊維は、国内のリカバリーウェア市場が2030年に4,900億円とされる成長分野で、独自素材を持つ米国の会社と組んでいる。純資産は9億円まで厚くなり、損失は事業譲渡益で一部が埋まった。2030年に売上50億円という目標は、会社が掲げた意志でもある。
医療インバウンドや、GCC(湾岸)と日本をつなぐ事業にも参画し、既存の医療ITの顧客基盤から広がる余地を探っている。
IAEAの耐久テストに合格すれば、耐放射線カメラの販売は、国内の電力会社や研究機関にも広がる可能性がある。
慎重な見方
売上は予想の半分以下に下方修正され、通期の営業損失は7.4億円に拡大した。現金は6.2億円で、年4億円前後の損失が続くため、遠くない時期に資金が尽きる。追加の調達はそのたびに株主の持ち分を薄める。
新規事業は、機能性繊維、医療ツーリズム、AIデータセンター、フィジカルAIと、収益の見えないテーマが並ぶ。どれも探索の段階で、会社自身が「収益の柱ではない」と書いている。本業が赤字のまま新規を広げれば、現金の減りは早まる。
ガバナンスの懸念も重い。第三者委員会の調査報告、課徴金勧告、係争中の訴訟がある。医療コンサルへの1.25億円の貸付は、貸付先の財務が弱く、資金の使い方として疑問が残る。純資産が9億円あっても、そのうちの回収の怪しい資産と偶発債務が占める割合は小さくない。
役員向けの有償ストック・オプションは、株価が行使価格の65%を下回ると行使義務が生じる設計で、株価の下落に会社が神経を尖らせていることがうかがえる。事業の成果が株価にまだ映っていない。
どちらに重みを置いたか
現金の減り方が速く、薄まりと上場の維持が構造的な問題になるため、確率はやや悲観と悲観を合わせて5割強に置いた。
楽観は、医療AI・放射線計測・機能性素材がすべて当たる筋書きで、実現には事業の入れ替わりを止める経営の一貫性が要る。中立でも、事業を絞って損益トントンにするのがやっとで、今の時価総額に届く筋書きは、やや楽観より上に限られる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した株価時価総額 22 円3 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 0 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 9 円1 億円、今との差 −89.3%、 期待の年率 −12.3%(資本コスト 9.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 192 円29 億円 | 8 円1 億円 | +143.9% | +9.3% | 10 円2 億円 |
| やや楽観 | 12% | 82 円12 億円 | 0 円0 億円 | +0.4% | +0.0% | 10 円1 億円 |
| 中立 | 28% | 5 円1 億円 | 0 円0 億円 | −94.4% | −25.0% | 1 円0 億円 |
| やや悲観 | 28% | 3 円0 億円 | 0 円0 億円 | −96.9% | −29.2% | 1 円0 億円 |
| 悲観 | 27% | 1 円0 億円 | 0 円0 億円 | −99.1% | −37.8% | 0 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 22 円3 億円 | 0 円0 億円 | −73.1% | −12.3% | 22 円3 億円 |
今の株価時価総額 82 円12 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.8% を下回るほど割高。
楽観 5% 楽観:医療AIと放射線計測が当たり、新規事業も育つ 利益 4 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 192 円29 億円
10年後の売上は50億円台、営業利益は5億円規模(利益率9%)になる。中計の「2030年に売上50億円・事業利益5億円」が数年遅れで届く姿だ。
ヘルスケアはプリズム・メディカルとの一体化で保守収益が積み上がり、医療AIの案件が増える。地球環境はIAEA向けの耐放射線カメラとトリチウム計測器の量産、自治体の防災用途で数倍になる。
新規事業は、機能性繊維の素材供給と医療ツーリズムが収益化し、売上の6割を占める。ただ、これは過去に事業を何度も入れ替えてきた会社が、はじめて一つの柱を育て切る筋書きで、筆者は実現の確率を低くみている。
この筋書きの自己資本には、10年間の増資と新株予約権の行使による払い込み(約8億円)が含まれ、株数は増える。
- ヘルスケアソリューション(医療画像・電子カルテ):数量 100(導入・保守の施設数相当(施設))× 価格 1,474(1施設相当あたり売上(万円))→ 売上 15 億円・営業利益 6 億円。数量2.50倍・営業利益率38%
- 地球環境ソリューション(衛星画像・測量・放射線計測):数量 420(販売件数相当(件))× 価格 134(1件相当あたり売上(万円))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。数量3.00倍・営業利益率28%
- 新規事業(機能性素材・医療ツーリズム・AIなど):数量 2,500(案件数相当(件))× 価格 134(1件相当あたり売上(万円))→ 売上 34 億円・営業利益 3 億円。数量250.00倍・営業利益率10%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 29.2% が k 9.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 19.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.82 倍、時価総額 48 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:売上5.8億円の会社が10年で50億円規模になるには、PACS、IAEA向けの計測器、機能性素材のすべてが当たる必要がある。過去7期の営業損失と事業の入れ替わりの多さから、低く置いた。
やや楽観 12% やや楽観:医療ITの保守が安定し、小さな黒字に落ち着く 利益 1 億円 · PER 11.9 倍 · 株価時価総額 82 円12 億円
売上は20億円ほどまで戻り、営業利益は2億円弱になる。医療ITは新規導入が競争で細る一方、プリズム・メディカルの保守が積み上がり、利益の土台になる。
地球環境は測量・防災向けの3D計測と衛星画像が安定し、IAEAの採用が一部で動く。新規事業は小さく育つが、本業に比べると収益は軽い。
黒字化までに資金を調達するため、既存株主は薄まる。配当は出ない。
この筋書きでは、会社は事業を絞って、保守収益と測量・防災という二つの柱に集中する。新規のテーマは撤退か、小さな提携にとどまり、経営の一貫性が戻る。
資金調達は最小限で済み、既存株主の薄まりも小さい。ただ、株価を押し上げるほどの成長の物語は描けない。
- ヘルスケアソリューション(医療画像・電子カルテ):数量 64.0(導入・保守の施設数相当(施設))× 価格 1,474(1施設相当あたり売上(万円))→ 売上 9 億円・営業利益 4 億円。数量1.60倍・営業利益率38%
- 地球環境ソリューション(衛星画像・測量・放射線計測):数量 252(販売件数相当(件))× 価格 134(1件相当あたり売上(万円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。数量1.80倍・営業利益率28%
- 新規事業(機能性素材・医療ツーリズム・AIなど):数量 600(案件数相当(件))× 価格 134(1件相当あたり売上(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。数量60.00倍・営業利益率8%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.6% が k 9.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.9 倍。全体の PER 11.89 倍、時価総額 17 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:プリズム・メディカルは売上1.3億円・営業利益0.15億円と小さいが黒字で、保守の積み上げは確かにある。小さな黒字までは届く確率が最も高い上振れとして置いた。
中立 28% 中立:事業を絞って生き残るが、利益はほとんど残らない 利益 0 億円 · PER 10.3 倍 · 株価時価総額 5 円1 億円
10年後の売上は11億円、営業利益は0.1億円。保守を中心に医療ITを守り、地球環境は測量とドローン向けに絞る。新規事業は撤退と売却を繰り返し、小さなまま残る。
本社費は上場の維持と管理体制の強化に年2〜3億円かかる。売上が11億円では、この固定費が事業の利益をほとんど食う。純利益は0.1億円ほどで、利息収入が主だ。
現金は事業の運転資金に回り、積み上がらない。配当は出ず、追加の資金調達で株数は増える。
時価総額は、利益ではなく手元の資産と保守の安定性で見られる。成長の物語は剥がれ、規模の小さな医療IT保守会社として評価される。
- ヘルスケアソリューション(医療画像・電子カルテ):数量 46.0(導入・保守の施設数相当(施設))× 価格 1,474(1施設相当あたり売上(万円))→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。数量1.15倍・営業利益率35%
- 地球環境ソリューション(衛星画像・測量・放射線計測):数量 168(販売件数相当(件))× 価格 134(1件相当あたり売上(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。数量1.20倍・営業利益率25%
- 新規事業(機能性素材・医療ツーリズム・AIなど):数量 150(案件数相当(件))× 価格 134(1件相当あたり売上(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。数量15.00倍・営業利益率-10%
倍率:事業の純利益 0 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.5% が k 9.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.3 倍。全体の PER 10.26 倍、時価総額 1 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:医療ITの新規需要は細り、電子カルテは価格競争が激しい。事業を絞って損益トントンまで持っていくのが、最も自然な到達点と見た。
やや悲観 28% やや悲観:資金調達を重ねて薄まり、赤字を続けて縮む 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 3 円0 億円
本業の医療ITは、競合との価格競争に押されて売上が減り続ける。新規事業は成果が出ず、撤退と売却が重なる。
売上は7億円まで縮み、営業損失が続く。損失の補填のため、新株予約権の行使と第三者割当で資金を調達し、株は大きく薄まる。
訴訟や調査報告で認められた取引の整理(仮払金と仮受金の差額)の負担も重く、手元の現金は細り続ける。会社は存続するが、株主が受け取る価値は小さい。
従業員の流出も続き、保守の品質が落ちて、既存顧客の解約が増える。事業を絞る判断が遅れるほど、現金が減り、調達の条件も悪くなる。
訴訟や貸付金の回収で、思わぬ追加の費用が出る可能性もある。
- ヘルスケアソリューション(医療画像・電子カルテ):数量 36.0(導入・保守の施設数相当(施設))× 価格 1,474(1施設相当あたり売上(万円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。数量0.90倍・営業利益率25%
- 地球環境ソリューション(衛星画像・測量・放射線計測):数量 126(販売件数相当(件))× 価格 134(1件相当あたり売上(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。数量0.90倍・営業利益率15%
- 新規事業(機能性素材・医療ツーリズム・AIなど):数量 80.0(案件数相当(件))× 価格 134(1件相当あたり売上(万円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量8.00倍・営業利益率-30%
倍率:赤字で稼ぐ力から値段が付かないため、今の自己資本に掛ける形で置いた。手元の現金から訴訟・仮受金の差額を引いた残りの 1 割強に当たる 0.12 倍にとどめ、中立の PBR より低い。
確率:現金は6.2億円(2026年6月末)で、年4億円前後の損失が続けば1年半ほどで尽きる。調達のたびに株が薄まる筋書きを厚く置いた。
悲観 27% 悲観:資金が尽き、上場廃止または事業の売却に至る 利益 −2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 1 円0 億円
営業損失が続き、手元の現金が尽きる。追加の増資が受け入れられず、事業を他社に売却するか、清算に近い整理に入る。
上場は、継続企業の前提に関する注記の付与や株価の低迷で、維持が難しくなる。東京証券取引所の上場維持基準に抵触し、監理銘柄・整理銘柄から上場廃止となる可能性もある。医療ITの顧客は、保守の継続に不安を抱いて、他社への乗り換えを進める。衛星画像の海外大手との販売契約も、更新されない恐れがある。
株主に残るのは、売却代金のうち債務と訴訟の負担を処理した後の分だけで、今の時価総額を大きく下回る。
事業の売却先が現れれば、従業員と顧客基盤は残るが、株主への分配は小さい。
株価は、清算価値に近い水準まで切り下がる。
- ヘルスケアソリューション(医療画像・電子カルテ):数量 20.0(導入・保守の施設数相当(施設))× 価格 1,474(1施設相当あたり売上(万円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。数量0.50倍・営業利益率10%
- 地球環境ソリューション(衛星画像・測量・放射線計測):数量 56.0(販売件数相当(件))× 価格 134(1件相当あたり売上(万円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量0.40倍・営業利益率-10%
- 新規事業(機能性素材・医療ツーリズム・AIなど):数量 0.0(案件数相当(件))× 価格 134(1件相当あたり売上(万円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。数量0.00倍・営業利益率-100%
倍率:稼ぐ力は赤字で、株主の取り分は事業の売却や清算で残る現金の分だけ。今の自己資本に 0.05 倍を掛け、純現金+売れる資産の税後より小さく置いた。
確率:売上は予想の半分を下回り、現金は急減している。継続企業の前提に関する重要事象がすでに記載され、1.25億円の貸付など資金の使い方にも疑問がある。5%よりかなり高く置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ヘルスケアソリューション(医療画像・電子カルテ)
医用画像管理(PACS)・電子カルテ・部門システムの導入と保守。プリズム・メディカルの子会社化で開発と保守を内製化。
| 数量導入・保守の施設数相当(施設) | 価格1施設相当あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09 | 40.0 | 1,100 | 4 | −3 |
| 10 年後 中立 | 46.0 | 1,474 | 7 | 2 |
取り方:2026/09期の予想売上5.8億円のうち、3Q累計の構成比(医療77%)から約4.4億円と置き、導入と保守の売上を1施設相当あたりの金額で割り戻した推定。セグメント利益は非開示で、全社の営業損失7.4億円を事業ごとに配分した推定。
地球環境ソリューション(衛星画像・測量・放射線計測)
衛星画像の販売・解析、ドローンと3D計測ソフト、耐放射線カメラ・トリチウム連続計測器の販売代理。
| 数量販売件数相当(件) | 価格1件相当あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09 | 140 | 100 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 168 | 134 | 2 | 1 |
取り方:3Q累計売上0.98億円から通期約1.4億円と置いた推定。製品の単価と件数は開示がなく、1件相当100万円で割り戻した。セグメント利益は全社損失の配分による推定。
新規事業(機能性素材・医療ツーリズム・AIなど)
2nd SKIN LABS・ENERGY SKIN JAPAN(機能性繊維)、医療ツーリズム、AIデータセンターなどの探索事業。
| 数量案件数相当(件) | 価格1件相当あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09 | 10.0 | 100 | 0 | −2 |
| 10 年後 中立 | 150 | 134 | 2 | 0 |
取り方:今は売上がほぼない(0.1億円と推定)。費用は2nd SKIN LABS関連・展示会・調査などで年1.5億円前後と推定。中計の目標事業規模(素材20億円・BCP30億円)は2030年の希望であり、実績の裏づけはない。
リスクと懸念
現金の枯渇と薄まり
現金は6.2億円(2026年6月末)で、通期の営業損失は7.4億円の予想。資金調達のたびに株が薄まり、調達できなければ事業が止まる。
過去の不祥事と訴訟
第三者委員会が不適切な取引を認定し、課徴金納付命令が勧告された。係争中の訴訟では、仮受金5.6億円と仮払金3.7億円の差額を超える負担の可能性がある。
医療ITの価格競争
電子カルテと周辺システムは競争が激しく、新規導入の価格が下がっている。保守収益に依存する構造で、ここが崩れると主力が揺らぐ。
新規事業の分散
機能性繊維・医療ツーリズム・AIデータセンター・フィジカルAIなどを同時に進める。どれも収益が見えず、経営資源が分散する。
貸付金の回収
医療コンサル会社への1.25億円は無担保・年15%。貸付先の純資産は0.19億円で、貸倒引当金が積まれている。さらに10月に貸付の続報がある。
上場の維持
2019年9月期から営業赤字が続き、継続企業の前提に関する重要事象が記載されている。注記が付けば、取引や資金調達が一段と難しくなる。
今後の分かれ目
- 2026年9月期の本決算で、継続企業の前提に関する注記が付いたら
- 悲観の確率を大きく上げる。調達や取引先の信用に直接響く。
- 追加の資金調達が、割当先の明らかな資金力を伴って行われたら
- 生き残りの確率は上がるが、希薄化の大きさが焦点になる。
- IAEAが耐放射線カメラの採用を決め、受注が開示されたら
- 地球環境の数量が上振れる材料。楽観・やや楽観の確率を上げる。
- プリズム・メディカルの統合で、保守収益が四半期ごとに増え始めたら
- 医療ITの営業黒字化が見えてくる。中立の利益率の置き方が妥当になる。
- 貸付金が返済されず、貸倒引当金が追加されたら
- 資金配分への疑問が実害になる。やや悲観・悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 現金残高と四半期ごとの営業損益
- 継続企業の前提に関する注記の有無
- 新株予約権の行使と第三者割当の発表
- 貸付金の回収と貸倒引当金
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から決めた。ROE が資本コスト k 9.75% 以下の中立は正当化 PER の上限 1÷k の約 9 割、やや悲観・悲観は赤字で稼ぐ力から値段が付かないため今の自己資本に掛ける PBR で置いた。今の株価や過去の評価は使っていない。時価総額が純資産に近いことは割安の根拠にしていない(純資産は損失で急に減り、仮払金・貸付金の回収に不確実性がある)。資金調達による薄まりは holder_share で別に表し、倍率には混ぜていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9→13.82 倍・やや楽観 PER 8→11.89 倍・中立 PER 9→10.26 倍)。
資本コスト 9.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.0%。基本7.5%にquality+1.75%と、赤字が7期続き現金の枯渇が近い会社への上乗せ+1.0%を足した。