結論
ジオリーブグループ(旧ジューテックホールディングス)は、合板、建材、住宅設備機器、DIY商品を工務店・販売店・ホームセンター・マンションの改修業者に卸す中堅商社だ。創業は1923年。筆者の結論は、中立でほぼ適正である。売上が伸びても利益はほとんど残らず、価値は少しの余裕に収まる。
2026年3月期の売上は1,858億円、営業利益は21億円、純利益は21億円だった。営業利益率は1.1%と薄い。経常利益は30億円で、営業利益との差約9億円は、仕入割引や受取利息などの営業外の収入が支えている。自己資本比率は26%、純現金は53億円ある。
2027年3月期の会社予想は、売上2,250億円(+21%)、営業利益21億円と、売上だけが増える。第1四半期の売上は618億円と37.5%増えたが、中心は2024年から続く買収の連結である。住宅の着工は減り続けるので、買収をやめると売上は増えない。
10年後の中立は、売上2509億円、営業利益28億円、純利益28億円。ROEは9%で、資本コスト7.75%をわずかに上回る。会社の中期計画(2031年3月期に営業利益50億円、利益率2.0%、ROE12%以上)は、過去最高の利益率を超えるため、そのままは置かなかった。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、悪くない事業だが、安全域は薄い。100年の取引網と堅い財務は良いが、利益は薄く、住宅の縮小という逆風の中で、買収に頼る成長を取っている。買った会社の質が、10年後の結果を決める。
懸念は、買収の質とのれんだ。井桁藤・スミリンサッシセンターなど、買収で売上は増えるが、取得額・のれんの開示は確認できない。2026年3月期のれんは22億円で、買収が増えれば償却が利益を押し下げる。
経営の資本配分は、改善中である。配当性向を30%から40%へ引き上げ、固定資産の売却(2026年3月期に12億円)も進めた。ただ、中期計画の目標(営業利益50億円)は、実績の2倍以上で、達成の根拠が薄い。
わからない点は二つある。買収が採算を保つのか、そして営業外の収入(約9億円)が続くのか。どちらも決算書だけでは読み切れず、筆者は保守的に置いた。
何で稼ぐ会社か
事業は、住宅と建築の資材の卸売が中心だ。会社の資料の販売先別では、卸売(販売店向け)が約48%、小売(ホームセンター・工務店向け)が約34%、マンションのリノベーション業者向けが約12%、新しく加わった子会社が約7%を占める。
扱う品目は、合板、建材、住宅設備機器、DIY商品の4つが柱で、日本の木造住宅で使う資材がほぼそろう。物流(トラックの運送)、建築・工事請負、情報システムの賃貸、不動産も手がけ、連結の子会社は18社に上る。
成長のために、会社は買収を重ねている。2024年に増田住建(兵庫)、丸西(仙台)、ひらいホールディングス(千葉)、2025年にオオタ陸運(埼玉の運送会社)、2026年1月に井桁藤(名古屋)とスミリンサッシセンター(茨城)を子会社にした。
新しい中期計画(2026〜2030年度)は、売上を2031年3月期に2,500億円まで増やす。成長領域として非住宅の木造建築、エネルギー関連(太陽光の施工)、ECを置き、重点領域として新築ビルダー向け、サッシ・エクステリア、マンションのリノベーション、非住宅工事を挙げる。
優良さと弱いところ
強みは、創業から100年の取引網と、幅広い品ぞろえだ。工務店・ビルダー・ホームセンター・マンション改修業者に、合板から設備までまとめて届ける。物流と工事を自社グループで持つので、人手不足の中でも納期を守りやすい。
一方、堀は強くない。建材は同じものを複数の卸が扱い、価格は市況と大口の顧客が決める。売上に対する営業利益は1%前後で、売上が10%減るだけで利益は半分近くになる。2022〜2023年のウッドショックで率が1.7〜1.9%に上がったが、市況が戻ると1%台に戻った。
資本の効率は中ぐらいで、過去10年のROEの中央値は8.8%。自己資本比率は26%と低いが、現金が借入を上回る。大株主のベニア商会(代表取締役の資産管理会社)が約26%を持つ安定株主で、会社の経営は継続的だ。
中期計画の達成実績には疑問が残る。前の中期計画では、2025年5月に営業利益の目標を30億円から20億円へ下げ、2026年3月期にやっと21億円を出した。新しい計画の営業利益50億円は、実績の2倍以上である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
住宅建材の需要は、新設住宅の着工と、改修・非住宅の工事量に連動する。新設住宅の着工は、2025年度に約71万戸と過去最低の水準まで減り、野村総合研究所は2030年度に80万戸、2040年度に61万戸を予測する。人口と世帯数の減少で、新築は長く縮む。
支えは、改修、非住宅の木造化、建築費と人件費の値上がりだ。住宅1戸あたりの建材・設備の金額は、物価と高機能化で名目では上がる。2024年の建築基準法・省エネ法の改正で、省エネ性能への投資も増える。非住宅の木造は、矢野経済の見立てで2030年度に1.1兆円台へ伸びる。
競争は、地域ごとに分かれた卸と、全国の大手が争う形で、価格決定力は弱い。建材・設備流通の売上は、渡辺パイプ4,456億円、JKホールディングス3,932億円、ユアサ商事2,670億円で、ジオリーブグループ(1,858億円)はこれに続く中堅である。伊藤忠建材・SMB建材は川上に近く、ナイスが近い。
後継者がいない建材卸の事業承継が増えており、買収で規模を取る会社が伸びる。ただ、買った会社の利益が出なければ、のれんの償却と減損で利益が消える。10年の構造的な負け筋は、新築が3〜4割減り、買収が採算に合わない場合である。
資本政策と M&A
還元は、連結配当性向40%を目安とする(2025年5月に30%から引き上げ)。2026年3月期の配当性向は31%、DOE(株主資本配当率)は2.7%。2031年3月期は配当を増やす予想で、5年累計の還元は55億円の計画だ。自社株の取得とDOEの目標は示されていない。
株主優待は、3月末に100株以上を持つ株主にQUOカード(二千円分)を贈る。株主数を確かめていないが、仮に1万人でも年0.2億円で、年1億円の基準に届かないので、還元には足していない。
投資は、中期計画の5年で110億円(人、新規事業、重点領域、AI・DX、物流、拠点の改修)。営業キャッシュフロー150億円で賄う計画で、還元55億円と合わせて収支は釣り合う。減価償却は、今ある設備の分は物価で増やさず、新しい設備の分だけ新しい値段で15年に按分し、買収ののれんは10年で償却した。
純現金は53億円(現金150億円から借入などの約97億円を引いた額)。薄利の卸売で、仕入先への支払いと毎月の運転資金に使う手元資金とみて、余った現金には分けない。大株主はベニア商会26%、足立建一郎氏約8%、DAIKEN(政策保有)約6%、ほか住友林業・伊藤忠建材・SMB建材が各2〜3%。TOBの参考確率は24.7%だが、筋書きには入れない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
買収した会社が収益を上げ、グループの利益率が上がる。物流・工事・サッシなど、利益率が高い領域が増えれば、営業利益率は1.3%台まで上がる。人手不足の中で、物流と工事を持つ強みが、納期の守れない同業からシェアを取る。
非住宅の木造建築とマンションの改修が育つ。新築の縮小を、改修と非住宅の需要が埋め、数量の減りは1割以内に収まる。価格は建築費と人件費の値上がりに連動し、10年で1.38〜1.40倍に上がる。
10年後の売上は3083億円、営業利益は41億円、純利益は38億円に伸び、ROEは11%に届く。配当性向40%を守りつつ、買収も続ける。
この道では、中期計画の売上2,500億円を超え、会社は規模のある建材商社に変わる。資本効率が上がり、評価も上がる。
前提として、新築の縮小は改修・非住宅・買い替え需要で相殺され、合板の市況も安定する。人手不足は物流・工事を持つ会社に有利に働き、同業の中小卸が事業承継で次々に譲り渡され、買収の候補が絶えない。買った会社の人材と取引先がそのまま残れば、仕入れの規模も効き、粗利が少しずつ改善する。
慎重な見方
売上の増加は、買収のおかげで、自力ではない。会社予想の2027年3月期は売上が21%増えるが、営業利益は21億円と横ばいで、買収した売上に利益がついてきていない。中期計画の営業利益50億円は、前の計画で目標を下げた会社が出す数字としては強気すぎる。
新築の縮小が重い。新設住宅の着工は2025年度に約71万戸と過去最低で、人口減で今後も下がる。会社は住宅向けの比率が高く、数量は10年で2割減る見通しだ。縮む市場で、価格転嫁が人件費と物流費の上昇に追いつかないと、利益は消える。
買収の採算が崩れる恐れもある。連続した買収で、のれんと償却が増え、買った会社の利益が出なければ、減損で純利益が飛ぶ。大きな株主のベニア商会が約26%を持つので、少数株主の声は届きにくい。
営業外収益(仕入割引・受取利息など約9億円)が減れば、経常利益は営業利益に近づく。薄利の会社は、ほんの小さなずれで赤字に近づく。この会社は、買収と低い利益率の上に立っており、改善の余地は小さい。
どちらに重みを置いたか
事業は堅いが、利益率が薄く、成長は買収に頼る。確率は強気6%、やや強気19%、中立37%、やや悲観26%、悲観12%に置いた。9896(JK)と同じ物差し(資本コスト7.75%)にそろえ、悲観の確率をわずかに高めたのは、買収の採算と薄利の両方を負うからだ。
中立の純利益は28億円、ROEは9%。資本コスト7.75%をわずかに上回る水準で、倍率はPERの下限(1÷k=12.1倍)近くに置いた。結果はほぼ適正になった。買収の採算が見えれば見方は変わる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,412 円321 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 701 円93 億円)。 今の値に割り戻すと 1,626 円216 億円、今との差 +17.8%、 期待の年率 +8.5%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 3,855 円512 億円 | 948 円126 億円 | +248.0% | +13.3% | 288 円38 億円 |
| やや楽観 | 19% | 3,191 円424 億円 | 813 円108 億円 | +190.1% | +11.2% | 761 円101 億円 |
| 中立 | 37% | 2,757 円366 億円 | 752 円100 億円 | +154.3% | +9.8% | 1,298 円173 億円 |
| やや悲観 | 26% | 1,767 円235 億円 | 640 円85 億円 | +74.4% | +5.7% | 626 円83 億円 |
| 悲観 | 12% | 790 円105 億円 | 376 円50 億円 | −15.5% | −1.7% | 140 円19 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,412 円321 億円 | 701 円93 億円 | +125.6% | +8.5% | 3,113 円414 億円 |
今の株価時価総額 1,380 円183 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 買収が当たり、利益率が上がる 利益 38 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 3,855 円512 億円
買収した会社が採算に乗り、非住宅の木造・マンションの改修・サッシが育つ。卸売の数量は0.98倍とほぼ保ち、新規グループは社数が3.6倍(8社→約29社分)に増える。価格は物価を上回る1.38〜1.40倍。
売上は3083億円、営業利益は41億円(利益率1.3%)、純利益は38億円。ROEは11%に上がる。
配当性向42%で、10年の還元は約126億円。買収の費用は約110億円で、稼ぎが賄う。
(名目の前提)卸売・小売の単価は10年で1.38倍、1.38倍、リノベーションは1.40倍、新規グループは1.36倍と置いた。買収の費用は10年で110億円、設備・システム・拠点の投資は170億円。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま約18年で減り、新しい設備だけ新しい値段で15年、買収ののれんは10年で按分した。償却は今の約12億円が10年後に約27.7億円。物価で一律に増やすと約20.7億円と見かけ上膨らむが、更新の投資は建築費の値上がりで膨らみ、現金を使う。10年後の純現金は約120億円(今は53億円)。
- 卸売(販売店向け):数量 72.9(住宅1戸分の建材・設備に換算した納入量(千戸分。推定))× 価格 166(1戸分あたりの平均納入額(万円。推定))→ 売上 1,207 億円・営業利益 10 億円。数量 0.98倍・単価 1.38倍・EBITDA率 1.72%・営業利益率 0.82%
- 小売向け(ホームセンター・工務店・ビルダー):数量 63.7(住宅1戸分の建材・設備に換算した納入量(千戸分。推定))× 価格 138(1戸分あたりの平均納入額(万円。推定))→ 売上 878 億円・営業利益 9 億円。数量 1.02倍・単価 1.38倍・EBITDA率 1.95%・営業利益率 1.05%
- マンションリノベーション業者向け:数量 13.4(改修1戸あたりに換算した納入量(千戸分。推定))× 価格 280(1戸あたりの平均納入額(万円。推定))→ 売上 374 億円・営業利益 6 億円。数量 1.25倍・単価 1.40倍・EBITDA率 2.45%・営業利益率 1.55%
- 新規グループ会社(買収した会社群):数量 28.8(買収した会社の数(社分。推定))× 価格 22(1社あたりの年間売上(億円))→ 売上 624 億円・営業利益 16 億円。数量 3.60倍・単価 1.36倍・EBITDA率 3.40%・営業利益率 2.50%
倍率:事業の純利益 38 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.1% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.2%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.34 倍、時価総額 512 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:買収した会社が全て採算に乗り、非住宅・改修が育ち、利益率が1.3%台に上がる必要がある。過去の最高が1.9%でも、通常は1%前後の会社には難しく、確率は低くした。
やや楽観 19% 改修と非住宅で数量の減りを抑える 利益 33 億円 · PER 13.0 倍 · 株価時価総額 3,191 円424 億円
数量の減りは1割以内。卸売は0.93倍、リノベーションは1.15倍、新規グループは3.1倍に増える。価格は1.32〜1.36倍。
売上は2779億円、営業利益は33億円(利益率1.2%)、純利益は33億円。ROEは10%で、資本コストを上回る。
10年の還元は約108億円。
(名目の前提)卸売・小売の単価は10年で1.35倍、1.34倍、リノベーションは1.36倍、新規グループは1.32倍と置いた。買収の費用は10年で95億円、設備・システム・拠点の投資は155億円。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま約18年で減り、新しい設備だけ新しい値段で15年、買収ののれんは10年で按分した。償却は今の約12億円が10年後に約25.2億円。物価で一律に増やすと約19.7億円と見かけ上膨らむが、更新の投資は建築費の値上がりで膨らみ、現金を使う。10年後の純現金は約133億円(今は53億円)。
- 卸売(販売店向け):数量 69.2(住宅1戸分の建材・設備に換算した納入量(千戸分。推定))× 価格 162(1戸分あたりの平均納入額(万円。推定))→ 売上 1,120 億円・営業利益 8 億円。数量 0.93倍・単価 1.35倍・EBITDA率 1.65%・営業利益率 0.74%
- 小売向け(ホームセンター・工務店・ビルダー):数量 59.9(住宅1戸分の建材・設備に換算した納入量(千戸分。推定))× 価格 134(1戸分あたりの平均納入額(万円。推定))→ 売上 803 億円・営業利益 8 億円。数量 0.96倍・単価 1.34倍・EBITDA率 1.85%・営業利益率 0.94%
- マンションリノベーション業者向け:数量 12.3(改修1戸あたりに換算した納入量(千戸分。推定))× 価格 272(1戸あたりの平均納入額(万円。推定))→ 売上 335 億円・営業利益 5 億円。数量 1.15倍・単価 1.36倍・EBITDA率 2.35%・営業利益率 1.44%
- 新規グループ会社(買収した会社群):数量 24.8(買収した会社の数(社分。推定))× 価格 21(1社あたりの年間売上(億円))→ 売上 521 億円・営業利益 13 億円。数量 3.10倍・単価 1.32倍・EBITDA率 3.30%・営業利益率 2.39%
倍率:事業の純利益 33 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.0% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 7.8%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.0 倍。全体の PER 12.97 倍、時価総額 424 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:数量の減りが1割以内で、買収が採算に乗る筋書き。中期計画にある売上成長は半分ほど実現するが、営業利益50億円には届かない。
中立 37% 数量は縮むが、買収で規模を保ち、利益は微増する 利益 28 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 2,757 円366 億円
卸売の数量は0.88倍、小売は0.90倍と、新築の縮小で緩やかに減る。リノベーションは1.05倍、新規グループは社数が2.6倍(8社→約21社分)に増える。価格は物価並みの1.30〜1.34倍。
売上は2509億円、営業利益は28億円(利益率1.1%)、純利益は28億円。ROEは9%と、資本コスト7.75%をわずかに上回る。
10年の還元は約100億円(性向40%)。会社の計画(2031年3月期の営業利益50億円)には届かないが、今の利益は上回る。
(名目の前提)卸売・小売の単価は10年で1.32倍、1.32倍、リノベーションは1.34倍、新規グループは1.30倍と置いた。買収の費用は10年で80億円、設備・システム・拠点の投資は140億円。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま約18年で減り、新しい設備だけ新しい値段で15年、買収ののれんは10年で按分した。償却は今の約12億円が10年後に約22.7億円。物価で一律に増やすと約18.7億円と見かけ上膨らむが、更新の投資は建築費の値上がりで膨らみ、現金を使う。10年後の純現金は約143億円(今は53億円)。
- 卸売(販売店向け):数量 65.4(住宅1戸分の建材・設備に換算した納入量(千戸分。推定))× 価格 158(1戸分あたりの平均納入額(万円。推定))→ 売上 1,036 億円・営業利益 7 億円。数量 0.88倍・単価 1.32倍・EBITDA率 1.60%・営業利益率 0.70%
- 小売向け(ホームセンター・工務店・ビルダー):数量 56.2(住宅1戸分の建材・設備に換算した納入量(千戸分。推定))× 価格 132(1戸分あたりの平均納入額(万円。推定))→ 売上 741 億円・営業利益 7 億円。数量 0.90倍・単価 1.32倍・EBITDA率 1.80%・営業利益率 0.90%
- マンションリノベーション業者向け:数量 11.2(改修1戸あたりに換算した納入量(千戸分。推定))× 価格 268(1戸あたりの平均納入額(万円。推定))→ 売上 301 億円・営業利益 4 億円。数量 1.05倍・単価 1.34倍・EBITDA率 2.25%・営業利益率 1.35%
- 新規グループ会社(買収した会社群):数量 20.8(買収した会社の数(社分。推定))× 価格 21(1社あたりの年間売上(億円))→ 売上 431 億円・営業利益 10 億円。数量 2.60倍・単価 1.30倍・EBITDA率 3.20%・営業利益率 2.30%
倍率:事業の純利益 28 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.1% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 366 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新築の縮小で卸売・小売の数量は減るが、価格は物価並みに上がり、買収で規模を保つ。営業利益率は今と同じ1.1%前後で、中心の筋書き。
やや悲観 26% 新築が縮み、買収の採算が伸び悩む 利益 21 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 1,767 円235 億円
新築の縮小が速く、卸売の数量は0.78倍、小売は0.80倍。買収の効果は伸び悩み、新規グループは1.8倍にとどまる。価格は1.20〜1.25倍で、物流費・人件費の上昇を転嫁しきれない。
売上は2010億円、営業利益は18億円(利益率0.9%)、純利益は21億円。ROEは7%で、資本コストに届かない。
10年の還元は約85億円。
(名目の前提)卸売・小売の単価は10年で1.25倍、1.25倍、リノベーションは1.25倍、新規グループは1.20倍と置いた。買収の費用は10年で40億円、設備・システム・拠点の投資は110億円。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま約18年で減り、新しい設備だけ新しい値段で15年、買収ののれんは10年で按分した。償却は今の約12億円が10年後に約16.7億円。物価で一律に増やすと約16.7億円と見かけ上膨らむが、更新の投資は建築費の値上がりで膨らみ、現金を使う。10年後の純現金は約171億円(今は53億円)。
- 卸売(販売店向け):数量 58.0(住宅1戸分の建材・設備に換算した納入量(千戸分。推定))× 価格 150(1戸分あたりの平均納入額(万円。推定))→ 売上 870 億円・営業利益 5 億円。数量 0.78倍・単価 1.25倍・EBITDA率 1.45%・営業利益率 0.62%
- 小売向け(ホームセンター・工務店・ビルダー):数量 49.9(住宅1戸分の建材・設備に換算した納入量(千戸分。推定))× 価格 125(1戸分あたりの平均納入額(万円。推定))→ 売上 624 億円・営業利益 5 億円。数量 0.80倍・単価 1.25倍・EBITDA率 1.60%・営業利益率 0.77%
- マンションリノベーション業者向け:数量 9.6(改修1戸あたりに換算した納入量(千戸分。推定))× 価格 250(1戸あたりの平均納入額(万円。推定))→ 売上 241 億円・営業利益 3 億円。数量 0.90倍・単価 1.25倍・EBITDA率 2.00%・営業利益率 1.17%
- 新規グループ会社(買収した会社群):数量 14.4(買収した会社の数(社分。推定))× 価格 19(1社あたりの年間売上(億円))→ 売上 275 億円・営業利益 5 億円。数量 1.80倍・単価 1.20倍・EBITDA率 2.80%・営業利益率 1.97%
倍率:ROE 6.7% は k 7.75% を下回る。ためた利益は額面未満で、PER の上限は 1÷k=12.1 倍。買収の採算が伸び悩み、営業外収益に頼る筋書きで、その78%の 9.5 倍に置いた。EVは営業利益に対して 1.6 倍。
確率:新築が速く縮み、買収の効果が伸び悩む。物流費・人件費の上昇を転嫁できず、営業利益率が0.9%に下がる。薄利の会社には起こりやすいため、確率はやや高く置いた。
悲観 12% 新築が3〜4割減り、買収の減損が出る 利益 12 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 790 円105 億円
新築の着工が3〜4割減り、卸売・小売の数量は0.62倍に落ちる。価格は1.12倍と物価に届かず、買収はほとんど進まない。
売上は1354億円、営業利益は7億円(利益率0.5%)、純利益は12億円。営業外収益が支え、純利益は営業利益を上回る。10年に約20億円の減損や整理費用が出る。
価値の支えは、稼ぐ力でなく、持っている現金と土地・設備になる。
(名目の前提)卸売・小売の単価は10年で1.12倍、1.12倍、リノベーションは1.12倍、新規グループは1.05倍と置いた。買収の費用は10年で0億円、設備・システム・拠点の投資は70億円。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま約18年で減り、新しい設備だけ新しい値段で15年、買収ののれんは10年で按分した。償却は今の約12億円が10年後に約10.0億円。物価で一律に増やすと約13.7億円と見かけ上膨らむが、更新の投資は建築費の値上がりで膨らみ、現金を使う。10年後の純現金は約200億円(今は53億円)。
- 卸売(販売店向け):数量 46.1(住宅1戸分の建材・設備に換算した納入量(千戸分。推定))× 価格 134(1戸分あたりの平均納入額(万円。推定))→ 売上 620 億円・営業利益 2 億円。数量 0.62倍・単価 1.12倍・EBITDA率 1.10%・営業利益率 0.36%
- 小売向け(ホームセンター・工務店・ビルダー):数量 38.7(住宅1戸分の建材・設備に換算した納入量(千戸分。推定))× 価格 112(1戸分あたりの平均納入額(万円。推定))→ 売上 433 億円・営業利益 2 億円。数量 0.62倍・単価 1.12倍・EBITDA率 1.20%・営業利益率 0.46%
- マンションリノベーション業者向け:数量 7.5(改修1戸あたりに換算した納入量(千戸分。推定))× 価格 224(1戸あたりの平均納入額(万円。推定))→ 売上 168 億円・営業利益 1 億円。数量 0.70倍・単価 1.12倍・EBITDA率 1.50%・営業利益率 0.76%
- 新規グループ会社(買収した会社群):数量 8.0(買収した会社の数(社分。推定))× 価格 17(1社あたりの年間売上(億円))→ 売上 134 億円・営業利益 2 億円。数量 1.00倍・単価 1.05倍・EBITDA率 2.00%・営業利益率 1.26%
倍率:稼ぐ力は営業利益7億円で薄く、営業外収益が支える。売れる資産の床(floor_assets_oku)105億円をそのまま時価総額に置いた。今の自己資本249億円に対する PBR は 0.42 倍。
確率:新築の着工が3〜4割減り、買収の減損が出る。営業利益は7億円まで落ちる。2010年3月期の営業利益率0.3%の実績があり、JKホールディングスと同じく12%程度に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
卸売(販売店向け)
合板・建材・住宅設備を、地域の建材販売店や工務店の問屋筋に卸す。売上の約48%。
| 数量住宅1戸分の建材・設備に換算した納入量(千戸分。推定) | 価格1戸分あたりの平均納入額(万円。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 74.4 | 120 | 892 | 8 |
| 10 年後 中立 | 65.4 | 158 | 1,036 | 7 |
取り方:販売先別の比率(卸売約48%)を2026年3月期の連結売上1,857.5億円に按分した892.2億円を、住宅1戸分の建材・設備の平均納入額120万円で割って約7.4万戸分とした(国内の新設着工約71万戸の約1割にあたる)。納入量は非開示の推定。営業利益は部門別が非開示のため、全社の営業利益21.15億円を按分した推定(利益率約0.9%)。
小売向け(ホームセンター・工務店・ビルダー)
ホームセンター、工務店、新築ビルダーに、合板・建材・DIY商品を卸し、一部は工事も請け負う。売上の約34%。
| 数量住宅1戸分の建材・設備に換算した納入量(千戸分。推定) | 価格1戸分あたりの平均納入額(万円。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 62.4 | 100 | 624 | 7 |
| 10 年後 中立 | 56.2 | 132 | 741 | 7 |
取り方:販売先別の比率(小売約34%)を連結売上に按分した624.0億円を、1戸分あたり100万円で割って約6.2万戸分とした。納入量は非開示の推定。営業利益は全社の営業利益の按分による推定(利益率約1.1%)。
マンションリノベーション業者向け
マンションの専有部の改修に使う建材・設備を、改修業者に卸す。売上の約12%。
| 数量改修1戸あたりに換算した納入量(千戸分。推定) | 価格1戸あたりの平均納入額(万円。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 10.7 | 200 | 214 | 3 |
| 10 年後 中立 | 11.2 | 268 | 301 | 4 |
取り方:販売先別の比率(マンションリノベーション業者約12%)を連結売上に按分した214.0億円を、1戸あたり200万円で割って約1.1万戸分とした。納入量は非開示の推定。営業利益は全社の営業利益の按分による推定(利益率約1.5%)。
新規グループ会社(買収した会社群)
2024年以降に買収した運送、工事、サッシ、建材卸などの子会社。2026年1月の井桁藤・スミリンサッシセンターの連結が2027年3月期に通年で入る。
| 数量買収した会社の数(社分。推定) | 価格1社あたりの年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8.0 | 16 | 127 | 3 |
| 10 年後 中立 | 20.8 | 21 | 431 | 10 |
取り方:販売先別の比率(新規グループ会社約7%)を連結売上に按分した127.4億円を、買収した会社の数を8社分と推定して割った(1社あたり約16億円)。社数と売上は非開示の推定。営業利益は全社の営業利益の按分による推定(利益率約2.5%。運送・工事は卸より高い)。
リスクと懸念
買収の採算とのれん
2024年から2026年1月まで、6社を子会社にした。2027年3月期の予想は、売上が21%増える一方、営業利益は横ばいで、買収した売上に利益がついていない。のれんは22億円で、買収が増えれば償却と減損が利益を押し下げる。
新築住宅の縮小
新設住宅の着工は2025年度に約71万戸と過去最低の水準で、2040年度は61万戸(野村総合研究所)と予測される。会社の売上の大半は住宅向けで、着工が3〜4割減れば、数量の減りで利益が消える恐れがある。
利益率の薄さ
営業利益率は2015〜2021年に0.7〜0.9%で、2026年3月期は1.1%。売上が10%減れば営業利益は半分に近づく。中期計画の2.0%は過去最高(1.9%)を超えるため、達成を前提にできない。
営業外収益への依存
2026年3月期の経常利益30億円は、営業利益21億円より約9億円多い。仕入割引・受取利息・賃料などが支えており、売上が減れば仕入割引も減る。営業外が細ると、純利益は営業利益の水準に近づく。
合板の市況
合板は国産と輸入が半々の市況商品で、価格が急に動く。ウッドショックの2022〜2023年は利益率が上がったが、市況が戻ると1%台に戻った。在庫の評価損と値下がりが利益を削る恐れがある。
人手不足と物流費
配送・施工の人手が足りず、物流費と人件費が上がる。値段への転嫁が遅れると、粗利が薄い会社は利益を削られる。物流の子会社(オオタ陸運など)を持つ強みが、費用の増加を相殺できるかが分かれ目となる。
株主構成と支配
ベニア商会(代表取締役の資産管理会社)が約26%、足立建一郎氏が約8%、DAIKENが約6%を持つ。経営の継続は安定するが、少数株主の意見が通りにくい。再編・買収の参考確率は24.7%だが、筋書きには入れていない。
今後の分かれ目
- 2027年3月期の営業利益が25億円を超える
- 買収した売上に利益がついてきた合図だ。営業利益率が1.1%を上回り、やや強気の筋書きに寄る。
- 2027年3月期の営業利益が21億円を下回る
- 売上が増えても利益が増えない合図だ。買収の採算に疑問が出て、やや悲観の筋書きに寄る。
- のれんの減損が出る、または買収した会社の売上が計画を下回る
- 買収の質に問題が出る合図だ。成長の前提が崩れ、悲観の筋書きに寄る。
- 新設住宅の着工が80万戸を割り込み、さらに減り続ける
- 数量の縮小が計画より速い合図だ。卸売・小売の数量が崩れ、悲観側に寄る。
- 非住宅の木造・サッシ・エクステリアの売上が計画どおり増え、利益率が上がる
- 重点領域が採算に乗った合図だ。営業利益率が1.5%に近づき、強気の筋書きに寄る。
- 大株主(ベニア商会など)の持ち分の変動や再編の動きが表に出る
- TOBの参考確率は24.7%。価値は事業の稼ぎで測り、筋書きには入れていない。
見ておくもの
- 営業利益と営業利益率の四半期の動き(2027年3月期の第2四半期以降)
- 買収した会社の売上・利益と、のれんの償却・減損
- 新設住宅着工と改修の工事量(国土交通省の月次)
- 営業外収益(仕入割引・受取利息)の水準
- 配当(性向40%の維持)と投資(中期計画の5年110億円)
- 合板の相場と在庫の評価
倍率と資本コストの決め方
数量と名目の単価から利益を積み、倍率は式で置いた。今の市場の評価(PER9倍前後・PBR0.75倍)には寄せていない。k は基本7.5%にquality 0.75%(循環+0.5・値決め力+0.25・借金0・寿命0)を足した8.25%。同じ領域のJKホールディングスと同じ物差しにそろえた。ROEがkをわずかに上回る中立は、PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)の式(g 3%、堀が弱く残る割合1/3)で約12.3倍、ROEがkを上回る時のPERの下限1÷k=12.1倍と合わせて12.2倍に置いた。ROEがkを下回るやや悲観は、上限1÷kの約78%に置いた。純現金53億円は、薄利の卸が仕入先へ払うための手元資金とみて、余った現金には分けていない。賃貸不動産の時価は確かめられなかったので、悲観の床にも入れていない。新リース会計基準(2028年3月期から)は、拠点・倉庫・車両の借り入れが大きければ負債が増えるが、影響額は開示を確認できていない。会社の中期計画の営業利益50億円は、過去最高の利益率を超えるため置かなかった。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 0.75% = 8.25%。買収の採算・営業外収益への依存などの個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.25% → 7.75%。