結論
西川計測は、横河電機の代理店として、水道・電力・ガスなどの制御システムと計測器、分析機器を売る技術商社だ。ただ売るだけでなく、設計、計装工事、保守まで請け負う。筆者の結論は、事業は堅く稼ぐが伸びは緩やかで、今の値段は本質価値とほぼ釣り合う、というものだ。
稼ぎの中心は、官公庁と公益企業向けの制御システムだ。売上の半分を占め、利益の大半を出す。水道や電力の設備は古くなり、更新は今後も続く。取引先は約 3 千社に広がり、上位 10 社でも売上の 3 割にとどまる。
弱みは、値段を自分で決められないことだ。売る品物の値段は仕入先が決める。横河グループからの仕入は全体の約 3 割、アジレントなど他社の品も多い。商権を握るのは仕入先で、代理店は技術力と顧客との距離で選ばれている。
10 年後の中立は、営業利益が 58 億円ほど、純利益が 43 億円ほど。営業利益率は今の 9.8% をわずかに下回る。技術者を増やし、更新需要を取り込んで、売上は物価と同じ速さで伸びる。
筆者がいちばん気にしているのは、利益の質だ。保有する上場株の 132 億円と現金の 117 億円は、時価総額の 7 割を超す。この資産の配当と利息は利益に入っているので、価値として二重には数えない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、事業は堅実で、資本の置き方は説明が要る。
好ましい点は、顧客が長く付き合ってくれること、借金がないこと、技術者の厚みが利益の源泉であることだ。営業利益率は 10% 近く、卸売としては高い。受注残も 309 億円と厚い。前の中計は目標を大幅に超えた。
気になる点は 3 つある。仕入先の値段に左右される代理店という立場、純資産の半分近くを占める保有株、そして現金の戻し方だ。保有株は、持っている意味を説明しにくい資産だ。利益を生まないわけではないが、本業と関係が薄い。
10 年後の姿は、更新需要を取り込みながら緩やかに伸びる、というものだ。爆発的な成長はない。筆者は、物価と同じ速さで稼ぎが増え、利益の半分近くを返してくれれば、持ち続けてよいと考える。
安全域は、厚くない。保有株と現金を別に数えず、利益の質で測ると、今の値段はほぼ適正だ。わからないのは、仕入先との関係が 10 年先も続くかだ。この商権の弱さを資本コストと悲観の確率に織り込み、確信を下げて向き合う。
何で稼ぐ会社か
事業は 4 つの品目で成り立つ。制御・情報機器システム、計測器、理化学機器、産業機器だ。
いちばん大きいのは制御・情報機器システムで、売上の半分あまりを占める。横河電機の制御用コンピュータや流量計などを、浄水場、発電所、ガス工場に納める。納めて終わりではなく、システムの設計、ソフト製作、計装工事、保守まで受ける。顧客は水道・都市ガス・電力などのライフラインが上位に並ぶ。
計測器は、オシロスコープや電気測定器だ。半導体や通信の開発、検査の現場で使われる。理化学機器は、ガスクロマトグラフなどの分析装置で、化学、食品、環境、官公庁の研究室に納める。売上は 100 億円を超えた。産業機器は、自動車メーカーなど工場向けで、設備投資の見直しの影響を受けている。
売上は 2026 年 6 月期に 452 億円と過去最高になった。年間の売上は 3 月に集中する。工事案件の工期が年度末に偏るからだ。営業利益率は 9.8% で、卸売としては高い。
従業員は 411 人で、平均の年収は 1,169 万円と高い。人材を採って育て、現場で技術を売る商売で、1 人当たりの売上は 1 億円を超える。商品代金の大半は仕入先に流れ、粗利は 3 割ほどだ。粗利の高い制御の仕事が増えるほど、全体の利益率も上がる。
優良さと弱いところ
堀は、技術者の厚みと、顧客との長い付き合いだ。ただし、商権そのものは仕入先が握っている。
第 1 の強みは、計測、制御、分析をまとめて扱えることだ。顧客は約 3 千社に広がり、官公庁や公益企業の設備を長く受け持つ。設備の更新は担当者の顔が見える相手に任せたい。切り替えの手間が大きく、取引は長く続く。
第 2 の強みは、人材の厚さだ。技術社員が多く、平均の年収は 1 千万円を超える。人手不足の顧客ほど、設計と施工と保守を一括で任せたがる。
弱みは 3 つある。1 つは仕入先への依存だ。横河グループからの仕入は約 3 割で、値段も取り扱いの範囲も向こうが決める。2 つ目は、売上の季節性だ。3 月に偏り、年によって波が出る。3 つ目は、官公庁の入札だ。値段の競争が厳しくなる年もある。
資本の面では、自己資本比率が約 6 割と高く、借金はない。ただし純資産の半分近くを、保有する上場株が占める。株価に左右される資産で、本業の稼ぐ力とは別物だ。
筆者は堀の厚さを「普通」と置く。長い関係は強みだが、代理店という立場の弱さは、堀の厚みでは補えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
需要の中心は、国内の設備の更新と、人手不足を補う自動化だ。
水道や電力、ガスの設備は、高度成長期に造られたものが寿命を迎えている。国土交通省は上下水道の DX を進め、老朽化と担い手の減少を課題に挙げている。制御システムの更新は今後も続く公算が大きい。ただし自治体の予算には限りがあり、金額は景気ほどには伸びない。
計測器の市場は、緩やかだ。日本電気計測器工業会は、国内の電気計測器が 7 千億円台で、中期は年 1% の成長と見ている。名目で 1% なら、物価を除くと縮む。生成 AI や半導体の投資が下支えするが、成長の主役は海外だ。
分析機器は、国内向けが 2 千億円台とみられる。研究費の伸びは小さく、買い替えが中心だ。
競合は、仕入先の直販部隊、同じ代理店網の他社、そして他の計測制御メーカー系の商社だ。たとえば横河電機は自社グループの販売会社も持つ。商権をめぐる綱引きは、いつでも起こりうる。
AI の影響は、設計とソフト製作の工数に出る。顧客の現場で動く機器の据え付けや保守は置き換わりにくいが、設計図やコードを書く仕事は減る。筆者は、10 年のうちに技術者 1 人が受け持てる仕事が増え、代わりに案件当たりの単価が下がる、という変化を警戒している。
資本政策と M&A
資本政策の形は、配当性向 4 割を保ち、段階的に 45% へ上げる方針だ。自社株買いは機動的に行うとしているが、実績は多くない。
2026 年 6 月期の配当は総額 13 億円で、性向は 40.2% だった。配当は増えているが、現金は 117 億円に積み上がっている。保有する上場株は 30 銘柄、132 億円で、横河電機株が 47 億円を占める。
保有株は、受取配当と売却益で利益に貢献している。ここは筆者が気にする点だ。価値としては受取配当を利益で数えているので、保有株の時価を別に足さない。
M&A はほとんどなく、買収で成長する会社ではない。
株主の顔ぶれには特徴がある。光通信が 2017 年から買い増し、議決権の 24.7% を持つ。目的は純投資だ。横河電機は 13% で、2007 年から主要株主だ。さらに 2026 年春には、太平電業が 6% あまりを取得した。取引関係を強める政策投資という。
いくつもの大株主がいるため、TOB の可能性は小さくないが、特定の買い手が出てくる状況ではない。現金の戻し方も、光通信が求めれば変わりうる。中計は ROE10% 以上と自己資本比率 50% 以上を掲げる。この ROE は、保有資産を抱えたままでは達成が難しい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
更新需要は長く続く。水道、電力、ガスの設備は老朽化し、担い手も減っている。制御システムを設計から保守まで一括で受けられる会社は少なく、顧客は西川計測を選び続ける。
実績も確かだ。前の中計は売上目標 360 億円に対して 452 億円、営業利益目標 28 億円に対して 44 億円と、大きく超えた。受注残は 309 億円と厚く、今期の減収見通しも、売上の計上が翌期以降に回るためだ。
技術者を 411 人から 500 人に増やす計画は、増やした分だけ売上が付いてくる商売だ。平均年収が 1 千万円を超え、人を採る力もある。2032 年に売上 500 億円、営業利益 50 億円という会社の目標は、控えめにすぎる。
資本の面では、借金がなく、現金と保有株に余裕がある。配当性向は 45% へ上がり、光通信など大株主の目もあるので、株主還元は厚くなる。
理化学機器は 100 億円を超え、半導体や通信向けの計測器にも追い風がある。AI の設計支援は、技術者 1 人当たりの仕事を増やし、収益性を高める。
10 年で純利益が 3 割以上増える筋書きは、誇張ではない。
慎重な見方
この会社の稼ぎは、仕入先が握る商権に乗っているだけだ。横河グループが仕入の約 3 割を占め、取り扱いの条件を決めるのは向こうだ。販売会社を自社グループに集約されれば、代理店の取り分は細る。
今期は減収減益の見通しで、過去最高の水準は続かない。売上の 5 期連続の増加には、更新需要の山が重なっていた。山が引けば、受注残が厚くても売上は落ちる。
産業機器はすでに、自動車メーカーの設備投資の見直しで減っている。計測器も半導体の波に左右される。官公庁の入札は価格競争が厳しくなる一方、賃金は物価を超えて上がる。
AI は設計とソフト製作の工数を減らす。技術者に払う人件費に見合う売上が立たなくなるのは、時間の問題だ。
資本の使い方にも疑問がある。純資産の半分近くを上場株が占め、営業の現金は 117 億円に積み上がった。性向は 4 割にとどまり、自社株買いの実績は乏しい。中計の ROE10% 以上は、保有資産を抱えたままでは届かない。
株式の保有構成は複雑で、光通信が 24.7% を持つ。経営が株主還元に動かなければ、物言う株主との緊張も起こりうる。
どちらに重みを置いたか
事業の堅さでは強気の見方が上回る。更新需要は本物で、受注残も厚い。ただし商権を仕入先が握る弱さは、慎重な見方のほうが重い。
そのため中立に最も厚く置き、悲観側(やや悲観 22%、悲観 10%)を楽観側(8% と 22%)より少し厚くした。保有株は配当が利益に入っているので別に足さず、現金は戻し方を 0.5 として半分だけ数えた。確率を重ねた 10 年の価値は、今の時価総額とほぼ釣り合う。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 21,583 円732 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 5,196 円176 億円)。 今の値に割り戻すと 14,092 円478 億円、今との差 +39.2%、 期待の年率 +10.2%(資本コスト 7.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 36,837 円1,249 億円 | 7,489 円254 億円 | +338.0% | +15.9% | 3,546 円120 億円 |
| やや楽観 | 22% | 29,579 円1,003 億円 | 6,280 円213 億円 | +254.3% | +13.5% | 7,889 円268 億円 |
| 中立 | 38% | 25,248 円856 億円 | 5,425 円184 億円 | +203.1% | +11.7% | 11,656 円395 億円 |
| やや悲観 | 22% | 9,808 円333 億円 | 4,039 円137 億円 | +36.8% | +3.2% | 3,046 円103 億円 |
| 悲観 | 10% | 3,774 円128 億円 | 2,654 円90 億円 | −36.5% | −4.4% | 643 円22 億円 |
| 加重平均 | 100% | 21,583 円732 億円 | 5,196 円176 億円 | +164.6% | +10.2% | 26,780 円908 億円 |
今の株価時価総額 10,120 円343 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 更新需要と半導体向けが重なり、代理店の稼ぎが一段上がる 10 年 利益 65 億円 · PER 18.7 倍 · 株価時価総額 36,837 円1,249 億円
水道、電力、都市ガスの制御システムの更新が 10 年続き、官公庁と公益企業の受注が積み上がる。技術者を 500 人台まで増やし、計装の設計から保守までを一括で受ける強みが、人手不足の顧客に選ばれる。計測器は半導体と通信の検査需要が戻り、理化学機器は研究と品質管理の更新で伸びる。値段は仕入先の改定と技術料の引き上げで物価並みに上がり、賃上げを吸収できる。営業利益率は今の 9.8% を超えて 11% 台に乗る。受注残は常に高い水準を保ち、下期に偏る売上の波も小さくなる。株主還元は性向が 5 割を超え、自社株買いも入る。
- 制御・情報機器システム:数量 520(技術・営業要員(人、契約社員を含む))× 価格 0.76(1 人当たり年間売上(億円))→ 売上 395 億円・営業利益 85 億円。制御・情報機器 技術・営業要員 520人・利益率 21.5%
- 計測器:数量 2,581(納入台数(台、推定))× 価格 0.04(1 台当たり売上(億円))→ 売上 104 億円・営業利益 13 億円。計測器 納入 2,581台・利益率 12.5%
- 理化学機器:数量 1,373(納入台数(台、消耗品・保守を含む換算、推定))× 価格 0.14(1 台当たり売上(億円))→ 売上 188 億円・営業利益 11 億円。理化学機器 納入 1,373台・利益率 5.8%
- 産業機器・その他:数量 1,400(納入件数(件、推定))× 価格 0.07(1 件当たり売上(億円))→ 売上 94 億円・営業利益 4 億円。産業機器 納入 1,400件・利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 64 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.6% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)52 億円。全体の PER 18.68 倍、時価総額 1,243 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:水道・電力・ガスの更新が長く続き、半導体・通信向けの計測器も伸び、横河電機との関係も揺るがない必要がある。連続して当たる確度は高くない。
やや楽観 22% 中計どおり技術者を増やし、更新需要を着実に取り込む 10 年 利益 52 億円 · PER 18.1 倍 · 株価時価総額 29,579 円1,003 億円
会社が掲げる 2032 年の姿に近い道を進む。社員は 500 名に近づき、技術社員の比率も 8 割へ高まる。制御・情報機器は水道と電力の更新を中心に増え、理化学機器も 100 億円台を保つ。産業機器は自動車の投資が戻って持ち直す。値上げは物価をわずかに下回るが、賃上げは吸収できる。営業利益率は 10% 台で安定する。横河電機とは長い関係が続き、新製品の取り扱いも広がる。配当は性向 45% へ引き上げられ、自社株買いも折々に入る。保有株の売却益が出る年もあるが、本業の利益とは分けて見る。仕入先の値上げは販売先に通り、粗利率も保たれる。受注残は常に 1 年分の売上の半分以上あり、見通しが立てやすい。
- 制御・情報機器システム:数量 485(技術・営業要員(人、契約社員を含む))× 価格 0.75(1 人当たり年間売上(億円))→ 売上 363 億円・営業利益 73 億円。制御・情報機器 技術・営業要員 485人・利益率 20.0%
- 計測器:数量 2,258(納入台数(台、推定))× 価格 0.04(1 台当たり売上(億円))→ 売上 90 億円・営業利益 10 億円。計測器 納入 2,258台・利益率 11.5%
- 理化学機器:数量 1,225(納入台数(台、消耗品・保守を含む換算、推定))× 価格 0.13(1 台当たり売上(億円))→ 売上 165 億円・営業利益 8 億円。理化学機器 納入 1,225台・利益率 5.0%
- 産業機器・その他:数量 1,240(納入件数(件、推定))× 価格 0.07(1 件当たり売上(億円))→ 売上 82 億円・営業利益 3 億円。産業機器 納入 1,240件・利益率 3.5%
倍率:事業の純利益 51 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.3% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)52 億円。全体の PER 18.11 倍、時価総額 980 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:前の中計は目標を大幅に超え、受注残も厚い。会社が掲げる 2032 年の姿に近い、現実的な上振れ。
中立 38% 売上は物価の伸びに沿い、利益率は今の水準で踏みとどまる 10 年 利益 44 億円 · PER 17.9 倍 · 株価時価総額 25,248 円856 億円
売上は物価と同じ速さで伸び、数量は緩やかにしか増えない。制御・情報機器は更新需要を取り込んで技術者を 450 人ほどまで増やす。計測器は半導体と通信の波を受けつつ横ばい、理化学機器は小幅に伸びる。産業機器は自動車の設備投資の見直しで弱いままだ。仕入先が決める値段に近い商売で、賃上げの全額は価格に転嫁しきれず、営業利益率は 9.4% に落ち着く。本社と共通費は物価で増える。配当は性向 45% を目安に増え、買い戻しは機動的に行う。保有株の配当が利益を支える。成長は穏やかだが、崩れもしない。現金は引き続き積み上がり、大株主の光通信が求めるかどうかで、戻し方の評価が変わりうる。
- 制御・情報機器システム:数量 450(技術・営業要員(人、契約社員を含む))× 価格 0.73(1 人当たり年間売上(億円))→ 売上 327 億円・営業利益 64 億円。制御・情報機器 技術・営業要員 450人・利益率 19.5%
- 計測器:数量 2,000(納入台数(台、推定))× 価格 0.04(1 台当たり売上(億円))→ 売上 78 億円・営業利益 9 億円。計測器 納入 2,000台・利益率 11.0%
- 理化学機器:数量 1,098(納入台数(台、消耗品・保守を含む換算、推定))× 価格 0.13(1 台当たり売上(億円))→ 売上 146 億円・営業利益 7 億円。理化学機器 納入 1,098台・利益率 4.5%
- 産業機器・その他:数量 1,040(納入件数(件、推定))× 価格 0.07(1 件当たり売上(億円))→ 売上 68 億円・営業利益 2 億円。産業機器 納入 1,040件・利益率 3.0%
倍率:事業の純利益 43 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.9% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)52 億円。全体の PER 17.88 倍、時価総額 813 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直近の 2 年は過去最高で、受注残も厚い。ただし今期は減収減益を見込み、半導体・自動車は波がある。会社の目標に最も近く、最も重く置く。
やや悲観 22% 仕入先の値決めと景気の波で、利益率が一段下がる 10 年 利益 26 億円 · PER 9.4 倍 · 株価時価総額 9,808 円333 億円
水道や電力の更新は続くが、自治体の予算が限られ、入札で値段が下がる。民間では自動車と半導体の設備投資が冷え、計測器と産業機器の取扱高が縮む。仕入先は値上げを進めるが、販売先との交渉で上乗せしきれず、取り分が薄くなる。一方で賃金は物価より速く上がり、技術者の採用競争も続く。営業利益率は 6% 台まで下がる。人員を絞って対応するが、技術伝承の遅れが案件の質を落とす。配当は利益に見合う額まで下がり、増配の勢いは止まる。保有株の配当は続くが、売却益に頼る年は減る。受注残が積み上がっても、利益が追いつかない。
- 制御・情報機器システム:数量 410(技術・営業要員(人、契約社員を含む))× 価格 0.69(1 人当たり年間売上(億円))→ 売上 284 億円・営業利益 47 億円。制御・情報機器 技術・営業要員 410人・利益率 16.5%
- 計測器:数量 1,677(納入台数(台、推定))× 価格 0.04(1 台当たり売上(億円))→ 売上 61 億円・営業利益 5 億円。計測器 納入 1,677台・利益率 8.0%
- 理化学機器:数量 980(納入台数(台、消耗品・保守を含む換算、推定))× 価格 0.13(1 台当たり売上(億円))→ 売上 125 億円・営業利益 4 億円。理化学機器 納入 980台・利益率 3.0%
- 産業機器・その他:数量 840(納入件数(件、推定))× 価格 0.06(1 件当たり売上(億円))→ 売上 53 億円・営業利益 0 億円。産業機器 納入 840件・利益率 0.0%
倍率:ROE 6.3% は k 7.5% 以下なので、PER の上限は 1÷k = 11.8 倍。利益率が下がり、新しく投じるお金の稼ぎが弱いので、その約 8 割(9.4 倍)に置いた。余った現金は谷で食う前提で 0.75 倍にした。
確率:計測器と産業機器は景気の波が大きく、横河電機の値決めが代理店の取り分を削る。賃上げが物価より速い今は起こりやすい。
悲観 10% 横河電機との商権が細り、代理店として稼げなくなる 10 年 利益 7 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 3,774 円128 億円
横河電機が国内の販売を自社の子会社に集約し、代理店の取り分が細る。仕入の約 3 割を占める相手との関係が変わる影響は大きい。AI が計装の設計やソフト製作の工数を置き換え、技術者に払う人件費に見合う売上が立たなくなる。民間の設備投資は冷え、官公庁の入札では値段が下がる。技術者を 360 人まで減らしても、固定費は急には減らない。営業利益率は 1% 台に落ちる。それでも保有株と現金は残り、配当収入が利益の大半を支える。株主から資本の見直しを求める声が強まり、保有株を売って株主へ戻す動きが出る、という見方も成り立つ。
- 制御・情報機器システム:数量 360(技術・営業要員(人、契約社員を含む))× 価格 0.63(1 人当たり年間売上(億円))→ 売上 229 億円・営業利益 25 億円。制御・情報機器 技術・営業要員 360人・利益率 11.0%
- 計測器:数量 1,355(納入台数(台、推定))× 価格 0.03(1 台当たり売上(億円))→ 売上 44 億円・営業利益 2 億円。計測器 納入 1,355台・利益率 4.0%
- 理化学機器:数量 833(納入台数(台、消耗品・保守を含む換算、推定))× 価格 0.12(1 台当たり売上(億円))→ 売上 98 億円・営業利益 0 億円。理化学機器 納入 833台・利益率 0.0%
- 産業機器・その他:数量 600(納入件数(件、推定))× 価格 0.06(1 件当たり売上(億円))→ 売上 35 億円・営業利益 −1 億円。産業機器 納入 600件・利益率 -2.0%
倍率:ROE 2% は k 以下。構造的に稼げなくなる筋書きで、稼ぐ力(純利益 ÷ k)は小さい。売れる資産(現金の半分と上場株の税後)を床にして、今の自己資本 256 億円の 0.5 倍(128 億円)に置いた。
確率:商権が細る、AI が設計工数を置き換える、景気が冷える、が重なる必要があり確率は低い。起これば、代理店として稼げなくなる構造的な負けになる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
制御・情報機器システム
横河電機の制御システム、流量計などを水道・電力・ガスなどに納め、設計、計装工事、保守まで請け負う。
| 数量技術・営業要員(人、契約社員を含む) | 価格1 人当たり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 411 | 0.57 | 233 | 48 |
| 10 年後 中立 | 450 | 0.73 | 327 | 64 |
取り方:2026/06 期の売上のうち、制御・情報機器システムは 233 億円と推定(有報の仕入額 139 億円と、粗利率およそ 4 割から逆算。決算説明資料の構成比 49.9% は、理化学が 100 億円超という開示と食い違うため使わない)。利益は非開示で、全社の営業利益 44 億円に合うよう、本社・共通費 17 億円を別に引く前提で 48 億円と推定。数量は技術・営業要員 411 人(契約社員を含む)、価格は 1 人当たりの売上。賃上げと値上げで 10 年 1.28〜1.34 倍。数量は実物(人)。
計測器
オシロスコープや電気測定器などを、半導体・通信・電機の開発と検査に納める。
| 数量納入台数(台、推定) | 価格1 台当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 2,000 | 0.03 | 62 | 7 |
| 10 年後 中立 | 2,000 | 0.04 | 78 | 9 |
取り方:仕入額 46.9 億円と粗利率およそ 24% から、売上 62 億円と推定。1 台およそ 310 万円で 2,000 台と置いた推定(国内の電気計測器市場、約 7,500 億円に対し、シェア 0.83% ほどの規模感)。数量は実物(台)、価格は 1 台当たり売上。計測器は技術進歩で値段が上がりにくく、中立は 10 年 1.25 倍。利益 7 億円は推定。
理化学機器
ガスクロマトグラフや ICP 質量分析装置など、化学・食品・環境・官公庁の分析機器。
| 数量納入台数(台、消耗品・保守を含む換算、推定) | 価格1 台当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1,000 | 0.10 | 102 | 5 |
| 10 年後 中立 | 1,098 | 0.13 | 146 | 7 |
取り方:仕入額 85.5 億円と粗利率およそ 16% から、売上 102 億円と推定(決算説明資料の「100 億円超」と整合)。1 台(消耗品と保守を含む換算)およそ 1,000 万円で 1,000 台と置いた推定(国内の分析機器市場、約 2,400 億円、生産高から輸出高を引いた推計に対し、シェア 4.3% ほどの規模感)。数量は実物(台)、価格は 1 台当たり売上で、中立は 10 年 1.30 倍。利益 4.5 億円は推定。
産業機器・その他
自動車メーカーなどの工場向け機器。設備投資の見直しで受注が減った。
| 数量納入件数(件、推定) | 価格1 件当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1,100 | 0.05 | 55 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,040 | 0.07 | 68 | 2 |
取り方:仕入額 49.0 億円と粗利率およそ 11% から、売上 55 億円と推定。1 件およそ 500 万円で 1,100 件と置いた推定。自動車メーカーなど製造業の設備投資向けで、自動車の設備投資の見直しで減っている。数量は実物(件)、価格は 1 件当たり売上、中立は 10 年 1.30 倍。利益 1.5 億円は推定。
リスクと懸念
横河電機との商権
仕入の約 3 割は横河グループで、値段も取扱条件も向こうが決める。販売網を自社グループに集約されれば、代理店の取り分が細る。長い関係は強みだが、契約は永遠ではない。
受注と売上のずれ
受注残は 309 億円と厚いが、今期は減収減益を見込む。売上が 3 月に偏る季節性もあり、案件の遅れが年度の利益を大きく動かす。
民間の設備投資の波
計測器は半導体と通信、産業機器は自動車に左右される。すでに自動車メーカーの投資見直しで産業機器が減っている。景気の谷では、この 2 つが同時に落ちる。
人材の確保と賃金
技術者を増やす計画で、平均年収は 1,169 万円と高い。賃金が物価より速く上がれば、利益率を削る。技術伝承が遅れると、案件の質も落ちる。
AI による設計工数の置き換え
設計図やソフトの製作を AI が代わりに行えば、案件当たりの工数と単価が下がる。据え付けや保守は残るが、人月で稼ぐ部分は縮みうる。
保有株の評価と戻し方
上場株は 30 銘柄、132 億円。横河電機株の下落は純資産を直撃する。現金は 117 億円と厚いが、戻す方針ははっきりしておらず、使い道が定まらないままだ。
大株主の動き
光通信が議決権の 24.7% を持ち、純投資の目的で長く買い増してきた。太平電業も 6% あまりを持つ。大株主の動き次第で、資本政策が大きく変わる可能性がある。
今後の分かれ目
- 横河電機が国内の販売を自社グループに集約する
- 代理店の取り分が細り、悲観の筋書きが現実味を帯びる。
- 水道・電力の更新案件で、受注残がさらに積み上がる
- 更新需要が長く続くとみて、楽観寄りの確度が上がる。
- 配当性向が 45% を超え、自社株買いの枠が出る
- 現金の戻り方への不安が減り、余った現金の評価が確かになる。
- 自動車と半導体の設備投資が冷え込み、計測器と産業機器が 2 年続けて減る
- 利益率が下がり、やや悲観の筋書きに近づく。
- 光通信など大株主が、保有株の売却や還元の強化を求める
- 資本の使い方が変わり、中立の価値が上振れしうる。
見ておくもの
- 受注高・受注残と、次の期の売上計上の時期
- 営業利益率(今の 9.8% を保てるか)
- 横河電機グループからの仕入の比率と取扱品目の変化
- 現金と保有株の残高、配当性向と自社株買いの有無
- 大株主の動き(光通信・太平電業・横河電機)
倍率と資本コストの決め方
制御は技術・営業要員(実物)と 1 人当たり売上、他は市場規模 × シェアの実質取扱高と値段の指数で 4 品目を積み、本社費を物価で増やして営業利益を出した。純利益から自己資本を流して ROE を出し、資本コスト 7.5% から正当化 PER を出して上限の 9 割前後に置いた。保有株の配当は利益に入っているので価値に足さず、余った現金 70 億円は戻し方 0.5 で別に足した。今の株価と PER は倍率の根拠にしていない。新リース会計基準は、賃借の営業所が小さく(年 2.5 億円)、10 年後も今と同じ形で置いても大差はない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.7→18.68 倍・やや楽観 PER 11.3→18.11 倍・中立 PER 11.1→17.88 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。