結論
中山福は、フライパンや保存容器、収納ケースなどの家庭用品を、ホームセンターやドラッグストアへ届ける卸だ。筆者の結論は「割高」である。帳簿の純資産は時価総額の2.7倍あるが、本業の営業利益率は1%強しかなく、その資産が稼いでいないからだ。
売上は430億円で、10年前とほぼ同じか少し少ない。営業利益は5億円で、2024年3月期には赤字だった。最近は自社で作るインテリア用品や調理用品が利益を支える。
財務は堅い。純現金30億円と、取引先の株を中心とする投資有価証券41億円がある。ただ、還元は配当性向35%前後にとどまり、資産を株主に戻す動きは鈍い。
安く見えるのは帳簿の上だけで、稼ぐ力から見れば今の値段は高い。資本コストを下回る利益しか生まない資産は、帳簿の値段では売れない。筆者は、今の値段は本質価値を大きく上回ると見る。
自社で作るインテリア用品と調理用品は利益率が高く、ここが育てば見方は変わる。ただ、その規模は売上の1割に満たない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「安く見えて、実は高い」型である。帳簿の純資産は時価総額の2.7倍あるが、それを持っていても株主には利益が届かない。資産が稼がなければ、帳簿の価値は株主の価値にならない。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、年5〜7億円ほどだ。その一部は、取引先の株を売った利益に頼っている。
経営の資本の使い方は、保守的すぎる。厚い現金と持ち合いの株を抱えたまま、還元は利益の3分の1ほどにとどまる。自社株買いを始めたのは良い兆しだ。それでも、資産を大きく株主に戻す方針は見えない。
安全域は帳簿にはあるが、稼ぐ力には無い。筆者は、この会社を長く持ちたいとは思いにくい。
見方が変わるのは、持ち合いの株を売って自社株買いに回すなど、資産を株主に戻す方針が数字で示された時だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は、家庭用品のメーカーから商品を仕入れ、全国の小売店に届けることだ。調理用品が144億円、行楽・レジャー用品が90億円、サニタリー用品が62億円、収納・インテリア用品が52億円と、台所と暮らしの品を幅広く扱う。主な売り先はホームセンター、ドラッグストア、スーパー、そしてネットの通販だ。
事業の大半は卸で、2026年3月期の売上は395億円、セグメントの利益は12億円だった。地域は東北・関東が最大で、近畿・中四国、九州・沖縄が続く。本社は大阪にある。
もう一つの柱が、自社で作る事業だ。プラスチックの収納用品、インテリア用品、調理用品の三つの会社があり、外部への売上は合計で約36億円と小さい。それでも利益は7億円あり、利益率は卸の6倍近い。とくにインテリア用品は売上15億円で4億円を稼ぐ。
本社の費用は年12.6億円あり、各事業の利益から引くと全社の営業利益は5.3億円になる。営業の外では、仕入れ代金を早く払って受ける割引が1.7億円、配当が1億円ある。これを足した経常利益は8.4億円だ。
優良さと弱いところ
強みは、全国の小売店に家庭用品を届ける配送網と、長い取引の歴史だ。象印マホービンや京セラ、天馬などのメーカーとは株を持ち合い、商品の供給を受けている。小売店にとっては、何千もの品目を一つの卸から仕入れられるのが便利である。
だが、これは堀、つまり他社がまねできない強みとしては弱い。売り先のホームセンターやドラッグストアは大きなチェーンに集約され、値段の交渉で強い。チェーンが自前の物流を持てば、卸の取り分は削られる。ネットの通販ではメーカーが直接売ることも増えた。
資本効率は低い。自己資本利益率は過去10年の中央値で2.5%にすぎない。純資産の多くは、現金、取引先の株、物流センターの土地と建物で、利益を生む力は弱い。
明るい面は、自社で作る事業の利益率の高さだ。インテリア用品の利益率は3割に近い。経営もこの事業に力を入れている。ただ規模はまだ小さく、全社の稼ぐ力を変えるほどではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
家庭用品の卸は、数量が伸びにくく、売り先の力が強い市場だ。人口が減り、家庭の数も先々は減る。フライパンや収納用品の需要は、引っ越しや新しい暮らしの数に左右される。物価の上昇で値段は上がるが、数量はゆっくり細る。
売り先の構造が変わっている。ホームセンターは店の数が頭打ちで、大手の統合が進む。ドラッグストアは伸びているが、日用品の仕入れは大きな卸に集約されやすい。ネットの通販が広がり、メーカーが直接売る動きも強まる。卸は、品ぞろえと物流で選ばれ続けなければならない。
費用の側では、物流費と人件費が上がり続ける。中山福も仕入れ値と物流費の上昇を課題に挙げる。値上げを小売に通せなければ、薄い利益はすぐに消える。2024年3月期の営業赤字は、その弱さを見せた。
業界の見通しでは、国内の日用品の数量は横ばいから微減で、値段の上がりで金額を保つ。筆者は、卸の部分は縮み、自社で作る商品とネット向けの商品がどこまで育つかで10年後が決まると見る。
値段の面では、物価の上昇を小売の店頭価格に乗せやすくなった。だが、その分は仕入れ値と運賃の上昇で消えやすい。
資本政策と M&A
還元の方針は控えめだ。2026年3月期の配当の総額は約2.3億円で、配当性向は35%前後だった。2026年4〜6月には自己株を約49万株買ったとみられる。
手元には純現金30億円と、投資有価証券41億円がある。投資有価証券は取引先の株が中心で、ここ2年は毎年売って利益を出した。ただ、売る額の方針は示されていない。物流センターの土地と建物も持つ。
大株主は創業家とみられる個人で、14%を持つ。象印マホービンと京セラもそれぞれ5%近くを持つ。持ち合いが厚く、外からの買収は起きにくい。資産を還元に回す圧力も弱い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
帳簿の資産だけで今の時価総額を大きく上回る。純現金30億円、投資有価証券41億円、物流センターの土地と建物がある。時価総額88億円に対し、純資産は237億円だ。どこかで資産の使い方が変われば、株主の取り分は一気に増える。
本業も持ち直している。2026年3月期の営業利益は前期の3倍を超え、今期の会社予想は8億円とさらに増える。調理用品や行楽用品の販売が伸び、経費の削減も効いた。
自社で作る事業は利益率が高い。インテリア用品は売上15億円で4億円を稼ぐ。こうした自社の商品を増やせば、全社の利益率は上がる。ネットの通販向けの商品開発も進めている。
自社株買いも始まった。取引先の株を売って現金に変える動きも続く。還元が増えれば、低い評価は見直される。
持ち合いの株を売り切れば、それだけで時価総額の3分の1に近い現金が生まれる。
創業家と取引先が株を持つので経営は安定しており、急な方針の転換で価値を壊す心配も小さい。今の値段は、本業がこのまま細る前提でも割安に見える。
慎重な見方
資産は厚いが、稼がない。自己資本利益率は10年の中央値で2.5%しかない。帳簿の資産は、株主が受け取れる価値ではない。持ち合いの株も物流センターも、事業のために持っているので、売られない。
本業の利益は薄く、振れが大きい。2024年3月期は営業赤字で、2026年3月期の5億円も売上の1%強にすぎない。今期の増益の一部は、供給不安を見越した前倒しの需要で、続く保証は無い。
売り先の力は強まる一方だ。ホームセンターは統合が進み、ドラッグストアは大きな卸に仕入れを集める。ネットではメーカーが直接売る。人口減で数量も細る。卸の取り分は、10年かけて削られていく。
純利益の一部は、取引先の株を売った利益に頼っている。株を売り切れば、その利益も消える。
持ち合いの相手のメーカーも、取引の関係を保つために株を持っている。関係が細れば、株の売りが出る。
還元も利益の3分の1ほどにとどまる。資産を株主に戻さない会社の帳簿の価値に、市場が高い値を付ける理由は無い。10年で取引先を失えば、資産は赤字の穴埋めに使われるだけだ。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。資産の厚さは確かだが、資産を株主に戻す仕組みが無い以上、価値は稼ぐ力で測るしかない。その稼ぐ力は資本コストを大きく下回る。確率は中立を38%とし、悲観側に4割近くを置いた。楽観は自社の商品が育ち、還元が大きく増える姿だ。
資産の価値は、悲観の筋書きの床としてだけ数えた。株主に戻る形が見えれば、筋書きを改める。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 483 円91 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 136 円26 億円)。 今の値に割り戻すと 293 円55 億円、今との差 −37.4%、 期待の年率 +2.9%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 974 円184 億円 | 267 円51 億円 | +165.8% | +10.3% | 74 円14 億円 |
| やや楽観 | 18% | 718 円136 億円 | 191 円36 億円 | +94.7% | +6.9% | 164 円31 億円 |
| 中立 | 38% | 551 円104 億円 | 162 円31 億円 | +52.6% | +4.3% | 271 円51 億円 |
| やや悲観 | 25% | 269 円51 億円 | 96 円18 億円 | −22.0% | −2.4% | 91 円17 億円 |
| 悲観 | 13% | 149 円28 億円 | 0 円0 億円 | −68.2% | −10.8% | 19 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 483 円91 億円 | 136 円26 億円 | +32.6% | +2.9% | 619 円117 億円 |
今の株価時価総額 467 円88 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 自社の商品が育ち、利益率が2%台へ 利益 16 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 974 円184 億円
インテリア用品と調理用品の自社の商品がネットの通販とホームセンターで売れ、製造の販売点数は10年で4割増える。卸の取引先は今の数を保ち、自社の商品と高い商品の比率が上がって1店あたりの売上は物価を上回る。
物流の効率化で卸の利益率は3.8%に上がる。全社の営業利益は19億円前後と今の3倍を超え、純利益は16億円になる。持ち合いの株の売却と自社株買いで還元は利益の45%に増える。それでも厚い資本が残り、自己資本利益率は5%台にとどまる。
持ち合いの株の一部を売った資金で自社株買いが進み、株主の取り分は少しずつ増える。
- 家庭用品の卸:数量 20.0(取引先の店舗数(千店・推定))× 価格 273(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 545 億円・営業利益 21 億円。店舗1.00倍・1店の売上1.38倍・利益率3.8%
- 自社で作る家庭用品・インテリア:数量 994(販売点数(万点・推定))× 価格 0.69(1点あたりの平均の売値(千円))→ 売上 69 億円・営業利益 14 億円。点数1.40倍・単価1.38倍・利益率20%
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.5% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)11 億円。全体の PER 11.11 倍、時価総額 184 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:卸の利益率が過去12年の山に近づき、自社の商品も4割伸びる必要がある。売上は10年で縮んできたので6%とした。
やや楽観 18% 本業が持ち直し、利益が倍に 利益 11 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 718 円136 億円
卸の取引先はわずかに減るが、1店あたりの売上は物価並みに上がる。経費の削減と自社の商品の比率の上昇で、卸の利益率は3.3%に上がる。
製造の販売点数は25%増える。全社の営業利益は12億円前後、純利益は11億円台になる。還元は配当と自社株買いで利益の4割を保つ。自己資本は膨らみ、自己資本利益率は4%前後にとどまる。会社の姿は今と大きく変わらず、手堅いが目立たない卸であり続ける。
持ち合いの株の売却益は年に1〜2億円出るが、還元を大きく増やすほどではない。
ネット通販向けの商品も少しずつ育つが、全社を変えるほどではない。
- 家庭用品の卸:数量 19.6(取引先の店舗数(千店・推定))× 価格 265(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 519 億円・営業利益 17 億円。店舗0.98倍・1店の売上1.34倍・利益率3.3%
- 自社で作る家庭用品・インテリア:数量 888(販売点数(万点・推定))× 価格 0.67(1点あたりの平均の売値(千円))→ 売上 60 億円・営業利益 11 億円。点数1.25倍・単価1.34倍・利益率19%
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.1% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)11 億円。全体の PER 11.11 倍、時価総額 136 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の今期予想の営業利益8億円は過去12年の水準の範囲で、自社の商品も伸びている。その延長として18%とした。
中立 38% 数量は細り、利益は少し戻る 利益 9 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 551 円104 億円
ホームセンターの統合とネットの直販で、卸の取引先は10年で5%減る。1店あたりの売上は物価に近く上がるが、物流費と人件費も同じように増える。卸の利益率は3.0%と今並みにとどまる。
自社で作る商品は点数が15%増え、利益率は18%に少し下がる。本社の費用は物価で3割増える。全社の営業利益は8億円前後、純利益は仕入割引と配当を足して8億円台になる。還元は利益の4割で、自己資本は280億円台に膨らむ。自己資本利益率は3%にとどまる。
持ち合いの株と物流の不動産はそのまま残り、利益を生まない資産として自己資本を重くする。
- 家庭用品の卸:数量 19.0(取引先の店舗数(千店・推定))× 価格 257(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 488 億円・営業利益 15 億円。店舗0.95倍・1店の売上1.30倍(物価に近い)・利益率3.0%
- 自社で作る家庭用品・インテリア:数量 817(販売点数(万点・推定))× 価格 0.67(1点あたりの平均の売値(千円))→ 売上 55 億円・営業利益 10 億円。点数1.15倍・単価1.34倍・利益率18%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.2% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)11 億円。全体の PER 11.11 倍、時価総額 104 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:人口減とチェーンの統合で取引先が少し減り、値段は物価並みに上がる、最も起こりやすい姿として38%とした。
やや悲観 25% 売り先に押され、本業がほぼ赤字に 利益 2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 269 円51 億円
大手のホームセンターが仕入れを大きな卸に集め、中山福は取引先の15%を失う。1店あたりの売上も物価に届かない。卸の利益率は2.4%に落ちる。
自社の商品も競争で伸びず、利益率は14%に下がる。本社の費用は物価で増え、全社の営業利益はほぼゼロになる。純利益は仕入割引と配当の2億円台だけだ。持ち合いの株を少しずつ売って配当を続けるが、自己資本利益率は1%前後に沈む。資産は残るが、稼ぐ力はほとんど無い。
経営は物流の拠点を絞って費用を削るが、売上の減りに追いつかない。
自己資本は帳簿の上では厚いままだが、株主の価値としては細っていく。
- 家庭用品の卸:数量 17.0(取引先の店舗数(千店・推定))× 価格 237(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 403 億円・営業利益 10 億円。店舗0.85倍・1店の売上1.20倍・利益率2.4%
- 自社で作る家庭用品・インテリア:数量 710(販売点数(万点・推定))× 価格 0.60(1点あたりの平均の売値(千円))→ 売上 43 億円・営業利益 6 億円。点数1.00倍・単価1.20倍・利益率14%
倍率:稼ぐ力はほぼゼロで、純利益÷kでは20億円台にとどまる。純現金と持ち合いの株の税後という売れる資産の床(約40億円)に合わせ、今の自己資本に0.17倍を掛けた。
確率:2024年3月期には営業赤字だった。前倒しの需要の反動とチェーンの値下げ要求で、同じ姿に戻ることは十分ありうるので25%とした。
悲観 13% 卸の役割が細り、赤字が続く 利益 −7 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 149 円28 億円
ホームセンターは統合で店を減らし、ドラッグストアは大きな卸だけと取引する。ネットではメーカーが直接売る。中山福の取引先は3割減り、1店あたりの売上も伸びない。卸の利益率は1%に落ちる。
自社の商品も点数が2割減る。物流センターの費用と本社の費用は残り、全社は年10億円近い営業赤字になる。持ち合いの株を売って穴を埋めるが、配当は止まる。もう卸として続ける理由が問われる姿だ。
持ち合いの株の売却で数年は配当の原資を作れるが、それも尽きる。創業家と取引先の判断で、事業の売却か縮小が選ばれる。
株主に残るのは、細った資産の一部だけになる。
- 家庭用品の卸:数量 14.0(取引先の店舗数(千店・推定))× 価格 217(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 304 億円・営業利益 3 億円。店舗0.70倍・1店の売上1.10倍・利益率1.0%
- 自社で作る家庭用品・インテリア:数量 568(販売点数(万点・推定))× 価格 0.55(1点あたりの平均の売値(千円))→ 売上 31 億円・営業利益 3 億円。点数0.80倍・単価1.10倍・利益率8%
倍率:赤字で稼ぐ力の床は無い。純現金と持ち合いの株は赤字の穴埋めに使われて減るので、今の自己資本に0.12倍を掛けた。
確率:チェーンの統合とメーカーの直販で卸の役割そのものが細る、構造的に負ける姿。売上は10年で縮んできたので13%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
家庭用品の卸
調理用品・収納用品・行楽用品などをホームセンター、ドラッグストア、通販へ届ける。
| 数量取引先の店舗数(千店・推定) | 価格1店あたりの年間の売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 20.0 | 198 | 395 | 12 |
| 10 年後 中立 | 19.0 | 257 | 488 | 15 |
取り方:店舗数の開示は無い。ホームセンター・ドラッグストア・スーパーなど約2万店に1店あたり年197.5万円前後を売ると見た推定。千店×万円×0.1で億円。利益は短信のセグメント利益11.67億円(本社費の配分前)。
自社で作る家庭用品・インテリア
プラスチックの収納用品、インテリア用品、調理用品を自社グループで作って売る。
| 数量販売点数(万点・推定) | 価格1点あたりの平均の売値(千円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 710 | 0.50 | 36 | 7 |
| 10 年後 中立 | 817 | 0.67 | 55 | 10 |
取り方:三つの製造の事業の売上58.8億円のうち、グループ内の卸を通る分を除いた外部の売上を約35.5億円とし、1点0.5千円前後で約710万点の推定。利益は3事業のセグメント利益の合計7.12億円。全社費用12.57億円は筋書きで物価で増やして別に引く。
リスクと懸念
売り先チェーンの力と統合
ホームセンターとドラッグストアは統合が進み、仕入れの条件で卸に強く出る。大手が自前の物流や大きな卸に仕入れを集めれば、中山福の取扱量と利益率は同時に下がる。
物流費と人件費の上昇
物流と倉庫の費用は物価以上に上がる。営業利益率1%強の事業では、費用の1%の上昇がそのまま利益を消す。2024年3月期の営業赤字はその表れだ。
前倒しの需要の反動
2026年3月期は、供給不安を見越した前倒しの需要で売上が一時的に伸びた。反動が出れば、今期の増益の見通しは崩れる。
持ち合い株の売却益への依存
純利益の一部は取引先の株を売った利益だ。売る株が尽きれば、その利益は消える。株価が下がれば評価損も出る。
資産が稼がない
現金、持ち合いの株、物流の不動産が純資産の多くを占め、自己資本利益率は2〜3%にとどまる。還元を大きく増やさない限り、帳簿の資産は株主の価値にならない。
今後の分かれ目
- 今期の会社予想どおり営業利益8億円を超え、来期も続いた
- 本業の持ち直しが本物とみて、やや楽観の確率を上げる。
- 自社で作る事業の外部への売上が倍になった
- 利益率の高い事業の比率が上がるので、楽観側の利益を引き上げる。
- 持ち合いの株の売却額と還元の方針を数字で示した
- 投資有価証券の一部を余った資産として足し、現金の戻り方を1.0に上げる。
- 大手のホームセンターやドラッグストアとの取引を失った
- 卸の取扱量を下げ、やや悲観と悲観の確率を厚くする。
- 創業家や取引先による非公開化の提案が出た
- 買付けの値段で評価が決まる。本質価値の計算は止め、分析の対象から外す。
見ておくもの
- 卸の営業利益率と全社の営業利益(2026年3月期5.3億円)
- 自社で作る事業の売上と利益
- 投資有価証券の売却額と残高
- 配当性向と自社株買いの規模
- 主要な売り先チェーンの統合と取引の変化
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価を見ずに決めた。資本コスト9%に対し、10年後の自己資本利益率は中立で3%前後と大きく届かないので、PERの上限は1÷k≒11.8倍、中立はその8割に置いた。余った現金は運転資金を引いた15億円だけを戻り方0.75で足し、持ち合いの株は配当が利益に入っているので足していない。悲観側は今の自己資本に低いPBRを掛け、純現金と持ち合いの株の税後の床を見た。過去のPBRは使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.6→11.11 倍・やや楽観 PER 10→11.11 倍・中立 PER 9.4→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityの+1.0%を足した(決まりv2)。個別のリスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 9.00%。