結論
清和中央ホールディングスは、大阪の清和鋼業と東京の中央鋼材を柱にした独立系の鉄鋼問屋だ。H形鋼や鋼板を在庫し、切断や穴あけをして建設会社や鉄骨業者に届ける。年の売上は 500 億円ほどあるが、営業利益は 4 億円前後にとどまる。
筆者の結論は「割高」だ。PBR は 0.3 倍台と帳簿から見れば安い。手元の純現金は時価総額の半分を超え、大阪と関東の土地も古くから持つ。それでも、稼ぐ力が資本コストに遠く届かないので、資産の厚さはそのまま株主の価値にはならない。
利益の源は、メーカーから仕入れた鋼材を在庫して小口に分けて売る手間賃だ。鋼材の値段が上がる局面では在庫の利ざやが膨らみ、下がる局面では削られる。建設用の鋼材の国内需要は、人口と着工の減少で細っていく。数量の減少を値上げでどこまで補えるかが、10 年の利益を決める。
大きな買収も自社株買いもしてこなかった会社だ。現金は配当で少しずつ戻るだけなので、筆者は余った現金の半分しか株主の価値に数えない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「安く買えるが、持ち続けて増える会社ではない」。事業に堀と呼べる強みは乏しく、利益は鋼材の値段の波に左右される。10 年先も事業は残るだろうが、今より強くなっている姿は描きにくい。
資産の面は手堅い。純現金と古い土地、上場株を合わせると、時価総額を上回る価値が帳簿の外にもある。ただし、少数株主にはこの資産の使い道を決められない。会社が現金を配当で少しずつしか戻さない限り、資産の厚さは安全域の一部にとどまる。
筆者はオーナー利益、つまり株主が受け取れる利益を年 4〜6 億円と見る。資本コスト 8.75% で割り引くと、そこに余った現金の半分を足しても、今の時価総額にはまだ届かない。帳簿の安さは、稼ぎの薄さで打ち消される。割安を生むのは、還元の方針が変わるか、業界の再編で身売りする時だろう。どちらも会社が自分で選ぶ道で、外から急がせることは難しい。長く持つなら、経営の資本の使い方が変わる兆しを待つことになる。
何で稼ぐ会社か
グループは持株会社の下に 5 社がある。西日本は清和鋼業と大宝鋼材で、大阪を中心に岡山や北九州にも拠点を持つ。東日本は中央鋼材と北進サンワで、東京・栃木・宮城に倉庫と加工場がある。社員は連結で 218 名と小さい。
売り物は建物の骨組みに使う構造用の鋼材が中心だ。H形鋼・鋼板・鋼管などを日本製鉄や東京製鐵などのメーカーから仕入れ、倉庫に積んでおく。客の注文に合わせて切断・穴あけ・開先加工をし、自前のトラックで現場や鉄骨工場へ届ける。メーカーは大口の注文しか受けないので、中小の鉄骨業者や工務店はこうした問屋から買う。
東日本の中央鋼材は鉄骨の加工と工事も請け負う。工事は受注のたびに採算がぶれ、完工が減った年は売上が大きく落ちる。2026 年 12 月期の中間期に売上が 14% 減ったのも、この工事の減少が主な理由だ。
売上の 1 割を超える大口客はいない。取引先が散らばっている分、1 社の倒産で揺らぐことは少ない。半面、どの客に対しても値段を決める力は弱い。ほかに一部で不動産の賃貸もあるが、利益への寄与は小さい。
優良さと弱いところ
優良な事業とは言いにくい。過去 12 年の営業利益率は −0.2% から 3.2% の間を行き来し、自己資本利益率(ROE)の中央値は 4% 程度だ。資本コストの 9% に届いた年は一度もない。
弱さの根は、値段を自分で決められないことにある。仕入れ値はメーカーが決め、売り値は近くの問屋との競争で決まる。在庫・加工・配送の手間はどの問屋もできるので、他社がまねできない強みは小さい。
守りは堅い。借入金は 3 億円弱しかなく、純現金は 28 億円ある。大阪市西区の本社や関東の倉庫用地など、簿価で 51 億円の土地も持つ。赤字の年があっても会社が傾く心配はまずない。
筆者が気にしているのは、この堅さが株主の稼ぎにつながっていない点だ。厚い現金と土地は、低い ROE の言い訳にもなりうる。資産を寝かせたまま 10 年がたてば、株主の取り分は帳簿ほどには増えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
建設用の鋼材の国内需要は細り続けている。国内の鋼材需要は 2026 年度に入っても前年を 1〜2% 下回り、建設向けは人手不足と工事の遅れで回復しきれていない。人口が減るなかで、住宅や中小のビルの着工が長い目で増える理由は乏しい。
値段の面では、メーカーが原料・電気・物流の費用増を受けて値上げに動いている。一方で中国の過剰な生産が安い輸入材として流れ込み、国内の値上げの勢いをそぐ。問屋の利ざやは、値上げの局面で在庫の評価益が乗って一時的に厚くなり、値下がりの局面で薄くなる。
明るい材料もある。都市部の再開発、データセンターや物流倉庫、半導体工場の建設は大型の鉄骨を使う。耐震の補強や老朽化した建物の建て替えも続く。こうした需要は大手の鉄骨業者に集まりやすく、中小の客を多く抱える問屋に届くかは分からない。
問屋の数は多く、業界は分散している。後継ぎのいない中小の問屋が廃業や身売りに向かう流れは、生き残る側の取扱量を増やす。阪和興業や佐藤商事のような大手が地方の問屋を買う例もある。清和中央は買う側にも売られる側にもなりうる位置にいる。
資本政策と M&A
資本の使い方は保守的だ。配当は「安定配当」を掲げ、2025 年 12 月期は総額で 1 億円弱、配当性向は 2 割強だった。2026 年 12 月期は上場 30 周年と札幌・福岡の取引所への上場を記念した配当を上乗せする。自社株買いの実績は見当たらない。
大きな買収もしてこなかった。現金は 2020 年以降に積み上がり、時価総額の半分を超える。政策保有株は毎年見直すとしているが、売却の数字の目標は無い。
資本を厚く持つ割に稼ぎが薄いので、物言う株主に還元の上積みを迫られる余地はある。株主優待は見当たらない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
鋼材の値段が上がる局面は、問屋にとって追い風だ。メーカーは原料と電気代の上昇を価格に移しており、物価 3% の世界では鋼材の値段も上がり続ける。在庫を持つ問屋は、値上がりの分だけ利ざやを厚くできる。
数量の面でも悲観しすぎる必要はない。都市の再開発、物流倉庫、データセンター、耐震の補強は鉄骨を使う。関東の中央鋼材は工事の受注が戻れば売上がすぐに回復する。2026 年中間期の西日本は増益で、値上げが利いている。
業界の再編は生き残りに有利だ。後継ぎのいない中小の問屋が廃業すれば、在庫と配送網を持つ会社に客が流れる。純現金を使えば、近くの問屋を安く買うこともできる。利益率を 2〜3% に戻せれば、純利益は 10 億円を超える。そうなれば、厚い現金と土地を抱えたまま今の時価総額は大きく見直される。
資産の裏づけも厚い。純現金 28 億円に上場株と古い土地を足すと、帳簿の外の含み益も含めて時価総額を大きく上回る。還元の方針が少し変わるだけで、この資産は株主の価値に変わる。物言う株主が小さな会社にも還元を求める流れは強まっており、手元の現金が配当や自社株買いに回る日は遠くないかもしれない。
慎重な見方
国内の建設用の鋼材は、数量が戻らない市場だ。人口が減り、住宅や中小のビルの着工は細る。人手不足で工事が遅れれば、鋼材の出荷も先へずれる。問屋の取扱量は 10 年で 2 割以上減ってもおかしくない。
値段を決める力も弱い。仕入れ値はメーカーが決め、売り値は近くの問屋と奪い合う。値上げの局面で厚くなった利ざやは、値下がりの局面で必ず削られる。中国からの安い輸入材が国内の値段を押さえれば、利益率は 1% を割る。
東日本の鉄骨工事は、受注のたびに採算がぶれる。2024 年 12 月期の赤字はその表れだ。工事で読み違えれば、問屋の薄い利ざやは一度に吹き飛ぶ。
現金が厚くても、株主の取り分になるとは限らない。配当は年 1 億円弱で、自社株買いもしない。稼ぎの薄い会社が現金を抱え続ければ、その現金は低い利回りで眠るだけだ。
土地の含み益も、事業を続ける限り売られない。倉庫と加工場は商売に欠かせず、手放せば取扱量が落ちる。帳簿の外の価値は、清算か身売りの時にしか株主に届かない。
どちらに重みを置いたか
数量が細ることと、値段を決める力が弱いことは、慎重な見方の言うとおりで反論しにくい。強気の見方の根拠は鋼材の値上げと業界の再編だが、どちらも問屋が自分で起こせる変化ではない。筆者は確率を慎重な側にやや寄せた。中立は数量が 1 割強減り、値上げで売上を保つが、利益率は 1% 台にとどまる姿とした。厚い現金と土地は下値を支えるが、還元が細い限り、上の筋書きを押し上げる力にはならない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 1,964 円77 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 338 円13 億円)。 今の値に割り戻すと 1,071 円42 億円、今との差 −15.0%、 期待の年率 +6.2%(資本コスト 8.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 4,103 円161 億円 | 636 円25 億円 | +276.0% | +14.2% | 284 円11 億円 |
| やや楽観 | 19% | 2,960 円116 億円 | 483 円19 億円 | +173.3% | +10.6% | 654 円26 億円 |
| 中立 | 38% | 2,105 円83 億円 | 356 円14 億円 | +95.3% | +6.9% | 935 円37 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,079 円42 億円 | 229 円9 億円 | +3.8% | +0.4% | 327 円13 億円 |
| 悲観 | 12% | 712 円28 億円 | 127 円5 億円 | −33.4% | −4.0% | 101 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,964 円77 億円 | 338 円13 億円 | +82.6% | +6.2% | 2,301 円91 億円 |
今の株価時価総額 1,260 円50 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 値上げが定着し、再編で取扱量を守る 利益 13 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 4,103 円161 億円
物価 3% の世界で、メーカーは原料と電気代の上昇を毎年鋼材の値段に移す。問屋は在庫の利ざやを厚く保ち、1 トンあたりの売上は 10 年で 1.4 倍になる。
数量は国内の需要が細るぶんを、廃業する中小の問屋の客を取り込んで埋める。西日本は 1 割弱の減少にとどまり、東日本は鉄骨の工事が都市の再開発や物流倉庫で戻る。
営業利益率は西日本で 3%、東日本で 2.4% に上がり、全社の営業利益は 17 億円近くになる。純利益は 13 億円に届く。現金は配当で少しずつ戻すが、自社株買いは無い。それでも ROE は 6% にとどまり、資本コストには届かない。
- 西日本(清和鋼業・大宝鋼材):数量 159,740(鋼材の販売数量(トン・推定))× 価格 21(1 トンあたりの売上(万円・名目、加工を含む))→ 売上 336 億円・営業利益 10 億円。数量 0.98 倍・価格 1.40 倍・営業利益率 3.0%
- 東日本(中央鋼材・北進サンワ):数量 152,000(鋼材の販売数量(トン・推定、鉄骨工事を含む))× 価格 22(1 トンあたりの売上(万円・名目、加工・工事を含む))→ 売上 341 億円・営業利益 8 億円。数量 0.95 倍・価格 1.40 倍・営業利益率 2.4%
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.5% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)11 億円。全体の PER 11.43 倍、時価総額 157 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:鋼材の値上げが続き、廃業する問屋の客を取り込めた時の姿。過去 12 年で利益率 3% 台は 2 回しかなく、堀も弱いので 6% にとどめた。
やや楽観 19% 数量は 1 割減るが、値上げで利益を厚くする 利益 9 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 2,960 円116 億円
国内の建設用の鋼材は 10 年で 1 割ほど減る。それでも鋼材の値段は物価を少し上回って上がり、売上は今より 2 割強増える。
西日本は値上げの利ざやが残り、営業利益率は 2.3% と 2021 年 12 月期の良い年に近い水準を保つ。東日本は工事の採算管理が改まり、1.8% まで戻る。営業利益は 11 億円台、純利益は 9 億円になる。
資本の使い方は変わらない。配当は安定配当のまま増え、現金は少しずつ積み上がる。ROE は 4% 台半ばで、資本コストには届かないままだ。
業界では後継ぎのいない問屋の廃業が続き、客の一部が流れてくる。それでも取扱量の減少を止めるほどではない。
- 西日本(清和鋼業・大宝鋼材):数量 151,590(鋼材の販売数量(トン・推定))× 価格 21(1 トンあたりの売上(万円・名目、加工を含む))→ 売上 314 億円・営業利益 7 億円。数量 0.93 倍・価格 1.38 倍・営業利益率 2.3%
- 東日本(中央鋼材・北進サンワ):数量 144,000(鋼材の販売数量(トン・推定、鉄骨工事を含む))× 価格 22(1 トンあたりの売上(万円・名目、加工・工事を含む))→ 売上 318 億円・営業利益 6 億円。数量 0.90 倍・価格 1.38 倍・営業利益率 1.8%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.8% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)11 億円。全体の PER 11.43 倍、時価総額 113 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:値上げが物価を少し上回り、利益率が過去の良い年並みに戻る姿。メーカーの値上げの動きは実際に出ているので 2 割弱を置いた。
中立 38% 中立:数量は細り、利益率は 1% 台で横ばい 利益 6 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 2,105 円83 億円
国内の建設用の鋼材は人口と着工の減少で 10 年に 1〜2 割細る。値段は物価並みに上がり、売上は今の 500 億円から 1 割強増える。
利益率は過去の中ほどにとどまる。西日本は 1.8%、東日本は工事の採算のぶれを抱えて 1.2% だ。営業利益は 7 億円強、現金の利息が増えるぶんを足して純利益は 6 億円弱になる。
配当は増えるが、自社株買いや大きな買収は無い。現金と自己資本は積み上がり、ROE は 3% 程度に沈む。株主から見れば、事業は残るが、資本に見合った稼ぎは出ない姿だ。
再編の波は来るが、清和中央は買う側にも売られる側にも回らず、今の形のまま 10 年を過ごす。
- 西日本(清和鋼業・大宝鋼材):数量 141,810(鋼材の販売数量(トン・推定))× 価格 20(1 トンあたりの売上(万円・名目、加工を含む))→ 売上 285 億円・営業利益 5 億円。数量 0.87 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 1.8%
- 東日本(中央鋼材・北進サンワ):数量 136,000(鋼材の販売数量(トン・推定、鉄骨工事を含む))× 価格 21(1 トンあたりの売上(万円・名目、加工・工事を含む))→ 売上 292 億円・営業利益 4 億円。数量 0.85 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 1.2%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.3% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)11 億円。全体の PER 11.43 倍、時価総額 76 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内需要の縮小と物価並みの値上げが打ち消しあう、いちばん起こりやすい形。同じ鉄鋼問屋と同じ厚さに置いた。
やや悲観 25% 数量が 2 割強減り、利益がほぼ消える 利益 1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 1,079 円42 億円
住宅と中小のビルの着工が想定より早く細り、問屋の取扱量は 10 年で 2 割強減る。中国の安い輸入材が国内の値段を押さえ、1 トンあたりの売上は物価に届かない。
西日本の利益率は 0.8%、東日本は工事の採算が悪く 0.2% にとどまる。営業利益は 1 億円ほどで、純利益は現金の利息に支えられて 1 億円強だ。
会社は傾かない。借金がほとんど無く、配当も細々と続く。ただ稼ぐ力は資本コストに遠く、厚い現金と土地は眠ったままになる。
東日本の鉄骨工事は縮小を迫られ、拠点の統合で費用を絞る年が続く。株主に届くのは配当だけだ。
- 西日本(清和鋼業・大宝鋼材):数量 127,140(鋼材の販売数量(トン・推定))× 価格 19(1 トンあたりの売上(万円・名目、加工を含む))→ 売上 238 億円・営業利益 2 億円。数量 0.78 倍・価格 1.25 倍・営業利益率 0.8%
- 東日本(中央鋼材・北進サンワ):数量 120,000(鋼材の販売数量(トン・推定、鉄骨工事を含む))× 価格 20(1 トンあたりの売上(万円・名目、加工・工事を含む))→ 売上 240 億円・営業利益 0 億円。数量 0.75 倍・価格 1.25 倍・営業利益率 0.2%
倍率:稼ぐ力(純利益 1.3 億円 ÷ k = 14 億円)より、売れる資産の床のほうが高いので床で置いた。その筋書きの自己資本 175 億円に PBR 0.194 倍を掛けた 34 億円。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.2125 倍・時価総額 34 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:着工の減少が進み、輸入材で値上げが続かない姿。過去 12 年で営業利益率 1% を割った年が 4 回あり、起こりうる形として 1/4 に置いた。
悲観 12% 悲観:需要の縮小と工事の失敗で赤字が続く 利益 −5 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 712 円28 億円
建設用の鋼材の国内需要が 10 年で 4 割近く減る。問屋どうしの値下げ競争が激しくなり、鋼材の値段は物価に大きく遅れる。
西日本も東日本も営業赤字になる。東日本の鉄骨工事で採算の読み違えが続き、損失が膨らむ。純利益は年 4 億円以上の赤字が続き、自己資本は 135 億円まで減る。
会社は拠点を減らして生き延びるが、株主に戻るのは細った配当だけだ。現金と土地は赤字の穴埋めに使われ、清算されない限り株主の手には届かない。
身売りの話が出ても、赤字の続く問屋に高い値は付かない。資産の価値は、時間とともに少しずつ削られていく。
- 西日本(清和鋼業・大宝鋼材):数量 101,060(鋼材の販売数量(トン・推定))× 価格 17(1 トンあたりの売上(万円・名目、加工を含む))→ 売上 174 億円・営業利益 −1 億円。数量 0.62 倍・価格 1.15 倍・営業赤字
- 東日本(中央鋼材・北進サンワ):数量 92,800(鋼材の販売数量(トン・推定、鉄骨工事を含む))× 価格 18(1 トンあたりの売上(万円・名目、加工・工事を含む))→ 売上 171 億円・営業利益 −2 億円。数量 0.58 倍・価格 1.15 倍・営業赤字
倍率:赤字で稼ぐ力は測れないので、売れる資産の床で置いた。今の自己資本 160 億円に PBR 0.175 倍を掛けた 28 億円。
確率:国内需要が崩れ、工事の読み違えが重なる負け筋。堀が弱いので 1 割強に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
西日本(清和鋼業・大宝鋼材)
大阪を中心に、岡山・北九州にも拠点を持つ。H形鋼・鋼板などを在庫し、切断・穴あけをして関西の建設会社や鉄骨業者へ届ける。
| 数量鋼材の販売数量(トン・推定) | 価格1 トンあたりの売上(万円・名目、加工を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 163,000 | 15 | 245 | 4 |
| 10 年後 中立 | 141,810 | 20 | 285 | 5 |
取り方:数量の開示は無い。2025 年 12 月期の西日本の売上を約 245 億円(中間期の 125〜129 億円の 2 倍弱)と見積もり、構造用の鋼材の 1 トンあたりの売上を加工込みで約 15 万円として 16.3 万トンと推定した。営業利益 3.5 億円は中間期のセグメント利益(経常ベース)からの推定。物価の分は 1 トンあたりの売上に入れる。
東日本(中央鋼材・北進サンワ)
東京・栃木・宮城に倉庫と加工場を持つ。鋼材の販売に加え、鉄骨の加工と工事を請け負う。
| 数量鋼材の販売数量(トン・推定、鉄骨工事を含む) | 価格1 トンあたりの売上(万円・名目、加工・工事を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 160,000 | 16 | 256 | 2 |
| 10 年後 中立 | 136,000 | 21 | 292 | 4 |
取り方:数量の開示は無い。2025 年 12 月期の東日本の売上を約 256 億円と見積もり、鉄骨工事を含むため 1 トンあたりの売上を約 16 万円として 16.0 万トンと推定した。営業利益 1.5 億円は推定(2024 年 12 月期は工事の採算悪化で赤字)。工事の完工の多い少ないで数量が年ごとに大きく振れる。
リスクと懸念
建設用の鋼材の需要が細る
国内の鋼材需要は前年を下回り続けている。住宅や中小のビルの着工が人口とともに減れば、問屋の取扱量は戻らない。値上げで売上を保てても、配送や倉庫の固定費が重くなり、利益率が削られる。
鋼材の値下がりで在庫が目減りする
問屋は数か月分の在庫を持つ。中国の過剰な生産が安い輸入材として流れ込み、国内の値段が下がれば、在庫の評価損と利ざやの縮小が同時に来る。2023〜2024 年の減益はこの形だった。
鉄骨工事の採算の読み違え
東日本の中央鋼材は鉄骨の加工と工事を請け負う。工事は人手不足や資材の値上がりで想定外の費用が出やすい。2024 年 12 月期の赤字の一因で、問屋の薄い利ざやを一度に消しうる。
取引先の倒産
客は中小の鉄骨業者や工務店が多い。建設業の倒産が増えれば、売掛金の焦げ付きが利益を削る。売上の 1 割を超える大口客がいないので一度の打撃は小さいが、景気の谷では件数が重なる。
厚い現金が株主に戻らない
純現金は時価総額の半分を超えるが、還元は年 1 億円弱の配当だけだ。稼ぎの薄い事業に現金と土地を抱え続ければ、株主の価値は帳簿ほどには増えない。
今後の分かれ目
- 自社株買いや配当性向の引き上げなど、還元の方針を数字で示したら
- 余った現金の戻り方を厚く見られる。資産の厚さが株主の価値に近づき、本質価値は上に動く。
- 東日本の鉄骨工事の採算が安定し、利益率 1.5% 超が続いたら
- 中立より上の筋書きに確率を移せる。全社の利益の振れも小さくなる。
- 中国の輸入材で国内の鋼材の値段が下がり始めたら
- 在庫の評価損と利ざやの縮小が重なる。やや悲観の筋書きに近づく。
- 大手の鉄鋼商社が買収や資本提携を持ちかけたら
- 純現金と土地の価値が買い手の値段に乗りやすい。少数株主にとっては資産の価値が届く数少ない道になる。
- 政策保有株の売却の数字の目標を出したら
- 売った分の税後を余った現金として足せる。配当収入は減るので利益からは外す。
見ておくもの
- 中間・通期のセグメント利益(西日本と東日本)
- 鋼材の値上げの浸透(メーカーの販価と輸入材の流入)
- 東日本の鉄骨工事の完工高と採算
- 配当の方針と自社株買いの有無
- 政策保有株の売却の実績
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE が k 8.75% を下回るので 1÷k を上限に、弱い堀の RONIC と g 4% の正当化 PER から置いた。中立 7.5 倍は今の PER(約 15 倍)や PBR 0.3 倍台を見て決めていない。悲観側は今の自己資本 160 億円と売れる資産の税後から床を出し、過去の PBR の底は使っていない。厚い現金と土地は、少数株主に使い道が無いので戻り方 0.5 で数えた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→11.43 倍・やや楽観 PER 8.3→11.43 倍・中立 PER 7.5→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。