結論
INESTは、コールセンターやイベントのブース、店頭で、宅配水や携帯電話、電気、ガスの契約を取り次ぎ、手数料を得る会社だ。自社で作ったスマホの保証や暮らしの相談の会員サービスも売る。筆者の結論は、今の値段は稼ぐ力に比べて割高だ、というものだ。
一番の理由は、本業がほとんど稼いでいないことだ。2026/03期は子会社を売った利益で黒字になったが、売上総利益から販管費を引くと2億円の赤字だった。売上の8割以上は、人が電話や店頭で売って得る一度きりの手数料だ。
この人の手で売る営業は、AIの電話や画面の案内に置き換わりやすい。手数料を決めるのはキャリアやメーカーで、取次の会社に値決めの力は無い。
伸びているのは、毎月お金が入る会員サービスだ。ここが育てば利益の質は上がる。だが、保有の件数は計画に届いていない。
配当は無く、筆頭株主は光通信の系列の会社だ。のれんが自己資本の6割を占めるのも重い。10年後の中立でも、ROEは資本コストの半分に届かない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、長く持ちたい事業ではない。
事業の中身は、人を雇って他社の商品を売り、手数料をもらう営業代行だ。値段を決めるのは商品を作る会社で、取次の会社は条件をのむしかない。こうした事業は、売上が大きくても株主のものになる利益は小さい。実際、本業の利益はほぼゼロだ。
これから10年は、その人の手の部分がAIに置き換わる。キャリアが自分でAIを使って客をつかまえれば、代理店の出番は減る。逆に代理店がAIで費用を下げても、手数料の引き下げで取り分は相手に移りやすい。
会員サービスは、毎月の売上を積み上げる良い形だ。それが利益の大半を占めるまで育てば、評価は変わる。だが今は、のれんが自己資本の6割を占め、配当も無い。筆頭株主は光通信の系列で、余った利益が少数の株主に戻る道も見えにくい。
払う値段に見合う安全域は、筆者には見えない。
何で稼ぐ会社か
INESTの稼ぎ方は二つある。
一つ目は取次の手数料だ。コールセンター、ショッピングセンターのイベントのブース、携帯の店、Webで客をつかまえ、宅配水、携帯電話、電気、ガス、保険の契約を結ばせる。契約が1件決まるたびに、キャリアやメーカーから手数料が入る。売上の約86%がこの一度きりの手数料だ。KDDIの一次代理店として携帯の端末も扱う。引っ越しの客に電気、ガス、通信の手続きをまとめて案内する仕事は、不動産会社と組んで客を紹介してもらう。日本に住む外国人の生活の手続きを助けるサービスも始めた。
二つ目は毎月入る売上で、会社は「ストック」と呼ぶ。スマホの故障の保証、近所のトラブルの相談、電子書籍の読み放題などをまとめた自社の会員サービスの月額と、宅配水や携帯の契約が続く限り入る継続の手数料だ。2026/03期は約25億円で、ここから原価と広告を引いたストックの利益は13.7億円だった。
費用の大半は人だ。電話をかける人、ブースに立つ人、店の人、新卒の採用と教育に毎年お金がかかる。利益は年度の終わりの3か月に集中する。
2025年に別の子会社を売り、2026年1月にグループの会社をまとめて重複した仕事を減らした。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは無い。取次の手数料は、キャリアやメーカーが決める。同じ商品を売る代理店は全国に数えきれないほどあり、手数料の条件が悪くなれば利益はすぐ消える。
人の手で売る営業は、景気よりも人の集まり方と手数料の条件で利益が決まる。過去4年の営業利益率は1〜2.5%で、2026/03期は本業だけなら赤字だった。
会員サービスは利益の質を上げる芽だ。一度入った会員は月額を払い続け、獲得の費用を後から回収する。ただ、スマホの保証や電子書籍は似たサービスがキャリア自身にもあり、解約されやすいものも多い。会社の資料でも、獲得の費用が高く続く期間が短いサービスは件数が減っている。
資本効率は低い。のれんが29.6億円あり、自己資本51億円の6割を占める。過去の買収の値段が、今の稼ぎに比べて高かったことを示している。
経営は組織をまとめて費用を削り、会員サービスに資源を寄せる方向にかじを切った。方向は正しいが、まだ数字で証明されていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
取次の商売は、二つの大きな流れの中にある。
一つは、人の手で売る営業の置き換えだ。電話で契約を勧める仕事は、AIの音声の案内が人より安く、24時間こなせるようになりつつある。キャリアや電力会社が、AIを使って自分で客をつかまえれば、代理店に払う手数料は減る。筆者はこれを、10年でいちばん大きな逆風と見る。
二つ目は、手数料の条件の締め付けだ。携帯は値引きの規制で、代理店が端末を売って稼ぐ道が細った。電気とガスは、新しく参入した小売りの会社が客を取り合った時期が過ぎ、手数料は落ち着いた。宅配水は伸びているが、競争も厳しい。
追い風もある。物価が上がり、家計は電気や通信の固定費を見直したがる。引っ越しの手続きをまとめて頼みたい人、日本で暮らす外国人も増える。人の相談が要る場面は残る。
10年の中立では、人が売る取次の件数は3分の1ほど減り、手数料の単価は物価に届かないと見る。会員サービスの件数は増えるが、取次の縮みを全部は埋めない。
取次の会社の数は多く、同じ商品を売る代理店どうしの競争も続く。規模の小さい代理店ほど、手数料の条件の変化に弱い。
資本政策と M&A
配当は出していない。2026/03期も2027/03期の予想も無配だ。自社株買いも、株式の併合で出た端数の買い取りだけだ。
2025年10月に15株を1株にまとめる株式の併合をした。株主への還元というより、1株の値段を整えるための手当てだ。
筆頭株主はプレミアムウォーターホールディングスで、議決権の約39%を持つ。この会社は光通信の子会社で、INESTはその持分法の会社だ。宅配水の販売で深く結びつき、取締役も1人受け入れている。
これまでは買収で広げ、子会社を売って整理してきた。手元の現金は借入とほぼ同じで、余った現金は無い。利益が出ても、まずは会員サービスの獲得に回す方針だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強気の見方は、会員サービスの伸びと、組織の立て直しの効果に賭ける。
ストックの利益は2026/03期に13.7億円で、3年前の2.9億円から4倍以上になった。月額を払い続ける会員は、獲得の費用を払い終えれば利益を生み続ける。スマホの保証や近所のトラブルの相談は、電気料金とまとめて払える形もできた。auでんきとの提携は客の接点を広げる。
2026年1月にグループの会社をまとめ、重複した仕事を減らした。2027/03期の営業利益の予想は6.1億円で、前の期の2倍を超える。第1四半期も黒字に戻った。
AIは脅威であると同時に道具でもある。電話の営業にAIを使えば、人の費用は大きく下がる。客の紹介の網と会員の束を持つ会社は、AIの時代でも客をつかまえる側に立てる。
日本で暮らす外国人や引っ越しの客の手続きのように、人の相談が要る場面は残る。筆頭株主の宅配水の会社との結びつきも、安定した取引を生む。
慎重な見方
慎重な見方は、本業が稼いでいない事実と、AIの逆風を突く。
2026/03期の黒字は、子会社を売った利益のおかげだ。売上総利益から販管費を引けば2億円の赤字で、本業は稼いでいない。過去4年の営業利益率は2.5%を超えたことが無い。
売上の8割以上は、人が売って得る一度きりの手数料だ。電話の営業はAIの音声に置き換わりやすく、キャリアが自分で客をつかまえれば、代理店に払う手数料は真っ先に削られる。手数料の条件を決めるのは相手で、取次の会社に交渉の力は無い。
会員サービスも盤石ではない。保有の件数は63万件で、計画の72万件に届かなかった。動画やクーポンのサービスは件数が減っている。キャリア自身も同じような保証や特典を出している。
のれん29.6億円は、自己資本の6割だ。稼ぎが細れば減損で自己資本は一気に減る。配当は無く、筆頭株主は光通信の系列だ。少数の株主に利益が戻る道は細い。
組織の統合で費用は下がったが、それは一度きりの効果だ。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。会員サービスの伸びは本物だが、全社の利益を支えるほどにはまだ育っていない。売上の大半を占める人の手の取次は、AIと手数料の締め付けで細ると筆者は見る。確率は慎重な側に厚く置き、強気の筋書きは会員サービスが利益の柱に育つ姿として小さく残した。
のれんの重さと配当の無さも、慎重な側を支える。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 564 円41 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 5 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 253 円18 億円、今との差 −58.0%、 期待の年率 −0.6%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,893 円138 億円 | 69 円5 億円 | +225.9% | +12.5% | 157 円11 億円 |
| やや楽観 | 20% | 945 円69 億円 | 0 円0 億円 | +56.9% | +4.6% | 189 円14 億円 |
| 中立 | 37% | 539 円39 億円 | 0 円0 億円 | −10.5% | −1.1% | 199 円15 億円 |
| やや悲観 | 22% | 84 円6 億円 | 0 円0 億円 | −86.1% | −17.9% | 18 円1 億円 |
| 悲観 | 13% | 43 円3 億円 | 0 円0 億円 | −92.9% | −23.3% | 6 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 564 円41 億円 | 5 円0 億円 | −5.4% | −0.6% | 569 円41 億円 |
今の株価時価総額 602 円44 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 会員サービスが利益の柱に育つ 利益 9 億円 · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 1,893 円138 億円
会員サービスが大きく育つ。電気料金とまとめて払える形が広がり、保有の件数は10年で2倍近い120万件になる。解約の少ないサービスに絞り、1件の売上も物価並みに上がる。
取次は、AIの音声で電話の営業の費用を下げ、件数の減りを2割ほどに抑える。取次は会員を集める入り口と割り切り、赤字を小さく保つ。
全社の営業利益は約14億円になり、純利益は約9億円。ROEは資本コストに並ぶ。配当も始める。
それでも、売上の大半は人とAIで売る取次のままだ。強気の筋書きは、取次の会社から会員の会社へ半分ほど姿を変える姿だ。
- 取次の手数料(一時金):数量 40.0(年の獲得件数(万件、推定))× 価格 3.90(1件あたり手数料(万円、推定))→ 売上 156 億円・営業利益 −5 億円。件数−24%、手数料+30%、赤字を縮める
- 会員サービス・継続手数料(ストック):数量 120(保有件数(万件))× 価格 0.52(1件あたり年の売上(万円))→ 売上 62 億円・営業利益 19 億円。保有+88%、単価+33%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.0% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.3 倍。全体の PER 14.33 倍、時価総額 129 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ストックの利益は3年で4倍以上に伸びた実績がある。ただ保有件数は計画に届いておらず、取次の縮みも重なるので8%に抑えた。
やや楽観 20% 会員が伸び、取次の縮みを埋める 利益 5 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 945 円69 億円
会員サービスは着実に伸び、保有の件数は105万件になる。1件の売上は物価にやや遅れて上がる。
取次の件数は、AIの電話とキャリアの直販に押されて3割弱減る。手数料の単価は物価にやや遅れる。組織の統合で人の費用を抑え、取次の赤字は売上の4%ほどにとどまる。
全社の営業利益は約8億円、純利益は約5億円になる。ROEは6%ほどで、資本コストに届かない。利益は会員の獲得に回し、配当は出さない。
会社は今より安定するが、少数の株主の取り分はあまり増えない。
筆頭株主の宅配水の販売は安定した柱として残り、取次の件数の底を支える。
- 取次の手数料(一時金):数量 38.0(年の獲得件数(万件、推定))× 価格 3.80(1件あたり手数料(万円、推定))→ 売上 144 億円・営業利益 −6 億円。件数−27%、手数料+27%
- 会員サービス・継続手数料(ストック):数量 105(保有件数(万件))× 価格 0.50(1件あたり年の売上(万円))→ 売上 53 億円・営業利益 14 億円。保有+64%、単価+28%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.3% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 60 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027/03期の会社の予想は営業利益6.1億円で、組織の統合の効果は数字に出始めた。それが続く姿として2割に置いた。
中立 37% 取次は3分の1減り、会員が半分を埋める 利益 3 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 539 円39 億円
人が電話や店頭で売る取次は、AIの案内とキャリアの直販に押され、件数が3分の1ほど減る。手数料の単価は条件の締め付けで物価に届かず、25%の上昇にとどまる。
会員サービスは伸び、保有の件数は90万件になる。ただ解約も多く、伸びは計画より遅い。
取次は会員を集める入り口として赤字が続く。全社の営業利益は約5億円で、売上の3%ほどだ。リースと借入の利払いを引き、純利益は約2.8億円になる。
配当は出さず、利益は会員の獲得に回る。自己資本は70億円ほどに増えるが、ROEは4%ほどにとどまる。のれんは残り、稼ぎが落ちれば減損の種になる。
- 取次の手数料(一時金):数量 34.0(年の獲得件数(万件、推定))× 価格 3.75(1件あたり手数料(万円、推定))→ 売上 128 億円・営業利益 −5 億円。件数−35%、手数料+25%
- 会員サービス・継続手数料(ストック):数量 90.0(保有件数(万件))× 価格 0.47(1件あたり年の売上(万円))→ 売上 42 億円・営業利益 11 億円。保有+41%、単価+20%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.9% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 33 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:人の手で売る営業はAIエージェント代替の型で、件数は10年で3分の1ほど減るのが中ほどの見方だ。会員の伸びは計画未達の実績から控えめにした。4割弱に置いた。
やや悲観 22% 手数料が細り、のれんを減損 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 84 円6 億円
キャリアと電力会社がAIで自ら客をつかまえ、代理店に払う手数料を絞る。取次の件数は半分近くに減り、単価も上がらない。
会員サービスも、キャリアの似たサービスに押されて伸びが止まる。保有の件数は今と大きく変わらない。
全社の営業利益はほぼゼロになり、リースと借入の利払いで最終は赤字が続く。買収で生まれたのれんの一部を減損し、自己資本は30億円を割る。
配当は無いまま、会員の束を守ることに追われる。残る価値は、会員の契約の束を誰かが買う時の値段だけだ。
AIの音声で営業の費用を下げても、その分は手数料の引き下げで相手に取られる。
- 取次の手数料(一時金):数量 28.0(年の獲得件数(万件、推定))× 価格 3.50(1件あたり手数料(万円、推定))→ 売上 98 億円・営業利益 −6 億円。件数−46%、手数料+17%
- 会員サービス・継続手数料(ストック):数量 70.0(保有件数(万件))× 価格 0.43(1件あたり年の売上(万円))→ 売上 30 億円・営業利益 6 億円。保有+9%
倍率:最終赤字で稼ぐ力では測れない。売れる資産は会員の契約の束だけで、純現金はほぼ無い。今の自己資本51億円の0.12倍。営業利益はほぼゼロでEV÷営業利益は意味を持たず、純有利子負債も小さいので、資産の床で見た。
確率:取次の手数料の締め付けとAIの置き換えが速く進む道。過去4年で営業利益率は1〜2.5%にとどまり、赤字の期もある。悲観と合わせて35%になるよう2割強に置いた。
悲観 13% 取次の商売が消え、会社が細る 利益 −5 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 43 円3 億円
構造的に負ける筋書きだ。電話と店頭の営業はAIの案内にほぼ置き換わり、キャリアと電力会社は代理店をほとんど使わなくなる。取次の件数は3分の1に減る。
会員サービスも解約が増え、件数は減る。人とリースの費用が残り、全社は毎年赤字になる。
のれんの大半を減損し、自己資本はほぼ消える。配当は無く、筆頭株主の系列の会社に事業を引き取られる形で整理が進む。
少数の株主に残るのは、細った会員の束と、わずかな現金だけだ。
人の営業の網は、その時には買い手のつかない資産になっている。
引っ越しや外国人の手続きの相談のように人が要る仕事は残るが、会社を支えるほどの大きさは無い。
- 取次の手数料(一時金):数量 18.0(年の獲得件数(万件、推定))× 価格 3.30(1件あたり手数料(万円、推定))→ 売上 59 億円・営業利益 −6 億円。件数−66%、赤字
- 会員サービス・継続手数料(ストック):数量 45.0(保有件数(万件))× 価格 0.40(1件あたり年の売上(万円))→ 売上 18 億円・営業利益 2 億円。保有−30%
倍率:赤字が続き自己資本は減損で細る。純現金と会員の束の売却の値段だけを見て、今の自己資本51億円の0.06倍。
確率:人の手で売る営業代行が構造的に置き換わる筋書き。売上は10年で半分以下になる。悲観側を35%にするため1割強に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
取次の手数料(一時金)
コールセンター・ブース・店頭・Webで宅配水、携帯、電気、ガス、保険の契約を取り次ぎ、1件ごとの手数料を得る。
| 数量年の獲得件数(万件、推定) | 価格1件あたり手数料(万円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 52.3 | 3.00 | 157 | −10 |
| 10 年後 中立 | 34.0 | 3.75 | 128 | −5 |
取り方:件数の開示は無い。一時金売上156.9億円を、宅配水・携帯・電気の手数料の平均を1件3万円と推定して割り、約52万件と置いた。利益は本業の赤字約2億円から会員サービスの利益を引いた残りで、本社費と会員の獲得の費用を含む推定。AIエージェント代替の人月の型。
会員サービス・継続手数料(ストック)
自社の会員サービスの月額と、契約が続く限り入る継続の手数料。
| 数量保有件数(万件) | 価格1件あたり年の売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 64.0 | 0.39 | 25 | 8 |
| 10 年後 中立 | 90.0 | 0.47 | 42 | 11 |
取り方:保有件数約64万件は決算補足資料(63万〜64万件)。ストック売上24.9億円を割って1件年約0.39万円。ストックの利益13.7億円から管理の費用の取り分を引いて約8億円と推定。
リスクと懸念
AIエージェント代替
電話や店頭で契約を勧める仕事は、AIの音声の案内に置き換わりやすい。キャリアや電力会社がAIで自ら客をつかまえれば、代理店に払う手数料は減る。売上の8割以上がこの取次の手数料だ。
手数料の条件
手数料の額を決めるのはキャリアとメーカーだ。条件が一度変われば、売上と利益はすぐに減る。携帯は値引きの規制で、代理店の稼ぎ方が何度も変わってきた。
のれんの減損
のれんは29.6億円で、自己資本の6割を占める。買収した事業の稼ぎが落ちれば減損になり、自己資本は大きく減る。
会員の解約
会員サービスは月額が続く限り利益を生むが、解約が増えれば獲得の費用を回収できない。保有の件数は2026/03期に計画の72万件に届かなかった。
人の確保と費用
コールセンターやブースは人で回る。毎年40〜50人の新卒を採り、教える費用がかかる。人件費が上がれば、手数料の上がらない取次の利益は消える。
筆頭株主との関係
光通信の系列のプレミアムウォーターホールディングスが議決権の約39%を持つ。宅配水の取引は安定するが、利益の使い道や会社の行方に少数の株主の声は届きにくい。
今後の分かれ目
- 2027/03期に営業利益6億円を達成し、翌年も増えた
- 組織の統合と会員の伸びが本物だとわかる。やや強気の筋書きの確率を上げる。
- 会員の保有件数が年10万件以上増え続けた
- 利益の柱が取次から会員へ移り始めた合図だ。強気の筋書きに近づく。
- 大手のキャリアが代理店の手数料を大きく下げた
- 取次の稼ぎが一気に細る。慎重な筋書きの確率を上げる。
- のれんの減損を出した
- 買収した事業の稼ぎが落ちた証拠だ。自己資本が減り、悲観の側に寄せる。
- 筆頭株主の系列が株を買い増す、または完全子会社にする提案を出した
- 事業の稼ぎと別に、少数の株主の取り分が買い取りの値段で決まる。
見ておくもの
- ストックの利益と会員の保有件数
- 一時金売上と獲得件数
- キャリア・電力会社の代理店手数料の条件
- 営業利益と販管費(人件費)
- のれんの残高と減損の有無
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。中立のROEは約4%で資本コスト8.5%に遠く、PERの上限は1÷kの約10.8倍で、その約7割の7.6倍に置いた。今の株価や純資産倍率、同業の値付けは根拠に使っていない。IFRSの会社なので店のリースは既に負債に載っており、新リース会計基準による形の変化は無い。AIエージェント代替は主に取次の件数で引き、確率は悲観側の合計35%にとどめた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→14.33 倍・やや楽観 PER 8.5→11.76 倍・中立 PER 7.6→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にquality +1.75%を足した9.25%。同じ領域の比べる会社は無い。AIエージェント代替は寿命の下限寄りの+1.0%で、主には数量で引いた。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.25% → 9.00%。