結論
テクノアルファは、パワー半導体の後工程で使うワイヤボンダーを輸入する専門商社だ。救命艇などの舶用機器、試験・計測システム、理化学機器も手がける。売上は45億円と小さい。
筆者の結論は「適正。ただし割安の側」だ。2025年11月期は営業利益が6億円と倍増した。ただ、この数字は舶用機器の大型納入が重なった特別な年で、そのまま続くとは見ない。実際、2026年11月期の第3四半期までの営業利益は前年同期比68%減った。会社は通期の予想すら出していない。
それでも、山と谷をならしても利益は残る。ボンダーを扱うエレクトロニクスは、直近2期とも利益率が11%台で安定している。舶用機器は前期でも28%の利益率だった。
今の時価総額18億円は、自己資本23億円を下回る。平均の利益で見ても、10年後の価値は今をやや上回る。
気にしているのは仕入れだ。米K&Sとの独占代理契約が主力を支える。強みであり、最大の弱みでもある。この集中をどう見るかで、評価が分かれる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で最初に問うのは、「10年後もこの事業はあり、今より強いか」だ。ボンダーの需要は続くだろう。ただ強くなるかは、K&Sの判断に左右される。堀が自社のものでなく、仕入先から借りたものだという点は、ここで大きな減点になる。
次に資本の使い方を見る。自己資本は23億円で、営業利益はこの数年で赤字から6億円まで振れた。配当性向は15%と低く、現金は積み上がっている。経営が資本を増やす腕は、まだ見えない。
舶用機器の利益率41%は、美しい数字だが、毎年は来ない。バリュー投資家は、特別な年の利益を永続させない。ここでは前期の28%さえ超えない水準で置いた。
安全域は、財務の強さと、自己資本を下回る値段にある。自己資本比率70%、有利子負債は小さく、PBRは0.8倍。筆者は、特別な年を外しても払う値段に余裕があると見る。
何で稼ぐ会社か
産業機器・装置の専門商社だ。2025年11月期の売上は45億円。4つの事業を持つ。
中心はエレクトロニクスで、売上の58%を占める。米クリッケ・アンド・ソファ社(K&S)のワイヤボンダーの国内独占代理店だ。1990年から続く関係で、パワー半導体の組み立て工程の装置とツール、消耗品を国内のメーカーに売る。検査機器や電子材料も扱う。営業利益は2.9億円で、利益率は11%だ。
次がマリン・環境機器で、売上の23%。救命艇、ダビット(艇を降ろす装置)、舶用クレーンを、造船所経由で官公庁船や商船に売る。営業利益は4.4億円と、全社の利益の大半を稼いだ。2025年は三菱重工向けの売上が7.9億円と、売上の17.6%に達した。
子会社のペリテックはSIで、試験・計測システムを受託開発する。売上の15%。サイエンスは理化学機器で、大学や研究所に分析器を売る。売上は4%で、赤字の育成事業だ。
連結従業員は87人で、小さな会社だ。為替は輸入が多く、予約で守るが、価格交渉で転嫁する。受注残は20億円で、手元の仕事は半年ほどある。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、独占の代理権にある。K&Sのワイヤボンダーは国内で扱う会社が一社に絞られ、顧客は装置だけでなく、ツールと消耗品も継続して買う。装置の導入後は、保守とツールの繰り返し売上が続く。エレクトロニクスの利益率が、直近2期とも11%台で安定しているのは、その表れだ。
舶用機器も、造船所指定の独占販売権を持つ。官公庁船は一度採用されれば長く続き、利益率が高い。
弱みは、その堀が自社のものでないことだ。代理権はK&Sや提携先の判断で変わり、契約は合意解除まで続く形になっている。売上の6割近くがK&S1社の製品に依存する。
利益の質にも課題がある。全社の営業利益率は過去12年で、赤字の年から13%まで振れる。2025年の13%は大型納入の年で、平均の姿ではない。全社共通の費用は年1.9億円ほどかかる。
財務は堅い。自己資本比率は70%、有利子負債は3億円と小さい。配当性向は15%と低く、内部留保を重視する。資本が働く速度は遅い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
半導体の後工程は、パワー半導体に絞ると需要の質が違う。電気自動車、再エネ、データセンターの電源と、エネルギーの効率化が伸びる領域だ。ただ設備投資は数年ごとの山谷が大きく、2020年は赤字、2025年は好調と、年ごとの振れが激しい。
競争は、装置メーカーの直販と代理店の併存になる。K&Sのワイヤボンダーは世界で大きなシェアを持つが、中国メーカーの低価格機が国内にも入り始めている。仕入先が直販に切り替える可能性も常にある。
舶用機器は、防衛予算の拡大が追い風になる。官公庁船の更新と保守の需要は底堅い。ただ納入は件ごとの塊で、年ごとの波が大きい。2025年は特別な年だった。
SI事業は、AIエージェントの普及で人月の仕事が減る面がある。計測装置と組み合わせた案件は残るが、純粋な受託開発は縮む。
10年で見れば、物価の中で単価が上がる一方、数量は半導体の山谷と防衛の波に左右される。為替は150円で固定し、輸入原価は動かさない前提で置く。つまり、山谷と防衛の波、AIエージェントによる人月の縮みが、利益の動きを決める。
資本政策と M&A
配当は2025年11月期で年0.6億円、配当性向は15%と低い。会社は「株主への還元を第一」とうたうが、実際は内部留保を厚くしてきた。増配や自社株買いの余地は大きい。
中期経営計画(2026〜2028年11月期)は基盤強化の期間と位置づけ、最終年度の目標は、売上54億円、営業利益4.9億円、ROE10%以上。2025年の営業利益5.9億円より低く置いている。会社自身が、2025年を再現しにくいと見ているとも読める。
資本政策で目立つのは2007年11月期の増資くらいで、M&Aは子会社のペリテックがあるだけ。大株主は個人が11.5%、SBI証券が3.4%。上位10名で34%と、支配株主はいない。
時価総額は18億円と小さい。他社に買われる可能性はゼロではないが、確認できた公表はなく、筋書きには織り込まない。株主優待は確認できなかった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2025年の利益は特別な年だが、土台は変わった。エレクトロニクスは直近2期とも利益率11%台で、堅調だ。パワー半導体は電気自動車と電力効率で伸び続ける領域で、国内で唯一のK&S代理店は、装置・ツール・消耗品の繰り返し売上を持つ。1990年から続く関係で、顧客は簡単には乗り換えない。
舶用機器は防衛予算の拡大で、官公庁船の更新が長く続く。造船所指定の独占販売権があり、利益率は前期でも28%あった。三菱重工向けの売上が17.6%まで上がったのは、その入口にすぎない。官公庁船は一度採用されれば長く続き、保守サービスの売上も立ちやすい。
会社の中計は営業利益4.9億円と控えめで、達成しやすい。純現金が厚く、配当の余地も大きい。PBRは0.8倍で、自己資本23億円に対し時価総額は18億円。利益が平均で3〜4億円あるなら、割安だ。
配当性向が15%と低いぶん、株主還元の引き上げが期待できる。会社が中計でROE10%以上を掲げた以上、資本の積み上がりを放置しにくい。
慎重な見方
2025年の営業利益は、舶用機器の4.4億円で説明がつく。大型納入が重なった年で、第3四半期までの営業利益は前年同期比68%減った。会社は通期予想も出せない。
パワー半導体は山谷が大きい。2020年は赤字、2023年も全社の利益率は4%台。10年の平均はセグメントで9%がせいぜいで、2025年の水準は再現しない。中国メーカーの装置が入れば、価格は物価に追いつかない。全社共通の費用も、物価で膨らむ。
最大の弱みは、K&Sへの依存だ。代理権は自社のものでなく、仕入先が直販に切り替えれば、売上の6割が消える。有価証券報告書もこのリスクを書く。
SI事業はAIエージェントの普及で人月が縮み、サイエンスは赤字が続く。従業員は87人と少なく、責任者が一人抜けるだけで案件が止まりかねない。
PBRの低さは、この資本効率の悪さと、利益の不安定さを織り込んだ姿にすぎない。独占の代理権も、仕入先の判断ひとつで消える。
どちらに重みを置いたか
筆者は強気がやや勝つと判断した。山谷をならし、特別な年を外しても、エレクトロニクスと舶用機器の利益は残る。確率は、やや悲観と悲観を合わせて3割台半ばに置いた。K&Sの打ち切りは、1割強の悲観として織り込んだ。
強気は合わせて3割弱、中立に4割弱を置いた。独占代理権と財務の強さは評価できるが、利益の山谷とK&Sへの依存は、倍率を式の上限の8割にとどめることで重く見た。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/11 期)
確率で加重した株価時価総額 2,430 円43 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 392 円7 億円)。 今の値に割り戻すと 1,392 円25 億円、今との差 +40.1%、 期待の年率 +11.0%(資本コスト 8.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 6,037 円107 億円 | 793 円14 億円 | +587.1% | +21.3% | 478 円8 億円 |
| やや楽観 | 20% | 3,849 円68 億円 | 680 円12 億円 | +355.6% | +16.4% | 906 円16 億円 |
| 中立 | 38% | 2,629 円46 億円 | 396 円7 億円 | +204.4% | +11.8% | 1,150 円20 億円 |
| やや悲観 | 24% | 782 円14 億円 | 170 円3 億円 | −4.2% | −0.4% | 229 円4 億円 |
| 悲観 | 11% | 459 円8 億円 | 85 円2 億円 | −45.3% | −5.9% | 60 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,430 円43 億円 | 392 円7 億円 | +183.9% | +11.0% | 2,822 円50 億円 |
今の株価時価総額 994 円18 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 防衛向けの舶用機器とパワー半導体が重なる 利益 6 億円 · PER 15.8 倍 · 株価時価総額 6,037 円107 億円
パワー半導体の需要が、電気自動車と電力の効率化で伸びる。後工程のボンダーも、国内の工場の増強で取扱いが3割強増える。価格は物価並みの1.34倍まで上がり、セグメントの利益率は11.5%と今の水準を保つ。
舶用機器は、防衛予算の拡大で官公庁船の更新が続く。三菱重工向けの納入が安定し、保守サービスの売上も立つ。利益率は25%と、前期の28%に近い。
SI事業は計測装置と組み合わせた案件が増え、人の工数の減りを補う。
営業利益は8億円近く、中計の目標(営業利益4.9億円)を大きく上回る。純利益は6億円ほどで、配当も増える。
- エレクトロニクス(パワー半導体の後工程装置・消耗品):数量 64.0(ボンダー1台相当に換算した取扱い(台相当))× 価格 0.74(1台相当あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 47 億円・営業利益 5 億円。47.4台相当が35%増え、1台あたり0.55億円が1.34倍。営業利益率11.5%(今の11.0%と同水準)
- マリン・環境機器(救命艇・舶用クレーン・フィルター):数量 33.0(納入する案件数相当(件相当))× 価格 0.47(1件相当あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 16 億円・営業利益 4 億円。30件相当が1割増え、1件あたり1.34倍。営業利益率25%(前期28%・今期41%より低い)
- SI(子会社ペリテック:試験・計測システムの受託開発):数量 30.6(技術者の人数(人))× 価格 0.27(1人あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。34人が9割に減るが、計測装置との組み合わせで単価が1.34倍。営業利益率11%(AIエージェントで人月は減る)
- サイエンス(理化学機器):数量 100(機器・消耗品の取扱い(台相当))× 価格 0.03(1台相当あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。83台相当が100台相当に増え、1台あたり1.34倍。営業利益率5%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.0% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.8 倍。全体の PER 15.75 倍、時価総額 99 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:強気には、パワー半導体の設備投資の山と、防衛関連の納入の拡大が同時に要る。2025年の利益は過去に例がない水準で、再現は難しいので1割未満にとどめた。
やや楽観 20% ボンダーが堅調で、舶用機器が安定する 利益 4 億円 · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 3,849 円68 億円
パワー半導体の後工程装置の取扱いは2割ほど増える。価格は物価に近い1.32倍。景気の谷では利益が消えるが、10年平均でセグメントの利益率は10%を保つ。
舶用機器は官公庁船の更新が続き、売上は横ばいから微増。利益率は21%で、2025年の41%には遠く及ばない。
SI事業は人月が2割減り、単価が1.32倍。サイエンスは少しずつ広がる。
本社費などの共通費用は物価で膨らむが、営業利益は5億円強、純利益は4.3億円ほど。それでも資本効率は並みで、ROEは9%前後にとどまる。K&Sとの関係は続き、国内のパワー半導体メーカーの工場の増強に付き合う形になる。
- エレクトロニクス(パワー半導体の後工程装置・消耗品):数量 58.0(ボンダー1台相当に換算した取扱い(台相当))× 価格 0.73(1台相当あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 42 億円・営業利益 4 億円。47.4台相当が2割強増え、1台あたり1.32倍。営業利益率10%
- マリン・環境機器(救命艇・舶用クレーン・フィルター):数量 30.0(納入する案件数相当(件相当))× 価格 0.47(1件相当あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 14 億円・営業利益 3 億円。30件相当で横ばい、1件あたり1.34倍。営業利益率21%
- SI(子会社ペリテック:試験・計測システムの受託開発):数量 27.2(技術者の人数(人))× 価格 0.27(1人あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。34人が8割に減り、単価1.32倍。営業利益率8%
- サイエンス(理化学機器):数量 90.0(機器・消耗品の取扱い(台相当))× 価格 0.03(1台相当あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。83台相当が9割強に増え、単価1.32倍。営業利益率3%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.2% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.1%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.5 倍。全体の PER 14.53 倍、時価総額 62 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:パワー半導体の山谷は大きいが、10年の平均では成長が勝つとみる。国内の需要を押さえる独占代理店で、エレクトロニクスは直近2期とも利益率11%台と安定している。2割を置いた。
中立 38% 山谷をならした平均の姿で、舶用機器が利益の柱 利益 3 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 2,629 円46 億円
パワー半導体の後工程は、山と谷を繰り返しながら、10年で取扱いが1割増える。セグメントの利益率は直近の11%から、谷の年を含めて9%に落ち着く。価格は1.30倍。K&Sの値上げがすべて転嫁できるわけではない。
舶用機器は、官公庁船の更新が続く一方、2025年のような大型納入は毎年は来ない。件数は1割弱減るが、単価は1.34倍。利益率は18%に落ち着く。
SI事業は、AIエージェントの普及で人月の仕事が減り、工数が25%減る。単価は1.30倍。
本社費は物価で膨らみ、営業利益は3.7億円、純利益は3億円。償却は小さく、設備の更新費も軽い。物価による見かけの利益の膨らみは限られる。
- エレクトロニクス(パワー半導体の後工程装置・消耗品):数量 52.0(ボンダー1台相当に換算した取扱い(台相当))× 価格 0.72(1台相当あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 37 億円・営業利益 3 億円。47.4台相当が1割増え、1台あたり1.30倍。営業利益率9%(直近の11%と谷の年の中間)
- マリン・環境機器(救命艇・舶用クレーン・フィルター):数量 28.0(納入する案件数相当(件相当))× 価格 0.47(1件相当あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。30件相当が7%減り、1件あたり1.34倍。営業利益率18%(前期28%・今期41%は大型納入が重なった年)
- SI(子会社ペリテック:試験・計測システムの受託開発):数量 25.5(技術者の人数(人))× 価格 0.27(1人あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。34人が75%に減り(AIエージェント代替)、単価1.30倍。営業利益率6%
- サイエンス(理化学機器):数量 85.0(機器・消耗品の取扱い(台相当))× 価格 0.03(1台相当あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。83台相当が微増、単価1.32倍。営業利益率0%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.4% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.7%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.27 倍、時価総額 40 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:パワー半導体の山谷を平らにならし、舶用機器の大型納入が一巡する前提の落としどころ。2020年は赤字で、2桁の営業利益率は2025年だけ。中立に4割弱を置いた。
やや悲観 24% 半導体の谷が長引き、舶用機器の波も去る 利益 0 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 782 円14 億円
パワー半導体の投資が冷え込み、10年平均で取扱いが5%減る。中国メーカーの装置が国内に入り、価格は1.25倍にとどまる。セグメントの利益率は4.5%に落ちる。
舶用機器は納入が谷で、件数が3割弱減る。利益率は10%。
SI事業は人月が4割減る。工数の単価も、AIエージェントの影響で物価に届かない。
本社費は物価で膨らみ、営業利益はほぼゼロ。配当は守るが、増配はない。会社は人員を増やさず、固定費を抑えて山を待つ。株価の下値は、現金と売掛金・在庫が支える。K&Sの代理権は残るが、取扱いの伸びが止まり、検収の遅れで利益が翌期にずれる年もある。
- エレクトロニクス(パワー半導体の後工程装置・消耗品):数量 45.0(ボンダー1台相当に換算した取扱い(台相当))× 価格 0.69(1台相当あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 31 億円・営業利益 1 億円。47.4台相当が5%減り、1台あたり1.25倍。営業利益率4.5%
- マリン・環境機器(救命艇・舶用クレーン・フィルター):数量 22.0(納入する案件数相当(件相当))× 価格 0.46(1件相当あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。30件相当が3割弱減り、1件あたり1.30倍。営業利益率10%
- SI(子会社ペリテック:試験・計測システムの受託開発):数量 20.4(技術者の人数(人))× 価格 0.25(1人あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。34人が6割に減り、単価1.2倍。営業利益率3%
- サイエンス(理化学機器):数量 75.0(機器・消耗品の取扱い(台相当))× 価格 0.03(1台相当あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。83台相当が1割減り、単価1.28倍。営業利益率-3%
倍率:ROE約1%は資本コスト8%に大きく届かない。稼ぐ力(純利益÷k=約4億円)より、売れる資産の税後(床の欄、約9億円)に近い値で置くため、今の自己資本23.1億円に0.40倍を掛けた。PERで置くと床を下回る。
確率:2020年に赤字を出した実績があり、後工程の投資は数年単位で止まる。舶用機器の大型納入も毎年は来ない。この組み合わせは過去にあり、2割台半ばを置いた。
悲観 11% K&Sが独占代理店を打ち切り、主力を失う 利益 −3 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 459 円8 億円
K&Sが直販体制に切り替え、国内の独占代理契約を終える。エレクトロニクスの取扱いが3割まで縮み、10年で赤字に落ちる。
舶用機器は納入が谷のまま、件数が半分になる。SI事業も人月が縮み、赤字になる。
従業員は87名から6割に減り、会社は縮小の道を選ぶ。配当は大きく削る。代わりの装置メーカーとの契約を探すが、顧客の信頼を取り戻すには時間がかかる。
価値は、現金と売掛金・在庫といった売れる資産で決まる。サイエンスとSIは小さく残るが、全体を支えるには足りない。K&Sの打ち切りは突然ではなく、数年かけて取扱いが縮む形で起きる。その間、赤字が積み上がる。
- エレクトロニクス(パワー半導体の後工程装置・消耗品):数量 33.0(ボンダー1台相当に換算した取扱い(台相当))× 価格 0.63(1台相当あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 21 億円・営業利益 −1 億円。47.4台相当が3割まで減り、1台あたり1.15倍。営業利益率-3%
- マリン・環境機器(救命艇・舶用クレーン・フィルター):数量 15.0(納入する案件数相当(件相当))× 価格 0.42(1件相当あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。30件相当が半分に減り、単価1.2倍。営業利益率0%
- SI(子会社ペリテック:試験・計測システムの受託開発):数量 18.7(技術者の人数(人))× 価格 0.22(1人あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。34人が55%に減り、単価1.1倍。営業利益率-3%
- サイエンス(理化学機器):数量 70.0(機器・消耗品の取扱い(台相当))× 価格 0.02(1台相当あたりの売上(億円、物価込みの名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。83台相当が8割強に減り、単価1.07倍。営業利益率-8%
倍率:赤字で稼ぐ力はゼロ。売れる資産の税後約8億円(床の欄)に合わせ、今の自己資本23.1億円に0.35倍を掛けて置いた。EV÷営業利益は赤字で意味がない。
確率:ワイヤボンダーの仕入れは米K&Sとの独占代理契約が柱で、有価証券報告書も「仕入れが困難になれば業績に影響」と書く。契約は合意解除まで続く形で、仕入先が直販に切り替える可能性は常にあり、1割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
エレクトロニクス(パワー半導体の後工程装置・消耗品)
米クリッケ・アンド・ソファ社(K&S)のワイヤボンダーの国内独占代理店。装置・ツール・消耗品、検査機器、電子材料、FA装置を輸入販売する。
| 数量ボンダー1台相当に換算した取扱い(台相当) | 価格1台相当あたりの売上(億円、物価込みの名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 47.4 | 0.55 | 26 | 3 |
| 10 年後 中立 | 52.0 | 0.72 | 37 | 3 |
取り方:2025/11期のエレクトロニクスの売上は26.04億円、営業利益2.9億円(利益率11.0%、前期は11.2%)。いずれも決算の開示。装置と消耗品を合わせ、装置1台(約0.55億円)相当に換算して47.4台相当と筆者が置いた。台数・単価の開示はない。
マリン・環境機器(救命艇・舶用クレーン・フィルター)
救命艇、ダビット、舶用クレーンの販売と、振動膜式フィルター・セラミック膜。官公庁船向けが多く、造船所経由。
| 数量納入する案件数相当(件相当) | 価格1件相当あたりの売上(億円、物価込みの名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 30.0 | 0.35 | 11 | 4 |
| 10 年後 中立 | 28.0 | 0.47 | 13 | 2 |
取り方:2025/11期のマリン・環境機器の売上は10.57億円(前期比+63.7%)、営業利益4.38億円(同+139.5%、利益率41.4%)。前期の利益率は約28%。いずれも決算の開示。受注から検収まで長く、前期以前の受注分の納入が進んだことが増益の理由。件数の開示はなく、30件相当×1件あたり0.352億円で置いた。
SI(子会社ペリテック:試験・計測システムの受託開発)
試験・計測システムの受託開発とシステムインテグレーション。人の工数で売る。
| 数量技術者の人数(人) | 価格1人あたりの売上(億円、物価込みの名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 34.0 | 0.20 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 25.5 | 0.27 | 7 | 0 |
取り方:2025/11期のSIの売上は6.95億円、営業利益0.74億円(利益率10.7%、前期は27百万円の営業損失から黒字転換)。連結従業員87名のうちSIは34名で、1人あたり0.204億円。人月で売る型で、AIエージェント代替の見直しを受ける。
サイエンス(理化学機器)
大学・研究所向けの分析器・消耗品の開発・仕入・販売。育成事業。
| 数量機器・消耗品の取扱い(台相当) | 価格1台相当あたりの売上(億円、物価込みの名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 83.0 | 0.02 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 85.0 | 0.03 | 2 | 0 |
取り方:2025/11期のサイエンスの売上は1.66億円、営業損失0.17億円(前期は0.04億円の黒字)。台数の開示はなく、83台相当×0.02億円で置いた。
リスクと懸念
K&Sへの依存
売上の約6割がK&Sのワイヤボンダー関連。代理権は合意解除まで続く形で、仕入先が直販に切り替える、または他社と契約すれば主力を失う。有価証券報告書もこの点をリスクに挙げる。
半導体の山谷
パワー半導体の設備投資は数年ごとの山谷が大きい。2020年は赤字で、利益率は-2.6%まで落ちた。10年の平均でも、谷の年に利益が消える。
舶用機器の大型納入の波
2025年の営業利益の大半は舶用機器で、官公庁船の大型納入が重なった。納入は塊で来るため、年ごとの利益が大きく動く。第3四半期までの営業利益は前年同期比68%減った。
AIエージェントによるSIの縮み
ペリテックのSI事業は、人月で売る型で、AIエージェントの普及で工数が減る。売上の15%を占め、10年で数量が減る前提を置く。
為替と中国メーカー
仕入れの多くが外貨建て。為替の変動は予約と価格交渉で吸収するが、完全ではない。中国メーカーの低価格装置が国内に入れば、価格を下げる圧力になる。
小さな組織
連結従業員は87人。急な受注の増加や、責任者の離職で、組織が追いつかなくなる。検収の遅れで売上が翌期にずれる点も、年ごとの利益を揺らす。
今後の分かれ目
- K&Sが国内の代理権の見直しや直販への切り替えを示唆する
- 主力を失う悲観の確率を大きく上げる。代わりの装置メーカーと契約できるかを見る。
- 舶用機器の受注残が増え、保守サービスの売上が立ち上がる
- 舶用機器の利益率が高い水準で安定する。中立から強気の側へ確率を寄せる。
- 営業利益率が2年続けて10%を超える
- 半導体の山に乗っている。ただ山の利益を永続させず、谷の年を考えて平均の姿は動かさない。
- 配当性向を引き上げる、または自社株買いを始める
- 現金が株主に戻る。戻り方を0.75から上げ、配当の筋書きを見直す。
- パワー半導体の設備投資が1年以上冷え込み、受注残が減る
- やや悲観の確率を上げる。2020年の赤字の再来に備える。
見ておくもの
- K&Sとの代理契約の動向
- エレクトロニクスの受注残と利益率(11%を保てるか)
- 舶用機器の受注残と官公庁船の更新計画
- 全社共通費用(年1.9億円)の伸び
- 配当性向と現金の使い方
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価ではなく、資本コスト8%と事業のROE、長期成長(3〜4%)から式で置いた。中立の10年の営業利益率は6.9%(セグメントの利益率は半導体9%・舶用18%・SI6%、全社共通費用は物価で膨らませて2.4億円)。2025年の13%は特別な年として使わず、純利益の起点も2.2億円にならした。舶用機器の利益率は前期の28%、今期の41%を超えず18%に置いた。純利益÷営業利益は中立で0.8と、過去8年の中央値0.80に合わせた。数量・単価は開示がなく、筆者の推定を含む。半導体向けは山谷を中立に置かず、平均の利益率で置いた。AIエージェント代替はSI事業(売上の15%)だけに数量0.75倍で見て、k・確率で重ねて引いていない。会計は新リース会計基準で形が変わるが、賃借は小さく影響は限られる。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→15.75 倍・やや楽観 PER 10→14.53 倍・中立 PER 9.5→13.27 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。