結論
新都ホールディングスは、地方の金属スクラップ業者を半分ずつ買い集めて急に大きくなったリサイクル商社だ。筆者の結論は「割高」だ。売上は2年で4倍を超えたが、もうけの薄い商いで、しかも子会社の利益の半分近くは残りの持ち主に渡る。株主に届く利益は、今の時価総額に比べて小さすぎる。
2027年1月期の会社予想は売上483億円に対し、純利益はわずか2億円だ。スクラップの値段は鉄と銅の相場で決まり、この会社に値決めの力はない。買収は株式交付と借入で進めており、借金は自己資本を上回る。
この会社は10年以上にわたって赤字が続き、継続企業の前提に疑いがあるとの注記も長く付いていた。今の黒字は買収した会社の利益で、本体が稼ぐ力を示したわけではない。電炉の増加でスクラップの需要が底堅いのは追い風だが、それはどのスクラップ業者にも同じく吹く風だ。
10年後の姿を素直に描くと、規模は今より大きいが、株主に届く利益は資本コストに届かない。今の時価総額は、その先の成功まで織り込んでいるように見える。筆者は、買収の積み上げが株主の利益に変わる証拠を待ちたい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は持ち続けたい事業ではない。稼ぎの源は相場で値段が決まるくずの売買で、薄いもうけを積むしかない。しかもその薄いもうけの半分近くが子会社の残りの持ち主に流れる。株主のものになる利益、つまりオーナー利益は、売上の大きさから受ける印象よりずっと小さい。
経営の資本の使い方にも安全域は感じにくい。買収は借入と株式交付で進め、過去には赤字を新株予約権で埋めてきた。売上の規模を大きくすることと、1株の価値を増やすことは同じではない。
筆者が見方を変えるのは、子会社の残りの持分を買い取り、営業利益率3%台を2年続けて出し、借金を減らし始めた時だ。それまでは、払う値段に見合う利益の確かさがない。値段が帳簿より高いのに、帳簿が生む利益は資本コストを下回る。安全域はどちらの側にも見当たらない。待つことの損は小さく、急ぐ理由はない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎのほとんどは金属リサイクルだ。2026年1月期の売上279億円のうち245億円を占める。鉄や銅、アルミ、ステンレスのくずを集め、破砕・選別・圧縮して国内の電炉や商社に売り、中国・韓国・東南アジアにも輸出する。
この事業は買収で作った。2024年に長野の北山商事、2025年に茨城の龍一商事と京都の栄新商事を子会社にした。持分はどれも5割をわずかに超える程度だ。北山商事1社で売上209億円、純利益3.6億円あり、グループの中身はほぼこの会社だと言ってよい。
ほかに、ペットボトル由来のPETなど再生プラスチックの輸入と販売、中国系の顧客向けの不動産仲介と建物の解体、GPU機器を扱う新しいAI事業がある。プラスチックは赤字で、不動産とAIは規模が小さい。
もうけの形は、仕入れたくずと売ったくずの値段の差だ。相場が上がる局面では在庫の値上がりで利益が膨らみ、下がる局面では逆になる。本社の人数は10人ほどで、事業の実態は各地の子会社の現場にある。重機やトラック、破砕機などの設備は借入とリースでまかなっており、量を増やすほど設備と運転資金の負担も増える。
優良さと弱いところ
優良さは低いと見る。値段は鉄と非鉄の相場で決まり、この会社が決められるものではない。スクラップの集荷は地域の業者どうしの取り合いで、品物に違いはつけにくい。堀、つまり他社がまねできない強みと呼べるものは、子会社が地域で長く築いた集荷の網くらいだ。
資本の効率も弱い。営業利益率は2%前後で、そこから金利と税、少数株主の取り分が引かれる。2026年1月期は営業利益5.9億円に対し、株主に残った純利益は1億円だった。
財務は買収で重くなった。借入と社債は約47億円で、自己資本の1.4倍ある。過去20年で希薄化を伴う増資や新株予約権の発行を何度も重ねた。経営の資本の配分は、株主の1株あたりの価値より、売上の規模を大きくする方向に向いてきた。良い点を挙げれば、北山商事という地域の有力業者を取り込み、黒字の土台を初めて手にしたことだ。ただ、その土台の半分は今も元の持ち主のものだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本の鉄スクラップの流通は年に約2,000万トン規模で、量は人口と建物の更新、工場の生産に沿ってゆっくり動く。鉄の需要そのものは国内で細るが、製鉄の脱炭素で高炉から電炉への切り替えが進み、スクラップを使う量は増える方向にある。日本製鉄やJFEが電炉の新設を決めたことは、10年の需要の底を支える。
輸出は相場の波が大きい。中国の鉄鋼の生産と輸出の動き、トルコや東南アジアの需要で値段が大きく振れる。銅とアルミのくずは電線や自動車の電動化で引き合いが強く、値段は名目で物価以上に上がる局面もある。
業界は中小の業者が数千社ある分散した市場だ。大手には鈴木商会やイボキン、メタルワンの系列などがあり、後継ぎのいない業者を買い集める動きは各社が狙っている。新都のような買い手が増えれば、買収の値段は上がる。10年で見れば、数量は横ばいからわずかに増え、値段は物価並みと置くのが筋だ。
プラスチックの再生は、ペットボトルの水平リサイクルなど国内の回収と再生の仕組みが整う方向にある。ただし飲料大手や専業の再生会社が主役で、輸入品を扱う小さな商社が値段を決める立場にはない。
資本政策と M&A
配当は出していない。資金は買収と設備に回してきた。買収の支払いは借入と株式交付が中心で、子会社の残り半分の持分は元の経営者などが持ち続けている。
新株予約権の行使で株数は2026年7月までの半年で約150万株増えた。行使価額は2025年に引き下げられたが、今の株価はまだその下にあり、すぐに大きく薄まる形ではない。大株主は大都(香港)實業で約13%を持つ。2026年10月には香港系とみられる投資会社が7%余りを取得した。
10年で見ると、追加の買収のたびに株式交付や増資が続くと考えるのが自然だ。株主への還元が始まるとしても、まず借金の返済と子会社の持分の買い増しが先になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
スクラップは脱炭素の主役になる。高炉から電炉への切り替えで、日本でも鉄スクラップの需要は確実に増える。銅やアルミのくずは電動化で引く手あまただ。値段は相場で決まるとはいえ、10年の流れは名目で上だ。
この会社はその波に早く乗った。後継ぎのいない地方の業者を、株式交付という手元の現金の要らないやり方で次々に取り込んでいる。北山商事は売上200億円を超える地域の有力業者で、龍一商事と栄新商事も加わった。売上が500億円に近づけば、仕入れでも売り先でも交渉の力が付く。
子会社の残りの持分を買い取れば、今は少数株主に流れている利益がそのまま株主に戻る。営業利益が10億円を超え、純利益に占める取りこぼしが減れば、時価総額50億円は安い。買収をあと数件重ねれば、利益は今の数倍になりうる。
長い赤字の時代は終わった。2026年1月期から営業黒字が定着し、2027年1月期の上期は経常利益が前年の赤字から4億円近い黒字に転じた。過去の姿で今を測るのは公平ではない。
慎重な見方
売上が増えても株主の利益は増えていない。2026年1月期の純利益は1億円、2027年1月期の会社予想でも2億円だ。営業利益の大半は子会社で生まれ、その半分近くは子会社の残りの持ち主のものになる。
値段は相場で決まる。中国の鉄鋼の輸出が増えれば、アジアのスクラップ相場は崩れる。相場が下がる局面では、在庫の値下がりで薄いもうけは簡単に消える。この会社は2010年代の大半を赤字で過ごし、継続企業の前提の注記も長く付いていた。
買収の資金は借入と株式交付だ。借金は47億円まで増え、金利の上昇で利払いは重くなる。株式交付と新株予約権で株は増え続ける。子会社の持分を買い取るには、また借りるか株を出すしかない。業者の買い集めは他社も狙っており、買収の値段も上がる。規模は大きくなっても、1株の価値が増える保証はない。
会社予想の下期は経常利益が前年より半減する計算で、上期の好調が続く保証もない。2026年8月には、第三者割当で集めた資金の使い道の記載を有価証券報告書で訂正している。管理の確かさにも、まだ実績が足りない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方の方が強い。数量の追い風は本物だが、それはスクラップ業者すべてに吹く。この会社に固有の強みは買収の速さだけで、株主の利益に変わる仕組みがまだ見えない。少数株主への流出、借金、株数の増加の三つが、売上の伸びを株主から遠ざけている。確率は中立を中心に、悲観側をやや厚くした。黒字が定着したのは確かな前進なので、赤字に戻る筋書きを主役にはしない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/01 期)
確率で加重した株価時価総額 65 円36 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 4 円2 億円)。 今の値に割り戻すと 28 円15 億円、今との差 −70.4%、 期待の年率 −2.9%(資本コスト 10.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 249 円137 億円 | 18 円10 億円 | +187.7% | +11.1% | 16 円9 億円 |
| やや楽観 | 17% | 106 円58 億円 | 7 円4 億円 | +21.6% | +2.0% | 19 円11 億円 |
| 中立 | 40% | 69 円38 億円 | 4 円2 億円 | −21.5% | −2.4% | 29 円16 億円 |
| やや悲観 | 23% | 16 円9 億円 | 0 円0 億円 | −82.7% | −16.1% | 4 円2 億円 |
| 悲観 | 14% | 7 円4 億円 | 0 円0 億円 | −92.4% | −22.7% | 1 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 65 円36 億円 | 4 円2 億円 | −25.6% | −2.9% | 69 円38 億円 |
今の株価時価総額 93 円51 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 買収で地域の大手に 利益 12 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 249 円137 億円
後継ぎのいない地方のスクラップ業者を次々に取り込み、取扱量は今の3倍に近づく。電炉の増設で国内の引き合いが強まり、銅とアルミのくずは電動化で値段も底堅い。子会社の残りの持分を少しずつ買い取り、少数株主に流れていた利益の一部が株主に戻る。
営業利益率は買収先の集荷の網を束ねた効果で3%台に乗る。借金は増えるが、利益の伸びがそれを上回る。売上1,000億円を超える独立系のリサイクル商社として、業界の再編の受け皿になる。それでも値段は相場で決まり、堀と呼べる強みは集荷の網にとどまる。株主に届く純利益は12億円台に乗るが、買収の株式交付で株数も増えている。
- 金属リサイクル:数量 120(金属スクラップの取扱量(万トン・年、推定))× 価格 8.40(1トンあたりの売上(万円))→ 売上 1,008 億円・営業利益 32 億円。取扱量120万トン(買収で3倍)×1トン8.4万円、利益率3.2%
- プラスチックリサイクル:数量 4.0(再生プラスチックの取扱量(万トン・年、推定))× 価格 7.80(1トンあたりの売上(万円))→ 売上 31 億円・営業利益 1 億円。4万トン×7.8万円、利益率3%
- 不動産関連サービス:数量 140(仲介・解体の受注件数(件・年、推定))× 価格 2.90(1件あたりの売上(百万円))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。140件×290万円
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.0% が k 10.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 137 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:地方の業者の買い集めが続き、子会社の持分も買い取れた時の姿。買収の値段の上昇と相場の波を考えると、起きる確率は低い。
やや楽観 17% 電炉の追い風で利益が定着 利益 6 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 106 円58 億円
電炉の増設が進み、国内の鉄スクラップの引き合いが強まる。会社は既存の子会社の集荷を広げ、小さな買収を数件加えて取扱量を今の2倍強にする。相場は上下するが、10年をならせば値段は物価並みに上がる。
営業利益率は2.8%前後で落ち着き、営業利益は20億円に届く。それでも子会社の利益の一部は少数株主に流れ、借り換えの金利で利払いも増える。株主に届く純利益は6億円弱だ。配当を少し出し始めるが、資金の多くは借金の返済と持分の買い増しに回る。規模は大きくなるが、1株の価値の伸びは売上ほどではない。資本コストに届く手前で、ROEは9%台にとどまる。
- 金属リサイクル:数量 95.0(金属スクラップの取扱量(万トン・年、推定))× 価格 8.30(1トンあたりの売上(万円))→ 売上 789 億円・営業利益 22 億円。95万トン×8.3万円、利益率2.8%
- プラスチックリサイクル:数量 3.5(再生プラスチックの取扱量(万トン・年、推定))× 価格 7.60(1トンあたりの売上(万円))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円。3.5万トン×7.6万円、利益率2%
- 不動産関連サービス:数量 120(仲介・解体の受注件数(件・年、推定))× 価格 2.80(1件あたりの売上(百万円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。120件×280万円
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.2% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 58 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:電炉の増設は決まった計画で、数量の追い風には確かさがある。買収をあと数件重ねれば届く姿なので、中立の次に厚くした。
中立 40% 規模は大きいが利益は薄いまま 利益 4 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 69 円38 億円
2027年1月期に子会社が出そろい、取扱量は約70万トンになる。その後は大きな買収は減り、既存の集荷の網で量を少しずつ増やす。10年後の取扱量は80万トン、値段は物価並みに上がる。
営業利益率は2.5%前後にとどまる。値段は相場で決まり、集荷の取り合いで仕入れの値段も上がるからだ。本社の費用も物価で増える。利払いは金利の上昇で今の倍以上になり、子会社の利益の半分近くは少数株主に渡る。株主に届く純利益は4億円弱だ。
配当はわずかで、利益の多くは借金の返済と設備に回る。会社は黒字を続けるが、資本コストを上回るほどは稼げない。
- 金属リサイクル:数量 80.0(金属スクラップの取扱量(万トン・年、推定))× 価格 8.20(1トンあたりの売上(万円))→ 売上 656 億円・営業利益 16 億円。80万トン×8.2万円(物価1.34倍)、利益率2.5%
- プラスチックリサイクル:数量 3.0(再生プラスチックの取扱量(万トン・年、推定))× 価格 7.40(1トンあたりの売上(万円))→ 売上 22 億円・営業利益 0 億円。3万トン×7.4万円、利益率1%
- 不動産関連サービス:数量 100(仲介・解体の受注件数(件・年、推定))× 価格 2.70(1件あたりの売上(百万円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。100件×270万円
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.7% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 38 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社予想と過去のもうけの薄さを素直につなげた姿。数量の追い風と相場の波、少数株主への流出が釣り合う。
やや悲観 23% 相場の下げで利益が細る 利益 1 億円 · PER 9.8 倍 · 株価時価総額 16 円9 億円
中国の鉄鋼の輸出が増え、アジアのスクラップ相場が長く低迷する。輸出の採算が悪くなり、国内でも集荷の取り合いで仕入れの値段が下がらない。取扱量は買収した子会社の地盤を守るのがやっとで、65万トン前後に落ちる。
営業利益率は1.8%まで下がり、本社の費用と利払いを引くとほとんど残らない。子会社の利益の一部は少数株主に流れ、株主に届く純利益は1億円に満たない。プラスチックは赤字が続く。配当はなく、新たな買収も止まる。会社は存続するが、資本コストに遠く届かない稼ぎしか残らない。借金を減らすのに精一杯で、株主への還元は始まらない。
- 金属リサイクル:数量 65.0(金属スクラップの取扱量(万トン・年、推定))× 価格 8.00(1トンあたりの売上(万円))→ 売上 520 億円・営業利益 9 億円。65万トン×8.0万円、利益率1.8%
- プラスチックリサイクル:数量 2.5(再生プラスチックの取扱量(万トン・年、推定))× 価格 7.00(1トンあたりの売上(万円))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。2.5万トン×7.0万円、赤字
- 不動産関連サービス:数量 80.0(仲介・解体の受注件数(件・年、推定))× 価格 2.60(1件あたりの売上(百万円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。80件×260万円
倍率:ROE2%台で資本コストに遠く届かない。帳簿は床にならないので、稼ぐ力(純利益÷k≒9億円)で置き、PERは1÷kに近い9.75倍。今の自己資本に対するPBRは0.27倍。
確率:スクラップ相場は過去に何度も大きく崩れ、この会社は長く赤字だった。悲観側を厚めにした。
悲観 14% 相場の崩れで赤字に戻る 利益 −6 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 7 円4 億円
スクラップ相場が崩れ、在庫の値下がりで大きな損が出る。借金の利払いが重くのしかかり、銀行は貸し出しに慎重になる。子会社の元の経営者が持分の買い戻しを求め、グループの形が崩れる。
取扱量は55万トンまで減り、営業は赤字に戻る。資金繰りのために再び新株予約権や第三者割当で株を出し、既存の株主の取り分は薄まる。資本コストどころか、利益そのものが出ない年が続く。少数株主には清算を決める力はなく、帳簿の資産は稼がないまま残る。2010年代と同じ姿に戻る。株価は帳簿の1割強まで沈み、新しい株主に安く株を渡すことになる。
- 金属リサイクル:数量 55.0(金属スクラップの取扱量(万トン・年、推定))× 価格 7.50(1トンあたりの売上(万円))→ 売上 413 億円・営業利益 1 億円。55万トン×7.5万円、利益率0.3%
- プラスチックリサイクル:数量 2.0(再生プラスチックの取扱量(万トン・年、推定))× 価格 6.50(1トンあたりの売上(万円))→ 売上 13 億円・営業利益 −1 億円。2万トン×6.5万円、赤字
- 不動産関連サービス:数量 50.0(仲介・解体の受注件数(件・年、推定))× 価格 2.40(1件あたりの売上(百万円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。50件×240万円
倍率:赤字なのでPBRで置く。累損で自己資本は細り、増資で埋める。稼ぐ力がないので床は帳簿でなく、今の自己資本32.9億円に0.12倍を掛けた。
確率:2010年代の大半を赤字で過ごし、継続企業の前提の注記が長く付いていた会社なので、赤字に戻る筋書きを1割強置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
金属リサイクル
鉄・銅・アルミ・ステンレスのくずを集めて破砕・選別し、国内と中国・韓国・東南アジアに売る。
| 数量金属スクラップの取扱量(万トン・年、推定) | 価格1トンあたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 40.0 | 6.13 | 245 | 8 |
| 10 年後 中立 | 80.0 | 8.20 | 656 | 16 |
取り方:取扱量は開示が無いので推定。売上245億円を、鉄と非鉄を混ぜた平均の単価1トン6.1万円前後で割って約40万トンと置いた。2027年1月期は龍一商事・栄新商事が通年で入り、取扱量は約70万トンに増える見込み。
プラスチックリサイクル
PETなど再生プラスチックの輸入・加工・販売。
| 数量再生プラスチックの取扱量(万トン・年、推定) | 価格1トンあたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 2.8 | 5.50 | 15 | 0 |
| 10 年後 中立 | 3.0 | 7.40 | 22 | 0 |
取り方:取扱量の開示は無い。売上15.4億円を再生PETの平均単価1トン5.5万円前後で割った推定。
不動産関連サービス
中国系顧客向けの不動産売買・仲介と、建物・住宅の解体。
| 数量仲介・解体の受注件数(件・年、推定) | 価格1件あたりの売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 95.0 | 2.00 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 100 | 2.70 | 3 | 1 |
取り方:件数の開示は無い。売上1.9億円を1件200万円前後と置いた推定。
リスクと懸念
スクラップ相場の急落
中国の鉄鋼の輸出が増えればアジアのスクラップ相場は崩れる。仕入れと販売の値段の差で稼ぐ商いなので、相場が急に下がると在庫の値下がりがそのまま損になる。営業利益率2%の会社では、相場の1割の下げで1年分の利益が消えうる。
少数株主への利益の流出
主な子会社の持分は5割強にとどまり、子会社の利益の半分近くは残りの持ち主に渡る。持分を買い取るには借入か株式交付が要り、どちらも株主の取り分を削る。
借金と金利
借入と社債は約47億円で、自己資本を上回る。借り換えの金利が3.5%前後に上がれば、利払いは今の倍以上になる。相場の悪い年と重なれば、財務の余裕は一気に細る。
株数の増加
買収は株式交付で、資金繰りは新株予約権で手当てしてきた。過去20年の多くの期で株数が増えている。規模が大きくなっても、1株の価値が同じだけ増えるとは限らない。
経営と開示の確かさ
2026年8月に、第三者割当で集めた資金の使い道の記載を訂正した。本社は10人ほどで、各地の子会社の管理が利益の確かさを左右する。長い赤字の歴史もあり、経営の資本の配分には慎重に見るべきだ。
今後の分かれ目
- 子会社の残りの持分を現金で買い取り、純利益が営業利益の5割近くまで戻る
- 株主に届く利益が倍近くになり、やや楽観の筋書きに近づく。
- 中国の鉄鋼の輸出が増え、アジアの鉄スクラップ相場が2割以上下がる
- 営業利益はほぼ消え、やや悲観から悲観の筋書きに寄る。
- 株式交付や新株予約権による新しい買収が続く
- 売上は伸びても1株の価値の伸びは鈍い。中立の筋書きのままと見る。
- 日本製鉄やJFEの電炉が予定どおり動き、国内のスクラップの引き合いが強まる
- 数量と値段の両方が支えられ、営業利益率3%台が視野に入る。
- 借金が自己資本の1倍を下回るまで減る
- 財務の不安が薄れ、借金の上乗せを外して考えられる。
見ておくもの
- 純利益÷営業利益(少数株主への流出の大きさ)
- 鉄スクラップ・銅くずの相場と中国の鉄鋼輸出
- 借入と社債の残高、利払い
- 株式交付・新株予約権による株数の増え方
- 子会社の持分の買い増し
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価や過去のPERから置いていない。中立の10年ROEは6%台で資本コスト10%を下回るので、PERの上限は1÷kの約10倍で、その8割に置いた。楽観だけROEがkを上回り、弱い堀(残る割合1/3)の正当化PERの約8割にした。悲観側は稼ぐ力(純利益÷k)と今の自己資本に掛けたPBRで置いた。今の時価総額49億円に寄せた筋書きは作っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 8.5→11.11 倍・やや楽観 PER 9→10 倍・中立 PER 8→10 倍・やや悲観 PER 10→9.75 倍)。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に質の上乗せ2.25%。事業は傾いておらず、上乗せ(extra)は置かない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.75% → 10.00%。