結論
南陽は福岡市に本社を置く専門商社だ。九州で日立建機の建設機械を売り、貸し、半導体製造装置や産業用ロボットの部品を全国の工場へ納める。売上の6割が産業機器、4割が建設機械で、砕石が少しある。
筆者の結論は、今の値段はほぼ適正というものだ。事業そのものの稼ぐ力は、10年かけて物価に沿って伸びる程度で、倍率も10倍前後が妥当になる。割安に見えるのは、時価総額の4割強にあたる純現金を含めて測るからで、その現金は戻る保証がない。
強みは、九州の建機で長年の取引先を持つことと、産業機器でディスコやハーモニック・ドライブといった強い部品メーカーの製品を扱うことだ。弱みは、どちらも仕入先に頼る商売で、仕入先が販売の方針を変えれば、値段も量も揺れる点にある。
配当は利益の35%程度で、年間の下限配当も設ける。現金は毎年およそ15億円ずつ積み上がっており、筆者はこの使い道が今後10年の価値を左右すると見る。買収を重ねて産業機器を広げているが、買う値段次第で現金は価値を増やしも壊しもする。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、南陽は「分かりやすいが、大きくは育たない」会社だ。
事業の本質は、メーカーと顧客の間に立つ販売と貸し出しである。この商売は10年後も存在する。建機は更新が必要で、半導体や工場の自動化は長期に続く。ただし、利益が物価を超えて伸びるだけの堀はない。
オーナー利益、つまり再投資を引いた株主のものになる利益は、純利益のうち貸出機械の入れ替えで消える分を除いた額になる。物価が上がれば入れ替えの費用が先に増え、会計上の利益より手元に残る現金は細る。
経営は堅実だが、資本の使い方は保守的だ。現金を積み上げ、ROEは8%台にとどまる。筆者がこの会社を持ち続けたいと思うのは、現金が株主に戻るか、有効な買収に使われると信じられる時だけだ。
安全域は厚い。楽観でも悲観でも、純現金が下値を支える。ただし現金の半分は少数株主の自由にならないので、帳簿の額をそのまま足し上げない。
何で稼ぐ会社か
南陽は1953年に福岡市で西日本ベアリングとして生まれ、機械や部品を商う専門商社に育った。2026年3月期の連結売上は368億円。内訳は産業機器220億円、建設機械144億円、砕石4億円だ。
建設機械事業は、日立建機を主な取引先とし、九州・沖縄の建設会社へ油圧ショベルなどを販売する。子会社の南陽レンテックが貸し出しも手がけ、南陽重車輌は中古の産業用車両を扱う。利益は21億円と、売上の1割5分ほどが残る高い収益性を持つ。貸し出し用の機械には、毎年20億円台の投資が要る。
産業機器事業は、安川電機、ハーモニック・ドライブ・システムズ、ディスコ、不二越などの製品を製造業へ売る。半導体装置メーカーや産業ロボットメーカーが顧客に多く、需要は半導体の設備投資と連動する。共栄通信工業や戸髙製作所のように自社で作る子会社もあり、2024年に超音波洗浄機のAQUAPASS、2026年3月に流体制御機器のアプリオリ(取得額約12億円)を加えた。利益は14億円で、売上の6.5%にとどまる。
砕石事業は子会社の共立砕石所が行う。規模は小さく、建機の販売先を持つ意味合いが強い。連結従業員は521人。本社の費用などの調整額が営業利益を約8億円押し下げ、連結の営業利益は28億円になる。
優良さと弱いところ
南陽の優良さは、取引先の厚みと財務の堅さにある。ただし堀、つまり他社がまねできない強みは、強いとは言えない。
良い点は三つある。第一に、日立建機の九州での販売実績が長く、建機の利益率が15%近い。第二に、産業機器では世界で競争力のある部品メーカーの製品を扱うので、顧客が替える手間がそれなりにある。第三に、純現金が95億円、自己資本比率が65%と、不況で潰れる心配がほとんどない。
悪い点も三つある。仕入先に依存しており、日立建機が九州の販売網を変えれば建機事業の中身が変わる。産業機器の利益率は6%台で、卸としては普通の水準だ。純利益に占める保有株の配当や売却益の比重も無視できない。
資本の使い方は、可もなく不可もない。配当性向35%は、ROEが8%台の会社としては控えめで、現金が積み上がる。過去10年のROEは中央値で8.4%、資本コストをわずかに上回る程度だ。買収は小型で、産業機器の取扱いを増やしているが、成果はまだ数字に表れていない。
堀は普通、収益の質は並。それが筆者の判断である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
南陽の収益は、国内の建設投資と、半導体・ロボット向けの設備投資という二つの景気に左右される。
建設機械では、日本建設機械工業会が2026年度の出荷額を3兆円強と見込み、前年度並みとする。このうち輸出が7割を占めるので、国内向けは9千億円規模で横ばいに近い。人口は減るが、人手不足でオペレーターの確保が難しく、買うより借りる流れが強まる。南陽レンテックには追い風だが、貸出機械の価格が上がれば、減価償却の負担も増える。
九州では、熊本のTSMC第2工場(最先端の3ナノメートル品を2028年に量産する計画)を中心に、半導体の工場建設が続く。工場の建設は建機を、稼働は装置と部品を必要とする。南陽はどちらにも売れる位置にいる。
産業機器の商社は、全国に数百社ある。ミスミやトラスコ中山のようにカタログと在庫で戦う会社や、メーカー系の技術商社とも競合する。メーカーが直販に切り替える動き、いわゆる中抜きが、長期の最大の脅威だ。
10年後の見方はこうだ。建機の台数はほぼ横ばい、産業機器は取引先が少し増え、物価の分だけ売上は増える。
資本政策と M&A
配当は連結純利益の35%程度を目安とし、年間の下限配当も設けている。2026年3月期の配当総額は約8億円で、2027年3月期は1株あたりやや減る見込みだ。自社株買いも少しずつ行っており、金額の方針は示していない。
純現金は95億円と時価総額の45%に当たる。10年前の14億円から積み上がった。運転資金と貸出機械の入れ替え、買収の余力に当たる分を除くと、約50億円が余りと見られる。ただし毎年の還元が利益の4割にとどまるので、戻り方は半分とみて評価する。
持ち合い株は上場16銘柄で26億円。ディスコ、ハーモニック・ドライブ、三井住友FGなど、取引先の株が中心だ。配当は利益に入っているので、価値としては別に足さない。当期は3銘柄を売り、保有を減らす方針である。
株主優待はない。店舗は持たず、リースの負担は小さい。
買収は産業機器で重ねており、アプリオリの取得額は約12億円。大きな買収より小型の積み重ねなので、失敗しても傷は浅い。kabufuの試算では10年以内の買収・TOBの確率は26%あり、時価総額が小さく現金が厚いこの会社は、買われる側としても魅力がある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
九州は日本で最も設備投資が集まる地域の一つだ。南陽はその中心の福岡に本社を置き、北九州、熊本、大分、鹿児島に拠点を持つ。熊本のTSMCは第2工場で最先端の3ナノメートル品を作る計画で、周辺の道路、造成、関連工場の建設が10年続く。建機の台数は国内全体で横ばいでも、九州だけは上振れる。
さらに人手不足でオペレーターが足りず、買うより借りる流れが強まる。貸出は一度顧客になれば入れ替えも任されやすく、売り切りより収益が安定する。南陽レンテックが貸出機械を増やせば、利益率はさらに上がる。
産業機器は半導体装置と産業用ロボットの部品を扱い、世界の需要が伸びる分野に近い。アプリオリなど買収した会社が、半導体の流体制御という成長分野への入口になる。取引先数は2割ほど増える。
そのうえ純現金が時価総額の45%ある。買収に使えば産業機器は倍の規模も見える。割安に放置された小型株の典型で、配当方針の見直しや買収提案も十分ありうる。10年前に14億円だった純現金が95億円に増えたのは、事業が毎年きちんと現金を生んでいる証拠でもある。
慎重な見方
南陽の売上の大半は、日立建機などの代理店としての販売と、半導体向けの部品取引である。会社自身に、他社が真似できない商品や技術があるわけではない。どちらも仕入先の都合で値段も量も変わる。メーカーが直販を強めれば、中抜きされる。建機は国内向けが横ばいで、更新需要も輸出に比べて弱い。
産業機器の利益率は6.5%と低く、2026年3月期は利益が16%減った。半導体の設備投資は波が大きく、谷では利益が半分になる。熊本の工場建設も、投資が一巡すれば需要は急に細る。
現金が積み上がっているのは、使い道がないからだ。配当性向は35%と低く、ROEは8%台。10年後も同じ形なら、現金はさらに増えるだけで、少数株主に戻る保証はない。買収も、高値づかみになる可能性が高い。取引先の株を26億円も持つのは、資本をうまく使えていない姿にも見える。
貸し出しの機械は、物価の上昇で入れ替え費用が膨らむ。利益の見かけは増えても、手元に残る現金は細る。
どちらに重みを置いたか
どちらも事実だが、慎重な見方がやや強い。九州の追い風は実在するが、建機の台数は国内全体で横ばいで、産業機器の利益率の低さも続く。仕入先依存は構造的な弱みだ。現金の厚みは下値を支えるが、戻り方が半分程度では価値を押し上げる力が限られる。確率は中立に38%を置き、強気側の合計を28%、慎重側の合計を34%とした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 3,980 円479 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 830 円100 億円)。 今の値に割り戻すと 2,604 円313 億円、今との差 +41.5%、 期待の年率 +10.1%(資本コスト 7.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 7,471 円899 億円 | 1,196 円144 億円 | +371.0% | +16.8% | 607 円73 億円 |
| やや楽観 | 21% | 5,777 円695 億円 | 1,005 円121 億円 | +268.6% | +13.9% | 1,424 円171 億円 |
| 中立 | 38% | 4,525 円545 億円 | 897 円108 億円 | +194.7% | +11.4% | 2,060 円248 億円 |
| やや悲観 | 24% | 1,913 円230 億円 | 648 円78 億円 | +39.2% | +3.4% | 615 円74 億円 |
| 悲観 | 10% | 653 円79 億円 | 382 円46 億円 | −43.7% | −5.6% | 104 円12 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,980 円479 億円 | 830 円100 億円 | +161.4% | +10.1% | 4,809 円579 億円 |
今の株価時価総額 1,840 円221 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 九州の設備投資ブームと産業機器の拡大 利益 45 億円 · PER 18.4 倍 · 株価時価総額 7,471 円899 億円
熊本の半導体工場に続く関連投資で、九州の建機需要が全国より強く伸びる。南陽レンテックの貸出が増え、建機事業は台数が1割増える。産業機器は半導体装置と流体制御の取引先が2,800社まで広がり、買収した会社が新しい顧客を連れてくる。営業利益率は連結で8.7%まで上がり、過去の最高7.8%を上回る。これは貸出の稼働率と産業機器の規模の効果が重なった場合に限る。現金は買収と配当で使われ、還元は純利益の4割を超える。ただし、ここまで伸びるには、仕入先との関係が10年間変わらず、買収した会社が計画どおりに働く必要がある。M&Aが当たれば、産業機器は純現金を元手に倍の規模へ育つ道もある。株主還元が厚くなれば、現金の戻り方も改善する。
- 建設機械事業:数量 10,600(新車換算の取扱台数(台))× 価格 206(1台あたり年間売上(万円。販売・貸出・部品サービスの合計))→ 売上 218 億円・営業利益 34 億円。利益率15.5%
- 産業機器事業:数量 2,800(取引先数(社))× 価格 1,608(1社あたり年間売上(万円))→ 売上 450 億円・営業利益 36 億円。利益率8.0%
- 砕石事業:数量 30.0(出荷量(万トン))× 価格 2,010(1トンあたり単価(円))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。利益率11%
倍率:事業の純利益 43 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.9% が k 7.05% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)105 億円。全体の PER 18.41 倍、時価総額 899 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:九州の半導体投資が10年続き、貸出需要と産業機器の買収の双方が当たる必要がある。条件が多く重いので7%にとどめる。
やや楽観 21% 九州の需要が全国を上回り、産業機器が着実に増える 利益 37 億円 · PER 17.1 倍 · 株価時価総額 5,777 円695 億円
建機は台数が5%増え、貸出の稼働が高く保たれる。九州では工場、道路、造成と案件が途切れない。仕入先との関係は安定し、日立建機の九州での販売網は今のまま続く。産業機器の買収も、取引先の拡大という形で数字に出始める。産業機器は買収したアプリオリとAQUAPASSが戦力になり、取引先が2,600社に増える。利益率は連結で8.1%と過去の最高を少し上回る。現金は買収に一部使われるが、配当性向は40%に引き上げられる。九州の追い風が全国平均を上回り続け、貸出の稼働が保たれる、比較的良い展開である。買収は小型で成果が出るものが半分ほどと見る。保有株の評価益も自己資本を支える。還元は今より厚くなるが、現金は余り続ける。
- 建設機械事業:数量 10,000(新車換算の取扱台数(台))× 価格 203(1台あたり年間売上(万円。販売・貸出・部品サービスの合計))→ 売上 203 億円・営業利益 30 億円。利益率14.8%
- 産業機器事業:数量 2,600(取引先数(社))× 価格 1,487(1社あたり年間売上(万円))→ 売上 387 億円・営業利益 29 億円。利益率7.4%
- 砕石事業:数量 29.0(出荷量(万トン))× 価格 2,010(1トンあたり単価(円))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。利益率10%
倍率:事業の純利益 35 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.7% が k 7.05% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.9%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)98 億円。全体の PER 17.14 倍、時価総額 695 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:九州の半導体投資と人手不足による貸出増は、すでに数字に出始めている。業績の上位に近い想定で、2割の確率。
中立 38% 物価に沿って伸びる安定した専門商社 利益 30 億円 · PER 15.9 倍 · 株価時価総額 4,525 円545 億円
九州の建機需要は台数で横ばい、価格は物価並みに上がる。人口は減るが、人手不足による貸出の増加と、半導体工場の建設が相殺する。貸出機械の入れ替え費用が先に膨らむので、建機の利益率は14%と今よりわずかに下がる。産業機器は買収で取引先が2,400社に増え、1社あたりの売上も物価を少し上回る。営業利益は物価の分だけ伸び、本社費も物価で増える。買収したアプリオリなどは取引先の拡大に貢献するが、利益率を大きく変えるほどではない。現金は年15億円ずつ積み上がるが、買収や貸出機械の入れ替えに回り、余りは今の2倍強にとどまる。会社が掲げるROE8%以上の目標は、おおむね守られる。連結の利益率は7.5%と過去の山並みにとどまる。純現金は貸出機械の更新と買収に使われながら、一部は積み上がる。還元は純利益の4割で、配当は今の水準を維持する。
- 建設機械事業:数量 9,600(新車換算の取扱台数(台))× 価格 201(1台あたり年間売上(万円。販売・貸出・部品サービスの合計))→ 売上 193 億円・営業利益 27 億円。利益率14.0%
- 産業機器事業:数量 2,400(取引先数(社))× 価格 1,380(1社あたり年間売上(万円))→ 売上 331 億円・営業利益 23 億円。利益率6.8%
- 砕石事業:数量 27.5(出荷量(万トン))× 価格 2,010(1トンあたり単価(円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。利益率8%
倍率:事業の純利益 29 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.0% が k 7.05% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)90 億円。全体の PER 15.94 倍、時価総額 545 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の建機は横ばい、半導体向けは波がありつつ緩やかに伸びる。南陽の実力どおりの落としどころで、最も厚く置く。
やや悲観 24% 九州の追い風が弱まり、産業機器の利益率が下がる 利益 20 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 1,913 円230 億円
半導体投資が一巡し、九州の建設需要も落ち着く。熊本の工場建設が終わると、建機の稼働率が下がり、貸出機械の余りが出る。建機は台数が1割減り、競争で価格の上がり方が鈍る。産業機器は取引先が減り、利益率は5%に下がる。半導体装置メーカーの設備投資は2年ほどで半分になることがあり、その谷が長引く。買収した産業機器の子会社も同じ波を受け、のれんの負担が重くなる。建機は国内の更新需要が輸出に比べて弱く、価格競争も強まる。メーカーの直販に押され、代理店の取り分が削られる。純現金は谷で一部を食い、還元は純利益の3割台に下がる。減配までは至らないが、現金の積み上がりは止まり、買収の余力も細る。
- 建設機械事業:数量 8,900(新車換算の取扱台数(台))× 価格 195(1台あたり年間売上(万円。販売・貸出・部品サービスの合計))→ 売上 174 億円・営業利益 21 億円。利益率12.2%
- 産業機器事業:数量 2,150(取引先数(社))× 価格 1,254(1社あたり年間売上(万円))→ 売上 270 億円・営業利益 14 億円。利益率5.0%
- 砕石事業:数量 24.0(出荷量(万トン))× 価格 1,900(1トンあたり単価(円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。利益率6%
倍率:事業のROEは約5%でk以下なのでPERは1÷k=12倍が上限。ためた利益は額面未満の価値と見て、上限の7割強の9.0倍に置く。
確率:半導体の設備投資は波が大きく、10年のうち一度は谷を通る。建機も輸出向けに比べて国内は弱い。確率は中立に次ぐ2割台の中盤。
悲観 10% 仕入先の販売方針の転換で代理店の価値が失われる 利益 7 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 653 円79 億円
日立建機が九州の販売網を再編し、直営の拠点や別の販売会社に比重を移す。南陽の建機の台数と利益が大きく削られる。産業機器も、メーカーの直販が進み、取引先が減る。営業利益率は2%台まで落ち、本社費は固定で残る。純現金は赤字の穴埋めと失敗した買収に使われ、半分が減る。清算されない限り少数株主は現金を自由にできないため、現金の価値も半分に見る。本社費と人件費は固定的に残り、利益は底をつく。買収した会社ののれんの減損も起こりうる。現金と保有株が下支えとなり、倒産や大幅な減配には至らないが、株主にとっては長い停滞の10年になる。
- 建設機械事業:数量 7,000(新車換算の取扱台数(台))× 価格 180(1台あたり年間売上(万円。販売・貸出・部品サービスの合計))→ 売上 126 億円・営業利益 10 億円。利益率8.0%
- 産業機器事業:数量 1,750(取引先数(社))× 価格 1,140(1社あたり年間売上(万円))→ 売上 200 億円・営業利益 6 億円。利益率3.0%
- 砕石事業:数量 20.0(出荷量(万トン))× 価格 1,800(1トンあたり単価(円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。利益率4%
倍率:事業のROEは1〜2%でk以下。稼ぐ力(事業の純利益÷k)と手元の現金で値を付けた。PER8.0倍は上限1÷kの7割弱。
確率:日立建機が九州の販売を直営や他社に切り替える、半導体向けの代理権を失うなど、仕入先依存の弱みが表に出る筋書き。10年なら十分ありうるので1割。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建設機械事業
日立建機などの建設機械を九州・沖縄で販売し、子会社が貸し出す。中古の産業用車両も扱う。
| 数量新車換算の取扱台数(台) | 価格1台あたり年間売上(万円。販売・貸出・部品サービスの合計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 9,590 | 150 | 144 | 21 |
| 10 年後 中立 | 9,600 | 201 | 193 | 27 |
取り方:売上143.9億円に貸出・中古・部品を含む。九州の建機市場(新車・貸出・中古)を約2,000億円、南陽のシェアを約7%と置き、新車換算の平均価格を約1,500万円とみて、台数換算9,590台、1台あたり売上150万円とした(台数は開示がなく推定)。
産業機器事業
安川電機、ハーモニック・ドライブ、ディスコ、不二越などの部品・機器を製造業へ販売。一部は子会社で製造。
| 数量取引先数(社) | 価格1社あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,200 | 1,000 | 220 | 14 |
| 10 年後 中立 | 2,400 | 1,380 | 331 | 23 |
取り方:売上219.9億円を、取引のある製造業・装置メーカー約2,200社(推定)で割り、1社あたり約1,000万円とした。アプリオリは2026年3月25日取得のため今の数字に入らない。
砕石事業
子会社の共立砕石所が砕石を製造・販売する。
| 数量出荷量(万トン) | 価格1トンあたり単価(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 29.0 | 1,500 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 27.5 | 2,010 | 6 | 0 |
取り方:売上4.36億円を単価約0.15万円で割り、出荷量約29万トンとした(推定)。
リスクと懸念
仕入先への依存
建機は日立建機、産業機器は特定の部品メーカーに依存する。仕入先が販売方針を変えれば、代理店の利益と台数が大きく揺れる。九州の販売網の再編や直販への切り替えが、最大の構造的な懸念だ。
半導体の設備投資の波
産業機器の利益は半導体装置とロボットの設備投資に連動する。2026年3月期は産業機器の利益が16%減った。谷では利益が半分になる実績が業界にあり、買収した会社の収益もこの波に乗る。
貸出機械の入れ替え費用
貸出用の機械は毎年20億円台を投じて入れ替える。物価が上がると取得価格が先に膨らみ、減価償却が遅れて増える。会計上の利益は伸びても、手元に残る現金は細る。
買収の実行
産業機器は買収で広げており、2026年3月のアプリオリは約12億円。小型ゆえ傷は浅いが、現金95億円を高値の買収に使えば、価値を壊す。成果が数字に出るまで時間がかかる。
現金が株主に戻らない可能性
配当性向は35%程度で、純現金は10年で14億円から95億円へ積み上がった。中立の評価でも戻り方は半分と見ており、方針が変わらなければ割安は埋まらない。
保有株の価格変動
上場16銘柄26億円を持つ。ディスコ、ハーモニック・ドライブ、三井住友FGが中心で、価格が下がれば自己資本が減る。縮減方針はあるが、売却の速度は遅い。
九州に集中した建機
建設機械事業は九州・沖縄に集中する。災害、地域の公共投資の増減、半導体工場の建設ペースの変化が、そのまま業績に響く。
今後の分かれ目
- 日立建機が九州の販売網を再編すると発表したら
- 建機事業の台数と利益が構造的に削られる。やや悲観・悲観側に確率を寄せる。
- TSMC熊本の第2工場の投資が前倒し・増額されたら
- 建機の貸出と産業機器の双方が上振れる。やや楽観側に確率を寄せる。
- 配当性向の引き上げや大型の自社株買いを会社が発表したら
- 現金の戻り方を1.0に近づけて評価でき、価値が上がる。
- 産業機器の営業利益率が2期連続で7%を超えたら
- 買収の成果が出ている証拠で、楽観側の確率を上げる。
- 半導体の設備投資が2年以上の谷に入ったら
- 産業機器の利益が半減する。やや悲観側に確率を寄せ、減配の可能性を見る。
- 1件で純現金の3割を超える大型の買収を発表したら
- 失敗の確率を上げ、現金の価値を下げて評価し直す。
見ておくもの
- 建設機械・産業機器それぞれの営業利益率
- 貸出用資産の投資額と減価償却
- 純現金の増減と還元の水準
- アプリオリなど買収した会社の売上・利益
- 九州の半導体工場の投資計画と建設の進み方
倍率と資本コストの決め方
倍率は正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)を、事業のROEと普通の堀(残る割合1/2)から出した。中立は式の上限12.5倍と下限1÷k=12.05倍の間に置いた。今の株価は見ていない。純現金95億円のうち運転資金と貸出機械の更新に要る約半分を除いた50億円を余りとし、戻り方は0.5とした。筋書きに応じて現金は積み上がる前提で別に置いた。新リース会計基準では賃借が少ないため数字の形はほとんど変わらないが、10年後の数字は家賃を費用に入れた今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.2→18.41 倍・やや楽観 PER 12.6→17.14 倍・中立 PER 12.1→15.94 倍)。
資本コスト 7.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityを足した(決まり v2)。個別の事業リスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.30% → 7.05%。