結論
オプティマスグループは、日本の中古車をニュージーランド(NZ)や英国へ輸出する専門商社だ。2023年に豪州の新車ディーラー網を、2024年に豪州の陸送会社を買い、売上は2年で5倍の3,155億円になった。筆者の結論は「やや割高」だが、振れ幅が大きく、確信は弱い。事業は広がったが、財務が薄氷だからだ。
最大の事情は、買収で背負った金融費用だ。2026年3月期の営業利益は98億円、金融費用は64億円。営業利益の3分の2が利払いに消え、親会社株主の利益は25億円にとどまる。ディーラー向けの在庫金融(フロアプラン)は在庫そのものが担保で、事業の道具でもあるが、金利と在庫の水準に利益が左右される。
伸びしろも実際にある。NZの輸入中古車市場は年7.8万台と、平年の10万〜12万台に届かない底にある。回復すれば、シェア4割の日貿は取扱台数が増える。英国・アイルランド向けは前年の約3倍で、NZ一本の弱点を補う。会社は営業利益150億円超、ROE15%超を掲げる。
ただ、豪州では中国メーカーが新車の3割を握り、ディーラーの利ざやを削っている。10年の中立では、営業利益は名目で1.7倍の170億円ほどまで伸びるが、利払いも増え、ROEは9%台にとどまる。中立の姿は今の時価総額を上回るが、確率で重みを付けた価値は1割ほど下回る。悲観では劣後ローンと借入が株主の取り分を食い、下振れが深いからだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「稼ぎはあるが、借金が株主の取り分を押しのける会社」だ。まず稼ぎを見る。営業利益98億円は、買収前の30億円から3倍以上になった。次に、その稼ぎが誰のものかを見る。営業利益の3分の2は利払いで消え、残りの一部は劣後ローンの分配に回る。
在庫金融は、ディーラーの商売の一部で、すべてを悪い借金と見るのは酷だ。車が売れれば返せる在庫が担保だ。ただ、車が売れなくなる時に在庫が値下がりし、金利が上がる時に利払いが増える。両方が同時に来たら、株主の取り分は真っ先に消える。
資本の使い方では、買収で売上を伸ばしたが、利益の伸びが追いついたかは未検証だ。のれんの定額償却をやめたIFRSの数字は、見かけの利益を押し上げる。筆者は、のれんが減損の対象になる点を、悲観の筋書きに織り込んだ。
そのうえで、中立の姿は今の値段を上回る。ただし輸出の回復と豪州の安定が揃えばという条件付きで、崩れた時の下振れが深い。確率で重みを付ければ、安全域は薄く、割安と言い切れる材料にはならない。
何で稼ぐ会社か
売上3,155億円の中心は、豪州の新車ディーラー事業だ。2023年に買収したAutopactが、国内屈指の販売網で新車・中古車を売り、売上の約3分の2を占めるとみる。ただし、利益率は2%ほどで、金融費用が重い。
稼ぎの源は、日貿が営む中古車の輸出入だ。日本のオークションで車を仕入れ、NZを中心に英国・アイルランドなどへ送る。年間の取扱いは約5万台で、NZ向けが約6割、他国向けが約4割。NZでは輸入中古車の約4割を扱う。
周辺の事業が、輸出の強さを支える。車検にあたる検査事業(JEVIC)は、NZの輸入車に加えスリランカなど新しい国の指定を取り、増収増益。NZでは修理・整備などのサービスも持つ。2024年5月に買った豪州の内陸輸送会社Autocareは、月商約30億円。新車の陸送で、リース取引が大きい。
各事業の売上と利益は開示されず、筆者の推定だ。円相場と豪ドル・NZドルの動きが、円換算の売上と利益に直接効く。会社は日本・NZ・豪州・英国の4拠点にまたがる構成で、どの国の景気や規制が崩れても、一部の事業が傷む。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、NZの輸入中古車の約4割を扱う規模と、検査・輸送まで握る一貫した仕組みにある。仕入れ、船積み、現地の検査、販売をつなぐので、台数が増えるほど単価を下げられる。NZの市場が縮んだ年にも、シェアは35%ほどを保ち、回復期に4割へ戻した。
だが、ほかの事業に堀は薄い。豪州のディーラーは、どのメーカーの車を売るかで利益が決まる。売る車の主導権はメーカーにあり、中国ブランドが新車の3割を押さえた今、値引きの圧力が強まった。陸送は契約の更新が重なる年に、価格が動く。
経営の舵取りには、速さと危うさが同居する。2年でディーラーと陸送を買い、売上を5倍にしたのは果断だ。一方、自己資本比率は20%、営業利益に対する支払利息は1.5倍と、財務の余裕は乏しい。旧目標の自己資本比率30%は意味をなさなくなったと、会社自身が認めた。
資本効率は、のれんの償却を止めたIFRSに移ってから見かけが良くなったが、ROEは5.9%だ。劣後ローン102億円を純資産に含めた数字でもある。目標のROE15%は、利払いを営業利益の範囲に収めて初めて見えてくる水準だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
中古車の輸出は、為替と相手国の規制で波打つ市場だ。NZは、中古車輸入に排ガス・安全の基準があり、その見直しで年によって台数が大きく動く。2026年3月期は7.8万台と、リーマン後の8.4万台を下回る底だった。規制緩和で回復が見込まれるが、戻りの速さは読みにくい。
英国・アイルランドは、日本車の人気が高く、輸出が急に伸びる。前年の約3倍という数字は小さな母数からの伸びで、安定した市場に育つかはこれからだ。他国の輸出も含めた他社との競合は、買い付けの価格競争になる。
豪州の新車市場は、年に120万台前後と大きく、成熟している。ここで変わったのは、中国メーカーの台頭だ。2026年4月には日本メーカーの合計を上回る30%のシェアで首位に立った。電気自動車の比率も、昨年の8%以下から約17%に上がった。ディーラーは取り扱うブランドの入れ替えを迫られる。
10年の中立では、NZの輸入台数は10万台近くまで戻り、英国向けが積み上がって、輸出全体は台数で4割強増えると置いた。豪州の新車市場は台数が横ばいで、ブランドの顔ぶれが入れ替わり、ディーラーの利ざやは2%に張りつく。物価の分は車の値段に乗るが、乗りきらない部分が出る。
資本政策と M&A
還元の軸は、DOE(株主資本配当率)4.5%だ。2025年5月に、連結配当性向30%から切り替えた。基準は劣後ローンを除いた株主資本で、利益が減る年も配当が極端に落ちない設計になっている。自己資本が増えれば、配当の額も増える仕組みだ。
財務の構造は、買収で一変した。総資産は2,144億円で、うち在庫金融とリースが両建てで膨らむ。2026年3月に永久劣後ローン102億円を調達し、純資産に計上した。自己資本比率は15.4%から19.6%に上がったが、在庫金融を除いた修正値でも24.7%にとどまる。
資金の使い道は、豪州のディーラー買収の積み増しが中心だ。会社は成長のために新しい買収を続ける姿勢だが、買う金は借入と劣後ローンで賄うことになる。筆者は、買収のたびに株主の取り分が薄まらないかを一番に見る。劣後ローンの利払いは筆者が年5億円と推定し、普通株の利益から引いた。
自社株買いの実績は目立たない。自己株は発行済みの11%ほどある。株主優待は確認できず、今回は考慮していない。買収される側になる可能性は、時価総額に比べて負債が大きいので低いとみる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
回復の局面にある。NZの輸入車市場は、平年の10万台に対して7.8万台の谷にあり、規制の緩和で戻れば、シェア4割の日貿は何もしなくても台数が増える。英国・アイルランド向けは、過去3年の年平均で2倍を超える伸びで、いまや他国向けが輸出の4割を占める。NZ頼みの構図は崩れた。
豪州も、ディーラーの再編を握る立場だ。中国メーカーが台頭する中、小規模のディーラーが手放す店を買い集めるロールアップは、買う側にとって安く規模を取れる好機になる。取扱台数が増えれば、メーカーとの交渉力が上がり、利ざやも持ち直す。
会社の中期方針は、営業利益150億円超、親会社株主利益60億円超、ROE15%超だ。強気の筋書きでは、10年で営業利益は名目で270億円近くまで伸び、金融費用の増加を吸収して、ROEは13%台に乗る。
在庫金融の金利が下がれば、利益はさらに跳ねる。レバレッジが利益を増幅する局面だ。借金の重さは、うまく回れば株主に有利に働く。営業利益が10%増えれば、利払いが固定なので、普通株の利益は2割近く増える。この梃子が効く筋書きが、ここで言う強気だ。
慎重な見方
豪州で、中国メーカーの値引きが止まらない。新車の3割を握った中国ブランドは、電気自動車でさらに伸びる。日本車を売るディーラーは、台数と利ざやの両方を削られる。Autopactの利益率は2%から1%を割り、在庫金融の金利が足を引っ張る。
NZの規制は、緩和どころか逆回転しうる。輸入台数が戻らず、日貿のシェアも4割を守れなければ、輸出の稼ぎが減る。為替が円高に振れれば、円換算の売上と利益も縮む。
財務は、薄氷だ。自己資本比率20%、営業利益に対する支払利息1.5倍の会社は、利益が1割動くだけで余裕がなくなる。のれんの減損が出れば、自己資本が薄まり、劣後ローンと借入の返済が株主の取り分に先んじる。
悲観の筋書きでは、営業利益が50億円ほどに落ち、利払いを引くと赤字になる。それでも事業は残るが、普通株に残る価値は、今の自己資本のごく一部になる。梃子は逆にも効く。営業利益が1割減れば、利払いが固定なので、普通株の利益は2割近く減る。
どちらに重みを置いたか
輸出の回復余地と、豪州の再編で規模を取る機会は本物だ。だが、売上の3分の2を占める豪州のディーラーは、中国メーカーの攻勢で利ざやが細り、借金の利払いが利益の大半を吸っている。このため確率は、中立に4割弱を置き、上は2割強、下は4割に寄せた。悲観は、利払いが営業利益を超え、のれんの減損が出る筋書きを1割強とした。上下の振れ幅は大きく、「やや割高」と読むが、確信は弱い。借金の重さが、結論の信頼度を下げる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 646 円442 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 213 円146 億円)。 今の値に割り戻すと 420 円287 億円、今との差 +26.4%、 期待の年率 +10.0%(資本コスト 8.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,912 円1,309 億円 | 329 円225 億円 | +574.9% | +21.0% | 134 円92 億円 |
| やや楽観 | 16% | 1,225 円838 億円 | 280 円192 億円 | +353.3% | +16.3% | 241 円165 億円 |
| 中立 | 38% | 760 円521 億円 | 249 円171 億円 | +204.1% | +11.8% | 384 円263 億円 |
| やや悲観 | 28% | 123 円85 億円 | 176 円121 億円 | −9.7% | −1.0% | 84 円57 億円 |
| 悲観 | 12% | 101 円69 億円 | 38 円26 億円 | −58.1% | −8.3% | 17 円11 億円 |
| 加重平均 | 100% | 646 円442 億円 | 213 円146 億円 | +158.9% | +10.0% | 859 円588 億円 |
今の株価時価総額 332 円227 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 強気:NZと英国の輸出が伸び、豪州の再編で規模を取る 利益 97 億円 · PER 13.5 倍 · 株価時価総額 1,912 円1,309 億円
NZの輸入中古車が10万台を超え、日貿は4割のシェアを守る。英国・アイルランド向けも定着し、輸出の取扱いは台数で9割増える。値段は車種の高級化で名目1.38倍まで上がり、輸出の利益率は5.5%に乗る。
豪州では、中国ブランドの台頭で手放されるディーラーを買い集め、Autopactは台数で6割増える。メーカーとの交渉力が上がり、利益率は2.5%に改善する。
金融費用は在庫の膨らみで増えるが、金利が下がり、110億円台にとどまる。営業利益は270億円近く、普通株の利益は100億円近くに乗る。
還元は利益の伸びに合わせて増え、自己資本は700億円台に育つ。ROEは13%台で、会社の目標のROE15%には届かないが、近い。
- 豪州の新車ディーラー(Autopact):数量 56,000(販売台数(台・推定))× 価格 804(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 4,502 億円・営業利益 113 億円。台数1.6倍(買収と再編)、単価1.34倍、利益率2.5%
- 中古車の輸出入(日貿):数量 95,000(輸出取扱台数(台))× 価格 166(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 1,573 億円・営業利益 87 億円。取扱い1.9倍、単価1.38倍(車種の高級化)、利益率5.5%
- サービス・検査(JEVICなど):数量 210,000(検査・サービス取扱台数(台・推定))× 価格 10.00(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 210 億円・営業利益 46 億円。検査1.5倍、単価1.40倍、利益率22%
- 陸送・物流(Autocare):数量 585,000(輸送台数(台・推定))× 価格 11(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 627 億円・営業利益 36 億円。輸送1.3倍、単価1.34倍、利益率5.8%(更新時の値上げ)
倍率:事業の純利益 97 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.5% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.5 倍。全体の PER 13.49 倍、時価総額 1,308 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:NZの規制緩和、英国向けの定着、豪州の買収の成功、金利低下が全部そろう必要がある。中国メーカーの攻勢と薄い財務を考え、6%にとどめた。
やや楽観 16% やや強気:輸出は回復し、豪州の利ざやは持ちこたえる 利益 66 億円 · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 1,225 円838 億円
NZの輸入台数が9万台台まで戻り、日貿の取扱いは台数で65%増える。英国・アイルランド向けが積み上がり、他国向けの比率は5割近くになる。輸出の利益率は5%に戻る。
豪州では、買収による拡大は進むが、中国メーカーの値引きに押され、Autopactの利益率は2.25%どまり。
営業利益は210億円ほど、金融費用は110億円ほどで、普通株の利益は65億円。ROEは11%台。金利の低下までは期待せず、借入は据え置きの前提だ。
陸送は契約の更新が順調で、検査はスリランカなど新しい国の指定が積み上がる。サービス事業も物価の分だけ伸びる。
還元はDOE4.7%で、自己資本は580億円まで育つ。会社の中期目標には届かないが、方向は同じ。
- 豪州の新車ディーラー(Autopact):数量 50,750(販売台数(台・推定))× 価格 792(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 4,019 億円・営業利益 90 億円。台数1.45倍、単価1.32倍、利益率2.25%
- 中古車の輸出入(日貿):数量 82,500(輸出取扱台数(台))× 価格 161(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 1,327 億円・営業利益 66 億円。取扱い1.65倍、単価1.34倍、利益率5%
- サービス・検査(JEVICなど):数量 196,000(検査・サービス取扱台数(台・推定))× 価格 9.71(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 190 億円・営業利益 40 億円。検査1.4倍、単価1.36倍、利益率21%
- 陸送・物流(Autocare):数量 549,000(輸送台数(台・推定))× 価格 11(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 589 億円・営業利益 32 億円。輸送1.22倍、単価1.34倍、利益率5.4%
倍率:事業の純利益 66 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.4% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.7 倍。全体の PER 12.68 倍、時価総額 838 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:NZの回復と英国向けの伸びは、すでに数字に出ている。豪州の利ざやが守れるかが分かれ目で、ここが当たる確率を16%と置いた。
中立 38% 中立:輸出は戻るが、豪州の利ざやは細ったまま 利益 45 億円 · PER 11.7 倍 · 株価時価総額 760 円521 億円
NZの輸入台数は10万台近くまで戻り、日貿は4割のシェアを守る。英国向けなどが加わり、輸出の取扱いは台数で45%増える。値段の上がりは円換算で名目1.30倍にとどまる。
豪州は、ディーラーの買収が進み、Autopactの台数は3割増える。ただ、中国ブランドの値引きで、車の値上がりは物価に届かず、利益率は2%で横ばい。
陸送と検査は、物価の分と台数の伸びで着実に増える。本社の費用は物価で増える。営業利益は170億円ほど。
金融費用は在庫の膨らみで100億円近くに増える(金利は据え置き)。劣後ローンの分配5億円を引くと、普通株の利益は45億円。ROEは9%台で、資本コストにわずかに届かない。
- 豪州の新車ディーラー(Autopact):数量 45,500(販売台数(台・推定))× 価格 780(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 3,549 億円・営業利益 71 億円。台数1.30倍、単価1.30倍(値引きで物価に届かない)、利益率2.0%
- 中古車の輸出入(日貿):数量 72,500(輸出取扱台数(台))× 価格 156(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 1,131 億円・営業利益 51 億円。取扱い1.45倍、単価1.30倍、利益率4.5%
- サービス・検査(JEVICなど):数量 182,000(検査・サービス取扱台数(台・推定))× 価格 9.57(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 174 億円・営業利益 35 億円。検査1.3倍、単価1.34倍、利益率20%
- 陸送・物流(Autocare):数量 517,500(輸送台数(台・推定))× 価格 11(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 555 億円・営業利益 28 億円。輸送1.15倍、単価1.34倍、利益率5.0%
倍率:事業の純利益 45 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.2% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.7 倍。全体の PER 11.67 倍、時価総額 520 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:NZの回復は見込めるが、豪州は中国メーカーの値引きで利ざやが張りついたままになりやすい。会社の中期目標(営業利益150億円超)の手前に近く、最も現実的な筋書きとして4割弱を置いた。
やや悲観 28% やや悲観:豪州の利ざやが削られ、利払いが利益を食う 利益 13 億円 · PER 6.5 倍 · 株価時価総額 123 円85 億円
中国ブランドの台頭で、Autopactは台数は増えても、値引きで車の値段が物価に届かず、利益率は1.5%に下がる。
NZの回復は遅れ、日貿の取扱いは台数で2割増にとどまる。値段も名目1.20倍と伸びない。
営業利益は110億円ほどで、今の水準から名目で1割ほどの増加にとどまる。金融費用は金利が少し上がり、85億円ほどに増える。
劣後ローンの分配を引くと、普通株の利益は13億円。ROEは3.6%と資本コストを大きく下回り、ためた自己資本は帳簿どおりの価値にならない。
配当はDOE3.5%に落ち、配った分だけ自己資本の伸びも鈍る。買収は止まり、規模を取る機会は失われる。陸送と検査は底堅いが、全体を支えるには小さい。
- 豪州の新車ディーラー(Autopact):数量 38,500(販売台数(台・推定))× 価格 732(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 2,818 億円・営業利益 42 億円。台数1.10倍、単価1.22倍、利益率1.5%
- 中古車の輸出入(日貿):数量 60,000(輸出取扱台数(台))× 価格 144(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 864 億円・営業利益 33 億円。取扱い1.2倍、単価1.20倍、利益率3.8%
- サービス・検査(JEVICなど):数量 161,000(検査・サービス取扱台数(台・推定))× 価格 9.14(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 147 億円・営業利益 27 億円。検査1.15倍、単価1.28倍、利益率18%
- 陸送・物流(Autocare):数量 472,500(輸送台数(台・推定))× 価格 10(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 484 億円・営業利益 21 億円。輸送1.05倍、単価1.28倍、利益率4.3%
倍率:事業の ROE 3.6%、k 8.75%。ROE が k を下回るため、正当化 PER の上限は 7.0 倍。上限の 9.3 割の 6.5 倍に置いた。稼ぎがなかなか戻らず、のれんの減損の恐れもある。EV(時価総額+純有利子負債979億円)÷営業利益でも見たが、借金が重く、利益の倍率だけで価値を言えない。
確率:中国メーカーの攻勢はすでに数字に出ており、ディーラーの利ざやは細りやすい。財務の余裕が薄いため、悪化が利益に直結する。3割弱を置いた。
悲観 12% 悲観:豪州の値引きが止まらず、利払いが営業利益を超える 利益 −18 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 101 円69 億円
豪州で中国メーカーの値引きが続き、Autopactは店を畳む。台数は15%減り、利益率は1%を割る。
NZの規制は逆回転し、日貿のシェアも落ちる。取扱いはほぼ横ばいで、値段も1.10倍にとどまる。
営業利益は50億円ほどに落ち、金融費用は75億円ほど。普通株の利益は赤字になる。
のれんの減損で自己資本が削れ、劣後ローンと借入が先に返済される。配当は2%に縮む。事業は残るが、普通株に残る価値は、今の自己資本の2割に近づく。
陸送と検査は黒字を保つが、規模が小さく、豪州の赤字を埋められない。経営は店の整理と資産の売却で借入の返済を急ぐことになり、株主への配当は後回しになる。
- 豪州の新車ディーラー(Autopact):数量 29,750(販売台数(台・推定))× 価格 690(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 2,053 億円・営業利益 16 億円。台数0.85倍、単価1.15倍、利益率0.8%
- 中古車の輸出入(日貿):数量 47,500(輸出取扱台数(台))× 価格 132(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 627 億円・営業利益 16 億円。取扱い0.95倍、単価1.10倍、利益率2.5%
- サービス・検査(JEVICなど):数量 133,000(検査・サービス取扱台数(台・推定))× 価格 8.21(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 109 億円・営業利益 15 億円。検査0.95倍、単価1.15倍、利益率14%
- 陸送・物流(Autocare):数量 427,500(輸送台数(台・推定))× 価格 9.60(1台あたり売上(万円・名目))→ 売上 410 億円・営業利益 14 億円。輸送0.95倍、単価1.20倍、利益率3.5%
倍率:10年後の自己資本287億円に PBR 0.24 倍を掛け、約69億円とした。今の自己資本(劣後ローンを除く318億円)に対しては0.22倍にあたる。稼ぐ力は赤字で、売れる資産の税後(floor_assets_oku)が床になる。市場の値付けからは置いていない。EV(時価総額+純有利子負債979億円)÷営業利益でも見たが、赤字に近く、倍率は意味を持たない。
確率:中国ブランドの攻勢、NZの規制の逆回転、円高、金利上昇、のれんの減損が重なる筋書き。1割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
豪州の新車ディーラー(Autopact)
豪州で新車・中古車を売るディーラー網。2023年11月に買収。
| 数量販売台数(台・推定) | 価格1台あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 35,000 | 600 | 2,095 | 42 |
| 10 年後 中立 | 45,500 | 780 | 3,549 | 71 |
取り方:豪州のAutopactの売上を2,095億円と推定(全社3,155億円から輸出入約600億・サービス約100億・陸送約360億を引いた残り)。金融費用64億円のうち40億円がこの事業の在庫金融で、在庫が約1,000億円と推定。営業利益は開示がなく、全社98億円に合わせた推定(利益率2.0%)。台数35,000台は売上÷1台600万円の推定。
中古車の輸出入(日貿)
日本の中古車をNZ・英国・アイルランドなどへ輸出する。NZ向けが約6割。
| 数量輸出取扱台数(台) | 価格1台あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 50,000 | 120 | 600 | 28 |
| 10 年後 中立 | 72,500 | 156 | 1,131 | 51 |
取り方:取扱台数は約5万台(会社の説明)。1台あたり120万円は筆者の推定で、売上600億円となる。営業利益は開示がなく、利益率4.7%と推定。
サービス・検査(JEVICなど)
輸入車の検査、NZの修理・整備などのサービス。
| 数量検査・サービス取扱台数(台・推定) | 価格1台あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 140,000 | 7.14 | 100 | 20 |
| 10 年後 中立 | 182,000 | 9.57 | 174 | 35 |
取り方:検査・サービスは非開示で、取扱い14万台×1台7.14万円=100億円と推定。営業利益は利益率20%の推定。
陸送・物流(Autocare)
豪州の新車の内陸輸送。2024年5月に買収。リース取引が大きい。
| 数量輸送台数(台・推定) | 価格1台あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 450,000 | 8.00 | 360 | 18 |
| 10 年後 中立 | 517,500 | 11 | 555 | 28 |
取り方:月商約30億円(会社の説明)の12か月分で360億円。輸送台数45万台×1台8万円は筆者の推定。営業利益は買収時の評価替えによる償却を引いた後の推定18億円(利益率5.0%)。
リスクと懸念
豪州の新車市場での中国メーカーの攻勢
2026年4月に中国ブランドが豪州の新車の30%を握り、日本メーカーの合計を上回った。ディーラーは値引きで台数を維持するが、利ざやは削られる。売上の3分の2を占めるAutopactの利益が、この動きに直結する。
在庫金融の金利と在庫の水準
金融費用64億円のうち40億円はAutopactの在庫金融だ。金利が1%上がるだけで利払いが10億円ほど増え、営業利益98億円の1割に当たる。在庫が売れ残れば、担保の価値と返済余力が同時に落ちる。
NZの規制と輸入台数
NZの輸入中古車は、排ガス・安全基準の見直しで台数が大きく動く。2026年3月期は7.8万台と底にあり、緩和で回復が見込まれるが、逆回転の可能性も残る。NZ向けは取扱いの約6割を占める。
のれんの減損と劣後ローン
買収で積んだのれんは、IFRSでは償却されず、減損の対象になる。利益が落ちれば自己資本が削られ、財務制限条項や劣後ローンの条件に響く恐れがある。ローンの条件は未確認。
為替
売上と利益の大半は豪ドル・NZドル建てで、円高に振れれば円換算が縮む。期末の円安で資産が膨らんだ分は、損益への影響が限定的との会社の説明だが、10年の長さで見れば無視できない。
買収による株主の取り分の希薄化
豪州のディーラー買収の積み増しは、借入と劣後ローンで賄う方針だが、財務が詰まれば増資で賄う可能性もある。その場合、既存株主の取り分は薄まる。
今後の分かれ目
- NZの輸入中古車が年9万台を超え、日貿のシェア40%が続く
- やや強気・強気の確率を上げてよい。輸出の取扱い増が利益に出る。
- Autopactの利益率が3%台に乗り、金融費用を引いても利益が増える
- 豪州の利ざやへの不安が和らぐ。中立の確率を高める。
- 中国ブランドのシェアが4割に迫り、ディーラーの値引きが拡大する
- やや悲観・悲観の確率を上げる。Autopactののれん減損も警戒する。
- 金融費用が営業利益の7割を超え続ける
- 財務の余裕が尽きる合図。悲観の確率を上げる。
- 増資や追加の劣後ローンが発表される
- 株主の取り分が薄まるかを確認し、希薄化の係数の見直しを考える。
- 英国・アイルランド向けが、前年の3倍から減速し始める
- 輸出の分散効果の見方を弱める。
見ておくもの
- NZの輸入中古車台数と日貿のシェア(40%の維持)
- Autopactの台数・利益率と、金融費用(四半期)
- 自己資本比率・D/Eと永久劣後ローンの条件
- 豪州での中国ブランドのシェア(新車市場30%の推移)
- ディーラーM&Aの案件と資金の出どころ(借入か増資か)
倍率と資本コストの決め方
今の株価は、価値の計算に使っていない。セグメントごとに台数×単価で10年を積み、利益から利払い(在庫金融・リース)と劣後ローンの分配を引いて普通株の利益を出した。倍率は資本コスト8.75%(基本7.5%+借金・循環・値決め力・寿命の上乗せ2.25%)と、事業のROEから式で決め、今の市場の倍率や同業の倍率は見ていない。中立のROEは9%台と資本コストを下回るので、PERは1÷kの約10.3倍を超えない。悲観は稼ぐ力が赤字になるため、自己資本のうちのれんを外した売れる資産の税後を床にした。過去のPBRの底からは置いていない。売上と利益はすべて名目で、価格は10年1.34倍を基本に、中国ブランドの値引きで乗りきらない分を下げた。台数は実質で、買収による増加と市場の回復を分けて置いた。金融費用は在庫の膨らみに合わせて増やし、金利は据え置いた。セグメント別の利益は開示がなく、全社の営業利益98億円に合うよう筆者が推定したものだ。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9→13.49 倍・やや楽観 PER 8.4→12.68 倍・中立 PER 7.8→11.67 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。