結論
オータケは名古屋に本社を置く管工機材の専門商社だ。バルブ、継手、パイプ、給排水の資材を、建物の配管工事をする設備工事業者や二次卸に売る。メーカーの系列に入らない独立系で、品ぞろえと物流の速さで選ばれてきた。筆者の結論は、今の値段はほぼ適正というものだ。
売上は2025年5月期で330億円、営業利益は10億円、純利益は9億円だった。営業利益率は3%前後と薄く、自己資本は170億円に積み上がった。自己資本利益率(ROE)は5%台にとどまり、資本コストの8.25%に届かない。稼いだ利益の多くを配当せずに溜めるので、ROEは上がりにくい。
いまの時価総額は69億円で、自己資本の4割ほどの値段だ。安く見えるが、ROEが資本コストを下回る会社の資本は、帳簿の額ほどの価値を生まない。10年の筋書きを数量と価格で積むと、中立では利益は11億円前後に伸び、時価総額は今の2倍弱に届く。ただ、それを今に引き直すと今の値段に近くなる。
2026年は会社の信用に傷がついた年でもある。特別調査委員会の調べで、売上の一部の計上方法が改められ、競合他社が間に入る取引は独占禁止法の不当な取引制限に当たる可能性が高いと指摘された。決算短信の開示は10月27日まで遅れている。課徴金の額は大きくない見込みだが、取引先の信頼と管理の体制が問われる。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の目で見ると、オータケは地味だが壊れにくい事業だ。配管の部材はどの建物にも要り、古い建物の手当ての需要も続く。地域に在庫を持ち、工事の現場に早く届ける仕組みは、地元の工事業者にとって便利で、急になくなることはない。借金もほとんど無く、潰れる心配は小さい。
しかし、良い投資先の条件である、資本に対する高い稼ぎは無い。営業利益率は3%前後で、自己資本に対する利益は5%台にとどまる。利益を溜めても、その分の稼ぎが資本コストを超えて増えるわけではない。自己資本が膨らむほど、株主にとっての効率は下がる。
今の値段は自己資本の4割で、帳簿の上では安い。ただ、資本コストを下回る稼ぎしかない会社に、帳簿の額を払う理由は無い。安さが解消する道は、政策保有株を売って配当や自社株買いに回すか、利益率を上げてROEを8%に近づけることだ。会社はどちらも約束しているが、まだ形になっていない。
2026年の調査で見つかった独占禁止法の問題と、決算の遅れは、経営の管理の弱さを示す。長く持つなら、再発防止策が根づき、資本の使い方が変わるのを確かめてからでも遅くない。
何で稼ぐ会社か
事業は管工機材の卸売の一つだけだ。管工機材とは、建物やプラントの水・湯・空調・消火の配管に使う部材のことで、バルブ、継手、鋼管や樹脂のパイプ、給水と排水の資材、ポンプなどを含む。オータケはこれらを数百のメーカーから仕入れ、在庫を持ち、現場の注文に合わせて配送する。
売り先は二つに分かれる。一つは配管工事をする設備工事業者への直接の販売で、もう一つは地域の小さな卸(二次卸)への販売だ。前者は現場ごとの一括の受注、後者はまとめ買いの補充が中心になる。どちらも、必要な時に必要な数がそろうことが価値になる。
地盤は名古屋を中心とする中部で、本社のほか支店・営業所が9か所、物流センターと配送センターが4か所ある。三河と長野に配送センターを新設し、首都圏では商品の保管量を増やして供給の力を上げてきた。2024年9月には田中産業を子会社にし、販売の地域と経路を広げた。管工事の部門も立ち上げ、部材と工事をまとめて受ける形を試している。
利益の源は、仕入れと販売の値段の差と、物流の効率だ。売上総利益率は14%前後、そこから人件費と物流費を引くと営業利益率は3%前後になる。ほかに、仕入れの代金を早く払う見返りの仕入割引と、持っている株の配当で、毎年2億円強の営業外の黒字がある。純利益が営業利益に近いのはこのためだ。
2026年5月期の売上は、調査委員会の指摘で4.77億円を相殺して計上し直す。競合他社に売る取引は利益の分だけを営業外に回し、代理人のような取引は純額で売上にする。経常利益は変わらないが、売上の見かけは少し小さくなる。
優良さと弱いところ
強みは、独立系の品ぞろえと、中部での物流の網だ。特定のメーカーに縛られないので、工事業者は一つの窓口で多くの銘柄をそろえられる。配管の部材は種類が多く、一つでも欠けると現場が止まる。地域に在庫を持ち、翌日までに届ける体制は、新しく参入する会社がすぐには作れない。創業から70年以上、地元の工事業者と付き合ってきた関係もある。
ただ、堀は弱い。同じ品物は渡辺パイプや橋本総業などの大きな同業も扱い、メーカーの直販やネットの通販も広がる。値段の差は小さく、工事業者は見積もりを比べて買う。営業利益率は3%前後で、景気の谷の2021年5月期には0.6%まで落ちた。価格を決める力は弱く、物流費と人件費の上昇はそのまま利幅を削る。
資本の使い方も効率が良いとは言えない。自己資本の3分の1近くを、取引先などの株(政策保有株)と、新しく買った土地が占める。株は配当を生むが、その利回りは2%に届かない。会社は保有株を減らす方針を掲げるが、実際の売却はまだ小さい。
2026年の調査では、競合他社が商流に入る取引が見つかり、独占禁止法の不当な取引制限に当たる可能性が高いとされた。業界の横並びの慣行に乗っていた面があり、管理の甘さは品質の弱点として見ておく必要がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
管工機材の需要は、建物の新築と、古い配管の改修・保守の二つから生まれる。新築の側は、全国の建築着工床面積が年に1億㎡前後で、人口の減少と建築費の高騰で長い目では減っていく。住宅の着工は特に細る。一方、工場、物流倉庫、データセンター、病院などの非住宅は波があり、半導体の工場や都心の再開発が続く間は底堅い。
改修の側は伸びる。高度成長期からバブル期に建てた建物とその配管が、更新の時期を迎えている。水道管や給水設備の老朽化は社会の課題で、改修の工事は景気に左右されにくい。管工機材の需要の半分近くは、すでに建った建物の手当てから来るとみてよい。
供給の側は、メーカー(バルブや継手の大手)と、全国の大きな商社、地域の中小の卸が層をなす。大手の商社は物流の効率とシステムで規模の利益を追い、中小の卸は後継者の不足で廃業や身売りが増えている。オータケが田中産業を買ったように、業界の集約はこれからも進む。
値段は、銅や鉄、樹脂の原料の相場と、メーカーの値上げに沿って動く。2022年から2024年にかけては値上げが浸透し、売上と利益が増えた。ただ、卸の利幅は大きく変わらず、値上げの恩恵は一時的になりやすい。人手の不足は工事業者の側にもあり、工事の件数そのものを抑える要因になる。
国内の数量は10年でほぼ横ばいから少し減り、値段は物価並みに上がるというのが中立の見立てだ。その中で、首都圏でのシェアの拡大と、中小の卸の買収が、オータケの数量を支える。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。安定配当の維持と、利益の成長に合わせた累進配当を方針に掲げる。2025年5月期の配当総額は約1.5億円で、配当性向は2割に満たない。2026年5月期は増配の予想だ。自社株買いの方針は無く、2025年7月には自己株を従業員の持株会に渡した。
利益の8割以上を溜める形が長く続き、自己資本は10年で100億円から170億円に増えた。その間、ROEは3%から6%の間にとどまる。溜めたお金の一部は、2025年度の土地の取得(約25億円)と、持っている株の値上がりに回っている。
会社は中期計画で、ROEを中長期で8%に高めると約束し、政策保有株の縮減と株式の流動性の向上を掲げた。ただ、自社の資本コストを3%程度と見ており、市場の求める水準との差は大きい。溜まる現金が株主に戻る度合いは、累進配当の実績を踏まえても4分の3と見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
オータケの本当の価値は、帳簿に眠っている。自己資本は170億円で、時価総額はその4割しかない。持っている株だけで税引き後40億円を超え、純現金も7億円ある。土地と建物も簿価で70億円を超える。資産を半分に見ても、今の値段に近い。
しかも事業は細っていない。値上げの浸透で売上は5年で4割増え、営業利益は2倍近くになった。2026年5月期の予想は売上340億円、純利益9億円弱で、中期計画の2027年の目標も手の届く所にある。配管の改修の需要は長く続き、首都圏の伸びと田中産業の買収が数量を支える。
会社はROE8%と政策保有株の縮減を約束し、東証の要請もある。保有株を売って配当や自社株買いに回せば、ROEはすぐに上がる。累進配当で配当は毎年増えている。独占禁止法の件も、対象の売上は小さく、課徴金は数億円の規模にとどまる。調査を区切りに管理が締まれば、むしろ見直しのきっかけになる。
配当の利回りも見劣りしない。累進配当の方針で、配当は2021年から毎年増えてきた。借金はわずかで、自己資本比率は56%ある。景気が悪くなっても潰れる心配は小さく、下値は資産で守られる。数量と利幅のどちらかが少し良くなるだけで、今の値段は割安に変わる。
慎重な見方
安いのには理由がある。ROEは10年続けて資本コストを下回り、利益を溜めるほど効率は落ちる。営業利益率は3%で、景気の谷には1%を割る。値上げの追い風は一巡し、建築の着工は人口の減少と建築費の高騰で減っていく。人手の不足は工事の件数を抑え、物流費と人件費は利幅を削る。
資産の価値も当てにならない。政策保有株の売却の実績は小さく、溜めたお金は土地の取得に回った。会社は自分の資本コストを3%程度と見ており、市場の求める水準との差を埋める気配は薄い。資産は株主に戻らない限り、値段に表れない。
2026年の調査は、業界の横並びの取引に乗っていたことを示した。独占禁止法の不当な取引制限に当たる可能性が高いとされ、公正取引委員会の調べが入れば、課徴金に加えて取引先の指名停止や信用の低下もありうる。決算の開示は5か月近く遅れ、管理の体制そのものが問われている。同業の大手との競争と、メーカーの直販の広がりの中で、利幅を守る力は弱い。
どちらに重みを置いたか
どちらの言い分にも根拠があり、確率は中立に厚く置いた。事業は壊れにくく、資産も厚いので、大きく損なわれる筋書きは低く置いた。一方で、ROEが資本コストを下回る限り、資産の厚さは値段に表れにくい。政策保有株を売って株主に戻す実績が出るまでは、資産の価値は足さずに見た。独占禁止法の件は、やや悲観と悲観の筋書きの中で、信用の低下として扱った。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した株価時価総額 3,572 円142 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 569 円23 億円)。 今の値に割り戻すと 2,175 円87 億円、今との差 +25.2%、 期待の年率 +9.1%(資本コスト 7.2%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 5,861 円233 億円 | 804 円32 億円 | +283.7% | +14.4% | 467 円19 億円 |
| やや楽観 | 20% | 4,676 円186 億円 | 679 円27 億円 | +208.3% | +11.9% | 1,071 円43 億円 |
| 中立 | 37% | 4,119 円164 億円 | 578 円23 億円 | +170.4% | +10.5% | 1,738 円69 億円 |
| やや悲観 | 24% | 2,383 円95 億円 | 478 円19 億円 | +64.7% | +5.1% | 687 円27 億円 |
| 悲観 | 12% | 1,083 円43 億円 | 402 円16 億円 | −14.5% | −1.6% | 178 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,572 円142 億円 | 569 円23 億円 | +138.4% | +9.1% | 4,140 円165 億円 |
今の株価時価総額 1,737 円69 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 7% 首都圏の伸びと買収で数量が増え、利幅も戻る 利益 17 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 5,861 円233 億円
首都圏の拠点を増やし、商品の保管量を上げた効果で、大きな工事業者との取引が広がる。後継者のいない地域の卸を数社買い、田中産業と同じように販売の地域と経路を広げる。数量は今の1.25倍になる。
管工事の部門が育ち、部材と工事をまとめて受ける案件が増える。工事の分だけ利幅は厚くなり、物流の自動化で人手も抑えられる。営業利益率は2007年頃の最高の水準に近い3.8%まで戻る。値段は原料とメーカーの値上げに沿って物価よりやや強く上がる。
独占禁止法の件は小さな課徴金で決着し、管理の体制を作り直したことが取引先の信頼につながる。政策保有株の一部を売り、配当を増やす。それでもROEは資本コストに届かない。
- 管工機材卸売事業:数量 12,500(全国の建築着工床面積(万㎡))× 価格 0.04(着工 1 万㎡あたりの売上(億円))→ 売上 561 億円・営業利益 21 億円。数量 1.25 倍(首都圏と M&A)・単価 1.36 倍
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.3% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 233 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:首都圏のシェアの拡大、中小の卸の買収、改修の需要の伸びが重なる筋書き。全部がそろう必要があり、薄利の卸として低い確率に置く。
やや楽観 20% 中期計画の延長で、改修の需要に乗って少しずつ伸びる 利益 13 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 4,676 円186 億円
建築の着工は減るが、古い建物の配管の改修と、工場や物流倉庫の工事が数量を支える。首都圏の伸びと小さな買収で、数量は今の1.1倍になる。値段は物価並みに上がる。
2027年5月期に中期計画の目標の純利益9億円強に届き、その後も利益は少しずつ増える。物流と事務の効率化が進み、営業利益率は3.4%に上がる。仕入割引と受取配当の営業外の黒字も続く。
独占禁止法の件は課徴金を払って終わり、競合が間に入る取引はやめる。その分の売上は減るが、利益への影響は小さい。配当は累進で増えるが、溜まる利益の方が多く、自己資本は250億円を超えて膨らむ。ROEは5%台にとどまる。
- 管工機材卸売事業:数量 11,000(全国の建築着工床面積(万㎡))× 価格 0.04(着工 1 万㎡あたりの売上(億円))→ 売上 486 億円・営業利益 17 億円。数量 1.1 倍・単価 1.34 倍
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.3% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 185 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の2027年の目標と、改修の需要の伸びを延長した筋書き。足元の数字に沿うので厚めに置く。
中立 37% 着工の減少をシェアで打ち消し、利益は物価並みに伸びる 利益 11 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 4,119 円164 億円
全国の建築着工は人口の減少と建築費の高騰で1割ほど減る。改修の需要と首都圏でのシェアの拡大がその分を補い、オータケの数量は今の0.95倍にとどまる。値段は原料とメーカーの値上げで物価並みに上がり、10年で1.34倍になる。
物流費と人件費は上がるが、値上げで転嫁し、営業利益率は今とほぼ同じ3.1%を保つ。売上は420億円、営業利益は13億円になる。仕入割引と受取配当の営業外の黒字を足し、純利益は11億円弱になる。
独占禁止法の件は課徴金を払って片づくが、競合が間に入る取引はやめる。配当は累進で増えるが、溜まる利益の方が多い。自己資本は245億円に膨らみ、ROEは4%台に下がる。政策保有株は少しずつ減るが、売ったお金は株主にはあまり戻らない。
- 管工機材卸売事業:数量 9,500(全国の建築着工床面積(万㎡))× 価格 0.04(着工 1 万㎡あたりの売上(億円))→ 売上 420 億円・営業利益 13 億円。数量 0.95 倍・単価 1.34 倍
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.8% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 149 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の着工の減少と、改修の需要・首都圏の伸びが打ち消し合う落としどころ。最も起こりやすい筋書きとして厚く置く。
やや悲観 24% 着工の減少と競争で数量が2割減り、利幅も削られる 利益 7 億円 · PER 9.7 倍 · 株価時価総額 2,383 円95 億円
建築費の高騰と人手の不足で、新築の工事は大きく減る。同業の大手が物流の規模で値段を下げ、メーカーの直販とネットの通販も広がる。独占禁止法の件で公正取引委員会の調べが入り、一部の取引先が離れる。数量は今の0.8倍に減る。
値段は原料の値上げを転嫁しきれず、10年で1.25倍にとどまる。物流費と人件費の上昇を吸収できず、営業利益率は2.4%に下がる。売上は今とほぼ同じ330億円、営業利益は8億円になる。営業外の黒字を足しても純利益は7億円にとどまる。
配当は維持するが、溜まる利益は自己資本を膨らませるだけで、ROEは3%に下がる。
- 管工機材卸売事業:数量 8,000(全国の建築着工床面積(万㎡))× 価格 0.04(着工 1 万㎡あたりの売上(億円))→ 売上 330 億円・営業利益 8 億円。数量 0.8 倍・単価 1.25 倍
倍率:事業の ROE 3.0% は資本コスト 7.25% を大きく下回るので、PER の上限は 1÷k の 12.1 倍。利益が増えない筋書きなので上限の 80%、9.7 倍。純利益 7.0 億円に掛けた。
確率:建築の着工が大きく減り、同業の大手とメーカーの直販に押される筋書き。独占禁止法の件で取引先を失う分も含む。薄利の卸として同じ業種の会社並みに置く。
悲観 12% 需要の縮小と信用の傷で、卸の利幅がほぼ消える 利益 3 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,083 円43 億円
人口の減少と建築費の高騰で建築の着工は3割以上減り、改修の需要も工事の人手の不足で伸びない。同業の大手とメーカーの直販が物流の規模で値段を下げ、中規模の独立系の卸は挟まれる。独占禁止法の件で課徴金と取引先の指名停止が重なり、首都圏の開拓も止まる。数量は今の0.65倍に減る。
値段は10年で1.15倍にしか上がらず、営業利益率は1.2%に落ちる。営業利益は3億円になり、営業外の黒字を足しても純利益は3億円強にとどまる。会社は資産を抱えたまま、株主に戻さない。
政策保有株の売却は進まず、土地と建物も事業に使い続けるので、資産は値段に表れない。株主への還元は配当の維持にとどまり、自己資本は膨らむのにROEは1%台に沈む。市場は稼ぐ力の乏しい資産の塊として値段を付ける。
- 管工機材卸売事業:数量 6,500(全国の建築着工床面積(万㎡))× 価格 0.04(着工 1 万㎡あたりの売上(億円))→ 売上 247 億円・営業利益 3 億円。数量 0.65 倍・単価 1.15 倍
倍率:稼ぐ力はほぼ消えるので、床は売れる資産とした。2025年5月期末の自己資本 153.9 億円の 0.28 倍にあたる 43.1 億円。内訳は floor_assets_why。
確率:着工の大幅な減少、大手との競争、独占禁止法の件での信用の低下が重なる構造的な負け。借金が無く改修の需要も残るので、低めの確率に置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
管工機材卸売事業
バルブ・継手・パイプ・給排水資材などの管工機材を、設備工事業者と二次卸に売る独立系の専門商社。中部が地盤で首都圏を伸ばす。2024 年に田中産業を子会社にし、管工事の部門も立ち上げた。
| 数量全国の建築着工床面積(万㎡) | 価格着工 1 万㎡あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/05 | 10,000 | 0.03 | 330 | 10 |
| 10 年後 中立 | 9,500 | 0.04 | 420 | 13 |
取り方:売上 329.9 億円を全国の建築着工床面積 約 1 億㎡(2024 年度)で割った 1 万㎡あたりの売上。改修・保守の配管の需要も含むので、着工は需要の物差しとして使った推定。利益は営業利益 9.8 億円(セグメントは 1 つ)。
リスクと懸念
独占禁止法の不当な取引制限
特別調査委員会は、競合他社が商流に入る一部の取引が不当な取引制限に当たる可能性が高いと指摘した。公正取引委員会の調べが入れば、課徴金に加えて、官公庁の工事での指名停止や取引先の離反がありうる。
決算の遅れと内部管理
2026年5月期の決算短信の開示は10月27日まで遅れ、有価証券報告書の提出期限も延長された。収益認識の見直しで売上を4.77億円相殺する。管理の体制の再構築が遅れれば、監査や上場の維持の面での負担が増える。
建築着工の減少
人口の減少と建築費の高騰で、新築の工事は長い目で減っていく。改修の需要が補うが、工事業者の人手の不足が件数を抑える。
薄い利幅と競争
営業利益率は3%前後で、同業の大手とメーカーの直販、ネットの通販との競争で値段の差は小さい。物流費と人件費の上昇がそのまま利益を削る。
資本の効率
利益の8割以上を溜め、政策保有株と土地に資本を寝かせる。ROEは資本コストを下回り続け、溜めるほど株主にとっての効率が下がる。
今後の分かれ目
- 公正取引委員会が立ち入り検査や排除措置命令に動く
- 課徴金と指名停止で取引先が離れ、やや悲観に近づく。
- 政策保有株を売り、そのお金を自社株買いや増配に回す
- ROEが上がり、資産の価値が値段に表れる。やや楽観に近づく。
- 首都圏の売上が伸び、営業利益率が3.5%を超える
- 数量と利幅がそろって伸び、やや楽観に近づく。
- 建築着工床面積が年に9千万㎡を割り込む
- 数量の減少が改修の需要で補えず、やや悲観に近づく。
- 中小の卸を買収して販売の地域を広げる
- 数量が増え、楽観に近づく。
見ておくもの
- 全国の建築着工床面積(国土交通省)
- 公正取引委員会の動きと課徴金の有無
- 再発防止策の実行の状況と監査の意見
- 営業利益率と売上総利益率
- 政策保有株の売却の額と還元の総額
- 首都圏の売上と買収の件数
倍率と資本コストの決め方
倍率は今のPER(8倍前後)やPBR(0.4倍)から置かず、10年後の事業のROEが資本コスト7.25%を下回ることから、PERの上限を1÷kとして筋書きごとに割り引いた。悲観は過去のPBRの底でなく、売れる資産から床を出した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.52→13.79 倍・やや楽観 PER 10.91→13.79 倍・中立 PER 10.3→13.79 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に quality +0.75%で8.25%。同じ領域で先に済んだ会社は無いので、建設の資材を扱う卸の景気の波と薄い値決めの力から置いた。会社の言う3%程度は低いβに頼った値で使わない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.25% → 7.25%。