結論
TMHは半導体工場が使い終えた装置を買い取り、次の工場へつなぐ商社である。部品調達の電子商取引も手がけるが、長期保有の価値は安定した電子商取引の成長より、中古装置の流通を再建できるかで大きく変わる。私の判断は、現時点の時価総額に対して割安側にある。ただし、その余地は上位の成長筋書きが相応の確率で実現することに依存しており、厚い安全域が確認できたわけではない。
2025年11月期の売上は約86億円まで伸びた。しかし2026年11月期の第3四半期までに装置売上は前年同期比で約7割減り、通期は営業赤字の予想となった。中古装置は顧客が工場を閉鎖し、設備を入れ替えるときに初めて売り物が現れる。新しい工場が増えれば自動的に売上が伸びるという単純な業態ではない。
希望は、工場が止められない交換部品と保守の需要にある。半導体装置の寿命は長く、旧世代の製造ラインが残る限り、調達網には役割がある。国内工場との接点や海外の部品供給先は、競合が短期間で模倣しにくい営業上の財産だ。ただし、価格決定権や低い顧客解約率が数字で証明されたわけではない。
2035年の中立では、装置取引の反発は限定的で、部品と新たな代理店業務が利益を補う。楽観の価値は大きいものの、株主は今後の転換社債と新株予約権による希薄化も負担する。経営者が拡大より資本効率を優先し、部品の継続収益を育てるかを確かめながら評価すべき会社だ。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、半導体は成長産業という言葉だけでは投資理由にならない。TMHが届けるのは最先端の半導体ではなく、工場に残り続ける装置を使えるようにする調達網である。この需要は地味だが、旧型の製造工程が残る限り消えにくい。交換部品を継続して納められるようになれば、顧客との関係は装置を1台売って終わりというものから変わる。
それでも事業の広さより、値上げできる力を慎重に見たい。装置売買の大部分は、その都度の競争入札や仕入れの好機に依存する。売上が大きく伸びた年の利益率を10年後まで延ばすことは、オーナー利益を過大に見せる。部品取引にも、在庫の評価損、保証や配送の費用、調達代金の立て替えが伴う。会計上の純利益がすべて自由な現金になるわけではない。
経営者が守るべきなのは、売上目標そのものではない。代理店契約や海外買収に投じる1円が、将来の維持投資と運転資金を差し引いても、資本コストを超える現金を生むことである。新規装置の代理販売を伸ばすことに成功しても、そのための新株発行が多ければ既存株主の取り分は薄まる。資本を増やさずに部品の反復売上を伸ばせるかが望ましい方向だ。
現在の値付けには、想定した事業価値との小さくない差がある。しかし、中立の将来利益だけで十分な安全域を説明するのは難しい。上振れが起きたときの価値は大きいが、それを確実なものとして先払いするより、受注、粗利益率、希薄化を伴う資金調達の結果がそろうことを重視する。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は半導体製造装置の中古売買である。工場の移設や設備更新で手放す装置を仕入れ、状態や搬出の条件を整理し、国内外の別の工場に販売する。1件の装置取引が数億円の売上になるため、取引件数と装置構成の違いで年度売上が大きく振れる。2025年11月期の売上約86億円のうち、中古装置の取引は約74億円を占めた。
二つ目は、部品の調達、修理と現場サービスである。電子商取引基盤「LAYLA-EC」を使い、製造を続けたい工場と世界各地の供給先を結ぶ。装置メーカーが旧型機の部品提供をやめても、互換品や中古品を探せることに意味がある。2025年11月期の部品・修理の売上は約12億円で、翌期の業績予想でもほぼ横ばいとされる。取扱品目が多いことと、注文1件ごとの利益が厚いことは別なので、価格上昇力はまだ立証されていない。
三つ目は、韓国の装置メーカーなどの国内代理店業務である。会社は新しい販売契約に基づき、従来の中古売買だけでなく新規装置も扱う方針を示している。代理店経由の販売では、装置の総取扱額と会計上の売上が一致しない場合がある。2028年の計画に総取扱高と会計上の売上の差があるのは、この収益認識の違いを読む手がかりになる。代理店の利益は未成熟であり、約束された収益としては扱えない。
採用支援の「LAYLA-HR」、業界媒体の「SEMICON.TODAY」、新たな業務ソフト構想もある。ただし、これらが独立していくら稼ぐかの開示は乏しい。人の調査、採用支援や画面操作を代替するAIの進歩もあり、10年の企業価値には未立証の電子サービス利益を先取りしていない。
優良さと弱いところ
同社に残る競争力は、装置の売り手と買い手を探す人的な取引網にある。会社資料によれば、国内半導体工場の過半に調達基盤が入り、国内外に多数の取引先と部品供給先を持つ。希少な旧型部品をすぐ探せることは工場の停止を避ける便益になり、単なる価格比較サイトとの差をつくる。2026年には米エンテグリス系製品の販売契約も公表され、取扱範囲を広げる材料になった。
しかし、この強みを強固な独占力と見なすには足りない。工場の購買部門は大口発注の相見積もりを求められ、供給側にも中古装置専門業者やメーカー系商社が並ぶ。解約率5%未満といった定量的な粘着性、法対応による切り替え負担、継続的な値上げの実績は公表資料から確認できない。装置の売買では差別化された技術より、いつ売り物が出て、いくらで仕入れられるかが利益を左右する。
資本効率も直近の高い自己資本利益率だけでは測れない。過去には赤字が続き、上場後の成長局面でも運転資金と在庫が大きく変動した。2026年には装置売上の急減で営業赤字へ逆戻りする見込みだ。増えた自己資本を使って安定的に高い利益を出せるか、まだ10年単位の実績がない。
過半の議決権に影響力を持つ資産管理会社があるため、長期戦略を継続しやすい反面、少数株主が現金の使途を変えにくい。堀は「普通」であって「強い」とまでは評価しない。海外展開や買収で在庫と売掛金が増えたとき、追加投資の利回りが資本コストを超えるかを確認したい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
半導体の中古装置市場は、新品の製造装置市場とは別物である。新品市場は2025年に世界で約1,351億ドルに達したが、新しい設備が売れたことは中古品の供給増をすぐには意味しない。工場の移設、旧世代の撤退、顧客による設備更新が起きて初めて、中古装置と部品の流通機会が生まれる。200ミリウエハーを使う成熟工程は自動車や産業機器で長く残り、修理部品には需要が続く。
市場規模の手がかりとして、同社の上場時資料が引用した業界調査は、2024年の世界中古装置市場を約6,985億円、装置販売後のサービス市場を約4兆1,109億円と見積もっている。2025年の同社の装置売上を前者で割ると約1%、部品・修理売上を後者で割ると約0.03%になる。ただし調査年が違い、後者にはメーカー純正保守など同社が競えない部分も含まれる。厳密な獲得可能市場や確定した世界シェアではない。筋書きに記す2035年のシェアも、この異なる調査年の概算市場を実質数量で延ばし、名目売上を物価分だけ割り戻した参考値である。
競争相手には韓国のSurplusGLOBAL、デジタル売買仲介のMoov、国内の三井住友ファイナンス&リース系やアスカインデックスがいる。SurplusGLOBALは大量の中古装置在庫を持ち、Moovは掲載物件の多さを訴求する。こうした事業者は国、装置の種類、売買と仲介で収益の定義が異なり、競合別の世界シェアは検証できる資料がない。公表されていない数字を仮定してまで勢力図を描かない。
10年の実質需要は、世界の生産設備の蓄積で底堅くても、国内の中古装置放出件数は毎年増えるわけではない。中国製装置の性能向上は旧式装置の価格を押し下げうる。米中の輸出管理も取引先と取扱機種を制限する。会社が代理店契約や海外拠点を育てられなければ、世界市場の成長に反して同社のシェアが縮む可能性がある。
資本政策と M&A
上場後の資本配分は、成長事業の立ち上げに資金を振り向ける局面にある。2026年初めに公表した中期経営計画は、2028年11月期に売上約128億円、営業利益約17.7億円、総取扱高約183億円を目指した。これに対し、2026年11月期の売上見通しは約31.8億円、営業損益は約2.8億円の赤字へ下方修正された。計画達成には、短期間で大口取引と代理店収益を積み上げ直す必要がある。ROEの数値目標や配当性向、DOE、総還元性向、自社株買いの累計額について、中計に数字の約束はない。
2026年には無利息の転換社債約7億円と新株予約権による資金調達を決めた。発行条件どおりすべて株式に変われば、新たな株式は合計約65万株に達し、現在の株主の持分は約85%に薄まる。株価が転換・行使価格に届かなければ希薄化は避けられるが、社債の償還資金が必要になる。現金残高だけで資金余力を判断してはいけない。
2026年1月には小規模な自社株買いを実施し、10月にも追加取得枠を決議した。ただし過去の配当実績はなく、取得枠が将来の継続還元を保証するわけでもない。株式の過半を資産管理会社が握る状況で、設備販売や買収へ資金を回す判断を少数株主が変えることは難しい。成長投資が新しい株式の発行価値を超えて利益を生むかが、資本配分の試験となる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
中古装置の流通は新品装置より競争が細かく分かれ、顧客がどの地域のどの工場に余剰設備があるかを把握しにくい。その情報を長年集める企業には、見積もりだけでは代替しにくい役割がある。TMHは部品の多品種調達基盤と工場との接点を既に持ち、新しい部品供給契約によって取扱範囲も広げている。現時点の株価は装置取引の落ち込みを反映しているが、古い半導体工場が残る限り、保守部品の需要は消えない。
2026年の中古装置減収が設備更新の谷なら、装置の放出が再開したときに少数の大型案件でも売上が戻る。新しい韓国メーカーの国内代理店事業が育てば、新品の大型案件も取得できる。中国や韓国を含む調達網を広げ、装置売買と部品を一緒に扱える企業になれば、国内だけでなく海外の中古品も結び付けられる。2028年の会社計画が目指す利益水準は、これら複数の新事業が動き始めた場合の大きさを示している。
無利息の転換社債は、収益化に成功すれば負債から自己資本に変わる。新株予約権の現金払込も使えれば、事業拡大の資金不足を避けられる。株式の希薄化は確かにあるが、事業が数倍の利益を生み、資本を効率良く回せるのであれば、それを差し引いても現在の株主には大きな上振れが残る。
慎重な見方
中古装置の売買に強い堀があれば、なぜ装置売上が1年足らずで7割も落ち、受注残も大幅に減ったのか。会社は設備の放出が遅れていると説明するが、供給源を顧客に握られている以上、注文が戻る時期を経営者も決められない。買い手は他の商社や中古装置の電子市場にも見積もりを出せる。取引先の数が多いことは値上げの力を証明しない。
部品売上は装置ほど落ち込んでいないものの、2026年の見通しは前期とほぼ同じである。安定していても成長が実証されたわけではない。中国企業が旧世代向けの新品装置や代替部品を安価に供給すれば、中古品の単価も修理部品の粗利も下がる。米国の輸出規制が強まれば取引可能な相手そのものが減る。代理店の販売権も、独占や手数料率が長期に保証されているとは限らない。
経営陣は2028年に営業利益約18億円を目指すが、その前の2026年は営業赤字の予想である。飛躍に必要な部品調達、現地法人、人件費、販売保証には現金がかかる。2026年の転換社債や新株予約権が行使されれば持分が薄まり、行使されなければ償還負担が残る。配当がないまま事業買収と増資が続く場合、少数株主には増えた売上ほどの利益が残らない。AIによる購買自動化は情報仲介や採用支援の値付けも圧迫しうる。
どちらに重みを置いたか
下に寄せる理由は、2026年の装置売上と受注残がともに急減し、中期計画の利益目標との距離が大きいことだ。やや悲観と悲観を合わせて43%とし、上側の24%より重くした。ただし部品需要の継続性と代理店事業の拡張余地は実在するため、楽観を排除しない。確率でならした価値は現時点の時価総額を上回るが、利益と持分の希薄化が上位筋書きに強く依存する条件付きの割安と判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/11 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 2,476 円92 億円(+ 還元の換算額還元の合計 176 円7 億円)。 今の値に割り戻すと 1,212 円45 億円、今との差 +9.4%、 期待の年率 +9.5%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 11,238 円420 億円 | 729 円27 億円 | +980.1% | +28.7% | 957 円36 億円 |
| やや楽観 | 16% | 5,269 円197 億円 | 456 円17 億円 | +416.7% | +19.1% | 916 円34 億円 |
| 中立 | 33% | 1,838 円69 億円 | 107 円4 億円 | +75.5% | +6.0% | 642 円24 億円 |
| やや悲観 | 25% | 431 円16 億円 | 27 円1 億円 | −58.7% | −8.6% | 115 円4 億円 |
| 悲観 | 18% | 107 円4 億円 | 13 円1 億円 | −89.1% | −20.5% | 22 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,476 円92 億円 | 176 円7 億円 | +139.3% | +9.5% | 2,651 円99 億円 |
今の株価時価総額 1,108 円41 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 海外の中古装置網と代理店が相乗成長 利益 33 億円 · PER 13.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 11,238 円420 億円
国内での部品の継続取引が海外の顧客紹介につながり、アジアの旧世代工場を中心に中古装置の販路が広がる。中古機の売買成立数は年間45台へ伸び、海外需要と品質確認の効率化によって取引先も分散する。工場にとって部品と装置を同時に探せる仕組みが便利になり、国内の導入工場に海外拠点を加えた換算取引先は125へ増える。価格競争が残っても、調達難の部品では適正な粗利を確保できる。世界中古装置市場が2024年の推計から2035年までに実質1.7倍になる場合でも、同社の売上額ベースの世界シェアは概算1.3%であり、市場を独占する筋書きではない。
韓国メーカーなどの代理店契約が定着し、新品装置の成約は年間45台に達する。1台ごとの純額手数料が積み上がり、装置本体を在庫として抱えなくても利益を得られる割合が高まる。販路整備と海外の買収に投じた資本の利回りが資本コストを超え、営業体制の固定費も売上に比べて緩やかに増える。
2030年までに転換社債と新株予約権の両方が株式へ変わる。既存株主の取り分は約85%に縮むが、転換に伴う負債の解消と行使による現金流入が事業拡大を支える。電子サービスは独立収益が立証されず、AIによる代替可能性を考慮して、好調な場合でも収益に算入しない。
- 中古半導体製造装置の売買・移設:数量 45.0(年間の売買成立装置(台、販売額からのモデル上の推計))× 価格 4.50(装置1台当たりの会計上の売上(億円))→ 売上 203 億円・営業利益 25 億円。大型中古装置45台、名目平均4.50億円。年間売上202.5億円、粗利貢献約24.9億円。
- LAYLA-EC経由の部品調達・修理:数量 125(顧客工場換算の取引拠点数(国内導入工場と海外需要を同等化した推計、拠点))× 価格 0.40(1拠点換算当たりの年間売上(億円))→ 売上 50 億円・営業利益 15 億円。国内外の顧客工場換算125、年間0.40億円、部品・修理売上50億円。
- 新品装置の国内代理販売:数量 45.0(年間の代理販売成約装置(台、推計))× 価格 0.62(成約装置1台当たりの会計上の純額売上(億円、推計))→ 売上 28 億円・営業利益 20 億円。新品装置45台の代理店成約、純額認識0.62億円/台。総取扱額とは区別。
- 採用支援・情報サービス・業務ソフト構想:数量 0.0(確認済みの有償契約・人月換算(件))× 価格 0.00(確認済みの有償契約当たり年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。独立課金売上が未開示。AIエージェント代替が進む情報・人月・画面課金は収益ゼロから立ち上がりを先取りしない。
倍率:2035年の全社ROEは33.4÷170.32=19.61%。資本コスト8.5%に超過分の半分を加えたRONICは約14.06%、名目長期成長g2.5%。正当化PER=(1−0.025÷0.1406)÷(0.085−0.025)=約13.70倍の上限そのものを用いる。33.4億円×13.7021=約457.65億円。累積利益177.45億円から還元32億円を引き、転換社債の株式化7億円と予約権行使払込約3.67億円を加えた自己資本は170.32億円。希薄化はholder_shareで別途一度だけ反映する。
確率:2026年の谷から売買網を再構築し、新規代理店で毎年多数の装置を成約させるには複数の新契約が続けて成功する必要がある。現状の受注実績からは低いが無視できない上限シナリオ。
やや楽観 16% 部品と代理店が装置売買の谷を補う 利益 16 億円 · PER 13.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5,269 円197 億円
国内の中古装置放出件数は、2026年の異常な落ち込みから回復する。ただし工場の設備更新は年によって偏り、売上が毎年滑らかに伸びるわけではない。取引網を維持した結果、10年後には年間26台程度を扱い、価格面では高額装置の構成変化と物価上昇を取り込む。中古装置の世界市場が伸びても、同社のシェアが急上昇するほどの独占力は得られない。世界中古装置市場が2035年までに実質1.5倍なら、同社の売上額シェアは概算0.8%となり、案件数回復と市場シェア拡大は同義ではない。
部品の取引工場は海外を含む換算95拠点となる。故障した旧世代装置を再稼働させるための調達需要は続き、エンテグリスなどの取扱先を増やしたことが粗利益を支える。代理店では年間22台の新規装置を販売し、手数料を積み上げる。大きな買収をせずに営業網を拡張できるため、利益率は現在より高まる。
成長資金として2026年に発行した転換社債と新株予約権は、2030年までに株式化する。既存株主は希薄化を受けるが、社債償還より設備投資や仕入れに資金を使える。人材紹介と独立した業務ソフト事業には、AIの代替可能性があるため新しい利益を見込まない。
- 中古半導体製造装置の売買・移設:数量 26.0(年間の売買成立装置(台、販売額からのモデル上の推計))× 価格 4.40(装置1台当たりの会計上の売上(億円))→ 売上 114 億円・営業利益 14 億円。中古装置26台、平均4.40億円、売上114.4億円。
- LAYLA-EC経由の部品調達・修理:数量 95.0(顧客工場換算の取引拠点数(国内導入工場と海外需要を同等化した推計、拠点))× 価格 0.36(1拠点換算当たりの年間売上(億円))→ 売上 34 億円・営業利益 10 億円。工場換算95拠点、年間0.36億円、売上34.2億円。
- 新品装置の国内代理販売:数量 22.0(年間の代理販売成約装置(台、推計))× 価格 0.58(成約装置1台当たりの会計上の純額売上(億円、推計))→ 売上 13 億円・営業利益 9 億円。新品装置22台、会計上の純額売上0.58億円/台、計12.76億円。
- 採用支援・情報サービス・業務ソフト構想:数量 0.0(確認済みの有償契約・人月換算(件))× 価格 0.00(確認済みの有償契約当たり年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。独立課金売上が未開示。AIエージェント代替が進む情報・人月・画面課金は収益ゼロから立ち上がりを先取りしない。
倍率:2035年ROE=15.7÷85.02=18.47%。k8.5%、堀は普通で超過ROEの半分が残りRONICは13.48%。g_long2.5%より正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.5764倍、時価総額は15.7×13.5764=約213.15億円。2026〜2035年の累積純利益80.15億円、累積還元20億円に転換・行使による自己資本増10.67億円を加えると自己資本約85.02億円。行使後の持分85.09%は別枠で調整する。
確率:部品の実需要は比較的底堅く、2026年10月の新しい部品販売契約も確認できる。ただし新しい代理店が採算化し、装置仕入れも戻るという2条件の同時達成が必要。
中立 33% 装置の回復は鈍いが、部品が安定した柱に 利益 5 億円 · PER 13.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,838 円69 億円
中古装置の案件は2026年の低迷から戻るものの、国内で使用済み装置が毎年大量に生まれる状況にはならない。成熟工程で新しい中国製装置が広がることもあり、数量は2025年の推計24台を下回る年間17台程度になる。平均販売額は物価上昇で名目約4.2億円となるが、実質の値上げ力は乏しい。大型取引の売上は2025年の好調期ほど戻らず、営業利益の変動も続く。世界中古装置市場が2024年推計から実質1.3倍になっても、同社の売上額シェアは概算0.6%へ低下する。
その代わり、工場を止めないための部品調達と修理の需要が着実に残る。LAYLA-ECに海外取引先が加わり、工場換算で75拠点に広がる。年間の部品売上も名目単価が物価に沿って上昇し、全社の利益の安定に役立つ。新しい代理店事業は年間10台程度の成約にとどまるが、固定費の一部を賄う。経営は大型M&Aを控え、仕入れと運転資金の回転を優先する。
転換価格に株価が届かない前提で、2030年の社債を現金で償還する。新株予約権も行使されず、既存株主の比率は維持されるが、再投資に使える資金は減る。配当は大幅には増えず、限られた自社株買いだけを仮定する。情報提供や採用支援へのAI代替を踏まえ、独立した電子サービスの価値は付けない。
- 中古半導体製造装置の売買・移設:数量 17.0(年間の売買成立装置(台、販売額からのモデル上の推計))× 価格 4.20(装置1台当たりの会計上の売上(億円))→ 売上 71 億円・営業利益 7 億円。中古装置17台、平均4.20億円、売上71.4億円。
- LAYLA-EC経由の部品調達・修理:数量 75.0(顧客工場換算の取引拠点数(国内導入工場と海外需要を同等化した推計、拠点))× 価格 0.33(1拠点換算当たりの年間売上(億円))→ 売上 24 億円・営業利益 6 億円。国内外工場換算75拠点、年間0.325億円、売上24.375億円。
- 新品装置の国内代理販売:数量 10.0(年間の代理販売成約装置(台、推計))× 価格 0.48(成約装置1台当たりの会計上の純額売上(億円、推計))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。新品装置10台、純額売上0.48億円/台、計4.8億円。
- 採用支援・情報サービス・業務ソフト構想:数量 0.0(確認済みの有償契約・人月換算(件))× 価格 0.00(確認済みの有償契約当たり年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。独立課金売上が未開示。AIエージェント代替が進む情報・人月・画面課金は収益ゼロから立ち上がりを先取りしない。
倍率:中立ROE=4.85÷34.70=13.98%、k8.5%。超過分の半分を残す普通の堀としてRONIC=11.24%。成長率は価格支配力が弱いことから名目2.5%に抑え、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.9592倍の上限とする。4.85億×12.9592=約62.85億円。2026年からの純利益累計24.5億円、累積還元4億円を踏まえ自己資本34.7億円。転換社債は償還するためholder_share=1のままとし、償還負担は設備仕入れ等の資金余力を弱める前提に反映した。
確率:2026年の大型装置放出の停止を恒久的な消滅とも一時的な反動とも断定しない。成熟工程の部品需要を残し、新規代理店は小規模で採算化する中心の筋書き。
やや悲観 25% 部品も伸びず、競争で利益率が低迷 利益 1 億円 · PER 11.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 431 円16 億円
中古装置を処分する国内工場が減り、新品の低価格装置を使う顧客も増える。仕入れと販売の双方が競争にさらされ、年間の装置売買は12台ほどにとどまる。平均売上は物価によって名目4億円へ上がるが、検査や輸送にかかる費用も上昇するため、装置取引の利益率は低い。成熟工程の在庫を抱えるリスクを避けるほど、大型案件の収益機会も減る。世界中古装置市場が実質1.15倍に拡大する場合にも、同社の売上額シェアは概算0.45%へ縮む。
旧型部品の需要は消えないが、工場換算の取引拠点は55にとどまる。顧客は別の電子商取引業者やメーカー純正品も比較し、LAYLA-ECに継続的な値上げ力は生まれない。新しい代理店の契約も成約が少なく、海外拠点の維持費が利益を圧迫する。経営は拡張を止めて固定費を削減し、営業黒字だけは残す。
株価が行使価格まで回復しなければ、転換社債は現金で償還される。配当を増やせるほどの自由資金がなく、自社株買いも小さくなる。工場の実物サービスは残る一方、情報提供と採用支援はAIによる価格圧力を受け、新規利益としては見込めない。投下資本に対する稼ぎは資本コストに届かず、事業の価値は縮む。
- 中古半導体製造装置の売買・移設:数量 12.0(年間の売買成立装置(台、販売額からのモデル上の推計))× 価格 4.00(装置1台当たりの会計上の売上(億円))→ 売上 48 億円・営業利益 4 億円。中古装置12台×4億円。価格競争と保証費で利益貢献は4.32億円。
- LAYLA-EC経由の部品調達・修理:数量 55.0(顧客工場換算の取引拠点数(国内導入工場と海外需要を同等化した推計、拠点))× 価格 0.29(1拠点換算当たりの年間売上(億円))→ 売上 16 億円・営業利益 3 億円。工場換算55拠点×0.285億円。部品売上15.675億円。
- 新品装置の国内代理販売:数量 4.0(年間の代理販売成約装置(台、推計))× 価格 0.46(成約装置1台当たりの会計上の純額売上(億円、推計))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。代理販売4台、純額売上計1.84億円、拠点運営費で利益は小さい。
- 採用支援・情報サービス・業務ソフト構想:数量 0.0(確認済みの有償契約・人月換算(件))× 価格 0.00(確認済みの有償契約当たり年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。独立課金売上が未開示。AIエージェント代替が進む情報・人月・画面課金は収益ゼロから立ち上がりを先取りしない。
倍率:2035年ROE=1.36÷17.61=7.72%でk8.5%を下回る。再投資による超過利益を見込まないので上限は1÷k=11.76倍。やや悲観では部品調達の競争と低採算の代理店維持を踏まえ、営業を継続した稼ぐ力として11.2倍、1.36×11.2=15.232億円を用いる。事業の損益から利益累計4.41億円、還元累計1億円を引くと自己資本は17.61億円。現金の追加資産価値は計上しない。
確率:下に寄せる理由:装置受注残の急減と部品売上の伸び悩みは現時点で数字として確認できる。代理店の採算化が遅れれば利益改善余地も小さくなるため中立に近い高めの確率を与えた。
悲観 18% 大型取引の消失と事業縮小 利益 −2 億円 · PBR 0.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 107 円4 億円
国内の中古装置の供給が戻らないまま、旧型装置の代わりに中国などの新品設備が使われる。世界の設備総量が増えても、TMHの仲介する大型案件は年間6台へ減り、実質単価も下がる。2025年には約74億円あった装置売上は大きく細る。仕入れと販売の両方を顧客に左右され、在庫評価損と保証対応の費用を吸収できなくなる。競合のSurplusGLOBALやMoovなどへの相見積もりも進む。世界中古装置市場の実質規模が横ばいにとどまるなか、同社の売上額シェアは概算0.2%に落ち込む。
部品の顧客網は縮小し、海外の調達費用を吸収できない。工場換算の取引先は32へ減り、売上の増加どころか収益の防衛も難しくなる。新品装置の代理店事業は契約を更新できず、成約が途絶える。経営は人員と拠点を縮小し、売上高より固定費の削減に追われる。過去に有用だった調達先名簿は残るが、顧客をつなぐだけで高い手数料を取れる関係は失われる。
転換社債は株式に変わらず償還され、保有現金は赤字の穴埋めに回る。電子サービスもAIに置き換わる部分が多く独立した黒字を生まない。2035年時点でも営業赤字が残るため、継続利益に倍率を掛けず、借金を清算した後の回収可能な現金と在庫を土台に評価する。
- 中古半導体製造装置の売買・移設:数量 6.0(年間の売買成立装置(台、販売額からのモデル上の推計))× 価格 3.30(装置1台当たりの会計上の売上(億円))→ 売上 20 億円・営業利益 0 億円。中古装置6台×3.3億円。仕入れ値と保証費の増加により装置部門は利益ゼロ。
- LAYLA-EC経由の部品調達・修理:数量 32.0(顧客工場換算の取引拠点数(国内導入工場と海外需要を同等化した推計、拠点))× 価格 0.25(1拠点換算当たりの年間売上(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。国内中心の工場換算32拠点、年間0.25億円、部品売上8億円。
- 新品装置の国内代理販売:数量 0.0(年間の代理販売成約装置(台、推計))× 価格 0.40(成約装置1台当たりの会計上の純額売上(億円、推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。代理販売契約が失われ成約ゼロ。
- 採用支援・情報サービス・業務ソフト構想:数量 0.0(確認済みの有償契約・人月換算(件))× 価格 0.00(確認済みの有償契約当たり年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。独立課金売上が未開示。AIエージェント代替が進む情報・人月・画面課金は収益ゼロから立ち上がりを先取りしない。
倍率:継続損失にPERを使えないため、貸借対照表の換金可能性に基づく床4.0億円を評価額とする。現在の2025年11月期自己資本約14.2億円×PBR0.2816901=約4.0億円。これは2035年の累積赤字後の自己資本4.05億円に乗じた数字ではない。2026〜2035年の累積純損失9.65億円と少額還元0.5億円により自己資本4.05億円となる。転換社債7億円の償還、顧客前受金、清算費用を控除し、売れない無形価値は評価しない。
確率:下に寄せる理由:会社の過去にも営業赤字の時期があり、2026年には再び赤字を見込む。大型装置の仕入れ機会が構造的に減り、部品も競争に埋もれる複合的な失敗は起こりうるため、低い確率にはしない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
中古半導体製造装置の売買・移設
国内外の工場から装置を仕入れて再販売する。売上は大型案件の件数、機種、仕入れの可否によって大きく変動する。
| 数量年間の売買成立装置(台、販売額からのモデル上の推計) | 価格装置1台当たりの会計上の売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 24.0 | 3.08 | 74 | 7 |
| 10 年後 中立 | 17.0 | 4.20 | 71 | 7 |
取り方:2025年11月期の装置販売売上7,403.9百万円が開示実績。実台数と平均単価は非開示のため、1台約3.085億円、約24台と仮定して逆算した感応度モデルである。代理店の新品装置の最低価格が3億円という会社説明を中古機の実測価格と混同しない。営業利益6.8億円は粗利益を仮配賦した分析値で、法定の部門利益ではない。2026年3四半期の装置売上前年同期比約72%減と受注残約68%減を将来数量に織り込む。世界中古装置の実質市場は2024年予測約6,985億円が基準。2025年当社売上との単純比約1%を概数の規模感として使う。
LAYLA-EC経由の部品調達・修理
旧世代の半導体製造ラインが稼働するための交換部品、修理および付帯サービスを扱う。
| 数量顧客工場換算の取引拠点数(国内導入工場と海外需要を同等化した推計、拠点) | 価格1拠点換算当たりの年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 51.0 | 0.24 | 12 | 3 |
| 10 年後 中立 | 75.0 | 0.33 | 24 | 6 |
取り方:2025年の部品・修理売上1,213.5百万円にその他10.9百万円を含め計12.2447億円とした。51は会社が示したLAYLAの国内導入工場数の概数で、実際の有料顧客件数・受注数量・海外の個別拠点数ではない。したがって売上を51で割る拠点換算単価は分析上の代理変数である。会社開示の約400社の取引先、200社以上の供給先と約39万品目は網の大きさの補助情報にとどめた。世界の装置販売後サービス市場予測約4兆1,109億円との比は約0.03%だが、メーカー純正保守も含むため厳密な獲得可能市場ではない。
新品装置の国内代理販売
韓国等の装置メーカーから販売権を得て半導体装置を販売する新事業。実現した契約に対応する会計上の手数料・純額売上で把握する。
| 数量年間の代理販売成約装置(台、推計) | 価格成約装置1台当たりの会計上の純額売上(億円、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 0.0 | 0.40 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 10.0 | 0.48 | 5 | 2 |
取り方:2025年11月期は新規代理店事業の売上が単独で確認できないため0とした。会社は翌期以降に1台3億円以上の新品装置を年数台〜数十台扱う構想を示す。ただし総取扱高と会計売上は異なり、想定単価0.4億円は装置本体の価格でなく粗取扱高の約10〜15%が純額収益となる仮説である。2028年計画の総取扱高182.9億円と会計上の売上128.1億円の差を代理販売の収益認識の参考とするが、単独手数料率の開示はない。
採用支援・情報サービス・業務ソフト構想
LAYLA-HR、SEMICON.TODAY、新たな業務ソフトの構想で、現時点で独立した課金売上が確認できない。
| 数量確認済みの有償契約・人月換算(件) | 価格確認済みの有償契約当たり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
取り方:独立した有料契約件数や部門売上が開示されていないため将来も価値をゼロとして保守的に扱う。AIエージェント代替の型では、採用支援・調査・情報仲介は人月型で中立数量10年0.55〜0.75倍、操作画面が価値の中心のSaaSは席課金型で0.70〜0.90倍、単価上昇は各型の上限以下、将来gは0%以下とする。装置の搬出・交換・実物の修理は現場の体の仕事であり、この人月収縮を適用しない。独立した売上が実証されるまでは会社全体の増益源に算入しない。
リスクと懸念
装置放出の急減と仕入れ主導の循環
装置の売上は2026年の第3四半期までに前年同期比約72%減り、受注残も約68%縮んだ。中古装置は売り手の生産計画や工場移転によって供給されるため、販売努力だけで数量を回復させられない。調達できない機種を代理店の新品で埋めるには顧客と資金が必要で、会社計画どおりには進まない可能性がある。
成熟工程の装置価格と国際規制
旧世代の半導体ラインは長く稼働するが、中国製の低価格装置や互換部品が広がれば、中古機と修理部品の実質単価が下がる。米中の輸出規制や装置ごとの輸送許可は、販売できる国と顧客を狭める。国際売買が増えるほど、輸送費、保証費、輸出管理の失敗による損失は重くなる。
AI エージェント代替
中古装置の搬出や部品の物理的な修理までAIが置き換えるわけではない。しかし、購買担当が画面で部品を探す作業、見積もり比較、情報配信、人材紹介の事務工程はAIエージェントに代替されうる。LAYLA-ECの画面自体に高い手数料を取る余地は縮む一方、現物の納期・品質保証・在庫照合が残るかで価値が分かれる。
転換社債と新株予約権による持分の薄まり
2026年に決めた無利息の転換社債約7億円と新株予約権は、すべて行使されれば既存株主の持分を約85%に縮める。上振れの業績をそのまま既存株主の価値にしてはいけない。反対に株価が行使価格に届かなければ、2030年の社債償還負担が残り、部品の在庫拡充や新しい買収の資金を奪う。
在庫・前受金・売掛金の変動
2024年末の厚い現金は大型装置取引に伴う顧客前受金の影響を受け、翌年には大きく減った。2026年の現金増加にも転換社債の資金が含まれる。顧客に納品するまで高額装置を保有する場合、会計利益より先に現金が出ていく。市況が悪化すると在庫評価損や代金回収の遅れが重なる。
中期計画と買収・代理店事業の実行
2028年に営業利益約17.7億円を目指す計画は、2026年の赤字予想から大幅な反転を必要とする。韓国メーカーの新しい代理店契約も、売上認識の条件や保証負担次第で利益率が変わる。海外子会社や買収によって仕入れ先を増やしても、買収価格と追加運転資金が回収できなければ、既存株主の利益は薄まる。
支配株主と少数株主への還元
資産管理会社が議決権の過半に影響力を持ち、上位株主への株式集中度も高い。事業の長期戦略を守る利点はあるが、少数株主が余剰現金の配分を変更させることは難しい。配当は実績がなく、株式取得枠も継続的な現金還元を意味しない。利益が内部に残っても資本コスト以上に再投資されない場合、本質価値には結び付かない。
今後の分かれ目
- 中古装置の期末受注残が2期続けて前年を上回り、装置の売上総利益率も改善したら
- 2026年の急減を一時的な案件の谷と認め、中立の装置件数とやや楽観の確率を引き上げる。ただし前受金や一時的な大型取引による嵩上げは切り分ける。
- LAYLA-ECの有料継続顧客数、反復受注額、解約率が数値で公表され、部品売上が年2桁で伸び始めたら
- 部品の拠点数と収益性を上方修正する。切り替えが困難な実績と値上げ実績が2つ以上そろう場合だけ、部品部分の堀を強く評価する。
- 新品装置の代理店で成約台数と会計売上、粗利益の関係が初めて開示されたら
- 総取扱額と収益認識上の売上を分け直し、案件当たりの利益と必要運転資金で中立・上位の販売台数を再評価する。
- 2030年に転換社債が株式に転換され、新株予約権も行使されたら
- 会社に償還負担が残らない利点と、既存株主持分が約85%となる希薄化を同時に反映する。将来利益の増加だけを見て価値を上げない。
- 営業損失と在庫増加が2期以上続き、純現金が使われ続けたら
- やや悲観と悲観の確率をさらに高める。棚卸資産の換金可能額と顧客前受金・転換社債の返済義務を優先して悲観の床を見直す。
- 中国向け中古装置の輸出管理が厳しくなり、機種別の販売禁止が広がったら
- 装置の実質売買件数と代理店成約台数を下方修正する。対象外の部品販路で相殺できると判断するには新たな受注実績が必要となる。
- 会社が配当性向または総還元性向の定量方針を設け、増配や発行株式の2%超の純減を実行したら
- 株主に戻る現金の割合を実績に合わせて見直す。現時点の支配株主と還元実績を基にした保守的な現金評価を引き上げる余地が生まれる。
見ておくもの
- 装置売上、顧客からの設備放出案件数、装置受注残と売上総利益率の四半期推移
- LAYLA-ECの有料顧客・工場数、反復注文率、部品・修理売上と粗利益率
- 韓国メーカーの新規代理店での成約装置台数、総取扱高と会計売上の差額
- 2028年11月期の売上128億円・営業利益17.7億円目標に対する進捗と修正
- 2026年発行の転換社債約7億円の転換・2030年の償還、新株予約権225,000株の行使
- 棚卸資産、前受金、売掛金、短期資金と営業キャッシュフローの連動
- 取締役会の実際の自己株式取得、配当政策、株主構成および海外M&Aの投下資本収益率
倍率と資本コストの決め方
2025年の会計売上を中古装置、部品・修理、代理店、未立証の電子サービスに分け、実物数量・拠点換算数と名目単価で2035年の売上を試算した。装置台数と部品単価は非開示であり推計の弱さを残す。上位3筋書きの倍率は、資本コスト8.5%、10年後以降の名目成長2.5%、ROE超過分が半減する再投資利回りから正当化した。下位は稼ぐ力と換金資産の床で測り、過去のPERやPBR、現在の株価を参照していない。10月23日の株価は最後の比較にだけ用いた。2027年度以後に進む新リース会計で負債表示が変わっても、事務所家賃は営業費用として同じ尺度に置く。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%と株式リスクプレミアム4.5%に、循環と価格決定力で1%を上乗せ。個別の海外展開・支配株主・希薄化リスクは数量・利益と確率で扱い、資本コストに二重加算しない。