結論
三栄コーポレーションは、家具や家庭用品、服飾雑貨を海外の工場で作らせて納める専門商社だ。売上の51%は無印良品を営む良品計画向けで、残りはVitantonioなどの自社ブランドと、ペットショップなどの小売だ。筆者の結論は「やや割高」で、一番の理由は利益の主導権を顧客に握られていることにある。
相手先のブランドで作って納める仕事は、量は大きいが値段は発注者が決める。過去12年の営業利益率は平均2%台で、最良の年でも5%台にとどまる。2026年3月期は服飾雑貨の売上が27%減り、営業利益は半分になった。
会社は赤字の子会社や中国の工場を畳み、中期計画で3年後の経常利益20億円とROE10%以上を掲げた。整理が進めば利益の底は上がる。ただ、良品計画の調達の方針ひとつで売上の半分が動く形は変わらない。
純現金は約44億円あり、財務は堅い。それを足しても、確率で重みを付けた価値は今の時価総額を2割ほど下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「良い顧客を持つが、良い商売ではない」に入る。無印良品という強い棚に商品を納める立場は安定しているように見える。だが、値段を決めるのは棚の持ち主で、三栄は工場と棚の間で薄い口銭を取る役だ。
持ち主の目で見ると、10年後もこの会社は良品計画の調達先として残っている可能性が高い。ただ、その取り分は発注者の都合で増えも減りもする。過去12年で営業利益率が5%を超えた年は2回しかない。稼いだ利益の半分は配当で戻るが、残りは自己資本に積もり、資本コストを下回る利回りで眠る。
安全域は見えない。純現金と政策保有の株式で下値は支えられるが、事業の部分に払う値段に対して、利益が伸びる根拠が弱い。筆者は、中期計画の利益目標を実際に達成し、それが続くのを見てからでも遅くないと考える。顧客1社の都合で利益が半分になる会社に、先回りして高い値を払う理由はない。
何で稼ぐ会社か
事業は3つの柱と、その他でできている。最大は家具家庭用品で売上192億円、利益は11.5億円だ。収納家具やマットレス、キッチン用品、生活雑貨を、中国やベトナムの協力工場とマレーシアの自社工場で作り、主に良品計画に納める。
2つ目は服飾雑貨で売上119億円、利益8.6億円だ。バッグや靴、帽子、靴下などを相手先のブランドで作って納める仕事と、mod's hairやCath Kidstonなどのブランドの商品がある。2026年3月期は前の期より27%減った。
3つ目は家電で売上30億円、2.6億円の赤字だ。Vitantonioのホットサンドメーカーなどの小型の調理家電が中心で、中国の自社工場は2025年に閉じた。
その他は約22億円で、ペットショップのペピカや動物病院、防災用品が入る。
稼ぎ方の核は、海外の工場を束ね、品質と納期を管理して大きな小売の棚に商品を届ける力だ。円安や原材料の値上がりは、発注者との値段の交渉を通じて少しずつ乗せる。本社の費用は年7億円台で、各事業の利益から差し引かれる。
優良さと弱いところ
強みは良品計画との長い取引だ。無印良品の家具や家庭用品の多くを開発から生産まで担い、工場の選び方や品質の作り込みの知恵を積んできた。良品計画にとって、代わりの調達先をすぐ見つけるのは簡単ではない。
弱みは同じ所にある。売上の半分を1社に頼る会社は、値段を自分で決められない。発注者は複数の調達先を競わせ、原価の上昇を全部は認めない。2026年3月期に良品計画向けの比率が57%から51%に下がったのは、発注の配分が動いた表れでもある。
自社ブランドは利益率が高い代わりに、規模が小さい。家電は赤字が続き、工場を閉じた。過去10年のROEの中央値は3%弱で、資本コストを大きく下回る。資本を使って稼ぐ力は弱い。
経営は整理を進めている。赤字の子会社を清算し、中国の工場を閉じた。中期計画ではROE10%以上を掲げる。ただ、過去にも計画どおりに利益が伸びなかった時期は長い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
家具と家庭用品の市場は、国内では人口とともに量が細る。一方で、無印良品やニトリのような製造小売が棚を広げ、仕入れを海外の工場に集める流れは続く。三栄はその流れの裏方で、小売の代わりに工場を探し、作らせ、運ぶ役を担う。
競合は2種類ある。1つは同じように相手先のブランドで作る商社やメーカーで、国内外に多い。もう1つは小売自身で、ニトリのように自前で海外の工場と組む会社が増えれば、商社の出番は減る。
良品計画は海外の出店を増やしており、中国やアジアで店が増えれば三栄の量も増える余地がある。逆に、良品計画が調達先を広げれば、三栄の取り分は減る。2026年3月期の服飾雑貨の落ち込みは、その振れの大きさを見せた。
生産の地図も変わる。中国の人件費の上昇と関税の不確かさで、ベトナムやマレーシアへの移管が進む。筆者は、10年で国内の量は横ばい、海外の良品計画向けで少し増える程度と見る。値段は物価並みに上げるのがやっとで、利益率が大きく上がる構造ではない。為替は1ドル150円で動かないと置くので、円安の追い風も逆風も数えていない。
資本政策と M&A
配当は配当性向30〜50%を目処とし、安定配当を最も重んじる。2026年3月期は1株あたり前の期と同額の配当で、総額は約2.9億円、配当性向は5割を超えた。自社株買いの実績は見当たらない。
株主優待はポイント制で、100株から自社の商品やクーポン、寄付と交換できる。会社は費用を開示していないので、筆者は原価で年0.25億円ほどと推定した。10年で2.5億円前後の還元になる。
純現金は約44億円ある。ただ前の期は借入と現金がほぼ釣り合っていた。仕入れの支払いと在庫で大きく動くので、事業に要らない現金は20億円ほどと見る。政策保有の株式も持ち、評価益が出ている。
大株主は三菱UFJ銀行や三井住友銀行などの金融機関が数%ずつで、親会社はない。中期計画は株主資本を100〜120億円で設計するとしており、今の約147億円との差をどう埋めるかが還元の焦点になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
整理の効果はこれから出る。赤字の家電の中国工場を閉じ、ベネクシーを清算し、リリーベットをペピカに合併した。赤字の芽を摘めば、残るのは利益の出る家具家庭用品と服飾雑貨だ。中期計画の経常利益20億円は、2025年3月期に営業利益21億円を出した実績から見て、手の届かない数字ではない。
良品計画は海外で店を増やしている。中国、東南アジア、欧米で無印良品の棚が広がれば、家具や家庭用品の量は増える。三栄は開発から生産まで担える数少ない相手で、長い取引の信頼がある。マレーシアの自社工場はマットレスの輸出も手がけ、他の顧客にも広げられる。
財務も堅い。純現金は約44億円で、時価総額の6割近い。中期計画は株主資本を100〜120億円で設計するとしており、今の自己資本との差を還元で埋めれば、株主の取り分は増える。配当と優待を合わせた利回りも低くない。銀行など安定した株主が並び、経営は落ち着いている。整理を終えた会社は、利益の振れが小さくなるはずだ。
慎重な見方
利益の主導権は良品計画にある。売上の半分を1社に頼る会社は、原価が上がっても値段に全部は乗せられない。2026年3月期は服飾雑貨の売上が27%減り、営業利益は半分になった。良品計画向けの比率も57%から51%に下がった。発注の配分が動けば、利益はすぐに消える。
過去の記録も弱い。過去12年の営業利益率は平均2%台で、5%を超えた年は2回しかない。2021〜2023年3月期は3期続けて赤字だった。中期計画の目標は、その最良の年の再現を前提にしている。整理で赤字を減らしても、残る事業の口銭が薄いことは変わらない。
無印良品が自前で工場と組む割合を増やす、ニトリのように調達を内に取り込む、といった動きが出れば、商社の出番は減る。資本の使い方も変わり映えしない。自社株買いはなく、ためた利益は資本コストを下回る利回りで眠り続ける。整理は過去の失敗の後始末で、新しい稼ぎの柱を作ったわけではない。利益の出る事業を残しても、その口銭は発注者が決める。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方のほうがやや強い。整理の効果と良品計画の海外の伸びは本物の追い風だが、顧客1社に値段を握られる構造は動かない。過去12年の利益率の低さが、それを数字で示している。確率は中立を中心に、やや楽観とやや悲観に同じ重さを置き、悲観にもやや厚めの確率を残した。純現金と政策保有の株式は、どの筋書きでも下値を支える。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 992 円95 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 320 円31 億円)。 今の値に割り戻すと 627 円60 億円、今との差 −18.1%、 期待の年率 +5.5%(資本コスト 9.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,308 円221 億円 | 596 円57 億円 | +279.2% | +14.3% | 203 円19 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,563 円149 億円 | 447 円43 億円 | +162.4% | +10.1% | 402 円38 億円 |
| 中立 | 40% | 1,075 円103 億円 | 354 円34 億円 | +86.4% | +6.4% | 571 円55 億円 |
| やや悲観 | 20% | 318 円30 億円 | 173 円17 億円 | −36.0% | −4.4% | 98 円9 億円 |
| 悲観 | 13% | 189 円18 億円 | 103 円10 億円 | −61.9% | −9.2% | 38 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 992 円95 億円 | 320 円31 億円 | +71.4% | +5.5% | 1,313 円125 億円 |
今の株価時価総額 766 円73 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 整理が実り、良品計画の海外の伸びに乗る 利益 18 億円 · PER 11.3 倍 · 株価時価総額 2,308 円221 億円
良品計画は中国とアジア、欧米で店を増やし、三栄はその家具と家庭用品の多くを担い続ける。家具家庭用品の量は4割増え、マレーシアの工場からのマットレスの輸出も伸びる。服飾雑貨も他の小売との取引を広げて量を戻す。赤字の家電は黒字に転じる。値段は物価並みに上げ、家具家庭用品の利益率は7%に上がる。全社の営業利益率は6%台と過去の山を上回る。配当は利益の45%で続き、株主資本の設計に合わせた自社株買いも始まる。それでもためた利益は多く、ROEは資本コストにわずかに届かない。顧客1社への依存は残るが、その1社が強く伸びる筋書きだ。
- 家具家庭用品:数量 13.4(納めた点数(百万点・年、推定))× 価格 2.68(1点あたりの売上(千円・名目))→ 売上 360 億円・営業利益 25 億円。点数 1.4 倍・単価 1.34 倍・利益率 7%
- 服飾雑貨:数量 13.7(納めた点数(百万点・年、推定))× 価格 1.34(1点あたりの売上(千円・名目))→ 売上 183 億円・営業利益 15 億円。点数 1.15 倍・利益率 8%
- 家電:数量 605(販売台数(千台・年、推定))× 価格 6.70(1台あたりの売上(千円・名目))→ 売上 41 億円・営業利益 1 億円。台数 横ばい・利益率 3%
- その他(ペット・動物病院・防災):数量 132(販売・診療の件数(千件・年、推定))× 価格 2.68(1件あたりの売上(万円・名目))→ 売上 35 億円・営業利益 1 億円。件数 1.2 倍・利益率 4%
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.4% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 11.31 倍、時価総額 221 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:利益率が過去12年の山を10年保つ筋書きで、顧客1社の発注の伸びに頼るので7%。
やや楽観 20% 中期計画の水準を保つ 利益 12 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,563 円149 億円
赤字の子会社と工場を畳んだ効果が出て、営業利益は中期計画の水準に近い20億円前後で安定する。良品計画の海外の店の増加で家具家庭用品の量は2割増える。服飾雑貨は2026年3月期の落ち込みから少し戻る。家電は小さな黒字になる。値段は物価にやや届かない程度で上げる。配当は利益の45%で続く。営業利益率は5%に近づき、過去の山の水準を保つ。それでもROEは6%台で、資本コストには届かない。ためた利益の半分は配当で戻り、残りは自己資本に積もる。良品計画との関係は今と変わらず、他の小売との取引も少しずつ広がる。
- 家具家庭用品:数量 11.5(納めた点数(百万点・年、推定))× 価格 2.64(1点あたりの売上(千円・名目))→ 売上 304 億円・営業利益 18 億円。点数 1.2 倍・単価 1.32 倍・利益率 6%
- 服飾雑貨:数量 12.5(納めた点数(百万点・年、推定))× 価格 1.32(1点あたりの売上(千円・名目))→ 売上 165 億円・営業利益 12 億円。点数 1.05 倍・利益率 7%
- 家電:数量 545(販売台数(千台・年、推定))× 価格 6.50(1台あたりの売上(千円・名目))→ 売上 35 億円・営業利益 1 億円。台数 0.9 倍・利益率 2%
- その他(ペット・動物病院・防災):数量 121(販売・診療の件数(千件・年、推定))× 価格 2.68(1件あたりの売上(万円・名目))→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。件数 1.1 倍・利益率 3%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.8% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 11.11 倍、時価総額 149 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2025年3月期の営業利益21億円の実績があり、整理の効果で届きうる筋書き。過去の振れが大きいので20%。
中立 40% 良品計画の裏方として、薄い口銭で続く 利益 8 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,075 円103 億円
三栄は10年後も良品計画の主な調達先であり続ける。家具家庭用品の量は5%増え、服飾雑貨は5%減る。家電は採算の合う商品に絞り、量は2割減る。値段は原価に合わせて上げるが、発注者の交渉で物価にやや届かない。本社の費用は物価並みに増える。全社の営業利益率は3%弱で、過去の平均をやや上回る程度だ。整理で赤字の子会社が消えた分、純利益は営業利益に近づく。配当は利益の45%で続き、残りは自己資本に積もる。優待のポイントも続く。良品計画の調達の方針が大きく変わらない限り、三栄は薄い口銭で安定して稼ぐ。営業利益は今よりやや多い水準にとどまる。
- 家具家庭用品:数量 10.1(納めた点数(百万点・年、推定))× 価格 2.60(1点あたりの売上(千円・名目))→ 売上 262 億円・営業利益 14 億円。点数 1.05 倍・単価 1.30 倍・利益率 5.5%
- 服飾雑貨:数量 11.3(納めた点数(百万点・年、推定))× 価格 1.30(1点あたりの売上(千円・名目))→ 売上 147 億円・営業利益 9 億円。点数 0.95 倍・利益率 6%
- 家電:数量 484(販売台数(千台・年、推定))× 価格 6.25(1台あたりの売上(千円・名目))→ 売上 30 億円・営業利益 0 億円。台数 0.8 倍・収支とんとん
- その他(ペット・動物病院・防災):数量 110(販売・診療の件数(千件・年、推定))× 価格 2.68(1件あたりの売上(万円・名目))→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。件数 横ばい・利益率 2%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.8% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 11.11 倍、時価総額 103 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去12年の利益率の平均と、整理の効果、良品計画の海外の伸びを合わせた中心の筋書き。
やや悲観 20% 発注の配分が動き、量が2割減る 利益 2 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 318 円30 億円
良品計画が調達先を広げ、三栄の取り分は減る。家具家庭用品の量は2割、服飾雑貨は4分の1減る。値段は原価の上昇に追いつかず、利益率は4%に落ちる。家電は赤字に戻る。本社の費用は削っても量の減りに追いつかない。営業利益は今の4分の1を下回る。配当は利益に合わせて減り、優待も縮む。純現金は残るが、会社の中に置かれたままだ。人を減らし、拠点を見直して費用を削るが、量の減りには追いつかない。新しい顧客を開くにも時間がかかり、自社ブランドだけでは穴を埋められない。営業利益は一時、年2億円台に沈む。整理を終えたばかりの会社に、次の打ち手を探す余裕は少ない。
- 家具家庭用品:数量 7.7(納めた点数(百万点・年、推定))× 価格 2.50(1点あたりの売上(千円・名目))→ 売上 192 億円・営業利益 8 億円。点数 0.8 倍・単価 1.25 倍・利益率 4%
- 服飾雑貨:数量 8.9(納めた点数(百万点・年、推定))× 価格 1.25(1点あたりの売上(千円・名目))→ 売上 112 億円・営業利益 4 億円。点数 0.75 倍・利益率 4%
- 家電:数量 363(販売台数(千台・年、推定))× 価格 6.00(1台あたりの売上(千円・名目))→ 売上 22 億円・営業利益 −1 億円。台数 0.6 倍・赤字
- その他(ペット・動物病院・防災):数量 99.0(販売・診療の件数(千件・年、推定))× 価格 2.60(1件あたりの売上(万円・名目))→ 売上 26 億円・営業利益 0 億円。件数 0.9 倍・利益率 1%
倍率:事業のROEが約1%でk 9%を大きく下回るので、PERの上限は1÷k=11.4倍。稼ぐ力が細る筋書きなので上限の6割強の7倍に置いた。余った現金は谷で使う分を引いた15億円を戻り方0.75で足した。
確率:2026年3月期に良品計画向けの比率が下がり、服飾雑貨が27%減った実例から20%。
悲観 13% 最大の顧客を失い、赤字の商社になる 利益 −9 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 189 円18 億円
良品計画が調達を内に取り込み、三栄への発注を半分に減らす。家具家庭用品と服飾雑貨の量は半分になり、値段も物価に届かない。工場との契約や人の固定費が残り、営業赤字が続く。会社は人を減らし、拠点を畳む。配当は細り、優待も縮む。純現金は赤字の穴埋めに使われる。会社は清算されず、現金は少数株主の手に戻らない。価値は手元の蓄えのうち戻りうる分だけになる。マレーシアの工場も、他の顧客を見つけられなければ重荷になる。積み上げた自己資本は、赤字で年々目減りしていく。工場で作り、棚に届けるという本来の役割そのものが要らなくなる筋書きだ。
- 家具家庭用品:数量 4.8(納めた点数(百万点・年、推定))× 価格 2.30(1点あたりの売上(千円・名目))→ 売上 110 億円・営業利益 −2 億円。点数 0.5 倍・単価 1.15 倍・赤字
- 服飾雑貨:数量 6.0(納めた点数(百万点・年、推定))× 価格 1.15(1点あたりの売上(千円・名目))→ 売上 68 億円・営業利益 −1 億円。点数 0.5 倍・赤字
- 家電:数量 242(販売台数(千台・年、推定))× 価格 5.75(1台あたりの売上(千円・名目))→ 売上 14 億円・営業利益 −1 億円。台数 0.4 倍・赤字
- その他(ペット・動物病院・防災):数量 88.0(販売・診療の件数(千件・年、推定))× 価格 2.40(1件あたりの売上(万円・名目))→ 売上 21 億円・営業利益 0 億円。件数 0.8 倍・収支とんとん
倍率:赤字が続くのでPERは当てない。価値は手元の現金と売れる株式のうち株主に戻りうる分(床の資産18億円)で決まる。今の自己資本146.9億円に対して0.12倍。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.123 倍・時価総額 18 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:顧客1社に売上の半分を頼る構造の負け筋。2021〜2023年3月期に3期続けて赤字だった実例もあり13%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
家具家庭用品
収納家具・マットレス・キッチン用品・生活雑貨を海外の工場で作り、主に良品計画に納める。
| 数量納めた点数(百万点・年、推定) | 価格1点あたりの売上(千円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 9.6 | 2.00 | 192 | 11 |
| 10 年後 中立 | 10.1 | 2.60 | 262 | 14 |
取り方:量は開示が無いので推定。売上192.12億円を、家具と小物を合わせた平均の単価を1点あたり2千円前後とみて約960万点とした。
服飾雑貨
バッグ・靴・帽子・靴下などを相手先のブランドと自社のブランドで作って納める。
| 数量納めた点数(百万点・年、推定) | 価格1点あたりの売上(千円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 11.9 | 1.00 | 119 | 9 |
| 10 年後 中立 | 11.3 | 1.30 | 147 | 9 |
取り方:量は推定。売上118.98億円を、平均の単価を1点あたり千円前後とみて約1,190万点とした。
家電
Vitantonioなど自社ブランドの小型の調理家電。中国の自社工場は2025年に閉鎖。
| 数量販売台数(千台・年、推定) | 価格1台あたりの売上(千円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 605 | 5.00 | 30 | −3 |
| 10 年後 中立 | 484 | 6.25 | 30 | 0 |
取り方:量は推定。売上30.24億円を、1台あたり5千円前後とみて約60万台とした。
その他(ペット・動物病院・防災)
ペットショップのペピカ、動物病院、防災用品の販売。
| 数量販売・診療の件数(千件・年、推定) | 価格1件あたりの売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 110 | 2.00 | 22 | 0 |
| 10 年後 中立 | 110 | 2.68 | 29 | 1 |
取り方:量は推定。売上21.97億円を1件2万円前後とみて約11万件とした。利益は開示が無く、全社の営業利益との差から小さな黒字と推定。
リスクと懸念
良品計画への集中
売上の51%を良品計画に頼る。発注の配分を他社へ移されれば、売上と利益はすぐに大きく減る。2026年3月期に比率が57%から51%に下がり、服飾雑貨の売上は27%減った。
値段を決められない
相手先のブランドで作る仕事では、原価が上がっても発注者が値上げを全部は認めない。円安や原材料の高騰の局面で、口銭が削られやすい。
製造小売の内製化
大きな小売が自前で海外の工場と組む動きを強めれば、商社の役割は細る。ニトリのような調達の内製化が広がるかが、10年の量を左右する。
生産の移管と関税
中国からベトナムやマレーシアへの生産の移管には費用がかかる。関税の変化や地政学の緊張で、調達の費用と納期が乱れるおそれがある。
計画の未達
中期計画の経常利益20億円は過去最良の年に近い水準だ。過去12年で営業利益率が5%を超えた年は2回だけで、計画どおりに利益が伸びない時期が長かった。
今後の分かれ目
- 中期計画の経常利益20億円を達成し、2年続けたら
- やや楽観の筋書きに近づく。整理の効果が定着したと見る。
- 良品計画向けの比率がさらに下がり、他の顧客で埋められなかったら
- やや悲観に重みを移す。
- 株主資本を100〜120億円に合わせるための自社株買いを始めたら
- 余った現金の戻り方を上げ、価値を見直す。
- 家電が黒字に戻り、自社ブランドの売上が伸びたら
- 利益率の上振れの根拠になる。
- 新しい大口の小売と取引を始めたら
- 顧客の集中が和らぎ、寿命の見方を和らげる余地がある。
見ておくもの
- 良品計画向けの売上の比
- セグメント別の利益(家具家庭用品・服飾雑貨・家電)
- 中期計画の経常利益の進み
- 配当性向と自社株買いの有無
- 海外生産の移管の進み
倍率と資本コストの決め方
家具家庭用品と服飾雑貨は納めた点数(推定)×1点の単価、家電は台数(推定)、その他は販売の件数(推定)で積み、本社の費用年7.5億円を物価で増やして引いた。中立の営業利益率は約3%で、過去12年の山5.4%以下。倍率は資本コスト9%(循環+0.25%・値決め力+0.5%・寿命+0.5%)で、ROEはどの筋書きもkを下回るので1÷kの11.4倍を上限にし、中立はその8割にした。今の株価やPBRは見ていない。余った現金20億円は戻り方0.75で足した。優待は推定の原価年0.25億円を還元に足した。新リース会計で店舗の賃借が載るが、小売は小さく影響は限られる。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.43→11.31 倍・やや楽観 PER 10.5→11.11 倍・中立 PER 9.1→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。