結論
タカショーは和歌山の庭とエクステリアの資材の会社だ。ウッドデッキ、日よけ、目隠しの塀、庭の照明を、工事業者とホームセンターに卸す。筆者の結論は割高である。帳簿の半値という値段は安く見えるが、この会社は株主の資本に対して資本コストの半分ほどしか稼げていない。
弱さの根は3つある。新築の戸建てが減り続けること。海外の子会社が10年以上赤字か薄利であること。そして中期経営計画の未達が続いていることだ。2026/01期は営業利益が計画の半分に届かず、最終利益は為替差益に助けられた。
強みもある。工事業者向けのカタログと設計の提案、デジテックのLED照明は伸びている。ただ、伸びても利益率は4%台が精いっぱいで、ROEは中立で4%台にとどまる。ためた利益が額面ほどの価値を生まない会社に、帳簿どおりの値段は払えない。
筆者は、照明が柱に育ち、海外を畳む決断が出るまでは、この会社を割安株とは呼ばない。帳簿の半値という値段は、事業の実力をそのまま映していると見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「安く見える普通以下の事業」だ。帳簿の自己資本は約127億円あり、値段はその半分ほどしかない。だが帳簿の価値は、それが生む利益で決まる。ROEが4%台の会社では、ためた利益は株主にとって額面未満の価値しかない。
オーナーとして持ち続けたいかと問えば、答えは慎重になる。工事業者向けの提案力と照明の伸びは評価できるが、海外の赤字と計画の未達が長く続き、経営が資本の使い方を変える兆しは弱い。10年先も事業は残るだろうが、稼ぐ力が強くなる根拠は乏しい。
安全域についても、帳簿の半値では足りない。悲観の筋書きでは、在庫と売掛金を売って借金を返した残りは自己資本の4分の1ほどになる。しかも創業家の会社で、少数株主が清算を決めることはできない。値段が床に近いと言える会社ではない。
筆者が見直すとすれば、海外の整理と在庫の圧縮が数字で確かめられた時だ。
何で稼ぐ会社か
売上の7割はプロユース、つまり外構の工事業者や住宅会社、商業施設向けだ。庭の設計を提案し、そこに使う資材をまとめて納める。カタログと設計のソフト、全国の展示場が営業の道具になっている。子会社のタカショーデジテックはLEDの庭の照明とサインを作り、売上は約38億円まで育った。非住宅の照明は、この会社でいちばん伸びている部分だ。
2割はホームユースで、ホームセンターと量販店、自社の通販「青山ガーデン」で庭用品を売る。ホームセンターは買い手の力が強く、棚を取るには値引きと販促が要る。利益はプロより薄い。
残る1割が海外だ。中国に生産の拠点があり、欧州・米国・豪州・韓国に販売の子会社を持つ。海外の売上は約19億円だが、欧州と米国はそれぞれ年4億円近い赤字を出している。米国は関税への対応で現地生産を始めた。
稼ぎ方は、中国などで作った資材を在庫として持ち、国内で売ることだ。在庫は約68億円と売上の3分の1あり、運転資金の重さがそのまま借金になっている。
顧客は全国の外構工事業者と住宅会社が中心で、特定の大口に頼る形ではない。その分、1社ごとの取引は小さく、営業と物流の手間がかかる。
優良さと弱いところ
優良さは並みより下とみる。工事業者向けの提案力は本物で、外構の設計に組み込まれた商品は他社に置き換えにくい。照明とサインは非住宅の需要をつかみ、伸びている。ここまでは良い。
だが資本の稼ぎが弱い。過去10年のROEの中央値は2.7%で、山の年でも10%にとどかない。粗利率は42%と高いのに、販管費が重く営業利益率は過去12年で最高でも7%だった。展示場とカタログ、在庫の管理に固定費がかかり、売上が数%揺れるだけで利益が消える。2024/01期からは2期続けて営業赤字だった。
海外はこの会社の弱点だ。欧米で赤字を続けながら撤退も立て直しも中途半端で、資本を食い続けている。中期経営計画は毎回の目標に届かず、経営の見通しの精度には割引が要る。創業者が社長を続ける会社で、意思決定は速いが、資本の使い方を外から正す力は弱い。
照明が育ち海外を整理できれば、評価は1段上がる。今はその手前にいる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
外構と庭の市場は、新築の戸建ての数に強く結びつく。国内の新設住宅着工は年80万戸前後まで減り、人口と世帯の減少でさらに細る。筆者は10年で15%ほどの減少を中立とみる。省エネ基準の変更や金利の上昇は、着工をさらに押し下げる方向に働く。
埋め合わせは3つある。1つ目は非住宅で、商業施設、ホテル、病院、公共の広場の外構と照明だ。インバウンドと街の再開発がこれを支える。2つ目はリフォームで、古い家の庭を作り直す需要は、家の数が減っても残る。3つ目は照明とサインで、LEDと制御の技術で単価を上げられる。
競争は分散している。外構の資材は、大手の建材メーカーの門扉やカーポートと、中小の資材商社が入り乱れる。ホームセンターの庭用品は、小売の自社ブランドと海外からの安い輸入品に押される。卸の立場は、メーカーの直販と通販の比較に中抜きされやすい。値上げは物価並みなら通るが、それ以上は取りにくい市場だ。
人手不足も効いてくる。外構の職人が減れば工事の件数が頭打ちになり、施工の手間が少ない商品を出せる会社に需要が寄る。ここは提案力のある会社に追い風になりうる。
資本政策と M&A
配当は利益の4割以上を出し、下限を設ける方針だ。2023/01期まで厚かった配当は、2024/01期の赤字で大きく減った。自社株買いの実績はほとんど無い。純有利子負債は約18億円で、在庫を借金で持つ形だ。金利が上がれば借り換えのたびに利払いが増える。
株主優待は、自社の庭用品の割引カタログとカレンダー、500株以上のポイントだ。費用は年1億円に届かない規模とみられ、価値への影響は小さい。
買収の面では、創業家が大株主の会社で、敵対的な買収は起きにくい。親会社の無い独立の会社なので、どこかに丸ごと買われる道は、創業家の判断しだいになる。資本の使い方で筆者が望むのは、赤字の海外を畳み、在庫を絞って借金を返すことだ。それができれば、ROEは今より確実に上がる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
タカショーは、帳簿の価値の半分で買える会社だ。自己資本は約127億円あり、在庫と売掛金、工場と土地という実物の資産が裏付けている。今の値段は、事業がこのまま縮み続けることを前提にしている。
中身を見ると、伸びている部分がはっきりある。デジテックのLED照明とサインは売上が16%伸び、非住宅の外構の需要をつかんでいる。商業施設やホテルの再開発は10年続く流れで、照明は単価を上げやすい商品だ。工事業者向けのカタログと設計の提案は、他社がまねしにくい販路でもある。
利益の戻りしろも大きい。粗利率は42%あり、販管費を絞れば営業利益率は過去の山の7%に戻れる。2022/01期にはそれを実際に出した。海外の赤字約8億円が半分に減るだけで、営業利益はほぼ倍になる。中期経営計画は3年後の純利益8億円を掲げており、数年遅れでも届けば、今の値段は安すぎる。
創業家の会社なので、資本の使い方が変われば動きは速い。在庫を絞って借金を返すだけでも、利払いが減り、ROEは目に見えて上がる。悪い材料はすでに値段に入っている。
慎重な見方
帳簿の半値は、この会社の稼ぐ力に見合った値段だ。過去10年のROEの中央値は2.7%で、資本コストの3分の1にすぎない。帳簿の価値は利益を生んで初めて意味を持つ。
中期経営計画は当てにならない。2026/01期は営業利益が計画の半分に届かず、最終利益は為替差益で黒字を保った。今期も営業利益は計画どおりでも、最終利益は前期を下回る見込みだ。毎年の未達を見れば、3年後の8億円をそのまま信じる理由は無い。
海外の赤字は構造的だ。欧州と米国は長年赤字を続け、関税の対応で米国に工場まで作る。小さな売上に固定費を積み上げる形で、黒字化の道は見えにくい。
国内でも追い風は無い。新築の戸建ては細り、ホームセンターは自社ブランドを増やす。在庫は売上の3分の1あり、金利が上がれば借金の重さが増す。売上が数%揺れただけで2期続けて赤字になった体質は、10年のうちにまた試される。
帳簿の半値は罠になりうる。安い値段のまま10年たち、その間に資本が海外の赤字と在庫に吸われれば、株主は何も得られない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。照明と非住宅の伸びは本物だが、それが海外の赤字と新築の減少を上回り、ROEを資本コストに近づける根拠は開示に無い。過去の計画の未達を重く見て、中立に4割弱、やや悲観と悲観に合わせて3割強を置いた。楽観は照明が柱に育つ道として残すが、1割未満にとどめた。楽観の筋書きですら、ROEは資本コストを下回る。値段の安さより、稼ぐ力の弱さを重く見た。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/01 期)
確率で加重した株価時価総額 406 円68 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 93 円16 億円)。 今の値に割り戻すと 232 円39 億円、今との差 −41.4%、 期待の年率 +2.3%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 812 円137 億円 | 170 円29 億円 | +147.9% | +9.5% | 79 円13 億円 |
| やや楽観 | 20% | 577 円97 億円 | 128 円22 億円 | +78.0% | +5.9% | 141 円24 億円 |
| 中立 | 38% | 432 円73 億円 | 101 円17 億円 | +34.7% | +3.0% | 203 円34 億円 |
| やや悲観 | 22% | 186 円31 億円 | 55 円9 億円 | −39.4% | −4.9% | 53 円9 億円 |
| 悲観 | 12% | 169 円29 億円 | 30 円5 億円 | −49.8% | −6.7% | 24 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 406 円68 億円 | 93 円16 億円 | +26.0% | +2.3% | 499 円84 億円 |
今の株価時価総額 396 円67 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 照明と非住宅で庭の会社から外構の会社へ 利益 12 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 812 円137 億円
庭の資材の会社が、外構と照明の会社に変わる筋書きだ。非住宅の外構、つまり商業施設やホテル、公共の広場の照明と日よけが伸び、デジテックの LED サインが柱になる。新築の戸建ては 1 割減るが、工事業者向けのカタログと設計の提案で取り分を広げる。海外は米国の現地生産が軌道に乗り、欧州も値付けを直して黒字に戻る。物価の分は値上げで通し、営業利益率は過去の山の 7% に近づく。借金は在庫を絞って減らし、配当は方針どおり利益の 4 割を出す。それでも ROE は資本コストに届かず、株主にとって最良の 10 年でも、帳簿の価値を大きく超える会社にはならない。
- プロユース(外構・非住宅・照明):数量 70.0(国内の新設住宅着工戸数(万戸・実質の需要の物差し))× 価格 3.07(着工 1 万戸あたりの売上(億円。非住宅・リフォーム・照明を含む換算値で、物価と取り分の上乗せを含む))→ 売上 215 億円・営業利益 15 億円。着工 70 万戸(今の 0.9 倍)× 1 万戸あたり売上 3.07 億円(物価 1.34 倍 × 非住宅・照明の上乗せ 1.25 倍)、利益率 7%
- ホームユース(ホームセンター・通販):数量 2,780(持ち家の戸建て(万戸・庭を持つ世帯の物差し))× 価格 0.02(1 万戸あたりの売上(億円。物価込みの名目))→ 売上 61 億円・営業利益 2 億円。持ち家の戸建て 2,780 万戸 × 1 万戸あたり 0.022 億円(物価 1.34 倍 × EC の取り分 1.15 倍)、利益率 4%
- 海外:数量 110(販売点数(万点・推定))× 価格 0.40(1 点あたりの平均単価(億円/万点。今は 0.30 万円))→ 売上 44 億円・営業利益 2 億円。推定 110 万点 × 1 点 0.40 万円(物価 1.34 倍)、利益率 4%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.2% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 137 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:デジテックの照明と非住宅の外構が伸び、海外も黒字に変わる筋書き。海外は 10 年以上赤字か薄利で、計画の未達も続いてきたので低めに置いた。
やや楽観 20% 中計の後ろ倒しで利益は戻る 利益 9 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 577 円97 億円
中期経営計画の数字に、数年遅れて届く筋書きだ。プロユースは非住宅と照明で伸び、新築の減少を埋める。ホームユースはホームセンター向けが細る一方、自社の通販が育ち横ばいを保つ。海外は赤字を止めるところまでは行くが、利益の柱にはならない。営業利益率は 5% 台まで戻り、配当は利益の 4 割で少しずつ増える。借金は在庫の圧縮で減り、利払いの重さは今と変わらない。会社としては健全さを取り戻すが、資本の稼ぎは k の手前で止まる。株主の取り分は、配当と帳簿の積み上がりの範囲にとどまる。照明の会社としての顔が育つかどうかが、この筋書きと中立を分ける。工事業者の人手不足が続けば、施工の楽な商品を出せる会社に注文が寄り、それも追い風になる。
- プロユース(外構・非住宅・照明):数量 68.0(国内の新設住宅着工戸数(万戸・実質の需要の物差し))× 価格 2.82(着工 1 万戸あたりの売上(億円。非住宅・リフォーム・照明を含む換算値で、物価と取り分の上乗せを含む))→ 売上 192 億円・営業利益 12 億円。着工 68 万戸 × 1 万戸あたり 2.82 億円(物価 1.34 倍 × 非住宅・照明 1.15 倍)、利益率 6.2%
- ホームユース(ホームセンター・通販):数量 2,760(持ち家の戸建て(万戸・庭を持つ世帯の物差し))× 価格 0.02(1 万戸あたりの売上(億円。物価込みの名目))→ 売上 56 億円・営業利益 2 億円。持ち家の戸建て 2,760 万戸 × 0.0204 億円(物価 1.34 倍 × 1.07 倍)、利益率 3%
- 海外:数量 85.0(販売点数(万点・推定))× 価格 0.40(1 点あたりの平均単価(億円/万点。今は 0.30 万円))→ 売上 34 億円・営業利益 0 億円。推定 85 万点 × 0.40 万円、収支とんとん
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.5% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 97 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期経営計画の利益の水準に、数年遅れで届く筋書き。2022/01 期に営業利益率 7% を出した実績はあるが、その後の未達を見て 2 割に止めた。
中立 38% 物価の分だけ伸び、利益率は 4% 台 利益 7 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 432 円73 億円
新築の戸建ては 10 年で 15% ほど減る。その分を非住宅の外構と照明、リフォームの庭づくりで埋め、数量はほぼ横ばいを保つ。値段は物価並みに上げられるが、それ以上は通らない。ホームユースはホームセンターの売場が縮み、通販の伸びで差し引きゼロに近い。海外は赤字を小さくするが、10 年たっても稼ぎ頭にはならない。営業利益率は 4% 台で、過去の平均よりは上、山よりは下に落ち着く。配当は利益の 4 割で、残りは在庫と工場に回る。ROE は 4% 台にとどまり、資本コストの半分ほどしか稼げない。会社は続くが、株主の資本を増やす力は弱いままだ。
- プロユース(外構・非住宅・照明):数量 66.0(国内の新設住宅着工戸数(万戸・実質の需要の物差し))× 価格 2.65(着工 1 万戸あたりの売上(億円。非住宅・リフォーム・照明を含む換算値で、物価と取り分の上乗せを含む))→ 売上 175 億円・営業利益 10 億円。着工 66 万戸(今の 0.85 倍)× 1 万戸あたり 2.65 億円(物価 1.34 倍 × 非住宅・リフォームの上乗せ 1.08 倍)、利益率 5.5%
- ホームユース(ホームセンター・通販):数量 2,740(持ち家の戸建て(万戸・庭を持つ世帯の物差し))× 価格 0.02(1 万戸あたりの売上(億円。物価込みの名目))→ 売上 52 億円・営業利益 1 億円。持ち家の戸建て 2,740 万戸 × 0.0191 億円(物価 1.34 倍)、利益率 2.5%
- 海外:数量 70.0(販売点数(万点・推定))× 価格 0.40(1 点あたりの平均単価(億円/万点。今は 0.30 万円))→ 売上 28 億円・営業利益 −1 億円。推定 70 万点 × 0.40 万円、営業利益率 −3%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.3% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 73 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新築の減少を非住宅と値上げで埋め、海外は小さな赤字が残るという、過去 12 年の姿の延長。もっとも起こりやすいとみて 4 割弱を置いた。
やや悲観 22% 新築減と海外の赤字で利益が細る 利益 3 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 186 円31 億円
新築の戸建ては 10 年で 2 割以上減り、非住宅の外構でも埋めきれない。資材と人件費は物価で上がるが、工事業者向けの値上げは半分ほどしか通らない。ホームセンターは自社ブランドの庭用品を増やし、タカショーの棚は細る。海外は米国と欧州の赤字を止められず、撤退の費用もかさむ。営業利益率は 2% 前後に沈み、純利益は配当の下限を払う程度になる。借金は借り換えのたびに金利が上がり、利払いが利益をさらに削る。帳簿の自己資本は残るが、それを稼ぐ力は細る。値段はその稼ぐ力と、在庫と売掛金を売って残る額に近づく。
- プロユース(外構・非住宅・照明):数量 60.0(国内の新設住宅着工戸数(万戸・実質の需要の物差し))× 価格 2.38(着工 1 万戸あたりの売上(億円。非住宅・リフォーム・照明を含む換算値で、物価と取り分の上乗せを含む))→ 売上 143 億円・営業利益 6 億円。着工 60 万戸(今の 0.77 倍)× 2.38 億円(物価に届かない 1.30 倍)、利益率 4%
- ホームユース(ホームセンター・通販):数量 2,650(持ち家の戸建て(万戸・庭を持つ世帯の物差し))× 価格 0.02(1 万戸あたりの売上(億円。物価込みの名目))→ 売上 47 億円・営業利益 0 億円。持ち家の戸建て 2,650 万戸 × 0.0178 億円(1.25 倍)、利益率 1%
- 海外:数量 55.0(販売点数(万点・推定))× 価格 0.38(1 点あたりの平均単価(億円/万点。今は 0.30 万円))→ 売上 21 億円・営業利益 −2 億円。推定 55 万点 × 0.38 万円、営業利益率 −10%
倍率:ROE は約 2%で k を大きく下回る。値段は稼ぐ力(純利益÷k)までで、PER は 1÷k の 11.09 倍。床の資産(約 29 億)とほぼ並ぶ水準。
確率:新築の減少が速く、非住宅の伸びで埋めきれない筋書き。2024/01 期から 2 期続いた営業赤字が示すように、売上の小さな揺れで利益が消える体質なので厚めに置いた。
悲観 12% 外構の取り分を失い、帳簿の価値まで沈む 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 169 円29 億円
新築の戸建ては 10 年で 3 割減り、外構の工事は大手の住宅会社が自前の仕入れに切り替える。タカショーの強みだったカタログと設計の提案は、ネットの比較とメーカーの直販に押される。海外は赤字が続いた末に畳み、整理の費用を払う。国内の営業利益はほぼゼロになり、借り換えた借金の利払いで最終損益は小さな赤字になる。配当は下限を割って減らす。会社は創業家が支え続けるが、少数株主に現金が戻る道は細い。値段は在庫と売掛金と土地を売って借金を返した残りに近づき、帳簿の自己資本の 4 分の 1 程度で止まる。土地や工場は和歌山の地方にあり、買い手は限られる。在庫は庭の流行に左右され、投げ売りでは半値もつかない。
- プロユース(外構・非住宅・照明):数量 52.0(国内の新設住宅着工戸数(万戸・実質の需要の物差し))× 価格 2.24(着工 1 万戸あたりの売上(億円。非住宅・リフォーム・照明を含む換算値で、物価と取り分の上乗せを含む))→ 売上 116 億円・営業利益 2 億円。着工 52 万戸(今の 0.67 倍)× 2.24 億円(1.22 倍)、利益率 2%
- ホームユース(ホームセンター・通販):数量 2,500(持ち家の戸建て(万戸・庭を持つ世帯の物差し))× 価格 0.02(1 万戸あたりの売上(億円。物価込みの名目))→ 売上 41 億円・営業利益 −1 億円。持ち家の戸建て 2,500 万戸 × 0.0164 億円(1.15 倍)、利益率 −2%
- 海外:数量 35.0(販売点数(万点・推定))× 価格 0.36(1 点あたりの平均単価(億円/万点。今は 0.30 万円))→ 売上 13 億円・営業利益 −2 億円。推定 35 万点 × 0.36 万円、縮小の末に整理、利益率 −12%
倍率:赤字なので PBR で置く。価値は稼ぐ力でなく、床の資産(在庫・売掛金・土地を売って借金を返した残り約 28 億、floor_assets_why)。今の自己資本 127 億に対し 0.224 倍。
確率:国内の新築が想定以上に減り、海外も畳む筋書き。過去 20 年で赤字の年が複数あり、財務の脆さもあるので 1 割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
プロユース(外構・非住宅・照明)
工事業者・住宅会社・商業施設向けのエクステリア資材と、デジテックの LED 照明・サイン。売上の 7 割。
| 数量国内の新設住宅着工戸数(万戸・実質の需要の物差し) | 価格着工 1 万戸あたりの売上(億円。非住宅・リフォーム・照明を含む換算値で、物価と取り分の上乗せを含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 78.0 | 1.83 | 143 | 8 |
| 10 年後 中立 | 66.0 | 2.65 | 175 | 10 |
取り方:プロユースの数量は開示が無いので、需要の物差しとして着工戸数約 78 万戸を置き、売上 142.97 億円をそれで割って 1 万戸あたり 1.83 億円とした(推定)。営業利益は地域別の日本 9.0 億円をプロとホームに売上と粗利の差で分けた推定。
ホームユース(ホームセンター・通販)
ホームセンター・量販店・自社通販(青山ガーデン)向けの庭用品。売上の 2 割。
| 数量持ち家の戸建て(万戸・庭を持つ世帯の物差し) | 価格1 万戸あたりの売上(億円。物価込みの名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 2,800 | 0.01 | 40 | 1 |
| 10 年後 中立 | 2,740 | 0.02 | 52 | 1 |
取り方:持ち家の戸建て約 2,800 万戸を庭の需要の物差しとし、売上 39.89 億円で割った(推定)。営業利益は日本の利益の残りを売上で按分した推定。
海外
中国の生産拠点と、欧州・米国・豪州・韓国の販売子会社。売上の 1 割で赤字。
| 数量販売点数(万点・推定) | 価格1 点あたりの平均単価(億円/万点。今は 0.30 万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 63.2 | 0.30 | 19 | −7 |
| 10 年後 中立 | 70.0 | 0.40 | 28 | −1 |
取り方:点数の開示は無いので、平均単価 0.30 万円と置いて売上 18.97 億円から点数を推定。営業損益は地域別の欧州 −3.8・米国 −3.7・中国 +0.5・韓国 −0.6・他 −0.4 億円の合計から、グループ内の取引の分を戻した推定。
リスクと懸念
新築の戸建ての減少
プロユースの土台は新築の外構だ。着工が10年で2割以上減れば、非住宅と照明の伸びでは埋めきれない。金利の上昇と省エネ基準の変更は、着工をさらに減らす方向に働く。
海外の赤字の長期化
欧州と米国は年4億円近い赤字をそれぞれ出している。米国は関税への対応で現地生産を始めたが、小さな売上に固定費を積む形で、赤字がさらに膨らむおそれがある。撤退の判断が遅れるほど資本が流れ出る。
計画の未達と経営の見通しの甘さ
中期経営計画は毎回目標に届いていない。2026/01期の営業利益は計画の半分以下だった。見通しの甘さが続けば、投資の判断も外れやすく、資本の稼ぎは上がらない。
在庫と借金の重さ
在庫は約68億円と売上の3分の1ある。借金で持つ在庫は、売れ残れば評価損になり、金利が上がれば利払いが増える。営業利益は支払利息の2倍強しかなく、余裕は薄い。
為替の振れと利益の質
中国で作って国内で売るので、円安は仕入れを高くする。一方で外貨の資産は為替差益を生み、2026/01期の最終利益はそれに支えられた。本業の稼ぎと為替の損益を分けて見る必要がある。
今後の分かれ目
- デジテックの照明とサインの売上が年1割以上伸び続けたら
- プロユースの単価が上がり、やや楽観の確率を上げてよい。非住宅が新築の減少を上回る形が見えてくる。
- 欧州か米国の子会社を畳む・売ると発表したら
- 一時の損失は出るが、赤字が止まり営業利益の底が上がる。中立の利益率を見直す。
- 中期経営計画の年度の営業利益に届いたら
- 計画の未達という割引を小さくし、楽観側の確率を上げる。
- 新築着工が年70万戸を割り込んだら
- プロユースの数量の前提を下げ、やや悲観の確率を上げる。
- 在庫を減らして純有利子負債がゼロに近づいたら
- 金利の上昇に強くなり、悲観の深さが浅くなる。資本の使い方が変わった印としても評価できる。
見ておくもの
- 地域別の営業損益(欧州・米国の赤字の縮み方)
- デジテックの売上と非住宅の受注
- 新設住宅着工戸数(戸建て)
- 棚卸資産と純有利子負債の推移
- 中期経営計画の年度目標に対する達成率
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価から置いていない。10年後の事業のROEが全ての筋書きでk 9%を下回るので、正当化PERの上限は1÷k=11.8倍で、利益の質(計画の未達・海外の赤字)で7〜10割を選んだ。今のPBR 0.5倍は割安の根拠にしていない。悲観は在庫・売掛金・土地を売って借金を返した残り(約30億)で置き、過去のPBRの底は使っていない。新リース会計基準の影響は小さい(店舗は持たない)。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.6→11.11 倍・やや楽観 PER 9.4→11.11 倍・中立 PER 8.2→11.11 倍・やや悲観 PER 11.76→11.09 倍・悲観 PBR 0.236→0.224 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。