結論
高見澤は、長野県を地盤とする電設資材と建設資材の地域商社だ。電線や照明、配電盤を電気工事会社に卸す電設資材が、売上の 55% と利益のほぼ全部を稼ぐ。ほかに生コンとコンクリート製品、ガソリンスタンドと車の販売、漬物の卸や不動産まで抱える。筆者の結論は「やや割安」である。ただし安さの多くは、会社にたまる利益が最後は株主の価値になる、という前提に乗っている。
電設資材は良い事業だ。電気の工事は新築だけでなく、改修や省エネの更新でも生まれる。子会社の昭和電機産業が岐阜・愛知、信州電機産業が長野で地盤を持ち、営業利益は 13 億円ある。今期の純利益 12 億円は、中国の合弁を売った利益で膨らんでおり、ならせば 11 億円ほどだ。
一方で、残りの事業は重荷だ。ガソリンスタンドは燃料の需要が細り、赤字に転じた。生コンも地方の工事量の減りに押される。多くの事業を抱える分だけ、全社の利益率は 2% 弱に薄まる。
資本の使い方にも課題がある。配当性向は 1 割に満たず、利益の大半が会社に残る。稼ぐ力は資本コストに届かないので、積み上がる自己資本は価値を生みにくい。10 年後の中立は、電設が物価とともに伸び、他の事業が横ばいで続く姿だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社の中に 1 つ良い事業がある。電設資材の卸だ。工事会社との長い取引、即日の配送、地域の顔の広さは、まねしにくい。この事業だけなら、物価とともに利益が伸びる姿を描ける。
問題は、その稼ぎの使い方だ。利益の 9 割を会社にため、それをガソリンスタンドや漬物、不動産といった利益の出ない事業にも配ってきた。稼ぐ力が資本コストに届かない会社では、ためた利益は帳簿ほどの価値を持たない。
筆者が見たいのは、電設に資本を集め、他の事業を整理し、余った分を株主に返す動きだ。中国の生コン子会社を売ったのは、その一歩かもしれない。だが中計の目標は今の延長で、大きな変化はまだ見えない。
値段は、10 年の電設の稼ぎとためた利益の半分ほどを数えても、まだ少し安い。安全域はあるが、厚くはない。電設の価値を他の事業が削る構図が変わるまで、筆者は帳簿の厚さを当てにしない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は電設資材事業だ。売上は 418 億円で全社の 55%、営業利益は 13.4 億円と全社の 9 割を超える。電線・ケーブル、照明器具、配電盤、空調機器などを、電気工事会社や設備会社に卸す。長野の信州電機産業と、岐阜・愛知の昭和電機産業が担う。2025 年には孫会社の岐阜電材を昭和電機産業に吸収した。
建設関連事業は、生コンとコンクリート二次製品をつくる。売上は 86 億円で、営業利益は 1.5 億円だ。新潟の直江津臨港生コンなどを持つ。中国・山東の生コン子会社は 2025 年に売り、合弁の持分だけが残る。
カーライフ関連事業は、ガソリンスタンドと車の販売・整備だ。売上は 171 億円あるが、今期は 0.7 億円の営業赤字になった。2017 年に昭和シェル系の上燃を買い、長野の東信地方に給油所を広げた。
その他の事業は、漬物の卸のナガトク、農業機械のオギワラ精機、不動産のセイブとスマイルハウスなどだ。売上は 82 億円あるが、利益はほぼ出ていない。連結の従業員は約 1,000 人になる。
利益の地図ははっきりしている。電設資材が全社の営業利益のほぼすべてを稼ぎ、他の 3 つの事業は合わせてとんとんだ。売上の半分近くを占める事業が、利益をほとんど生んでいない。この会社を測るとは、電設の稼ぎを測り、他の事業がそれをどれだけ食うかを測ることだ。
優良さと弱いところ
この会社の質は、良い電設資材と、平凡な多角化の組み合わせだ。電設資材の卸は、地域で長く取引する電気工事会社との関係で成り立つ。品ぞろえと即日の配送、与信の力で選ばれ、取引先はそう簡単に乗り換えない。営業利益率 3.2% は、電設資材の卸としては悪くない。
弱みは、その稼ぎを他の事業が薄めることだ。ガソリンスタンドは電気自動車と人口減で数量が細り、値段も市況に縛られる。生コンは地域の工事量で決まり、セメントの値上げを転嫁しきれない年もある。漬物や農機、不動産は小さく、まとまりが無い。
資本の効率も低い。ROE の過去 10 年の中央値は 7.1% で、資本コストに届かない。配当性向は 1 割弱で、利益の大半を会社にためる。ためた利益は借入の返済と事業の投資に回るが、事業の稼ぐ力を大きく上げてはいない。
経営は手堅く、赤字の年は過去 20 年でほとんど無い。中計の目標は売上 750 億円・経常利益 18 億円で、ほぼ今の延長にとどまる。
筆者は、電設資材の堀を「地域の顔」と見る。全国の大手卸が値段で攻めても、小さな工事会社は付き合いの長い卸から買い続ける。この強みは 10 年後も残るが、広がりもしない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
電設資材の需要は、新築より改修と更新に支えられている。照明の LED 化、空調の省エネ更新、受変電設備の入れ替えは、建物が古くなるほど増える。データセンターや半導体工場、物流施設の建設も、電気の工事を押し上げる。人手不足で工事の単価は上がり、資材の値上げも通りやすい。
地域の建設市場は細りつつある。長野や岐阜の住宅着工は、人口減で長い目で減る。公共工事は老朽インフラの更新で底堅いが、量は大きく増えない。電設資材の数量は、10 年で横ばいか少し減る程度とみる。
競合は、全国の大手電設資材卸と地域の同業だ。因幡電機産業や、メーカー系の商社が各地で拠点を広げる。中小の卸は後継者不足で減っており、地域の再編は進む。高見澤は買う側に回れる規模を持つ。
燃料の小売は構造的に縮む。ガソリンの国内需要は、車の燃費の向上と電動化で年 2〜3% 減ってきた。給油所の数も減り続ける。生コンも地方では出荷量の減りが続く。電設以外の事業は、10 年で縮む前提で置くのが妥当だ。
筆者は、電設資材の数量は 10 年で 5% ほど細ると見る。改修の需要が新築の減りをかなり埋めるからだ。値段は物価並みに上がる。
人件費と物流費の上昇は、卸の利益率を削る側に働く。電設の卸は配送の回数が多く、運転手の不足が効く。値上げを転嫁できる会社と、できない会社の差が開く。
資本政策と M&A
還元は薄い。今期の配当総額は 1.15 億円で、純利益の 1 割に満たない。自社株買いの方針も無い。株主優待の記載も無い。利益の大半は、借入の返済と事業への投資に回る。
借入金は 97 億円あり、純有利子負債は 57 億円だ。金利が上がると、借り換えで利払いは年 1 億円ほど増える。政策保有株は 61 銘柄・11 億円で、アルピコ HD や八十二長野銀行など地元の取引先が中心だ。
買収は小さく積み重ねてきた。上燃、セイブ、岐阜電材などで、本業の電設に絞る形ではない。中国の生コン子会社は 2025 年に売った。選んで捨てる動きが続けば、資本の効率は上がる余地がある。
株主は創業家とみられる個人と資産管理会社、地元の銀行が上位に並ぶ。経営の判断は安定しているが、外の株主の声は届きにくい。還元の転換は、経営の内側から起きるのを待つしかない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
電設資材は、地方でも伸びる数少ない卸の事業だ。照明や空調の更新、受変電設備の入れ替え、データセンターや工場の新設が、電気の工事を増やす。人手不足で工事の単価は上がり、資材の値上げも通る。営業利益 13 億円は、物価とともに名目で伸びていく。
地域の再編も追い風になる。後継者のいない中小の卸は減り、残る会社に取引が集まる。高見澤は長野と岐阜・愛知に地盤を持ち、買う側に回れる。岐阜電材の吸収のように、統合で利益率を上げる余地もある。
他の事業の整理が進めば、全社の利益率は上がる。中国の生コン子会社はすでに売った。赤字のガソリンスタンドを閉じるか売れば、電設の稼ぎがそのまま見えてくる。
還元の余地も大きい。配当性向は 1 割弱で、方針を少し変えるだけで配当は数倍にできる。資本市場の圧力が強まれば、その転換は意外に早く来る。来期の営業利益の計画は 16 億円で、今期より 14% 多い。
PBR が 0.3 倍台の会社は、取引所の改善の要請の対象だ。配当性向を 3 割に上げるだけで、株主に戻る額は 3 倍になる。良い事業を持つ会社が資本の使い方を正せば、値段は大きく変わる。
慎重な見方
電設の稼ぎは、他の事業に食われ続ける。ガソリンスタンドは燃料の需要が細る一方で、今期はすでに赤字だ。生コンも地方の工事量の減りに押される。漬物や農機、不動産はまとまりが無く、整理の計画も示されていない。
地域の建設市場は細る。長野や岐阜の住宅着工は、人口減で長い目で減る。データセンターや半導体工場の大型案件は、全国の大手卸やメーカー直販に取られやすい。地域の卸が取れるのは、小さな改修の積み重ねだ。その小口の仕事こそ、人手不足で配送の費用が最も膨らむ部分でもある。
資本の使い方も変わりそうにない。配当性向は 1 割弱のまま、利益は会社にたまり続ける。ROE は過去 10 年で 7% 前後にとどまり、資本コストを下回る。自己資本が増えるほど、効率は下がる。
借金もある。純有利子負債は 57 億円で、時価総額を上回る。金利が上がれば利払いが増え、薄い利益率をさらに削る。
電設の利益率 3.2% も、今が良い時期にあたる。資材の値上げが一巡し、工事の量が落ちれば、利益率は 2% 台に戻る。電設だけが頼りの会社にとって、その揺れは全社の利益をそのまま動かす。
どちらに重みを置いたか
双方の言い分は拮抗すると筆者は見る。電設資材の強さは数字に出ており、他の事業の重さも数字に出ている。中立を最も厚くし、強気と慎重の確率をほぼ左右対称に置いた。還元の転換は、起きれば上振れだが、兆しがまだ無いので確率には大きく入れていない。慎重な側の言う多角化の重さは、中立の筋書きの利益率にすでに入れた。そのため、悲観の確率はこれ以上厚くしていない。今の値段に対しては、中立でも上回る価値が出る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 10,772 円178 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 859 円14 億円)。 今の値に割り戻すと 5,825 円96 億円、今との差 +86.1%、 期待の年率 +14.0%(資本コスト 7.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 17,755 円293 億円 | 1,368 円23 億円 | +511.0% | +19.8% | 1,530 円25 億円 |
| やや楽観 | 22% | 14,583 円241 億円 | 1,035 円17 億円 | +399.0% | +17.4% | 3,436 円57 億円 |
| 中立 | 38% | 12,655 円209 億円 | 860 円14 億円 | +331.8% | +15.8% | 5,136 円85 億円 |
| やや悲観 | 22% | 5,515 円91 億円 | 666 円11 億円 | +97.5% | +7.0% | 1,360 円22 億円 |
| 悲観 | 10% | 1,211 円20 億円 | 484 円8 億円 | −45.9% | −5.9% | 169 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 10,772 円178 億円 | 859 円14 億円 | +271.6% | +14.0% | 11,631 円192 億円 |
今の株価時価総額 3,130 円52 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 電設が地域の再編で取引を集め、他の事業を整理する 利益 19 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 17,755 円293 億円
後継者のいない地域の卸が減り、電設資材の取引が高見澤に集まる。データセンターや工場の新設も、地域の工事を押し上げる。電設の数量は 1 割弱増え、値段は物価をやや上回る。
電設の利益率は 3.6% に上がる。統合した拠点の重なりを減らし、配送の効率が上がるからだ。生コンは数を絞って利益率を上げ、ガソリンスタンドは赤字の店を閉じて黒字に戻る。
営業利益は 28 億円ほどに増える。借入は減り、利払いの増加は小さく収まる。配当性向は少し上がるが、利益の大半はなお会社にたまる。ROE は 6〜7% で、資本コストには届かない。良い事業に資本を集めても、ためる癖が変わらなければ効率は頭打ちだ。
- 電設資材事業:数量 10,260(営業地域(長野・岐阜・愛知など)の電設資材の市場(実質・億円)× シェア)× 価格 1.38(電設資材の値段の指数(今=1.0・名目))→ 売上 622 億円・営業利益 22 億円。シェア上積みで数量 1.08 倍、値段 1.38 倍、利益率 3.6%
- 建設関連事業(生コン・コンクリート製品):数量 38.7(出荷量(万トン・推定))× 価格 27,600(1 トンあたりの売値(円・名目))→ 売上 107 億円・営業利益 3 億円。数を絞り利益率 2.5%
- カーライフ関連事業(給油所・車の販売整備):数量 7.1(燃料の販売量に換算した数量(万 kL・推定))× 価格 24(1 kL あたりの売上(万円・名目、車の販売を含む))→ 売上 172 億円・営業利益 1 億円。赤字店を閉じて黒字に
- その他事業(漬物卸・農機・不動産など):数量 41.0(取扱数量(千トン・推定))× 価格 268(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 110 億円・営業利益 2 億円。小さく黒字
倍率:事業の純利益 19 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.9% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.76 倍、時価総額 262 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:8%。電設のシェアの上積みと、他の事業の整理が両方とも進む必要がある。経営の方針にその兆しがまだ無いので低く置く。
やや楽観 22% 電設が物価とともに伸び、他の事業は横ばいで続く 利益 15 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 14,583 円241 億円
電設資材の数量は、改修と更新の需要で今と同じ水準を保つ。値段は物価並みに上がり、電設の売上は 1.36 倍になる。利益率は 3.3% と今に近い。
生コンは出荷が 15% 減るが、値上げで売上をほぼ保つ。ガソリンスタンドは燃料の需要が 3 割減り、利益はわずかな黒字にとどまる。その他の事業も小さな黒字だ。
営業利益は 22 億円ほどになる。借入の金利は上がるが、利益の増加で吸収できる。配当は少しずつ増えるが、性向は 1 割強のままだ。自己資本は 10 年で 1.7 倍になる。
電設の稼ぎは堅いが、ためた利益が資本の効率を下げる構図は変わらない。
- 電設資材事業:数量 9,500(営業地域(長野・岐阜・愛知など)の電設資材の市場(実質・億円)× シェア)× 価格 1.36(電設資材の値段の指数(今=1.0・名目))→ 売上 568 億円・営業利益 19 億円。数量を保ち値段 1.36 倍、利益率 3.3%
- 建設関連事業(生コン・コンクリート製品):数量 36.5(出荷量(万トン・推定))× 価格 27,200(1 トンあたりの売値(円・名目))→ 売上 99 億円・営業利益 2 億円。出荷 15% 減、利益率 2%
- カーライフ関連事業(給油所・車の販売整備):数量 6.7(燃料の販売量に換算した数量(万 kL・推定))× 価格 24(1 kL あたりの売上(万円・名目、車の販売を含む))→ 売上 158 億円・営業利益 1 億円。燃料 3 割減
- その他事業(漬物卸・農機・不動産など):数量 39.8(取扱数量(千トン・推定))× 価格 264(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 105 億円・営業利益 1 億円。小さく黒字
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.9% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.33 倍、時価総額 204 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:22%。電設の数量を保ち、値上げを転嫁できる姿。過去 10 年の売上の伸びの延長に近い。
中立 38% 電設は数量が少し細り、物価の分で伸びる。他の事業は縮む 利益 13 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 12,655 円209 億円
電設資材の数量は、地域の新築の減りで 10 年に 5% 減る。改修と更新の需要が大きく、減りは小さい。値段は物価並みに 1.34 倍で、電設の売上は 530 億円ほどになる。利益率は 3.1% と、今をやや下回る。
生コンは出荷が 2 割減る。ガソリンスタンドは燃料の需要が 3 分の 1 減り、利益はほぼ出ない。その他の事業もほぼ収支とんとんだ。全社の費用は物価で増える。
営業利益は 18 億円ほどで、今の 3 割増しにとどまる。借り換えで利払いが年 1 億円ほど増える。配当性向は 1 割強のままで、自己資本は 260 億円台に積み上がる。ROE は 5% 前後に下がる。
- 電設資材事業:数量 9,025(営業地域(長野・岐阜・愛知など)の電設資材の市場(実質・億円)× シェア)× 価格 1.34(電設資材の値段の指数(今=1.0・名目))→ 売上 532 億円・営業利益 16 億円。数量 0.95 倍、値段 1.34 倍、利益率 3.1%
- 建設関連事業(生コン・コンクリート製品):数量 34.4(出荷量(万トン・推定))× 価格 26,800(1 トンあたりの売値(円・名目))→ 売上 92 億円・営業利益 1 億円。出荷 2 割減、利益率 1.5%
- カーライフ関連事業(給油所・車の販売整備):数量 6.2(燃料の販売量に換算した数量(万 kL・推定))× 価格 23(1 kL あたりの売上(万円・名目、車の販売を含む))→ 売上 145 億円・営業利益 0 億円。燃料 3 分の 1 減。値段は市況で物価にやや遅れる
- その他事業(漬物卸・農機・不動産など):数量 39.0(取扱数量(千トン・推定))× 価格 260(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 101 億円・営業利益 1 億円。ほぼとんとん
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.1% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.33 倍、時価総額 169 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:38%。地域の工事量が人口減で少し細り、燃料と生コンが縮む。過去の流れの延長として最も厚く置いた。
やや悲観 22% 地域の工事が細り、燃料と生コンが赤字に沈む 利益 7 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 5,515 円91 億円
長野や岐阜の工事量の減りが速まる。電設資材の数量は 15% 減り、大型案件は全国の大手卸に取られる。値段は物価ほど上がらず、利益率は 2.5% に下がる。
生コンは出荷が 3 割減り、ほとんど利益が出ない。ガソリンスタンドは燃料の需要が半分近くに細り、赤字が続く。その他の事業も利益を生まない。
営業利益は 11 億円ほどで、今より細る。借入の金利が上がり、純利益は 7 億円台に落ちる。配当は今の額を守る。利益が出ても、多くは赤字の事業の立て直しに消える。
電設の稼ぎが残るので、会社が揺らぐことはない。ただ、株主の価値はゆっくり目減りする。
- 電設資材事業:数量 8,075(営業地域(長野・岐阜・愛知など)の電設資材の市場(実質・億円)× シェア)× 価格 1.28(電設資材の値段の指数(今=1.0・名目))→ 売上 454 億円・営業利益 11 億円。数量 0.85 倍、値段 1.28 倍、利益率 2.5%
- 建設関連事業(生コン・コンクリート製品):数量 30.1(出荷量(万トン・推定))× 価格 25,600(1 トンあたりの売値(円・名目))→ 売上 77 億円・営業利益 0 億円。出荷 3 割減
- カーライフ関連事業(給油所・車の販売整備):数量 5.2(燃料の販売量に換算した数量(万 kL・推定))× 価格 23(1 kL あたりの売上(万円・名目、車の販売を含む))→ 売上 118 億円・営業利益 −1 億円。燃料が半分近くに細り赤字
- その他事業(漬物卸・農機・不動産など):数量 36.9(取扱数量(千トン・推定))× 価格 250(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 92 億円・営業利益 0 億円。とんとん
倍率:ROE は 3% 前後で k 7.5% を大きく下回り、上限は 1÷k=11.8 倍。地域の需要が細り、赤字の事業も抱えるので、上限の約 6 割の 7.0 倍。
確率:22%。地方の建設市場の縮みが速まり、燃料と生コンが赤字になる姿。地方の卸では起きやすいので中立に近い厚さで置いた。
悲観 10% 電設のシェアを失い、多角化の赤字が積み重なる 利益 1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 1,211 円20 億円
全国の大手卸とメーカーの直販が、地域の電設資材の取引を奪う。電設の数量は 3 割減り、利益率は 1.5% に落ちる。地方の工事量の減りも重なる。
生コンとガソリンスタンドは赤字が常態化し、閉じる店や工場の減損が出る。その他の事業も赤字だ。営業利益はほぼゼロになり、借入の利払いが重くのしかかる。
配当は減り、借入の返済が優先される。値段の土台は、政策保有株と、閉じた事業の土地の売却で得られる現金だけになる。
借入があるので、売掛金と在庫を回収しても、その多くは銀行への返済に回る。少数株主に残る分は帳簿よりずっと小さい。
- 電設資材事業:数量 6,650(営業地域(長野・岐阜・愛知など)の電設資材の市場(実質・億円)× シェア)× 価格 1.20(電設資材の値段の指数(今=1.0・名目))→ 売上 351 億円・営業利益 5 億円。数量 0.7 倍、利益率 1.5%
- 建設関連事業(生コン・コンクリート製品):数量 23.6(出荷量(万トン・推定))× 価格 24,000(1 トンあたりの売値(円・名目))→ 売上 57 億円・営業利益 −1 億円。赤字
- カーライフ関連事業(給油所・車の販売整備):数量 4.3(燃料の販売量に換算した数量(万 kL・推定))× 価格 21(1 kL あたりの売上(万円・名目、車の販売を含む))→ 売上 89 億円・営業利益 −1 億円。赤字が常態化
- その他事業(漬物卸・農機・不動産など):数量 32.8(取扱数量(千トン・推定))× 価格 230(1 キロあたりの売値(円・名目))→ 売上 75 億円・営業利益 −1 億円。赤字
倍率:稼ぐ力はほぼ無く、値段は売れる資産で決まる。床の資産 20 億円を今の自己資本 158 億円で割った 0.126 倍。EV÷営業利益は 50 倍と高いが、営業利益がほぼ消えた筋書きのためで、値段は売れる資産で支える。
確率:10%。電設のシェアを大手に奪われ、他の事業が赤字を重ねる構造的な負け。借金があるので 1 割の厚さで置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
電設資材事業
電線・照明・配電盤・空調機器などを電気工事会社に卸す。長野の信州電機産業と岐阜・愛知の昭和電機産業が担う。
| 数量営業地域(長野・岐阜・愛知など)の電設資材の市場(実質・億円)× シェア | 価格電設資材の値段の指数(今=1.0・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 9,500 | 1.00 | 418 | 13 |
| 10 年後 中立 | 9,025 | 1.34 | 532 | 16 |
取り方:営業地域の電設資材の市場を約 9,500 億円(全国の約 2 兆円のうち、長野・岐阜・愛知の工事量の割合から推定)とし、シェアを 4.4% とみた。数量の側に市場とシェア、価格の側に値段の指数を置いた。
建設関連事業(生コン・コンクリート製品)
生コンとコンクリート二次製品をつくって売る。新潟の直江津臨港生コンなどを持つ。
| 数量出荷量(万トン・推定) | 価格1 トンあたりの売値(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 43.0 | 20,000 | 86 | 1 |
| 10 年後 中立 | 34.4 | 26,800 | 92 | 1 |
取り方:売上 85.9 億円を、生コンと製品をならした 1 トン 2 万円で割り、約 43 万トンとみた推定値。出荷量の開示は無い。
カーライフ関連事業(給油所・車の販売整備)
長野の東信地方などでガソリンスタンドを営み、車の販売と整備も行う。2017 年に上燃を買った。
| 数量燃料の販売量に換算した数量(万 kL・推定) | 価格1 kL あたりの売上(万円・名目、車の販売を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 9.5 | 18 | 171 | −1 |
| 10 年後 中立 | 6.2 | 23 | 145 | 0 |
取り方:売上 171 億円を、燃料の販売量 約 9.5 万 kL と、車の販売・整備を含めた 1 kL あたり約 18 万円に分けた推定値。
その他事業(漬物卸・農機・不動産など)
漬物の卸のナガトク、農業機械のオギワラ精機、不動産のセイブ・スマイルハウスなど。
| 数量取扱数量(千トン・推定) | 価格1 キロあたりの売値(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 41.0 | 200 | 82 | 0 |
| 10 年後 中立 | 39.0 | 260 | 101 | 1 |
取り方:売上 81.9 億円を、漬物・農機・不動産をならした キロ 0.2 千円の品の取扱い 約 4.1 万トンとみた粗い推定値。
リスクと懸念
地域の建設市場が細る
長野や岐阜の住宅着工は、人口減で長い目で減る。電設資材は改修の需要に支えられるが、新築の減りは数量を削る。大型案件は全国の大手卸に取られやすい。
ガソリンスタンドの縮小
カーライフ事業は売上 171 億円で、今期は赤字だった。燃費の向上と電動化で、燃料の需要は年 2〜3% 減る。給油所の閉鎖や減損が出る恐れがある。
還元が薄く、資本の効率が下がる
配当性向は 1 割弱で、利益の大半が会社にたまる。ROE は資本コストを下回り、自己資本が増えるほど効率は下がる。ためた利益が赤字の事業に回る恐れもある。
金利の上昇と借入
借入金は 97 億円、純有利子負債は 57 億円ある。借り換えで金利が 3.5% に上がると、利払いは年 1 億円ほど増える。営業利益 14 億円の会社には軽くない。
多角化のまとまりの無さ
漬物、農機、不動産など、電設と関係の薄い事業を抱える。どれも小さく利益が出ていない。整理の計画は示されておらず、経営の手間と資本を食い続ける。
今後の分かれ目
- 赤字の給油所や小さな事業の売却・閉鎖が発表されたら
- 電設に資本が集まるとみて、やや楽観の確率を上げる。
- 配当性向の目標が 3 割以上に引き上げられたら
- ためた利益が株主に戻る道が開いたとみて、倍率を上限寄りに直す。
- 電設資材の売上が 2 年続けて物価を上回って伸びたら
- シェアの上積みが数字に出たとみて、中立の数量を上に直す。
- 電設の利益率が 2.5% を割ったら
- 大手との競争に負け始めたとみて、悲観側の確率を上げる。
- 地域の同業の買収を発表したら
- 買う値段と統合の効果を見て、楽観側の筋書きを見直す。
見ておくもの
- 電設資材事業の売上と営業利益率
- カーライフ事業の損益と給油所の数
- 配当性向と自社株買いの有無
- 純有利子負債と利払い
- 長野・岐阜・愛知の建設工事の量
倍率と資本コストの決め方
今の株価や PER には寄せていない。売上は電設の市場とシェア、生コンの出荷量、燃料の販売量から積み、倍率は ROE が k を下回るので上限 1÷k(11.8 倍)の 6〜9 割で置いた。PBR が 0.3 倍台と低いことは割安の根拠にしていない。悲観は政策保有株と土地の売却で床を置いた。リースは小さく、新リース会計の影響は軽い。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→13.76 倍・やや楽観 PER 9.5→13.33 倍・中立 PER 8.5→13.33 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality を足した(決まり v2)。個別の事業リスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 7.50%。