結論
シャルレは、神戸の会社で、女性の下着や化粧品を販売員の口コミと訪問で売ってきた。筆者の結論は、今の値段でもまだ割高だ、というものだ。
一見すると安い。現金と有価証券は合わせて74億円あり、借入を引いても66億円が残る。時価総額の49億円を大きく上回る。
だが、本業は20年近く縮み続け、この2年は赤字だ。販売員は高齢になり、新しい担い手は増えない。2026/03期は減損を出して35億円の最終赤字になった。手元の金融資産は、このまま赤字を埋め、買収に回るほど細っていく。
会社の株は創業家の林家と同族の会社がおよそ半分を持つ。配当と自社株買いは続けているが、余った現金をまとめて株主に戻す形は見えない。
10年後の中立では、本業はわずかな黒字に戻るが、手元の現金は3分の2に減る。確率を重ねた本質価値は今の時価総額の半分強にとどまり、現金の厚さだけでは安全域にならない。
本業が黒字に戻り、余った現金を大きく株主に戻す方針が出れば、見方は変わる。そこが分かれ目だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、現金の厚さと事業の弱さを分けて考える必要がある。
事業そのものは、持ち続けたいものではない。販売員の高齢化で客が減り、値上げをすれば売上が落ちる。20年かけて売上は半分近くに縮んだ。会社は通販の形に変えると言うが、その成果はまだ数字に出ていない。
一方、手元には時価総額を上回る金融資産がある。これが株主のものとして戻ってくるなら、話は変わる。だが、現金は赤字を埋め、買収に回ってきた。創業家が半分近くを持つ会社では、少数株主が現金の使い道を決めることはできない。
安全域は、現金がどれだけ株主に戻るかで決まる。赤字が続く限り、その現金は毎年細る。筆者は、本業が黒字に戻り、余った現金を大きく株主に戻す方針が出るまで、外から見ておきたい会社だと考える。
現金を割り引いて売られていることは、それだけでは買う理由にならない。
何で稼ぐ会社か
シャルレは、三つの事業を持つ。柱は、創業以来のレディースインナー事業で、売上の8割を占める。
この事業は、ビジネスメンバーと呼ぶ販売員が、知人や近所の女性に下着を勧め、試着の会を開いて売る形だ。商品は補整の下着が中心で、化粧品と健康食品も扱う。2026/03期の売上は107億円で、衣料が7割、化粧品が2割だ。客はメイトと呼ぶ愛用者で、販売員を通じて注文する。
二つめはスポーツウェア事業だ。2025年5月にスキーウェアのオンヨネを12億円で買った。日本のスキー団体の公式ウェアも作る会社で、2026/03期は10か月で売上18億円、利益は2億円近く出した。疲れを取る衣類も伸びている。
三つめはファインバブル事業で、細かい泡の出るシャワーヘッドを家電量販店などで売る。売上は5億円で赤字が続く。
ほかに、本社の跡地などの不動産を貸して少し稼ぐ。費用の柱は、商品の仕入れと、販売員への報奨と、物流とシステムだ。物流は2026年末に1拠点にまとめる。
販売の網は全国に広がるが、販売員の多くは長く続けてきた女性で、年齢が上がっている。会社はここに、通販の受注と配送を足す転換を進めている。
優良さと弱いところ
本業の堀、つまり他社がまねできない強みは、ほとんど残っていない。
訪問販売の強みは、人のつながりだった。販売員が友人に勧め、試着して合う下着を選ぶ。この形で、シャルレは1990年代に大きく伸びた。だが、その販売員は今、高齢になった。会社自身が、活動が落ち、新しい担い手が減っていると認めている。
値決めの力も弱い。2025年6月に定番の商品を値上げしたが、駆け込みの後は売上が落ち、前年を下回った。下着も化粧品も、通販とドラッグストアに似た商品があふれている。
資本効率は低い。過去10年のROEの中央値は1%に届かない。自己資本の6割近くが現金と有価証券で、事業に使われていない。
明るい点は、オンヨネだ。スキー団体の公式ウェアを作る技術があり、利益を出している。ただ、会社全体から見ればまだ小さい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
訪問販売の業界は、長く縮んでいる。国内の訪問販売の売上は、1990年代の半ばに3兆円を超えたが、今はその半分ほどだ。働く女性が増え、昼間に家で会を開く形が合わなくなった。
下着の市場そのものは、量では大きく減らない。ただ、売り場が変わった。ユニクロやワコールの通販、ドラッグストアと量販店の安い品、ネットの専門店が客を取る。補整の下着でも、ネットで選んで買う客が増えた。
化粧品と健康食品も同じだ。通販の大手とドラッグストアの品ぞろえに、訪問販売の値段は勝ちにくい。
各社の答えは、販売員の網を残したまま、会社が直接受注して配送する形に変えることだ。客のデータを会社が持ち、ネットで注文を受ける。シャルレもこの道を進むが、販売員の取り分と会社の通販の線引きが難しい。
10年の中立では、訪問販売の客は今の6割ほどに減り、値段は物価にやや遅れて上がる、と筆者は見る。スキーウェアは国内の滑る人が減る一方、海外と訪日客で支えられる。
競争の相手は、同じ訪問販売の会社よりも、店とネットだ。そこで勝つには、値段か品ぞろえか便利さのどれかが要る。シャルレには、そのどれもまだ無い。
資本政策と M&A
還元の方針ははっきりしている。配当は利益の7割か、1株あたりの下限額の大きい方で、下限は2029/03期まで続ける。赤字でも年1.2億円ほどの配当を出す。自社株買いも毎年続け、2026年6月からは2.85億円を上限に買っている。
手元の金融資産は、現金と預金39億円、有価証券34億円で、合わせて74億円ある。借入とリースの8億円を引いても66億円だ。運転資金に15億円を残すと、余った現金は約51億円になる。
ただ、この現金は減ってきた。1年前の純現金は77億円あったが、赤字とオンヨネの買収で大きく減った。会社は中期の資金をM&Aにも回すと言う。
株は、創業家の林家と同族の会社がおよそ46%を持つ。2026年の株主総会では、個人株主が社長の解任を求めたが、会社は反対した。買収の提案が来ても、創業家の判断で決まる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強気の見方は、今の値段が手元の金融資産すら下回っている点を重く見る。
現金と有価証券は74億円、借入を引いても66億円ある。時価総額は49億円だ。事業に値段が付いていないどころか、現金を割り引いて売られている。配当には下限があり、自社株買いも毎年続けている。会社は資本コストを意識した経営を掲げ、ROE5%を目標にする。
本業も底を打つ兆しがある。2026/03期の大きな減損で、これから出ていく償却費は軽くなった。物流は1拠点にまとめ、取締役の報酬も減らした。2027/03期の会社の計画は営業黒字だ。
オンヨネの買収は、負ののれんが出るほど安く買えた。スキー団体の公式ウェアの技術は本物で、疲れを取る衣類は伸びる市場だ。
通販の受注を入れる転換が当たれば、愛用者のデータが生きる。創業家が持つ株も、いつかは売りに出るか、会社ごと買う相手が現れる。そうなれば、金融資産の厚さが値段に乗る。
下値は金融資産が支え、上値は事業の立て直しと再編が開く。そういう形の株だ。
慎重な見方
慎重な見方は、現金の厚さは事業の弱さを隠しているだけだと突く。
本業は20年近く縮み続けた。販売員は高齢になり、新しい担い手はいない。会社自身がそれを最大の課題と認めている。値上げをすれば売上が落ちる。この2年の営業赤字は合わせて20億円を超えた。
現金は減っている。1年前の純現金は77億円あったが、赤字と買収で大きく減った。会社は中期の資金をM&Aに回すと言う。本業の立て直しに自信が無い会社ほど、高い値段で別の事業を買いやすい。
創業家と同族の会社が半分近くを持つ。少数株主は現金の使い道に口を出せない。2026年の総会で社長の解任を求めた株主の提案は、会社に退けられた。
金融資産は、10年かけて赤字と買収に溶けるなら、今の額の価値は無い。資本コスト9%で10年割り引けば、会社の中に眠る現金の値打ちは大きく下がる。安いのは、それなりの理由がある。
赤字の事業に厚い現金がある会社は、価値を壊すのも速い。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は、金融資産の厚さという動かない事実に立っている。だが、その現金が株主に戻る道筋は見えず、過去1年で20億円以上が赤字と買収に出ていった。本業の縮みも20年の実績がある。
そこで確率は慎重な側に寄せた。中立は本業がわずかに黒字に戻る姿とし、悲観側の二つに37%を置いた。現金には戻り方0.75を掛け、悲観では赤字で細る額にした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 334 円50 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 74 円11 億円)。 今の値に割り戻すと 189 円28 億円、今との差 −42.4%、 期待の年率 +2.2%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 786 円117 億円 | 121 円18 億円 | +175.8% | +10.7% | 73 円11 億円 |
| やや楽観 | 20% | 519 円77 億円 | 101 円15 億円 | +88.6% | +6.5% | 124 円18 億円 |
| 中立 | 35% | 315 円47 億円 | 94 円14 億円 | +24.5% | +2.2% | 143 円21 億円 |
| やや悲観 | 25% | 183 円27 億円 | 34 円5 億円 | −34.1% | −4.1% | 54 円8 億円 |
| 悲観 | 12% | 94 円14 億円 | 24 円4 億円 | −64.0% | −9.7% | 14 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 334 円50 億円 | 74 円11 億円 | +24.2% | +2.2% | 409 円61 億円 |
今の株価時価総額 329 円49 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 通販の形への転換が当たり、オンヨネも伸びる 利益 8 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 786 円117 億円
訪問販売に通販の受注と配送を入れる転換が当たる。販売員が客を紹介し、会社が直接注文を受けて届ける。客のデータがたまり、買い替えの案内が効く。愛用者の数は今の85%で踏みとどまり、1人の購入額は物価並みに上がる。
オンヨネはスキーの団体向けと、疲れを取る衣類で売上を伸ばす。海外と訪日客の需要も取り、売上は今の倍近くになる。
会社全体の営業利益は10億円を超え、利益率は6%台に乗る。会社の目標にはまだ届かないが、黒字の会社に戻る。配当は利益の7割で増え、自社株買いも続く。手元の現金は45億円ほどを保つ。
- レディースインナー事業(下着・化粧品・健康食品の訪問販売):数量 25.5(購入する愛用者の数(万人。推定))× 価格 4.76(1人あたり年間購入額(万円))→ 売上 121 億円・営業利益 7 億円。愛用者0.85倍、購入額1.34倍、利益率6%
- スポーツウェア事業(オンヨネ):数量 12.7(販売点数(万点。推定))× 価格 2.68(1点あたり平均単価(万円))→ 売上 34 億円・営業利益 3 億円。点数1.4倍、単価1.34倍、利益率10%
- ファインバブル事業(シャワーヘッド):数量 3.9(販売台数(万台。推定))× 価格 2.60(1台あたり平均単価(万円))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。台数1.5倍、利益率5%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.6% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)34 億円。全体の PER 11.11 倍、時価総額 117 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社は2035/03期に売上204億円・営業利益率10%を掲げるが、本業は20年縮み、直近は赤字だ。転換が当たり、オンヨネも伸びる姿は1割に届かないとみた。
やや楽観 20% 本業は縮むが黒字に戻る 利益 5 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 519 円77 億円
愛用者は10年で3割減るが、通販の受注が離反を和らげる。1人の購入額は物価にやや遅れて上がる。物流の1拠点化と、減損で軽くなった償却費が効き、本業の利益率は4%に戻る。
オンヨネは国内のスキーの需要が細る中でも、団体向けと疲れを取る衣類で少しずつ伸びる。シャワーヘッドは小さな黒字に落ち着く。
営業利益は6億円ほど、手元の現金の利息を足して純利益は5億円弱になる。配当は利益の7割、自社株買いも続く。手元の現金は赤字の年に少し食われ、40億円ほどになる。会社は小さくなるが、利益の出る形に戻る。
それでも、会社の掲げる売上204億円の目標には遠く届かない。
- レディースインナー事業(下着・化粧品・健康食品の訪問販売):数量 21.0(購入する愛用者の数(万人。推定))× 価格 4.62(1人あたり年間購入額(万円))→ 売上 97 億円・営業利益 4 億円。愛用者0.7倍、購入額1.3倍、利益率4%
- スポーツウェア事業(オンヨネ):数量 10.9(販売点数(万点。推定))× 価格 2.68(1点あたり平均単価(万円))→ 売上 29 億円・営業利益 3 億円。点数1.2倍、利益率9%
- ファインバブル事業(シャワーヘッド):数量 3.1(販売台数(万台。推定))× 価格 2.60(1台あたり平均単価(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。台数1.2倍、利益率2%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)30 億円。全体の PER 11.11 倍、時価総額 77 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027/03期の会社の計画は営業黒字で、減損で償却費も軽くなった。縮みながら黒字を保つ姿は十分ありうるが、値上げ後の売上の落ち方を見て2割に置いた。
中立 35% 客は4割減り、本業はわずかな黒字 利益 3 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 315 円47 億円
愛用者は10年で4割減る。販売員の多くが引退し、新しい担い手は少ない。通販の受注で一部の客はつなぎ止めるが、ドラッグストアとネットに流れる客は戻らない。1人の購入額は物価にやや遅れて25%上がる。
本業の利益率は2%と薄い。オンヨネは数量が横ばいで、利益の柱として本業を支える。シャワーヘッドは損益ゼロに落ち着く。
営業利益は約3億円、現金の利息を足して純利益は2.5億円ほどだ。最初の数年の赤字と、下限のある配当と自社株買いで、手元の現金は32億円ほどに減る。株主が受け取るのは配当と自社株買いの分で、残りの現金は会社の中にとどまる。
シャワーヘッドは、安い品から高い品まで競合があふれ、値段は物価ほど上がらない。
- レディースインナー事業(下着・化粧品・健康食品の訪問販売):数量 18.0(購入する愛用者の数(万人。推定))× 価格 4.44(1人あたり年間購入額(万円))→ 売上 80 億円・営業利益 2 億円。愛用者0.6倍、購入額1.25倍、利益率2%
- スポーツウェア事業(オンヨネ):数量 9.1(販売点数(万点。推定))× 価格 2.68(1点あたり平均単価(万円))→ 売上 24 億円・営業利益 2 億円。点数横ばい、利益率8%
- ファインバブル事業(シャワーヘッド):数量 2.6(販売台数(万台。推定))× 価格 2.40(1台あたり平均単価(万円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。台数横ばい、競合の乱立で単価は物価に遅れる、損益ゼロ
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.7% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)24 億円。全体の PER 11.11 倍、時価総額 47 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:販売員の高齢化で20年続いた縮みは止まりにくい。値上げと通販への切り替えで縮みを和らげ、わずかに黒字に戻る姿がいちばん起こりやすいとみた。
やや悲観 25% 販売員が去り、赤字が続く 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 183 円27 億円
通販への切り替えが販売員の反発と客の高齢化で進まない。販売員の引退が続き、愛用者は10年で半分以下になる。値上げは客離れを招き、1人の購入額は物価に遅れる。
本業は毎年赤字になる。物流とシステムの固定費が残り、売上の縮みに費用の削減が追いつかない。オンヨネは小さな黒字を保つが、本業の赤字を埋めきれない。
毎年の最終損益は1億円台の赤字で、配当は2029/03期に下限が外れると止まる。手元の現金は赤字の穴埋めで18億円ほどまで細る。現金があるうちに次の買収に動けば、その成否が株主の取り分を大きく左右する。
- レディースインナー事業(下着・化粧品・健康食品の訪問販売):数量 13.5(購入する愛用者の数(万人。推定))× 価格 4.26(1人あたり年間購入額(万円))→ 売上 58 億円・営業利益 −2 億円。愛用者0.45倍、購入額1.2倍、赤字
- スポーツウェア事業(オンヨネ):数量 8.2(販売点数(万点。推定))× 価格 2.50(1点あたり平均単価(万円))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。点数0.9倍、利益率5%
- ファインバブル事業(シャワーヘッド):数量 2.1(販売台数(万台。推定))× 価格 2.40(1台あたり平均単価(万円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。台数0.8倍、赤字
倍率:赤字が続き、稼ぐ力では測れない。10年後に残る現金18億円に戻り方0.75を掛け、土地と年金の積立超過と在庫の売れる分を足した約27億円を、今の自己資本130億円に対して0.21倍とした。
確率:この2年の営業赤字は合わせて20億円を超え、2027/03期の第1四半期も赤字だった。通販への切り替えが進まないまま赤字が続く現実味は高く、4分の1に置いた。
悲観 12% 本業が崩れ、現金が尽きていく 利益 −4 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 94 円14 億円
構造的に負ける筋書きだ。販売員の網が崩れ、愛用者は10年で7割減る。通販に移っても、ネットの専門店とドラッグストアに値段で勝てない。在庫の評価損と物流の固定費が毎年出る。
本業の赤字は年3億円近くになり、オンヨネもスキーの国内需要の縮みで利益が細る。シャワーヘッドからは撤退する。
現金は赤字の穴埋めと、立て直しを狙った買収の失敗で10億円ほどまで減る。配当は2029/03期で止まる。残る価値は、現金の一部と、土地と年金の積立超過と、オンヨネを売れば付く値段だけだ。
創業家が会社を手放す時の値段だけが、株主に残る希望になる。
- レディースインナー事業(下着・化粧品・健康食品の訪問販売):数量 9.0(購入する愛用者の数(万人。推定))× 価格 4.08(1人あたり年間購入額(万円))→ 売上 37 億円・営業利益 −3 億円。愛用者0.3倍、赤字
- スポーツウェア事業(オンヨネ):数量 7.3(販売点数(万点。推定))× 価格 2.40(1点あたり平均単価(万円))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。点数0.8倍、利益率2%
- ファインバブル事業(シャワーヘッド):数量 1.0(販売台数(万台。推定))× 価格 2.00(1台あたり平均単価(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。縮小・撤退
倍率:赤字が続き、稼ぐ力では測れない。残る現金10億円に戻り方0.5を掛け、土地と年金の積立超過の税後の半分ほどを足した約14億円を、今の自己資本130億円に対して0.108倍とした。
確率:訪問販売の担い手がいなくなる道は、業界全体で現実に起きている。現金があるので会社は続くが、赤字と買収の失敗で現金を失う筋書きを1割強に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
レディースインナー事業(下着・化粧品・健康食品の訪問販売)
ビジネスメンバーと呼ぶ販売員を通じて、愛用者(メイト)に補整下着・化粧品・健康食品を売る。
| 数量購入する愛用者の数(万人。推定) | 価格1人あたり年間購入額(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 30.0 | 3.55 | 107 | −12 |
| 10 年後 中立 | 18.0 | 4.44 | 80 | 2 |
取り方:愛用者の数は開示が無く、年3.5万円前後の購入額を置いた推定で約30万人。売上106.6億円とセグメント損失11.77億円は短信の開示(棚卸の評価損と商品回収を含む)。
スポーツウェア事業(オンヨネ)
スキーウェアと、疲れを取る衣類・体幹を支えるベストを作って売る。2025年5月に買った子会社。
| 数量販売点数(万点。推定) | 価格1点あたり平均単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 9.1 | 2.00 | 18 | 2 |
| 10 年後 中立 | 9.1 | 2.68 | 24 | 2 |
取り方:売上18.16億円とセグメント利益1.86億円は短信の開示で、取得後の10か月分(スキーの季節は全部入る)。点数は平均単価2万円を置いた推定。
ファインバブル事業(シャワーヘッド)
細かい泡の出るシャワーヘッドを家電量販店とシャルレの販売網で売る。
| 数量販売台数(万台。推定) | 価格1台あたり平均単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2.6 | 2.00 | 5 | −1 |
| 10 年後 中立 | 2.6 | 2.40 | 6 | 0 |
取り方:売上5.20億円とセグメント損失0.81億円は短信の開示。台数は平均単価2万円を置いた推定。
リスクと懸念
販売員の高齢化
売上は販売員の口コミと試着の会に頼る。その販売員が高齢になり、活動が落ちている。新しい担い手は増えず、会社自身が大規模な客の離反を懸念している。
現金の使い道
手元の金融資産は時価総額を上回るが、この1年で赤字と買収に20億円以上が出ていった。会社は中期の資金をM&Aにも回すと言う。高値の買収や赤字の穴埋めに使われれば、株主の取り分は細る。
値上げと客離れ
2025年6月に定番の商品を値上げしたが、駆け込みの後に売上が落ちた。原材料と円安で原価は上がり続け、値上げをすれば客が離れる板挟みが続く。
創業家の支配
林家と同族の会社がおよそ46%を持つ。2026年の総会では個人株主が社長の解任を求めた。少数株主の声は通りにくく、現金の戻し方も創業家の判断で決まる。
在庫と商品の事故
在庫は45億円と売上の3分の1を超える。売れ残りは評価損になり、2026年にはヘアアイロンの自主回収で損も出た。在庫の重さが利益を削り続ける。
今後の分かれ目
- 本業のレディースインナー事業が2期続けて黒字になった
- 通販の形への転換が効き始めた合図だ。やや強気の筋書きの確率を上げる。
- 余った現金の大きな部分を自社株買いか特別配当で戻すと発表した
- 現金が株主に戻る道が見え、戻り方の見方を上げる。本質価値は大きく上がる。
- 現金を使う大きな買収が発表された
- 値段と買う事業の稼ぐ力しだいだ。本業と関係の薄い高値の買収なら、慎重な筋書きの確率を上げる。
- 創業家が株を手放した、または会社を買う提案が出た
- 金融資産の厚さが値段に乗る可能性がある。事業の稼ぎとは別に、株主の取り分が決まる。
- 2029/03期で配当の下限が外れ、配当が減った
- 還元の厚さを支えていた約束が消える。慎重な筋書きの確率を上げる。
見ておくもの
- レディースインナー事業のセグメント損益
- 現金・預金と有価証券の残高
- 自社株買いと配当の額
- オンヨネの売上と利益
- 棚卸資産の残高と評価損
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。中立は事業のROEが3%弱で資本コスト9%に届かず、PERの上限は1÷kの約11.1倍。その約7割の8倍を事業の純利益に掛け、10年後に残る現金に戻り方0.75を掛けて足した。今の株価やPBR、同業の値付けは倍率の根拠に使っていない。今の時価総額が純金融資産を下回ることも、価値の根拠にはしていない。資産で見たのは悲観の側の床だけだ。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→11.11 倍・やや楽観 PER 9→11.11 倍・中立 PER 8→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にquality +1.5%を足した9%。赤字は続くが、純金融資産が厚く財務の存続に疑いは無いので、上乗せはしない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 9.50%。