結論
ハリマ共和物産は、洗剤・化粧品・紙類などの日用品をメーカーから仕入れ、ドラッグストアと量販店に納める専門卸だ。倉庫と運送の受託も手がける。売上は 598 億円、営業利益は 16.9 億円で、利益率は 2.8%。筆者の結論は、貸借対照表は強いが稼ぐ力は薄く、10 年の目で見ると今の値段はほぼ適正、というものだ。
強みは、自己資本比率 69%、土地と政策保有株を持つ資産の厚さだ。時価総額 107 億円は自己資本 262 億円の 4 割にすぎない。
弱みは、売上の 27% を、スギ薬局とドン・キホーテの 2 社に頼る点と、自己資本に対して利益が小さい点だ。ROE は 5.8% と資本コストに届かない。
筆頭株主は津田物産の 41.7% で、配当性向は 18% と低い。厚い現金や土地が、少数株主に回るとは限らない。
中立では、10 年後の営業利益は 21 億円、純利益は 16 億円。確率で重みづけした総合は、今の時価総額とほぼ同じ水準に出る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ハリマ共和物産は「資産に守られた、成長しない卸」だ。時価総額は自己資本の 4 割にとどまる。自己資本比率は 69% で、現金と土地と上場株を持つ。倒産の心配はほとんどない。
ただし、資産の厚さがそのまま株主の取り分になるとは限らない。ROE が資本コストに届かない会社の資産は、帳簿どおりの値打ちを持たない。津田物産が 4 割超を握り、配当性向は 18%。現金は内部に積み上がる。
稼ぐ力は薄い。売上 598 億円に対し、営業利益は 17 億円。10 年間、利益は横ばいだ。顧客の 2 社が売上の 27% を占め、交渉力で卸の利ざやは削られる。
筆者は、今の値段が 10 年の期待どおりだと見る。割安ではなく、割高でもない。地方の資産と持ち合い株を持ち、財務は安全だが、買う理由は強くない。利益率が 3% を超えて安定するか、津田物産が持ち分を整理する動きが出れば、見方を変える。
何で稼ぐ会社か
石鹸、洗剤、化粧品、衛生用品、医薬部外品、日用雑貨、紙類、包装資材をメーカーから仕入れ、ドラッグストアや量販店の物流センターへ納める。単一セグメントの卸売業で、倉庫業と道路運送業も営み、物流の受託収入がある。
最大の販売先はスギ薬局で、売上の 15.6%(93 億円)。2 位がドン・キホーテの 11.6%(69 億円)。2 社で売上の 27% を占める。
2026 年 3 月期は、売上が 3.2% 減の 598 億円、営業利益が 11.4% 減の 16.9 億円だった。新しい物流センターの費用が重かった。中部小牧センター(愛知)が 2025 年 10 月に稼働し、埼玉加須センターが 2026 年 2 月に開設した。旧小牧センターは廃止した。
純利益は保険の解約収入で 17% 増えた。連結子会社が 2 社、持分法の会社が 3 社ある。従業員は連結で 190 人、臨時が 972 人と、パートの比率が高い。物流センターの現場は、パートと派遣が支えている。取引は長い付き合いの得意先が多く、メーカー側の在庫を引き受ける役割もある。
優良さと弱いところ
堀は普通と見る。日用品の卸は、メーカーと小売の間で物流と在庫を引き受け、利ざやを取る事業だ。規模と物流網が競争力で、ハリマ共和は西日本と中部、関東に拠点を広げている。
利益率は 2.2% から 3.9% の間で安定してきた。赤字の年はない。営業利益は 2017 年 3 月期の 17 億円から 2026 年 3 月期の 17 億円まで、10 年ほぼ横ばいで、成長はない。
弱みは、顧客の集中と、小売の交渉力だ。大手ドラッグは仕入れ条件を厳しくしており、卸が飛ばされるリスクがある。
資本の使い方は保守的だ。現金は 37 億円あるが、配当性向は 18%。物流センターの建設に投資を続けており、有形固定資産の取得は年 23 億円に増えた。ROE は過去 10 年の中央値で 6.0% と低い。
筆頭株主の津田物産は 41.7%、2 位は西松屋チェーンの 11%。相互に株を持ち合う関係だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日用品・化粧品の卸は、国内の人口が減る中で、数量は横ばいから微減だ。洗剤や紙類は買い控えが起きにくい。一方、化粧品は訪日客の需要が支える。
小売側は、ドラッグストアの大型化と寡占化が進んでいる。スギ薬局のような大手は、メーカーとの直接取引を増やし、PB を伸ばして、卸の取り分を圧縮しようとする。卸の価値は、全国で小口配送する物流網と、在庫のリスクを引き受ける力にある。
競合は、あらた、パルタック(PALTAC)、大木など。PALTAC は業界最大手で、規模の差は大きい。ハリマ共和は中堅で、地域と得意先の組み合わせで差をつける。
2024 年問題で運送費が上がり、倉庫の人手不足も続く。物流費の上昇を小売に転嫁できるかが、利益率を左右する。センターの自動化投資が進み、新しい物流センターは重い償却を背負う。
卸の再編は続くとみられる。規模のある卸が、小さな卸を取り込む流れだ。ドラッグストア自身も合併で大型化し、仕入れの窓口が減るため、卸は取引先の数が先に減っていく。ハリマ共和が外から買収する側になるか、津田物産の下で独立を保つかが、再編のなかでの分かれ道だ。
資本政策と M&A
配当は期末の年 1 回で、2026 年 3 月期は総額 3.2 億円、配当性向は 18%。前期から増額し、今期も同水準を続ける予定だ。方針は「安定配当の継続を重視し、内部留保の充実を図る」。自社株買いの記載は確認できていない。
政策保有株は上場 12 銘柄で 32 億円。最大は西松屋チェーンの 25 億円(120 万株)で、西松屋も当社の 11% を持つ相互の持ち合いだ。受取配当は利益に入っているので、価値は別に足していない。
借入は 27 億円、現金は 37 億円で、純現金は 9 億円。自己資本比率は 69%。物流センターの建設で、有形固定資産の取得は年 23 億円に増えた。
津田物産が 41.7% を持ち、2026 年 5 月の変更報告では共同保有者を合わせて 42.1% に増えた。公開買付けの発表はないが、筆頭株主が持ち分を増やしている点は、少数株主にとって注目点だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
資産に比べて、時価総額が安すぎる。自己資本 262 億円に対し、時価総額は 107 億円。土地の簿価は 57 億円、上場株は 32 億円、現金は 37 億円ある。PBR は 0.4 倍だ。
利益は安定している。10 年間、営業利益は 16 億〜19 億円で、赤字の年はない。2026 年 3 月期の減益は新しい物流センターの立ち上げ費用で、一時的だ。稼働が進めば、利益率は 3% に戻る。
物流の受託が育つ。2024 年問題で運送費が上がる中、物流網を持つ卸は小売から頼られる。スギ薬局とドン・キホーテへの売上は、前期にそれぞれ 1 割前後増えた。顧客が増やす取扱高を受ける力がある。
津田物産が持ち分を増やしている。これは少数株主にとって、TOB の可能性を示す。買収価格は資産価値に近づくはずだ。
配当性向 18% は低く、増配の余地が大きい。西松屋チェーンの株を 25 億円持っており、売却して還元に回すこともできる。
慎重な見方
資産が厚いのは、利益を生まないからだ。ROE の中央値は 6.0%、今期は 5.8%。資本コストを下回る会社の資産は、帳簿どおりに評価できない。土地や物流センターは、売ろうとすれば値が下がる。
津田物産が 41.7% を握る以上、現金は少数株主に戻らない。配当性向は 18% で、利益の大半は内部に残る。物流センターの建設で、現金は設備投資に回った。
成長がない。売上は 2019 年 3 月期の 482 億円から 598 億円に伸びたが、物価の上昇分でしかない。営業利益は 10 年ほぼ横ばいだ。
顧客の集中が重い。スギ薬局とドン・キホーテで 27%。この 2 社が物流を内製するか、メーカー直取引を広げれば、卸の存在意義が薄れる。
会社の来期予想は、経常利益が 14% の減益だ。新しい物流センターの稼働率が上がるまで、償却が重い。保険の解約収入のような一時の益で見かけの利益が膨らむ年もあり、本業の利益だけを見れば横ばいが続いている。
どちらに重みを置いたか
資産の厚さは確かだが、少数株主に戻る保証が弱く、成長もない。強気と慎重の言い分は拮抗しており、中立に 4 割、やや悲観と悲観に 34% を置いた。
新しい物流センターの稼働率が上がり、営業利益率が 3% を超えれば、強気側を上げる。逆に、主力の 2 社との取引が縮む兆しが出れば、悲観側を上げる。津田物産の買い増しが続くかどうかも、確率を動かす材料になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 3,532 円190 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 740 円40 億円)。 今の値に割り戻すと 2,229 円120 億円、今との差 +12.6%、 期待の年率 +8.0%(資本コスト 7.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 5,447 円293 億円 | 1,021 円55 億円 | +226.7% | +12.6% | 453 円24 億円 |
| やや楽観 | 19% | 4,779 円257 億円 | 891 円48 億円 | +186.4% | +11.1% | 1,077 円58 億円 |
| 中立 | 40% | 3,994 円215 億円 | 780 円42 億円 | +141.1% | +9.2% | 1,910 円103 億円 |
| やや悲観 | 25% | 2,106 円113 億円 | 613 円33 億円 | +37.3% | +3.2% | 680 円37 億円 |
| 悲観 | 9% | 1,317 円71 億円 | 371 円20 億円 | −14.7% | −1.6% | 152 円8 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,532 円190 億円 | 740 円40 億円 | +115.7% | +8.0% | 4,271 円230 億円 |
今の株価時価総額 1,980 円107 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:物流の受託が育ち、大手ドラッグ向けの取扱が伸びて利益率が 3% を超える 利益 22 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 5,447 円293 億円
中部小牧と埼玉加須の新しい物流センターが満床に近づき、取扱点数は今と同じ水準を保つ。人口は減るが、化粧品の訪日需要と大手ドラッグの出店が支える。値段は物価を少し上回る 1.40 倍。
受託物流の収益が増え、卸の利ざやの薄さを補う。営業利益率は 3.3% まで上がる。
営業利益は約 28 億円、純利益は 22 億円。持分法の利益と受取配当が利益に乗る。
センターの建物は取得時の値段のままで償却するため、物価で収入が増えるほど利益率が上がる。配当は増えるが、津田物産が筆頭株主で、還元は控えめなままだ。西松屋チェーンなど持ち合い株の配当も、利益に乗り続ける。
- 日用品・化粧品の卸と受託物流:数量 200(年間の取扱点数(百万点))× 価格 420(1 点あたり平均金額(円))→ 売上 838 億円・営業利益 28 億円。点数 横ばい、単価 1.40 倍
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.8% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.33 倍、時価総額 293 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新しい物流センターが稼働率を上げ、受託物流の収益が卸の利ざやを補う筋書き。利益率 3.3% は過去 12 年の最高 3.9% を超えない。
やや楽観 19% やや楽観:新センターが稼働し、利益率は 3% 近くまで戻る 利益 19 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 4,779 円257 億円
新センターの立ち上げ費用が一巡し、営業利益率は過去の中心である 3% に近づく。取扱点数は今の 0.98 倍、値段は 1.37 倍。
スギ薬局とドン・キホーテへの売上は伸び続け、2 社で売上の 3 割を超える。依存は強まるが、取引の継続性は高い。
営業利益は約 24 億円、純利益は 19 億円。
現金は積み上がるが、配当は純利益の 2 割台で、津田物産の意向が強い。配当は 10 年で 48 億円。物流センターの稼働が軌道に乗れば、受託物流の収入も増える。大手ドラッグの出店は続き、新規の得意先の開拓も進む。
- 日用品・化粧品の卸と受託物流:数量 196(年間の取扱点数(百万点))× 価格 411(1 点あたり平均金額(円))→ 売上 804 億円・営業利益 25 億円。点数 0.98 倍
倍率:事業の純利益 19 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.2% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.33 倍、時価総額 257 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直近の減益は新センターの立ち上げ費用が主因で、一時的とみる筋書き。2015〜2018 年は利益率が 3.8% まで上がった前例がある。
中立 40% 中立:点数は 5% 減り、値段は物価並み。営業利益は 21 億円 利益 16 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 3,994 円215 億円
日用品の数量は、人口減で細る。取扱点数は今の 0.95 倍。化粧品の訪日需要が少し補う。値段は物価並みの 1.34 倍で、洗剤・紙類の値上げは続く。
営業利益率は 2.7%。賃金・運送費は物価で上がるが、卸の利ざやも売上に連動して動く。新しい物流センターの償却は、取得時の値段のままで、売上の増えに比べ軽くなる。
営業利益は約 21 億円、純利益は 16 億円。持分法の利益と受取配当が 3〜4 億円ある。
更新投資は償却を上回り、現金から出る。配当は純利益の 3 割弱で、10 年で 42 億円。大手ドラッグの寡占は進むが、卸の取り分はぎりぎり保たれ、利益は物価の分だけ増える姿だ。借入は金利が 3.5% に上がるが、規模が小さく利益への影響は 1 億円前後。
- 日用品・化粧品の卸と受託物流:数量 190(年間の取扱点数(百万点))× 価格 402(1 点あたり平均金額(円))→ 売上 762 億円・営業利益 21 億円。点数 0.95 倍、単価 1.34 倍
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.4% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.33 倍、時価総額 213 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:利益率は 2.7% に置いた。過去 12 年は 2.2〜3.9% で、今の 2.8% と同じ水準が続くとみる。一番厚くした。
やや悲観 25% やや悲観:大手ドラッグの値引き要求と PB が強まり、利益率が 2% に下がる 利益 12 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 2,106 円113 億円
スギ薬局やドン・キホーテの交渉力が強まり、卸の利ざやが削られる。メーカー直取引も増え、取扱点数は 0.90 倍、値段は 1.30 倍。
営業利益率は 2.2% に下がり、営業利益は約 15 億円。物流センターの稼働率が上がらず、新しい償却と運送費が重い。
純利益は 12 億円。借入の金利は 3.5% に上がる。
配当は 33 億円に減らし、津田物産の意向で内部留保を厚くする。物流センターは過剰になり、一部を他社に貸すか売る必要が出る。現金と土地が厚いので存続の不安はないが、成長を語る材料は乏しい。
- 日用品・化粧品の卸と受託物流:数量 180(年間の取扱点数(百万点))× 価格 390(1 点あたり平均金額(円))→ 売上 700 億円・営業利益 15 億円。点数 0.90 倍
倍率:PER 8.5 倍。ROE は 3% 台で k を大きく下回り、上限 12.9 倍の 66%。
確率:大手ドラッグが仕入れ条件を厳しくし、物流費の転嫁も遅れる筋書き。2015〜2016 年の 2.2% が前例。売上の 27% がたった 2 社に依存している。
悲観 9% 悲観:大手ドラッグが卸を飛ばし、利益がほぼ消える 利益 4 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,317 円71 億円
大手ドラッグが自前の物流センターを整備し、メーカーと直接取引を広げる。取扱点数は 0.75 倍、値段は 1.20 倍にとどまる。
営業利益率は 1.0% に落ち、営業利益は約 5 億円。新しい物流センターは稼働率が低く、減損になる。
株主に残る価値は、土地、政策保有株、現金が中心になる。倉庫や設備は処分価格が低く、数えない。2 社の離脱は一度に起き、立て直す時間がない。
配当は 20 億円。津田物産が買い増して少数株主は取り残される可能性もある。新しい物流センターの減損で、自己資本も削られる。会社は人員を絞り、売上の規模を縮めて損益を保つ。
- 日用品・化粧品の卸と受託物流:数量 150(年間の取扱点数(百万点))× 価格 360(1 点あたり平均金額(円))→ 売上 539 億円・営業利益 5 億円。点数 0.75 倍
倍率:PBR 0.27 倍を今の自己資本 262 億円に掛けた。稼ぐ力は薄く、価値は土地・政策保有株・純現金の処分価格が中心。
確率:主力 2 社が物流を自社化するか直取引に動き、卸と受託物流の両方が失われる構造的な負け。売上の 27% が 2 社に集中する。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
日用品・化粧品の卸と受託物流
石鹸・洗剤・化粧品・衛生用品・日用雑貨・紙類などをメーカーから仕入れ、ドラッグストアや量販店の物流センターへ納める卸。倉庫と運送の受託も営む。
| 数量年間の取扱点数(百万点) | 価格1 点あたり平均金額(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 200 | 300 | 599 | 17 |
| 10 年後 中立 | 190 | 402 | 762 | 21 |
取り方:単一セグメントで、売上 598.4 億円・営業利益 16.9 億円は連結の開示。点数と単価は開示がなく、売上から「平均 1 点 0.03 万円」と置いた推定(洗剤・化粧品・紙類の平均)。受託物流の売上は分けて開示されていない。
リスクと懸念
主力 2 社への依存
スギ薬局が 15.6%、ドン・キホーテが 11.6%。2 社で売上の 27%。大手が物流を内製するかメーカー直取引を広げれば、取扱高が一気に減る。
新しい物流センターの立ち上げ
中部小牧と埼玉加須の 2 つのセンターは稼働を始めたばかり。稼働率が上がらなければ、償却と運送費が利益を食う。会社の来期予想は減益だ。
小売の交渉力
ドラッグストアの寡占化で、仕入れ条件の見直しや PB 拡大が続く。物流費の上昇を転嫁できるかが利益率を左右する。
少数株主の取り分
津田物産が 41.7% を持ち、配当性向は 18%。現金や土地の価値が少数株主に回る保証がない。津田物産が買い増しており、TOB が出れば価格は資産価値次第になる。
政策保有株の評価
西松屋チェーン株が 25 億円、上場株合計で 32 億円。相互持ち合いで、売却すれば取引関係に影響する。株価の下落は自己資本を削る。
人手不足と物流費
パートの比率が高く、賃金の上昇が直接費用に響く。2024 年問題で運送費も上がり続ける。
今後の分かれ目
- 新センターの稼働が進み、営業利益率が 3% を超える
- 中立の利益率を 2.7% から 3.0% に上げ、強気側の確率を上げる。
- スギ薬局またはドン・キホーテ向けの売上が 2 割以上減る
- 取扱点数を 0.95 倍から 0.85 倍に下げ、悲観側の確率を上げる。
- 津田物産が公開買付けを発表する
- 価格が本質価値に比べ高いかを見る。TOB の対象になれば分析の対象から外す。
- 配当性向を 30% 以上に引き上げる、または自社株買いを始める
- 余った現金の戻り方を 0.5 から 0.75 に上げて見直す。
- 西松屋チェーン株を売却して還元に回す
- 含み益の税引き後が一度に還元される。持ち合いの解消として評価を上げる。
見ておくもの
- 新物流センターの稼働率と受託物流の収益
- 営業利益率(今 2.8%、会社予想 2.7%)
- スギ薬局・ドン・キホーテ向けの売上の割合
- 津田物産の持ち分と買い増しの動き
- 配当性向(今 18%)
倍率と資本コストの決め方
倍率は、ROE が資本コスト 7.5% に届かない前提で、式の上限 1÷k=12.9 倍の 66〜93% に置いた。今の株価は純利益の約 7 倍だが、倍率の根拠に使っていない。自己資本の厚さは、津田物産が 4 割超を握る点を見て、溜まる現金の戻り方を 0.5 とした。新リース会計基準は、物流センターの賃借の比率が分からず、数字の形が変わる点だけ記す(2028 年 3 月期から)。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12→13.33 倍・やや楽観 PER 11.5→13.33 倍・中立 PER 10.5→13.33 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.25% を加えて 7.75%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.75% → 7.50%。