結論
カノークスは、名古屋に本社を置く鉄鋼の専門商社だ。鋼板や鋼管を鉄鋼メーカーから仕入れ、切って加工し、自動車や建築の顧客に届ける。筆者の結論は「やや割高」。事業は堅いが、売上1,588億円に対する営業利益は25億円と薄く、金利の上昇で稼ぎが削られるからだ。
売上の約6割は自動車向けで、トヨタ自動車1社で39%を占める。大口に継続して納める「紐付販売」が多く、仕事は読みやすい。ただ、顧客も仕入先も大きく、値決めの力は弱い。メタルワンが議決権の34%を持つ関係会社だが、役員の派遣はない。
財務は商社らしい。売掛金と在庫で約400億円を抱え、それを借入285億円で支える。純負債は203億円と、時価総額198億円と同じ大きさだ。借入はすべて変動金利で、10年で金利が上がれば、利払いは年に約6億円増える。純利益21億円には重い。
会社は、配当性向50%を目安に配る。自己資本利益率(ROE)は6.3%と、資本コストの8.75%に届かない。中期計画は、これを7%に引き上げ、経常利益を32億円にする目標だ。筆者は、金利の上昇を織り込むと、この計画でも資本コストに届かないとみる。
10年後の中立は、営業利益が30億円前後で、純利益は21億円と今と同じだ。物価の分だけ売上は増えても、利払いが利益を食う。10年の価値は、今の時価総額を下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社を「堅実だが、持ち主に報いる力の限られた会社」と見る。
オーナーとして持ちたいかと問えば、答えは慎重になる。トヨタ向けの紐付販売は読みやすいが、利ざやは薄く、10年で利益は物価ほど伸びない。借入で成り立つ商売は、金利の上昇に弱い。
値段を決めるのは、株主に残る利益だ。10年の中立で、純利益は21億円前後と、今とほぼ同じ。物価の分だけ売上が増えても、利払いが増えて相殺する。ROEは5%前後で、資本コストの8.75%に届かない。ためた利益は額面未満の価値しかない。
安全域は、PBRの低さでは測らない。時価総額198億円は自己資本334億円の6割だが、ROEが資本コストに届かない会社の価値は、帳簿より低い。借入の多さを考えると、床は稼ぐ力と売掛金・在庫の回収額から測る。
確信度は中くらいだ。鋼材価格と金利の動きは読みにくく、トヨタの調達方針も外から見えない。メタルワンの意向も不明だ。わからない部分があるので、確率は慎重な側へ寄せた。
何で稼ぐ会社か
カノークスは、鉄鋼を売る専門商社だ。報告のセグメントは「鉄鋼販売事業」の1つで、鋼板、鋼管、条鋼、ステンレスを扱う。2026年3月期の売上は1,588億円。鋼板が6割強、ステンレスが2割、鋼管が1割半ばを占める。
仕入れは、高炉・電炉メーカーなどからだ。ここで稼ぐ力になるのが、一次商、つまりメーカーから直接買える立場である。仕入れた大きな鋼板のコイルは、子会社や委託先で切って加工する。受注から加工、在庫、小口の納入までを一貫して請け負う。
売り先は自動車が約6割。トヨタ自動車が売上の39%(615億円)を占め、前期から1.4ポイント上がった。鋼板は自動車部品や鋼製シャッターに、ステンレス薄板はマフラーなどに使われる。建築向けの鋼管・条鋼もある。
稼ぎの源は、仕入れ値と売り値の差から、運賃・人件費・保管の費用を引いた残りだ。営業利益率は1.6%。売上が100あっても利益は1.6しか残らない薄い商売だから、取扱量と鋼材価格の動きで利益が振れる。
拠点は、名古屋、東京、関西、九州のほか、愛知・埼玉・岩手・大分の事業所と、豊田・名古屋港のセンター。連結の従業員は349人と少ない。2026年1月には、ミツミ九州と昭和金属の加工・販売事業の一部を引き継ぎ、鋼管関係の子会社を1社に集めた。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、トヨタ向けの継続納品と、加工まで含めた小口の納入力にある。紐付販売は、顧客が仕入先をたやすく替えにくい。トヨタの需要が続く限り、数量の下支えになる。メーカーから直接仕入れる立場も、小さな商社にはない強みだ。
ただ、堀は浅い。鋼板の値段は鉄鋼メーカーと中国の生産で決まり、商社は上げ下げを受ける立場にある。自動車メーカーは値下げを求め、顧客の集中も高い。トヨタ1社で売上の4割近いのは、強みであり、弱みでもある。
資本の使い方は、堅実だ。配当性向は47%で、中期計画は50%を目安にする。上場株は13銘柄・11億円と少なく、当期は2銘柄を売った。政策保有を減らす姿勢は評価できる。
弱みは、稼ぐ力が薄いことだ。ROEは過去10年の中央値が6.4%で、資本コストを一度も超えていない。商売の特性上、自己資本の厚みに比べて利益が小さい。売掛金と在庫で400億円を抱え、借入が欠かせない。
不祥事の類は検索の範囲で見当たらなかった。経営の質を示すのは、ROEを7%へ、経常利益を32億円へという現実的な目標だ。ただ、金利の上昇と鋼材価格の動きは、経営の力が及ばない。派手さはなく、持ち主に報いる力も限られる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の鋼材需要は、ゆっくり縮んでいる。2026年度第1四半期の国内鋼材需要は1,798万トンで、前年同期比1.5%減だった。人口減で建設が細り、自動車は海外生産へ移る。世界の鋼材は横ばい。中国の過剰な生産が、国内の鋼材価格を抑える。
商社の役割は、メーカーと顧客のあいだで、在庫と小口の納入を担うことだ。鉄鋼メーカーは大口の取引を好み、細かな注文は商社に任せる。商社は在庫を持つ代わりに、値動きのリスクを負う。鋼材価格が上がる時は在庫が利益を生み、下がる時は損になる。
自動車向けの鋼板は、トヨタの生産計画に連れて動く。電気自動車(EV)への移行は、マフラーのステンレスを減らす。一方で、車体の鋼板は残る。EVで鋼板の使用量が大きく変わる見通しではないが、ステンレスは確実に細る。
競争相手は、総合商社系の鉄鋼商社と、地域の独立系だ。メタルワン、伊藤忠丸紅鉄鋼、阪和興業、岡谷鋼機などがひしめく。カノークスは、東海地方の自動車産業に根を張った中堅で、規模では勝てない。加工と小口納入の力で、特定の顧客を守る。
再編は、ゆっくり進む。小さな加工会社の譲受けが続き、カノークスも2026年に動いた。ただ大きな買収は想定しにくい。10年では、国内の鋼材需要が縮む速さと、金利の上昇、そして鋼材価格の下支えがあるかが、利益を決める。
資本政策と M&A
資本政策は、配当が軸だ。配当性向は50%の水準を目安とし、2026年3月期は47%だった。年間の配当総額は約10億円。中期計画は、2027年度にROE7%、PBR0.7倍を目指すとする。継続的な自社株の買い戻しの方針は見当たらない。
借入が重い会社だ。純負債は203億円で、自己資本の0.6倍。営業キャッシュフローは75億円と強く、前期の46億円から増えたが、これは売掛金の減少による一時の面もある。変動金利は全てTibor連動で、金利の上昇がそのまま利払いに響く。
設備投資は年8〜9億円で小さい。減価償却は開示で確認できなかったが、投資額に近い水準とみる。投資が軽いので、償却を物価で増やしても、利益への影響は小さい。今ある設備は取得時の値段のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で足される。
M&Aは小さな加工事業の譲受けにとどまる。2026年1月に、ミツミ九州と昭和金属の鋼材事業の一部を引き継いだ。大きな買収の話は聞かない。
株主構成は、メタルワンが34.5%を持つ。取引関係を維持する目的で、役員の派遣はない。買収の可能性は残る。メタルワンが買い増して子会社化する筋書きもあり、少数株主には上値の材料になりうる。ただ、開示された動きはなく、確かめられない話は価値に入れない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社は、変化の少ない需要を、高い納入力で守っている。トヨタ向けの紐付販売は、顧客が替えにくく、数量が読める。2026年3月期は売上が8%減っても、営業利益は横ばい、純利益は過去最高だった。景気の波に強い証拠だ。
利益率にも上げ余地がある。中期計画は、経常利益を30億円から32億円へ、さらに2030年度に38億円へ伸ばす。拠点を17から25へ増やし、加工と小口納入の力を広げる。2026年1月の事業の引き継ぎは、その第一歩だ。
資本の使い方も改善に向かう。配当性向は50%を目安とし、政策保有株は縮減する。PBR0.6倍はROEが低いためで、ROEが7%、8〜10%へ上がれば、評価も戻る。メタルワンが34%を握るので、子会社化や買い増しで、少数株主にも上値が開く。
鋼材の値段は、物価に連れて上がる。国内の需要は縮んでも、加工の手間賃と小口納入の対価は、人件費の上昇を超えて転嫁できる。トヨタの生産が堅ければ、鋼板の数量は横ばいを保つ。
慎重な見方
稼ぐ力が資本コストに届かない。この点が最大の弱みだ。ROEは過去10年の中央値が6.4%で、8.75%の資本コストを一度も超えていない。営業利益率は1.6%と薄く、利ざやが数%動くだけで利益が消える。
借入は重く、金利の上昇が直撃する。純負債は203億円で、変動金利はすべてTibor連動。金利が10年で2%上がる想定では、利払いは年に約6億円増える。純利益21億円の3割に近い。物価の分だけ売上が増えても、利払いが食う。
顧客は偏る。トヨタ1社で売上の39%、自動車全体で6割。トヨタが調達を見直せば、数量も価格も一気に崩れる。EVへの移行はステンレスのマフラー需要を削る。国内の鋼材需要は人口減で縮み、中国の過剰生産が価格を抑える。
会社の計画も、資本コストには届かない。ROE7%への引き上げは、金利の上昇を織り込むと、実現しても8.75%の資本コストに及ばない。PBR0.7倍の目標は、「割安のまま」という宣言に近い。
メタルワンが議決権の3割超を握るが、役員の派遣はなく、動きは見えない。買収の話は、確かめられない仮定にすぎない。堅い会社であることと、持ち主に報いる会社であることは別だ。
どちらに重みを置いたか
トヨタ向けの継続納品の堅さより、稼ぐ力が資本コストに届かないという慎重な見方のほうが、数字の裏づけが強い。金利の上昇で、利払いが利益を食う構図は避けにくい。確率は中立に厚く置き、強気の見方の根拠である過去最高の純利益は、一時の面があるとして評価を割り引いた。メタルワンの動きは上振れの確率に回した。10年の価値は今の時価総額を下回り、判定は「やや割高」となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,317 円227 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 995 円98 億円)。 今の値に割り戻すと 1,750 円172 億円、今との差 −13.0%、 期待の年率 +5.1%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 3,567 円350 億円 | 1,529 円150 億円 | +153.1% | +9.7% | 357 円35 億円 |
| やや楽観 | 20% | 3,096 円304 億円 | 1,274 円125 億円 | +117.1% | +8.1% | 874 円86 億円 |
| 中立 | 38% | 2,649 円260 億円 | 1,070 円105 億円 | +84.8% | +6.3% | 1,413 円139 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,358 円133 億円 | 764 円75 億円 | +5.4% | +0.5% | 530 円52 億円 |
| 悲観 | 10% | 1,021 円100 億円 | 357 円35 億円 | −31.6% | −3.7% | 138 円14 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,317 円227 億円 | 995 円98 億円 | +64.5% | +5.1% | 3,312 円325 億円 |
今の株価時価総額 2,013 円198 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 紐付販売が堅く、利益率が上がる 利益 28 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 3,567 円350 億円
トヨタの生産が堅く、紐付販売の数量が横ばいを保つ。拠点を25へ広げ、加工と小口納入の力で顧客を増やす。鋼板と鋼管の数量は10年でほぼ横ばい、値段は物価をやや上回る。
利益率は1.9%に上がる。加工の手間賃を転嫁でき、費用の伸びを抑える。ステンレスはEVで減るが、他の用途で下げ幅を抑える。
利払いは増えるが、営業利益が40億円に伸びて吸収する。配当性向は50%の水準を保ち、10年の還元は150億円。メタルワンが買い増して子会社化する筋書きも、確率の中にある。
ROEは6%台まで上がるが、資本コストには届かない。
減価償却は開示で確認できなかったため、設備投資(年8〜9億円)と同じ7億円前後と推定した。物価では増やさず、今ある設備は取得時の値段のまま、更新だけ新しい値段で足す。10年後は約8億円(物価で一律に増やすと約9億円)。営業利益は +1億円ほどで、軽い投資の会社なので影響は小さい。
- 鋼板:数量 100(取扱量の指数(2026/03 を100))× 価格 14(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 1,379 億円・営業利益 26 億円。数量 1.00 倍・価格 1.36 倍(名目)・営業利益率 1.90%
- 鋼管・条鋼等:数量 100(取扱量の指数(2026/03 を100))× 価格 3.52(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 352 億円・営業利益 8 億円。数量 1.00 倍・価格 1.36 倍(名目)・営業利益率 2.20%
- ステンレス等:数量 95.0(取扱量の指数(2026/03 を100))× 価格 4.35(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 413 億円・営業利益 7 億円。数量 0.95 倍・価格 1.38 倍(名目)・営業利益率 1.60%
倍率:事業の純利益 28 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.6% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 350 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:トヨタ向けの数量が堅く、利益率が上がり、メタルワンの動きまで重なる筋書き。重なる必要があるので7%を置いた。
やや楽観 20% 数量の減りが小さく、計画どおり伸びる 利益 24 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 3,096 円304 億円
鋼板と鋼管の数量は10年で4%減にとどまる。トヨタ向けの紐付販売が支え、中期計画の経常利益32億円を超えて伸びる。利益率は1.7%。
ステンレスはEVの影響で1割減るが、他の用途で一部を補う。値段は物価並みに上がる。
営業利益は35億円。利払いが年に9億円ほどに増え、純利益は24億円。配当性向は50%の水準で、10年の還元は125億円。
ROEは5%台。資本コストには届かず、評価は上限の9割弱にとどまる。
減価償却は開示で確認できなかったため、設備投資(年8〜9億円)と同じ7億円前後と推定した。物価では増やさず、今ある設備は取得時の値段のまま、更新だけ新しい値段で足す。10年後は約8億円(物価で一律に増やすと約9億円)。営業利益は +1億円ほどで、軽い投資の会社なので影響は小さい。
- 鋼板:数量 96.0(取扱量の指数(2026/03 を100))× 価格 14(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 1,314 億円・営業利益 23 億円。数量 0.96 倍・価格 1.35 倍(名目)・営業利益率 1.75%
- 鋼管・条鋼等:数量 96.0(取扱量の指数(2026/03 を100))× 価格 3.49(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 335 億円・営業利益 7 億円。数量 0.96 倍・価格 1.35 倍(名目)・営業利益率 2.00%
- ステンレス等:数量 90.0(取扱量の指数(2026/03 を100))× 価格 4.28(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 385 億円・営業利益 5 億円。数量 0.90 倍・価格 1.36 倍(名目)・営業利益率 1.40%
倍率:事業の純利益 24 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.6% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 304 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期計画どおり利益率が少し上がり、数量の減りが小さい形。2割を置いた。
中立 38% 数量は縮み、利払いが利益を食う 利益 21 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 2,649 円260 億円
鋼板と鋼管の数量は、人口減と海外生産で10年に7%減る。ステンレスはEVでマフラー需要が細り、15%減る。値段は物価並みの1.34倍に上がり、売上は1,945億円に増える。
利益率は1.5%にとどまる。物価の上昇と同じ速さで人件費と運賃が上がり、利ざやは広がらない。営業利益は30億円。
借入は売上に連れて増え、変動金利は3.5%へ上がる。利払いは今の約3億円から約9億円へ増え、純利益は21億円と今とほぼ同じ。
配当性向は50%の水準で、10年の還元は105億円。メタルワンの動きは確率に回し、中立には入れない。ROEは5%前後で、資本コストに届かない。
減価償却は開示で確認できなかったため、設備投資(年8〜9億円)と同じ7億円前後と推定した。物価では増やさず、今ある設備は取得時の値段のまま、更新だけ新しい値段で足す。10年後は約8億円(物価で一律に増やすと約9億円)。営業利益は +1億円ほどで、軽い投資の会社なので影響は小さい。
- 鋼板:数量 93.0(取扱量の指数(2026/03 を100))× 価格 14(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 1,264 億円・営業利益 20 億円。数量 0.93 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 1.55%
- 鋼管・条鋼等:数量 93.0(取扱量の指数(2026/03 を100))× 価格 3.46(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 322 億円・営業利益 6 億円。数量 0.93 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 1.90%
- ステンレス等:数量 85.0(取扱量の指数(2026/03 を100))× 価格 4.22(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 359 億円・営業利益 4 億円。数量 0.85 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 1.20%
倍率:事業の純利益 21 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.7% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 260 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:数量は縮み、値段は物価並み、利払いが増える。最も自然と考え、最大の確率を置いた。
やや悲観 25% トヨタの調達見直しで利益率が落ちる 利益 14 億円 · PER 7.9 倍 · 株価時価総額 1,358 円133 億円
鋼板と鋼管の数量は12%減り、ステンレスは25%減る。トヨタが調達の一部を直接取引へ切り替え、価格の転嫁も物価に追いつかない。値段は1.30倍にとどまる。
利益率は1.2%に落ちる。営業利益は21億円、利払いは8億円に増え、純利益は14億円。
配当は利益に連れて減り、10年の還元は75億円。会社は拠点の統廃合に動くが、効果は限られる。借入は売上に連れて残り、金利の重荷が続く。
ROEは3%台まで落ち、評価は低い倍率に置く。
減価償却は開示で確認できなかったため、設備投資(年8〜9億円)と同じ7億円前後と推定した。物価では増やさず、今ある設備は取得時の値段のまま、更新だけ新しい値段で足す。10年後は約8億円(物価で一律に増やすと約9億円)。営業利益は +1億円ほどで、軽い投資の会社なので影響は小さい。
- 鋼板:数量 88.0(取扱量の指数(2026/03 を100))× 価格 13(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 1,160 億円・営業利益 14 億円。数量 0.88 倍・価格 1.30 倍(名目)・営業利益率 1.20%
- 鋼管・条鋼等:数量 88.0(取扱量の指数(2026/03 を100))× 価格 3.36(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 296 億円・営業利益 4 億円。数量 0.88 倍・価格 1.30 倍(名目)・営業利益率 1.40%
- ステンレス等:数量 75.0(取扱量の指数(2026/03 を100))× 価格 4.09(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 307 億円・営業利益 3 億円。数量 0.75 倍・価格 1.30 倍(名目)・営業利益率 0.90%
倍率:ROE3%台でkに大きく届かない。上限は1÷kの11.4倍。利益が薄く、年ごとに振れる。利益の質が低いので、上限の7割弱の7.9倍に置いた。
確率:トヨタの調達見直しや価格転嫁の遅れで利益率が落ちる形。薄い利ざやの商社では十分起こるので、中立に近い確率を置いた。
悲観 10% 紐付販売が崩れ、鋼材価格も低迷する 利益 6 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,021 円100 億円
トヨタが調達を直接取引へ移し、紐付販売が崩れる。鋼板の数量は2割強減り、ステンレスは4割減る。中国の過剰生産で鋼材価格は物価に追いつかず、1.22倍。
利益率は0.6%まで落ち、営業利益は9億円。利払いが6億円を食い、純利益は6億円にしぼむ。在庫の評価損も出る。
配当は大きく減り、10年の還元は35億円。会社は拠点を整理し、借入の返済を優先する。
株主に残る価値は、稼ぐ力でなく、売掛金・在庫の回収額から借入と買掛金を引いた残りが床になる。
減価償却は開示で確認できなかったため、設備投資(年8〜9億円)と同じ7億円前後と推定した。物価では増やさず、今ある設備は取得時の値段のまま、更新だけ新しい値段で足す。10年後は約8億円(物価で一律に増やすと約9億円)。営業利益は +1億円ほどで、軽い投資の会社なので影響は小さい。
- 鋼板:数量 78.0(取扱量の指数(2026/03 を100))× 価格 12(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 965 億円・営業利益 6 億円。数量 0.78 倍・価格 1.22 倍(名目)・営業利益率 0.60%
- 鋼管・条鋼等:数量 80.0(取扱量の指数(2026/03 を100))× 価格 3.15(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 252 億円・営業利益 2 億円。数量 0.80 倍・価格 1.22 倍(名目)・営業利益率 0.80%
- ステンレス等:数量 60.0(取扱量の指数(2026/03 を100))× 価格 3.84(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 231 億円・営業利益 1 億円。数量 0.60 倍・価格 1.22 倍(名目)・営業利益率 0.30%
倍率:利益はほぼ消え、稼ぐ力は床を下回る。床は回収額から負債を引いた残り。今の自己資本334億円に0.30倍を掛け、この床に合わせた。純負債203億円を足したEVでも見ると、営業利益9億円に対して36倍と高く、利益の倍率では評価せず、売れる資産の回収額で見た。
確率:紐付販売の崩れ、鋼材価格の低迷、金利の上昇が重なる複合の悪化。トヨタ依存が高いので頻度はゼロでなく、1割を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
鋼板
高炉メーカーから仕入れた鋼板のコイルを切り、加工して自動車部品やシャッターの顧客へ納める。
| 数量取扱量の指数(2026/03 を100) | 価格指数1あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 10 | 1,014 | 16 |
| 10 年後 中立 | 93.0 | 14 | 1,264 | 20 |
取り方:品種別売上1,014億円(有価証券報告書)。セグメント利益の開示は単一セグメントのみで、営業利益25.09億円を売上比で配賦した(鋼板1.55%)。取扱トン数は非開示のため指数で表した。
鋼管・条鋼等
建築・自動車向けの鋼管と条鋼。加工子会社が小口で納める。
| 数量取扱量の指数(2026/03 を100) | 価格指数1あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 2.59 | 259 | 5 |
| 10 年後 中立 | 93.0 | 3.46 | 322 | 6 |
取り方:鋼管231億円、条鋼18億円、その他9億円の合計258.6億円。営業利益を配賦(1.90%)。数量は非開示で指数。
ステンレス等
マフラー向けのステンレス薄板・鋼管など。EVで減る用途が多い。
| 数量取扱量の指数(2026/03 を100) | 価格指数1あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 3.15 | 315 | 4 |
| 10 年後 中立 | 85.0 | 4.22 | 359 | 4 |
取り方:ステンレス等の売上314.9億円。営業利益の配賦は残りの4.46億円(1.42%)。数量は非開示で指数。
リスクと懸念
トヨタへの集中
トヨタ自動車が売上の38.7%(615億円)を占め、自動車全体で約6割。調達の見直しや直接取引への移行があれば、数量も価格も一度に崩れる。
金利の上昇で利払いが増える
借入285億円は全て変動金利のTibor連動。金利が10年で2%上がる想定では、利払いは年に約6億円増え、純利益21億円の3割近くを削る。
鋼材価格の急変
鋼材価格が急に動くと、在庫の評価損益と価格転嫁の遅れで利益が振れる。商品残高は総資産の2〜3割で、帳簿と現物の差異のリスクもある。
EVでステンレスが減る
ステンレス等は売上315億円。マフラー向けが多く、EVへの移行で需要が細る。鋼板は残るが、ステンレスは確実に縮む。
国内の鋼材需要の縮小
国内の鋼材需要は人口減で緩やかに縮んでいる(2026年度第1四半期は前年同期比1.5%減)。海外生産への移行も重なる。
稼ぐ力が資本コストに届かない
過去10年のROEの中央値は6.4%で、一度も資本コストを超えていない。中期計画のROE7%でも届かず、PBR0.7倍は割安を前提にした目標になる。
メタルワンの意向
メタルワンが議決権の34.5%を持つ。取引関係の維持が目的で、役員は派遣されていないが、株主総会での影響力は大きい。買い増しや再編の動きは確かめられない。
今後の分かれ目
- トヨタ向けの売上比率が4割を超えて上がり続ける
- 集中が強まる。調達見直しのリスクが高まり、慎重な筋書きの確率を上げる。
- 経常利益が中期計画の32億円を超える
- 利益率の上振れ。強気の筋書きの確率を上げる。
- メタルワンが買い増しや公開買付けを発表する
- 買付価格が下限の目安になる。少数株主に上値が開く。
- 短期金利が想定より速く上がり、Tibor連動の利払いが1年で2倍になる
- 純利益が目に見えて減る。利払いの見方を厳しくする。
- 鋼材価格が下落し、在庫の評価損が出る
- 商品残高が総資産の2〜3割あるので、損失が利益に直結する。
- 配当性向を50%超へ、または自社株買いを始める
- 還元が増える。評価の下振れを小さくする。
見ておくもの
- 経常利益(2026年度計画30億円、2027年度32億円)
- トヨタ向け売上比率(38.7%)
- 純負債と支払利息(Tibor連動の借入285億円)
- 鋼材価格と受注残高(470億円)
- メタルワンの保有割合の変化
- 配当性向(47%、目安50%)
倍率と資本コストの決め方
倍率はROEから置いた。ROE5%前後は資本コスト8%に届かず、上限は1÷kの11.4倍。利ざやが薄く金利に弱い点を見て、上限の8割の9.1倍に置いた。今の株価・過去の倍率・同業の倍率は使っていない。PBR0.6倍は、割安の根拠にしなかった。
借入は事業の運転資金(売掛金と在庫)を支える性質で、余った現金はなく、分けて足していない。政策保有株の配当は営業外収益に入っているので、価値を別に足さない。金利の上昇は、利払いとして純利益に入れた(10年で約6億円の増)。
同領域の阪和興業(PER8.8倍)、岡谷鋼機(8.8倍)、神鋼商事(9.1倍)、佐藤商事(9.0倍)と近い水準で、差はkとROEで説明できる。
減価償却は開示で確認できなかったため推定。物価で増やさず、10年後を約8億円(一律なら約9億円)と置いた。新リース会計基準の影響は、事務所の賃借料が年1.4億円と小さく、小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.3→12.5 倍・やや楽観 PER 9.7→12.5 倍・中立 PER 9.1→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。