結論
IKホールディングスは、生協向けに雑貨や食品を企画して卸す会社だ。ほかに、テレビ通販と韓国コスメの販売も手がける。顧客の中心は50〜70代で、売上は146億円ある。
筆者の結論は割高だ。2026年5月期の営業利益は2億円にとどまり、前の期から半減した。粗利率が下がり、通販は縮み、韓国コスメの契約も変わる。会社は中期計画を撤回し、成長の道筋を引き直している最中だ。
事業が傷んでいるわけではない。生協という安定した販路があり、売上の規模も保っている。ただ、売上の大半が薄利の卸で、物価と人件費の上昇を値上げで受け止めきれない。利益率はもともと2〜3%と薄い。
借入は11億円あり、自己資本比率は43%。10年の中立では営業利益が3億円ほどだ。配当は純利益の4割を超えており、余力は小さい。時価総額27億円は、この稼ぐ力に対して重いと筆者は考える。通販の縮みと粗利率の低下が止まるまで、安心して持てる会社とは言えない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、安く買える場面でなければ手が出ない会社だ。事業は安定しているが、稼ぐ力が細い。生協の販路は強みでも、利益率が薄く、投じたお金に見合う稼ぎが生まれていない。
払う値段に安全域があるか。借入が営業利益の5倍あり、今期の営業利益は一過性の費用を除いても弱い。純資産は25億円あるが、中身は在庫と売掛金が中心で、売れば目減りする。資産の裏づけを、利益の代わりにはできない。
経営は、計画の未達を認めて撤回した点で正直だ。ただ、成長の資本をどう配分するかは、まだ見えない。配当は利益の4割を超え、内部に積む余力は小さい。
筆者は、事業が10年後も残る確率は高いと考える。しかし、株主の取り分は、利益の薄さと物価の上昇で削られやすい。値段が下がるまで待つのが筋だ。中期計画の撤回後に、新しい戦略が成果を出すまでは、慎重に見る。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は2本ある。1つは、生協向けを軸にした卸の事業で、売上は約118億円。アイケイが雑貨、食品、化粧品などを企画し、カタログや店舗向けに納める。もう1つは、通販の事業で、売上は約28億円。テレビ通販のプライムダイレクトと、韓国コスメのフードコスメが担う。
2026年5月期は、通販の売上が3割ほど減った。会社が意図してテレビ通販を絞り、ECで補う計画だったが、達成率は83%にとどまった。卸は売上が5%増えたが、粗利率は35.7%から33.4%に下がり、利益を押し下げた。
営業利益には、一過性の費用が約1.2億円含まれる。テレビ通販の縮小による在庫の評価損が0.75億円、韓国コスメの総代理店契約の変更に備えた返品の見積もりが0.4億円だ。これを除いても、本業の力は強くない。
会社は組織を再編し、プライムダイレクトの継続型商品をアイケイに集めた。定期購入のような安定した売上を伸ばす狙いである。売上の規模を保ちながら、利益の質を上げられるかが問われる。取引先の生協は、組合ごとに品ぞろえと価格の要求が異なり、対応の手間もかかる。
優良さと弱いところ
強みは、生協という安定した販路だ。生協は最大の販売先で、商品の企画から納品までを任される関係は、簡単には崩れない。食品と化粧品は伸びており、雑貨だけに頼る形から抜け出しつつある。
弱みは3つ。1つ目は、利益率の薄さだ。営業利益率は5%を超えたことがなく、直近は1%台に落ちた。2つ目は、他社ブランドへの依存である。韓国コスメは現地メーカーの意向で契約が変わり、会社の力では動かせない。3つ目は、自社開発の弱さだ。ヒット商品を育てる仕組みが足りないと、会社自身が認めている。
財務は自己資本比率43%と普通の水準だ。ただ、借入は純額で11億円あり、営業利益の5倍を超える。利払いに回せる余力は大きくない。
経営は、計画の未達が続いたことを素直に認め、中期計画を白紙に戻した。筆者は評価するが、堀、つまり他社がまねできない強みは弱いと見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
生協のカタログや宅配は、組合員の高齢化と減少に直面している。注文の中心は50〜70代で、若い世代は店とネットに流れる。物価の上昇は商品の値上げを通しやすくするが、利用者の財布は厳しく、点数は伸びにくい。
通販は、テレビの視聴の減少で構造的に縮んでいる。ECで取り戻すには、広告費と物流の力が要る。大手のネット通販とは同じ土俵で戦えないため、継続購入や専門性で勝負するしかない。
韓国コスメは、日本で流行が続く一方、ブランドの入れ替わりが激しい。総代理店の契約を結んでも、メーカーの方針で変わる。参入する会社も増えて、取り扱いを広げるほど利益が薄くなる。
今後の鍵は2つ。生協向けの卸で、粗利率を33%台から戻せるか。そして、自社で開発した商品を当てられるか。国内の通販と生協の市場は、人口の減少とともに、数量が10年で1〜2割縮むと筆者は見る。値上げの余地はあるが、利用者の購買力は伸びにくい。販売の中心が50〜70代であることも、長期では不安材料だ。若い世代へ顧客を広げられなければ、数量の縮みは速まる。
資本政策と M&A
資本政策は、安定配当が基本だ。会社の方針は配当性向20%程度だが、実際は純利益の4割を超える水準で配当を続けている。2027年5月期も配当を据え置く。
自社株買いは、2024年に小規模に実施した。額は0.25億円ほどで、株主還元の柱とは言えない。株主優待は2025年5月期から新しい制度に変わり、1年以上持つ株主に商品か買い物券を出す。費用は小さい。
借入は純額で11億円ある。主な使い道は運転資金だ。今期は組織再編で繰延税金資産を積み、純利益が実力より大きく見える。
M&Aは、これまでは事業の入れ替えが中心だった。新しい中期計画は2026年11月までに骨格をつくり、2027年の決算発表までに公表する予定である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
底は見えた。2026年5月期の営業利益には、一過性の費用が1.2億円ほど含まれる。これを除けば、利益は3億円台で、前の期と大きく変わらない。2027年5月期の営業利益予想は2.5億円で、会社は達成を見込む。
組織再編で、ストック型の売上が1つの会社に集まった。定期購入のような継続型の商品は、収益が安定する。食品と化粧品は伸びており、雑貨に偏る形からも変わってきた。生協という最大の販路は、簡単には崩れない。長年の取引で築いた企画力と納品の信頼は、新規参入者がすぐにまねできるものではない。
中期計画の撤回も、前向きに読める。他社ブランドへの依存、自社開発の弱さ、選択と集中の欠如を、自ら課題にあげた。無理な目標を捨て、足元を固める判断は、むしろ健全だ。目標を下げれば、達成の確度は上がる。会社は2027年5月期の予想を、達成できる水準だと説明している。配当も据え置き、減らさない。売上は150億円に迫り、利益率が3%に戻れば、時価総額に見合う稼ぎになる。
慎重な見方
稼ぐ力は細り続けている。2018年5月期に9億円あった営業利益は、2026年5月期に2億円まで縮んだ。そのうち一過性を除いても、粗利率は2.3ポイント下がった。販売の組み合わせが悪化し、利益が薄い売上が増えたということだ。
通販は構造的に縮む。テレビ通販は意図して絞ったが、ECでの穴埋めは計画の83%にとどまった。韓国コスメも成長率は3%と、計画の20%を大きく下回り、総代理店契約の変更で返品の費用まで出た。伸びるはずの柱が、2本とも折れかけている。
2026年6〜8月期は、経常が赤字になった。会社予想の2.5億円を達成できる保証はない。計画を撤回した会社の予想は、そのまま信じにくい。
借入は純額で11億円。利益の薄さの中で、金利が3.5%に向かえば、利払いがじわじわと増える。配当は純利益の4割超で、続ければ自己資本の積み上がりも遅れる。生協の販路が縮む中で、新しい販路を自力で作る力が弱い点も心配だ。
どちらに重みを置いたか
強い方は慎重な見方だ。粗利率の低下と通販の縮みは構造的で、再編の成果が出るかは見えない。中立は営業利益が3億円弱に戻る姿とし、確率の中心に置いた。
強気の指摘のうち、一過性の費用と生協の販路の強さは認める。上の筋書きには2割強を割いた。一方、悲観側にも3割台を置いた。計画を撤回したばかりで、新しい道筋の確からしさは低いと考えたためだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した株価時価総額 299 円23 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 69 円5 億円)。 今の値に割り戻すと 175 円13 億円、今との差 −51.4%、 期待の年率 +0.2%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 737 円56 億円 | 106 円8 億円 | +134.8% | +8.9% | 59 円4 億円 |
| やや楽観 | 20% | 490 円37 億円 | 93 円7 億円 | +62.3% | +5.0% | 117 円9 億円 |
| 中立 | 38% | 301 円23 億円 | 86 円7 億円 | +7.9% | +0.8% | 147 円11 億円 |
| やや悲観 | 23% | 122 円9 億円 | 40 円3 億円 | −55.1% | −7.7% | 37 円3 億円 |
| 悲観 | 12% | 53 円4 億円 | 13 円1 億円 | −81.6% | −15.6% | 8 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 299 円23 億円 | 69 円5 億円 | +2.5% | +0.2% | 368 円28 億円 |
今の株価時価総額 359 円27 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 組織再編と自社開発が当たり、利益率が3%台に戻る 利益 4 億円 · PER 12.3 倍 · 株価時価総額 737 円56 億円
自社開発の商品が当たり、継続型の売上が積み上がる。粗利率は35%台に戻り、生協向けの卸も店舗向けで広がる。
通販はECで下げ止まり、韓国コスメは新しいブランドで補う。営業利益率は3%台半ばに戻り、営業利益は6億円を超える。2018年5月期の水準に近い。
借入は返済が進む。配当は純利益の3割台まで下がり、内部にも資本が積める。生協の需要は縮むが、値上げは物価を上回って通る。設備は軽く、償却は小さい。物流倉庫の賃借の約束は固定費として残るが、売上が増えれば吸収できる。新しい取引先が増えれば、利益率はさらに上がる余地もある。
- セールスマーケティング(生協向けの企画・卸):数量 11.5(販売点数(百万点)。1百万点あたり売上10億円(1点あたり千円相当)と置いた推定)× 価格 14(1百万点あたり売上(億円、名目))→ 売上 156 億円・営業利益 5 億円。点数-3%・価格1.36倍
- ダイレクトマーケティング(テレビ通販・韓国コスメ):数量 8.8(販売点数(百万点)。1百万点あたり売上3億円(1点あたり3千円相当)と置いた推定)× 価格 4.08(1百万点あたり売上(億円、名目))→ 売上 36 億円・営業利益 1 億円。点数-5%・価格1.36倍
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.2% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.3 倍。全体の PER 12.26 倍、時価総額 52 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:自社開発のヒットとストック型の売上が育ち、粗利率が戻る姿。計画の未達が続いた実績から、1割を割る確率とした。
やや楽観 20% 粗利率が少し戻り、通販の縮みが止まる 利益 3 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 490 円37 億円
粗利率が34%台に戻り、卸の利益が持ち直す。通販の縮みは止まり、売上はテレビからECへ移る。点数は卸で7%減り、通販で15%減る。
営業利益率は2%台後半で、営業利益は4億円強になる。借入は少しずつ返せる。
韓国コスメは新しいブランドの追加で補うが、成長の柱とまでは言えない。生協の組合員が減る中でも、値上げが物価並みに通れば、利益は伸びる。配当は据え置きが続き、純利益の3割強まで下がる。通販の新しい商品が当たれば、利益の上振れもあり得る。ただ、物価と人件費の上昇が先に来るため、大きな改善は望みにくい。
- セールスマーケティング(生協向けの企画・卸):数量 11.0(販売点数(百万点)。1百万点あたり売上10億円(1点あたり千円相当)と置いた推定)× 価格 13(1百万点あたり売上(億円、名目))→ 売上 146 億円・営業利益 4 億円。点数-7%・価格1.33倍
- ダイレクトマーケティング(テレビ通販・韓国コスメ):数量 7.9(販売点数(百万点)。1百万点あたり売上3億円(1点あたり3千円相当)と置いた推定)× 価格 3.99(1百万点あたり売上(億円、名目))→ 売上 31 億円・営業利益 1 億円。点数-15%・価格1.33倍
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.7% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 34 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:再編の成果が出て、粗利率が小さく戻る姿。強気の見方が当たる部分として2割に置いた。
中立 38% 卸は安定するが、利益率は2%にとどまる 利益 2 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 301 円23 億円
卸の点数は10%減る。生協の組合員の減少に、値上げの通りやすさが釣り合う。価格は物価並みに上がるが、仕入れも上がり、粗利率は33%台のままだ。
通販は点数が3割減り、ECへの移行が追いつかない。営業利益率は卸で2%、通販で1.5%。営業利益は3億円弱だ。
借入は返済が進むが、借り換えで金利は3.5%まで上がる。純利益は2億円弱。配当は据え置きで、純利益の4割近い。人件費と物流費も物価で上がるため、利益率は伸びない。倉庫や事務所の賃借は固定の約束として残る。新しい中期計画の成果は、この筋書きに含めていない。
- セールスマーケティング(生協向けの企画・卸):数量 10.6(販売点数(百万点)。1百万点あたり売上10億円(1点あたり千円相当)と置いた推定)× 価格 13(1百万点あたり売上(億円、名目))→ 売上 138 億円・営業利益 3 億円。点数-10%・価格1.30倍
- ダイレクトマーケティング(テレビ通販・韓国コスメ):数量 6.5(販売点数(百万点)。1百万点あたり売上3億円(1点あたり3千円相当)と置いた推定)× 価格 3.90(1百万点あたり売上(億円、名目))→ 売上 25 億円・営業利益 0 億円。点数-30%・価格1.30倍
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.0% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 21 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:生協の卸が安定し、通販が縮む姿。2つの見方の落としどころで、最も厚く置いた。
やや悲観 23% 粗利率が戻らず、通販が細り続ける 利益 1 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 122 円9 億円
粗利率は32%台に落ち、卸の点数は2割近く減る。価格は物価に届かず、1.22倍にとどまる。人件費と物流費は物価並みに上がる。
通販は点数が半減し、韓国コスメの契約変更も続く。営業利益率は1%前後になり、営業利益は1億円強だ。
借入の返済は遅れ、利払いが増える。配当は減らされ、自己資本は伸びない。生協との取引を維持するための販促費もかさむ。新規の取引先を増やす余裕はなく、既存の顧客の減少がそのまま売上に響く。ただ、販路は残り、事業は黒字を保つ。通販の撤退費用は小さく、大きな損失にはならない。人員も削られ、商品開発の力はさらに落ちる。
- セールスマーケティング(生協向けの企画・卸):数量 9.7(販売点数(百万点)。1百万点あたり売上10億円(1点あたり千円相当)と置いた推定)× 価格 12(1百万点あたり売上(億円、名目))→ 売上 118 億円・営業利益 2 億円。点数-18%・価格1.22倍
- ダイレクトマーケティング(テレビ通販・韓国コスメ):数量 4.6(販売点数(百万点)。1百万点あたり売上3億円(1点あたり3千円相当)と置いた推定)× 価格 3.60(1百万点あたり売上(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 0 億円。点数-50%・価格1.20倍
倍率:稼ぐ力は細く、ROE は約3%で k 8.75%を大きく下回る。上限は 1÷k の約11.8倍で、その約6割弱の7倍に置いた。PBR は低いが、自己資本の中身が在庫と売掛金で、売れば目減りして ROE が k に届かない。
確率:粗利率が34%を割り、通販が細り続ける姿。計画撤回の直後で、慎重な見方の本流として2割台に置いた。
悲観 12% 生協の需要が急に細り、通販も止まり、赤字になる 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 53 円4 億円
生協のカタログ需要が急に細り、卸の点数は3分の1減る。価格も物価に届かず、粗利が薄くなる。
通販はほぼ止まり、韓国コスメの契約も切れる。営業損益は赤字になり、在庫の評価損も出る。
借入の返済を迫られ、在庫と売掛金を縮める。配当は止まり、自己資本も減る。残るのは、売れる在庫と売掛金の一部だけで、事業は小さくなる。倉庫の賃借も、縮小に合わせた解約の費用が残る。生協との取引は続くが、会社の存在感は大きく下がる。取引先から値下げを迫られても、断る力は残っていない。在庫を抱えきれず、安売りで処分する場面も増える。新規の商品開発に回す資金も尽きる。
- セールスマーケティング(生協向けの企画・卸):数量 7.7(販売点数(百万点)。1百万点あたり売上10億円(1点あたり千円相当)と置いた推定)× 価格 11(1百万点あたり売上(億円、名目))→ 売上 84 億円・営業利益 0 億円。点数-35%・価格1.10倍
- ダイレクトマーケティング(テレビ通販・韓国コスメ):数量 2.8(販売点数(百万点)。1百万点あたり売上3億円(1点あたり3千円相当)と置いた推定)× 価格 3.30(1百万点あたり売上(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。点数-70%・価格1.10倍
倍率:赤字で稼ぐ力はなく、売れる在庫・売掛金などの税後から借入と負債を引いた分が株主に残る前提。今の自己資本25億円の約16%に置いた。
確率:生協向けの点数が3分の1減り、通販が止まる姿。10年で起きる確率は1割強とみた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
セールスマーケティング(生協向けの企画・卸)
雑貨・食品・化粧品を企画し、生協のカタログや店舗向けに納める。最大の販路は生協。
| 数量販売点数(百万点)。1百万点あたり売上10億円(1点あたり千円相当)と置いた推定 | 価格1百万点あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 11.8 | 10 | 118 | 2 |
| 10 年後 中立 | 10.6 | 13 | 138 | 3 |
取り方:売上は全社145.7億円から、通販の売上比率19%(会社説明)を引いた推定で約118億円。点数は開示がなく、1点あたり売上が千円前後と置いた推定。利益は全社の営業利益1.96億円の配分の推定。
ダイレクトマーケティング(テレビ通販・韓国コスメ)
プライムダイレクトのテレビ通販と、フードコスメの韓国コスメ販売。顧客は50〜70代が中心。
| 数量販売点数(百万点)。1百万点あたり売上3億円(1点あたり3千円相当)と置いた推定 | 価格1百万点あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 9.2 | 3.00 | 28 | 0 |
| 10 年後 中立 | 6.5 | 3.90 | 25 | 0 |
取り方:売上は通販の売上比率19%(会社説明)から約27.7億円と推定。点数は開示がなく、1点あたり売上が3千円前後と置いた推定。利益は全社の配分の推定。
リスクと懸念
粗利率の低下
2026年5月期は、卸の粗利率が35.7%から33.4%に下がった。販路や商品の組み合わせが悪化し、利益が薄い売上が増えている。戻らなければ、営業利益は再び縮む。
生協の需要の縮み
生協の組合員は高齢化と減少が進む。最大の販路が縮めば、卸の点数が落ちる。値上げで補うにも限度がある。
テレビ通販の縮小とECの遅れ
テレビ通販を絞ったが、ECでの穴埋めは計画の83%にとどまった。在庫の評価損も出ており、移行の遅れが利益を押し下げる。
韓国コスメの契約の変更
一部の総代理店契約が変更・終了する見込みで、返品の見積もりを計上した。他社ブランドへの依存は、会社の力では動かせない。
計画の未達と戦略の不透明さ
中期計画を撤回し、新しい計画は2027年に公表する予定だ。それまで、成長の道筋は見えない。会社予想の達成も保証はない。
借入と金利の上昇
純負債は11億円。借り換えのたびに金利は3.5%前後へ向かい、利払いが増える。利益の薄い会社には重い。
今後の分かれ目
- 卸の粗利率が34%台に戻る
- 再編の成果が確かめられる。中立の利益率を上げ、やや楽観の重みが増す。
- 半期の営業利益が1億円を割る状態が続く
- 会社予想の2.5億円の達成が難しい。やや悲観の重みが増す。
- 新しい中期計画で自社開発とストック型の売上の目標が具体的に示される
- 成長の道筋が見える。ただし実績が出るまで、確率は動かさない。
- 生協向けの売上が減少に転じる
- 最大の販路が細り始めたと分かる。悲観の筋書きに近づく。
- 配当が減らされる
- 利益の薄さを経営が認めた形だ。自己資本の積み上がりは進むが、市場の見る目は厳しくなる。
見ておくもの
- 卸の粗利率と、四半期ごとの営業利益
- テレビ通販・EC・ストック型売上の比率
- 韓国コスメの総代理店契約の変更と返品費用
- 新しい中期計画(2028〜2030年)の中身
- 借入残高と配当方針
倍率と資本コストの決め方
倍率は、事業のROE(ならした純利益と自己資本から約2〜16%)、k 8.75%、g 4%の式から出した上限を土台にした。今のPERやPBR、同業の倍率は見ていない。今期の純利益は繰延税金資産で膨らんでいるため、流れの起点はならした値にした。倉庫・事務所の賃借は、今の形(賃料を営業費用に入れる形)でそろえた。セグメントの売上は、通販の比率19%からの推定で、点数も推定である。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→12.26 倍・やや楽観 PER 9.5→11.43 倍・中立 PER 9→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にquality+1.0%を足して8.5%。個別の懸念は筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 8.75%。