結論
結論:居酒屋の再建会社が、弁当と食材に軸足を移しながら立て直している途中で、財務の弱さが値を重く押さえている。売上は218億円、営業利益は8.5億円(利益率3.9%)。2026年3月期の純利益11.4億円は、子会社リアルテイストの株式売却益4.4億円を含む。事業の稼ぎは、居酒屋の国内外食が4.5億円、弁当の中食が2.4億円、地鶏の生産と食材の流通が1.7億円で、海外外食は赤字が続く。
借金と優先株が株主の取り分を薄くしている。純有利子負債は35.6億円で、時価総額の3割にあたる。そのうえ、A種・B種・C種の優先株が合計14.5億円あり、優先配当が年1.4億円ほど先に出ていく。普通株の1株純資産は、2026年3月末でマイナスだった。継続企業の前提に関する注記は、2026年3月期の決算で外れた。ただし、2026年夏に創業者の米山久氏と取引先のNIGITAへの増資、サントリーへのC種優先株の発行と、資本を足し続けている。
価値は、居酒屋の改善よりも、弁当事業が稼ぎの柱になれるかで決まる。10年後の中立では、営業利益が約17億円、普通株に帰属する純利益が約10億円まで戻る前提に置いた。国内外食の利益率が4%に上がることが前提で、居酒屋の客数は戻りきらない。余った現金を株主に返す方針は開示されておらず、普通配当は設立以来ない。優待は年2回で、費用は年0.5億円ほどと推定した。
バリュー投資の観点から
結論:弁当事業という買いたい芽はあるが、全体では買わない水準にある。
良い点は、経営陣が自社株を持つ(米山久氏が約41%)こと、継続企業の前提の注記を解消したこと、弁当の売上が前年比19%伸びていること、地鶏の生産で食材を握っていることである。弱い点は、普通株の純資産がほぼゼロで、借金と優先株が先に取っていくこと、出店を抑える一方で居酒屋の客数が戻らないこと、海外の赤字が続くことである。
判断は、事業の稼ぐ力よりも、資本の厚みで決まる。10年後の中立では、利益が出ても、優先配当と利払いが先に出ていく。普通配当は設立以来なく、余った現金を返すかどうかは、経営の意思に頼る。創業者が約41%を持つ会社で、少数株主への還元は後回しになりやすい。価値は、弁当が稼ぎの柱になることと、借金を減らして普通配当を始めることが前提で、その二つが実現する確率は半分に届かない。
何で稼ぐ会社か
結論:売上の7割は居酒屋の運営で、残りが弁当・食材・海外である。会社は、店の運営と地鶏の生産・食材の流通を直接つなぐ「生販直結」を柱にしてきた。
国内外食は売上153億円、利益4.5億円で、直営123店を運営する。コロナ禍で店を閉め、2026年3月期も13店減った。会社は出店を抑え、既存店の質を上げる「筋肉質経営」を掲げ、店の業態も専門店とレストランに分けて整理している。
海外外食は売上21億円で、香港・シンガポール・インドネシア・アメリカに15店ある(前年より4店減)。利益は0.2億円の赤字だが、インドネシアなどで新規出店の立ち上がりが良く、会社は海外を成長の軸に置く。
中食は売上37億円、利益2.4億円で、子会社の塚田農場プラスが運営する宅配弁当「塚田農場おべんとラボ」が中心である。前年比で19%伸び、会社は第2の収益の柱と位置づける。工場の増設に着手し、来期に完成する計画である。
生産流通は、外部への売上は8億円と小さいが、グループ向けの内部取引を入れた売上は16億円で、利益は1.7億円ある。地鶏の生産と鮮魚・青果の流通で、店の食材の調達を安定させる役割を担う。
優良さと弱いところ
結論:事業の質は並、財務の質は弱い。k(求める利回り)は基本の7.5%に2.5ポイントを足した10.0%に置いた。
循環は+0.5。外食は景気と客足に左右され、コロナ禍で売上が40%以下に落ちた実績がある(2022年3月期の売上は80億円)。値決めは+0.5。居酒屋は価格競争が激しく、人件費と食材の上昇を価格に載せても客数が減りやすい。中食は需要が伸びているが、競争も多い。
借金は+1.0。純負債は自己資本(優先株を含む)の3倍を超え、支払利息に対する営業利益は8倍ほど。短期借入金が26億円あり、借り換えの条件が変われば利払いが膨らむ。自己資本比率は14%と低い。
寿命は+0.5。居酒屋業態は若い世代の飲酒習慣の変化で縮む方向にあり、会社は中食へ軸足を移して対応している。積み上げは10.0%(上限は+3.0ポイント)。この会社には、増資や優先株で資本を足し続けてきた過去が重い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
結論:外食は、客数が増えにくいなかで、人件費・食材・家賃が上がる業種である。居酒屋は、他の外食より回復が遅い。
居酒屋は、コロナ禍の後も客数がもとに戻っていない。企業の宴会が減り、若い世代の飲酒機会が減っているためである。価格を上げても客数が減れば、利益率は上がらない。会社の国内外食の利益率は3%足らずで、2015年3月期の全社の利益率6.6%にも届かない。
家賃は大きな固定費である。店の多くは賃借で、会計上は販管費・原価に入るため、売上が落ちたときに利益が急に減る(営業レバレッジ)。店を閉めるときは、敷金・保証金(会社は13億円を預けている)の回収と、原状回復の費用が絡む。
同業の比較では、同じ居酒屋のチムニーが、同じ前提で測ると現在の株価が中立の値より高く出る(-20%から-88%)。外食全体で、今の株価は事業の稼ぎより先に期待を織り込みやすい。弁当(中食)は、外食より設備を軽く、利益率も外食より高い一方、デリバリー各社との競争が厳しい。外食全体の人手不足も、店の営業時間を縮める形で利益を削る。
資本政策と M&A
結論:資本の足し方が事業の稼ぎより目立つ会社で、普通株の取り分は薄い。
借金は、現金11.7億円に対し有利子負債47.3億円(短期26.0億円・1年内返済3.4億円・社債1.0億円・長期16.5億円)、純35.6億円である。2026年3月期は短期借入金を14.8億円返し、長期借入を6.0億円借りて、期限を延ばした。
優先株は、A種(10億円)・B種(3億円)に、2026年8月にサントリーへ発行したC種(1.5億円)が加わった。優先配当はA・Bで年1.3億円ほど。償還や転換の条件は開示から読み切れなかったので、永続する負担として純利益から引いた。
普通株の増資も続いている。2026年8月にNIGITAへ普通株10.9万株(1.0億円)、9月に役員報酬の株式80,000株を処分し、9月30日を払込期日に米山久氏へ20.5万株(2.0億円)を割り当てる。株数は、9月末で約1,314.7万株に増える見込みである(払込の完了は未確認)。
還元は、普通配当が設立以来ない。優待は3月と9月の年2回で、100株から食事券を出す。費用は開示がなく、年0.5億円と推定し、10年の還元に(中立は1.0、やや悲観0.75、悲観0.5)を掛けて足した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
結論:弁当と海外が当たれば、利益は今の3倍に届く。
国内は出店を再開して128店になり、客単価も物価を上回って上がる。居酒屋の再編が終わり、既存店の利益率は6%に達する。中食は、工場の増設と宅配の拡大で、弁当の数が10年で2.4倍の800万食になる。利益率も9%に上がる。海外はインドネシアなど新興国で出店を広げ、30店で利益率7%に乗る。
借金は返し終わり、優先株も順に償還されて、利払いと優先配当が減る。普通株の配当は純利益の35%まで上がり、優待も続く。この道は、会社が掲げる「筋肉質経営」と「中食を第2の柱にする」計画が両方実現する筋書きで、強気の見方である。その場合の営業利益は31億円と、今の3.7倍に届く。普通株の純利益も約20億円となり、10年の還元と余った現金を合わせると、今の時価総額を大きく上回る。弁当の成長が一度軌道に乗れば、固定費が薄い分だけ利益が伸びやすい点も、強気の根拠になる。
慎重な見方
結論:居酒屋の客数が戻らず、借金と優先株が重荷になって、普通株の取り分は残らない。
コロナ禍でも店を閉めきれなかった会社は、家賃と人件費の固定費を抱えたまま、客数が戻らない。国内は90店まで縮み、売上も10年で4割下がる。利益率は赤字になり、特別損失(店の減損・閉店費用)も重なる。短期借入金の借り換えが難しくなり、優先株の償還や転換の条件で、普通株は大きく希薄になる。
弁当は工場への投資が先行して利益を出せず、競合のデリバリーに押される。海外は撤退が続き、敷金・保証金の回収にも費用がかかる。この筋書きでは、普通株の価値はほぼ選択権(立て直しに成功したときだけ残る権利)の分しか残らない。優待は縮小し、配当は始まらない。過去にも、2021年3月期の赤字36億円で、自己資本が4億円まで細った実績がある。2026年夏の増資が続く姿は、事業の稼ぎでなく外からの資本で支えられている証拠とも読める。借金の借り換えで条件が悪くなれば、利払いが営業利益を食い、普通株には何も残らない。
どちらに重みを置いたか
結論:今の株価は、中立の値よりかなり高い(差は約−61%)。弁当の成長と財務の改善が両方進む道は、確率がまだ半分に届かないため、買いの根拠には足りない。
事業は立て直しの途上にあり、継続企業の前提の注記は外れた。ただし、資本は増資と優先株で足したもので、稼いで貯めた資本ではない。確率は、中立の37%を軸に、悲観側(やや悲観25%と悲観15%)に4割を置く。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,074 円141 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 143 円19 億円)。 今の値に割り戻すと 503 円66 億円、今との差 −46.6%、 期待の年率 +2.6%(資本コスト 10.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 2,680 円352 億円 | 351 円46 億円 | +221.8% | +12.4% | 182 円24 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,952 円257 億円 | 244 円32 億円 | +133.1% | +8.8% | 373 円49 億円 |
| 中立 | 37% | 1,347 円177 億円 | 169 円22 億円 | +60.9% | +4.9% | 561 円74 億円 |
| やや悲観 | 25% | 319 円42 億円 | 59 円8 億円 | −59.9% | −8.7% | 94 円12 億円 |
| 悲観 | 15% | 23 円3 億円 | 19 円3 億円 | −95.6% | −26.8% | 6 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,074 円141 億円 | 143 円19 億円 | +29.2% | +2.6% | 1,217 円160 億円 |
今の株価時価総額 942 円124 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 弁当と海外が当たる 利益 20 億円 · PER 16.2 倍 · 株価時価総額 2,680 円352 億円
弁当(中食)と海外が同時に当たる筋書き。国内外食は出店を再開して128店になり、客単価は物価を上回って上がる。居酒屋の再編が終わり、既存店の利益率は6%に達する。中食は工場の増設と宅配の拡大で弁当の数が2.4倍の800万食になり、利益率9%。海外は新興国で30店、利益率7%に乗る。生産流通は外販が広がり、利益率は2割を保つ。借金は返し終わり、優先株も順に償還され、普通株の配当は純利益の35%まで上がる。優待も続く(年0.5億円×10年×1.0)。営業利益率は全社で7.6%と、直近の山(2015年3月期の6.6%)を超える。
- 国内外食(居酒屋・専門店・レストラン):数量 128(直営の店数(店))× 価格 1.69(1店当たり売上(億円))→ 売上 216 億円・営業利益 13 億円。営業利益率6%
- 海外外食(香港・シンガポール・インドネシア・米国):数量 30.0(直営の店数(店))× 価格 1.86(1店当たり売上(億円))→ 売上 56 億円・営業利益 4 億円。営業利益率7%
- 中食(宅配弁当):数量 800(年間の提供数(万食))× 価格 0.15(1万食当たり売上(億円))→ 売上 120 億円・営業利益 11 億円。営業利益率9%
- 生産流通(地鶏の生産・鮮魚青果の流通):数量 130(外販の取引量(千万円相当))× 価格 0.13(1単位当たり売上(億円))→ 売上 17 億円・営業利益 4 億円。営業利益率20%
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 261.7% が k 10.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 135.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.2 倍。全体の PER 16.18 倍、時価総額 316 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:弁当・海外・借金の返済が同時に実現する筋書きで、再建途中の会社では起こりにくい。
やや楽観 17% 方針どおりに進む 利益 14 億円 · PER 16.1 倍 · 株価時価総額 1,952 円257 億円
会社の方針(出店抑制・既存店強化・中食の成長)に沿って進む。国内は店数を124に保ち、客単価を物価並みに上げて利益率は5%。中食は工場増設で弁当の数が650万食まで増え、利益率8%。海外は26店に増え、赤字を脱して5.5%。借金は少しずつ減り、利払いも減る。優先株は据え置きで、普通配当は後半に純利益の3割で始まる。優待は続く(年0.5億円×10年×1.0)。営業利益は23億円、全社の営業利益率は6.4%で、弁当と海外の寄与が大きい。居酒屋は人件費の上昇を吸収しきれないが、店数と客単価を保てば、赤字には戻らない。
- 国内外食(居酒屋・専門店・レストラン):数量 124(直営の店数(店))× 価格 1.65(1店当たり売上(億円))→ 売上 205 億円・営業利益 10 億円。営業利益率5%
- 海外外食(香港・シンガポール・インドネシア・米国):数量 26.0(直営の店数(店))× 価格 1.82(1店当たり売上(億円))→ 売上 47 億円・営業利益 3 億円。営業利益率5.5%
- 中食(宅配弁当):数量 650(年間の提供数(万食))× 価格 0.15(1万食当たり売上(億円))→ 売上 95 億円・営業利益 8 億円。営業利益率8%
- 生産流通(地鶏の生産・鮮魚青果の流通):数量 112(外販の取引量(千万円相当))× 価格 0.13(1単位当たり売上(億円))→ 売上 15 億円・営業利益 3 億円。営業利益率19%
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 205.8% が k 10.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 107.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.0 倍。全体の PER 16.05 倍、時価総額 226 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の方針(出店抑制・既存店強化・中食の成長)に沿って進む道。実現の確度は中程度だが、弁当の売上が前年比19%伸びている点は追い風。
中立 37% 中立:利益は今の2倍、財務は少し改善 利益 10 億円 · PER 15.8 倍 · 株価時価総額 1,347 円177 億円
国内外食は120店と店数を少し絞り、価格は物価をやや下回る上がり方(1.30倍)で、客数の減りを客単価で補う。利益率は4%と、今の2.9%から1ポイント上がる。中食は560万食まで増えるが、競争もあり、利益率は7%に収まる。海外は22店で3.5%。生産流通は外販が少し伸び、利益率は18%。営業利益は約17億円で、今の2倍。優先配当と利払いを引いた普通株の純利益は約10億円。普通配当は後半から純利益の25%で始まり、残りは借金返済と成長投資に回る。優待は続く(年0.5億円×10年×1.0)。全社の営業利益率は5.2%で、2015年3月期の山(6.6%)には届かない。借金は少しずつ減るが、短期借入金の借り換えは続く。
- 国内外食(居酒屋・専門店・レストラン):数量 120(直営の店数(店))× 価格 1.61(1店当たり売上(億円))→ 売上 194 億円・営業利益 8 億円。営業利益率4%
- 海外外食(香港・シンガポール・インドネシア・米国):数量 22.0(直営の店数(店))× 価格 1.78(1店当たり売上(億円))→ 売上 39 億円・営業利益 1 億円。営業利益率3.5%
- 中食(宅配弁当):数量 560(年間の提供数(万食))× 価格 0.14(1万食当たり売上(億円))→ 売上 80 億円・営業利益 6 億円。営業利益率7%
- 生産流通(地鶏の生産・鮮魚青果の流通):数量 100(外販の取引量(千万円相当))× 価格 0.13(1単位当たり売上(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。営業利益率18%
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 135.3% が k 10.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 72.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.7 倍。全体の PER 15.75 倍、時価総額 153 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:店を少し絞り、弁当が伸びて、利益が今の2倍になる、最も自然な道。ただし客数の戻りは弱いと見る。
やや悲観 25% 客数が戻らず借金が重い 利益 4 億円 · PER 6.7 倍 · 株価時価総額 319 円42 億円
居酒屋の客数が戻らず、国内は108店まで縮む。価格は物価を下回る上がり方(1.25倍)で、利益率は2.2%と今の水準を割る。中食は工場増設が重く、利益率は5.5%に下がる。海外は17店で、利益は出ない。営業利益は9億円と今並みで、利払いと優先配当を引くと、普通株の純利益は4億円。借金の返済は遅れ、利払いも重い。配当は小さく始まるだけで、優待は縮小する(年0.5億円×10年×0.75)。全社の営業利益率は3.3%と今(3.9%)よりやや低い。店の減損や閉店費用がときどき出て、自己資本は思うように貯まらない。
- 国内外食(居酒屋・専門店・レストラン):数量 108(直営の店数(店))× 価格 1.55(1店当たり売上(億円))→ 売上 168 億円・営業利益 4 億円。営業利益率2.2%
- 海外外食(香港・シンガポール・インドネシア・米国):数量 17.0(直営の店数(店))× 価格 1.71(1店当たり売上(億円))→ 売上 29 億円・営業利益 0 億円。営業利益率0%
- 中食(宅配弁当):数量 450(年間の提供数(万食))× 価格 0.14(1万食当たり売上(億円))→ 売上 63 億円・営業利益 4 億円。営業利益率5.5%
- 生産流通(地鶏の生産・鮮魚青果の流通):数量 90.0(外販の取引量(千万円相当))× 価格 0.13(1単位当たり売上(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。営業利益率16%
倍率:ROE 10.7%、RONIC = k 10.0% + 1/2 ×(10.7 − 10.0)= 10.4%、g 4.0% から正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)= 10.2 倍。居酒屋の客数が戻らず、借金と優先株が重い再建途中の会社なので、やや悲観は上限の 6.5 割の 6.7 倍に置いた。
確率:居酒屋の客数が戻らず、借金の重さが残る道。過去10年の実績(赤字が6期)を見ると、十分ありうる。
悲観 15% 構造的に負ける 利益 −3 億円 · PBR 0.8 倍 · 株価時価総額 23 円3 億円
居酒屋の客数が戻らず、借金の借り換えも難しくなる構造的な負けの筋書き。国内は90店に縮み、利益は赤字、海外は撤退が続く。弁当は工場への投資が先行して利益を出せない。特別損失(店の減損・閉店費用・敷金の未回収)が重なり、普通株の純利益は10年を均すと-3億円の赤字になる。借金と優先株が先に取られ、普通株の取り分は選択権(立て直しに成功したときだけ残る権利)の分しか残らない。優待は縮小し、配当は始まらない(年0.5億円×10年×0.5)。増資や優先株の追加発行が重なれば、既存の普通株主の取り分はさらに薄まる。
- 国内外食(居酒屋・専門店・レストラン):数量 90.0(直営の店数(店))× 価格 1.43(1店当たり売上(億円))→ 売上 129 億円・営業利益 −1 億円。営業赤字
- 海外外食(香港・シンガポール・インドネシア・米国):数量 10.0(直営の店数(店))× 価格 1.58(1店当たり売上(億円))→ 売上 16 億円・営業利益 −1 億円。営業赤字
- 中食(宅配弁当):数量 340(年間の提供数(万食))× 価格 0.13(1万食当たり売上(億円))→ 売上 43 億円・営業利益 1 億円。営業利益率3%
- 生産流通(地鶏の生産・鮮魚青果の流通):数量 75.0(外販の取引量(千万円相当))× 価格 0.12(1単位当たり売上(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。営業利益率10%
倍率:稼ぐ力はほぼなく(普通株の純利益は10年の前半でプラス、後半で特別損失を含めて赤字)、価値は売れる資産の床で測る。10年後の自己資本4億円にPBR 0.75を掛けて3億円に置いた。EV(時価総額+純有利子負債35億円+優先株14.5億円)で見ても、営業利益がほぼゼロの会社に利益の倍率は付かない。
確率:コロナ禍のような急落がなくても、借り換えと客数の二つが同時に悪化する筋書き。再建会社として15%の重みを置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内外食(居酒屋・専門店・レストラン)
国内の直営123店。居酒屋を中心に、専門店とレストランへ業態を整理中。
| 数量直営の店数(店) | 価格1店当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 123 | 1.24 | 153 | 4 |
| 10 年後 中立 | 120 | 1.61 | 194 | 8 |
取り方:2026年3月期の外部売上152.7億円を店数123で割った1店当たり売上。営業利益はセグメント利益(内部取引を含む売上156.0億円に対する4.45億円)。中立は店数を絞り、価格は物価をやや下回る1.30倍。
海外外食(香港・シンガポール・インドネシア・米国)
海外の直営15店。インドネシアなどで新規出店が好調だが、全体では赤字。
| 数量直営の店数(店) | 価格1店当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 15.0 | 1.37 | 21 | 0 |
| 10 年後 中立 | 22.0 | 1.78 | 39 | 1 |
取り方:2026年3月期の外部売上20.5億円を店数15で割った値。営業損益はセグメント損益(-0.18億円)。中立は出店で22店まで増え、価格は1.30倍。
中食(宅配弁当)
子会社の塚田農場プラスが運営する宅配弁当「塚田農場おべんとラボ」と駅ナカなど。前年比19%増。
| 数量年間の提供数(万食) | 価格1万食当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 334 | 0.11 | 37 | 2 |
| 10 年後 中立 | 560 | 0.14 | 80 | 6 |
取り方:2026年3月期の外部売上36.7億円を、1食千円台前半と推定して食数に直した値(食数・単価の開示はない)。営業利益はセグメント利益(2.45億円)。工場増設を来期に予定。中立は食数が1.7倍。
生産流通(地鶏の生産・鮮魚青果の流通)
地鶏の生産・加工と食材の流通。店の調達を安定させる。内部取引が売上の半分。
| 数量外販の取引量(千万円相当) | 価格1単位当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 83.0 | 0.10 | 8 | 2 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.13 | 13 | 2 |
取り方:2026年3月期の外部売上8.3億円を1千万円単位に直した指標(取引量の開示はない)。セグメント利益1.74億円はグループ向けの内部売上8億円を含む。中立は外販が2割増える。
リスクと懸念
借り換えと利払い
短期借入金26億円と1年内返済3.4億円が、現金11.7億円を上回る。2026年3月期に継続企業の前提の注記は外れたが、借り換えの条件が悪くなれば利払いが膨らむ。純有利子負債は自己資本(優先株を含む)の3倍を超える。
優先株の負担と希薄化
A種・B種・C種の優先株は合計14.5億円で、優先配当は年1.4億円ほど先に出る。償還・転換の条件は開示から読み切れなかった。条件次第で、普通株は大きく希薄になりうる。
居酒屋の客数
国内外食は売上の7割を占めるが、利益率は3%足らず。客数が戻らないまま人件費・食材・家賃が上がれば、利益は簡単に消える。第1四半期の営業利益は前年同期比で47%減った。
資本の足し続け
2026年夏に、取引先への増資、C種優先株、創業者への割当、役員への株式処分と続いた。事業の稼ぎでなく外からの資本で支えており、増資の形で、普通株の取り分が薄くなる可能性は続く。
海外の赤字と撤退費用
海外外食は赤字が続き、前年より4店減った。撤退や店の整理に、敷金・保証金の未回収や原状回復の費用がかかる。国内も、閉店のたびに特別損失(減損)が出る。
中食の工場投資
弁当の成長は、工場の増設に頼る。来期に予定する増設の投資が先行し、弁当の数が計画どおりに伸びなければ、設備の償却が重くなる。デリバリー各社との競争も厳しい。
今後の分かれ目
- 中食の売上が前年比2割前後の伸びを保ち、利益率が上がったら
- やや楽観・楽観の確率を上げる。弁当が第2の柱になる筋書きの裏づけになる。
- 国内外食の営業利益率が4%を超える年が続いたら
- 中立の利益率の前提を上げる。居酒屋の再編が実を結んだと見る。
- 短期借入金の借り換えが難しくなる、または優先株の償還・転換の条件が開示されたら
- 条件を見て、やや悲観・悲観の重みを移す。償還されて優先配当が減るなら、逆に上げる。
- さらなる増資や優先株の追加発行が出たら
- 普通株の希薄化を計算し直す。資本を足し続ける会社と見て、悲観側に重みを移す。
- 普通配当を始める、または借金を減らす方針が出たら
- 余った現金の戻り方(0.5)を見直す。還元の実績が積まれるなら、0.75に上げてよい。
- 海外の赤字が止まり、出店が再開されたら
- 海外の利益率の前提を上げる。インドネシアなどの立ち上がりが確かめられる。
見ておくもの
- 中食の売上と利益率(塚田農場プラス)
- 国内外食の既存店売上と営業利益率
- 短期借入金の借り換えと純有利子負債
- 優先株(A・B・C種)の償還・転換の条件
- 米山久氏への割当の払込完了と株数
- 優待の費用と続くかどうか
倍率と資本コストの決め方
今の株価や同業の値付けは見ずに、各事業の店数・食数・単価と利益率から10年後の利益を組み立て、正当化PERの6.5〜8割を掛けた。株価の位置は、最後に比べただけで、数字は後から合わせていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.6→16.18 倍・やや楽観 PER 10.6→16.05 倍・中立 PER 10→15.75 倍)。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +2.5% を足した 10.0%。財務の弱さと居酒屋の循環・値決めの弱さを quality で表した。