結論
ライフフーズは、関西を地盤に「ザめしや」「街かど屋」など和食の定食店を88店営む会社だ。筆者の結論ははっきりしている。今の値段は、この会社の稼ぐ力に比べて高すぎる。
一番の理由は、利益がほとんど出ないことだ。2026/02期の営業利益は0.9億円で、売上の1%に届かない。今期は米などの原材料高と天候不順で、通期の最終損益は赤字の見込みに変わり、配当も未定になった。過去12年で、営業利益率が4%を超えた年は無い。
手元の現金は18億円あり、借金はほぼ無い。ただ、その半分ほどは仕入先への支払いと従業員の退職金に充てる分だ。自由に使える現金は5億円ほどで、それも10年以上ほとんど株主に戻っていない。
10年後の中立は、売上が約109億円、営業利益が約1.6億円。資本コストの半分ほどの稼ぎにとどまる。確率を重ねた本質価値は、今の時価総額の2割に届かない。
関西の郊外で長く親しまれた店で、優待の食事券を目当てに株を持つ個人も多い。だが、その人気は事業の稼ぎとは別のものだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、持ち続けたい事業とは言いにくい。
事業はわかりやすい。定食を作って売る。10年後も人は定食を食べるし、ザめしやの店も残っているだろう。だが、それだけでは株主の価値は増えない。
問題は値決めの力だ。米が高くなれば利益が消え、値上げすれば客が減る。12年間、営業利益率は4%に届かなかった。資本コストを上回る稼ぎを、一度も安定して出せていない。
手元の現金は厚く見えるが、退職金の約束と運転資金を引くと、自由になる分は時価総額の1割ほどだ。その現金も、長く会社の中にとどまってきた。
安全域は無い。今の時価総額は純資産の約3倍で、利益の出ない事業に付く値段ではない。優待の食事券を目当てに株を持つ個人は多いが、それは会社の費用で、事業の価値ではない。株主に戻らない現金と、資本コストに届かない稼ぎの組み合わせは、長く持つほど不利になる。
払う値段に見合う稼ぎの道筋が見えるまで、外から見ておきたい会社だ。
何で稼ぐ会社か
ライフフーズは、和食のレストランだけを営む単一の事業の会社だ。店は関西、中部、岡山の2府6県にある。
看板は「ザめしや」で、客がおかずの皿を棚から選んで取るカフェテリアの形の定食店だ。26店ある。もう一つの柱が「街かど屋」で、券売機で頼む小さめの定食店だ。41店あり、会社はこれを出店の中心に置く。ほかに「めしや食堂」7店、うどんの「讃岐製麺」12店などがあり、合計88店になる。
稼ぎ方は単純だ。店で食事を売り、食材と人件費と家賃を払った残りが利益になる。1店の売上は年1億円ほどだ。仕入れの4割はケイ低温フーズという1社に頼る。
費用の柱は、米と食材、パートの人件費、店の家賃と光熱費だ。定食は米の比率が高く、米の値段が上がるとすぐ利益が削られる。
会社の方針は、街かど屋の出店、新しい業態の開発、もうからない店を閉めて新しい店に建て替えるスクラップ&ビルドの三つだ。中期の数値目標は出していない。
この88店は、ほぼすべてが直営だ。加盟店から料金を取る形は持たないので、店の数と1店の売上がそのまま会社の売上になる。店の多くは借りた建物で、毎月の家賃が固定の費用として残る。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは弱い。関西で長く続く定食店という知名度はあるが、値段を自分で決める力は乏しい。
定食の競争相手は多い。大戸屋、やよい軒、松屋の定食、すき家、さらにコンビニの弁当とスーパーの総菜まで、客は近くの店と値段で比べる。今期は米が高くなっても、それを値段に回しきれず、利益が消えた。
資本効率は低い。過去10年のROEの中央値は2%ほどで、コロナの3年は大きな赤字だった。売上は10年前の130億円から96億円に縮んだ。
カフェテリアの形は、選ぶ楽しさがある一方で、料理を並べておく分の廃棄と人手がかかる。人件費が上がる時代には不利な形だ。
経営の資本の使い方も、目立った手を打っていない。現金は積み上がったまま、配当は年0.16億円だけで、自社株買いも無い。
強みを挙げるなら、関西の郊外の生活道路沿いに店を持ち、地元の常連を抱えている点だ。ただ、その常連も高齢化で少しずつ減っていく。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
外食の中で、定食の店は値上げが難しい業態だ。毎日の昼と夜の食事として選ばれるので、客は値段に敏感だ。
費用の面では、逆風が重なる。いちばん効くのは米だ。米の値段はここ2年で大きく上がり、今も高止まりしている。人件費は最低賃金とともに年3%以上で上がり、パートの確保も難しい。電気とガスも高い。
大手は、券売機やセルフの注文、配膳のロボットで人手を減らし、仕入れの規模で原価を下げる。88店の会社には、その規模が無い。
国内の外食の量は、人口とともに少しずつ細る。関西と中部の郊外の店は、高齢化で夜の客が減りやすい。一方、一人で食べる客と、安く早い食事を求める客は増える。街かど屋の小さな店は、その流れに合う。
10年の中立では、店の数は少し減り、1店の売上は物価にやや遅れて上がる、と筆者は見る。利益率は、米の値段と人手の確保でほぼ決まる。
値上げの通り方も、業態で差が出る。牛丼やうどんの大手は、値上げの後も客が戻った。定食の小さなチェーンは、上げた分だけ客が離れやすい。ライフフーズの今期の不振は、その差がそのまま出たものだと筆者は見る。
資本政策と M&A
還元は、配当と株主優待の二本立てだ。配当の総額は年0.16億円ほど。今期は業績の下方修正とともに未定になった。
株主優待は、2月と8月に100株から自社の食事券かジェフグルメカードを選べる形だ。費用の開示は無いが、年0.1億円前後と推定し、10年で約1億円を還元に足した。
借金はほぼ無く、手元の現金は18億円ある。ただ、仕入れと人件費の支払いに使う運転資金と、6億円の退職給付の約束を引くと、自由になる現金は5億円ほどだ。創業家の持分は相続で引き継がれた。現金を株主に戻す力は弱いとみる。
店の多くは借りた建物で、家賃は毎年必ず払う約束だ。2028/02期からは、借りた店の約束が貸借対照表に載る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強気の見方は、今の不振は米の値段の山による一時のものだと考える。
2025/02期には、営業利益率3.5%、純利益4億円を出した。米の値段が落ち着けば、そこに戻れる。値上げも少しずつ通っており、客は定食の値段の上昇に慣れてきた。
街かど屋の小さな店は、生活道路沿いの小さな商圏で出せる。投資が軽く、券売機で人手も少ない。一人で手早く食べる客は増えており、この形は時代に合う。会社はここに出店を寄せる。
財務も堅い。借金はほぼ無く、現金は18億円ある。赤字の年が数年続いても、会社がつぶれる心配は小さい。手元の現金は金利の上昇で利息を生む。
さらに、創業家の持分は相続で引き継がれたばかりだ。店の網と現金をまとめて買いたい会社が出てくれば、株主の取り分は事業の稼ぎと別に決まる。
関西の常連客は根強く、優待で株を持つ個人も客として店を支える。
10年後も、人は安くて早い和食の昼ご飯を食べる。その需要は消えない。
慎重な見方
慎重な見方は、利益の出ない構造が12年続いている事実を突く。
営業利益率が4%を超えた年は、過去12年で一度も無い。売上は10年前の130億円から96億円に縮んだ。コロナの3年で自己資本は4割減った。2025/02期の好調も、翌年には営業利益が7割減で消えた。
定食は値上げが最も難しい業態の一つだ。大戸屋、やよい軒、松屋、コンビニの弁当と、客は値段で比べる。米の値段が上がれば利益が消え、値上げすれば客が減る。
カフェテリアの形は、料理を並べる手間と廃棄が重い。人件費が年3%以上で上がる時代に、この形は不利だ。
現金は厚く見えるが、退職金の約束6億円と運転資金を引けば、自由になるのは5億円ほどだ。それも10年以上、株主にほとんど戻っていない。
今の時価総額は純資産の約3倍で、利益の出ない会社の値段ではない。優待目当ての個人の買いが支えている。
今期は中間の利益が予想の半分を下回り、配当まで未定になった。この現実は重い。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は、2025/02期の利益と街かど屋の可能性を見ている。だが、その利益は1年で消え、12年間の実績は慎重な見方を支える。値決めの弱さは構造で、米の値段だけの問題ではない。
そこで確率は慎重な側に寄せた。強気は7%、中立はわずかに利益が出る姿とし、悲観側の二つで35%を置いた。
中立の筋書きでも、ためた利益が資本コストを下回る稼ぎしか生まない点は変わらない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 645 円20 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 81 円3 億円)。 今の値に割り戻すと 332 円10 億円、今との差 −79.1%、 期待の年率 −7.5%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,116 円66 億円 | 239 円7 億円 | +48.3% | +4.0% | 165 円5 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,301 円40 億円 | 149 円5 億円 | −8.7% | −0.9% | 290 円9 億円 |
| 中立 | 38% | 507 円16 億円 | 71 円2 億円 | −63.6% | −9.6% | 220 円7 億円 |
| やや悲観 | 23% | 165 円5 億円 | 24 円1 億円 | −88.1% | −19.2% | 43 円1 億円 |
| 悲観 | 12% | 55 円2 億円 | 16 円1 億円 | −95.5% | −26.7% | 9 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 645 円20 億円 | 81 円3 億円 | −54.3% | −7.5% | 726 円22 億円 |
今の株価時価総額 1,588 円49 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 街かど屋が広がり、値上げも通る 利益 4 億円 · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 2,116 円66 億円
街かど屋の小さな店が、生活道路沿いと小さな商圏で当たる。店は95に増える。一人で手早く食べる客が増え、券売機とセルフの形で人手も少なくて済む。
米の値段が落ち着き、値上げが客に受け入れられる。1店の売上は10年で4割近く上がり、物価を上回る。
営業利益率は4%に乗り、営業利益は約5.7億円になる。手元の現金の利息も入り、純利益は約3.9億円。ROEは12%ほどで、資本コストを上回る。配当は利益の3割まで増え、優待も続く。
関西の定食チェーンとして、規模は小さいが利益の出る会社に戻る姿だ。
強気の筋書きでも、店の数は10年で1割増える程度だ。大きく化けるのではなく、利益の出る小さな会社に戻る姿にとどまる。
- 和食レストラン(ザめしや・街かど屋・讃岐製麺ほか):数量 95.0(店の数(店。期末))× 価格 15,078(1店あたり売上(万円))→ 売上 143 億円・営業利益 6 億円。95店、1店の売上+38%、利益率4%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.3% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)4 億円。全体の PER 15.04 倍、時価総額 61 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:営業利益率4%は2007/02期の6%以来届いていない水準で、米の値段が落ち着き、値上げと出店がそろう必要がある。7%に抑えた。
やや楽観 20% スクラップ&ビルドが効き、利益率3% 利益 3 億円 · PER 13.7 倍 · 株価時価総額 1,301 円40 億円
もうからない店を閉め、街かど屋に建て替える手が少しずつ効く。店は85とほぼ横ばいだが、1店の売上は10年で3割強上がる。
米と人件費の上昇は、値上げと仕入れの見直しでおおむね吸収する。営業利益率は3%で、営業利益は約3.7億円になる。純利益は約2.5億円。ROEは9%前後で、資本コストにほぼ並ぶ。
配当は利益の2〜3割で続き、優待も保つ。現金は会社の中に積み上がり、自己資本は28億円ほどに増える。会社は小さいまま、利益の出る形に落ち着く。
手元の現金は利息を生むが、使い道が無いまま会社にとどまる。株主の取り分は、配当と優待の分だけ増える。
- 和食レストラン(ザめしや・街かど屋・讃岐製麺ほか):数量 85.0(店の数(店。期末))× 価格 14,422(1店あたり売上(万円))→ 売上 123 億円・営業利益 4 億円。85店、1店の売上+32%、利益率3%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.0% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)4 億円。全体の PER 13.66 倍、時価総額 37 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2025/02期に営業利益率3.5%を出した実績があり、米の値段が落ち着けば戻れる。ただ10年保つのは簡単ではなく2割に置いた。
中立 38% 店は少し減り、利益率は1%台 利益 1 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 507 円16 億円
店は閉店と出店を繰り返し、80に減る。1店の売上は10年で25%上がり、物価にやや届かない。定食の客は値段に敏感で、上げきれない。
米、人件費、家賃は物価で上がる。値上げとの差はほとんど埋まらず、営業利益率は1.5%前後にとどまる。営業利益は約1.6億円。手元の現金の利息が少し足され、純利益は約1億円になる。閉店の損が毎年のように出る。
配当は今の額で続け、優待も保つ。自己資本は10年で23億円ほどに増えるが、ROEは5%弱で資本コストの半分ほどだ。事業は続くが、株主の価値はほとんど増えない。
手元の現金は2%で利息を生み、それが純利益の下支えになる。逆に言えば、本業の店はほとんど稼いでいない。
- 和食レストラン(ザめしや・街かど屋・讃岐製麺ほか):数量 80.0(店の数(店。期末))× 価格 13,658(1店あたり売上(万円))→ 売上 109 億円・営業利益 2 億円。80店、1店の売上+25%、利益率1.5%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.8% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)4 億円。全体の PER 11.43 倍、時価総額 14 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:米と人件費の上昇を値上げで追いかける形が続き、利益はわずかに出る程度。過去12年の平均に近い姿で、いちばん起こりやすいとみて4割弱に置いた。
やや悲観 23% 米高と人手不足で赤字が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 165 円5 億円
米の値段が高いまま下がらず、人件費も上がり続ける。値上げすれば客が減り、据え置けば利益が消える。
店は70に減り、1店の売上も物価に遅れる。家賃と人件費は売上が落ちても残り、営業損益は赤字になる。閉店と減損の損も重なり、毎年の最終損益は1億円ほどの赤字になる。
配当は止まり、優待も縮める。手元の現金は赤字の穴埋めと退職金の支払いで減っていく。会社は存続するが、自己資本は13億円ほどに細る。
もうからない店を閉め、街かど屋に切り替えても、閉店の費用が先に出る。立て直しには長い時間がかかる。
株主優待の食事券も、続く見込みは半分以下になる。
- 和食レストラン(ザめしや・街かど屋・讃岐製麺ほか):数量 70.0(店の数(店。期末))× 価格 13,111(1店あたり売上(万円))→ 売上 92 億円・営業利益 −1 億円。70店、1店の売上+20%、赤字
倍率:赤字が続き、稼ぐ力では測れない。現金から運転資金と退職給付の約束を引いた余りと、店の網を買う相手が付く分を見て、今の自己資本17億円の0.3倍。
確率:今期は中間の実績が予想の半分を下回り、通期は最終赤字の見込みに変わった。コロナ後も赤字の年が多く、2割強に置いた。
悲観 12% 定食の店が客を失い、身を縮める 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 55 円2 億円
構造的に負ける筋書きだ。大手の定食チェーンと、コンビニやスーパーの安い弁当に客を取られる。カフェテリアの形は人手と廃棄の費用が重く、時代に合わなくなる。
店は55に減り、1店の売上は物価に大きく遅れる。家賃と人件費が残り、営業損益は大きな赤字になる。閉店の費用と減損が重なり、自己資本はほぼ消える。
手元の現金は赤字と退職金の支払いで細り、配当も優待も止まる。残る価値は、店の網とブランドを買う相手が付く分だけだ。
退職金の約束6億円は、店を閉めても消えない。現金が細るほど、その重みは増していく。
株主優待の食事券も、続く見込みは半分以下になる。
- 和食レストラン(ザめしや・街かど屋・讃岐製麺ほか):数量 55.0(店の数(店。期末))× 価格 12,019(1店あたり売上(万円))→ 売上 66 億円・営業利益 −3 億円。55店、赤字
倍率:赤字が続き、自己資本は損失でほぼ消える。売れる資産から負債を引いた残りだけを見て、今の自己資本17億円の0.1倍。
確率:コロナの3年で自己資本は4割減った。売上の10年の縮小と業態の古さから、構造的に負ける道は現実にある。1割強に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
和食レストラン(ザめしや・街かど屋・讃岐製麺ほか)
関西・中部・岡山で定食とうどんの店を直営で営む。単一のセグメント。
| 数量店の数(店。期末) | 価格1店あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 88.0 | 10,926 | 96 | 1 |
| 10 年後 中立 | 80.0 | 13,658 | 109 | 2 |
取り方:2026/02期末の88店は有報の業態別の開示。売上96.1億円を88店で割って1店あたり約1.09億円。営業利益は全社の0.87億円で、本社費を含む。
リスクと懸念
米の値段
定食は米の比率が高い。米の値段はここ2年で大きく上がり、今期の利益を消した。値上げで回しきれなければ、利益はすぐに赤字に変わる。
人件費と人手
店はパートの手で回る。最低賃金は年3%以上で上がり、人も集まりにくい。カフェテリアの形は料理を並べる手間がかかり、人件費の上昇に弱い。
家賃の固定の約束
店の多くは借りた建物だ。家賃は売上が落ちても下がらない。客が減る年は、家賃と人件費が残って赤字が大きくなる。2028/02期から借りた店の約束が貸借対照表に載る。
仕入先への依存
仕入れの4割をケイ低温フーズ1社に頼る。この会社との取引の条件が変われば、原価と品ぞろえにすぐ響く。
業態の古さ
カフェテリアの定食店は、選ぶ楽しさが売りだが、廃棄と人手の費用が重い。コンビニの弁当やセルフの店に客が流れれば、主力の業態ごと細る。
今後の分かれ目
- 米の値段が下がり、営業利益率が2期続けて3%を超えた
- 値決めの弱さが原価の山のせいだったとわかる。やや強気の筋書きの確率を上げる。
- 街かど屋の出店が年5店以上のペースに乗った
- 小さな店で数を伸ばす形が回り始めた合図だ。強気の筋書きに近づく。
- 最終赤字が2期続き、配当が止まった
- 米高と人手不足を吸収できない構造が見えた。慎重な筋書きの確率を上げる。
- 創業家の持分が売りに出た、または買収の提案が出た
- 店の網と現金をまとめて買う相手が出れば、株主の取り分は事業の稼ぎと別に決まる。
- 株主優待の縮小や廃止が発表された
- 事業の価値は変わらないが、優待目当ての株主の売りで株価は下がりやすい。
見ておくもの
- 既存店の売上と客数
- 米の仕入れの値段と原価率
- 街かど屋の出店と閉店の数
- 配当の再開の有無
- 退職給付と現金の残高
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。中立は事業のROEが5%ほどで資本コスト8.75%に届かず、PERの上限は1÷kの約11.4倍。その約7割の8倍に置いた。今の株価やPER、PBR、同業の値付けは倍率の根拠に使っていない。今の時価総額は純資産の約3倍だが、それに合わせていない。新リース会計基準で2028/02期から店の賃借が貸借対照表に載るが、10年後の数字は家賃を費用に入れた今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→15.04 倍・やや楽観 PER 9.5→13.66 倍・中立 PER 8→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にquality +1.25%を足した8.75%。同じ外食の小さなチェーンと同じ物差しで、純現金の分だけ借金を0にした。