結論
テーオーホールディングスは、函館を地盤に、ホームセンター、自動車販売、木材、建設、賃貸ビルを営む持株会社だ。売上は235億円だが、営業利益は2億円しかない。筆者の結論は「割高」である。最大の理由は、純有利子負債が94億円もあり、自己資本比率が2%まで細っていることだ。
稼ぐ力は弱い。前の中期計画で目標にした営業利益4億円に対し、実績は2億円だった。新しい計画は2029年5月期に営業利益3.8億円を掲げるが、これが実現しても、借り換えで金利が上がれば、利払いが営業利益の大半を食う。
つまり、事業が多少よくなっても、株主に残る利益はほとんど増えない。一方で、財務の下振れは大きい。取引銀行が支援を絞れば、株主の持ち分はほぼ消える。確率で重みを付けた本質価値は、今の時価総額を大きく下回る。
スタンダード市場の流通株式時価総額の基準(10億円)も満たせておらず、2027年5月末までの改善期間にある。札幌証券取引所への重複上場は続くが、東証の上場を保てるかも論点になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、買う理由が見つからない会社だ。事業の堀は薄く、利益は少なく、財務に余裕がない。しかも、株主が資本の使い方を決められない。安く見える価格が、安全域を示しているわけではない。
資産は確かにある。土地と賃貸物件の帳簿価額は合わせて50億円を超える。ただし、これを売っても、約100億円の有利子負債の大半は担保付きで、株主に回る額は小さい。資産の価値を足して割安と言える水準ではない。
筆者がもっとも気にするのは、金利が上がる10年を、自己資本比率2%の体力で通れるかだ。事業がいくら改善しても、利払いの増加が上回る。逆に言えば、借金を大きく減らす道筋が見えれば、評価は変わる。いまはその道筋が計画に書かれていない。
経営への評価も保留する。不採算事業の撤退を進めた点は評価できるが、その結果として規模が縮み、事業の足腰は弱くなった。株主に報いる前に、取引銀行への依存度を下げることが先決だ。
何で稼ぐ会社か
事業は五つに分かれる。売上の最大は自動車関連(約87億円)で、スズキの新車・中古車の販売と車検・整備を、オホーツクスズキ販売などが手がける。次が流通(約80億円)で、ホームセンター「イエローグローブ」を道内に約28店展開する。残りは木材(約30億円)、建設(約30億円)、不動産賃貸(外部売上2.4億円)だ。
利益の出方には偏りがある。不動産賃貸は売上が小さいのに、営業利益の半分近くを稼ぐ。ホームセンターと建設がそれに続き、木材と自動車は利益がほぼゼロだ。グループとして見ると、稼ぎ頭は目立たず、古い賃貸物件と店舗が利益を支えている構図になる。
事業の整理は進んだ。2021年から2024年にかけて、デパート本館の閉店、スポーツクラブやケアサービスの売却、住宅事業の縮小を実行した。損益は黒字に戻ったが、売上は2015年の約390億円から235億円まで縮み、景気の波に弱くなった。ホームセンター子会社には、同業のDCMが2021年に約19%を出資している。
グループは10社、全62拠点。本社は函館の港町にあり、子会社のテーオーリテイリング(ホームセンター)、テーオーデパート(家具・家電とクレジット)、テーオー総合サービス、テーオーフォレスト(木材)などが各事業を担う。持株会社の役割は経営指導と資金の管理で、グループ全体の資金繰りはここで決まる。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、函館・道南での地域密着と、駅前や幹線沿いに持つ土地・建物だ。土地は約30億円、賃貸用資産は約23億円で、安定した賃料を生む。ここは数少ない確かな資産だ。
弱みははっきりしている。第一に、どの事業も道南・道内の人口減少に縛られる。木材は戸建て着工の減少、自動車は新車販売の減少、ホームセンターは人口と競合(コメリ、DCM、カインズ)の板挟みにある。第二に、値決め力がない。物価高の中で値上げが客離れに直結しやすい。
資本の使い方にも課題がある。自己株式が発行済みの約28%(251万株)あり、これは過去に積んだ自己資本を大きく削った結果だ。いま必要なのは自社株買いではなく借金の返済だが、稼ぐ力が弱く、返済の原資は資産の売却に頼ることになる。ROEは過去10年の中央値でマイナス13%と、資本効率は低い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
地方の多角経営は、商圏の人口が減るほど苦しくなる。道南の人口は10年で1割以上減る見通しで、数量の天井は低い。物価が年3%上がる世界では、売上(名目)は増えるが、人件費と仕入れも同じだけ上がり、利益率は上がらない。
ホームセンターは、道内でコメリやDCM、カインズ(非上場)が出店を競い、価格比較にもさらされる。業界は1兆円規模を目指す再編が続き、共同仕入れで差がつく。テーオーリテイリングはDCMの出資を受けて仕入れの連携を進めるが、規模では劣る。
自動車販売は、新車の販売台数が減る中で、車検・整備に収益を寄せる流れだ。電気自動車の広がりで整備の需要が減る懸念もある。木材は戸建て着工の減少と資材高が重なる。建設は民間の大型物件の有無で年ごとに振れる。どの事業にも、自社だけで需要を取り戻せる材料が乏しい。
賃貸ビルの稼働率は堅調だが、建物は古く、更新の投資は建築費の上昇で膨らむ。減価償却は取得時の値段のまま増えない一方、建て替えや大規模修繕の費用は物価と建築費の上昇を受けるため、会計上の利益は見かけよりよく見え、現金はそれ以上に細る。この落差が、地方の古い資産を持つ会社の弱みになる。
資本政策と M&A
還元は事実上止まっている。2026年5月期は無配で、2027年5月期の配当予想は小さい額にとどまる。株主優待はない。自己株式を28%保有し、株主資本は薄い。
M&Aは縮小の方向が続いてきた。事業の撤退と売却で規模を縮め、2021年にはホームセンター子会社へDCMの出資を受けた。新しい中期計画は、既存事業の増強を軸に、成長投資として新規のM&Aも検討するとしているが、数値目標には入っていない。借金が重く、買収に回せる余力はない。
店舗の一部は賃借で、新リース会計基準(2028年5月期から適用の見込み)の下で貸借対照表に載ると、借金に似た固定の約束として見えるようになる。上場面では、流通株式時価総額が基準に届かず、2027年5月末までに満たせなければ東証の上場廃止手続きに入る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
中計は、不採算事業の整理を終えて、既存事業の稼ぐ力を高める段階に入ったと言う。第1四半期は営業利益が前年の2.4倍の1.2億円、純利益も黒字に戻った。建設は大型の民間物件の完工で営業利益が0.7億円と大きく伸び、賃貸も堅調だ。
ホームセンターは、DCMとの連携でプライベートブランドと仕入れを共同化すれば、粗利率を上げられる。木材と自動車は、もう悪くなりようがないところまで来ており、整備と車検で底堅い。
決定的なのは財務だ。販売用不動産11.6億円や使っていない土地を売れば、借金を数十億円減らせる。借金が60億円台に下がれば、利払いは営業利益の半分以下に収まり、純利益は数億円規模に乗る。時価総額は14億円と小さく、利益が2億円出るだけで見え方が一変する。
道南という限られた商圏では、競合が出店余力を失い、既存店の優位が保たれる。人口が減る中でも、シニア向けの家具・家電・ホームセンター用品は底堅い。
慎重な見方
営業利益2億円に対し、すでに年2億円を超える利払いがある。借り換えで金利が上がると、営業利益のほぼ全額が利払いに消える。物価の上昇で売上が名目で増えても、人件費と仕入れも同じだけ上がり、利益率は上がらない。
前の中計は営業利益4億円を目標にして2億円で終わった。新計画の3.8億円も、第1四半期の建設の大型物件という一過性の要因で出ただけで、木材、流通、自動車はそろって減収減益だ。
資産を売れば借金は減るが、賃貸ビルを売れば同時に最も確かな収益源も失う。自己資本4億円に対して負債が170億円ある構造は、わずかな赤字で債務超過に近づく。上場維持基準の不適合も重なり、株式の流動性が失われるリスクもある。
新車販売台数の減少、木材の資材高、物価高による消費の冷え込みは、どれも自社では動かせない外部要因だ。スズキの新車の供給や価格も、メーカー任せになる。
ホームセンターの2027年5月期第1四半期は、売上が前年比7%減、営業利益も25%減だった。会社が主力と位置づける事業の足元が弱く、中計の利益改善は他の事業に頼っている。
どちらに重みを置いたか
財務の下振れの大きさが、事業改善の上振れより重い。やや悲観と悲観を合わせた確率を5割弱に寄せた。
中立でも利払いの増加で純利益がほとんど残らず、楽観の筋書きでようやく今の時価総額を超える程度にとどまる。強気の見方は、借金を減らす具体的な行動が示されるまでは根拠が弱い。第1四半期の黒字転換は好材料だが、一過性の要因が大きい。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した株価時価総額 92 円6 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 9 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 41 円3 億円、今との差 −81.5%、 期待の年率 −7.5%(資本コスト 10.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 578 円37 億円 | 55 円4 億円 | +186.3% | +11.1% | 38 円2 億円 |
| やや楽観 | 12% | 276 円18 億円 | 31 円2 億円 | +39.0% | +3.4% | 37 円2 億円 |
| 中立 | 34% | 53 円3 億円 | 5 円0 億円 | −73.9% | −12.6% | 20 円1 億円 |
| やや悲観 | 28% | 17 円1 億円 | 0 円0 億円 | −92.2% | −22.5% | 5 円0 億円 |
| 悲観 | 20% | 8 円0 億円 | 0 円0 億円 | −96.5% | −28.6% | 2 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 92 円6 億円 | 9 円1 億円 | −54.4% | −7.5% | 101 円6 億円 |
今の株価時価総額 221 円14 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 楽観:函館の地盤を守りつつ、借金を半分近くまで減らして利益が残る 利益 2 億円 · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 578 円37 億円
10年後の売上は約300億円、営業利益は6億円台(利益率2%)まで伸びる。中計の「利益率1.5%」を超える筋書きで、流通のホームセンターが仕入れ共同化とプライベートブランドで粗利を上げ、建設が大型の民間物件を取り続けることが前提になる。
もう一つの条件は借金だ。販売用不動産や使っていない土地を売って有利子負債を60億円前後まで減らし、新しい金利で借り換えても利払いが2〜3億円に収まる。これができれば営業利益の大半が利払いに消える今の形から抜け出し、純利益が2億円台に乗る。
ホームセンターは、DCMの出資を生かして仕入れとプライベートブランドを共同化し、粗利率を1ポイント近く上げる。自動車は整備・車検の比率を高めて、新車の減少を補う。スタンダード市場の流通株式時価総額の基準(10億円)は、時価総額が戻ることで自然に満たされる。ただ、道南の人口は減り続けるため、数量の伸びは小さく、利益を押し上げるのは値上げの定着と費用の削減だ。同業のDCMが出資するテーオーリテイリングとの協業も追い風になるが、これは筆者の想定であり開示された計画ではない。
- 木材事業:数量 3.2(取扱木材(万m3))× 価格 11(1 m3 あたり売上(万円))→ 売上 34 億円・営業利益 1 億円。数量0.85倍・単価1.34倍・営業利益率1.5%
- 流通事業(ホームセンター・百貨店跡の家具家電):数量 4.6(来店客数(百万人))× 価格 2,278(客単価(円))→ 売上 104 億円・営業利益 2 億円。数量0.97倍・単価1.34倍・営業利益率2.2%
- 建設事業:数量 126(完工件数(件))× 価格 0.34(1件あたり完工高(億円))→ 売上 42 億円・営業利益 2 億円。数量1.05倍・単価1.34倍・営業利益率4.0%
- 不動産賃貸事業:数量 40.0(賃貸面積(千㎡))× 価格 7,800(年間賃料(円/㎡))→ 売上 3 億円・営業利益 2 億円。数量1.00倍・単価1.30倍・営業利益率68.0%
- 自動車関連事業:数量 3,915(取扱台数(台相当。新車・中古販売と整備を台数に換算))× 価格 268(1台相当あたり売上(万円))→ 売上 105 億円・営業利益 1 億円。数量0.90倍・単価1.34倍・営業利益率1.4%
- その他(住宅・損害保険代理店・持株会社):数量 660(案件数(件))× 価格 134(1件あたり売上(万円))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。数量1.10倍・単価1.34倍・営業利益率8.0%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 46.6% が k 10.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 28.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.3 倍。全体の PER 14.31 倍、時価総額 34 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の利益率1.5%を超え、しかも借金を大きく減らす二つが同時に要る。前の計画(営業利益4億円)を半分しか達成できなかった実績を踏まえ、低く置いた。
やや楽観 12% やや楽観:中計どおり利益率1.5%に近づくが、借金は減りきらない 利益 1 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 276 円18 億円
営業利益は5億円弱、利益率は1.7%で、中計の目標にほぼ届く。木材と自動車は縮む市場の中で収益を保ち、建設とホームセンターが利益を牽引する。
借金は資産の売却で80億円台まで減るが、新しい金利(国債3%に上乗せ)で借り換えるため、利払いは3億円台に増える。営業利益の増加の多くを利払いが食い、純利益は1億円台にとどまる。
配当は復活して小幅に増えるが、財務の立て直しが優先で、株主への還元は薄い。自己資本比率は10%台に戻るのが精いっぱいだ。
時価総額は、利益の伸びに合わせて今の水準を上回るが、借金の重さが残るため、倍率は高くならない。上場維持基準は、時価総額の回復でぎりぎり満たせるかどうかという水準になる。
- 木材事業:数量 3.0(取扱木材(万m3))× 価格 11(1 m3 あたり売上(万円))→ 売上 32 億円・営業利益 0 億円。数量0.80倍・単価1.34倍・営業利益率0.8%
- 流通事業(ホームセンター・百貨店跡の家具家電):数量 4.4(来店客数(百万人))× 価格 2,278(客単価(円))→ 売上 100 億円・営業利益 2 億円。数量0.93倍・単価1.34倍・営業利益率1.9%
- 建設事業:数量 120(完工件数(件))× 価格 0.34(1件あたり完工高(億円))→ 売上 40 億円・営業利益 1 億円。数量1.00倍・単価1.34倍・営業利益率3.5%
- 不動産賃貸事業:数量 38.8(賃貸面積(千㎡))× 価格 7,800(年間賃料(円/㎡))→ 売上 3 億円・営業利益 2 億円。数量0.97倍・単価1.30倍・営業利益率66.0%
- 自動車関連事業:数量 3,741(取扱台数(台相当。新車・中古販売と整備を台数に換算))× 価格 268(1台相当あたり売上(万円))→ 売上 100 億円・営業利益 1 億円。数量0.86倍・単価1.34倍・営業利益率1.1%
- その他(住宅・損害保険代理店・持株会社):数量 630(案件数(件))× 価格 134(1件あたり売上(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。数量1.05倍・単価1.34倍・営業利益率7.0%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 26.8% が k 10.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 18.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.0 倍。全体の PER 13.05 倍、時価総額 17 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の目標(2029/5期に営業利益3.8億円)は前の計画の達成実績から見て高めで、半分程度の確率で届く程度と見た。
中立 34% 中立:赤字は避けるが、利益は利払いの増加でほとんど残らない 利益 0 億円 · PER 11.3 倍 · 株価時価総額 53 円3 億円
10年後の売上は270億円、営業利益は3億円強(利益率1.2%)。前の計画で達成できなかった水準を、物価の上昇で名目の売上が増えることで少し上回る程度だ。数量は、木材と自動車が2割前後、ホームセンターが1割強減る。人口と新車販売の減少を、物価分の値上げで埋める構図になる。
一方、借金は新しい金利で借り換わる。有利子負債は販売用不動産の売却などで70億円台まで減らすが、金利は今の2%台前半から4%台に上がり、利払いは3億円前後に増える。営業利益から利払いと税・少数株主の取り分を引くと、純利益は0.3億円ほどしか残らない。
減価償却は年に約4.7億円あり、取得時の値段のまま増えない。ただ、店舗や賃貸物件の更新投資は建築費の上昇で膨らむため、償却を上回る分は借入か自己資本で賄うことになり、現金はほとんど増えない。配当は年数百万円の規模にとどまる。
- 木材事業:数量 2.9(取扱木材(万m3))× 価格 11(1 m3 あたり売上(万円))→ 売上 31 億円・営業利益 0 億円。数量0.78倍・単価1.34倍・営業利益率0.5%
- 流通事業(ホームセンター・百貨店跡の家具家電):数量 4.1(来店客数(百万人))× 価格 2,278(客単価(円))→ 売上 94 億円・営業利益 2 億円。数量0.88倍・単価1.34倍・営業利益率1.6%
- 建設事業:数量 114(完工件数(件))× 価格 0.34(1件あたり完工高(億円))→ 売上 38 億円・営業利益 1 億円。数量0.95倍・単価1.34倍・営業利益率3.2%
- 不動産賃貸事業:数量 38.0(賃貸面積(千㎡))× 価格 7,500(年間賃料(円/㎡))→ 売上 3 億円・営業利益 2 億円。数量0.95倍・単価1.25倍・営業利益率62.0%
- 自動車関連事業:数量 3,567(取扱台数(台相当。新車・中古販売と整備を台数に換算))× 価格 268(1台相当あたり売上(万円))→ 売上 96 億円・営業利益 1 億円。数量0.82倍・単価1.34倍・営業利益率0.9%
- その他(住宅・損害保険代理店・持株会社):数量 600(案件数(件))× 価格 134(1件あたり売上(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。数量1.00倍・単価1.34倍・営業利益率6.5%
倍率:事業の純利益 0 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.0% が k 10.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.3 倍。全体の PER 11.33 倍、時価総額 3 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:近年の実績(営業利益2億円前後、純利益はゼロ近辺)の延長に、物価の上昇と新しい金利への借り換えを重ねた。最も実績に近いので最も厚くした。
やや悲観 28% やや悲観:金利負担に耐えきれず、資産を売って規模を縮めて生き残る 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 17 円1 億円
金利の上昇に耐えきれず、取引銀行の主導で資産を売る。賃貸ビルや販売用不動産、使っていない土地を売って借金を40億円台まで減らし、赤字のホームセンターは閉店を進める。賃貸の収益は半分に減る。
売上は240億円弱に縮み、営業利益は1億円強にとどまる。利払いが営業利益と同じ規模のまま残るため、純利益は小さな赤字で、自己資本は薄いまま横ばいから微減になる。無配が続き、株主への還元はない。
上場は札幌証券取引所の本則市場に軸足を移す可能性もある。この筋書きでは、会社は存続するが、株主が受け取る価値は小さい。
- 木材事業:数量 2.6(取扱木材(万m3))× 価格 11(1 m3 あたり売上(万円))→ 売上 28 億円・営業利益 0 億円。数量0.70倍・単価1.34倍・営業利益率-0.3%
- 流通事業(ホームセンター・百貨店跡の家具家電):数量 3.7(来店客数(百万人))× 価格 2,278(客単価(円))→ 売上 84 億円・営業利益 1 億円。数量0.78倍・単価1.34倍・営業利益率1.0%
- 建設事業:数量 102(完工件数(件))× 価格 0.34(1件あたり完工高(億円))→ 売上 34 億円・営業利益 1 億円。数量0.85倍・単価1.34倍・営業利益率2.2%
- 不動産賃貸事業:数量 20.0(賃貸面積(千㎡))× 価格 7,200(年間賃料(円/㎡))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。数量0.50倍・単価1.20倍・営業利益率60.0%
- 自動車関連事業:数量 3,132(取扱台数(台相当。新車・中古販売と整備を台数に換算))× 価格 268(1台相当あたり売上(万円))→ 売上 84 億円・営業利益 0 億円。数量0.72倍・単価1.34倍・営業利益率0.4%
- その他(住宅・損害保険代理店・持株会社):数量 540(案件数(件))× 価格 134(1件あたり売上(万円))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。数量0.90倍・単価1.34倍・営業利益率5.0%
倍率:赤字で稼ぐ力から値段が付かないため、今の自己資本に掛ける形で置いた。ROE が k を下回るので、帳簿の自己資本の 3 割弱に当たる 0.29 倍にとどめ、中立の PBR より低い。EV÷営業利益は借金に比べて営業利益が小さく意味を持たず、稼ぐ力はほぼ利払いに消える。
確率:自己資本比率2%・営業利益が支払利息の1.1倍という体力で、金利が上がる10年を無傷で越えられる確率は高くない。縮小して生き残る筋書きを次に厚くした。
悲観 20% 悲観:債務の整理で株主の価値がほぼ消える 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 8 円0 億円
木材・自動車・流通が同時に落ち込み、売上は200億円前後に縮む。営業利益は赤字に転じ、新しい金利の利払いが重なって、毎年2億円台の純損失が出る。
取引銀行が追加の支援を断るか、債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)を求める。株式の希薄化か、事業の切り出しによる売却で、既存株主の持ち分価値はほとんど残らない。
スタンダード市場の流通株式時価総額の基準を満たせないまま、2027年12月の上場廃止の期限が来る可能性もある。札幌証券取引所には残れても、取引は細る。
売れる資産は担保に入っているものが多く、債務の整理後に株主へ残る額は小さい。ここでは帳簿の自己資本の一部(0.1倍強)を株主の取り分と置いた。
- 木材事業:数量 2.3(取扱木材(万m3))× 価格 11(1 m3 あたり売上(万円))→ 売上 24 億円・営業利益 0 億円。数量0.60倍・単価1.34倍・営業利益率-2.0%
- 流通事業(ホームセンター・百貨店跡の家具家電):数量 3.1(来店客数(百万人))× 価格 2,278(客単価(円))→ 売上 70 億円・営業利益 0 億円。数量0.65倍・単価1.34倍・営業利益率-0.5%
- 建設事業:数量 90.0(完工件数(件))× 価格 0.34(1件あたり完工高(億円))→ 売上 30 億円・営業利益 0 億円。数量0.75倍・単価1.34倍・営業利益率1.0%
- 不動産賃貸事業:数量 16.0(賃貸面積(千㎡))× 価格 7,200(年間賃料(円/㎡))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。数量0.40倍・単価1.20倍・営業利益率55.0%
- 自動車関連事業:数量 2,610(取扱台数(台相当。新車・中古販売と整備を台数に換算))× 価格 268(1台相当あたり売上(万円))→ 売上 70 億円・営業利益 −1 億円。数量0.60倍・単価1.34倍・営業利益率-1.0%
- その他(住宅・損害保険代理店・持株会社):数量 480(案件数(件))× 価格 134(1件あたり売上(万円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。数量0.80倍・単価1.34倍・営業利益率3.0%
倍率:稼ぐ力は赤字で、株主の取り分は債務の整理後に残る資産の分だけ。今の自己資本に 0.13 倍を掛け、純現金 + 売れる資産の税後より小さく置いた。
確率:新車販売の減少・木材の不振・地方消費の弱さが同時に重なり、銀行が支援を打ち切る確率。2010年代にも金融機関に支援を要請した経緯があり、5%よりは高く置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
木材事業
製材・建材の卸と販売。道南・道央の戸建て住宅向けが中心。
| 数量取扱木材(万m3) | 価格1 m3 あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 3.8 | 8.00 | 30 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2.9 | 11 | 31 | 0 |
取り方:取扱量は売上30億円を1m3あたり8万円(製材品の平均的な水準)で割った推定。開示は金額のみ。
流通事業(ホームセンター・百貨店跡の家具家電)
ホームセンター「イエローグローブ」(約28店)を運営する子会社が中心。
| 数量来店客数(百万人) | 価格客単価(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 4.7 | 1,700 | 80 | 1 |
| 10 年後 中立 | 4.1 | 2,278 | 94 | 2 |
取り方:売上80億円を、ホームセンターの客単価(推定)で割った客数。店舗数・客数は開示が限られ、イエローグローブ28店の売上73.8億円(2025/05期)から逆算。
建設事業
民間の大型建築・住宅の請負。完工高が大型物件の有無で大きく振れる。
| 数量完工件数(件) | 価格1件あたり完工高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 120 | 0.25 | 30 | 1 |
| 10 年後 中立 | 114 | 0.34 | 38 | 1 |
取り方:売上30億円を1件0.25億円で割った推定の件数。第1四半期は大型物件の完工で売上が2.4倍に跳ねたが、通期は平均的な年を置いた。
不動産賃貸事業
自社保有の賃貸ビル・商業施設の賃料。外部売上は小さいが利益率が高い。
| 数量賃貸面積(千㎡) | 価格年間賃料(円/㎡) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 40.0 | 6,000 | 2 | 2 |
| 10 年後 中立 | 38.0 | 7,500 | 3 | 2 |
取り方:外部売上2.4億円を、賃料の水準(推定)で割った面積。第1四半期の外部売上0.59億円・営業利益0.39億円から年換算。
自動車関連事業
スズキなどの新車・中古車の販売と車検・整備。オホーツクスズキ販売など。
| 数量取扱台数(台相当。新車・中古販売と整備を台数に換算) | 価格1台相当あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 4,350 | 200 | 87 | 1 |
| 10 年後 中立 | 3,567 | 268 | 96 | 1 |
取り方:売上87億円を1台相当200万円で割った推定。新車販売台数の減少が数量の重しで、整備・車検が下支え。
その他(住宅・損害保険代理店・持株会社)
住宅事業の残り、保険代理店、グループの経営指導。
| 数量案件数(件) | 価格1件あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 600 | 100 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 600 | 134 | 8 | 1 |
取り方:住宅・保険代理店の売上約6億円を1件100万円で割った推定。
リスクと懸念
借り換えの金利上昇
有利子負債は約100億円。今の利払いは年2億円台だが、新しい金利は国債3%に上乗せされる。営業利益が2億円しかないため、借り換えが進むほど純利益が消える。自己資本比率2%では、銀行の姿勢が会社の存続を左右する。
上場維持基準の不適合
2026年5月末で流通株式時価総額が7.9億円と基準の10億円に届かない。2027年5月末までに適合できなければ、東証スタンダードは上場廃止になる。札幌証券取引所への重複上場は続く見込みだが、流動性は落ちる。
商圏の人口減少
木材・自動車・ホームセンターのいずれも函館・道南の人口に連動する。数量は10年で1〜2割減る前提でも、物価分の値上げが通らなければ利益は縮む。
ホームセンターの競争
コメリ、DCM、カインズなど大手が道内に出店する。ネット通販との価格比較もあり、粗利率の改善は簡単でない。第1四半期も天候不順で季節商品が伸びなかった。
自動車の新車販売の減少
新車販売台数が減る中で、電気自動車の普及による整備需要の減少も重なる。スズキ系の販売会社は車検・整備への依存が高まり、利益率は1%を割る。
建設の収益の振れ
建設は民間の大型物件の完工で利益が大きく振れる。第1四半期の好調は一過性で、通期の平均的な利益水準は営業利益1億円前後と見るべきだ。
今後の分かれ目
- 有利子負債が60億円台まで減る具体的な資産売却が公表されたら
- 楽観・やや楽観の確率を上げる。利払いの重しが外れ、純利益が数億円規模に乗る道が見える。
- 取引銀行が借り換えを渋る、または債務の株式化の協議入りが報じられたら
- 悲観の確率を大きく上げる。既存株主の持ち分は希薄化か、ほぼ消える。
- 2027年5月末の流通株式時価総額の基準を満たせない見通しが強まったら
- 東証の上場廃止手続き(監理銘柄指定)に進む。札幌証券取引所だけに残る場合、売買が細る。
- DCMがテーオーリテイリングへの出資を引き上げる、または持株会社への出資に切り替えたら
- 資本の再編が進む合図。借金の返済原資ができるなら好材料、経営への関与が強まる点は注意。
- ホームセンターの既存店売上が前年を上回り、粗利率の改善が通期で続いたら
- 流通の営業利益が2億円台に乗る道が見える。中立の利益率の置き方(1.6%)が妥当になる。
見ておくもの
- 有利子負債の残高と平均金利(四半期ごと)
- 資産売却の公表と売却額
- 流通株式時価総額と改善期間の進捗(2027年5月末)
- ホームセンターの既存店売上と粗利率
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から決めた。ROE が資本コスト k 10.0% 以下の中立は正当化 PER の上限 1÷k=10 倍の 8 割、やや悲観・悲観は赤字なので今の自己資本に掛ける PBR で置いた。今の株価や過去の評価は使っていない。現在の株価は純利益がほぼゼロの会社に付いた値で、この水準は事業回復と借金の削減をほぼ織り込んでおり、筋書きの確率で割り引いた。新リース会計基準で10年後の貸借対照表は形が変わる(家賃を営業費用に入れた今の形でそろえて置いた)。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9→14.31 倍・やや楽観 PER 8.8→13.05 倍・中立 PER 10→11.33 倍)。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に上の2.5%を足した。自己資本比率2%の危うさは筋書きの確率(悲観と債務整理)で表し、上乗せ(distress)には重ねない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 10.00% → 10.25%。