結論
メディカル一光グループは、三重県を中心に約 98 の調剤薬局を営み、医薬品卸と介護施設を足した会社だ。売上は 550 億円、営業利益は 18 億円。
筆者の結論は「利益は物価に勝てず、10 年の本質価値は今の時価総額と同じか少し下」である。最大の理由は、収益の大半が国の決める調剤報酬と薬価に縛られることだ。人件費が物価と同じ 3% で上がっても、売値は国が決める。利益率は薄く、時間がたつほど削られやすい。
救いは財務だ。現預金と有価証券を合わせると約 94 億円で、有利子負債の 104 億円とほぼ釣り合う。自己資本比率は 4 割あり、配当性向は 35% 以上を掲げる。利益に対して株価は低く、株主への還元も続く。
成長の柱は買収だが、卸と介護は利益率が 1% 前後と薄い。買う値段が高ければ、規模だけ増えて価値は増えない。筆者は、買収が当たるかどうかを見極めることが投資判断の分かれ目と見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「安く買えれば悪くない」という位置づけだ。強い堀はなく、利益率も薄い。それでも、事業が潰れる心配は小さく、財務が堅く、株主への還元も続く。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、純利益 13 億円に近い。ただし薬局の改装や新店、介護施設の設備にお金が出ていくため、手元に残る現金はそれより少ない。それでも時価総額 105 億円は利益の約 8 倍で、10 年先の姿が今と同じなら、十分に安い。
問題は、10 年先も今と同じとは限らないことだ。人件費が物価と同じ 3% で上がり、国の報酬が追いつかなければ、利益は削られる。筆者は、利益が金額で横ばいでも実質で目減りする姿を基本に置いた。その場合でも、本質価値は今の時価総額とほぼ同じになる。安全域は大きくない。
経営の資本配分は、これまで堅実だ。買収は小さく、借金に頼りすぎない。買収額が膨らみ始めたときが、見直しの合図になる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は調剤薬局だ。病院の近くに店を構え、医師の処方箋に従って薬を調剤する。三重県に 46 店、ほかは東海と関西に散らばる。売上は 263 億円、営業利益は 14 億円で、グループ利益の約 8 割を占める。
医薬品卸は 2025 年に高知の第一薬品とサイト薬品を加え、23 拠点になった。病院や薬局に薬を届ける事業で、売上は 194 億円と大きいが、営業利益は 3 億円にとどまる。薬価の引き下げで卸の粗利が削られ、2 年ほど前から原価率が上がっている。
ヘルスケアは有料老人ホームなどの介護だ。桑名のハーモニーハウスを開き、茨城のサンライズヴィラ土浦(137 床)を買った。売上は 90 億円、利益はまだ薄いが、開設時の費用が済めば 2 億円ほどは出る。介護事業は今後の高齢化で需要が確実に伸びるため、会社が力を入れる成長分野でもある。
どの事業も、お金を払うのは国の保険や介護保険だ。売値を自分で決められないことが、この会社の最大の特徴であり、弱点でもある。店や拠点は三重県への集中が高く、地域の人口の動きに収益が左右される。
優良さと弱いところ
優良さは、中の上である。調剤薬局は地域に根づいた免許事業で、潰れにくい。薬局は処方箋がないと商売が成り立たないため、病院の近くに店を持つこと自体が参入の壁になる。
ただ、堀と呼べるほど強くはない。売値は国が決め、薬剤師の確保で大手と競う。ドラッグストア併設の大型薬局が増えれば、小さなチェーンは不利になる。10 年のうちに報酬が削られる局面は、何度もあるだろう。
資本効率は低い。過去 10 年の ROE の中央値は約 8% で、資本コストを少し超える程度。直近は 8% で、買収ののれんが積み上がる中、ROE が上がる余地は大きくない。
財務は堅い。自己資本比率は 4 割、利払いの 18 倍の営業利益がある。ただし店舗や施設を借りて営むため、家賃という固定の約束が別にある。借金が少なく見えても、固定費の重さは見た目より大きい。
経営は買収に前向きで、実績もある。2025 年だけで 3 件を取り込んだ。統合がうまくいくかは、これから数年の決算が示す。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
調剤薬局の市場は約 8 兆円で、処方箋枚数は人口減でほぼ横ばいか減少に向かう。高齢化で一人あたりの受診は増えるが、働き手が減り、薬剤師の取り合いが起きる。薬局の数は全国に約 6 万店あり、飽和している。
収益を決めるのは国の改定だ。調剤報酬は 2 年に一度、薬価は毎年のように見直される。国は医療費の抑制を狙い、大手チェーンの利益が出すぎていれば報酬を削る。逆に人件費の高騰には対応が遅れる。物価が年 3% で上がる世界では、報酬が追いつくかが最大の分かれ目になる。
競争は二極化している。ウエルシアやアインのような全国チェーンと、地域で門前を固める中堅が併存する。大手は仕入れ力と店舗網で優位だが、薬剤師の採用は大手でも苦しい。小さなチェーンは、買われる側に回る場合もある。
医薬品卸は、アルフレッサやメディパルのような大手が支配する。中堅は地域の特徴で生き残るが、利益率は低い。介護は需要が確実に伸びる一方、人手不足が最大の制約だ。三つの事業が同じ国の財布に頼るため、分散の効果は見かけほど大きくない。
資本政策と M&A
還元は配当性向 35% 以上の方針で、2026 年 2 月期は 36% 前後だった。自社株買いはしていない。年間の配当は約 4.5 億円で、10 年で 50 億円ほどになる見通しだ。
中期経営計画は 2028 年 2 月期までで、M&A を成長戦略の柱に置く。実際に 2025 年は卸 2 社と介護 1 社を買った。買う先は小さく、買収額も大きくはない。
財務は堅い。現預金と有価証券の合計は 94 億円、有利子負債は 104 億円で、実質の借金は約 10 億円。ただし店舗の家賃(新リース会計基準で 2028 年 2 月期から貸借対照表に載る)は別にある。使い道のない余った現金はなく、買収と設備にまわる分が大半と見る。
株主優待の費用は小さく、評価には入れていない。持ち合い株や遊休不動産も目立たない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
今の株価は利益の 8 倍にすぎない。純現金に近い財務で、配当性向 35% 以上の方針があり、10 年で約 50 億円が株主に戻る。薬局は免許事業で、高齢化とともに処方箋の総数は底堅い。
M&A が加われば、規模が広がる。2025 年に卸 2 社と介護 1 社を買い、統合が進めば仕入れと物流の共同化で利益率が上がる。卸の利益率が 1.3% から 1.6% に上がるだけで、営業利益は 1 億円増える。介護は需要が確実に伸び、施設が軌道に乗れば利益率は 3〜4% に届く。
報酬改定も、国が薬剤師の賃上げを認めれば、技術料が上がる。人件費の上昇を転嫁できる事業は、そう多くない。調剤薬局はその数少ない一つだ。
東証スタンダードの小型株で、買収される側に回れば、プレミアムがつく可能性もある。大手が三重と東海の地盤を取りたがる場面は十分に考えられる。時価総額が小さく、株主構成も安定しているため、買収の対象としては扱いやすい。
慎重な見方
売値を国が決める事業は、物価高の世界で最も不利だ。人件費は年 3% で上がるのに、報酬が同じペースで上がる保証はない。薬局の利益率が 5.2% から 4% を割れば、営業利益は 2 割以上減る。
卸は売上 194 億円に対して営業利益が 3 億円。薬価の下落で粗利は削られ、2 年ほど前から原価率が上がり続けている。大手卸との値引き競争では、中堅に勝ち目は薄い。
介護は人手不足で運営費がかさみ、2026 年 2 月期のヘルスケアの営業利益は 1 億円強しかなかった。買収した施設の統合がうまくいく保証もない。
買収が成長の柱というが、成長の中身は薄利の事業の買い足しだ。買った値段が高ければ、のれんの減損が出て自己資本が傷む。薬剤師の採用難、オンライン調剤の広がり、大手ドラッグストアとの競争も、10 年のうちに重くなる。三つが重なれば、小さなチェーンは持ちこたえにくい。さらに、薬剤師の確保に使う紹介料や採用費は、年を追って増える一方だ。
どちらに重みを置いたか
利益率の薄さと報酬の不確実性は、買収の期待より重いと見る。確率は中立に 38% を置き、やや悲観と悲観で 35% と、慎重な側に寄せた。一方、財務が堅く、還元が続くので、悲観でも大きく割れる心配は小さい。10 年の本質価値は今の時価総額とほぼ同じで、割安とも割高ともいえない。判断を変えるのは、報酬改定の中身と、買収後の卸の利益率だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 4,339 円163 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,251 円47 億円)。 今の値に割り戻すと 2,806 円106 億円、今との差 +1.3%、 期待の年率 +7.3%(資本コスト 8.3%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 7,055 円266 億円 | 1,832 円69 億円 | +220.9% | +12.4% | 622 円23 億円 |
| やや楽観 | 20% | 5,832 円220 億円 | 1,567 円59 億円 | +167.1% | +10.3% | 1,480 円56 億円 |
| 中立 | 38% | 4,979 円188 億円 | 1,275 円48 億円 | +125.8% | +8.5% | 2,377 円89 億円 |
| やや悲観 | 25% | 2,864 円108 億円 | 1,036 円39 億円 | +40.8% | +3.5% | 975 円37 億円 |
| 悲観 | 10% | 706 円27 億円 | 664 円25 億円 | −50.5% | −6.8% | 137 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,339 円163 億円 | 1,251 円47 億円 | +101.8% | +7.3% | 5,590 円211 億円 |
今の株価時価総額 2,770 円104 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 7% M&A が実り、卸と介護が第二の柱になる 利益 22 億円 · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 7,055 円266 億円
会社の中計どおり、M&A が成長の柱として回る筋書き。卸は買収で出荷額が 3 割以上増え、物流の共同化で利益率が 1.6% まで戻る。介護は施設を 10 か所前後まで増やし、床数は今の 2 倍に近づく。調剤薬局は同業の小さなチェーンを引き受け、処方箋枚数が 1 割強増える。人件費の上昇は報酬改定で一部補われ、薬局の利益率は 5.2% を保つ。営業利益は 33 億円ほどに達し、今の約 1.8 倍になる。買収のための借金で利払いは重くなるが、本業の稼ぎがそれを上回る。配当性向 40% を保ち、10 年で約 70 億円を株主に返す。買収は高値づかみになりやすいので、この筋書きでも倍率は式の上限の 9 割弱に抑える。
- 調剤薬局事業:数量 288(処方箋枚数(万枚・推定))× 価格 1.21(1 枚あたり売上(万円。薬価と調剤報酬の複合))→ 売上 348 億円・営業利益 18 億円。枚数 1.14 倍・1 枚あたり 1.15 倍
- 医薬品卸事業:数量 9,450(取引先数(病院・薬局・施設。推定))× 価格 0.03(1 取引先あたり年間取扱額(億円。薬価・卸価格の水準))→ 売上 263 億円・営業利益 4 億円。出荷額 1.35 倍。薬価は据え置き
- ヘルスケア事業:数量 3,000(入居定員(床・推定))× 価格 0.08(1 床あたり年間売上(億円))→ 売上 241 億円・営業利益 11 億円。床数 2 倍・単価 1.34 倍
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.4% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.2 倍。全体の PER 12.19 倍、時価総額 266 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:買収を重ねても統合が進み、報酬改定の逆風も小さい。三つが重なる必要があり、起きにくい。
やや楽観 20% 小さな買収が続き、介護が育つ 利益 17 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 5,832 円220 億円
買収を毎年一つか二つ積み、卸と介護の規模が今より 15〜60% 広がる。調剤薬局は店数がほぼ横ばいで、処方箋枚数もわずかに増える程度。報酬改定は人件費の上昇を半分ほど補い、薬局の利益率は 5.0% で保たれる。介護は新設の施設が軌道に乗り、利益率が 3.5% まで上がる。営業利益は 25 億円前後で、今より 4 割増える。買収資金は手元の現金と借入で賄い、純借金は増えるが自己資本比率は 4 割を下回らない。還元は配当性向 40% を守る。成長が穏やかなぶん、ためた利益の一部は現金として残る。介護は施設の稼働率が 9 割を超えるかどうかで利益が大きく変わるため、ここでの見立てには幅がある。
- 調剤薬局事業:数量 256(処方箋枚数(万枚・推定))× 価格 1.18(1 枚あたり売上(万円。薬価と調剤報酬の複合))→ 売上 301 億円・営業利益 15 億円。枚数 1.02 倍・1 枚あたり 1.12 倍
- 医薬品卸事業:数量 8,050(取引先数(病院・薬局・施設。推定))× 価格 0.03(1 取引先あたり年間取扱額(億円。薬価・卸価格の水準))→ 売上 224 億円・営業利益 3 億円。買収で出荷額 1.15 倍
- ヘルスケア事業:数量 2,400(入居定員(床・推定))× 価格 0.08(1 床あたり年間売上(億円))→ 売上 190 億円・営業利益 7 億円。床数 1.6 倍・単価 1.32 倍
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.5% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 204 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社は買収を積む方針で実績もあるが、卸と介護は薄利で、当たる確率は半々。
中立 38% 物価に負けない程度に報酬が上がり、利益は横ばい 利益 13 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 4,979 円188 億円
調剤薬局は店数がほぼ変わらず、処方箋枚数は人口減で 3% ほど減る。1 枚あたりの売上は技術料の引き上げで 9% 伸びる。人件費は物価並みに 1.34 倍へ上がるため、利益率は 5.2% から 4.6% へ下がる。卸は買収した 2 社が加わった分だけ出荷額が増えるが、薬価の下落が利益率を 1.3% に押す。介護は 2025 年に取得した土浦の施設が通年で効き、床数が 15% 増える。介護報酬の改定で単価は 3 割上がるものの、人手不足で利益率は 2.6% にとどまる。営業利益は 19 億円で、金額はほぼ横ばい。物価を考えれば、実質では 2 割以上目減りする。
- 調剤薬局事業:数量 243(処方箋枚数(万枚・推定))× 価格 1.14(1 枚あたり売上(万円。薬価と調剤報酬の複合))→ 売上 278 億円・営業利益 13 億円。枚数 0.97 倍・1 枚あたり 1.09 倍(薬価の部分は物価に連動せず、技術料だけが上がるため 1.34 倍にしない)
- 医薬品卸事業:数量 7,210(取引先数(病院・薬局・施設。推定))× 価格 0.03(1 取引先あたり年間取扱額(億円。薬価・卸価格の水準))→ 売上 200 億円・営業利益 3 億円。出荷額 1.03 倍。薬価は据え置き
- ヘルスケア事業:数量 1,725(入居定員(床・推定))× 価格 0.08(1 床あたり年間売上(億円))→ 売上 135 億円・営業利益 4 億円。床数 1.15 倍・単価 1.30 倍
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.6% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 155 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:報酬は国が決めるので上振れしにくいが、人件費の上昇を国が全く補わないとも考えにくい。中間に最も重みを置く。
やや悲観 25% 報酬の伸びが人件費に追いつかない 利益 9 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 2,864 円108 億円
国の財政が厳しく、調剤報酬の引き上げが人件費の上昇に追いつかない。門前の病院の外来が減り、処方箋枚数は 8% 落ちる。調剤薬局の利益率は 3.8% まで細る。卸は薬価の下落と大手の値引きで利益がほとんど残らず、利益率は 0.9%。介護は人手の確保に費用がかさみ、施設を増やしても利益が伸びない。営業利益は 13 億円台で、今の 3 / 4 に縮む。配当性向は 35% を守るが、金額は減る。買収した会社ののれんの減損が出る可能性も、この筋書きでは頭に置いておく。三重県の薬局網が地盤で、ここが崩れなければ最悪の事態は避けられる。
- 調剤薬局事業:数量 230(処方箋枚数(万枚・推定))× 価格 1.10(1 枚あたり売上(万円。薬価と調剤報酬の複合))→ 売上 254 億円・営業利益 10 億円。枚数 0.92 倍・1 枚あたり 1.05 倍
- 医薬品卸事業:数量 6,860(取引先数(病院・薬局・施設。推定))× 価格 0.03(1 取引先あたり年間取扱額(億円。薬価・卸価格の水準))→ 売上 185 億円・営業利益 2 億円。出荷額 0.98 倍・価格 0.97 倍
- ヘルスケア事業:数量 1,650(入居定員(床・推定))× 価格 0.08(1 床あたり年間売上(億円))→ 売上 124 億円・営業利益 2 億円。床数 1.1 倍・単価 1.25 倍
倍率:利益が減り ROE 約 4% で k を下回る。式の PER 上限(1÷k=約 12.9 倍)に、成長が止まる前提で約 66% を置く。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 8.5 倍・時価総額 77 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:調剤報酬は財政の圧力で抑えられやすく、薬剤師の賃金は市場で決まる。この板挟みは過去にも起きた。
悲観 10% 構造的な逆風で薬局網が細る 利益 4 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 706 円27 億円
調剤報酬が大きく削られ、薬剤師の給与は物価に合わせて上がり続ける。三重の薬局網は、大手との競争と薬剤師不足で店が減り、処方箋枚数は 15% 落ちる。利益率は 2.0% まで下がる。卸は薬価の下落と取引先の集約で出荷額が 1 割減り、ほぼ収支とんとん。介護は報酬の頭打ちと人件費で薄利のまま。営業利益は 6 億円まで縮み、家賃や人件費という固定の支払いが利益を食う。のれんの減損で自己資本も傷む。配当性向は下限の 30% に落とす。事業が縮んでも店と施設は残るため、売れる資産の価値が株価の下支えになる。
- 調剤薬局事業:数量 213(処方箋枚数(万枚・推定))× 価格 1.05(1 枚あたり売上(万円。薬価と調剤報酬の複合))→ 売上 224 億円・営業利益 5 億円。枚数 0.85 倍・単価 1.0 倍
- 医薬品卸事業:数量 6,300(取引先数(病院・薬局・施設。推定))× 価格 0.03(1 取引先あたり年間取扱額(億円。薬価・卸価格の水準))→ 売上 163 億円・営業利益 1 億円。出荷額 0.9 倍・価格 0.93 倍
- ヘルスケア事業:数量 1,500(入居定員(床・推定))× 価格 0.07(1 床あたり年間売上(億円))→ 売上 104 億円・営業利益 1 億円。床数 1.0 倍・単価 1.15 倍
倍率:稼ぐ力は低く PER は 1÷k を大きく下回る約 7 倍に置く。赤字に近いので、純現金に近い床の考え方も併せて見る。
確率:報酬の大幅な引き下げ、薬剤師不足、オンライン調剤の拡大が同時に来る必要がある。可能性は低いが、規制事業なので無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
調剤薬局事業
三重県を中心に東海・関西で約 98 店の調剤薬局を営む。売上の約半分で、利益の大半を稼ぐ。
| 数量処方箋枚数(万枚・推定) | 価格1 枚あたり売上(万円。薬価と調剤報酬の複合) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 251 | 1.05 | 263 | 14 |
| 10 年後 中立 | 243 | 1.14 | 278 | 13 |
取り方:売上 263 億円を 1 枚あたり約 1.05 万円(全国平均の調剤医療費÷処方箋枚数に近い)で割って約 250 万枚と推定。実際の枚数は未開示。
医薬品卸事業
高知・愛知など 23 拠点で医薬品を病院・薬局へ卸す。2025 年に 2 社を買収して広がった。
| 数量取引先数(病院・薬局・施設。推定) | 価格1 取引先あたり年間取扱額(億円。薬価・卸価格の水準) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 7,000 | 0.03 | 195 | 3 |
| 10 年後 中立 | 7,210 | 0.03 | 200 | 3 |
取り方:売上 194.5 億円を 1 取引先あたり年 278 万円で割り約 7,000 先と推定(実数は未開示)。薬価改定で減益。
ヘルスケア事業
有料老人ホームなどの介護施設を運営する。ハーモニーハウス桑名やサンライズヴィラ土浦など。
| 数量入居定員(床・推定) | 価格1 床あたり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 1,500 | 0.06 | 90 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,725 | 0.08 | 135 | 4 |
取り方:売上 90 億円を 1 床あたり年 600 万円(有料老人ホームの目安)で割り約 1,500 床と推定。営業利益は一過性費用を含み、除くと約 2 億円。
リスクと懸念
調剤報酬・薬価の引き下げ
収益の大半が国の決める報酬と薬価に縛られる。人件費が年 3% で上がるのに報酬が追いつかないと、薬局の利益率は 5% から 4% を割る。10 年のうち報酬を大きく削る改定が来る可能性は高い。
薬剤師の採用難
薬局は薬剤師がいないと開けない。賃金の上昇と採用費で人件費が重くなり、店の閉鎖に追い込まれることもある。大手との採用競争で、小さなチェーンは不利だ。
卸の薄利と大手との競争
卸は売上 194 億円に対し営業利益が 3 億円。薬価の下落で粗利が削られる。アルフレッサやメディパルなど大手との値引き競争が続けば、買収した拠点でも利益が出ない。
買収の失敗とのれん
成長を買収に頼る方針だ。買う値段が高ければ、のれんが積み上がり、減損で自己資本が傷む。統合費用がかさむことも多い。
家賃などの固定の約束
店舗や施設を借りて営むため、売上が落ちても家賃は変わらない。新リース会計基準で 2028 年 2 月期から貸借対照表に載り、純借金や自己資本比率は見た目が悪化する。実質は変わらないが、財務の強さを見かけより低く見るべきだ。
オンライン調剤と大手の攻勢
オンライン服薬指導や処方箋の送信が広がれば、門前の優位は薄れる。ドラッグストア併設の大型薬局が増えると、中小チェーンの処方箋が奪われる。
今後の分かれ目
- 次の調剤報酬改定で技術料が賃上げ分を上回って引き上げられる
- 薬局の利益率が 5% 台で保たれ、中立の売上と利益の見通しを上方へ。確率を楽観側に寄せる。
- 卸 2 社の統合で卸の営業利益率が 1.5% を超える
- 買収が価値を生む証拠。やや楽観の確率を上げる。
- 薬局の営業利益率が 4% を割る
- 報酬と人件費の差が開いた合図。やや悲観の確率を上げる。
- 大型の買収(売上 100 億円超)が発表される
- 借金が増え、のれんの減損リスクが高まる。値段と統合の見通しを見て評価し直す。
- 大手チェーンから買収の提案が出る
- プレミアムが期待できるが、確率は不確かなので評価には入れない。
見ておくもの
- 調剤報酬改定の内容と薬価の改定幅
- 薬局の営業利益率と処方箋枚数
- 卸 2 社の統合後の利益率
- 介護施設の稼働と利益
- M&A の金額と借入
倍率と資本コストの決め方
倍率は式(ROE が k を下回るので上限は 1÷k)から置き、今の PER や同業の倍率は使っていない。中立は上限の約 78%。現預金と有価証券を純現金に含めると実質の借金は約 10 億円(brief の純借金 45 億円は有価証券を含まない形)。新リース会計基準で家賃が負債に載ると見かけの純借金は増えるが、10 年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→12.19 倍・やや楽観 PER 10.5→12.12 倍・中立 PER 10→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。