結論
結論:福井発の地方スーパーセンター23店の小さな会社で、利益率は2%台と薄く、中立の価値は今の値を上回るが、悲観側を確率で重ねると今の値とほぼ釣り合う(差-3.5%)。利益率が改善しなければ崩れやすい。
売上は約978億円(2025年9月期)、営業利益は20億円(利益率2.1%)、純利益は13.5億円である。2026年9月期は物価高による買い控えと人件費の上昇で、会社は営業利益を15億円(前期比25%減)に下げた。中期経営計画の目標である営業利益率3%以上は、最終年度の2026年9月期になっても届いていない。
強みは、生鮮を含む衣食住を一つの大型店で売る地域密着の形と、自己株式の消却や配当性向の引き上げなど株主への姿勢の変化にある。純有利子負債は18億円と軽く、自己資本比率は43%で、財務の心配は小さい。弱みは、人口が減る農村部の商圏に23店しかなく、規模で仕入れや物流を有利にできないことである。
10年後の中立は、売上が約1150.0億円(名目で年1.6%)、営業利益が約24億円(利益率2.1%)、純利益が約16億円である。客数は人口減で1割ほど減るが、物価の上昇分は価格に載せる前提に置いた。普通株の価値は、この利益に倍率をかけたものに、10年の配当と優待を足して測った。
バリュー投資の観点から
結論:財務が軽く、配当も増えているが、事業が稼ぐ力は弱く、買う水準には届かない。
良い点は、純有利子負債が軽く、利益の3割以上を返す方針が明文化されたこと、店を自社で持ち、生鮮を自社運営する地域密着の強みがあること、そして営業キャッシュフローが年20億円を超えて安定していることである。悪い点は、営業利益率が2%前後にとどまり、中期経営計画の目標3%に5年かけても届かなかったこと、売上が名目で減り始めていること、23店の規模では物流と仕入れで大手に劣ることである。
判断は、利益率が3%に近づくか、それとも1.5%に沈むかで割れる。人件費削減の「R-9」が実を結べば前者、物価高による買い控えとコスト増が続けば後者になる。株主は、安さの質が客を呼べる地域では守られるが、農村部の人口減には逆らえない。それでも財布が厚く配当が増える会社として、中立では今の値以上と評価した。
何で稼ぐ会社か
結論:売上の2/3が食品、1/3が日用品・衣料・DIYで、郊外の大型店で毎日の買い物をまとめて済ませる店である。
店は福井・石川・富山・新潟・鳥取・島根・岐阜・福島・京都・滋賀・三重・兵庫・岡山の13府県に23店。車で20〜30分の範囲に3〜5万人が住む農村部を狙い、売場は3千〜6千坪級が中心である。2025年9月期の売上は、食品(フーズ)が652億円、非食品(ノンフーズ)が321億円、店の一部を貸す不動産賃貸収入が4億円。会社は小売の単一事業で、品目別にだけ売上を開示する。
非食品は、キッチン・日用品・化粧品・医薬品・ペット・文具・玩具、さらにDIY・園芸・衣料まで広い。会社は、アパレルを中心に自社企画のPB商品を伸ばし、目的来店と粗利率を上げようとしている。
コスト面では、人件費9億円の削減を狙う「R-9」で全23店にセルフレジを入れた。2024年10月には精肉のプロセスセンターを稼働させ、店の作業時間と廃棄を減らした。店の多くは自社所有の土地・建物だが、一部の土地は賃借で、その地代は固定費になる。金額は開示から読めなかった。
優良さと弱いところ
結論:事業の質は普通で、利益率の薄さと店舗網の小ささが弱い。k(求める利回り)は基本の7.5%に0.8ポイントを足した8.3%に置いた。
循環は0。食品が3分の2を占めるので景気の谷でも客数は崩れにくく、2019年9月期の赤字は営業利益ゼロに近い水準にとどまった(その年の純損失は固定資産の減損による)。値決めは+0.5。業態の垣根を越えた競争(ドラッグ、食品スーパー、ホームセンター、EC)が激しく、営業利益率は2%前後に張り付いている。
借金は0。純有利子負債は18億円、営業利益は支払利息の25倍、自己資本比率は41〜43%で、借金の重さは問題にならない。ただし2018年のシンジケートローンには、純資産を前期末の75%以上に保つ条項と、経常損失を2期続けない条項がある。
寿命は+0.3。農村部の人口減で商圏が細り、23店の規模では仕入れと物流で大手に勝てない。堀は強くない。それでも店の所有と、生鮮を自社で運営する力、福井から広げた13府県の店舗網は、簡単には真似されない。積み上げは+0.8ポイントで8.3%。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
結論:ディスカウント・ホームセンターは、物価高の追い風と人件費・競争の逆風が同時に吹く業種である。市場は4兆円規模で成長は名目年0〜2%にとどまる。
ホームセンター全体の市場は約4兆円で、住宅・リフォームの需要に連動する。人口減と新規出店余地の縮小で、国内は名目で年0〜2%の成長が普通である。ディスカウント業態は、物価高で消費者が安さを求めるため、割安感の演出が追い風になる一方、最低賃金の上昇とパート不足で人件費が名目年3〜5%増える。
同業の比較では、中立の値と株価の差は、大黒天物産が+32%の割安、ジョイフル本田が-31%、DCMが-23%、コーナン商事が-15%、コメリが-6%と、割高が多い。営業利益率はDCMが5.8%、コメリが6.0%、ジョイフル本田が6.2%と、PLANT(2%)の倍以上である。
競争の形は、地域ごとに分散し、カインズ・コメリ・DCM・コーナンなど上位が店舗数で競う。共同購買やPB開発の連携が進み、規模の小さい会社は仕入れと物流で不利になる。PLANTの23店という規模は、この業種で最も小さい部類に入る。
店舗の固定費は、減価償却費が年13億円、地代・人件費も大きく、売上が1%落ちるだけで営業利益が1割以上動く。設備を3%の物価で置き換えると、償却費より多い投資が要る点も、この業種の特徴である。
資本政策と M&A
結論:財務は軽く、株主への姿勢は改善している。創業家系と見られる会社が約36%を握る点が、現金の戻り方を0.75に留める理由である。
現金は37億円、借入金は55億円で、純有利子負債は18億円。2025年9月期は配当を2期で大きく引き上げ、2026年9月期は純利益の約43%を予想する。株主還元の方針は、配当と自己株式の取得で、原則、純利益の30%以上を返すことである。2026年春には自己株式24.7万株を消却し、発行済株式数は748.3万株になった(自己株を除く株数は690.4万株で変わらない)。
有限会社ワイ・ティ・エーが発行済株式の35.8%を持つ。社名からは創業者一族の資産管理会社と読めるが、開示からは確認できなかった。福井銀行が1.9%、個人株主が議決権の64%を占める。外国法人は5%にとどまる。
株主優待は、自社のPLANT Pay(電子マネー)を100株以上に贈る。保有期間で2段階あり、費用は開示がない。保有者を約5千人と見て年0.5億円と推定し、10年の還元に(中立1.0、やや悲観0.75、悲観0.5)を掛けて足した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
結論:利益率が3%台に乗れば、倍率も上がり、価値は今の3倍に届く。
PB商品とプロセスセンターで粗利が上がり、セルフレジなどの人件費削減が計画の9億円を超える。客数は新しい商圏への出店と地域外からの来店で、10年後も今の水準を保ち、食品の販売点数は3.5%増える。価格は物価を載せるだけでなく、PB比率の上昇で1.36倍に上がる。営業利益率は食品が1.8%、非食品が5.0%、全社で3.1%になり、会社が掲げる3%の目標に届く。
純利益は29億円と今の2.7倍になり、配当は純利益の半分を返す。ROEは11%を超え、PERも14倍に上がる。この道は、会社の中期経営計画が10年遅れで実現する筋書きで、強気の見方である。
さらに、自己株式の取得が続けば、1株の利益はさらに上がる。財務が軽く、年20億円を超える営業キャッシュフローがあるので、還元の余力も大きい。店舗の多くが自社所有で地代の負担が軽い点も、利益率が上がったときの伸びを大きくする。
慎重な見方
結論:客数が減り続け、人件費の上昇を価格に載せきれず、利益が消える。
農村部の人口減と、ドラッグ・食品スーパー・ECとの競争で、客数は10年で3割減る。物価高による買い控えで価格は1.15倍にしか上がらず、人件費の上昇を吸収できない。営業利益率は食品が赤字、非食品が1.5%に下がり、全社で0.3%まで落ちる。店の減損も重なり、純利益は10年を均すと赤字になる。
シンジケートローンの財務制限条項(純資産を前期末の75%以上に保つ、経常損失を2期続けない)に抵触し、借入の条件が悪化する。配当は大きく減らされ、優待も縮小する。過去にも、2019年9月期に営業利益がゼロとなり、純損失は39億円(固定資産の減損が中心)に及んだ実績がある。
この筋書きでも会社は消えない。店は自社所有で、財務も軽いため、倒産には至らない。価値は純資産の4割ほどの床で測った。2026年9月期の営業利益予想(15億円)はすでに前期より25%低く、この道への入り口は見えている。
どちらに重みを置いたか
結論:中立では今の値を上回る価値があるが、利益率が改善するかどうかに強く依存する。確率は、中立の38%に、悲観側の約4割を置き、重みづけた価値は今の値とほぼ同じ(差-3.5%)になった。
会社の財布は厚いが、稼ぐ力が弱く、利益の3割以上を返す方針が守られれば、今の値でも十分に報われる。ただし、人件費と競争のコスト増が続けば、価値は大きく目減りする。次の決算で営業利益率が1.5%を割るかが、最初の確かめどころである。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した株価時価総額 2,803 円193 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 787 円54 億円)。 今の値に割り戻すと 1,791 円124 億円、今との差 +2.7%、 期待の年率 +7.5%(資本コスト 8.3%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 6,316 円436 億円 | 1,537 円106 億円 | +350.5% | +16.2% | 471 円33 億円 |
| やや楽観 | 17% | 4,473 円309 億円 | 1,154 円80 億円 | +222.9% | +12.4% | 957 円66 億円 |
| 中立 | 38% | 3,115 円215 億円 | 843 円58 億円 | +127.1% | +8.5% | 1,504 円104 億円 |
| やや悲観 | 26% | 1,409 円97 億円 | 579 円40 億円 | +14.1% | +1.3% | 517 円36 億円 |
| 悲観 | 13% | 869 円60 億円 | 210 円15 億円 | −38.1% | −4.7% | 140 円10 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,803 円193 億円 | 787 円54 億円 | +105.9% | +7.5% | 3,589 円248 億円 |
今の株価時価総額 1,743 円120 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 6% 利益率が3%台に乗る 利益 30 億円 · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 6,316 円436 億円
PB商品とプロセスセンターで粗利が上がり、セルフレジなど人件費削減が計画を超える。食品の販売点数は3.5%増え、価格は物価を超える1.36倍に上がる。営業利益率は食品が1.8%、非食品が5.0%、全社で3.1%と、会社が掲げる3%の目標に届く。純利益は29億円(今の2.7倍)、配当は純利益の半分。優待も続く(年0.5億円×10年×1.0)。この筋書きは、会社の中期経営計画が10年遅れで実現する形である。出店は再開せず、既存店の改装と商品力で客数を守る。人手不足の中でも、セルフレジと自動発注で店の作業が減り、時給の上昇を吸収できる。
- フーズ(青果・鮮魚・精肉・日配・一般食品・惣菜):数量 270(年間の販売点数(百万点))× 価格 3.40(1百万点当たり売上(億円))→ 売上 918 億円・営業利益 17 億円。営業利益率1.8%
- ノンフーズ(日用品・化粧品・医薬品・ペット・DIY・衣料):数量 72.0(年間の販売点数(百万点))× 価格 6.80(1百万点当たり売上(億円))→ 売上 490 億円・営業利益 25 億円。営業利益率5%
- 不動産賃貸(店の一部の賃貸):数量 23.0(賃貸のある店舗数(店))× 価格 0.24(1店当たり賃貸収入(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 3 億円。営業利益率60%
倍率:ROE 11.4%、RONIC = k 8.3% + 1/2 ×(11.4 − 8.3)= 9.8%、g 4.0% から正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)= 14.29 倍。規模の小さい地方スーパーセンターで、財布は厚いが利益率が2%前後と薄いので、楽観でも上限の 10.0 割の 14.29 倍に置いた。
確率:利益率が10年で3%台に乗る筋書きで、中期経営計画の目標にすら5年届かなかった会社には、実現しにくい。
やや楽観 17% 人件費削減が実る 利益 22 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 4,473 円309 億円
人件費の削減が一部実り、PB比率も上がる。客数は食品で1%ほど減るにとどまり、価格は物価をほぼ載せる1.33倍。営業利益率は食品が1.2%、非食品が4.5%、全社で2.6%に上がる。純利益は22億円で、配当は純利益の45%。優待は続く(年0.5億円×10年×1.0)。会社の目標の3%には届かないが、足元の2%から着実に上がる筋書きで、株主還元の方針が守られれば、ROEは9%近くに上がる。プロセスセンターを他の店舗にも広げ、精肉の廃棄ロスと作業時間を減らす効果が出る。非食品ではアパレルのPBが育ち、粗利率が1ポイントほど上がる。
- フーズ(青果・鮮魚・精肉・日配・一般食品・惣菜):数量 258(年間の販売点数(百万点))× 価格 3.33(1百万点当たり売上(億円))→ 売上 858 億円・営業利益 10 億円。営業利益率1.2%
- ノンフーズ(日用品・化粧品・医薬品・ペット・DIY・衣料):数量 68.0(年間の販売点数(百万点))× 価格 6.65(1百万点当たり売上(億円))→ 売上 452 億円・営業利益 20 億円。営業利益率4.5%
- 不動産賃貸(店の一部の賃貸):数量 23.0(賃貸のある店舗数(店))× 価格 0.24(1店当たり賃貸収入(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 3 億円。営業利益率60%
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.0% が k 8.30% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.1 倍。全体の PER 13.1 倍、時価総額 291 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:人件費削減が一部実り、利益率が2.6%まで上がる道。実現の確度は中程度だが、財務の軽さが追い風になる。
中立 38% 中立:客数は減り、物価は価格に載る 利益 16 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 3,115 円215 億円
人口減で食品の販売点数は10年で1割、非食品は1割弱減る。価格は物価をやや下回る1.30倍で載せる。売上は約1,150億円(名目年1.6%)。営業利益率は食品が0.8%、非食品が3.8%、全社で2.1%と、足元とほぼ同じ。人件費の上昇はセルフレジとプロセスセンターで吸収する。純利益は約16億円(今期の予想11億円から戻る)、配当は純利益の4割。優待は続く(年0.5億円×10年×1.0)。ROEは6.6%で、kを下回るため、倍率は式の9.5割に置いた。減価償却費を物価で置き換える投資が要るため、配当を増やしても余った現金は大きく積み上がらない。
- フーズ(青果・鮮魚・精肉・日配・一般食品・惣菜):数量 235(年間の販売点数(百万点))× 価格 3.25(1百万点当たり売上(億円))→ 売上 764 億円・営業利益 6 億円。営業利益率0.8%
- ノンフーズ(日用品・化粧品・医薬品・ペット・DIY・衣料):数量 59.0(年間の販売点数(百万点))× 価格 6.50(1百万点当たり売上(億円))→ 売上 384 億円・営業利益 15 億円。営業利益率3.8%
- 不動産賃貸(店の一部の賃貸):数量 23.0(賃貸のある店舗数(店))× 価格 0.24(1店当たり賃貸収入(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 3 億円。営業利益率60%
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.8% が k 8.30% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.0 倍。全体の PER 12.05 倍、時価総額 188 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:客数は人口減で減るが、物価は価格に載せられ、利益率は足元並みの2%を保つ、最も自然な道。
やや悲観 26% 人件費と競争のコスト増 利益 10 億円 · PER 7.2 倍 · 株価時価総額 1,409 円97 億円
客数が食品で2割弱、非食品で16%減り、価格は物価を下回る1.26倍にとどまる。人件費は吸収しきれず、営業利益率は1.5%に下がる。食品は営業利益率0.3%とほぼ利益が出ず、非食品が稼ぎを支える。純利益は約10億円で、配当は純利益の35%に抑えられる。優待は縮小する(年0.5億円×10年×0.75)。店の減損が散発し、自己資本は積み上がらず、ROEは4%台にとどまる。食品の売上は物価で名目では横ばいに近いが、客数の減りが利益を削る。2026年9月期の予想(営業利益率1.6%)に近い水準が10年続く形である。
- フーズ(青果・鮮魚・精肉・日配・一般食品・惣菜):数量 215(年間の販売点数(百万点))× 価格 3.15(1百万点当たり売上(億円))→ 売上 677 億円・営業利益 2 億円。営業利益率0.3%
- ノンフーズ(日用品・化粧品・医薬品・ペット・DIY・衣料):数量 54.0(年間の販売点数(百万点))× 価格 6.30(1百万点当たり売上(億円))→ 売上 340 億円・営業利益 10 億円。営業利益率3%
- 不動産賃貸(店の一部の賃貸):数量 23.0(賃貸のある店舗数(店))× 価格 0.23(1店当たり賃貸収入(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 3 億円。営業利益率60%
倍率:ROE 4.3%、RONIC = k 8.3% + 1/2 ×(4.3 − 8.3)= 6.3%、g 4.0% から正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)= 8.5 倍。規模の小さい地方スーパーセンターで、財布は厚いが利益率が2%前後と薄いので、やや悲観は上限の 8.5 割の 7.2 倍に置いた。
確率:人件費と競争のコスト増が続き、利益率が1.5%に落ちる道。足元の予想(1.6%)に近く、十分ありうる。
悲観 13% 客数が3割減り利益が消える 利益 −2 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 869 円60 億円
客数が10年で3割減り、価格も1.15倍にしか上がらない構造的な負けの筋書き。食品は赤字、非食品も薄く、営業利益率は0.3%まで落ちる。店の減損と財務制限条項への抵触が重なり、純利益は10年を均すと-2億円。配当は大きく削られ、優待も縮小する(年0.5億円×10年×0.5)。それでも店は自社所有で財務も軽いため、会社は残る。価値は10年後の純資産の4割ほどの床で測った。地代の固定費と人件費が重く、売上の減りに利益が追いつかない。第3四半期までの営業利益が2割減った流れが、そのまま悪化する形である。
- フーズ(青果・鮮魚・精肉・日配・一般食品・惣菜):数量 190(年間の販売点数(百万点))× 価格 2.88(1百万点当たり売上(億円))→ 売上 546 億円・営業利益 −4 億円。営業赤字
- ノンフーズ(日用品・化粧品・医薬品・ペット・DIY・衣料):数量 46.0(年間の販売点数(百万点))× 価格 5.75(1百万点当たり売上(億円))→ 売上 265 億円・営業利益 4 億円。営業利益率1.5%
- 不動産賃貸(店の一部の賃貸):数量 23.0(賃貸のある店舗数(店))× 価格 0.20(1店当たり賃貸収入(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 3 億円。営業利益率55%
倍率:稼ぐ力はほぼなく(純利益は10年を均すと-2億円)、価値は自己資本の床で測る。10年後の自己資本150億円(減損と閉店損で今の153億円をやや下回る。店と土地を自社で持つため厚く残る)にPBR 0.40を掛けて約60億円に置いた。EV(時価総額+純有利子負債18億円)で見ても、利益がほぼ出ない会社に利益の倍率は付かない。
確率:客数の3割減と財務制限条項の抵触が重なる構造的な負け。2019年9月期に営業利益がゼロとなった実績から、無視できない確率。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
フーズ(青果・鮮魚・精肉・日配・一般食品・惣菜)
生鮮を自社で運営する食品。売上の3分の2を占める。
| 数量年間の販売点数(百万点) | 価格1百万点当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 261 | 2.50 | 652 | 5 |
| 10 年後 中立 | 235 | 3.25 | 764 | 6 |
取り方:2025年9月期のフーズ売上652億円を、1点の平均単価を低めに(日配・生鮮が中心)推定して販売点数に直した値(点数の開示はない)。営業利益は全社の営業利益20.1億円を品目に推定配分(フーズ0.7%、ノンフーズ4.0%、賃貸60%)。中立は人口減で点数が1割減り、価格は1.30倍。
ノンフーズ(日用品・化粧品・医薬品・ペット・DIY・衣料)
ホームセンターの要素を含む非食品。PB商品の中心で利益率が高い。
| 数量年間の販売点数(百万点) | 価格1百万点当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 64.2 | 5.00 | 321 | 13 |
| 10 年後 中立 | 59.0 | 6.50 | 384 | 15 |
取り方:2025年9月期のノンフーズ売上321億円を、1点の平均単価をフーズの約2倍と推定して販売点数に直した値。営業利益は品目への推定配分(4.0%)。中立は点数が8%減り、価格は1.30倍。
不動産賃貸(店の一部の賃貸)
店の敷地・建物の一部を他社に貸す収入。
| 数量賃貸のある店舗数(店) | 価格1店当たり賃貸収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 23.0 | 0.18 | 4 | 3 |
| 10 年後 中立 | 23.0 | 0.24 | 6 | 3 |
取り方:2025年9月期の不動産賃貸収入4.1億円を店数23で割った値。営業利益は費用が少ないとみて60%と推定。中立は店数が変わらず、賃料は物価並み。
リスクと懸念
人件費の上昇と利益率
営業利益率は2%前後で、人件費が名目年3〜5%増えれば簡単に1%台へ落ちる。2026年9月期は営業利益を15億円(前期比25%減)に下げた。セルフレジなどで人件費9億円を減らす計画の効果が、賃上げに追い越される恐れがある。
農村部の人口減
23店は車で20〜30分の範囲に3〜5万人が住む農村部にある。人口減で商圏が細れば、客数は構造的に減る。食品の販売点数が10年で1割以上減る前提でも、利益率が保てるかが焦点になる。
規模の小ささ
23店では仕入れ・物流・PB開発でコメリやDCMなど大手に劣る。共同購買の連携が進めば、規模の小さい会社は条件が不利になる。会社は規模の差を、生鮮の自社運営と自社企画のPBで埋めようとしている。
財務制限条項
2018年のシンジケートローンには、純資産を前期末の75%以上に保つ条項と、経常損失を2期続けない条項がある。今は余裕があるが、大きな減損や赤字が続けば抵触しうる。
固定資産の減損
店を自社で持つため、収益性が落ちた店は減損の対象になる。2019年9月期には減損などで純損失が39億円に達した。利益率が薄い会社にとって、減損は自己資本を直接削る。
支配的な株主
有限会社ワイ・ティ・エーが35.8%を持つ。創業家に関係する会社と見られるが、開示からは確認できなかった。少数株主の意向が通りにくく、資本政策は持ち主の考えに左右される。
今後の分かれ目
- 営業利益率が2.5%を超える年が続いたら
- やや楽観・楽観の確率を上げる。人件費削減の効果が賃上げを超え、中期経営計画の目標に近づいたとみる。
- 第4四半期の営業利益が予想(15億円)を下回り、利益率が1.5%以下になったら
- やや悲観に重みを移す。足元の利益率が構造的に下がっていると読む。
- 新規出店や既存店の大規模改装の計画が出たら
- 投資の効率を見て、数量の前提を見直す。出店が当たれば数量が伸びる道を厚くする。
- 自己株式の取得や増配など、追加の還元が出たら
- 余った現金の戻り方(0.75)を確かめる。還元が続くなら、1.0に上げてよい。
- 財務制限条項に触れる可能性や、借入条件の変更が開示されたら
- 悲観の確率を上げ、借入の条件を見直す。
- ワイ・ティ・エーの持株比率が変わる、または公開買付けの動きが出たら
- 価格と条件を見て判断する。価格次第では、少数株主の取り分が本質価値を下回る可能性がある。
見ておくもの
- 営業利益率(2026年9月期の予想1.6%に対する実績)
- 既存店の客数と客単価
- 人件費の上昇とR-9の削減効果
- PB商品の売上比率
- 自己株式の取得・配当の方針
- ワイ・ティ・エーの持株比率
倍率と資本コストの決め方
今の株価や同業の値付けは見ずに、品目別の販売点数と単価、利益率から10年後の利益を組み立て、正当化PERの8.5〜10割を掛けた。株価の位置は、最後に比べただけで、数字は後から合わせていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.8→14.29 倍・やや楽観 PER 11.8→13.1 倍・中立 PER 10.2→12.05 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.8% を足した 8.3%。同業のミスターマックス(+0.8%)に近く、利益率が薄い小さな会社であることを反映した。