結論
オートウェーブは、千葉県でカー用品・車検整備・中古車を営み、業務スーパーのフランチャイズ店も運ぶ小さな会社だ。売上は約98億円で、営業利益は3億円ほどにとどまる。筆者の結論は、PBRが0.6倍でも割安とは言えず、やや割高側というものだ。
理由は、利益の質と株主への戻し方にある。2026年3月期の純利益4.4億円には、繰延税金資産の回収という一過性の分が入っている。ならせば3億円弱だ。しかも配当性向は13%で、稼いだ利益の大半は社内に積まれる。
見た目は安い。時価総額27億円に対し、自己資本は45億円ある。ただ、利益は資本コストの8.5%に届かない。ためた利益は、帳簿の額の価値にならない。
事業の中身は二つに分かれる。車関連は営業利益率が8%と堅いが、車離れと電動化で長期は細る。業務スーパーは利益率3%の薄利だが、毎年1店ほどずつ増やして伸びている。
筆頭株主は個人で、16%を持つ。取引先持株会を合わせ、上位で約5割を押さえる。経営の方針を決めるのは少数株主ではない。筆者が最も気にするのは、この点だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、この会社は「安く買えるが、株主のものになりにくい」事業だ。10年後の姿は今とほぼ同じで、強くはならない。
オーナー利益、つまり株主のものになる利益は、一過性を除いて3億円弱だ。売上が伸びても、整備の人件費と全社費用に削られ、利益率は3%前後に張りつく。店の維持に要る設備投資は大きくなく、稼ぎの大半は現金として残る。
現金が残るのに、配当性向は13%しかない。バリュー投資家が最も嫌う、貯めこみ型の資本配分だ。大株主が個人のため、少数株主が働きかけて変える道も細い。筆者は、積み上がる現金の半分しか株主に戻らないと見て、倍率も控えめにした。
一方で、安全域は厚い。時価総額は自己資本の約6割で、土地の簿価だけで時価総額に近い。事業が傷んでも、土地を売れば元本は大きく割れない。この下値の固さは、慎重な見方でも認めざるをえない。
経営は借金を返し、危ない買収もしていない。ただ、貯めた現金を何に使うかを示さない限り、持ち続けたい会社とは言いにくい。
何で稼ぐ会社か
事業は二本立てだ。主力の車関連は売上の約68%を占め、千葉市稲毛区を中心に県内の6〜7店で、カー用品・タイヤ・車検・整備・新車と中古車の販売・買取を一つの店で扱う。もう一つは業務スーパーで、神戸物産とのフランチャイズ契約で県内に8店を出し、売上の約32%を占める。
車関連の稼ぎ方は、来店の入口を作り、車検や整備で単価を取るものだ。用品は粗利が薄い。整備・車検・タイヤの交換で一件の金額が積み上がり、セグメント利益率は約8%と、会社の中では高い。2026年3月期のセグメント利益は5.4億円だった。
業務スーパーは、神戸物産が商品を供給し、会社が店舗の運営を担う。冷凍食品や加工食品を安く売る業態で、物価高の追い風を受けて売上は前期に2割伸びた。ただ、利益率は3%で、セグメント利益は1億円だ。店は2013年の宮野木店を皮切りに、2021年以降は毎年のように開いている。
全社の営業利益は3.2億円で、二つのセグメント利益の合計6.4億円より小さい。差の約3億円が全社費用だ。店舗の少ない会社にしては重く、ここが利益を薄くしている。経常利益が営業利益より1.4億円多いのは、営業外の収益があるためで、内訳は確かめられていない。
車関連の土地は簿価で約23億円あり、会社が所有している。この土地を担保に、13.8億円のシンジケートローンを組んでいる。従業員は183人。2023年末には、シミュレーションゴルフの練習場も始めた。
優良さと弱いところ
優良さは、そこそこ。堀、つまり他社がまねできない強みは、強くない。車関連は、千葉の郊外に大きな店を構え、用品と整備を一か所で済ませられる点が売りだ。これは便利さの優位で、価格を決める力ではない。
営業利益率は2023年3月期に3.7%、翌年に4.0%と上向いた。ただ、それ以前の7年間は2%以下だった。直近の3.2%は、過去12年では上位に近い。2027年3月期の営業利益は2.6億円と減る予想で、会社自身も上積みを見込んでいない。
資本効率は低い。ROEの過去10年の中央値は5.7%で、直近は一過性で9.7%まで上がっただけだ。自己資本比率57%と財務は堅いが、堅さでは資本コストを超えない。
もう一つの弱さは、経営の姿勢が防御的なことだ。純利益の13%しか配当に回さず、自己株買いもしていない。財務制限条項に、純資産の維持と2期連続の経常損失の回避がある。ここは、攻めよりも守りを選ぶ理由になっている。
強みもある。2015年3月期に38億円あった純負債を、10年かけて6億円まで減らした。この実行力は評価できる。ただ、減らした借金の先に、何を成長に変えるかが見えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の自動車市場は、保有台数が横ばいから微減に向かう。若い世代の車離れと人口の減少が重なり、10年で0.9〜1.05倍が中立の見方だ。電動車への移行は、オイルやエンジン部品の交換という整備の収入を、長い目で減らす。
車関連は、競合が多い。全国チェーンのカー用品大手、ガソリンスタンド、ディーラー、整備の専業が、同じ客を取り合う。差が出るのは立地と整備の腕だ。値上げが通りにくいので、利益率は人件費の上昇に押されて縮みやすい。
車検と整備は、人手が欠かせない。最低賃金の上昇と整備士の不足は、人件費を名目で年3〜5%押し上げる。価格に転嫁できる店と、できない店の差が、この先の10年で広がる。
業務スーパーは、物価高で恩恵を受けやすい。消費者が安さを求める流れが続く限り、客数は落ちにくい。ただ、ドラッグストアや食品スーパーとの競争は激しく、1店あたりの利益は薄い。神戸物産の出店方針に左右される点が、運営会社の弱みだ。
再編の面では、店舗網が千葉県内に限られ、時価総額が27億円と小さい。大株主が約5割を押さえる構造なので、買収の可否は大株主の判断に近い。筆者は10年の数量を、車関連で0.95倍、店舗数で8店から10店と置く。
資本政策と M&A
資本の使い方は、守りに寄っている。配当は総額0.6億円で、配当性向は13%だ。方針は「安定的・継続的に、業績に応じて」とあり、数値の目標は無い。自己株は211株しか持たず、買い戻しの実績もない。
借入は13.8億円のシンジケートローンで、2029年3月に返済期限が来る。土地と建物が担保で、財務制限条項に純資産の維持と、経常損失を2期続けないことが付く。現金は約8億円で、借金を引いた純負債は6億円だ。
土地は車関連で簿価23億円を保有し、ここに含み益があるかは確認できていない。有価証券や持ち合い株は確認できなかった。M&Aの実績は、2019年の完全子会社ベルガレージの吸収合併程度だ。
株主は、筆頭の個人が16%、取引先の持株会が9%で、上位合計が約5割を占める。少数株主が還元を動かしにくい構造と見て、戻し方は0.5と置く。株主優待は確認できなかったので、数えない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
時価総額27億円は、自己資本45億円の約6割にすぎない。ならした純利益3億円に対するPERは約9倍で、PBRは0.6倍だ。車関連のセグメント利益率8%は堅く、業務スーパーは毎年1店ほど増えて、売上が前期に2割伸びた。
物価が3%で続く世界では、店舗網と土地を持つ会社が有利になる。土地は簿価で23億円ある。千葉の郊外の大きな敷地は、同じ値段では二度と手に入らない。簿価に対して時価が上にある可能性が高く、含み益は価値に入れていない。
配当性向13%は低すぎる。会社が還元を強めれば、割安さは一気に解消する。純負債は6億円まで縮み、返済を終えれば、現金が利益ほどのペースで溜まる。小さい会社なので、買い手が現れる可能性もある。2027年3月期に営業利益が減る予想の理由は確かめられていないが、会社の予想が保守的な可能性もある。経常利益は4億円を見込み、本業以外の稼ぎも安定している。さらに、車関連では整備の需要が車の高年式化とともに増える面もあり、需要の底は堅い。
慎重な見方
利益は、見た目ほど強くない。2026年3月期の純利益4.4億円は、税金の戻りという一過性で膨らんだ。本業の営業利益は3.2億円で、2027年3月期は2.6億円へ下がる予想だ。
営業利益率は3%台で、これはほぼ過去12年の最高だ。人件費は年3〜5%で上がり続け、車関連の整備は人手が命だ。電動化と車離れで、用品と整備の市場は縮む。業務スーパーは神戸物産の方針次第で、利益率は3%と薄い。
全社費用が約3億円と重く、セグメント利益の半分を食う。資本コスト8.25%に届かない稼ぎで、自己資本の6割という値段は、むしろ妥当に近い。
大株主は個人で、取引先の持株会と合わせ約5割を握る。配当性向13%の方針は変わりそうにない。現金が溜まっても、少数株主に戻る保証はなく、事業に使われれば価値が薄れる。借入の財務制限条項も、不振時には足かせになる。小さな会社の利益は、一つの店や一人の整備士の動きで簡単に揺れる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方の指摘がやや強い。強気の見方は、割安さの数字では正しい。だが、割安さが価値に変わるには、利益が資本コストを超えるか、現金が株主に戻る必要がある。どちらも今は確かめられない。利益は資本コストに届かず、現金は戻らない。一方で、土地と純資産という下値の固さは強気の見方の言い分が通る。確率は、中立とやや悲観に厚く置き、悲観は純資産の床まで下げた。悲観の確率を12%としたのは、電動化と整備の人手不足が重なる道が現実にあるためだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 280 円40 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 43 円6 億円)。 今の値に割り戻すと 156 円22 億円、今との差 −15.4%、 期待の年率 +5.8%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 493 円71 億円 | 83 円12 億円 | +213.3% | +12.1% | 46 円7 億円 |
| やや楽観 | 17% | 384 円56 億円 | 62 円9 億円 | +142.6% | +9.3% | 76 円11 億円 |
| 中立 | 35% | 327 円47 億円 | 45 円7 億円 | +102.4% | +7.3% | 130 円19 億円 |
| やや悲観 | 28% | 163 円24 億円 | 28 円4 億円 | +3.7% | +0.4% | 53 円8 億円 |
| 悲観 | 12% | 126 円18 億円 | 17 円3 億円 | −22.1% | −2.5% | 17 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 280 円40 億円 | 43 円6 億円 | +75.5% | +5.8% | 323 円47 億円 |
今の株価時価総額 184 円27 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 8% 店を増やし、車関連の利益率も戻る 利益 6 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 493 円71 億円
業務スーパーの出店が年に1店のペースを超えて続き、10年で15店になる。物価高で安さを求める客が定着し、1店の売上も物価並みに伸びる。車関連は、整備の単価を物価以上に上げ、セグメント利益率が9%に戻る。全社費用は店が増える分だけ重くなるが、売上に対する比率は下がる。稼ぎが増えて配当性向も上がり、10年の還元は12億円になる。時価総額が小さいため、買い手が現れる余地もこの筋書きでは広がる。筆者はこの筋書きを、会社が自分の力で選べる範囲の上限と見ている。大きな買収はなく、店舗の積み上げと値上げで届く。ただし、整備士の確保が前提になる。
- 車関連(カー用品・車検整備・車販売買取):数量 22.2(年間の取引件数(万件、推定))× 価格 4.20(1 件あたりの平均売上(万円・名目))→ 売上 93 億円・営業利益 8 億円。22.2 万件 × 1 件 4.2 万円(今の 1.40 倍)、セグメント利益率 9.0%
- 業務スーパー(フランチャイズ):数量 15.0(店舗数(店))× 価格 5.50(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 83 億円・営業利益 3 億円。15 店 × 1 店 5.5 億円(今の 1.38 倍)、セグメント利益率 3.8%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.6% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 71 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:千葉県内の7〜8店の小さな会社が、10年で業務スーパーを倍近くに増やし、車関連の利益率も9%に戻す道。会社が還元を強める前提も要り、実現は少数と見る。
やや楽観 17% 業務スーパーが伸び、車関連は堅さを保つ 利益 4 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 384 円56 億円
業務スーパーが12店まで増える。一つの店の売上は物価並みに伸びるが、利益率は3.6%で薄いまま。車関連は車検・整備の単価が物価に近い率で上がり、利益率は8%を保つ。全社費用も同じく物価で上がる。営業利益は5億円に届き、純利益は4.5億円になる。還元は9億円で、配当性向は2割台に上がる。大きな成長ではなく、堅実な積み上げの姿だ。車関連は10年で来店が3%減る前提を置く。人口の減少と車離れは続くが、整備の需要は車の使用年数が延びるほど底堅く、急には落ちない。電動化の影響は、この時点ではまだ限られている。値上げが毎年通ることが、この筋書きの条件だ。
- 車関連(カー用品・車検整備・車販売買取):数量 21.5(年間の取引件数(万件、推定))× 価格 4.08(1 件あたりの平均売上(万円・名目))→ 売上 88 億円・営業利益 7 億円。21.5 万件 × 1 件 4.08 万円(今の 1.36 倍)、セグメント利益率 8.0%
- 業務スーパー(フランチャイズ):数量 12.0(店舗数(店))× 価格 5.40(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 65 億円・営業利益 2 億円。12 店 × 1 店 5.4 億円(今の 1.36 倍)、セグメント利益率 3.6%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.3% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 54 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:業務スーパーは直近で売上が2割伸び、毎年のように店を増やしてきた。この勢いが10年続く前提で、車関連の堅さを保つ形。
中立 35% 車関連は緩やかに細り、店の増加が支える 利益 4 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 327 円47 億円
車関連の来店数は、10年で5%ほど減る。値段は物価並みの1.34倍まで上げ、利益率は7.3%に少し下がる。業務スーパーは10店に増え、利益率は3.3%を保つ。全社費用は物価で増え、4億円を超える。営業利益は3.8億円で、直近より少し上だ。純利益は3.6億円。配当性向は2割弱にとどまり、現金は少しずつ積み上がるが、株主に戻る分は少ない。筆者が最も起こりやすいと見る姿は、派手さのない横ばいだ。営業利益率は3%前後に張りつき、純利益は物価の分だけ増える。会社の規模は変わらず、10年後も千葉県内の小さな会社である。
- 車関連(カー用品・車検整備・車販売買取):数量 21.1(年間の取引件数(万件、推定))× 価格 4.02(1 件あたりの平均売上(万円・名目))→ 売上 85 億円・営業利益 6 億円。21.1 万件 × 1 件 4.02 万円(今の 1.34 倍)、セグメント利益率 7.3%
- 業務スーパー(フランチャイズ):数量 10.0(店舗数(店))× 価格 5.33(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 53 億円・営業利益 2 億円。10 店 × 1 店 5.33 億円(今の 1.34 倍)、セグメント利益率 3.3%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 43 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直近の利益水準と、人件費の上昇・車離れの綱引きを落ち着かせた形。一過性を除く純利益は3億円弱で、それが物価並みに少し伸びる。
やや悲観 28% 値上げが追いつかず、整備の人件費が重い 利益 2 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 163 円24 億円
整備士の確保に費用がかさみ、車検・整備の単価の上昇は物価に届かない。来店は10年で15%減る。車関連の利益率は6%に下がる。業務スーパーは神戸物産の出店方針と近隣競合の影響で9店にとどまり、利益率は3%に縮む。営業利益は2億円を割る。配当は小さいままで、借入の財務制限条項を意識した守りの経営になる。整備士の採用が難しくなり、予約を断る日が増えることも、売上の伸びを抑える。車関連の利益率は過去の水準の下限に近づき、全社費用の重さが際立つ。業務スーパーの新規出店は鈍る。それでも赤字にはならず、純資産を取り崩すこともない。
- 車関連(カー用品・車検整備・車販売買取):数量 18.8(年間の取引件数(万件、推定))× 価格 3.90(1 件あたりの平均売上(万円・名目))→ 売上 73 億円・営業利益 4 億円。18.8 万件 × 1 件 3.9 万円(今の 1.30 倍)、セグメント利益率 6.0%
- 業務スーパー(フランチャイズ):数量 9.0(店舗数(店))× 価格 5.17(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 47 億円・営業利益 1 億円。9 店 × 1 店 5.17 億円(今の 1.30 倍)、セグメント利益率 3.0%
倍率:ROE 3.2%(事業の純利益÷自己資本)。k 8.25% を大きく下回るので、PER は 1/k の約 7 割強の 8.5 倍に置く。
確率:人件費の上昇を整備の価格に載せきれず、全社費用も重い形。電動化の影響が早く出る場合も含む。
悲観 12% 車関連が構造的に縮み、全社費用が残る 利益 0 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 126 円18 億円
電動化で整備の収入が減り、車関連の来店が3割以上減る。競合の値下げで単価も物価に届かず、車関連の利益率は2.5%に落ちる。業務スーパーは不採算の店を閉じて7店になる。全社費用は縮めても残り、営業利益は赤字に沈む。財務制限条項の抵触で借入の条件が厳しくなり、土地を売って返す選択も出てくる。床は、土地の売却と借入の返済を引いた後の資産に置く。筆者はこの筋書きを、確率は低いが無視できないと見る。車の電動化と整備の価格競争が同時に来た時、全社費用の約3億円が最後まで残る。損失が2期続けば、借入の条件が一気に重くなる。
- 車関連(カー用品・車検整備・車販売買取):数量 14.4(年間の取引件数(万件、推定))× 価格 3.60(1 件あたりの平均売上(万円・名目))→ 売上 52 億円・営業利益 1 億円。14.4 万件 × 1 件 3.6 万円(今の 1.20 倍)、セグメント利益率 2.5%
- 業務スーパー(フランチャイズ):数量 7.0(店舗数(店))× 価格 4.78(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 34 億円・営業利益 1 億円。7 店 × 1 店 4.78 億円(今の 1.20 倍)、セグメント利益率 1.5%
倍率:稼ぐ力が消えるので、今の自己資本(45 億円)に PBR 0.4 を掛けた床(約 18 億円)で置く。
確率:電動化と車離れで整備・用品の需要が構造的に縮み、全社費用が残る形。起こる確率は低いが、起これば本業の稼ぎは赤字になる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
車関連(カー用品・車検整備・車販売買取)
千葉県内の店で、カー用品・タイヤ・車検・整備・新車と中古車の販売と買取を一か所で扱う。
| 数量年間の取引件数(万件、推定) | 価格1 件あたりの平均売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 22.2 | 3.00 | 67 | 5 |
| 10 年後 中立 | 21.1 | 4.02 | 85 | 6 |
取り方:取引件数は開示が無いので推定。売上66.5億円を1件あたり平均3万円(用品・タイヤ・整備の小口が中心で、車の販売は高額)として約22万件と置いた。セグメント利益は有報の5.36億円。
業務スーパー(フランチャイズ)
神戸物産とのFC契約で千葉県内に8店を運営し、冷凍・加工食品を安く売る。
| 数量店舗数(店) | 価格1 店あたりの年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8.0 | 3.98 | 32 | 1 |
| 10 年後 中立 | 10.0 | 5.33 | 53 | 2 |
取り方:有報の設備表で8店。売上31.9億円を8店で割った平均3.98億円。新しい店は通年でない店を含む。セグメント利益は有報の1.04億円。
リスクと懸念
配当性向13%と大株主の支配
配当は総額0.6億円で、利益の13%にとどまる。上位株主が約5割を持ち、少数株主が還元を変えさせる道は細い。現金が積み上がっても、株主に戻らない可能性が残る。
利益の一過性と全社費用
2026年3月期の純利益4.4億円は税金の戻りで膨らんだ。本業の営業利益は3.2億円で、来期は2.6億円へ下がる予想。全社費用が約3億円と重く、セグメント利益の半分を食う。
整備の人件費と電動化
車検・整備は人手が要り、人件費は名目で年3〜5%上がる。電動化は交換部品の収入を長期で減らす。価格に転嫁しきれないと、車関連の利益率8%が崩れる。
財務制限条項と借入
13.8億円のシンジケートローンに、純資産の維持と、経常損失を2期続けないことの条項が付く。不振が続くと条件が厳しくなり、土地売却などの選択を迫られる恐れがある。
業務スーパーの出店と提携への依存
業務スーパーは神戸物産とのFC契約で、商品供給・出店の方針に左右される。1店の利益率は3%と薄く、近隣競合が増えれば1店あたりの売上が落ちやすい。
今後の分かれ目
- 配当性向が30%以上に引き上げられたら
- 現金の戻り方を0.75〜1.0に近づけてよい。価値は積み上がる現金の分だけ上がる。
- 車関連のセグメント利益率が2期続けて7%を下回ったら
- 整備の人件費を価格に転嫁できていない合図。やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 業務スーパーが年2店以上のペースで増えたら
- 楽観・やや楽観の確率を上げてよい。ただし利益率が3%を保てるかを併せて見る。
- 土地の売却や賃貸への転換が発表されたら
- 含み益の現金化にあたる。価値に足せるのは、売却額から税と借入の返済を引いた分だけ。
- 買い手によるTOBが出たら
- 筋書きの外。買付価格を、資産(土地・純資産)と稼ぐ力の両方で見比べる。
見ておくもの
- 配当方針・自己株買いの開示と、純利益の配当性向
- 車関連のセグメント利益率と、整備の人件費の動き
- 業務スーパーの出店数と1店あたりの売上
倍率と資本コストの決め方
倍率は、ROE が資本コスト 8.25% に届かないことから 1/k(約 11.8 倍)を上限とし、堀が弱いので上限の 7〜9 割に置いた。今の株価・過去の PBR・同業の倍率は使っていない。純現金ではなく純負債(6 億円)なので余った現金は分けず、積み上がる現金は戻り方 0.5 で自動の計算に任せる。リース債務の記載は無く、業務スーパーの土地に賃借を含む可能性があるが、新リース会計基準で数字の形が変わる点は 10 年後も今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→12.12 倍・やや楽観 PER 10→12.12 倍・中立 PER 9.5→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。