結論
ありがとうサービスは、愛媛県今治市に本社を置く小売の会社だ。ハードオフやブックオフのフランチャイズ店を、四国・九州・沖縄で114店営む。筆者の結論は、今の値段は割安だというものだ。リユースの店を出し続ける力が、今の値段にほとんど映っていない。
稼ぎの柱はリユースで、売上の4分の3と利益のほぼすべてを生む。中古の家電・楽器・衣料・本を店で買い取り、検品して売る。仕入れは客から来るので、店の数と買取の腕が利益を決める。2026年2月期のリユースの利益率は16%と、小売としては高い。
伸びしろは九州だ。会社は福岡県を中心に出店を急ぐと明言し、この半年でリユースの利益は4割増えた。カンボジアとタイの店も育っている。一方で、モスバーガーなどの飲食は横ばい、温浴施設の運営は赤字が続く。
弱い所もある。店の看板は他社のもので、フランチャイズの契約に縛られる。創業家の資産会社が株の3分の1を持ち、配当性向は25%にとどまる。それでも、10年で店を3割増やす筋書きが中立なら、今の値段は利益の数年分にすぎない。安全域は厚いと筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ありがとうサービスは「目立たないが、よく回る事業」だ。中古品の店は、仕入れを客が運んでくる。在庫を抱える危うさはあるが、値段を自分で付けられ、利益率は小売としては高い。
経営は、稼いだお金を店に回し、借入を減らしてきた。出店の判断は堅実で、赤字の店を早く閉じる。温浴施設の赤字は気になるが、規模は小さく、撤退も進めている。
筆者がいちばん気にしているのは、株主への戻し方だ。配当性向は25%で、利益の4分の3は会社に残る。それが出店で高い利益を生むなら問題はない。だが、店を出す場所が尽きたあと、ためた現金がどこへ向かうかは、創業家の考え次第になる。
安全域の目で見ると、今の値段はこの半年の利益の勢いの数年分しかない。たとえ出店が止まっても、今の店の稼ぎだけで今の値段はほぼ説明がつく。オーナーとして持ち続けたい事業かと問われれば、条件付きでそうだと答える。条件は、資本を出店に使い続け、使えない分は株主に戻すことだ。
何で稼ぐ会社か
事業は3つある。リユース、フードサービス、地方創生だ。
リユースは2026年2月期の売上86億円、セグメントの利益14億円で、会社の稼ぎのほぼすべてだ。ハードオフコーポレーションのハードオフ・オフハウス・ホビーオフと、ブックオフのフランチャイズ店を営む。国内は愛媛・山口と九州・沖縄に103店ある。福岡県だけで26店を持ち、熊本・大分・鹿児島にも広げてきた。
フランチャイズの店は、本部の看板と値付けの仕組みを使い、ロイヤルティを払う。その代わり、出店の判断と店の運営、人の育成は自社で決める。中古品は客から買い取るので、仕入れの量は店の数と買取の腕で決まる。新品の小売と違い、売れ残りの値下げより、買い取る値段を正しく付けることが利益を左右する。
海外では、自社のブランドMOTTAINAI WORLDで、カンボジアに7店、タイに4店を持つ。日本で売れ残った中古品を送り、現地で売る。タイの会社は議決権の49%だが、実質の支配で子会社にしている。
フードサービスは売上25億円で、モスバーガーのフランチャイズ店が中心だ。トマト&オニオンや自社の和食店とり壱もある。利益は2億円台で、リユースの6分の1にとどまる。
地方創生は、今治市の鈍川温泉など、自治体の温浴・宿泊施設を指定管理者として運営する。売上4億円で、毎年2億円の赤字を出す。会社は撤退と集中を進めており、この半年で2施設の運営を終えた。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、地域での店の網と人の育成にあると筆者は見る。ハードオフのフランチャイズでは、地域ごとに出店できる会社が決まる。四国と九州でこれだけの店を持つ会社は少なく、後から入る会社は良い立地を取りにくい。
値段を決める力は普通だ。中古品は一点ごとに値段が違い、売値も買値も店が決める。物価が上がれば売値も買値も上がるので、利益の額は量で決まる。リユースの利益率は16%前後で、この数年安定している。
弱さは2つある。1つは看板が他社のものであることだ。フランチャイズの契約が変われば、取り分も変わりうる。もう1つは、利益の小さな飲食と、赤字の温浴施設を抱えていることだ。経営の時間とお金が、稼ぐ事業以外にも割かれている。
資本の効率は良い。自己資本利益率は2026年2月期で14%と、資本コストを大きく上回る。借入は年々減り、手元の現金が借入を上回る純現金になった。ただ、店は借りて営んでおり、家賃は毎年払う固定の約束だ。純現金の数字ほど財務が軽いわけではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の中古品の市場は、15年続けて大きくなっている。リユース経済新聞の推計では、2024年に3兆2,600億円になった。不況の年も節約の需要で伸びてきた、珍しい小売の市場だ。環境省は2030年に4兆6,000億円という目標を掲げる。
店で買い取る会社にとって最大の相手は、メルカリなどのフリマアプリだ。個人どうしで売り買いできるので、売る客の一部はアプリに流れた。それでも、家具や家電、楽器のように大きくて送りにくい物、値段がわかりにくい物は、店に持ち込む客が多い。ハードオフの得意な品は、まさにそこだ。
物価が上がる世界は、中古品には追い風になる。新品の値段が上がるほど、中古を選ぶ客が増える。ただ、買い取る値段も上がるので、利益の額は売る点数で決まる。中古の値段が物価並みに上がり、点数は市場の伸びと店の数で増える、と筆者は置く。
九州は人口の減りが比較的ゆるく、福岡市は今も人が増えている。半導体の工場が集まる熊本も、人と所得が増えている。地方の人口の減りは、四国の店の点数を少しずつ削るが、九州の出店がそれを補う。
競合は、ゲオのセカンドストリート、トレジャー・ファクトリー、ブックオフの直営店、地域の買取店だ。セカンドストリートは九州でも店を増やしており、立地の取り合いは強まる。
資本政策と M&A
還元は年1回の配当で、2026年2月期は総額1.25億円だった。配当性向は25%で、小売の同業より低い。自社株買いの実績はない。利益の大半は出店と借入の返済に回してきた。
大株主は創業家の資産会社イモトカンパニーで、株の35%を持つ。社長の井本雅之氏も個人で3%弱を持つ。従業員の持株会が6%で、株主の数は2,000人に満たない。創業家が経営を握る形は、長い目で店を育てるには向くが、少数の株主に現金を戻す力は弱い。
買収は、2020年に同業のエージーワイを子会社にして店を増やした例がある。九州の出店を急ぐ今、同じような店の買収が続く可能性はある。株主優待の開示は見当たらない。
株は流通が少なく、時価総額は40億円台だ。創業家が残りの株を買い取る非公開化も、ありうる道として頭に置いておきたい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
リユースは、物価が上がり続ける世界で強い小売だ。新品が高くなるほど中古を選ぶ客が増え、売り手も家に眠る物を現金に換えたくなる。国内の中古品の市場は15年続けて伸び、不況でも縮まなかった。
この会社は、その市場の中で一番伸びる場所にいる。福岡県を中心に九州で店を増やし、この半年でリユースの利益は4割増えた。九州は人口の減りがゆるく、熊本は半導体の工場で人と所得が増えている。ハードオフの看板で、九州の良い立地を押さえられる会社は限られる。
海外も育っている。カンボジアとタイの店は、日本で売れ残った中古品をさばく出口になる。国内で値の付かない品にも、値が付く。
利益の柱は既に厚い。リユースの利益率は16%で、店を出すたびに同じ形の利益が積み上がる。借入は減り、純現金になった。今の値段は、この半年の利益の勢いから見て数年分の利益にすぎない。店の数が10年で5割増えれば、利益は3倍になる。
飲食の赤字の店を閉じ、温浴施設から手を引けば、本社の費用の重さも軽くなる。稼ぐ事業だけが残れば、利益率はさらに上がる。
慎重な見方
看板は他社のものだ。ハードオフとブックオフの本部が取り分を上げれば、利益率はすぐ下がる。本部が自ら九州で直営の店を増やせば、立地の取り合いで負ける。フランチャイズの会社は、本部の方針から自由になれない。
フリマアプリは、店の買取を少しずつ食っている。小さくて送りやすい品は、既にアプリに流れた。若い世代ほど店に持ち込まず、スマホで売る。10年たてば、店に持ち込む客は今より細るおそれがある。
人手も重い。中古品は一点ごとに検品し、値を付けるので、人の手が欠かせない。最低賃金は毎年上がり、地方でも人は集まりにくい。家賃も固定の約束で、売上が落ちても下がらない。
経営の時間も分散している。モスバーガーの店、自社の和食店、温浴施設まで抱え、温浴施設は毎年2億円の赤字だ。配当性向は25%で、ためた現金がどう使われるかは創業家が決める。少数の株主には、ためた利益を引き出す手立てがない。
今の好調も、相場の良い時期に重なっただけかもしれない。中古品の値段が下がる年には、在庫の値下げで利益が一度に削られる。
どちらに重みを置いたか
強気の見方の方が強い。九州の出店の効果は、この半年の利益の4割増しという数字で既に見えている。慎重な見方の論点は、フランチャイズの契約とフリマアプリと人手で、どれも10年で効いてくる本物の重しだ。ただ、どれも今の値段がすでに大きく割り引いている。中立は店の数を3割強増やす筋書きに置き、確率はやや楽観の側に少し寄せた。悲観は家賃が固定費として残る筋書きにし、少数株主に届く資産の床で置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 18,556 円171 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,847 円17 億円)。 今の値に割り戻すと 9,852 円91 億円、今との差 +125.2%、 期待の年率 +16.6%(資本コスト 8.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 37,899 円350 億円 | 3,009 円28 億円 | +835.1% | +25.0% | 3,273 円30 億円 |
| やや楽観 | 22% | 28,808 円266 億円 | 2,501 円23 億円 | +615.6% | +21.8% | 6,888 円64 億円 |
| 中立 | 37% | 22,195 円205 億円 | 2,128 円20 億円 | +455.9% | +18.7% | 8,999 円83 億円 |
| やや悲観 | 22% | 3,884 円36 億円 | 1,061 円10 億円 | +13.0% | +1.2% | 1,088 円10 億円 |
| 悲観 | 11% | 1,083 円10 億円 | 325 円3 億円 | −67.8% | −10.7% | 155 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 18,556 円171 億円 | 1,847 円17 億円 | +366.4% | +16.6% | 20,403 円188 億円 |
今の株価時価総額 4,375 円40 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 九州とアジアで店が6割増え、利益が3倍超になる 利益 17 億円 · PER 18.8 倍 · 株価時価総額 37,899 円350 億円
10年後、ありがとうサービスは九州で最も店の多いハードオフのフランチャイズの会社になっている。福岡・熊本を中心に店を出し続け、国内の店は150を超える。カンボジアとタイの店も20を超え、日本で値の付かない品を売る出口として育つ。
新品の値段が上がり続け、中古を選ぶ客が増える。売る点数は今の1.6倍になり、リユースの利益率は17%に上がる。店の数が増えるほど、物流と人の育成の費用が1店あたりで軽くなるからだ。
温浴施設の運営からはほぼ手を引き、飲食は利益の出る店だけが残る。全社の営業利益は今の3倍になる。配当は利益に合わせて増えるが、配当性向は低いまま、現金は出店と店の買収に回る。
- リユース(ハードオフ・ブックオフのFC、海外):数量 912(推定販売点数(万点))× 価格 2.07(1点あたり平均単価(千円))→ 売上 189 億円・営業利益 32 億円。九州とアジアで店が6割増える
- フードサービス(モスバーガーのFCほか):数量 260(推定客数(万人))× 価格 1.38(客単価(千円))→ 売上 36 億円・営業利益 4 億円。利益の出る店だけ残る
- 地方創生(温浴・宿泊施設の運営):数量 7.2(推定利用者数(万人))× 価格 2.76(1人あたり単価(千円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。ほぼ撤退
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 24.4% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 16.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.8 倍。全体の PER 18.83 倍、時価総額 326 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:この半年でリユースの利益が4割増えた勢いが続く道。出店の場所と人の育成が10年続く必要があり、1割弱に置いた。
やや楽観 22% 九州の出店が続き、店が4割強増える 利益 14 億円 · PER 18.1 倍 · 株価時価総額 28,808 円266 億円
10年後、ありがとうサービスは九州の出店を続け、リユースの店は4割強増えている。福岡県の都市部と郊外に店を重ね、熊本や鹿児島の空白も埋める。海外の店も少しずつ増える。
売る点数は今の1.45倍になり、リユースの利益率は16%を保つ。人の育成の仕組みが回り、新しい店も数年で今の店と同じ利益を出す。
飲食は横ばいで、温浴施設の赤字は半分ほどに縮む。全社の営業利益は今の2倍強になる。配当は増えるが配当性向は低く、ためた現金は次の出店と店の買収に向かう。フランチャイズの本部との関係も、今の取り分のまま続く。
- リユース(ハードオフ・ブックオフのFC、海外):数量 827(推定販売点数(万点))× 価格 2.04(1点あたり平均単価(千円))→ 売上 169 億円・営業利益 27 億円。九州の出店が続く
- フードサービス(モスバーガーのFCほか):数量 248(推定客数(万人))× 価格 1.36(客単価(千円))→ 売上 34 億円・営業利益 3 億円。横ばい
- 地方創生(温浴・宿泊施設の運営):数量 10.9(推定利用者数(万人))× 価格 2.72(1人あたり単価(千円))→ 売上 3 億円・営業利益 −1 億円。赤字が縮む
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 21.0% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.1 倍。全体の PER 18.11 倍、時価総額 245 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社が明言する福岡県を中心の出店が、この半年の勢いのまま数年続く道。中立より少し強い勢いで、2割強に置いた。
中立 37% 九州で店を3割強増やし、利益が2倍強になる 利益 11 億円 · PER 17.3 倍 · 株価時価総額 22,195 円205 億円
10年後、ありがとうサービスのリユースの店は今より3割強多い。福岡県を中心に年3〜4店を出し、古い店は移転と改装で保つ。既存の店の点数は、フリマアプリと地方の人口の減りでほぼ横ばいにとどまる。
中古品の値段は物価並みに上がり、リユースの売上は今の1.8倍になる。利益率は15%で、人件費と家賃の上昇を、店の数の効果で吸収する。海外の店は日本で売れ残った品の出口として、少しずつ利益を足す。
飲食は人手の不足で客数が少し減るが、利益は保つ。温浴施設は撤退が進み、赤字は今より小さくなる。全社の営業利益は今の2倍弱、純利益は2倍強になる。配当は利益に合わせて増え、残りは出店と借入の返済に回る。
- リユース(ハードオフ・ブックオフのFC、海外):数量 770(推定販売点数(万点))× 価格 2.01(1点あたり平均単価(千円))→ 売上 155 億円・営業利益 23 億円。店が3割強増える
- フードサービス(モスバーガーのFCほか):数量 236(推定客数(万人))× 価格 1.34(客単価(千円))→ 売上 32 億円・営業利益 3 億円。客数が少し減る
- 地方創生(温浴・宿泊施設の運営):数量 13.6(推定利用者数(万人))× 価格 2.68(1人あたり単価(千円))→ 売上 4 億円・営業利益 −1 億円。撤退で赤字が縮む
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 18.0% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.3 倍。全体の PER 17.31 倍、時価総額 187 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社が出店の加速を明言し、この半年の利益の伸びもそれを裏づける。フリマアプリと人手の重しを入れても最も起こりやすいので、最も厚く置いた。
やや悲観 22% 出店が止まり、人件費と家賃で利益率が削られる 利益 3 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 3,884 円36 億円
10年後、ありがとうサービスの出店は数年で止まっている。九州の良い立地はセカンドストリートや本部の直営の店と取り合いになり、店の数は1割も増えない。既存の店の点数も、フリマアプリと人口の減りで少しずつ減る。
人件費は毎年上がり、家賃も下がらない。中古品の検品と値付けには人の手が要り、その費用が利益を削る。リユースの利益率は10%に下がる。
飲食は人手の不足で赤字の店が増え、温浴施設の赤字も残る。全社の営業利益は今の半分ほどになる。配当は細り、ためた現金は使い道の乏しいまま会社に残る。少数の株主は、それを引き出す手立てを持たない。
- リユース(ハードオフ・ブックオフのFC、海外):数量 599(推定販売点数(万点))× 価格 1.88(1点あたり平均単価(千円))→ 売上 112 億円・営業利益 11 億円。出店が止まり点数が伸びない
- フードサービス(モスバーガーのFCほか):数量 211(推定客数(万人))× 価格 1.25(客単価(千円))→ 売上 26 億円・営業利益 2 億円。赤字の店が増える
- 地方創生(温浴・宿泊施設の運営):数量 13.6(推定利用者数(万人))× 価格 2.50(1人あたり単価(千円))→ 売上 3 億円・営業利益 −2 億円。赤字が残る
倍率:ROE4.6%がk8.0%を下回るので、PERの上限は1÷k=12.5倍。家賃が固定費として残り利益が振れやすいので上限の約7割(9.0倍)。
確率:フリマアプリと人手の不足、セカンドストリートとの立地の取り合いが重なる道。過去にも利益率が2〜4%に落ちた年があり、2割強に置いた。
悲観 11% フランチャイズの条件が悪くなり、フリマアプリに客を奪われる 利益 −2 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,083 円10 億円
10年後、ありがとうサービスは構造的に負けている。フランチャイズの本部が取り分を上げ、九州で直営の店を増やす。売る客はフリマアプリに移り、店の点数は今より15%減る。
リユースの利益率は6%に下がり、家賃と人件費は落ちない。飲食はほぼ利益を出せず、温浴施設の赤字が全社を赤字に沈める。会社は店を閉じ、減損で自己資本を減らす。
配当は大きく減る。手元の現金と在庫は残るが、店の原状回復の費用や家賃の約束がそれを食う。創業家が経営を握る形では、少数の株主に残るのは売れる資産のごく一部だけだ。
家賃の約束は店を閉じるまで続き、売上が落ちた分はそのまま赤字になる。
- リユース(ハードオフ・ブックオフのFC、海外):数量 485(推定販売点数(万点))× 価格 1.72(1点あたり平均単価(千円))→ 売上 84 億円・営業利益 5 億円。本部の条件とアプリに負ける
- フードサービス(モスバーガーのFCほか):数量 174(推定客数(万人))× 価格 1.15(客単価(千円))→ 売上 20 億円・営業利益 0 億円。ほぼ利益が出ない
- 地方創生(温浴・宿泊施設の運営):数量 13.6(推定利用者数(万人))× 価格 2.30(1人あたり単価(千円))→ 売上 3 億円・営業利益 −2 億円。赤字が残る
倍率:赤字でPERは使えない。今の自己資本34.2億円に0.29倍。床の資産10億円(floor_assets)で置いた。
確率:本部の方針の転換と、フリマアプリへの客の移りが重なる構造的な負け。純現金で財務の存続の疑いは無いので1割強に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
リユース(ハードオフ・ブックオフのFC、海外)
ハードオフ・オフハウス・ホビーオフ・ブックオフのフランチャイズ店(国内103店)と、カンボジア・タイの自社ブランドの店(11店)。中古品を買い取って売る。
| 数量推定販売点数(万点) | 価格1点あたり平均単価(千円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 570 | 1.50 | 86 | 14 |
| 10 年後 中立 | 770 | 2.01 | 155 | 23 |
取り方:セグメントの売上85.51億円・利益13.72億円(2026/02期の招集通知)。点数の開示は無く、1点の平均単価を1.5千円と推定し約570万点とした。中立の数量は、九州の出店で店の数が10年で3割強増え(114店→約150店)、既存店の点数は市場の実質の伸びと地方の人口の減りでほぼ横ばいとして1.35倍。価格は物価並み1.34倍。
フードサービス(モスバーガーのFCほか)
モスバーガーのフランチャイズ店を中心に、トマト&オニオン、とり壱など24店。
| 数量推定客数(万人) | 価格客単価(千円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 248 | 1.00 | 25 | 2 |
| 10 年後 中立 | 236 | 1.34 | 32 | 3 |
取り方:セグメントの売上24.84億円・利益2.28億円(同)。客数の開示は無く、客単価を1.0千円と推定し約250万人とした。中立の数量は地方の人口の減りと人手の不足で10年0.95倍、価格は物価並み。
地方創生(温浴・宿泊施設の運営)
今治市の鈍川温泉など、自治体の温浴・宿泊施設を指定管理者として運営する(8施設)。
| 数量推定利用者数(万人) | 価格1人あたり単価(千円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 18.1 | 2.00 | 4 | −2 |
| 10 年後 中立 | 13.6 | 2.68 | 4 | −1 |
取り方:セグメントの売上3.63億円・損失2.04億円(同)。利用者数の開示は無く、1人あたり2.0千円と推定し約18万人とした。会社は撤退と集中を進め、2026年8月までに2施設の運営を終えたので、中立の数量は0.75倍、赤字は縮むが残ると置いた。
リスクと懸念
フランチャイズの契約と本部の方針
店の看板はハードオフとブックオフの本部のものだ。ロイヤルティの引き上げや、本部が九州で直営の店を増やす方針に変われば、利益率と出店の余地がともに削られる。
フリマアプリへの客の移り
メルカリなど個人どうしの売り買いが広がり、小さくて送りやすい品は店に来にくくなった。若い世代ほどアプリを使い、店の買取の点数が少しずつ減るおそれがある。
人件費と家賃の固定費
中古品は一点ごとに検品し値を付けるので人の手が要る。最低賃金は毎年上がり、店は借りて営むので家賃は売上が落ちても下がらない。純現金の数字ほど財務は軽くない。
九州での立地の取り合い
ゲオのセカンドストリートやトレジャー・ファクトリーも九州で店を増やしている。良い立地を取れなければ、出店の勢いは数年で止まる。
飲食と温浴施設の赤字
温浴施設の運営は毎年2億円前後の赤字を出す。飲食も人手の不足で利益が細りうる。稼ぐ事業以外に、経営の時間とお金が割かれる。
創業家の支配と少ない還元
創業家の資産会社が株の35%を持ち、配当性向は25%にとどまる。ためた現金の使い道は創業家が決め、少数の株主には引き出す手立てがない。
今後の分かれ目
- 福岡県を中心に年3店以上の出店が3年続いたら
- 中立の店の数を上げ、やや楽観の確率を厚くする。
- リユースの既存店の売上が2年続けて減ったら
- フリマアプリへの客の移りが強まったと見て、中立の点数を下げる。
- フランチャイズの契約の条件が変わったと開示されたら
- 取り分の変化を利益率に入れ、悲観の確率を上げる。
- 温浴施設の運営から全面的に手を引いたら
- 本社の費用と赤字が軽くなり、中立の利益率を上げる。
- 配当性向を引き上げるか自社株買いを始めたら
- ためた現金の戻り方を1.0に近づける。
- 創業家が非公開化を示したら
- 本質価値の外の話として、条件と少数株主の扱いを見て判断する。
見ておくもの
- リユースの店の数(国内・海外)と出店の地域
- リユースの既存店の売上と利益率
- 温浴施設の運営の撤退の進み
- 配当性向と現金の使い道
- フランチャイズの本部の方針(直営の出店・ロイヤルティ)
倍率と資本コストの決め方
3つの事業に分け、点数と客数は推定、価格は物価並みで積んだ。中立の営業利益率9.5%は過去12年の山8.3%を超えるが、2027/02期上期の実績11.0%と、利益率16%のリユースの比率の上昇で説明できる。倍率は式(RONIC9.8%、g4%)の8割5分。今のPER9倍弱やPBR1.2倍とは比べただけで、そこから置いていない。2028/02期からの新リース会計で営業利益と負債の形が変わるが、10年後の数字は家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14.6→18.83 倍・やや楽観 PER 13.2→18.11 倍・中立 PER 12.6→17.31 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にquality+0.5%。黒字が続き純現金で、上乗せは置かない。