結論
コナカは、横浜に本社を置く紳士服のチェーンだ。「紳士服コナカ」「フタタ」「SUIT SELECT」、オーダーの「DIFFERENCE」を営み、バッグのサマンサタバサも傘下に持つ。筆者の結論は「割高」で、いちばんの理由は、本業がほとんど稼げていないことにある。
2025年9月期まで6期続けて営業赤字だった。2026年9月期は持ち合いの株と土地を売り、純利益は大きく出るが、本業の営業利益は5億円に満たない見込みだ。財務の条件に触れた借入もあり、会社自身が事業の継続に重要な事象があると開示している。
PBRは0.5倍を切り、帳簿から見れば安い。だが、資本コストを稼げない事業では、帳簿の額は安全域にならない。スーツを着る人は減り続け、店の家賃は売上が落ちても変わらない。売れる資産はすでにかなり売った。筆者は、本業が小さな黒字に戻る姿を中心に置く。それでも10年の価値は今の値段の半分前後にとどまる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「帳簿の安さに引かれてはいけない」典型だ。PBRは0.5倍を切り、敷金と土地と在庫の合計は時価総額を大きく上回る。だが、それを株主が受け取れるのは、店を閉じて会社をたたむ時だけだ。会社は清算されないので、資産は赤字の店を支えるために使われ続ける。
事業の行く先も明るくない。スーツの需要は10年後も減っている。店の家賃は固定の約束で、売上が落ちても下がらない。サマンサタバサの買収は、資本を価値の低い所に投じた例になった。
株主のものになる利益は、ほぼゼロだ。配当は資産の売却で払ってきた。筆者は、オーダーのスーツの芽は評価しつつ、払う値段に見合う稼ぐ力は無いと考える。持ち続けたいと思える条件は、本業の営業利益が3年続けて黒字になり、サマンサタバサの赤字が止まることだ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は紳士服の店だ。郊外の幹線道路沿いの「紳士服コナカ」と、九州を地盤とする「フタタ」でスーツやシャツ、礼服を売る。駅前や商業施設には、2着で値段を決めた「SUIT SELECT」を置く。オーダーの「DIFFERENCE」は、採寸のデータで体に合わせたスーツを作る店で、ここが今いちばん伸びている。2026年にはAIで採寸する新しい店も出した。
もう1つの柱が、2022年に子会社にしたサマンサタバサだ。若い女性向けのバッグや財布の店を持つが、赤字が続き、店とブランドを減らす構造改革の最中にある。ほかに飲食の店と、幼児向けの教育の事業を小さく営む。
お金の流れは小売そのものだ。店はほぼすべて借りていて、敷金と保証金を約75億円差し入れている。家賃は売上が落ちても毎月出ていく。スーツは季節の商品で、在庫を100億円ほど持つ。在庫と運転資金は銀行の借入で賄ってきた。2026年には持ち合いの株と土地を売り、借入を30億円ほど減らした。
売上はグループで約550億円だが、紳士服の市場は縮み続け、店の数も減っている。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、ほぼ無い。紳士服の郊外の店は、青山商事の「洋服の青山」やAOKIと同じ形で、品ぞろえも値段も似ている。客は値引きのチラシと立地で店を選ぶ。ユニクロや無印良品の安い服、ネットの通販も、ビジネスの服の需要を奪っている。
値段を決める力も弱い。スーツの単価は、働き方の変化と在宅の勤務で上がりにくい。原価は円安と人件費で上がるが、客の財布は固い。業界の2強が値段を据え置けば、コナカも合わせるしかない。
資本効率は、資本コストに遠く及ばない。過去10年のROEの中央値はマイナス4.7%で、黒字の年も資産の売却益に頼った。サマンサタバサの買収は、今のところ価値を壊した側だ。オーダーのDIFFERENCEには伸びしろがあり、これが小さな強みの芽だ。ただ、全社の赤字を埋めるほどの規模にはまだ遠い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
紳士服の市場は、長く縮み続けている。スーツを着る仕事が減り、在宅の勤務とビジネスカジュアルが広がった。若い人の数も減り、新社会人の需要も細る。紳士服の専門店の市場は、ピークの1990年代の半分以下になった。礼服と就職活動の需要は残るが、量は人口とともに減る。
生き残りの道は、業態を変えることだ。青山商事はリユースやフランチャイズの事業を足し、AOKIはネットカフェやフィットネスの事業で稼ぐ。紳士服の店そのものは、各社とも数を減らしている。コナカはオーダーのスーツとサマンサタバサで違う道を探ったが、後者はうまくいっていない。
オーダーのスーツは数少ない伸びる分野だ。採寸のデータとネットの注文を組み合わせ、在庫を持たずに売れる。ただ、大手の各社も同じ分野に力を入れ、値段の競争が始まっている。
10年で見ると、紳士服の店の数は今の7〜8割に減り、1店の売上は物価並みに上がる程度だと筆者は見る。家賃と人件費は上がり続けるので、店の数を減らしながら利益を出すのは難しい。郊外の店の跡地は、ドラッグストアや飲食の店に貸すか売る道がある。
資本政策と M&A
還元は配当で、総額で年約3.4億円、利回りは4%台だ。本業が赤字の年も配当を続けてきたが、その原資は資産の売却だった。株主優待は20%の割引券で、会社の費用は値引きの分の粗利にとどまり、年1億円に満たないとみて還元には足していない。
資本の使い方には疑問が残る。2022年にサマンサタバサを買ったが、赤字が続き、構造改革に追われている。2026年9月期には、持ち合いの株の大半と土地の一部を売り、約34億円の売却益を出した。そのお金で借入を減らした。
財務は立て直しの途中だ。財務の条件に触れた借入があり、当座借越の枠もほぼ使い切っている。銀行との関係が事業の継続の前提になっている。創業家が経営を担い、外からの買収や再編の動きは見えない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
PBRは0.5倍を切る。自己資本は約170億円で、時価総額の2倍を超える。敷金と保証金が約75億円、土地が約59億円、在庫が約100億円ある。会社は2026年に持ち合いの株と土地を売って借入を30億円ほど減らし、自己資本比率を46%まで上げた。
本業も底を打ちつつある。2026年9月期は7期ぶりに営業黒字を見込む。オーダーのDIFFERENCEは伸びており、AIで採寸する新しい店も出した。体に合ったスーツを手ごろな値段で作る需要は、既製品の縮みとは別に伸びる。猛暑対策の機能の服やビジネスカジュアルも、来店の客を増やした。
サマンサタバサは店とブランドを絞り、赤字を減らす。構造改革が終われば、グループの足を引っ張る力は弱まる。郊外の店の跡地は貸すか売れば現金になる。配当は年約3.4億円を続け、優待の割引券もある。2026年9月期は売却益で純利益が約16億円に膨らみ、自己資本比率も上がった。銀行の目も和らぎ、在庫を絞りながら新しい業態に手を回せる。どこかで資産の値打ちが見直されれば、株価は大きく戻る。
慎重な見方
6期続けて営業赤字で、会社自身が事業の継続に重要な事象があると開示している。財務の条件に触れた借入があり、当座借越の枠もほぼ使い切った。2026年の黒字は持ち合いの株と土地の売却益で、本業の営業利益は5億円に満たない。4〜6月は営業赤字が広がった。
スーツの需要は構造的に縮む。在宅の勤務とビジネスカジュアルが定着し、若い人も減る。青山商事とAOKIが値段を据え置けば、コナカも合わせるしかない。店の家賃は売上が落ちても変わらず、赤字の店を閉じれば閉店の損と資産除去の費用が出る。
サマンサタバサの買収は失敗に近い。売れる資産はすでにかなり売り、次の赤字を埋める手は細る。PBRの安さは、帳簿の資産が株主に届かないことを市場が正しく見た結果だ。会社は清算されず、資産は赤字の店に使われ続ける。2028年9月期からは新しいリースの会計で家賃の約束が負債に載り、自己資本比率は見かけより大きく下がる。在宅の勤務が戻る見込みも薄く、礼服と就職活動の需要も人口とともに減る。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方の方が強い。本業は6期続けて赤字で、黒字は資産の売却益だった。スーツの需要の縮みと固定の家賃は、10年で見ても変わらない。確率はやや悲観と悲観を厚くし、楽観は1割に満たない。帳簿の資産は清算されない限り株主に届かず、10年の価値は今の値段の半分前後にとどまる。割高だ。PBRの安さは、清算されない会社では値打ちの手がかりにならないと判断した。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した株価時価総額 196 円66 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 77 円26 億円)。 今の値に割り戻すと 119 円40 億円、今との差 −47.9%、 期待の年率 +1.8%(資本コスト 10.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 627 円212 億円 | 118 円40 億円 | +227.0% | +12.6% | 52 円18 億円 |
| やや楽観 | 18% | 387 円131 億円 | 107 円36 億円 | +116.4% | +8.0% | 89 円30 億円 |
| 中立 | 35% | 151 円51 億円 | 89 円30 億円 | +5.0% | +0.5% | 84 円28 億円 |
| やや悲観 | 25% | 83 円28 億円 | 59 円20 億円 | −37.7% | −4.6% | 36 円12 億円 |
| 悲観 | 15% | 59 円20 億円 | 24 円8 億円 | −63.7% | −9.6% | 12 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 196 円66 億円 | 77 円26 億円 | +19.6% | +1.8% | 273 円92 億円 |
今の株価時価総額 228 円77 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.5% を下回るほど割高。
楽観 7% オーダーが育ち、二つの赤字が止まる 利益 21 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 627 円212 億円
採寸のデータとAIを使うオーダーのスーツが、既製品の縮みを補って伸びる。DIFFERENCEの店は都市で増え、郊外の紳士服の店は数を減らしながら利益の出る店だけが残る。店の数はほぼ今のまま、1店の売上は物価を少し上回って上がる。サマンサタバサは店とブランドを絞った後、ネットと人気の作家との協業で黒字に戻る。全社の営業利益率は4%台に乗り、過去20年の水準を取り戻す。家賃は上がるが、利益の出る店に絞ったことで吸収できる。借入はさらに減り、配当も少し増える。ROEは資本コストにわずかに届かず、株価は利益の8倍台で自己資本を少し下回る。
- 紳士服・オーダー(コナカ・フタタ・SUIT SELECT・DIFFERENCE):数量 409(店舗数(店、推定))× 価格 1.19(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 485 億円・営業利益 19 億円。店舗数 0.95 倍 × 1 店の売上 1.36 倍、営業利益率 4.0%
- サマンサタバサ:数量 149(店舗数(店、推定))× 価格 1.24(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 184 億円・営業利益 7 億円。店舗数 0.90 倍 × 1 店の売上 1.36 倍、営業利益率 4.0%
- フードサービス・教育:数量 48.0(店舗・教室数(か所、推定))× 価格 1.01(1 か所あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 48 億円・営業利益 2 億円。店舗・教室数 1.20 倍 × 1 か所の売上 1.34 倍、営業利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 21 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.2% が k 10.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 9.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 9.5 倍。全体の PER 9.52 倍、時価総額 196 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:オーダーのDIFFERENCEが紳士服の主役に育ち、サマンサタバサも黒字に戻る筋書き。2026年9月期に7期ぶりの営業黒字を見込む動きはあるが、過去12年の営業利益率の最高は3.3%で、確率は1割に満たない。
やや楽観 18% 紳士服が小さく稼ぎ、サマンサが下げ止まる 利益 13 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 387 円131 億円
紳士服の店は10年で15%減るが、オーダーと猛暑対策の機能の服で1店の売上は物価並みに上がる。営業利益率は3%と、過去10年では良い水準に戻る。サマンサタバサは店を2割減らし、小さな黒字に戻る。飲食と教育は物価並みに伸びる。家賃と人件費は上がり続けるが、店の数を減らして吸収する。借入の金利は上がり、利払いは少し増える。配当は今の総額を続ける。ROEは6%台で、資本コストには届かない。株価は利益の8倍台で、自己資本の6割ほどにとどまる。赤字を出す余地が減った分だけ、市場の見方は和らぐ。ただ、オーダーの伸びだけで全社を引き上げるには時間がかかる。
- 紳士服・オーダー(コナカ・フタタ・SUIT SELECT・DIFFERENCE):数量 366(店舗数(店、推定))× 価格 1.16(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 424 億円・営業利益 13 億円。店舗数 0.85 倍 × 1 店の売上 1.33 倍、営業利益率 3.0%
- サマンサタバサ:数量 132(店舗数(店、推定))× 価格 1.21(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 160 億円・営業利益 3 億円。店舗数 0.80 倍 × 1 店の売上 1.33 倍、営業利益率 2.0%
- フードサービス・教育:数量 44.0(店舗・教室数(か所、推定))× 価格 1.01(1 か所あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 2 億円。店舗・教室数 1.10 倍 × 1 か所の売上 1.34 倍、営業利益率 3.5%
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.5% が k 10.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 9.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 9.5 倍。全体の PER 9.52 倍、時価総額 122 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:オーダーと機能の服で紳士服が小さな黒字を続け、サマンサタバサが赤字を止める筋書き。2026年9月期の会社予想の営業利益4.2億円を足場に、少し上を描いた。
中立 35% 小さな黒字で縮みながら続く 利益 5 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 151 円51 億円
スーツの需要は在宅の勤務とビジネスカジュアルで縮み続け、紳士服の店は10年で4分の1減る。1店の売上は物価をやや下回ってしか上がらず、営業利益率は1.5%にとどまる。サマンサタバサは店を3割減らし、赤字は止まるが利益は出ない。不動産の賃貸の収入は残るが、借入の金利の上昇で利払いが増える。純利益は年5億円ほどで、今の配当の総額をかろうじて払える。家賃は固定の約束として残り、店を閉じるたびに損が出る。ROEは3%ほどで、株価は利益の8倍台、自己資本の4分の1ほどにとどまる。帳簿の資産は残るが、株主に届くのは小さな利益だけだ。
- 紳士服・オーダー(コナカ・フタタ・SUIT SELECT・DIFFERENCE):数量 323(店舗数(店、推定))× 価格 1.13(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 366 億円・営業利益 5 億円。店舗数 0.75 倍 × 1 店の売上 1.30 倍、営業利益率 1.5%
- サマンサタバサ:数量 116(店舗数(店、推定))× 価格 1.18(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 137 億円・営業利益 0 億円。店舗数 0.70 倍 × 1 店の売上 1.30 倍、営業利益率 0.0%
- フードサービス・教育:数量 40.0(店舗・教室数(か所、推定))× 価格 1.01(1 か所あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 40 億円・営業利益 1 億円。店舗・教室数 1.00 倍 × 1 か所の売上 1.34 倍、営業利益率 3.0%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.0% が k 10.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 9.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 9.5 倍。全体の PER 9.52 倍、時価総額 50 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:本業がかろうじて黒字に戻るが、スーツの需要の縮みで店を減らし続ける筋書きを中心に置いた。6期続けて営業赤字だった実績から見ると、小さな黒字でも楽な道ではない。
やや悲観 25% 赤字が続き、資産を売り続ける 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 83 円28 億円
スーツの需要の縮みが速く、紳士服の店は4割近く減る。値引きの競争で利益率はゼロに沈む。サマンサタバサは店を半分に減らしても赤字が残る。家賃は売上が落ちても下がらず、閉店の損と資産除去の費用が毎年出る。会社は残った土地を売却して借入を返し、配当を細く続ける。銀行は財務の条件の見直しを求め、新しい投資はできない。利益はほぼゼロで、株価は自己資本の2割に満たない水準で長く放置される。資産は帳簿にあっても、清算されないので株主には届かない。銀行との条件の見直しが続き、配当も細る。オーダーの店も伸び悩み、新しい業態に回すお金も残らない。
- 紳士服・オーダー(コナカ・フタタ・SUIT SELECT・DIFFERENCE):数量 267(店舗数(店、推定))× 価格 1.09(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 291 億円・営業利益 0 億円。店舗数 0.62 倍 × 1 店の売上 1.25 倍、営業利益率 0.0%
- サマンサタバサ:数量 82.5(店舗数(店、推定))× 価格 1.14(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 94 億円・営業利益 −3 億円。店舗数 0.50 倍 × 1 店の売上 1.25 倍、営業利益率 -3.0%
- フードサービス・教育:数量 36.0(店舗・教室数(か所、推定))× 価格 0.98(1 か所あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 35 億円・営業利益 1 億円。店舗・教室数 0.90 倍 × 1 か所の売上 1.30 倍、営業利益率 2.0%
倍率:利益はほぼゼロで、稼ぐ力(純利益÷k)では数億円にしかならない。床は土地の売却と在庫・敷金の回収で借入を返した後、清算されない分を割り引いた額(floor_assets_oku)。facts の今の自己資本 166.34 億円に 0.1683 倍を掛けて同じ額。EV÷営業利益は利益がほぼ無く大きく出るが、資産の床で測る筋書き。
確率:本業の赤字が止まらず、残った土地を売って配当と借入の返済に充てる筋書き。2020〜2025年9月期に6期続けて営業赤字だった実績があり、確率は2割半と厚くした。
悲観 15% サマンサを手放し、紳士服も半分に 利益 −7 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 59 円20 億円
サマンサタバサの赤字が止まらず、店の大半を閉じて事業を手放す。閉店の損と在庫の処分で大きな損が出る。紳士服の店も半分に減り、残った店でも赤字が出る。家賃の固定の約束と人件費の上昇が、売上の減り以上に利益を削る。銀行は在庫と借入の圧縮を求め、配当は止まる。土地はすでに売り切り、手元に残るのは敷金の返還と在庫の処分のお金くらいだ。会社は清算されず、そのお金も残った店の赤字に使われる。株主に届く価値は、自己資本の1割強にとどまる。会社が残っても、株主のものになる価値はほとんど無い。敷金も、残った店を続ける限りは戻ってこない。
- 紳士服・オーダー(コナカ・フタタ・SUIT SELECT・DIFFERENCE):数量 215(店舗数(店、推定))× 価格 1.05(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 225 億円・営業利益 −5 億円。店舗数 0.50 倍 × 1 店の売上 1.20 倍、営業利益率 -2.0%
- サマンサタバサ:数量 33.0(店舗数(店、推定))× 価格 1.09(1 店あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 36 億円・営業利益 −3 億円。店舗数 0.20 倍 × 1 店の売上 1.20 倍、営業利益率 -8.0%
- フードサービス・教育:数量 32.0(店舗・教室数(か所、推定))× 価格 0.94(1 か所あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 30 億円・営業利益 0 億円。店舗・教室数 0.80 倍 × 1 か所の売上 1.25 倍、営業利益率 0.0%
倍率:赤字で稼ぐ力は測れない。床は敷金の返還と在庫の処分のお金から負債を払った後、清算されない分を割り引いた額(floor_assets_oku)。facts の今の自己資本 166.34 億円に 0.1202 倍を掛けて同じ額。EV÷営業利益は赤字で測れない。
確率:サマンサタバサの立て直しに失敗して手放し、紳士服の店も半分に減る筋書き。会社が継続企業の前提に関する重要事象等を開示しており、構造的な負けの確率は1割半とみた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
紳士服・オーダー(コナカ・フタタ・SUIT SELECT・DIFFERENCE)
郊外と都市の店でスーツ・シャツ・礼服を売り、オーダーのスーツを作る。
| 数量店舗数(店、推定) | 価格1 店あたりの年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 430 | 0.87 | 375 | 3 |
| 10 年後 中立 | 323 | 1.13 | 366 | 5 |
取り方:セグメントはファッションで一括の開示。2025年9月期のファッションの売上約525億円から、服飾雑貨の大半をサマンサタバサとみて約150億円を分け、残り約375億円を紳士服とした。店舗数はグループ607店から約430店と推定し、1店約0.87億円。営業利益は開示が無く、サマンサタバサの赤字が大きいとみて紳士服に+3億円、サマンサタバサに−11億円を置いた推定(合計は全社の営業損失−7.8億円)。本社費は各事業に含めて adjust は 0。
サマンサタバサ
子会社のサマンサタバサジャパンリミテッドが、若い女性向けのバッグ・財布・アクセサリーの店を営む。構造改革の最中。
| 数量店舗数(店、推定) | 価格1 店あたりの年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 165 | 0.91 | 150 | −11 |
| 10 年後 中立 | 116 | 1.18 | 137 | 0 |
取り方:売上約150億円は服飾雑貨の開示からの推定。店舗数は約165店と推定し、1店約0.91億円。営業損失−11億円も推定。
フードサービス・教育
飲食の店と、幼児・児童向けの教育の事業。
| 数量店舗・教室数(か所、推定) | 価格1 か所あたりの年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 40.0 | 0.75 | 30 | 0 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 1.01 | 40 | 1 |
取り方:2025年9月期の売上約30億円(フード約21億円・教育約10億円、3Q累計の比から推定)。店舗・教室数は約40か所と推定し、1か所約0.75億円。営業利益は小さく+0.2億円と推定。
リスクと懸念
本業の赤字
2025年9月期まで6期続けて営業赤字だった。2026年9月期の黒字は資産の売却益で、本業の営業利益は5億円に満たない。会社自身が継続企業の前提に関する重要事象等を開示している。
固定の家賃
店はほぼすべて借りており、家賃は売上が落ちても毎月出ていく。純資産や自己資本比率は見かけほど強くない。2028年9月期からは新しいリースの会計で、家賃の約束が負債としてBSに載る。
財務の条件と銀行
財務の条件に触れた借入があり、当座借越の枠もほぼ使い切った。銀行の支援が事業の継続の前提で、借入の条件が厳しくなれば、在庫を減らし店を閉じる以外に手が無くなる。
スーツの需要の縮み
在宅の勤務とビジネスカジュアルの定着、若い人の減少で、スーツの需要は構造的に縮む。青山商事とAOKIも店を減らしており、値段の競争は続く。
サマンサタバサ
2022年に子会社にしたサマンサタバサは赤字が続き、構造改革の最中だ。店の閉鎖の損と在庫の処分が続けば、紳士服の利益を食い続ける。
今後の分かれ目
- 本業の営業利益が3期続けて黒字になる
- 赤字の構造が変わったとみて、中立の利益率を上げる。
- サマンサタバサの赤字が止まる
- やや楽観の確率を上げる。
- 財務制限条項の抵触が解消し、重要事象等の記載が消える
- k の上乗せ1%を外す。
- オーダーのDIFFERENCEの店が100店を超え、黒字で伸びる
- 紳士服の利益率を見直す。
- 土地の売却が続き、本業が赤字のまま
- 悲観に寄せる。
見ておくもの
- 本業の営業損益(売却益を除く)
- 既存店の売上と客数
- サマンサタバサの店舗数と損益
- 借入の残高と財務の条件
- 継続企業の前提に関する重要事象等の記載
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業のROEと資本コスト10.5%(事業が傾いている分の上乗せ1%を含む)から決めた。全筋書きでROEがkを下回るので、PERの上限は1÷kの9.5倍で、その9割に置いた。今のPBR0.46倍や過去の株価は使っていない。やや悲観と悲観は、土地・在庫・敷金を回収して借入を返した額に、清算されない分の戻り方0.5を掛けた床で測った。2028年9月期から新しいリースの会計で営業利益と負債の形が変わるが、10年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 8.6→9.52 倍・やや楽観 PER 8.6→9.52 倍・中立 PER 8.6→9.52 倍)。
資本コスト 10.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.0%。k = 基本 7.5% + quality 2.0% + 上乗せ 1.0% = 10.5%。