結論
バロックジャパンは、MOUSSY・SLY・AZUL BY MOUSSYなど20代前後の女性向けブランドを、ショッピングセンターとファッションビルで売る衣料会社だ。筆者の結論は大幅な割高である。10年で測った価値は今の時価総額の3分の1ほどにとどまる。
主力のAZULは、売上が最盛期の2割台から1割台前半の規模まで縮んだ。会社自身が客層の狙いを誤ったと認めている。2026年2月期の営業利益は3億円で、売上に対して0.6%しかない。10月には今期予想も営業利益1億円、最終赤字7億円へ引き下げた。
それでも年間配当は据え置きで、配当総額は利益の数倍に及ぶ。穴は純現金33億円と自己資本の取り崩しで埋まる。続けるほど体力が削られる配り方だ。
中立の10年後は、売上560億円、営業利益16億円、純利益9億円と置く。新中計の最終年度目標(営業利益26億円)は、前の計画が毎回未達だった実績から、そこまでは採らない。倍率は資本コスト8.5%の逆数に届かず約8倍。割り戻した価値は今の3割強だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、持ちたくない種類の会社だ。流行に頼る事業は、10年後に何が売れているかを誰も予想できない。堀が浅く、利益を内部に残すほど、その利益が次の期に稼ぎを生む保証もない。
資本の使い方にも疑問が残る。稼げていないのに配当を据え置くのは、株主への約束としては筋が通る。だが、手元の現金と自己資本を取り崩して配るのは、事業の稼ぎでなく貯えを返しているだけだ。現金が尽きたとき、約束が守られるかは分からない。
安全域は乏しい。純現金は時価総額の1割強で、家賃の固定約束を考えると薄い。新中計の利益目標は前の計画が毎回届かなかった水準で、そのまま信じられない。一方で、MOUSSYのデニムの回復とロデオクラウンズの立て直しは、事業がまだ生きている証拠として読める。
持ち続けたい会社の条件は、10年後も同じ客が同じ理由で買ってくれることだ。流行服にはその保証がない。筆者は、事業の現金の稼ぎが配当を支えられる水準に戻るまでは、評価を上げる材料が乏しいと見る。
何で稼ぐ会社か
国内で店舗339(直営255・FC84)を構え、2025年8月末で海外は5店にとどまる。中国は2025年に合弁を解消し、2026年4月に残る卸・小売の子会社も譲渡した。連結の対象は国内中心になった。
柱はマウジー、スライ、リエンダ、ラグアジェム、ロデオクラウンズ ワイドボウル、エンフォルド、ナゴンスタンスなど。主力ブランドで売上の8割超を占める。ショッピングセンター向けのAZULは国内アパレル売上の約3割を占め、客数の減少が続く。ファッションビル向けのマウジーはデニムが当たり、立て直しが効き始めた。ロデオクラウンズの既存店は2026年2月期に1割超伸びた。
自社の通販サイトも大きな販路だが、2026年6月に入れ替えた新システムの初期トラブルで、上期のEC売上は前年同期の約9割に落ちた。生産は外部の工場に委託し、仕入先の一元化で原価を抑える途中にある。
新規事業として、京東(JD.com)と香港に投資会社(DB Capital)を設け、日本の技術やものづくりを持つ企業へ出資する。資本金は約150億円、バロックの持分は25%。ただしバロックの払込額は確かめられていない。
優良さと弱いところ
優良とは言いにくい。若い女性向けの流行服は、ブランドの旬が数年で動く。堀、つまり他社が真似できない強みは、マウジーのデニムという看板と百貨店・ビルでの立地にとどまり、価格を決める力は弱い。ファッション雑誌とSNSで売れ筋が変わり、値上げは通りにくい。
財務は純現金33億円・自己資本比率45%で、すぐ傷む形ではない。ただし店舗を借りる家賃は毎年払う固定の約束で、純現金は見かけほど厚くない。10年の売上は年率で3%近く縮み、営業利益率は2016年の8.7%から0.6%まで下がった。赤字の期は10年で2回ある。
経営は村井博之社長が長く率いる。創業期の買収ファンドから続く株主構成で、旧ベルの系列(ミューチュアル・クラウン)が約2割、オリックスが約15%を持つ。経営者の持分は小さく、少数株主が配当を守ってもらう力は弱い。投資会社への出資のように、本業から離れた使い道が増えるのも気がかりだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のアパレル小売は、市場規模が8.5兆円で4年連続プラスと一見堅調だが、増えているのは値上げの分が大きい。10代〜30代の女性向けは、ユニクロやしまむらのような量販の低価格帯と、SHEINなど超低価格のECに挟まれている。
ショッピングセンターの客層を狙うAZULは、しまむら系列やGU、ハニーズといった価格の安い競合と重なる。ファッションビルのマウジーやスライは、ジーユーや百貨店系ブランドとの競合に加え、他のセレクトショップと客を分け合う。
物価3%の世界では、原材料と人件費、家賃が上がる。値上げが通るブランドだけが利益を守れる。バロックの強みはデニムと、若手の感度の高い店舗運営だが、全体では値上げで客数を失ってきた。EC比率はまだ低く、店舗網を持つ会社には天井になる。
景気の谷では、若い女性の裁量消費が先に削られる。リーマン時のような谷で、既存店が2〜3割落ちる業態だ。
同じ領域の会社では、ユニクロやしまむらが量と価格で勝ち、残る専門店は『この店でしか買えない』理由を作れた会社だけが利益を保っている。バロックの主力は理由が弱く、ブランド別の人気に利益が左右される。
資本政策と M&A
配当は2018年1月期から年間配当を据え置く方針で、2026年2月期の配当総額は約14億円。純利益4億円の約3.7倍だ。今期予想でも据え置き、配当性向は180%を超える。利益が出ない年は、純現金と自己資本を削って配っている。
株主優待もある。電子優待券で、自社店舗とECで使える。年額は有価証券報告書で確かめられなかったが、原価ベースで年1億円未満と推定し、10年の還元には足していない(差は1ポイント未満)。
M&Aでは、中国合弁を解消して撤退を終え、投資会社を使った出資を始めた。TOB(株式公開買付け)の可能性は、時価総額228億円の小ささと株主の厚みから低くないが、10年で18.7%という外部の推計もある。買う側には店舗網とブランドの価値が見えるが、固定家賃の重さが壁になる。
リースの約束は、新リース会計基準(2028年2月期から)で貸借対照表に載る。数字は今の形(家賃を営業費用に入れた形)にそろえて置いた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
MOUSSYのデニムは、2025年上期に前年同期比で1割7分伸び、リブランディングが当たった。ロデオクラウンズ ワイドボウルは2026年2月期の既存店が12.3%伸びており、AZULの立て直しの手本になる。20代の客を取り戻す方針に切り替え、現場の管理役を増やす手も打った。
中国から撤退し、赤字の元だった海外の重荷が消えた。利益の出ない店と事業を整理する第一歩で、固定費は軽くなる。仕入先の一元化で原価も下がる。40〜50代向けの新ブランドは、MOUSSYを買っていた世代が今も服にお金を使うことを狙い、年商100億円を目指す。
純現金33億円と自己資本比率45%で、数年は耐えられる。売上が570億円まで戻れば、営業利益率4.5%でも26億円。回復が本物なら、10年では中立より上の筋書きも十分ありえる。
さらに、固定費の重さは裏を返せば売上が戻った時の利益の伸びが大きいということだ。営業利益率が4%台に戻るだけで、利益は今の10倍を超える。管理部門を含む経費削減も下期から動いており、足元の赤字は底に近い可能性がある。
慎重な見方
AZULの客数は何年も戻っていない。前の中計も目標に届かず、その前の計画も売上1,000億円を掲げて未達だった。計画の達成実績に乏しい。今期の予想は、発表の半年後に営業利益13億円から1億円へ引き下げられた。
ECシステムの刷新トラブル、旗艦店の閉店と5億円超の減損、百貨店向けブランドの低迷と、悪材料が重なっている。デニムの好調は一部のブランドにとどまる。
配当を守るために現金を削っている点が最も危うい。純現金は33億円しかなく、毎年14億円規模の配当を続ければ数年で細る。家賃は固定の約束で、売上が落ちても減らない。海外の米国も直営店を閉じ、広がりに乏しい。経営は少数株主を守る持分が薄い。
仮に回復しても、利益率が2016年の8%台に戻ることはまず考えにくい。主力は価格競争の厳しい領域で、人件費と家賃が毎年上がる。回復の費用を先に払い、成果は後から来る構図が10年続けば、現金が先に尽きる。
どちらに重みを置いたか
事業が生きている証拠はあるが、強みは浅く、10年の確実な稼ぎには足りない。慎重な見方の指摘が上回ると見て、確率は中立と悲観側に厚く置いた。楽観の筋書きでも、営業利益率は過去の山(8.7%)に届かせていない。配当を守る資金が尽きた先の筋書きが、慎重な見方の核心だ。今の値段が払っているのは、利益の回復と配当の維持の両方であり、どちらか一方が崩れても割り戻した価値は届かない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 264 円95 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 181 円65 億円)。 今の値に割り戻すと 237 円85 億円、今との差 −61.3%、 期待の年率 −3.1%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 1,078 円389 億円 | 361 円130 億円 | +135.2% | +8.9% | 72 円26 億円 |
| やや楽観 | 15% | 567 円204 億円 | 278 円100 億円 | +38.0% | +3.3% | 127 円46 億円 |
| 中立 | 33% | 294 円106 億円 | 253 円91 億円 | −10.7% | −1.1% | 180 円65 億円 |
| やや悲観 | 28% | 69 円25 億円 | 97 円35 億円 | −72.8% | −12.2% | 47 円17 億円 |
| 悲観 | 19% | 47 円17 億円 | 56 円20 億円 | −83.2% | −16.3% | 20 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 264 円95 億円 | 181 円65 億円 | −27.3% | −3.1% | 445 円160 億円 |
今の株価時価総額 612 円220 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 5% デニムの回復が広がり利益率が過去の山近くまで戻る 利益 27 億円 · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 1,078 円389 億円
MOUSSYのデニムの人気がAZULの立て直しに波及し、20代の客が戻る。ロデオクラウンズ型の店作りが広がり、新ブランド(40〜50代向け)も年商100億円に近づく。国内の店舗数換算は340に回復し、営業利益率は2019年並みの6.5%まで戻る。海外はFCで小さく広げる。会社の計画する純利益15億円を超え、27億円を稼ぐ。ただし若者向けの流行服で、利益率が2016年の8.7%を超えるほどの強さは置かない。配当は利益が戻る分だけ増える。
配当は利益の回復に合わせて増え、株主にも還元が回る。若い客の新陳代謝が続くかぎり、ブランドの入れ替えで利益は保てるという前提である。
- 国内ブランド事業(店舗・EC):数量 340(店舗数換算(客数の増減を店舗数で表す))× 価格 1.96(1店舗当たり年間売上高(億円・店舗とECを含む))→ 売上 668 億円・営業利益 43 億円。営業利益率6.5%
- 海外(米国のFCなど):数量 12.0(海外店舗数(店))× 価格 1.61(1店舗当たり年間売上(億円))→ 売上 19 億円・営業利益 0 億円。営業利益率0.0%
- 中国(譲渡済み):数量 0.0(連結対象(1=あり))× 価格 0.00(年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年4月に譲渡済み
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.2% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.4 倍。全体の PER 14.39 倍、時価総額 388 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新中計の目標(営業利益26億円)を超える展開が10年続く必要があり、前の計画が毎回未達の実績と流行事業の性質から低く置いた。
やや楽観 15% 立て直しが進み新中計の6割ほどを達成 利益 16 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 567 円204 億円
新ブランドは立ち上がるが、AZULの客数減が止まらず、店舗数換算で310まで戻る。デニムの好調は一部ブランドにとどまり、全社の営業利益率は4.5%。会社の計画は25億円を超える営業利益を見込むが、筆者は過去の未達の実績から4割ほど手前を置いた。ECの刷新トラブルは解消し、原価の一元化も効く。配当は利益が戻るまで据え置かれ、のちに利益に合わせて下がる。
投資会社への出資は、小さな払込にとどまり、現金への影響は限られる。会社は売上の回復より先に、原価と本社費の削減で利益を確保する。ECの不具合は解消し、ネット経由の売上は前の水準に戻る。ただし新ブランドは年商50億円規模にとどまり、百貨店向けのエンフォルドなどは縮む。全社の売上は600億円を超えるが、会社が掲げる570億円の先の成長は描かない。
- 国内ブランド事業(店舗・EC):数量 310(店舗数換算(客数の増減を店舗数で表す))× 価格 1.96(1店舗当たり年間売上高(億円・店舗とECを含む))→ 売上 609 億円・営業利益 27 億円。営業利益率4.5%
- 海外(米国のFCなど):数量 10.0(海外店舗数(店))× 価格 1.61(1店舗当たり年間売上(億円))→ 売上 16 億円・営業利益 0 億円。営業利益率0.0%
- 中国(譲渡済み):数量 0.0(連結対象(1=あり))× 価格 0.00(年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年4月に譲渡済み
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.5% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.8 倍。全体の PER 12.85 倍、時価総額 204 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:デニムとロデオクラウンズの好調が続けば現実的だが、AZULの客数減という同じ原因で前の計画が未達になった実績がある。
中立 33% 縮小は止まるが売上は戻らない 利益 9 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 294 円106 億円
AZULの縮小は止まるが、かつての売上は戻らない。MOUSSYとロデオクラウンズが全体を支え、新ブランドは小さく育つ。店舗数換算は285(店舗は減り、客数も戻りきらない)で、1店舗当たりの売上は物価並みに上がる。営業利益率は3%で、過去12年の中央値より少し低い。本社費も物価で増える。米国のFCは小さいまま。配当は2年は据え置いたのち、利益に合わせて落とす。新リース会計で数字の形は変わるが、家賃を営業費用に入れた形でそろえる。
新ブランドは小さな黒字にとどまり、デニムの人気は数年で一巡する。それでも全社は黒字を保ち、純現金の取り崩しは緩やかに収まる。
- 国内ブランド事業(店舗・EC):数量 285(店舗数換算(客数の増減を店舗数で表す))× 価格 1.96(1店舗当たり年間売上高(億円・店舗とECを含む))→ 売上 560 億円・営業利益 17 億円。営業利益率3.0%
- 海外(米国のFCなど):数量 8.0(海外店舗数(店))× 価格 1.61(1店舗当たり年間売上(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。営業利益率0.0%
- 中国(譲渡済み):数量 0.0(連結対象(1=あり))× 価格 0.00(年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年4月に譲渡済み
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.8% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 106 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:業績の下方修正が直近も続いた。ただし純現金と複数ブランドがあり、すぐには傷まない。中心に置く筋書き。
やや悲観 28% ブランドの縮小が続き利益がほぼ消える 利益 2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 69 円25 億円
AZULの客数減が続き、MOUSSYの回復も一巡する。ECの刷新やブランドの入れ替えが利益に結びつかず、店舗数換算は255まで縮む。セール依存が強まって客単価の上がりが物価を下回り、営業利益率は0.5%。減損が毎年のように出て、自己資本が目減りする。配当は大幅に削られ、優待も縮む。家賃は固定費として残るため、売上が落ちた分だけ利益が削られる。
新ブランドへの投資も回収できず、現金は目減りする。会社は店舗を絞り込んで赤字を避けるが、売上の縮小は止まらない。MOUSSYのデニムの人気も他社に似た商品が出て一巡し、ロデオクラウンズの勢いも長くは続かない。結果として黒字と赤字の間を行き来する会社になり、配当を出せるかどうかが毎年の焦点になる。
- 国内ブランド事業(店舗・EC):数量 255(店舗数換算(客数の増減を店舗数で表す))× 価格 1.87(1店舗当たり年間売上高(億円・店舗とECを含む))→ 売上 476 億円・営業利益 2 億円。営業利益率0.5%
- 海外(米国のFCなど):数量 8.0(海外店舗数(店))× 価格 1.61(1店舗当たり年間売上(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。営業利益率0.0%
- 中国(譲渡済み):数量 0.0(連結対象(1=あり))× 価格 0.00(年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年4月に譲渡済み
倍率:事業の純利益1.5億円×PER 8倍=12億円は、純現金から家賃の約束を引いた売れる資産(約25億円)を下回る。稼ぐ力でなく売れる資産の床で置き、今の自己資本147億円に掛けたPBRに直すと約0.17倍。
確率:営業利益率が10年のうち5期は3.6%以下、直近3期は3.2%以下。流行事業の慢性的な不振が続く確率を厚く置く。
悲観 19% 構造的に主力ブランドを失う 利益 −8 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 47 円17 億円
主力ブランドの陳腐化が止まらず、店舗数換算は200まで縮む。閉店しても家賃の約束と違約金が残り、営業赤字が続く。新ブランドと投資会社への出資は成果が出ない。配当は早い段階でなくなり、優待も廃止に近い。自己資本は減損で6割に減る。構造的に優良さを失い、純現金を食い潰す筋書きだ。中国から撤退した後に、国内の看板ブランドも失った会社として残る。
最終的に事業の再編や身売りが避けられなくなり、少数株主への価値は純現金と店舗網の残りの価値に近づく。米国のFCは細り、新ブランドは立ち上がらない。債権者や取引先との関係も悪化し、仕入れ条件が厳しくなって原価率がさらに上がる。10年後に残るのは、数店舗のブランドと少しの現金だけという姿だ。
- 国内ブランド事業(店舗・EC):数量 200(店舗数換算(客数の増減を店舗数で表す))× 価格 1.67(1店舗当たり年間売上高(億円・店舗とECを含む))→ 売上 334 億円・営業利益 −10 億円。営業利益率-3.0%
- 海外(米国のFCなど):数量 6.0(海外店舗数(店))× 価格 1.61(1店舗当たり年間売上(億円))→ 売上 10 億円・営業利益 −1 億円。営業利益率-10.0%
- 中国(譲渡済み):数量 0.0(連結対象(1=あり))× 価格 0.00(年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年4月に譲渡済み
倍率:赤字で稼ぐ力がなく、純利益×PERでは測れない。純現金から赤字と閉店費用を引いた売れる資産(約17億円)を床とし、今の自己資本147億円に掛けたPBRに直すと約0.12倍。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.116 倍・時価総額 17 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:AZULの客数減が10年続くなら最悪の筋書きまで進む可能性がある。若者向け流行服は一度離れた客が戻りにくい。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内ブランド事業(店舗・EC)
MOUSSY・SLY・AZUL・RODEO CROWNSなど。ショッピングセンターとファッションビルの店舗とEC。
| 数量店舗数換算(客数の増減を店舗数で表す) | 価格1店舗当たり年間売上高(億円・店舗とECを含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 339 | 1.47 | 497 | 4 |
| 10 年後 中立 | 285 | 1.96 | 560 | 17 |
取り方:2026年2月期の連結売上514億円から中国分と米国分の推定18億円を引いた約497億円を、2025年8月末の国内339店(直営255・FC84)で割った。国内/海外の内訳は開示が見つからず推定。数量は店舗数換算で、客数が減る筋書きは店舗数換算を減らして表し、価格は物価3%(10年1.34倍)の名目に客単価の変化を掛けた。
海外(米国のFCなど)
米国のフランチャイズ店など。2026年6月にNYの直営店を閉め、海外はFCのみ。
| 数量海外店舗数(店) | 価格1店舗当たり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 5.0 | 1.20 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 8.0 | 1.61 | 13 | 0 |
取り方:海外5店(2025年8月末)。売上は推定6億円。米国は増収だが販管費増で減益と会社が説明。
中国(譲渡済み)
中国の卸・小売子会社。2026年4月に株式を譲渡し、連結から外れた。
| 数量連結対象(1=あり) | 価格年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 1.0 | 11 | 11 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
取り方:2026年4月の譲渡で売上に約18億円のマイナス影響とされる。そのうち2026年2月期の売上として残る推定分を米国との差で置いた。10年後はゼロ。
リスクと懸念
主力AZULの客数減
AZUL BY MOUSSYは売上が最盛期から大きく縮み、客数の減少が前の計画の未達の原因とされる。20代へ客層を絞り直す手が効かなければ、国内アパレル売上の約3割が細り続ける。
配当が利益を大きく上回る
年間配当は据え置きで、2026年2月期の配当性向は370%を超えた。純現金33億円で埋めているが、毎年14億円規模を続ければ数年で細る。減配になれば株主還元を頼りにした買いが外れる。
固定の家賃と閉店費用
店舗339の家賃は売上が落ちても減らない固定の約束。閉店には違約金や減損が伴う。旗艦店ザ・シェルター トーキョーの閉店で5億円超の減損を出したのがその例で、同様の費用が続きうる。
ECの刷新と在庫の管理
2026年6月のECシステム刷新で出荷が遅れ、EC売上は上期に前年同期比89%となった。解消済みと会社は説明するが、システムの不具合と在庫の過剰は流行服の利益に直結する。
本業から離れた出資
京東との投資会社(資本金約150億円、バロックの持分25%)は、アパレルとは別の事業だ。バロックの払込額と回収の見通しが見えにくく、純現金33億円と比べると大きい可能性がある。確かめられていない。
物価と仕入れコスト
生産は海外の工場への委託が中心で、物価3%と円安150円の前提では原価が上がる。値上げが通りにくいブランドは、人件費と家賃の上昇と合わせて利益率が削られる。
今後の分かれ目
- AZULの既存店売上が2期連続で前年を上回ったら
- 楽観・やや楽観の確率を上げる。客数の回復が客層の絞り直しの成功を示す。
- 配当を据え置いたまま純現金が15億円を割ったら
- 悲観側へ重みを移す。減配か増資か、どちらかの判断が近い。
- 新ブランド(40〜50代向け)が年商30億円に届いたら
- やや楽観の筋書きの確度を上げる。中計の100億円目標の道筋が見える。
- 京東との投資会社へバロックが多額を払い込んだら
- 純現金の見方を引き下げ、悲観側の床を下げる。
- MOUSSYのデニムの伸びが他ブランドに波及せず落ち着いたら
- 回復の一巡とみて、中立から下の筋書きの確率を上げる。
- 旗艦店のように大型店の閉店が続いたら
- 減損と家賃の約束で自己資本が目減りする筋書きに寄せる。
見ておくもの
- AZUL・MOUSSY・ロデオクラウンズ別の既存店売上と客数
- 純現金と配当総額(配当が貯えを削っていないか)
- ECの売上前年比と在庫回転
- 京東との投資会社への払込額と投資先
- 店舗数(直営・FC)と閉店・減損の額
倍率と資本コストの決め方
セグメントごとに、店舗数換算×1店舗当たり売上(名目)で積み、客数の減は店舗数換算を減らして表したので価格に物価を掛けても二重がけにならない。営業利益率は過去12年の山(8.7%)以下で、中立は3%と中央値より低めに置いた。純利益は営業利益の約0.55〜0.6倍(中国撤退後の税負担と金利で、過去の中央値0.51を使うと中国の赤字を引きずる)。資本コストは基本7.5%にquality +2.0%を足し9.5%。ROEがk以下の中立・やや楽観以下ではPERの上限は1÷kで、その7.6〜10割に置いた。今の株価やPERは見ていない。悲観側は稼ぐ力でなく、純現金から家賃の約束と運転資金を引いた売れる資産の床で置き、過去のPBRの底は使っていない。10年の売上は2026年2月期の中国分を除いた形で、数字の形は家賃を営業費用に入れた今と同じ形でそろえた。優待は年1億円未満の推定で、還元には足していない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.8→14.39 倍・やや楽観 PER 10.7→12.85 倍・中立 PER 8→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +2.0% を足した(決まり v2)。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 9.00%。