結論
白鳩は、女性用の下着を自社サイトとモールで売るネット通販の会社だ。ワコールやトリンプなど他社の商品と、自社ブランドを並べる。2026年11月期の売上予想は62億円で、10月に営業黒字の予想を営業損失1.0億円へ下げた。2025年11月期は9か月の変則決算で、旧本社を売って黒字を作ったが、本業は1.3億円の営業損失だった。借入は約20億円、現預金は5億円で、純負債の約15億円は今の時価総額とほぼ同じだ。
筆者の結論は割高だ。いちばんの理由は、本業の稼ぐ力がほぼゼロなのに、借入の利払いが営業利益を超えかねないことにある。
親会社は歯愛メディカルで、2025年10月にエア・ウォーターの傘下に入った。上場維持基準は2026年5月に満たしたが、余裕は小さい。
中立に置く姿は、出荷が2割減り、営業利益率が1.5%にとどまる形だ。最終の利益は0.3億円ほどしか残らない。純資産は24億円と厚いが、商品や建物が多く、売っても簿価を大きく下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見ると、白鳩は「安いが、稼げない会社」だ。純資産は24億円で、時価総額の15億円を上回る。しかし、純資産の中身は商品・不動産・売掛金で、事業が稼ぐ力は営業損失が続くほど弱い。貸借対照表が割安に見えても、利益が出なければ資産は目減りする。
借入は約20億円で、金利が3.5%に上がれば年0.7億円の利払いになる。営業利益がこれを上回らないと、株主に残る利益は無い。経営は旧本社を売ってしのいだが、同じ手は何度も使えない。
筆者が最も気にするのは、堀が無いことだ。独自の商品も、顧客の囲い込みも弱く、価格で選ばれる市場で利益率を保つ理由が見つからない。
反対に、親会社グループが物流と仕入れを束ね、利益率が4%に戻る筋書きもある。ただし、その場合でも時価総額は今と同程度にとどまる。確かな根拠が出るまで、安全域は無いと考える。
何で稼ぐ会社か
白鳩は、京都に本社を置く女性用インナーウェアのネット通販だ。自社の本店サイトのほか、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonなどのモールにも出店する。ワコールやトリンプなどの商品(ナショナルブランド)が中心で、自社ブランドとコラボ商品は売上の27%にとどまる。日曜祝日も当日出荷する体制が特徴だ。海外ECは、中国以外の東アジア向けが堅調に伸びている。
開示は単一セグメントで、国内と海外の売上の内訳は出ていない。2025年7月末に本店サイトを作り直し、悩みや場面から商品を探せるようにしたが、アクセス数は減った。
2024年12月に歯愛メディカルが公開買付けで親会社になり、同社は2025年10月にエア・ウォーターの子会社になった。白鳩はグループのネット通販の一角という位置づけで、議決権の約51%を間接に握られている。従業員は少数で、商品の仕入れと物流、サイトの運営を自前で持つ。
2018年の中期経営計画は、2023年8月期に売上106億円・営業利益6.3億円を掲げたが、実際の売上は64億円前後にとどまった。
優良さと弱いところ
堀は薄い。下着のネット通販は、品揃えと配送の速さが強みだが、どちらも他社が真似できる。ワコールやトリンプなどのメーカーは自社の通販を持ち、モールの中にも専門店が並ぶ。自社ブランドの比率は27%で、まだ価格を決める力が弱い。
強みを挙げれば、国内でも指折りの取扱ブランド数、日曜祝日の当日出荷、親会社グループの通販ネットワークとの協業の余地だ。海外の東アジア向けが伸びている点も明るい。
弱みは三つある。第一に、集客をモールの手数料と広告に頼り、本店のアクセスが減っていること。第二に、利益率が低く、過去12年の営業利益率の最高は4.4%にとどまること。第三に、借入が重く、金利が上がると利益が消えることだ。
経営は旧本社の売却で資金を作ったが、2026年は販売促進の費用がかさんで営業損失に戻った。経営の自己評価は、予想の修正を2回続けた実績から厳しく見ざるを得ない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
下着のネット通販は、市場の数量が縮み、価格競争が強まる構図だ。女性の人口は減り、インナーの買い替えの頻度は増えない。実店舗からネットへの移行は続くが、それは他社との顧客の奪い合いで、市場全体が大きく伸びる話ではない。会社も、ネットの市場は広がる一方で、物流費の上昇と円安による仕入れの値上がり、新規参入の増加で事業環境は厳しいと説明している。
競争相手は、ワコールやトリンプの直営通販、モールの中の専門店、同じグループのニッセン、ZOZOやAmazon、さらに安価な中国系の業者までいる。着心地や機能性を求める需要は底堅いが、消費者は価格に敏感で、単価が上がると数量が伸びない傾向が続く。
費用は構造的に上がる。モールの手数料、広告費、物流費、人件費が重い。2026年は西日本の猛暑と東日本の低温で、季節商品の売れ行きに地域差が出た。天候で売上が動く点は、実店舗の衣料と同じだ。
10年の中立は、出荷が人口と競争で2割ほど縮み、単価は物価の分だけ上がって売上は名目で横ばいという形だ。利益率は薄いまま推移する。
資本政策と M&A
資本政策は、借入の返済と上場維持が最優先だ。配当は2025年11月期も2026年11月期も無配で、会社は黒字転換と早期の復配を課題に挙げている。自己株式は発行済の0.2%とごく少ない。
2025年11月期には旧本社を売って12.8億円を得て、長期借入を19.1億円返した。2026年8月末の借入は、短期13.5億円と長期6.3億円の計約20億円。現預金は4.8億円で、純負債は約15億円。短期借入が多いので、借り換えで金利が上がる影響を早く受ける。
東証スタンダードの上場維持基準では、流通株式時価総額が2025年11月末に8.9億円と基準の10億円を割り、改善期間に入った。2026年5月末は12.3億円で適合したが、株価が下がると再び割る。
歯愛メディカルが議決権の約51%を持つ。新リース会計は2028年から適用する見通しで、数字の形が変わる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
最悪期は過ぎた。2025年11月期に旧本社を売り、借入を19億円返して、財務は軽くなった。2026年11月期の営業損失は1.0億円で、売上の1.6%にすぎず、販売促進の費用を絞れば黒字に戻せる額だ。2023年2月期には営業黒字を出した実績もある。
本店サイトは作り直したばかりで、悩みや場面から探せる機能が定着すれば、アクセスは戻る。自社ブランドの比率は27%で、4割へ上げれば粗利益率が大きく変わる。海外の東アジア向けは堅調で、新しい柱に育つ余地がある。日曜祝日の当日出荷は、配送の面で他社が簡単に真似できない強みだ。
親会社のグループは通販のネットワークを持ち、物流や仕入れで協力できる。純資産は24億円あり、時価総額の15億円より厚い。上場維持基準も2026年5月に満たした。2014年8月期には営業利益率が4.4%あり、経営が立て直せば、利益は数億円に戻る。借入を返し切れば、利払いの負担が消えて、少ない営業利益でも株主に残る額が増える。
慎重な見方
赤字は構造的だ。2019年以降の営業利益率は-3.0%から+0.9%の間で、平均はマイナスだ。2025年11月期の黒字は旧本社の売却益で、本業は1.3億円の営業損失だった。2026年1月に営業利益0.5億円を予想したが、10月に営業損失1.0億円へ下げた。2018年の中期計画は売上106億円を掲げたが、実際は64億円前後で終わった。
借入は約20億円で、短期が13.5億円と多い。金利が3.5%に上がれば、年0.7億円の利払いが営業利益を食う。現預金は5億円しかない。旧本社の売却のような手は、何度も使えない。
ネット通販は参入が簡単で、モールの手数料と広告費は上がり続ける。自社ブランドは27%にとどまり、ナショナルブランドは価格で比べられる。親会社はグループの通販の一角として扱うだけで、協業の成果は決算に出ていない。流通株式時価総額は基準の10億円にぎりぎりで、株価が下がれば上場維持が再び問題になる。
どちらに重みを置いたか
割高。 利益が出ない限り、貸借対照表の厚さは価値にならない。強気の筋書きでも、利益率が4%に戻って出荷が伸びる場合に限られる。確認するのは、営業黒字が2期続くか、借入が減って利払いが軽くなるかの二つだ。上場維持基準の余裕と、親会社の動きも、この会社の行方を左右する。この三点の動きが、確率の寄せ方を決める。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/11 期)
確率で加重した株価時価総額 67 円4 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 4 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 29 円2 億円、今との差 −85.9%、 期待の年率 −9.9%(資本コスト 10.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 364 円24 億円 | 45 円3 億円 | +101.3% | +7.2% | 20 円1 億円 |
| やや楽観 | 14% | 177 円12 億円 | 15 円1 億円 | −5.3% | −0.5% | 27 円2 億円 |
| 中立 | 36% | 47 円3 億円 | 0 円0 億円 | −77.1% | −13.7% | 17 円1 億円 |
| やや悲観 | 27% | 26 円2 億円 | 0 円0 億円 | −87.4% | −18.7% | 7 円0 億円 |
| 悲観 | 18% | 5 円0 億円 | 0 円0 億円 | −97.8% | −31.7% | 1 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 67 円4 億円 | 4 円0 億円 | −64.6% | −9.9% | 72 円5 億円 |
今の株価時価総額 203 円14 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。
楽観 5% 本店とPBが育ち、利益率が4%に戻る 利益 2 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 364 円24 億円
2025年7月に作り直した本店サイトに、悩みや場面から商品を探せる機能が定着し、モール依存から抜ける。自社ブランドとコラボ商品の比率は27%から4割へ上がり、粗利益率が改善する。中国以外の東アジア向けの海外ECも育ち、出荷は今の1.1倍の120万件相当に伸びる。単価も自社ブランドの比率上昇で実質3%高くなる。売上は94億円と、2018年の計画の106億円に近づく。営業利益率は2014年8月期の4.4%に近い4%まで戻り、営業利益は3.8億円になる。借入は返済が進み、純負債は8億円まで下がるが、利払いは年0.3億円残る。親会社が物流と仕入れで協力し、配当も出せるようになる。ただし値ごろ感で選ばれる市場で、この利益率を保つのは難しい。
- インナーウェアのネット通販:数量 120(出荷件数相当(万件、推定))× 価格 0.78(1万件あたり売上(億円、名目))→ 売上 94 億円・営業利益 4 億円。出荷件数相当120万件、1万件あたり売上0.782億円(実質+3%、名目は10年で1.34倍を含む)
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.6% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 24 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:本店サイトの集客が回復し、自社ブランドの比率が高まる筋書き。2018年の中期計画を達成できなかった会社なので、確率は5%にとどめた。
やや楽観 14% 国内が持ち直し、利益率は2.8% 利益 1 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 177 円12 億円
本店サイトの作り直しと日曜祝日の当日出荷が評価され、出荷は今と同じ100万件相当で下げ止まる。単価は物価の分だけ上がり、売上は76億円。営業利益率は2.8%で、営業利益は2.1億円になる。自社ブランドの比率は3割台に上がるが、ナショナルブランドの価格競争は続く。借入は返済が進んでも純負債は12億円ほど残り、利払いは年0.4億円。最終の利益は1.2億円にとどまる。配当は小さく、利益の多くは借入の返済に回る。海外ECは小さな柱になる。親会社のグループとの協業で、物流費と販売促進の費用は少し軽くなる。ただし、モールの手数料と物流費の上昇は、この利益を絶えず削る。
- インナーウェアのネット通販:数量 100(出荷件数相当(万件、推定))× 価格 0.76(1万件あたり売上(億円、名目))→ 売上 76 億円・営業利益 2 億円。出荷件数相当100万件、1万件あたり売上0.759億円(実質+0%、名目は10年で1.34倍を含む)
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.3% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 12 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:価格改定と費用の絞り込みが効いて、黒字が定着する筋書き。2023年2月期に営業黒字を出した実績があり、上側として1割台半ばを置いた。
中立 36% 出荷は細り、利益率は1.5%にとどまる 利益 0 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 47 円3 億円
出荷は10年で2割減の88万件相当になる。国内のインナーの数量は人口の減少で縮み、ECへの移行は他社との奪い合いになる。単価は物価の分だけ上がり、売上は67億円と今の水準にとどまる。営業利益率は1.5%で、営業利益は1億円。自社ブランドの比率を上げても、ナショナルブランドの価格競争とモールの手数料が利益を削る。純負債は16億円ほどに残り、借り換えで金利が上がるので、利払いは年0.6億円。最終の利益は0.3億円しか残らない。配当は出せず、利益は借入の返済に回る。会社は赤字には戻らないが、株主に残る分は小さい。2023年2月期の営業利益率0.9%や、2025年2月期の0.6%に近い、薄い黒字の姿が続く。
- インナーウェアのネット通販:数量 88.0(出荷件数相当(万件、推定))× 価格 0.76(1万件あたり売上(億円、名目))→ 売上 67 億円・営業利益 1 億円。出荷件数相当88万件、1万件あたり売上0.759億円(実質+0%、名目は10年で1.34倍を含む)
倍率:事業の純利益 0 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 1.3% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 3 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の下着ECは価格競争が続き、売上は名目で横ばい。直近の4年が横ばいで、予想も下げた事実から、最も起きやすい形として3割半ばを置いた。
やや悲観 27% 値下げ競争に敗れ、利益がほぼゼロ 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 26 円2 億円
安価な通販業者と大手メーカーの直営通販に客を取られ、出荷は76万件相当まで細る。価格を守れず、単価は実質で5%下がる。売上は55億円に縮み、営業利益率はゼロ。借入21億円の利払いは年0.7億円と、営業利益を超える。最終は0.7億円の赤字になる。配当はなく、借入の返済は滞る。在庫は11億円と重く、流行の遅れた商品は値引きで処分される。株主に残る分は、事業の稼ぎでなく、在庫・不動産などの売れる資産から借入を引いた残りで決まる。親会社の支援や、上場維持のための施策が出る可能性はあるが、ここでは織り込まない。上場維持基準を割る危険もある。
- インナーウェアのネット通販:数量 76.0(出荷件数相当(万件、推定))× 価格 0.72(1万件あたり売上(億円、名目))→ 売上 55 億円・営業利益 0 億円。出荷件数相当76万件、1万件あたり売上0.721億円(実質-5%、名目は10年で1.34倍を含む)
倍率:稼ぐ力はなく赤字で、価値は売れる資産から借入を引いた残りで測る。10年後の自己資本19億円に0.09倍を掛けた。
確率:安価な新規参入と、モール依存の集客難で、営業利益がゼロ近辺に沈む筋書き。過去6期の営業利益率の平均が-0.5%で、3割近くを置いた。
悲観 18% 需要が縮み、赤字が続いて資産を切り売りする 利益 −2 億円 · PBR 0.0 倍 · 株価時価総額 5 円0 億円
本店・モールとも集客が細り、出荷は60万件相当まで縮む。単価は実質で1割下がり、売上は41億円。営業利益率は-3%で、営業損失は1.2億円。借入は返済できず、不動産と在庫を売って縮む。純負債は29億円まで膨らみ、利払いが赤字を深くする。繰延税金資産は取り崩され、自己資本は12億円まで減る。流通株式の時価総額が基準の10億円を割り、上場維持が危うくなる。親会社が完全子会社化するなら、既存の株主は小さな対価を受け取る。再建では、大きく薄められる。株主に残る分は、資産の切り売りの残りで決まり、ほぼゼロに近い。
- インナーウェアのネット通販:数量 60.0(出荷件数相当(万件、推定))× 価格 0.68(1万件あたり売上(億円、名目))→ 売上 41 億円・営業利益 −1 億円。出荷件数相当60万件、1万件あたり売上0.683億円(実質-10%、名目は10年で1.34倍を含む)
倍率:赤字で稼ぐ力はなく、借入返済が先で株主に残る分は小さい。10年後の自己資本11.5億円に0.03倍を掛けた。
確率:価格競争と集客の細りで、赤字が10年続く筋書き。2021年2月期に営業利益率-3.0%まで落ちた実績があり、2割弱を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
インナーウェアのネット通販
自社の本店サイトとモールで売る女性用下着と関連商品。国内と海外(東アジア)のECを合わせる。
| 数量出荷件数相当(万件、推定) | 価格1万件あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/11 | 110 | 0.57 | 62 | −1 |
| 10 年後 中立 | 88.0 | 0.76 | 67 | 1 |
取り方:開示は単一セグメントで件数は無い。2026年11月期の会社予想の売上62.3億円(3四半期の実績は45.8億円)を、客単価を5千円台後半と仮に置いた110万件相当で割った(推定)。2025年11月期は9か月の変則決算で、そのまま使うと12か月に直せないため、12か月の見通しを使った。営業損失は会社予想の1.0億円。
リスクと懸念
借入と金利
借入は約20億円で、短期が13.5億円と多い。借り換えで金利が3.5%近くに上がれば、年0.7億円の利払いが営業利益を超える。
営業赤字の定着
2019年以降の営業利益率は-3.0%から+0.9%で、平均はマイナス。2026年の予想も黒字から赤字へ下げた。
集客のモール依存
楽天・Yahoo!・Amazonなどのモールの手数料と広告費は上がり続ける。本店のアクセスは減っている。
価格競争と新規参入
ナショナルブランドは価格で比べられ、安価な業者の参入も続く。自社ブランドは27%で、価格を決める力が弱い。
上場維持基準
流通株式時価総額は2026年5月末で12.3億円と、基準の10億円に近い。株価が下がれば、再び基準を割る恐れがある。
在庫の評価損
商品は11.4億円と総資産の2割を超える。流行の遅れや季節商品の売れ残りで、値引きと評価損が出る。
親会社の方針
議決権の約51%が親会社の手にあり、エア・ウォーター傘下で再編される可能性がある。少数株主の条件は支配株主が決める。
今後の分かれ目
- 営業黒字が2期連続で続く
- 価格と費用の改善が確かになる。中立より上の筋書きの確率を上げる。
- 借入が減り、純負債が10億円を下回る
- 利払いが軽くなり、株主に残る利益が増える。悲観側の確率を下げる。
- 自社ブランドの比率が35%を超える
- 粗利益率が構造的に上がる。利益率の見方を引き上げる。
- 流通株式時価総額が基準の10億円に近づく
- 上場維持の対策や、親会社による再編の材料になる。条件を見る。
- 親会社が追加の出資や株式の買い取りを発表する
- 少数株主の条件が決まる出来事。対価の水準と希薄化を確認する。
見ておくもの
- 営業利益率(四半期)
- 本店サイトのアクセスと自社ブランド比率
- 短期借入金と純負債
- 流通株式時価総額
- 親会社グループとの協業の発表
倍率と資本コストの決め方
今の株価は見ず、出荷件数と1件あたり売上、利益率から10年後の利益を積み、利払いを純負債の3.5%で引いた。倍率は k 10% と ROE が k 未満なら 1÷k の約7割に置き、悲観側は売れる資産から借入を引いた残りで床を置いた。台数は開示が無く推定。純資産の厚さは価値と見ていない。新リース会計で形が変わっても価値は変わらない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 7.5→10 倍・やや楽観 PER 7→10 倍・中立 PER 7→10 倍)。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +2.5% を足して k 10.0%。継続企業の前提の注記はなく、親会社の支援もあるので、事業が傾いている上乗せ(extra)は置かない。傷みは筋書きと確率で表した。