結論
ジェイドグループは、靴通販のLOCONDO.jpから始まり、MAGASEEKやd fashionなどのECモール、ブランド向け運営受託と物流、Reebokを含むブランド販売へ広がった企業である。10年先まで残る強みは、買った会社の物流と情報システムを一つにまとめ、重複費用を削る実務能力だ。現時点の評価は「適正」と考える。既存株主の潜在的な希薄化も織り込んだ本質価値は約166億円で、2026年10月22日の時価総額約170億円との差は約マイナス3%にすぎない。
2026年2月期の売上高は194億円、営業利益は24億円だった。翌期上期も営業利益14.7億円と好調だが、過去の増益には買収先の物流統合と費用削減が大きく寄与した。会社全体の商品取扱高は前期に減少し、外部ブランドから預かるEC運営も契約解約の影響を受けている。利益の伸びを、そのまま10年間続く数量成長と取り違えたくない。
経営は2030年度に取扱高1,000億円、営業利益100億円を目指す。その構想は魅力的でも、新たな買収と費用抑制の連続成功が前提だ。中立ではECで緩やかにシェアを取り、ブランドの販売数量も拡大する一方、AIに置き換わるEC運営受託の数量は縮むと見る。倉庫賃料、商品の返品、ブランド在庫、買収資金の使い方を考えれば、株価の見かけの安さだけでは十分な安全域を認められない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で長く所有できるのは、毎年の利益より、顧客が簡単には去らず、増えた利益を高い利回りで再投資できる会社である。ジェイドには買収先を同じ倉庫とシステムへ移し、余った人手と設備を整理する能力がある。これは単なる通販サイト以上の価値を持つ。一方でECの入り口はほかのサイトやブランド直販に開かれ、運営受託では顧客の契約終了が現実に発生した。時間がたつほど値上げできる永久の堀とみなすには証拠が足りない。
所有者の利益を測るうえで気になるのは、賃料、返品、運転資金、買収資金を払った後に何が残るかだ。前期の営業利益24億円は優秀だが、取扱高が減る中で物流と広告の費用削減に支えられた部分もある。ROE20.9%という結果は評価してよい。ただし前の買収が成功したことと、次の十件の買収が資本コスト以上で回収できることは別問題である。目標の営業利益100億円よりも、買収前後の一株当たり利益、取扱数量、実際の現金還元が積み重なるかを重く見る。
純現金約25億円は安心材料だが、ブランドに代わって預かる販売代金や運転資金まで株主の自由な現金ではない。労働集約的な公式EC運営はAIによる自動化で単価と契約数の双方が弱くなり、物流の実作業だけでは大きな情報企業並みの利益率は約束されない。10年後も事業は必要とされようが、会社が今以上の競争優位を保つには統合を繰り返し成功させる必要がある。現状の企業価値との間に十分な安全域を確かめられない以上、成長目標への熱意だけに値を払わない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は三つの柱と小さな情報媒体で成り立つ。第一のECモールはLOCONDO.jp、MAGASEEK、NTTドコモと接点を持つd fashionなど七つの通販サイトで靴や衣服を販売する。2026年2月期の取扱高は240.53億円だが、会計上の売上高は76.75億円である。預かった商品の販売では取扱額全体でなく手数料だけを売上にするため、取扱高と売上高の差は事業を理解する鍵となる。
最新の会社資料ではグループEC利用者の年間稼働者が約101万人、年間購入点数が一人4.1点、返品率が12.8%である。試着と返品の利便性は武器だが、返品処理にも費用が掛かる。
第二のプラットフォーム事業では、ブランド公式通販の受託運営BOEM・ECS、POSや在庫管理、外部向け物流e-3PLを提供する。前期の取扱高136.39億円、売上高44.71億円のうち、BOEM・ECSに対応する取扱高は128.85億円だった。システム制作・運用の人手で稼ぐ部分と、荷物を実際に仕分ける部分は将来の競争条件が違う。会社はそれぞれの売上高と出荷件数を開示していないので、数量予測では推計を明示して分離した。受託ブランド数は39から直近37へ減っており、契約維持の力を過大評価できない。
第三のブランド事業はReebok Japan、FASCINATE、ブルーシンシア、ロイヤルなどをEC、店舗、卸で販売する。前期取扱高77.93億円、売上高77.69億円であり、こちらは商品の売値がほぼそのまま売上になる。Reebokの前期取扱高は43.64億円で減少したが、買収したロイヤルの連結開始が売上を押し上げた。Reebok Japanには伊藤忠商事の持分34%もあるため、ブランド事業の営業利益が全て親会社株主の利益になるわけではない。
第四の「サンキュ!」は雑誌、ウェブ、SNSと広告を組み合わせた媒体で、前期のその他事業売上は4.47億円だった。2025年の媒体資料にある月間357万人の訪問者と雑誌約13.9万部は発行側の接触面の大きさを示す。ただしブランド広告の制作受託と自社の広告枠販売は同じではない。会計上は単一の報告セグメントであり、ここでの五つの区分は経済性を分析するための再分類である。事業別売上高の合計には内部取引9.22億円があり、連結売上高を考える際は必ず相殺する。
優良さと弱いところ
いちばん信用できる強みは、七つのモールと買収したブランドを自社の物流・IT基盤へ移せることである。買収先が別々の倉庫、販売管理システム、広告運用を持つ状態より、同じ設備と人員で扱う方が単位当たりの費用を下げやすい。d fashionの運営改善と、マガシークやロイヤルの統合が最近の増益に貢献したことは実績で裏付けられる。しかし費用削減は一度実施すれば終わる。次の10年の利益まで確保するには、新しい取扱量を継続的に集めなければならない。
消費者に対する値決め力は強くない。LOCONDOには試着返品の認知がある一方、ZOZOTOWN、Amazon、楽天市場、ブランド直販が価格・在庫・配送の各面で競う。保有ブランドも、Reebokの商標を世界で独占する事業ではなく、国内販売権と仕入れの優劣に利益が左右される。ブランド向けシステムには在庫連携という乗り換えの手間があるが、公式EC運営の解約率が5%未満という開示はなく、実際に大口契約の解約で取扱高が落ちた。法令対応の記録の正本として、長い超過利益を保証する根拠は見いだせない。
2026年2月期のROEは20.9%、純現金は約25億円と資本効率と財務には強みがある。ただし営業利益は過去に赤字から二桁億円へ大きく振れ、過去の高ROEを安定した増分投下資本利益率と同一視できない。主要倉庫の年間賃借料だけでもロコポート約9.6億円とマガシーク物流施設約4.6億円に及ぶ。これらの固定負担と在庫・返品の費用を踏まえると、純現金企業でも不況への耐性は数字の印象ほど厚くない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の「衣類・服装雑貨等」の消費者向けEC市場は、経済産業省の2025年推計で2兆8,941億円、EC化率24.08%である。ジェイドのECモール取扱高240.53億円は、この市場を同じ範囲とみなした場合の規模比で約0.83%にすぎない。ZOZOの2026年3月期取扱高6,660億円は同じ分母の約23%に相当するが、取り扱う商品群と会計の範囲が完全には一致しないため、いずれも厳密な公表シェアではない。競争相手はZOZOだけでなく、楽天市場、Amazon、ブランド公式通販、実店舗の会員基盤である。
日本の人口が減ってもアパレルのEC化は進むが、既に衣類売上の四分の一近くがオンラインだ。数量がいつまでも二桁で伸びる市場ではない。中立では市場全体の実質取扱数量が10年で約1.1倍、物価が約1.34倍になると考える。ジェイドはモールの使い勝手とd fashionの提携で数量シェアを少し上げ、取扱高では市場の1%弱に接近する。一方、送料と値引きの競争により、一点当たりの会社売上は物価を少し下回る。
公式EC運営の受託市場は、ブランドが自前で運営する分との境界が曖昧で、公的な独立市場規模も主要社の厳密なシェアも公表されていない。参考にアパレルEC取扱高の一〜三割が外部運営の対象になると仮定すれば、2025年の対象取扱市場は約2,900億〜8,700億円、同社が管理する128.85億円はその約1.5〜4.4%となるが、これは外注率を仮定した試算でしかない。Shopifyを使った内製化、運営受託各社、AIエージェントが競合になる。
物流は別で、矢野経済研究所の小売・EC物流市場約9.06兆円という広い母集団に対して同社は小規模であり、発送・保管の外注先として規模の伸び代がある。
ブランドの比較市場となる国内アパレル小売は約8.5兆円だが、同社の取扱品には靴・スポーツ用品もあるため正確なシェアは測れない。競争にはナイキ、アディダス、アシックス、ABCマート、専門店が並ぶ。「サンキュ!」が向き合う国内ネット広告市場は2025年約4.05兆円と大きいものの、雑誌、広告制作、媒体枠を含む同社の売上全体をその分母で割るのは適切ではない。AIによる記事要約は訪問者数を損ないうるが、読者が直接集まるSNSや紙媒体、実物の出荷は残る。
資本政策と M&A
経営は2030年度に取扱高1,000億円、営業利益100億円を掲げる。根拠は取扱高に対する貢献利益率16%、間接固定費60億円という事業構造であり、前期の実績は取扱高約459億円、貢献利益率16.1%、間接固定費51億円、営業利益24億円だった。
ただし2030年の目標には買収を通じた数量拡大が含まれる。2027年2月期の会社予想は売上高250億円、営業利益25億円、純利益16億円であり、目の前の計画と長期構想の距離は大きい。ROEとDOE、自社株買い額については数字の約束がない。
2021〜2024年度の純利益の約70%を自社株買いに充て、同期間に買収へ約43.5億円を投じたとの開示がある。2026年2月期からは一過性の非現金損益を除く純利益の30%を配当し、残り70%を物流、IT、M&Aなどへ使う方針に変えた。過去の買い戻しは現在の株数に反映済みだ。株主優待には保有数・期間に応じたLOCONDOの5,000〜20,000円相当のクーポンがあり、利用実績が未開示のため、前期の株主4,353人に対して年平均約2,800円の会社原価を仮定し、年約0.12億円を10年の還元に含めた。
会社は買収投資の回収期間を3〜5年とする方針を示すが、買った会社に必要な運転資金、倉庫投資、次の更新費用まで含めた増分ROICが8%を超えたと確認できる案件ばかりではない。2026年10月には完全子会社六社を親会社へ吸収合併し、意思決定と共通費を集約したが、これは上場廃止につながる第三者のTOBではない。利益が減る筋書きでは配当も減らし、買収のための希薄化と少数株主持分に気を配る必要がある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
七つのECモールとブランドを一つの物流・IT基盤へ載せる仕組みは、規模が小さい企業の再生にとって強い武器である。d fashionにはNTTドコモの会員導線があり、Reebokの日本事業には伊藤忠商事との関係がある。そこへFASCINATE、ブルーシンシア、ロイヤルなどを統合すれば、各社が別々に持っていた在庫、倉庫、通販システムが同じ基盤で動き始める。2027年2月期上期に取扱高が増加へ転じ、営業利益が45.7%増えた事実は、統合が単なる標語ではないことを示す。
国内アパレル通販で同社の規模はまだ小さい。ZOZOに次ぐ二番手になる必要はなく、細分化した靴市場やブランド直販市場から数ポイントの一部を獲得するだけでも数量の伸びは大きい。会社が示す2030年度の営業利益100億円も、貢献利益率を上げ続けるのではなく、同じ倉庫で運べる商品を増やし間接固定費を抑えるという筋書きである。成功した買収から得る出荷数量と、既存モールの来訪頻度の改善が重なれば、10年後はその水準を超えてもおかしくない。
公式ECの画面運用がAIへ移っても、靴を仕分け、返品を受け、サイズを確認する現場は消えない。自動化による費用削減が自社物流の稼働率向上につながれば、競合と差をつけられる。純現金と過去の自社株買いの実績も、次の経営判断に余裕を与える。事業規模が大きくなるほど既存基盤の再利用が効くという見方には、確かな経済合理性がある。
慎重な見方
買収した事業をまとめれば利益が出るという説明には、限界がある。前期の連結取扱高は8.9%減り、ECモールは6.0%減、プラットフォームは25.7%減だった。とりわけECSの解約は、ブランドが一度導入した運営サービスを永久に利用するわけではないことを示した。顧客から見れば、他社のEC基盤へ乗り換える、Shopifyなどで内製する、AIエージェントに店舗運営や広告最適化を任せるという選択がある。労働と操作画面に対する対価は、物価上昇ほど簡単に上がらない。
物流を持つ会社の損益は、取扱高が伸びない時に一気に悪化する。主要倉庫だけで年14億円程度の賃料を払い、ブランド店舗や配送費も重なる。消費者にとって試着と返品は便利でも、会社にとっては二度の配送と検品の負担になる。人口減少と通販の値引き競争が続けば、シェアを増やせなかったECモールでは固定費を吸収できない。Reebokの商品取扱高が前期減少したことも、販売権の取得だけではブランド力を支配できない証拠である。
最も大きい危険は、ROEの高い時に買収を増やし、在庫と店舗と倉庫を重くしてしまうことだ。会社が掲げる買収回収期間3〜5年は現金利回りの保証ではない。のれんの償却や在庫評価損が増え、運営受託の顧客が離れれば、営業利益と自己資本はともに傷む。投資家は新しい利益額に目を奪われず、買収前から保有していた株主一人当たりの取り分が増えたかどうかを問い続けるべきである。
どちらに重みを置いたか
物流・ITの統合力と足元の利益改善は評価するが、10年の見通しでは慎重な主張が少し勝る。公式EC受託の契約解約、Reebokの減収、重い倉庫賃料という企業固有の事実があり、2030年度の大型目標を中立へ移すには証拠が足りない。確率は楽観側28%、中立33%、悲観側39%とした。AIの影響は受託数量と長期成長率に反映し、確率へさらに機械的な罰を重ねてはいない。約166億円という価値は現在の170億円と近く、安いとも高いとも断じにくいが、安全域は薄い。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 2,743 円284 億円(+ 還元の換算額還元の合計 532 円55 億円)。 今の値に割り戻すと 1,599 円166 億円、今との差 +2.6%、 期待の年率 +8.6%(資本コスト 8.3%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 8,162 円847 億円 | 1,131 円117 億円 | +496.1% | +21.8% | 929 円96 億円 |
| やや楽観 | 18% | 4,526 円469 億円 | 745 円77 億円 | +238.1% | +14.4% | 949 円98 億円 |
| 中立 | 33% | 2,725 円283 億円 | 556 円58 億円 | +110.5% | +8.6% | 1,083 円112 億円 |
| やや悲観 | 27% | 640 円66 億円 | 320 円33 億円 | −38.4% | −5.5% | 259 円27 億円 |
| 悲観 | 12% | 330 円34 億円 | 123 円13 億円 | −71.0% | −12.9% | 54 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,743 円284 億円 | 532 円55 億円 | +110.0% | +8.6% | 3,275 円340 億円 |
今の株価時価総額 1,559 円162 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 買収企業の集約が連続して成功する 利益 64 億円 · PER 13.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 8,162 円847 億円
d fashionとLOCONDOの既存利用者が着実に増え、返品の便利さを維持したまま倉庫処理能力を高める。国内の衣類EC市場が成長する中、靴の品揃えと買収したモールを合わせて市場シェアを一段上げる。ブランドはReebokの販売が持ち直し、ロイヤルと新しい買収先の店舗・EC・卸の販売点数が増える。連結のブランド販売数量は大幅に拡大するが、それを賄う在庫や倉庫が無限に要るわけではない。
共通のシステム・物流設備を繰り返し使えるので、一件当たりの取扱費が下がる。外部3PLも卸・百貨店向けの処理を取り込み、稼働率が上がる。BOEMなど人が行う公式EC運営はAIへ置き換わり、契約件数は増えないが、残った顧客向けの深い統合支援を維持する。「サンキュ!」は直接流入とSNSのファンを伸ばし、広告枠の価格を守る。営業利益は100億円近辺へ成長し、過去の買収で示した費用統合力が規模の経済として定着する10年となる。
- ECモール(ロコンド等):数量 950(年間販売商品点数(万点、推定))× 価格 0.24(販売1万点当たりの連結売上高(億円、仕入売上と販売手数料の混合))→ 売上 228 億円・営業利益 41 億円。靴ECシェア上昇で年間950万点、会社売上単価は現状の1.46倍
- ブランド公式EC運営・システム支援:数量 39.0(BOEM/ECS等の支援ブランド契約数(社・ブランド、期末))× 価格 1.04(1支援ブランド当たりの年売上高(億円、関連サービス込みの仮配賦))→ 売上 41 億円・営業利益 9 億円。AIエージェント代替のため契約件数は39で頭打ち、残存顧客へ高付加価値支援
- 実物流・外部3PL:数量 230(外部受託発送処理件数(万件・年、推定))× 価格 0.22(1万発送件当たり売上高(億円、保管・店舗補充を含む混合単価))→ 売上 51 億円・営業利益 7 億円。外部発送230万件、保管・卸出荷の混合価格上昇と倉庫稼働向上
- ブランド企画・販売:数量 300(年間販売商品点数(万点、推定))× 価格 1.09(販売商品1万点当たり連結売上高(億円、卸・店舗・ECの混合))→ 売上 326 億円・営業利益 49 億円。M&AとReebok回復により実販売量300万点、仕入れ効率も改善
- サンキュ!媒体・広告:数量 4.3(WEB月間ユニークユーザー数(百万人、媒体資料2025年7月))× 価格 1.75(月間100万人の訪問規模当たり年売上高(億円、紙と広告を含む便宜的換算))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。広告の検索依存を下げ直接購読・SNS経由の訪問者を拡張
倍率:ROE=63.5÷353=18.0%、k=8.25%。堀は普通なのでRONIC=8.25%+1/2×(18.0%−8.25%)≒13.12%、g_long=2.0%。正当化PER=(1−2%÷13.12%)÷(8.25%−2%)≒13.56倍。6億円の余剰現金の税後利息0.084億円を純利益から外し、帳簿の6億円を戻り方1.0で足す。
確率:2030年度の高い利益目標を10年先でも上回るには、買収先の数量確保と在庫・物流統合の両方を繰り返し成功させる必要があり、上限シナリオとみる。
やや楽観 18% 物流の規模拡大とブランド増収が着実に進む 利益 36 億円 · PER 13.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4,526 円469 億円
NTTドコモとの導線強化がd fashionの購買者を増やし、LOCONDOを含むモール全体で販売件数が増える。消費者の選択肢は増え続けるので、値上げを一方的に通せるわけではないが、靴の品揃え、返品の速さ、会員への提案精度で他のモールから少しずつ顧客を取る。2026年に買収したロイヤルの通期効果に加え、相性の良いブランドを適正価格で取得でき、ブランド販売の数量は2036年に現状の約2倍になる。
EC運営受託ではAIの普及で契約が減るが、店舗POS・受注管理と一緒に使う一部顧客は残る。現物物流は小規模事業者から新しい荷物を預かり、外部委託処理を増やす。物価上昇による賃料と人件費の負担を、自動化と倉庫内の稼働率改善で吸収し、営業利益率は足元と同程度の水準を維持する。資金は買収と物流に使いながらも純利益の三割を安定して配当し、強い成長と株主還元を両立する姿になる。
- ECモール(ロコンド等):数量 700(年間販売商品点数(万点、推定))× 価格 0.23(販売1万点当たりの連結売上高(億円、仕入売上と販売手数料の混合))→ 売上 158 億円・営業利益 26 億円。年間700万点、物価と構成変化を含む単価上昇
- ブランド公式EC運営・システム支援:数量 34.0(BOEM/ECS等の支援ブランド契約数(社・ブランド、期末))× 価格 1.00(1支援ブランド当たりの年売上高(億円、関連サービス込みの仮配賦))→ 売上 34 億円・営業利益 7 億円。受託件数34、AI代替による工数縮小を価格上昇が一部緩和
- 実物流・外部3PL:数量 175(外部受託発送処理件数(万件・年、推定))× 価格 0.20(1万発送件当たり売上高(億円、保管・店舗補充を含む混合単価))→ 売上 35 億円・営業利益 4 億円。倉庫稼働・外部顧客増により出荷175万件
- ブランド企画・販売:数量 200(年間販売商品点数(万点、推定))× 価格 1.05(販売商品1万点当たり連結売上高(億円、卸・店舗・ECの混合))→ 売上 210 億円・営業利益 25 億円。既存ブランド立て直しと価格規律のある買収で200万点
- サンキュ!媒体・広告:数量 3.9(WEB月間ユニークユーザー数(百万人、媒体資料2025年7月))× 価格 1.60(月間100万人の訪問規模当たり年売上高(億円、紙と広告を含む便宜的換算))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。WEB直接流入の一部増加と媒体販売単価の改善
倍率:2036年ROE=36.2÷257=14.1%、k=8.25%。堀は普通、RONIC=11.17%、長期g=2.0%から(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.13倍。6億円の余剰現金は金利相当を控除して加算。現在の株価や同業PERを根拠にしていない。
確率:新しいモールと物流設備への統合効果は上期の利益改善で確認できるが、複数のブランド買収の成功を必要とするため楽観ほど広くはみない。
中立 33% モールとブランドは増えるが公式EC運営は縮小 利益 23 億円 · PER 12.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,725 円283 億円
日本の衣類ECは利用率を少し高めるが、人口減少と成熟化で実質の商品点数は緩やかにしか増えない。ジェイドはLOCONDO、d fashionなどを通じて靴と衣類の数量シェアを少し広げ、年間販売点数を増やす。割引や送料サービスを完全には転嫁できず、ECモールの会計上の一点当たり売上の上昇は物価並みよりやや低くなる。ブランドはロイヤル等の通年効果と慎重なM&Aで販売点数が増えるが、Reebokが市場を独走することはない。
BOEM・ECSのような人手による業務支援はAIエージェントによる操作自動化と顧客内製化で契約数を減らす。一方で倉庫の現物出荷は続き、外部3PLの件数増加が失われた受託収益の一部を補う。サンキュ!は紙と直接読者を残すが検索経由のアクセスは弱くなる。グループ全体の営業利益は着実に伸びるものの、買収したブランド在庫と倉庫に資本を使うため、ROEは過去の高水準から下がる。安定成長の事業にはなるが、独占的な高収益企業にはならない。
- ECモール(ロコンド等):数量 570(年間販売商品点数(万点、推定))× 価格 0.21(販売1万点当たりの連結売上高(億円、仕入売上と販売手数料の混合))→ 売上 122 億円・営業利益 16 億円。年間570万点、単価1.30倍は物価の1.34倍より小幅に低い
- ブランド公式EC運営・システム支援:数量 27.0(BOEM/ECS等の支援ブランド契約数(社・ブランド、期末))× 価格 0.90(1支援ブランド当たりの年売上高(億円、関連サービス込みの仮配賦))→ 売上 24 億円・営業利益 5 億円。AIエージェント代替の中立の数量0.69倍、価格1.17倍、g_long0%
- 実物流・外部3PL:数量 140(外部受託発送処理件数(万件・年、推定))× 価格 0.20(1万発送件当たり売上高(億円、保管・店舗補充を含む混合単価))→ 売上 27 億円・営業利益 3 億円。外部発送140万件、保管料は概ね物価並み
- ブランド企画・販売:数量 145(年間販売商品点数(万点、推定))× 価格 1.05(販売商品1万点当たり連結売上高(億円、卸・店舗・ECの混合))→ 売上 152 億円・営業利益 15 億円。ロイヤル通年と選別買収による年145万点
- サンキュ!媒体・広告:数量 3.2(WEB月間ユニークユーザー数(百万人、媒体資料2025年7月))× 価格 1.50(月間100万人の訪問規模当たり年売上高(億円、紙と広告を含む便宜的換算))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。検索流入減で月間訪問者3.2百万人、名目単価1.20倍
倍率:ROE=22.5÷209=10.77%。k8.25%、残る割合1/2によりRONIC=9.51%。g_long2%なので正当化PER=(1−2%÷9.51%)÷(8.25%−2%)=12.63倍。純利益中の余剰現金6億円への税後利息0.084億円を除き事業評価を行い、同現金は戻り方1.0で別に足した。
確率:会社の物流統合実績は維持しつつ、ファッションEC市場の成長鈍化と運営受託の解約を反映した中心値。会社の2030年目標の達成は前提にしない。
やや悲観 27% ブランド競争とAIで収益力が薄れる 利益 6 億円 · PER 10.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 640 円66 億円
LOCONDOの特色である返品と試着の利便性は残るが、ZOZO、Amazon、ブランド直販との競争で集客費と値引きが増える。年間の販売点数は十年前を下回り、物価の上昇を売値に十分転嫁できない。新たなブランド買収は絞られ、Reebokの仕入れ条件と在庫回転が改善しないまま、販売数量が横ばいに近づく。倉庫の配送需要が弱いため固定賃料が重くのしかかる。
ブランド公式ECの操作・制作・広告業務はAIで効率化され、ブランド各社が内製化する。運営受託の契約数は大きく減り、残存顧客も値下げを求める。外部3PLは実物の荷物として残るが稼働率は低いままで、採算の悪い施設が生まれる。サンキュ!はAI要約で検索利用者が減り、雑誌の購読数も伸びない。利益は黒字でも自己資本に対する利回りが資本コストを下回る状態になり、買収を続ける理由が薄れる。配当は残るが、それまでの規模から縮小する。
- ECモール(ロコンド等):数量 430(年間販売商品点数(万点、推定))× 価格 0.20(販売1万点当たりの連結売上高(億円、仕入売上と販売手数料の混合))→ 売上 84 億円・営業利益 7 億円。年間430万点まで減少、値引きで会計上単価上昇を抑制
- ブランド公式EC運営・システム支援:数量 22.0(BOEM/ECS等の支援ブランド契約数(社・ブランド、期末))× 価格 0.80(1支援ブランド当たりの年売上高(億円、関連サービス込みの仮配賦))→ 売上 18 億円・営業利益 2 億円。AIに受託数量が奪われ22契約、運営費も値下げ圧力
- 実物流・外部3PL:数量 90.0(外部受託発送処理件数(万件・年、推定))× 価格 0.18(1万発送件当たり売上高(億円、保管・店舗補充を含む混合単価))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。発送90万件、倉庫家賃を吸収しにくい
- ブランド企画・販売:数量 100(年間販売商品点数(万点、推定))× 価格 0.90(販売商品1万点当たり連結売上高(億円、卸・店舗・ECの混合))→ 売上 90 億円・営業利益 5 億円。在庫値引きとスポーツブランド競争で採算悪化
- サンキュ!媒体・広告:数量 2.2(WEB月間ユニークユーザー数(百万人、媒体資料2025年7月))× 価格 1.16(月間100万人の訪問規模当たり年売上高(億円、紙と広告を含む便宜的換算))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。検索トラフィックと紙の広告収入の両方が落ちる
倍率:中立より弱いROE=6.1÷153=4.0%は資本コスト8.25%未満で、成長投資をすれば価値が増える状態ではない。正当化PERの上限は利益を永続に保つ1÷k=12.12倍。回復の不確実性を見て稼ぐ力の約10.5倍に抑え、手元現金は会社の固定費で減る可能性から4.5億円だけ別計上する。
確率:会社の運営受託で現実に起きた契約解約が広がり、買収後の売上は増えても在庫と固定費に利益を奪われる場合は十分にある。
悲観 12% 契約喪失と買収減損で優良さを失う 利益 −9 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 330 円34 億円
複数の大口ブランドが自社ECの運営を取り戻し、BOEM・ECSの契約は大きく減る。AIエージェントがサイト操作と販促制作を代替し、残る受託売上では専任人員を維持できない。消費者はZOZOやAmazonに集まり、ロコンドの販売商品点数は大幅に減る。Reebokなどの販売は値引きと在庫処分が常態化し、新たに買収した企業ののれんと保有商品の評価損が出る。サンキュ!の紙媒体と検索由来広告も縮小する。
倉庫契約を直ちに解約できず、処理量が落ちても家賃と物流人件費が残るため営業赤字になる。買収事業の減損や店舗閉鎖費が期間中の累計純利益をさらに傷め、自己資本は縮む。買収と自社株買いを停止し、配当も後半は中止する。なお事業が消滅するわけではなく、在庫処分、売掛債権の回収、物流設備の売却から債務と預り金を清算すれば一定の持分価値は残る。過去の高い営業利益率を保守的な底とせず、十年を通じて構造的に競争に敗れる場合を表した。
- ECモール(ロコンド等):数量 300(年間販売商品点数(万点、推定))× 価格 0.17(販売1万点当たりの連結売上高(億円、仕入売上と販売手数料の混合))→ 売上 51 億円・営業利益 1 億円。EC販売件数300万点、極端な値引きと手数料圧縮
- ブランド公式EC運営・システム支援:数量 15.0(BOEM/ECS等の支援ブランド契約数(社・ブランド、期末))× 価格 0.60(1支援ブランド当たりの年売上高(億円、関連サービス込みの仮配賦))→ 売上 9 億円・営業利益 −1 億円。AIと内製化で顧客15、残る費用で赤字
- 実物流・外部3PL:数量 65.0(外部受託発送処理件数(万件・年、推定))× 価格 0.15(1万発送件当たり売上高(億円、保管・店舗補充を含む混合単価))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。低稼働のまま施設維持費だけが残る
- ブランド企画・販売:数量 62.0(年間販売商品点数(万点、推定))× 価格 0.84(販売商品1万点当たり連結売上高(億円、卸・店舗・ECの混合))→ 売上 52 億円・営業利益 −5 億円。靴・スポーツ用品の在庫処分とブランド低迷
- サンキュ!媒体・広告:数量 1.3(WEB月間ユニークユーザー数(百万人、媒体資料2025年7月))× 価格 0.95(月間100万人の訪問規模当たり年売上高(億円、紙と広告を含む便宜的換算))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。月間訪問者が減り雑誌・広告の赤字が残る
倍率:営業赤字と最終赤字が続くため利益にPERを掛けず、現在の自己資本75.2億円を基礎にPBR=35÷75.2=0.4654を適用した。過去の底値のPBRではなく、資産の換金と精算義務を考えた床25億円を上回る35億円とした。買収のれんや税効果資産に清算価値を与えていない。
確率:運営受託の構造的縮小に物流の稼働低下とブランドの在庫損失が重なった場合。存続不能ではなく、清算可能資産の床を残す。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ECモール(ロコンド等)
LOCONDO.jp、MAGASEEK、d fashion等の7モール。自社仕入商品の売上と受託販売の手数料を合算して得る。
| 数量年間販売商品点数(万点、推定) | 価格販売1万点当たりの連結売上高(億円、仕入売上と販売手数料の混合) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 459 | 0.16 | 76 | 9 |
| 10 年後 中立 | 570 | 0.21 | 122 | 16 |
取り方:有報2026/02のEC取扱高240.53億円と売上高76.75億円を使用。2026/10会社説明資料の顧客指標の販売1点単価5,238円を前年の近似として、240.53億円÷5,238円≈459.2万点を推計した。季節・年度違いのため推定誤差あり。全社内取引9.22億円のうち1.25億円をこの区分に仮配賦し、連結ベース75.50億円、一万点当たり1,644円の売上とした。実際の手数料率・商品構成は変わる。出典:https://edinetdb.jp/company/E32966/text?fy=2026 および2026/10/15会社説明資料(sources)。
ブランド公式EC運営・システム支援
BOEM/ECS、LOCOPOS、LOCOCHOC、LoCORE等の運用・受託サービス。人が画面を操作する業務・制作・運営部分はAI代替の対象。
| 数量BOEM/ECS等の支援ブランド契約数(社・ブランド、期末) | 価格1支援ブランド当たりの年売上高(億円、関連サービス込みの仮配賦) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 39.0 | 0.77 | 30 | 6 |
| 10 年後 中立 | 27.0 | 0.90 | 24 | 5 |
取り方:会社有報のプラットフォーム取扱高136.39億円、売上高44.71億円、うちBOEM/ECSの取扱高128.85億円とブランド支援件数39を基礎とした。デジタル受託と3PLの売上別開示は無いので、44.71億円から外部物流相当を13.51億円、内部取引分を合計2.71億円控除する作業仮説として連結ベース30億円(39件×0.7692億円)を割り当てた。営業利益6.2億円も未開示の推計である。2026/08に支援37へ減少。AIエージェント代替の型「人月・工数型」、中立数量27/39=0.69倍、価格0.90/0.769=1.17倍、長期g0%を適用。「記録の正本」の解約率・法対応値上げ等の証拠が2点ないため例外にしない。
実物流・外部3PL
アパレルと靴の保管・ピッキング・発送・返品処理、店舗・卸向け補充など現物の物流。
| 数量外部受託発送処理件数(万件・年、推定) | 価格1万発送件当たり売上高(億円、保管・店舗補充を含む混合単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 80.0 | 0.15 | 12 | 2 |
| 10 年後 中立 | 140 | 0.20 | 27 | 3 |
取り方:外部物流だけの出荷実数と売上は開示がない。会社の年間グループ出荷約500万件を手掛かりに、外部倉庫受託を約16%に当たる80万発送件と仮定。外部3PL総収益の連結帰属12億円を仮配賦し、発送1件当たり売上約1,500円(保管・卸向け作業費を含む)とした。これは実証済み運賃単価ではなく混合売上単価で、処理件数・単価は双方とも検証余地が大きい。物流現場の体はAIによって全面消失せず、事務・配車や照合は自動化される。業界の大きさは矢野経済研究所の2024年度小売・EC物流9兆600億円、ただし倉庫だけでなく輸送を含むため厳密な外部3PLシェアは不明。出典:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3952
ブランド企画・販売
Reebok Japanと買収したFASCINATE、ブルーシンシア、ロイヤル、その他ブランドのEC・店舗・卸の現物販売。
| 数量年間販売商品点数(万点、推定) | 価格販売商品1万点当たり連結売上高(億円、卸・店舗・ECの混合) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 90.0 | 0.80 | 72 | 10 |
| 10 年後 中立 | 145 | 1.05 | 152 | 15 |
取り方:会社有報のブランド取扱高77.93億円、売上77.69億円、Reebok取扱高43.64億円とROYAL14.27億円を使用。靴・高価格アパレルと卸売が混在するため平均販売額約8,659円/点を作業仮定とし、77.93億円÷8,659円≈90万点と推計。ブランド単体の会計上売上から内部取引5.25億円を仮控除し連結72.44億円(約8,049円/点)とする。実際の品目別数量と利益は非開示、特に高額品と卸売の混合単価は推計の不確実性が高い。伊藤忠のReebok Japan持分34%を純利益計算でも考慮する。
サンキュ!媒体・広告
生活情報誌、ウェブ、SNS、媒体広告枠、タイアップ制作、読者参加企画の複合収益。
| 数量WEB月間ユニークユーザー数(百万人、媒体資料2025年7月) | 価格月間100万人の訪問規模当たり年売上高(億円、紙と広告を含む便宜的換算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 3.6 | 1.25 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 3.2 | 1.50 | 5 | 0 |
取り方:2026/02有報のその他売上4.47億円とサンキュ!媒体資料(2025年7月)の月間UU357万人、月間PV3933万、雑誌印刷証明部数13万8850部から換算。4.47÷3.57=1.252億円は年間売上÷月間UUという代理指標で、広告枠の一件単価ではない。紙の購読収入とウェブ広告を分ける資料がないため数量と価格は代理指標、媒体売上が横ばいでもUUだけで説明できない。自社媒体の枠販売が中心だがタイアップ制作には人月型AI代替、検索経由UUにはAI要約による減少を織り込む。出典:https://media.aws.locondo.jp/etc/arigato/common/pdf/20254Q_39InternetAD.pdf
リスクと懸念
AI エージェント代替
BOEM・ECSのサイト構築、商品登録、在庫照合、広告運用と店舗画面の操作は、AIエージェントが人の工数を置き換えやすい。受託ブランドの自社運営や解約が増えると、工数売上の数量と受託単価が同時に細る。サンキュ!にも記事要約による検索流入減が生じうる。実物の発送・返品は残るため物流と同じ縮小率をかけてはいない。
ブランド公式EC受託の解約
プラットフォーム取扱高は前期25.7%減り、主因はマガシークから引き継いだECS契約の解約だった。支援ブランド数も直近で39から37へ減少した。共通IT基盤に乗せたことだけでは解約を防げないことを示しており、競合への移管や内製化が続けば成長前提は崩れる。
物流と店舗の固定家賃
ロコポートの年間賃借料約9.6億円、マガシーク倉庫約4.6億円に加えてブランドの店舗賃料がある。発送数が落ちても賃料と最低限の運営人員はすぐに減らせない。新リース会計で負債が見えやすくなっても、家賃が支払義務であること自体は変わらない。
買収の価格と増分資本効率
会社は3〜5年回収を基準とするが、買収先の在庫、システム統合、物流更新、のれん償却を含めた投下資本が資本コストを超えて稼ぎ続ける保証はない。買収を重ねて売上が増えても、一株当たりの利益と所有者の現金が増えないなら株主価値は増えない。
モール集客・返品・値引き競争
ZOZO、楽天市場、Amazon、ブランド公式サイトに広告と配送の価格決定力があり、消費者が価格を容易に比較できる。LOCONDOの試着返品は客に便利だが返品率12.8%は逆物流の費用を伴う。顧客獲得費が上がり、クーポン依存で客単価が下がれば、名目売上が伸びても利益が残らない。
ブランド販売権・在庫と少数株主持分
Reebok Japanの国内取扱高は前期18.8%減り、世界的なスポーツブランドとの競争に晒されている。販売権の条件変更や在庫滞留、値引き、為替150円での仕入れ負担が利益を削る。さらに同事業には伊藤忠商事の34%持分があり、連結営業利益と親会社株主への帰属利益は異なる。
株式希薄化と資金配分の連続性
2026年8月時点の潜在株式調整後EPSには約23.8万株の増加数が含まれ、ESOP信託株30万株は別途自己株式相当として扱われる。今後の株式報酬や買収対価に新株を使うと、一株当たりの持分は薄まる。買収資金を優先するあまり公約の利益30%配当が細らないかも確認したい。
今後の分かれ目
- ECモール取扱高が2年以上続けて二桁増となり、年間稼働顧客も増えたら
- クーポン支出と返品率を差し引いて成長しているか確認し、中立の販売点数とシェアを引き上げる。
- BOEM・ECSの顧客契約が連続して減り、受託取扱高が前年比2割超減ったら
- AIによる内製化と競合移管を区別した上で、運営受託の数量とその後の売上上限を引き下げる。
- 同じ倉庫床面積で外部受託出荷が増え、売上当たり賃料率が2年連続で低下したら
- 物流の規模の経済が確かめられるため、実物流の利益率と再投資利回りを上方修正する。
- 大型M&A後3年で買収費用込みの営業利益・現金回収が計画を下回ったら
- 次の買収による数量成長の確率を落とし、減損と希薄化を含むやや悲観の比率を増やす。
- Reebokの取扱高が2年続けて増え、値引きを減らしても粗利益が伸びたら
- 販売権によるブランド差別化が効いたと認め、ブランド販売量と利益率の中立前提を引き上げる。
- サンキュ!の直接流入・月間訪問者と広告受注がともに減ったら
- 記事制作費のAI削減で相殺できるか確認し、媒体数量と単位当たり収益を下方に直す。
- 純利益の30%配当が中止され、買収のため株数が大幅に増えたら
- 新株発行後の既存株主持分と累計還元額を再計算し、株主への余剰現金の戻り方を見直す。
見ておくもの
- 四半期のECモール取扱高と既存モールの成長率、d fashionのNTTドコモ会員流入
- 購入者の年間稼働率、購入点数、一点当たり販売価格、返品率、販促費
- BOEM・ECSの支援ブランド数、契約継続率、受託取扱高と運営受託売上
- 外部3PLの発送実数・倉庫稼働率・一件当たり粗利益・賃料率の追加開示
- Reebok、ロイヤル、FASCINATEのブランド別数量と在庫回転、値引き率
- サンキュ!の月間UU、直接流入比率、雑誌部数、媒体広告受注
- M&Aごとの取得価格、投下資本、統合費用、3〜5年の実際の回収率
- 30%配当方針の実行、ESOPの希薄化、のれん・無形資産の減損
- 2030年度の取扱高1,000億円と貢献利益率16%、間接固定費60億円への進捗
倍率と資本コストの決め方
2026年10月22日の株価から将来利益を逆算していない。市場規模、実際の取扱高、顧客・配送件数の推計を先に作り、事業別の10年後利益と自己資本を積んだ。楽観〜中立のPERは資本コスト8.25%、長期成長2%、資本コストを超える再投資利回りの半減から正当化式で計算し、市場や同業のPERを使わなかった。やや悲観は稼ぐ力を控えめに、悲観は現時点の純現金と売却可能資産を清算の床としている。累積利益のうちM&Aと物流投資に使う金額を余剰現金として二度加算していない。2027年以降の新リース会計による資産・負債計上は家賃を二重に差し引かず、従来と同じ営業費用の形で統一した。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%と株式リスクプレミアム4.5%から出発し、事業の循環、値決め力、純現金の質を合算。個別の買収失敗は筋書きに置く。