結論
シルバーライフは、高齢者の家に弁当を届ける加盟店の本部で、自社の工場で作った食材を約940の加盟店に売る会社だ。筆者の結論は「やや割安」である。75歳以上の人口はまだ増え、施設向けと冷凍弁当の直販は年2割近く伸びている。加盟店の数は年2%ずつ減り、安い弁当で値段を上げる力も弱いが、それを差し引いても本質価値は今の値段を1割ほど上回る。
稼ぎの仕組みは工場にある。加盟店は盛り付けて届けるだけで、食材は栃木と群馬の工場が作る。加盟店が増えるほど工場の稼働が上がり、利益が厚くなる。2026年7月期の営業利益は10億円と過去最高だった。
弱点は届ける人手だ。加盟店の多くは個人の事業者で、最低賃金の上昇と配達の人の不足で撤退しやすい。ワタミの宅食や冷凍食品の大手とも競う。
財務は堅く、借金はほぼ無い。創業の社長の資産管理会社が37%を持つ。筆者は、需要の追い風が届ける力の細りを少し上回り、利益は10年で4割ほど増えると見る。
大きく割安と言えないのは、強みと弱みがどちらも数字に出ているからだ。施設向けの伸びが加盟店の減りを上回るかどうかが、次の数年で見えてくる。借金が無く、利益の多くが手元に残るので、待つ間の安全はある。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「需要は確かだが、値段の力が弱い」型である。高齢者の毎日の食事という需要は、10年先も消えない。そこに工場の低い原価で応える仕組みは理にかなっている。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は年7〜8億円ほどだ。償却が年9億円あり、工場の更新の投資とほぼ見合う。大きな新設をしなければ、利益の多くは手元に残る。
経営の資本の使い方は、今のところ堅実だ。工場は自前の現金で建て、借金に頼らない。買収も小さく、事業に近い。ただ還元は利益の3割にとどまり、現金がたまれば資本効率は下がる。
安全域はあまり無い。需要の追い風と届ける人手の細りが打ち消し合い、筆者の見る本質価値は今の値段の近くにある。社長への依存が強い点も、長く持つ前に確かめたい。
もし加盟店の減りが止まり、施設向けが年2割の伸びを続けるなら、筆者は評価を上げる用意がある。今の値段は、その可能性をあまり織り込んでいない。
何で稼ぐ会社か
事業は高齢者の食に絞っている。最大は加盟店に食材を売る事業で、売上の6割を占める。ブランドは「まごころ弁当」「配食のふれ愛」「宅食ライフ」の三つで、合わせて約940店ある。加盟店は会社が作った食材を盛り付け、近くの高齢者の家に届ける。会社は加盟金のほか、月の会費だけで始められる安いプランも用意し、店を集めてきた。
二つめは介護施設や病院に食材を売る事業で、売上は20億円強だ。施設の厨房の人手が足りず、調理済みの食材を使う施設が増えている。前の期は2割以上伸びた。
三つめは冷凍弁当の直販とOEMで、売上は40億円強ある。自社の冷凍弁当をネットで売り、他社の弁当の受託製造も受ける。埼玉の加須に倉庫を持ち、保管や仕分けも請け負う。
工場は群馬と栃木にあり、栃木工場は2021年に動き出した。2026年6月には冷蔵倉庫の成田冷蔵を買い、冷凍の物流を自社で持った。
加盟店の数は2023年7月末の970店から、2025年7月末には931店に減った。それでもFC向けの売上は前の期に6%近く伸びた。残る店が1店あたりの食数を増やしているからだ。2026年7月期の売上は162億円、営業利益は10億円だった。会社は2028年7月期に売上180億円、営業利益12億円を目指す。従業員は平均で35歳と若く、外国人の働き手も多い。全体の4割近くが外国人で、工場の人手を支える。
優良さと弱いところ
強みは、工場と加盟店の網を組み合わせた低い費用だ。加盟店は店を構えず、盛り付けと配達だけをする。食材は大きな工場でまとめて作るので、1食の原価を低く抑えられる。全国に約940の拠点がある配食の網は、新しく作るのに時間がかかる。
だが、堀、つまり他社がまねできない強みとしては中くらいだ。値段は安さが売りで、上げる余地は小さい。加盟店が撤退すれば、その地域の網は簡単には戻らない。ワタミの宅食、生協、冷凍食品の大手、ネットの冷凍弁当と、競う相手は多い。加盟店は個人の事業者が多く、店の数は減り始めた。
資本効率はまずまずだ。自己資本利益率は10〜11%で、過去10年の中央値は13%だった。借金はほぼ無く、工場への投資は営業のキャッシュフローで賄える。
弱点は人だ。有報は代表取締役への依存を重要なリスクに挙げる。配達の人手と工場の働き手の確保も、利益を左右する。社員の平均の勤続は3年弱と短く、人を育て続ける力も問われる。
工場の稼働は利益の梃子だ。栃木工場は動き出して5年で、まだ余力がある。食数が増えれば、償却と人件費の固定費が薄まり、利益率は上がる。逆に加盟店が減れば、同じ梃子が逆に働く。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
高齢者の食の市場は、数量で伸びる珍しい国内の市場だ。75歳以上の人口は2030年代半ばまで増え、一人で暮らす高齢者も増える。自分で料理ができない人の毎日の食事は、景気に左右されにくい。
届け方は変わりつつある。毎日の手渡しの弁当は、見守りの役目も果たすが、配達の人手が要る。最低賃金が年3%以上上がる中で、加盟店の採算は厳しくなる。冷凍の弁当を週に一度まとめて届ける形は、人手が少なくて済む。シルバーライフが冷凍の直販と物流に力を入れるのはこのためだ。
介護施設も人手が足りない。厨房で一から作る施設は減り、調理済みの食材を温めて出す形が増える。ここは数量が伸びる分野だ。
競争は厳しい。ワタミは宅食で大きな網を持ち、日清医療食品は施設の給食で強い。コンビニも高齢者向けの弁当を届ける。業界の見通しでは、外食は人件費の上昇を値上げで吸収できる会社と、できない会社に分かれる。筆者は、シルバーライフの10年は工場の稼働をどこまで保てるかで決まると見る。
冷凍の技術は追い風だ。冷凍の弁当は味が良くなり、高齢者の家でも受け入れられてきた。工場で作って冷凍で運ぶ形は、人手の不足に強い。
値段の面では、物価の上昇を食材の値上げで加盟店に回せるかが鍵だ。加盟店は高齢者に弁当を売る小さな店で、値上げを嫌がる客を抱える。本部の値上げが加盟店の撤退を早めるおそれもある。シルバーライフは2026年に1食数百円台の新しい商品を出し、値段の安さを守る構えだ。
資本政策と M&A
還元の方針は、配当性向30%を目途にした安定した配当だ。2026年7月期の配当の総額は約2億円で、2027年7月期も増やす予想だ。自社株買いの実績は無い。
株主優待は2025年に再開し、200株以上の株主に冷凍弁当の商品券を年1回贈る。費用は年1億円に届かない小さな額なので、価値への影響はわずかだ。
借金はほぼ無く、手元の現金と同じくらいの借入があるだけだ。工場の投資は年10億円前後で、営業のキャッシュフローで賄える。2026年には成田冷蔵を買い、冷凍の物流を広げた。
大株主は社長の資産管理会社とみられる近江屋で、37%を持つ。経営の判断は早いが、外からの買収は起きにくい。逆に、社長の側から株式を買い取る非公開化の道は残る。その時の値段は、本質価値と別の所で決まる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
需要は人口が約束している。75歳以上の人口は2030年代半ばまで増え、一人で暮らす高齢者も増える。毎日の食事は景気で削れない。外食の中では珍しく、数量が伸びる市場だ。
施設向けと直販はすでに伸びている。施設向けは前の期に2割以上、直販とその他は17%伸びた。介護施設の厨房は人手が足りず、調理済みの食材に頼る流れは止まらない。冷凍の弁当なら配達の人手も少なくて済む。
工場は動き出して5年で、稼働を上げる余地がある。栃木工場と加須倉庫に成田冷蔵が加わり、作る、ためる、運ぶを自社でそろえた。売上が伸びるほど、工場の固定費が薄まって利益率が上がる。
会社は2028年7月期に営業利益12億円を目標に掲げる。借金はほぼ無く、自己資本利益率も10%を超える。工場への投資は自前の現金で賄え、増資も要らない。
外食の中で景気に強い数少ない会社で、谷の年でも需要は落ちにくい。冷凍の物流まで持つ会社は、配食の本部では珍しい。この網と設備を、後から来た会社がまねるのは簡単ではない。
今の値段は利益のおよそ9倍で、伸びる市場の会社としては高くない。
慎重な見方
届ける人がいなくなる。加盟店の多くは個人の事業者で、最低賃金の上昇と配達の人の不足で撤退しやすい。有報も加盟店の数が減り始めたと書く。加盟店が減れば、工場の稼働も落ちる。
値段を上げる力は弱い。売りは安さで、1食数百円の弁当で物価の上昇を全部は転嫁できない。ワタミの宅食、生協、コンビニ、冷凍食品の大手と、強い相手が並ぶ。ネットの冷凍弁当は参入が多く、値下げの競争になりやすい。
食の事故は一度で信用を失う。高齢者向けの弁当で食中毒が起きれば、加盟店も施設も離れる。創業の社長への依存も強く、有報が重要なリスクに挙げる。
自己資本利益率は13%台から10%台に下がってきた。工場への投資を続けても、利益率は5〜6%で頭打ちだ。2026年7月期の利益率は6.4%で、過去の山の11%には遠い。
配当性向は3割にとどまり、自社株買いも無い。現金がたまれば資本効率はさらに下がる。社長の資産管理会社が4割近くを持つので、少数株主の声は届きにくい。資本の使い方を外から正す仕組みは弱い。
伸びている施設向けも、日清医療食品のような給食の大手がいる市場だ。シルバーライフの規模で、値段と品質の両方で勝ち続けられる保証は無い。
どちらに重みを置いたか
両者の言い分は拮抗している。需要の伸びは確かだが、届ける人手と値段の弱さも確かだ。施設向けと直販の伸びは数字で出ているので、加盟店の減りを埋める筋はある。確率は中立を38%とし、楽観側に32%、悲観側に30%を置いた。借金が無く利益の多くが手元に残るので、悲観でも会社は傾かない。結果として本質価値は今の値段を1割ほど上回る。施設向けの伸びが続けば楽観側に寄せる余地がある。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/07 期)
確率で加重した株価時価総額 1,229 円134 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 260 円28 億円)。 今の値に割り戻すと 717 円78 億円、今との差 +8.9%、 期待の年率 +8.5%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 2,072 円227 億円 | 348 円38 億円 | +267.8% | +13.9% | 242 円26 億円 |
| やや楽観 | 22% | 1,683 円184 億円 | 302 円33 億円 | +201.6% | +11.7% | 437 円48 億円 |
| 中立 | 38% | 1,328 円145 億円 | 274 円30 億円 | +143.5% | +9.3% | 609 円67 億円 |
| やや悲観 | 20% | 659 円72 億円 | 210 円23 億円 | +32.1% | +2.8% | 174 円19 億円 |
| 悲観 | 10% | 150 円16 億円 | 128 円14 億円 | −57.7% | −8.3% | 28 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,229 円134 億円 | 260 円28 億円 | +126.3% | +8.5% | 1,489 円163 億円 |
今の株価時価総額 658 円72 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 高齢者の食の基盤になり、利益は2倍に 利益 17 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 2,072 円227 億円
一人で暮らす高齢者が増え、毎日の食事を届けてもらう家が増える。シルバーライフは安い値段と全国の加盟店の網で、この需要を広く取る。加盟店の数は今の水準を保ち、1店あたりの食数は2割増える。
施設向けは、厨房の人手が足りない介護施設が外に頼る流れで、食数が2倍になる。冷凍弁当の直販とOEMも2倍に伸びる。栃木工場の稼働が上がり、利益率は全社で7%台に上がる。
全社の営業利益は22億円前後、純利益は17億円になる。成田冷蔵を使った冷凍の物流も、他社の荷を預かって稼ぐ。配当性向30%を保ち、優待も続ける。
自己資本利益率は10%台を保ち、資本コストを上回り続ける。高齢者の食の網として、大手からも一目置かれる存在になる。
- FC加盟店への食材:数量 940(FC加盟店の数(店))× 価格 1,600(1店あたりの年間の食材の売上(万円))→ 売上 150 億円・営業利益 12 億円。店1.00倍・1店の売上1.57倍(食数1.2倍×単価1.31倍)・利益率8%
- 高齢者施設への食材:数量 1,286(提供する食数(万食・推定))× 価格 469(1食あたりの売値(円))→ 売上 60 億円・営業利益 4 億円。食数2.00倍・単価1.34倍・利益率6.5%
- 冷凍弁当の直販・OEM・倉庫:数量 1,938(販売する食数(万食・推定))× 価格 603(1食あたりの売値(円))→ 売上 117 億円・営業利益 6 億円。食数2.00倍・単価1.34倍・利益率5.5%
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.6% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.91 倍、時価総額 225 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:75歳以上の人口は10年で増え、施設向けと直販は年2割近く伸びてきた。工場の余力もある。ただ加盟店の数は減り始めたので10%とした。
やや楽観 22% 中計どおり伸び、施設と直販が育つ 利益 14 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,683 円184 億円
加盟店の数は少し減るが、1店あたりの食数は高齢者の増加で伸びる。食材の値段は物価に沿って上がり、FC向けの売上は3割伸びる。
施設向けは食数が1.7倍、冷凍弁当の直販とOEMは1.7倍になる。新しい工場は建てず、栃木工場と加須倉庫の稼働を上げて利益率を保つ。
全社の営業利益は18億円、純利益は14億円になる。配当性向30%を続けると自己資本は膨らみ、自己資本利益率は9%台に下がる。それでも資本コストは上回る。
成田冷蔵を使った冷凍の物流も、自社の弁当を安く運ぶ役に立つ。社長の後継の形も整い、会社は配食の中堅として地位を固める。施設向けでは、給食の大手と並ぶ選択肢になる。
- FC加盟店への食材:数量 900(FC加盟店の数(店))× 価格 1,480(1店あたりの年間の食材の売上(万円))→ 売上 133 億円・営業利益 10 億円。店0.96倍・1店の売上1.45倍(食数1.1倍×単価1.32倍)・利益率7.5%
- 高齢者施設への食材:数量 1,093(提供する食数(万食・推定))× 価格 469(1食あたりの売値(円))→ 売上 51 億円・営業利益 3 億円。食数1.70倍・単価1.34倍・利益率6%
- 冷凍弁当の直販・OEM・倉庫:数量 1,647(販売する食数(万食・推定))× 価格 603(1食あたりの売値(円))→ 売上 99 億円・営業利益 5 億円。食数1.70倍・単価1.34倍・利益率5%
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.8% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.52 倍、時価総額 176 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社は2028/07期に営業利益12億円を目標に掲げ、2026/07期は10億円まで来た。この延長として22%とした。
中立 38% 加盟店は細り、施設と直販が埋める 利益 11 億円 · PER 11.9 倍 · 株価時価総額 1,328 円145 億円
加盟店の数は配達の人手が集まらず、ここ2年と同じ年2%の割合で減り、10年で2割近く減る。それでも残る店は高齢者の増加で1店あたりの食数を2割増やす。食材の値段は物価並みに上がる。
施設向けは食数が1.5倍、冷凍弁当の直販とOEMも1.5倍になる。ただ直販はネットの冷凍弁当の競争が激しく、利益率は4%にとどまる。人件費と食材の値上がりは、値上げでほぼ吸収する。
全社の営業利益は15億円弱、純利益は11億円台になる。工場の償却は取得の値段のままで、新しい設備の分だけ増える。配当性向30%で還元し、自己資本利益率は8%前後に落ち着く。
会社の姿は今と大きく変わらない。高齢者の食の会社として手堅く続くが、目立って伸びるわけでもない。
- FC加盟店への食材:数量 771(FC加盟店の数(店))× 価格 1,642(1店あたりの年間の食材の売上(万円))→ 売上 127 億円・営業利益 9 億円。店0.82倍(2023/07の970店から2025/07の931店へ年2%減の延長)・1店の売上1.61倍(食数1.2倍×単価1.34倍)・利益率7%
- 高齢者施設への食材:数量 965(提供する食数(万食・推定))× 価格 469(1食あたりの売値(円))→ 売上 45 億円・営業利益 2 億円。食数1.50倍・単価1.34倍・利益率5%
- 冷凍弁当の直販・OEM・倉庫:数量 1,454(販売する食数(万食・推定))× 価格 603(1食あたりの売値(円))→ 売上 88 億円・営業利益 4 億円。食数1.50倍・単価1.34倍・利益率4%
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.7% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.9 倍。全体の PER 11.89 倍、時価総額 136 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:配達の人手不足で加盟店は減り始め、ワタミなど大手との競争もある。一方で施設向けと直販は伸びている。両方を合わせた最も起こりやすい姿として38%とした。
やや悲観 20% 加盟店が大きく減り、値下げの競争に 利益 6 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 659 円72 億円
最低賃金の上昇で配達の人を雇えず、加盟店は10年で3割減る。大手の宅配の弁当やコンビニの冷凍食品と値段で競い、食材の値上げは物価に届かない。
施設向けと直販は伸びるが、FC向けの減りを埋めきれない。工場の稼働が落ち、償却と人件費が重くなる。全社の営業利益は9億円前後と今より少し低くなる。
配当は性向30%を保つが、額は伸びない。会社は残る工場の力を他社の受託製造に回す。高齢者の需要はあるのに、届ける仕組みが細る姿だ。
自己資本利益率は5%前後に落ち、資本コストを下回る。現金はたまるが、使い道が見えない。新しい工場への投資は見送られ、会社は守りに入る。
- FC加盟店への食材:数量 658(FC加盟店の数(店))× 価格 1,300(1店あたりの年間の食材の売上(万円))→ 売上 86 億円・営業利益 5 億円。店0.70倍・1店の売上1.27倍(食数1.0倍×単価1.27倍)・利益率5.5%
- 高齢者施設への食材:数量 836(提供する食数(万食・推定))× 価格 437(1食あたりの売値(円))→ 売上 37 億円・営業利益 1 億円。食数1.30倍・単価1.25倍・利益率4%
- 冷凍弁当の直販・OEM・倉庫:数量 1,260(販売する食数(万食・推定))× 価格 563(1食あたりの売値(円))→ 売上 71 億円・営業利益 2 億円。食数1.30倍・単価1.25倍・利益率2.5%
倍率:事業のROEは約5%でk 8.5%を下回る。稼ぐ力の床(純利益÷k)の範囲で、店の減りが続くので9.5倍。
確率:加盟店は個人の事業者が多く、配達の人手と最低賃金の上昇で撤退が進みうる。安さで競う市場なので20%とした。
悲観 10% 食の事故か社長の離脱で、信用を失う 利益 2 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 150 円16 億円
工場で食中毒や異物の事故が起き、加盟店と施設が離れる。あるいは創業の社長が経営を離れ、加盟店を束ねる力が弱まる。加盟店の数は半分になる。
大手の宅配の弁当と冷凍食品が市場を取り、シルバーライフの値段では利益が出にくくなる。工場の稼働は大きく落ち、全社の営業利益は3億円台に沈む。
配当は減り、優待もやめる。工場と倉庫は残るが、特定の用途の設備なので高くは売れない。株主に残るのは、細った事業の稼ぐ力だけだ。
会社は倒れないが、資本コストを稼げない小さな食品の会社になる。高齢者の需要は伸びても、その取り分は大手に移る。
工場の設備は用途が限られ、売っても帳簿の値にはならない。
- FC加盟店への食材:数量 470(FC加盟店の数(店))× 価格 1,150(1店あたりの年間の食材の売上(万円))→ 売上 54 億円・営業利益 2 億円。店0.50倍・1店の売上1.13倍・利益率3.5%
- 高齢者施設への食材:数量 643(提供する食数(万食・推定))× 価格 400(1食あたりの売値(円))→ 売上 26 億円・営業利益 1 億円。食数1.00倍・単価1.14倍・利益率2%
- 冷凍弁当の直販・OEM・倉庫:数量 969(販売する食数(万食・推定))× 価格 520(1食あたりの売値(円))→ 売上 50 億円・営業利益 0 億円。食数1.00倍・単価1.16倍・利益率0%
倍率:事業のROEは約2%でkを大きく下回る。稼ぐ力の床(純利益÷k)を少し下回る9倍。工場は用途が限られ、売れる資産の床は稼ぐ力より低い。
確率:食中毒や異物の事故は、高齢者向けの弁当では信用を一気に失う。代表への依存も有報が重要なリスクに挙げる。構造的に負ける姿として10%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
FC加盟店への食材
「まごころ弁当」「配食のふれ愛」「宅食ライフ」の加盟店に、自社工場で調理した食材を売る。加盟店は盛り付けて高齢者の家へ届ける。
| 数量FC加盟店の数(店) | 価格1店あたりの年間の食材の売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 940 | 1,021 | 96 | 8 |
| 10 年後 中立 | 771 | 1,642 | 127 | 9 |
取り方:2025/07期のFC向け売上93.6億円と931店(有報)から、2026/07期は約940店・売上約96億円と推定。利益は単一セグメントのため開示が無く、全社の営業利益10.34億円のうち工場の稼働の大半を占めるこの事業に7.5億円を配った推定。店×万円×0.0001で億円。
高齢者施設への食材
介護施設や病院に、調理済みの食材を直接売る。施設の厨房の人手不足を補う。
| 数量提供する食数(万食・推定) | 価格1食あたりの売値(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 643 | 350 | 23 | 1 |
| 10 年後 中立 | 965 | 469 | 45 | 2 |
取り方:2025/07期の施設向け売上18.9億円(前期比22%増)から、2026/07期は約22.5億円と推定し、1食あたりの単価(円)を約350と見て割った643万食。利益は全社の利益からの配分の推定。万食×円×0.0001で億円。
冷凍弁当の直販・OEM・倉庫
自社の冷凍弁当「ライフミール」をネットで売り、他社の弁当の受託製造や、加須倉庫での保管も請け負う。
| 数量販売する食数(万食・推定) | 価格1食あたりの売値(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 969 | 450 | 44 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,454 | 603 | 88 | 4 |
取り方:2025/07期の直販・その他36.7億円(前期比17%増)から、2026/07期は約43.6億円と推定し、1食あたりの単価(円)を約450と見て割った969万食。倉庫の売上も食数に読み替えた推定。利益は配分の推定。
リスクと懸念
加盟店の減少と配達の人手
加盟店の多くは個人の事業者で、最低賃金の上昇と配達の人の不足で撤退しやすい。有報も店の数が減り始めたと書く。加盟店が減れば、工場の稼働と利益率が同時に下がる。
値段の競争
売りは安さで、ワタミの宅食、生協、コンビニ、冷凍食品の大手と競う。食材と人件費が物価で上がる中で値上げが通らなければ、利益率5〜6%の事業はすぐに削られる。
食の安全
高齢者向けの弁当で食中毒や異物の事故が起きれば、加盟店と施設の信用を一気に失う。工場が二つに集まっているので、一つの事故が全体に響く。
代表取締役への依存
創業の社長が経営を率い、その資産管理会社とみられる近江屋が37%を持つ。有報は代表への依存を重要なリスクに挙げる。社長が離れた時の後継の形は見えていない。
工場の稼働と償却
栃木工場と加須倉庫は固定費が重い。売上が伸びなければ償却と人件費が利益を削る。償却は取得の値段のままだが、更新の投資は建築費の上昇で膨らむ。
買収した事業の統合
2026年に冷蔵倉庫の成田冷蔵を買った。冷凍の物流を自社で持つ狙いは筋が通るが、倉庫の事業は弁当とは別の経営の力が要る。
今後の分かれ目
- 加盟店の数が毎年3%以上減り続けた
- FC向けの数量を下げ、やや悲観の確率を厚くする。
- 2028年7月期に営業利益12億円の目標を達成した
- 施設向けと直販の伸びが本物とみて、やや楽観の確率を上げる。
- 食材の値上げが物価を下回り、利益率が5%を割った
- 値段の力が弱いとみて、中立の利益率を下げる。
- 工場で食の事故が起きた
- 悲観の確率を大きく上げる。
- 大株主や事業会社が株式を買い取る提案を出した
- 買付けの値段で評価が決まる。本質価値の計算は止め、分析の対象から外す。
見ておくもの
- 加盟店の数(2025年7月末931店)
- 施設向けと直販の売上の伸び
- 全社の営業利益率
- 食材の値上げと物価の差
- 成田冷蔵の統合と冷凍の物流
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価を見ずに決めた。10年後の事業のROEは中立で約8%とk 8.5%にほぼ等しいので、PERは1÷k≒12.5倍の近くで、自己資本が積み上がる分を引いて11.3倍。楽観は正当化PERの式から13倍。工場の償却は取得の値段のままで物価で増やさず、利益率に入れた。株主優待は年1億円未満で、還元への上乗せは小さいので数えていない。FCの店舗は加盟店が借りるので、リースの約束は本部に乗らない。悲観は稼ぐ力の床(純利益÷k)の範囲で置き、工場は用途が限られて売れる資産の床にならないので、PBRが0.2倍を下回る注意はこの理由で残す。過去のPERやPBRは使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13→12.91 倍・やや楽観 PER 12.5→12.52 倍・中立 PER 11.3→11.89 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityの+0.5%を足した(決まりv2)。個別のリスク(食の事故・代表への依存)は筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 8.50%。