結論
TOKYO BASE は、STUDIOUS などのセレクトショップと、UNITED TOKYO などの自社ブランドを、国内外の 90 店余りで売る衣料の会社だ。2026/01 期の売上は 237 億円、営業利益は 20 億円で、ともに過去最高を更新した。
筆者の結論は「やや割安」である。10 年後の価値は今の時価総額を 2 割ほど上回る。店が増え、海外とネット販売も伸びるが、その分だけ家賃と在庫の重さが増し、流行の波にも左右される。
伸びの中身は、国内の出店、ネット販売、香港や韓国、米国への進出の 3 つだ。会社は 2028/01 期に売上 350 億円、営業利益 35 億円を掲げる。ただ筆者は、計画の 8 割ほどを中立に置いた。営業利益率が 10% に届くには、粗利率と販管費をともに保つ必要がある。
弱みは、家賃が年 34 億円もある固定費であることと、ブランドの人気が移ろいやすいことだ。借入が現金を上回る点も、強い財務とは言えない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、小売の会社は 3 つを見る。店の数を増やしても儲かるか。家賃の約束が重すぎないか。ブランドが 10 年後も残っているか。
店の数は、2 年で 1.3 倍になった。1 店あたりの売上も伸びており、今のところ質を落とさずに増やせている。ここは評価する。
家賃は年 34 億円で、営業利益の 1.7 倍に当たる。売上が 2 割落ちると、利益はほぼ消える。出店のたびにこの約束が増えるので、安全域は薄い。
ブランドは、人気が続けば長く稼げる。ただ流行の商売で、10 年後に今の形のままとは言えない。堀は弱いと見る。
その上で、利益の伸びは続くとみる。中立の営業利益率は 9% に置いた。会社の目標の 10% には届かないが、過去 10 年の中央値(8% 台)よりやや上だ。資本コストは 8.5% と、基本より少し高く置いた。流行の波と、借入の増加を織り込んだ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、衣料の企画と販売だ。セレクト事業と自社ブランド事業の 2 本柱で、2026/01 期の実店舗の売上は 195 億円、ネット販売は 41 億円だった。
セレクト事業は、国内外の服を選んで売る。主力の STUDIOUS だけで実店舗の売上は 77 億円ある。ほかに THE TOKYO、CONZ などがある。自社ブランド事業は、日本で作った服を自社の店で売る。UNITED TOKYO が 52 億円、PUBLIC TOKYO が 26 億円だ。
売上の大半は国内で、2026/01 期は日本が 219 億円、香港が 7 億円、中国が 11 億円だった。香港は前期から 2.5 倍に伸びて黒字になり、中国は赤字が縮んだ。米国と韓国は連結の外で、どちらも 2 年目までに営業黒字になった。
店は 2026/01 期末で 94 店(国内 78、海外 16)、2027/01 期末に 115 店を計画する。1 年で 20 店を増やす計算だ。粗利率は 52% と高く、販管費率は 44%。販管費のうち地代家賃が 34 億円、人件費が 30 億円を占める。
ネット販売は、値引きに頼らずに伸びている。自社 EC の売上は前期比で 2 割増えた。
優良さと弱いところ
この会社の良さは、ブランドを自社で持つ点だ。自社ブランドは作る段階から手がけるため、粗利率が高い。国内の工場と組み、日本製を掲げる。海外では、その「日本製」が客を呼ぶ。
もう 1 つは出店の速さだ。2026/01 期に 28 店を出した。人気のある立地を押さえ、店ごとの売上を伸ばしている。ネット販売も同時に育てているので、店とネットの客が重なる。
堀、つまり他社がまねできない強みは、強くない。流行は移ろい、ブランドの人気は数年で変わる。2021/02 期と 2023/01 期は赤字だった。中国の出店で損をし、不採算の店を閉じた。その後の立て直しは進み、利益は伸びているが、人気が落ちれば同じ形で崩れる。
財務は普通だ。現金 44 億円に対し借入が 53 億円あり、純借入は 9 億円だ。自己資本比率は 42% で、営業利益で利息を 30 倍以上まかなえる。ただ、店を増やすたびに借入が増える。
在庫は 37 億円ある。2026/01 期の第 4 四半期は、夏物の在庫が重くなり、値引きで販管費率が一時的に上がった。この種の判断ミスは今後も起きうる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の衣料市場は約 8.5 兆円で、横ばいから緩やかな増加が続く。人口は減るが、高価格帯は訪日客が支える。セレクトショップは、ユナイテッドアローズやアーバンリサーチ、ビームスなどの競合が多い。
TOKYO BASE は、安さを競う大手の SPA とは別の土俵にいる。中価格帯で、国産の素材と縫製を売りにする。ユニクロやしまむらと比べれば、規模は 1 桁小さい。差は品質とブランドの色だ。
海外は成長の源になる。香港は黒字になり、10 店体制を目指す。韓国と米国は連結の外にあるが、いずれ連結になる見込みだ。ただし、現地の人材と商品の企画を育てる必要がある。中国は黒字化が 1 年遅れ、2026/01 期の第 4 四半期は訪日客の減少も重なった。
コスト面では、家賃と人件費が物価並みに上がる。出店の内装費も上がる。会社は 2038/01 期に売上 2,000 億円を目標にするが、これは今の 8 倍強に当たり、物価分を除いても大きな賭けだ。
新リース会計基準が 2028/01 期から適用される見込みで、貸借対照表に家賃の約束が載る。利益の形は変わるが、固定費の重さは変わらない。
資本政策と M&A
還元の方針は、総還元性向 20% 以上と毎期の増配だ。2026/01 期の配当性向は 22% で、2027/01 期は増配を予想する。自社株買いは直近ではない。
創業者で社長の谷正人氏が約 23% を持つ。オーナー経営で、方針は定まりやすい。2027/01 期の中間決算は、売上が予想を上回り、営業利益は予想をわずかに下回ったが、通期の計画は据え置かれた。
資金は出店に向かう。借入は 53 億円まで増えた。現金 44 億円と合わせ、純借入は小さい。余った現金はなく、今の事業に使う分しかない。
M&A は、中期経営計画で 15 億円分の売上を見込む。ただ、実績はまだ小さい。ブランドの買収や、海外の提携先の連結化が中心になる。
新リース会計基準の適用で、貸借対照表の約束の規模が見えるようになる。今は家賃が年 34 億円で、残りの契約期間を数年とみれば、約束は 100 億円を超える水準になる(推定)。純借入が小さく見えても、実質の借入は重い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
日本製の服が海外で売れ始めている。香港は 2.5 倍に伸びて黒字になり、韓国と米国は進出 1〜2 年で営業黒字に乗った。現地の客は、日本のブランドの品質に高い値段を払う。店を 10 店、20 店と増やしても、1 店あたりの売上は崩れにくい。
国内でも、STUDIOUS を軸にした 3 つのブランドが同時に伸び、ネット販売は 2 割増えた。粗利率は 52% と高く、固定費の重さを吸収しやすい。売上が増えれば、本社費の比率が下がり、営業利益率は 10% を超える。
2028/01 期の売上 350 億円、営業利益 35 億円という計画は、過去 2 年の実績が上回ってきた。純利益は 2026/01 期に 55% 増えた。借入が増えても、営業利益で利息を 30 倍まかなえる。10 年後に売上 500 億円、営業利益 50 億円は十分にありうる。物価が年 3% で上がる世界では、家賃を払える強い立地の店を持つこと自体が価値になる。人気のある店は賃料の交渉でも有利だ。
慎重な見方
この会社の伸びは、出店の数に頼っている。1 店あたりの売上が伸びなくなれば、増えた家賃だけが残る。地代家賃は年 34 億円で、営業利益 20 億円の 1.7 倍だ。売上が 1 割落ちるだけで、利益は半分になる。
流行は必ず移ろう。2021/02 期と 2023/01 期は、いずれも赤字だった。中国の出店で損をして、不採算の店を閉めている。2026/01 期の第 4 四半期は、夏物の在庫を持ちすぎ、値引きで販管費率が上がった。判断の誤りは今後も起きる。
借入は 53 億円まで増えた。現金は 44 億円しかない。出店を続けるほど借入が増え、金利が 3.5% に上がれば、利息の負担が重くなる。
会社が掲げる 2038/01 期の売上 2,000 億円は、今の 8 倍強だ。10 年の物価上昇を除いても 6 倍弱で、現実味は薄い。今の株価は、すでに計画の達成を一部織り込んでいる。出店の勢いが鈍れば、期待は一気にしぼむ。ブランドの人気が落ちたとき、閉店には違約金も要る。
どちらに重みを置いたか
強気の主張は、海外と自社ブランドの粗利の高さに裏づけがある。慎重な主張は、家賃の重さと流行の波が急所で、過去の赤字がそれを証明している。筆者は中間に置いた。伸びは計画の 8 割とし、確率は中立に 34% を置いた。やや悲観と悲観の合計は 38% にした。店を増やす局面では、1 回の判断ミスが赤字につながるからだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/01 期)
確率で加重した株価時価総額 940 円401 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 102 円44 億円)。 今の値に割り戻すと 484 円206 億円、今との差 +45.7%、 期待の年率 +12.1%(資本コスト 8.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,243 円956 億円 | 223 円95 億円 | +642.7% | +22.2% | 197 円84 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,541 円657 億円 | 160 円68 億円 | +412.3% | +17.7% | 340 円145 億円 |
| 中立 | 34% | 1,093 円466 億円 | 117 円50 億円 | +264.6% | +13.8% | 412 円175 億円 |
| やや悲観 | 24% | 301 円128 億円 | 47 円20 億円 | +4.9% | +0.5% | 84 円36 億円 |
| 悲観 | 14% | 59 円25 億円 | 9 円4 億円 | −79.4% | −14.6% | 10 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 940 円401 億円 | 102 円44 億円 | +213.9% | +12.1% | 1,042 円444 億円 |
今の株価時価総額 332 円141 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 海外が国内並みに育ち、営業利益率が 12% に届く 利益 57 億円 · PER 15.9 倍 · 株価時価総額 2,243 円956 億円
香港に続き、韓国と米国が連結に入り、海外の店は 70 店まで増える。日本製の品質が高い価格を支え、1 店あたりの売上も物価以上に伸びる。国内は 140 店まで広がり、ネット販売は注文件数が 2.8 倍になる。
粗利率は 52% を保ち、本社費の比率が下がる。営業利益率は 12% に届き、売上は 730 億円、営業利益は 88 億円になる。
配当は総還元性向を 30% 台まで引き上げる。この筋書きは、ブランドの人気が 10 年続く前提で、流行商売としては最も良い展開だ。海外の店は現地の客にも受け入れられ、初期の赤字も短く済む。国内の店は立地を厳選し、1 店あたりの売上が物価以上に伸びる。
- 国内の実店舗(セレクト・自社ブランド・卸ほか):数量 140(国内の実店舗数(期末・店))× 価格 3.21(1 店あたり年間売上(億円)。rev_factor は 1)→ 売上 450 億円・営業利益 47 億円。数量 1.79 倍・価格 1.41 倍・営業利益率 10.5%
- ネット販売(自社 EC・外部モール):数量 75.0(年間の注文件数(万件))× 価格 2.01(1 件あたりの客単価(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 151 億円・営業利益 24 億円。数量 2.78 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 16.0%
- 海外の連結店舗(香港・中国):数量 70.0(海外の連結店舗数(期末・店))× 価格 1.93(1 店あたり年間売上(億円)。rev_factor は 1)→ 売上 135 億円・営業利益 16 億円。数量 5.00 倍・価格 1.47 倍・営業利益率 12.0%
倍率:事業の純利益 57 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 25.4% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 14.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.9 倍。全体の PER 15.93 倍、時価総額 906 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:日本製ブランドが香港・韓国・米国で定着し、会社の長期目標に近づく展開。流行商売で 10 年続けるのは難しく、8% にとどめた。
やや楽観 20% 計画の 8 割で店が広がり、営業利益率が 10% に乗る 利益 40 億円 · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 1,541 円657 億円
国内は 120 店まで、海外は 55 店まで広がる。ネット販売は注文件数が 2.3 倍になる。1 店あたりの売上は物価並みに上がり、営業利益率は 10% 近くになる。
会社の 2028/01 期の目標(売上 350 億円)には 1 年遅れで届く。その後は出店の余地が減り、伸びは落ち着く。
売上は 590 億円、営業利益は 58 億円になる。総還元性向は 25% 前後で推移する。国内では出店余地が減り、既存店の改装と海外に投資が移る。中国は小さな規模で黒字を保つ。借入は返済が進み、財務は今より軽くなる。
- 国内の実店舗(セレクト・自社ブランド・卸ほか):数量 120(国内の実店舗数(期末・店))× 価格 3.12(1 店あたり年間売上(億円)。rev_factor は 1)→ 売上 375 億円・営業利益 34 億円。数量 1.54 倍・価格 1.37 倍・営業利益率 9.0%
- ネット販売(自社 EC・外部モール):数量 62.0(年間の注文件数(万件))× 価格 2.01(1 件あたりの客単価(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 125 億円・営業利益 19 億円。数量 2.30 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 15.0%
- 海外の連結店舗(香港・中国):数量 55.0(海外の連結店舗数(期末・店))× 価格 1.83(1 店あたり年間売上(億円)。rev_factor は 1)→ 売上 101 億円・営業利益 10 億円。数量 3.93 倍・価格 1.40 倍・営業利益率 10.0%
倍率:事業の純利益 40 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 21.9% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 13.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.4 倍。全体の PER 15.37 倍、時価総額 615 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 2 年は計画を上回っており、出店の伸びが続く展開はありうる。ただ流行の波があり、20% とした。
中立 34% 店は 1.35 倍に増え、営業利益率は 9% 台 利益 29 億円 · PER 14.9 倍 · 株価時価総額 1,093 円466 億円
国内は 105 店まで増える。1 店の売上は物価並みに伸びる。ネット販売は注文件数が 1.85 倍になり、海外の連結店は 40 店に増える。
粗利率は 52% 前後を保つが、家賃と人件費も物価並みに増えるため、営業利益率は 9% 台にとどまる。会社の目標 10% には届かない。
売上は 490 億円、営業利益は 46 億円、純利益は 28 億円になる。総還元性向は 25% 前後まで上がる。出店の内装費は物価で膨らみ、減価償却費は 2 倍に近づく。償却は取得した時の値段で積まれるため、会計上の利益は物価で見かけ上ふくらむ。一方、改装と新店の投資は建築費の上昇で膨らみ、現金の余裕は思ったほど増えない。借入は出店に合わせて 80 億円規模まで増える。
- 国内の実店舗(セレクト・自社ブランド・卸ほか):数量 105(国内の実店舗数(期末・店))× 価格 3.06(1 店あたり年間売上(億円)。rev_factor は 1)→ 売上 321 億円・営業利益 26 億円。数量 1.35 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 8.0%
- ネット販売(自社 EC・外部モール):数量 50.0(年間の注文件数(万件))× 価格 2.01(1 件あたりの客単価(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 101 億円・営業利益 14 億円。数量 1.85 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 14.0%
- 海外の連結店舗(香港・中国):数量 40.0(海外の連結店舗数(期末・店))× 価格 1.76(1 店あたり年間売上(億円)。rev_factor は 1)→ 売上 70 億円・営業利益 6 億円。数量 2.86 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 9.0%
倍率:事業の純利益 29 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.4% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 12.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.9 倍。全体の PER 14.89 倍、時価総額 426 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:出店と海外が牽引する一方、家賃と流行の波が重い。計画の 8 割ほどの落としどころを中立として、最大の確率を置いた。
やや悲観 24% 流行が外れ、家賃が重くなる 利益 12 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 301 円128 億円
主力ブランドの人気が落ち、1 店あたりの売上が伸びなくなる。出店は続けたが、新店の質が下がる。国内は 85 店で止まり、海外は 22 店にとどまる。
家賃と人件費は物価で上がるのに、売上が伸びず、営業利益率は 5% に下がる。値引きも増える。
売上は 335 億円、営業利益は 20 億円、純利益は 12 億円。配当は維持するが、借入の返済に回る現金が増える。新店の投資は絞られ、出店のペースは年 10 店ほどに落ちる。在庫の処分が続き、粗利率は 49% 前後に下がる。ネット販売は伸びるが、広告費の増加で利益率は上がらない。
- 国内の実店舗(セレクト・自社ブランド・卸ほか):数量 85.0(国内の実店舗数(期末・店))× 価格 2.85(1 店あたり年間売上(億円)。rev_factor は 1)→ 売上 242 億円・営業利益 12 億円。数量 1.09 倍・価格 1.25 倍・営業利益率 5.0%
- ネット販売(自社 EC・外部モール):数量 38.0(年間の注文件数(万件))× 価格 1.88(1 件あたりの客単価(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 71 億円・営業利益 6 億円。数量 1.41 倍・価格 1.25 倍・営業利益率 9.0%
- 海外の連結店舗(香港・中国):数量 22.0(海外の連結店舗数(期末・店))× 価格 1.57(1 店あたり年間売上(億円)。rev_factor は 1)→ 売上 35 億円・営業利益 1 億円。数量 1.57 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 3.0%
倍率:事業の自己資本利益率は 7〜8% で資本コスト 8.5% を下回る。PER の上限は 1÷k の約 11.4 倍。利益の質が落ちたと見て、約 70% の 8.0 倍に置いた。
確率:流行商売では、数年に一度は読みを外す。2021/02 期と 2023/01 期も赤字だった。24% を置いた。
悲観 14% 人気が落ち、家賃だけが残る 利益 −3 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 59 円25 億円
主力の STUDIOUS の人気が落ち、他のブランドも続く。海外は不採算の店を閉じ、国内も 60 店まで減らす。売上が落ちても家賃は残り、閉店の違約金や減損が出る。
営業利益はほぼゼロとなり、本社費を差し引くと小さな赤字になる。ネット販売は残るが、広告費が増える。
借入は返済が遅れ、財務が苦しくなる。自己資本は減損で減るが、現金と在庫、差入保証金の回収が、株主に残る価値の床になる。配当は止まり、経営体制の見直しが始まる。海外は撤退して国内に戻り、残る店は立地の良い数十店に絞られる。売上は 200 億円を割り込み、会社は再建を優先する。ブランドの核は残るので、倒産はしないが、株主への還元は長く止まる。
- 国内の実店舗(セレクト・自社ブランド・卸ほか):数量 60.0(国内の実店舗数(期末・店))× 価格 2.51(1 店あたり年間売上(億円)。rev_factor は 1)→ 売上 151 億円・営業利益 0 億円。数量 0.77 倍・価格 1.10 倍・営業利益率 0.0%
- ネット販売(自社 EC・外部モール):数量 27.0(年間の注文件数(万件))× 価格 1.50(1 件あたりの客単価(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 41 億円・営業利益 2 億円。数量 1.00 倍・価格 1.00 倍・営業利益率 5.0%
- 海外の連結店舗(香港・中国):数量 10.0(海外の連結店舗数(期末・店))× 価格 1.31(1 店あたり年間売上(億円)。rev_factor は 1)→ 売上 13 億円・営業利益 −1 億円。数量 0.71 倍・価格 1.00 倍・営業利益率 -5.0%
倍率:赤字で稼ぐ力では値が付かない。売れる資産の床を、今の自己資本の約 0.4 倍の 25 億円に置いた。
確率:店の数を増やした後で人気が落ちる展開は、アパレルでは実際に起きる。10 年に 1 回程度の頻度で、14% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内の実店舗(セレクト・自社ブランド・卸ほか)
STUDIOUS、UNITED TOKYO、PUBLIC TOKYO など国内 78 店の売上。
| 数量国内の実店舗数(期末・店) | 価格1 店あたり年間売上(億円)。rev_factor は 1 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 78.0 | 2.28 | 178 | 13 |
| 10 年後 中立 | 105 | 3.06 | 321 | 26 |
取り方:日本単体の売上 219.0 億円から EC 約 40.9 億円を引いた約 178 億円(卸などを含む)を、期末の国内店舗数 78 で割り 1 店 2.28 億円とした。店数は期末で、期中の出店分を平均より多く数える推定。営業利益は日本 19.5 億円を店と EC に分けた推定。
ネット販売(自社 EC・外部モール)
自社 EC と外部モール。値引きに頼らず年 2 割の伸び。
| 数量年間の注文件数(万件) | 価格1 件あたりの客単価(万円)。rev_factor は 1 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 27.0 | 1.50 | 41 | 6 |
| 10 年後 中立 | 50.0 | 2.01 | 101 | 14 |
取り方:2026/01 期の EC 売上(セレクト 21.7 億円+自社ブランド 19.2 億円で約 40.9 億円)を、1 件 1.5 万円の客単価と置いて件数に直した推定。営業利益率は家賃がないため店より高い 15% と推定。
海外の連結店舗(香港・中国)
香港 6 店、中国 8 店。香港は黒字で拡大中、中国は黒字化が 1 年遅れた。将来は韓国・米国も連結に入る。
| 数量海外の連結店舗数(期末・店) | 価格1 店あたり年間売上(億円)。rev_factor は 1 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 14.0 | 1.31 | 18 | 0 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 1.76 | 70 | 6 |
取り方:香港 7.1 億円と中国 11.3 億円の合計 18.4 億円を、期末の連結店舗 14 で割った。営業利益は香港 0.77 億円と中国 −0.74 億円の合計。
リスクと懸念
家賃という固定費
地代家賃は年 34 億円で、営業利益の 1.7 倍。売上が落ちても家賃は落ちない。新リース会計基準で約束の大きさが貸借対照表に載り、見かけの借金が増える。
流行とブランドの人気
ファッションは数年で人気が移る。2021/02 期と 2023/01 期は赤字だった。柱の STUDIOUS が不振になれば、全体が崩れる。
海外展開の失敗
中国は黒字化が 1 年遅れ、不採算店の減損を出した。米国や韓国は現地人材の育成が課題だ。海外を連結にするとき、立ち上げの費用が一時的に利益を削る。
インバウンド依存
国内の売上の一部は訪日客で、為替や中国の需要の変動に左右される。2026/01 期の第 4 四半期は、中国の訪日客が減った。
在庫と値引き
2026/01 期の第 4 四半期は、夏物の在庫が重くなり販管費が上がった。在庫は 37 億円。天候の読み違いが利益率を削る。
借入の増加
出店に合わせて借入が 53 億円まで増えた。金利が 3.5% に上がれば利息が増え、営業利益の伸びを食う。
今後の分かれ目
- 2027/01 期の出店 40 店が、売上 280 億円・営業利益 25 億円の計画どおりに進む
- 出店の質が確認され、中立の営業利益率を上げる余地が出る。楽観の確率が増す。
- 既存店の売上が前年割れに転じる
- 家賃の重さが利益を直撃する。やや悲観の筋書きに近づく。
- 韓国と米国が連結に入り、いずれも営業黒字を保つ
- 海外の売上が国内の 1 割を超え、海外の店数が増える筋書きが確かになる。
- STUDIOUS の売上が 2 期続けて前年を下回る
- 主力ブランドの人気が落ち、悲観の筋書きに近づく。
- 総還元性向が 30% 以上に引き上げられる
- 株主への還元が増え、自己資本の積み上がりが抑えられ、自己資本利益率が上がる。
見ておくもの
- 既存店売上(店舗・EC 別)
- 新規出店数と出店ごとの黒字化の速さ
- 粗利率と販管費率(特に地代家賃)
- 借入金と現金の差
- 海外(香港・韓国・米国)の営業利益
- 在庫の回転と値引きの動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は、中立の自己資本利益率 13% と資本コスト 8.5%、成長 4% から式で出し、堀を弱い(1/3)として上限の約 86% の 11 倍に置いた。今の株価や同業の倍率は使っていない。中立の営業利益率は 9.4% で、会社の目標の 10% と過去の山(14〜16%)の間にある。家賃が固定費として残るため、悲観では利益率をほぼゼロに置いた。新リース会計基準で 2028/01 期から貸借対照表の形が変わるが、10 年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→15.93 倍・やや楽観 PER 11.5→15.37 倍・中立 PER 11→14.89 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。