結論
ユナイテッド&コレクティブは、鶏料理居酒屋「てけてけ」を主力とする外食企業である。筆者の結論は「割高」だ。売上は回復しても利益が残りにくく、店舗の賃料と借入金に加えて、普通株式より優先されるA種優先株式の存在が長期の株主価値を圧迫している。
主力の「てけてけ」と「もつ焼酒場」は2026年2月期の売上の約9割を占める。鶏料理を軸にした店づくりと仕込みの集約には一定の再現性があるものの、競合がまねできないほどのブランド力や値決め力は確認できない。値上げしても客数が落ちないという実績より、集客を維持するために価格を調整しなければならない姿が目立つ。
財務の余裕は特に乏しい。2026年2月期の営業損益はほぼ均衡したが、純損益は赤字に戻った。さらに同年10月には2027年2月期の通期予想が下方修正され、黒字回復の道筋は当初計画より険しくなった。店舗の年間賃料は約10億円に及び、客数の減少がすぐに利益と現金を傷める。
10年後の中立では、客数と客単価の改善によって売上が約91億円に増え、営業利益が約2.1億円まで戻る姿を見込む。それでも大きな超過利益を生む事業にはならず、資金調達や優先株式への支払いを経た普通株主の取り分は限られる。5つの筋書きを資本コストで現在価値に直した本質価値は約7.8億円で、基準時点の時価総額約22.7億円を約66%下回る。株主優待の利用価値は認めるが、それだけで普通株式に十分な安全域があるとは考えにくい。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が最初に問うべきことは、2036年にも「てけてけ」が必要とされるかではなく、必要とされる店を経営して十分な利益を残せるかである。焼き鳥や鶏料理を外で食べる需要そのものは残るだろう。しかし、その需要がこの会社に集まり続ける保証はない。客は他社の店に容易に移れるため、店の魅力を保つための投資と人件費を惜しめない。
再投資の成績は厳しく見る必要がある。出店のたびに敷金、内装、厨房設備、採用費が必要になり、採算が悪ければ撤退時に減損や原状回復費が生じる。過去の大きな赤字と減損は、売上の拡大が株主価値の拡大と一致しなかったことを示している。新規出店の投資利回りが資本コストを超えると確かめられるまでは、店舗数の増加を高く評価できない。
オーナー利益も会計上の純利益より慎重に考える。年間約10億円の賃料は、売上が落ちても簡単には消えない固定的な支払いである。厨房設備の償却費が過去の取得価格に基づいて計上されても、更新に必要な現金はインフレ後の価格で出ていく。優先株式の償還と借入返済も、普通株主の自由になる現金を先に減らす。
経営の評価を変える条件は明確だ。既存店が販促に頼らず客数と単価を維持し、営業利益率が安定して3%を超え、借金と優先株式への支払いが進んでも現金が減らない状態になれば、会社の見方は大きく改善する。逆に、その実績がないまま出店を増やすなら、株式の希薄化や再び減損を生む危険を重く見る。
現在の時価総額に対する安全域は小さい。ここでは店が消えると決めつけず、10年後には中立でも営業黒字が定着する姿を織り込んだ。それでも普通株主に帰属する価値は現在の市場評価に届きにくい。商品への親しみと、株主として高い値段を払えることは別の問題である。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、鶏料理と酒を提供する「てけてけ」である。「もつ焼酒場」も含む主力業態の2026年2月期売上は58.58億円に達し、会社全体の売上の約91%を占めた。店舗では客が飲食した回数と1人当たりの支払額が売上を決める。酒類を伴う夕食需要への依存が高く、会社が示す夜の「てけてけ」の平均客単価は約2,550円である。
第二の柱である「the 3rd Burger」の売上は同4.40億円で、会社が示す平均客単価は約1,150円である。ハンバーガーは居酒屋とは異なり、日中の利用や持ち帰りを取り込める。しかし、大手ファストフードチェーンに比べれば店舗網、調達、宣伝の規模が小さく、独立した高収益事業に育ったと判断するには早い。残りの1.62億円には「新太郎」「てけ八」などの業態が含まれる。
会社はセントラルキッチンに相当する加工・仕込み拠点を活用し、店舗での仕込み作業を減らそうとしている。この仕組みは人手不足への対策であると同時に、各店舗で料理の品質をそろえるための投資でもある。ただし、調理工程の集約には設備や物流の固定費が伴い、店舗数が減れば1店舗当たりの負担が増す。
売上は料理と飲料の価格だけでは決まらない。平日と週末、昼と夜、客の滞在時間、酒類の注文比率が変われば客単価も利益率も動く。主力店の集客が弱まった時に、値引きで客数を戻すか、価格を守って客数の減少を受け入れるかという難しい選択が生じる。長く持つ株主にとっては、単なる売上高よりも、既存店の客数を保ちながら残せる営業利益が重要になる。
なお、会社の報告セグメントは実質的に飲食事業1つであり、業態別営業利益は開示されていない。本分析では開示された業態別売上と客単価から来店回数を推定し、利益は本社費を含めて全社実績と整合するように推計した。業態別利益の数字は会社公表の実績ではない。
優良さと弱いところ
最も評価できるのは、鶏料理を主軸に据えた商品づくりと、調理工程を集約する運営ノウハウである。店舗の料理を標準化できれば、調理に熟練した従業員への依存を減らし、新規出店時の教育負担も抑えられる。小規模な居酒屋が個々の店で仕込みを行う場合に比べれば、一定の効率化余地がある。
しかし、それはまだ広い堀、つまり競合が容易には越えられない優位性ではない。焼き鳥、鶏料理、低価格の酒場は競合が多く、客にとって店を替える費用も小さい。2026年8月の「てけてけ」は、既存店の客数が前年同月比で増えた一方、客単価が大きく下がり、既存店売上は前年を下回った。販促で来店を促せても、同時に単価を守ることは難しいという実例である。
資本効率も見かけに注意が要る。自己資本が非常に薄いため、小さな黒字でもROEは高く見える。しかし、高いROEが設備投資や新規出店の利回りの高さを証明しているわけではない。過去には多額の減損損失と赤字が発生し、出店に投じた資本が十分に回収されなかった。
2026年2月期末の自己資本比率は約13%で、純有利子負債は約13億円だった。2027年2月期上期には売上の伸びに利益が追い付かず、現金も減少した。さらに、普通株式より先に配当や残余財産の分配を受けるA種優先株式が存在する。事業が少し黒字に戻っただけで、普通株主に利益が十分残るとは限らない。
筆者は堀を「弱い」と判定する。食品の品質と現場運営には改善余地があるが、規模の経済、顧客の乗り換えにくさ、持続的な値上げの実績のいずれも、資本コストを大幅に上回る増分投資利回りを10年間守る証拠としては不十分である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の外食市場は名目では成長しているが、そのすべてが居酒屋の追い風ではない。日本フードサービス協会による2023年の外食産業市場規模は約24.2兆円であり、その後も値上げと人流の回復が売上を押し上げてきた。一方、会社の事業説明資料では、2025年の居酒屋・パブ・ビアホールの売上規模は2019年の約78%、店舗数は約68%にとどまる。昼食や持ち帰りに強い業態と、夜の飲酒需要に頼る業態では、回復の質が違う。
競争相手は大手の焼き鳥チェーンだけではない。「鳥貴族」などの焼き鳥店、低価格の大衆酒場、駅前の個人経営店、スーパーの総菜やコンビニの酒類まで、夕食に使う家計の予算を奪い合っている。大手チェーンには仕入れ、採用、広告、出店用物件の確保で規模の利点がある。店舗網が80店前後のユナイテッド&コレクティブが、同じ土俵で価格競争を続けるのは容易ではない。
会社の主力業態売上約59億円を、国内の居酒屋市場約1兆円と単純比較すればシェアは約0.6%となる。ただし、両者は集計範囲が完全には一致せず、厳密な市場シェアではない。それでも市場を支配する立場から遠いことは明らかであり、10年先の数量増加を市場全体の成長に任せることはできない。既存店の客数維持と、利益の出る立地への慎重な出店が必要になる。
中立では、国内の居酒屋需要の実質数量は大きく伸びないと考える。主力業態の来店回数を増やす余地はあるが、それは市場の自然成長ではなく、競合からの顧客獲得や店舗配置の改善によるものだ。客単価は物価上昇に沿って上がるとしても、人件費、鶏肉、米、油、電力、物流費も上昇する。価格転嫁が少し遅れるだけで、薄い営業利益は消えてしまう。
ハンバーガー事業には日中需要を取り込める利点があるが、市場にはマクドナルド、モスバーガー、バーガーキングなどの競争相手が存在する。小規模な店舗網では調達や宣伝の費用を分散しにくく、業態の独自性を客単価と来店頻度の両方につなげる必要がある。AIエージェントが調理や接客という現場の身体的な仕事を直接置き換える事業ではないため、指定の人月・SaaS型の代替制約には当たらない。ただし、注文受付や事務作業の自動化は競合を含めて進むため、それ自体は独占的な優位性にならない。
資本政策と M&A
経営の最優先課題は、普通株主への現金還元より財務の立て直しである。2026年5月の事業計画資料では2029年2月期に向けた店舗網の拡大を示したが、当初の2027年2月期計画は同年10月に下方修正された。修正後の通期予想は売上65.5億円、営業損失0.48億円、純損失1.31億円である。成長投資を増やす前に既存店の採算と資金繰りを安定させる必要がある。
過去には感染症拡大による大幅赤字と債務超過を経験し、第三者割当などで資本を補ってきた。2021年には日本政策投資銀行系のファンドが引き受けるA種優先株式を発行した。優先株式には普通株式に先立つ配当・残余財産分配の権利があり、2026年8月には優先配当1億円が行われた。同年9月には100株の優先株式を約1.02億円で取得・消却し、なお400株が残っている。
この優先株式への支払いは普通株主への還元ではない。利益が回復しても、借入返済や優先株式の整理に現金が使われれば、普通株主に戻る額は小さい。普通株式について具体的な配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額の数字の約束は確認できず、現在の普通配当はゼロである。中期の店舗数目標は、普通株主への分配を保証するものではない。
一方、株主優待制度は重要な還元手段である。2026年2月期末の株主優待引当金は約0.52億円であり、本分析ではこれを平常時の年間費用の近似値として扱う。10年間の累計還元には優待の会社負担額を含め、実際の現金配当がない場合でもゼロとはしていない。ただし、優待券は利用条件のある飲食サービスであり、受け取った株主全員にとって現金と同じ価値があるわけではない。
大型買収で急成長を狙うより、既存店舗と仕込み拠点から安定した現金を生む方が合理的である。外食チェーンの統合相手やスポンサーが現れる可能性はあるが、具体的なTOBやMBOを価値の前提にはしない。確認した直近の開示では上場廃止予定や継続企業の前提に関する注記は認められなかった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
「てけてけ」は、焼き鳥と鶏料理を軸にした利用動機が明確な業態である。多業態の居酒屋と違い、主力商品がはっきりしているため、食材調達、仕込み、従業員教育を共通化しやすい。セントラルキッチンを活用した仕込みの集約がさらに進めば、各店舗の人手を減らしながら品質を安定させられる。過去の赤字で不採算店を整理したことも、今後は利益を優先する出店に切り替わる契機になりうる。
外食には、遠隔地への配送やデジタルサービスでは代替できない価値がある。職場の同僚や友人と会い、料理と酒を楽しむ需要は10年後にも残る。居酒屋市場全体が過去の水準に戻っていなくても、価格と立地を適切に選べるチェーンには競合から客を奪う余地がある。主力店の客数増加が価格引き下げなしで続くなら、同社の売上規模では小さな粗利改善でも営業利益が大きく増える。
「the 3rd Burger」も成功すれば評価を変える。日中と持ち帰り需要を取り込むことで、夜の酒場に偏った事業構成を補える。店舗を絞って採算を改善し、その後に慎重に増やせれば第二の収益源になりうる。
財務に関しても、優先株式の一部取得・消却が実施されたことは前進である。今後の営業黒字から借入と残存優先株式を整理できれば、普通株主の取り分は急速に改善する。自己資本が薄いからこそ、事業の改善に成功した際の株主価値の増加率は大きい。これは株価ではなく、現金を残す営業力が回復した場合の上振れである。
慎重な見方
この会社の問題は、客を呼べるかどうかだけではない。客が来ても利益が残りにくいことにある。2026年8月の主力店では、客数が増えた一方で客単価が下がり、既存店売上は減った。値引きで数量を確保しなければならないなら、客数増加と値上げを同時に実現する10年後の筋書きは容易ではない。
年間約10億円の賃料が最大の制約である。売上が増えない局面でも店舗の家賃、光熱費、最低限の人員配置、仕込み拠点の固定費を負担しなければならない。過去には感染症拡大をきっかけに大幅赤字へ転落し、その後の回復局面でも営業利益率は低いままだった。人口減少、飲酒習慣の変化、職場の会食減少、採用難が重なれば、単なる景気後退ではなく構造的な店舗需要の減少になりかねない。
財務面の危険は普通の小規模外食企業以上に重い。2026年2月期末の純有利子負債は約13億円で、店舗の敷金や設備は帳簿どおりの金額で現金化できるとは限らない。借入金に加えて普通株式に優先するA種優先株式が残っており、営業黒字が小さいうちは普通株主への還元より先に処理すべき請求権がある。新たな増資が必要になれば既存普通株主の取り分は薄まる。
新業態が成功しない場合、損失は新業態だけにとどまらない。赤字店を閉める際には減損、原状回復費、解約関連費用が発生し、仕込み拠点の固定費も残る。主力店の価格競争が進み、利益率が再び赤字となるなら、10年後に事業が続いていても普通株式の経済価値はほとんど残らない可能性がある。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方を優勢とする。主力業態の需要が10年後にも存在する点は疑わないが、価格を守りながら客数を増やせる実績と、出店投資が資本コストを超える証拠が不足している。2026年10月の業績下方修正、純負債、残存する優先株式、固定賃料を重く見る。楽観とやや楽観の合計は26%、やや悲観と悲観の合計は40%とし、下側に14ポイント寄せた。これは一般的な外食不況を恐れているからではなく、この会社固有の財務の薄さと、普通株主に利益が届くまでの障害が大きいためである。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 236 円12 億円(+ 還元の換算額還元の合計 100 円5 億円)。 今の値に割り戻すと 159 円8 億円、今との差 −64.4%、 期待の年率 −3.3%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 857 円42 億円 | 161 円8 億円 | +128.4% | +9.6% | 81 円4 億円 |
| やや楽観 | 18% | 499 円25 億円 | 131 円7 億円 | +41.4% | +4.0% | 113 円6 億円 |
| 中立 | 34% | 207 円10 億円 | 105 円5 億円 | −30.0% | −4.1% | 106 円5 億円 |
| やや悲観 | 26% | 25 円1 億円 | 79 円4 億円 | −76.6% | −19.3% | 27 円1 億円 |
| 悲観 | 14% | 1 円0 億円 | 52 円3 億円 | −88.0% | −33.1% | 7 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 236 円12 億円 | 100 円5 億円 | −24.7% | −3.3% | 336 円17 億円 |
今の株価時価総額 446 円22 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 主力店の再成長と新業態の黒字化が両立する 利益 4 億円 · PER 11.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 857 円42 億円
既存の「てけてけ」が、価格訴求だけでなく鶏料理の品質と利用しやすさで客を集めるようになる。夜間需要が大きく減らず、郊外や生活圏に合った店舗への出店も成功する。仕込み拠点の稼働率が高まり、店舗ごとの必要人員が減ることで、人件費と原材料費の上昇を吸収できる。
「the 3rd Burger」は少数店の実験段階を脱し、日中需要を取り込む採算の良い店舗網を築く。その他業態も不採算店を整理したうえで小幅な黒字へ転換する。大型買収をせず、既存業態の店舗投資に資本を集中させることで、売上の伸びを現金収支の改善に結び付ける。
金融面では増資に頼らず借入返済と優先株式の整理が進み、普通株主に帰属する利益が増える。これまでの不採算店舗の失敗を繰り返さないため、出店数だけでなく店別投資回収年数を重視する経営が定着する。普通株式への現金還元も小規模ながら再開され、優待制度を維持したまま営業利益率が5%を超える。
- てけてけ・もつ焼酒場:数量 345(年間延べ来店人数(万人・推計))× 価格 3,500(1人1回当たり平均売上(円・推計))→ 売上 121 億円・営業利益 8 億円。延べ来店数は現状比約1.44倍。採算の合う出店と既存店改善がともに成功し、客単価は現状比約1.43倍となる。業態内の営業利益率6.7%。
- the 3rd Burger:数量 65.0(年間延べ来店人数(万人・推計))× 価格 1,670(1人1回当たり平均売上(円・推計))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。黒字店を複製できる状態となり来店数が増加。高価格帯のハンバーガーの差別化に成功し、利益率8%。
- 新太郎・てけ八などその他業態:数量 12.0(年間延べ来店人数(万人・推計))× 価格 3,850(1人1回当たり平均売上(円・推計))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。不採算店の撤退後に採算の良い小型業態だけが残り、客数と単価がともに増える。
倍率:資本コストk9.5%、10年後ROE24.0%、弱い堀の残存割合3分の1から、増分資本利益率RONIC14.33%を算出。2036年以降の名目成長率2%とすると正当化PER=(1−0.02÷0.14333)÷(0.095−0.02)=約11.47倍。利益の質は堀とkに反映済みのため、楽観シナリオの倍率をさらに恣意的に割り引かない。
確率:主力店の客数・客単価を同時に伸ばし、仕込みの集約で固定費を吸収し、新業態まで黒字化する複数の成功が必要になる。過去の赤字と足元の業績下方修正を考えると実現確率は低いが、出店の再現性が改善する上振れ余地は残す。
やや楽観 18% 主力店の立て直しに成功する 利益 2 億円 · PER 11.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 499 円25 億円
「てけてけ」の既存店の売上が安定し、出店は利益の出る立地に絞られる。仕込み拠点の活用が進み、料理の品質を落とさず店舗の労働時間を減らせる。物価上昇に沿った値上げも客数を大きく傷めず、主力業態はかつての不安定な採算から抜け出す。
「the 3rd Burger」は大手チェーンと無理に店舗数を競わず、選んだ立地で小幅な黒字を維持する。その他業態の成長は限られるが、赤字店舗の整理で全社への負担は減る。居酒屋市場自体は成熟していても、会社の小さな市場シェアと店舗網の改善によって売上を増やす余地は残る。
過度な買収や大量出店を避け、設備更新と返済を優先するため、優先株式の整理は進む。普通株主への現金配当は多くないが、株主優待を継続できる程度の利益と現金収支は確保する。営業利益率は全社で4%弱となり、再建企業から小規模な安定チェーンに変わる。
- てけてけ・もつ焼酒場:数量 300(年間延べ来店人数(万人・推計))× 価格 3,400(1人1回当たり平均売上(円・推計))→ 売上 102 億円・営業利益 6 億円。客数は現状比約1.25倍、客単価は約1.39倍。優良立地への出店と店舗作業の削減で業態内利益率5.6%。
- the 3rd Burger:数量 52.0(年間延べ来店人数(万人・推計))× 価格 1,580(1人1回当たり平均売上(円・推計))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。需要に合った立地への集中で客数が回復し、業態内利益率6%。
- 新太郎・てけ八などその他業態:数量 10.0(年間延べ来店人数(万人・推計))× 価格 3,750(1人1回当たり平均売上(円・推計))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。小規模業態の赤字が解消するが、全社の成長をけん引するほどには拡大しない。
倍率:k9.5%、ROE約24.71%、堀の残存割合3分の1からRONIC約14.57%。長期名目成長率2%を用いた正当化PER=(1−0.02÷0.1457)÷0.075=約11.50倍。自己資本が薄いことによる高ROEを広い堀の証拠と見なさず、弱い堀の係数を維持する。
確率:調理工程の効率化と主力店の集客改善は実現可能だが、これまでの減損と赤字を考えると、それが10年間続く可能性を高く見過ぎない。新業態の寄与は楽観より抑え、主力業態の着実な黒字化を中心にする。
中立 34% 客単価は上がるが利益の改善は緩やか 利益 1 億円 · PER 11.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 207 円10 億円
「てけてけ」は客数を大きく増やすことなく、利用しやすい立地への店舗再配置で緩やかな成長を続ける。全国の居酒屋需要が実質的に伸びにくい中、競合から少しずつ客を獲得する。平均客単価は物価上昇にほぼ沿って上昇するが、値上げのたびに販促や商品構成の調整が必要になり、強い価格決定力は獲得できない。
仕込み拠点の効率化で原材料と店舗人件費の負担を少し軽くする一方、人手不足と賃料の上昇が利益改善を抑える。「the 3rd Burger」は既存店舗の採算を改善するが、大型チェーンに肩を並べる規模にはならない。その他業態も赤字の拡大は避けるものの、大きな利益源にはならない。
経営は出店の拡大より借入金と優先株式への支払いを優先する。普通株式の配当再開には慎重で、株主優待が主な還元となる。全社営業利益率は約2.3%にとどまるが、営業赤字からは抜け出す。事業は10年後にも残る一方、普通株主が自由に使える現金は十分に厚くならない。
- てけてけ・もつ焼酒場:数量 250(年間延べ来店人数(万人・推計))× 価格 3,280(1人1回当たり平均売上(円・推計))→ 売上 82 億円・営業利益 4 億円。客数は現状比約1.05倍。客単価は物価3%の10年累積上昇にほぼ一致する約1.34倍。店舗採算の改善は限定的。
- the 3rd Burger:数量 40.0(年間延べ来店人数(万人・推計))× 価格 1,540(1人1回当たり平均売上(円・推計))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。店舗数を大きく増やさず、客数はほぼ横ばい。客単価は10年の物価上昇にほぼ沿う。
- 新太郎・てけ八などその他業態:数量 8.0(年間延べ来店人数(万人・推計))× 価格 3,610(1人1回当たり平均売上(円・推計))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。一部店舗の採算が改善するものの、全体では損益均衡にとどまる。
倍率:k9.5%、薄い自己資本から計算されるROE約20.22%、堀の残存割合3分の1によりRONIC約13.07%。2036年以降の名目成長率2%から正当化PER=(1−0.02÷0.1307)÷0.075=約11.29倍となる。市場のPERや過去のPBRは使わない。自己資本が薄いことによる高ROEを事業の強さと取り違えないため、堀は弱いままにする。
確率:居酒屋需要は残る一方、値上げと客数増加を同時に実現する力には限界がある。既存店と出店の改善によって売上は増えるが、薄い利益率が続く姿を中立にする。下に寄せる理由:2026年10月の通期下方修正、純負債、優先株式への支払いにより、再建の失敗が普通株主へ大きく響くため。
やや悲観 26% 集客のために値引きが続く 利益 0 億円 · PER 10.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 25 円1 億円
主力店は販促で客数を維持しようとするが、価格に敏感な顧客が増え、値上げの多くが実質的な客単価の上昇につながらない。夜の飲酒需要は低価格チェーンや中食へ移り、採算の悪い店舗は閉鎖を迫られる。残った店では物価上昇により名目売上を維持できても、利益率はなかなか改善しない。
「the 3rd Burger」は大手との競争で出店を抑え、店舗ごとの売上は増えても全社の収益を支える規模には届かない。その他業態では店舗の撤退と小幅な赤字が続く。仕込み拠点の費用は店舗数に比例して減らないため、事業規模が縮むほど固定費の負担が重くなる。
借入返済と優先株式への支払いにより、普通株式の現金配当は再開しない。株主優待は規模を縮小しながら続くが、営業利益のほとんどが事業の維持に消える。2036年に小幅な純利益が残っても資本コストに届かず、普通株主が請求できる経済価値は低い。残存する優先株式の請求権が想定より大きければ、その価値はさらに低くなりうる。
- てけてけ・もつ焼酒場:数量 210(年間延べ来店人数(万人・推計))× 価格 3,120(1人1回当たり平均売上(円・推計))→ 売上 66 億円・営業利益 2 億円。実質客数が現状比約12%減少。競争と販促によって客単価上昇率は10年間の物価上昇率を下回る。
- the 3rd Burger:数量 35.0(年間延べ来店人数(万人・推計))× 価格 1,460(1人1回当たり平均売上(円・推計))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。来店数の減少と値上げの遅れにより、業態内利益率は1%にとどまる。
- 新太郎・てけ八などその他業態:数量 4.5(年間延べ来店人数(万人・推計))× 価格 3,350(1人1回当たり平均売上(円・推計))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。撤退が続き、少数の残存店にも固定費負担が残る。
倍率:ROE4.8%は資本コスト9.5%を下回るため、2036年以降の再投資に超過利益を認めない。正当化PERの上限1÷0.095=約10.53倍に対し、稼ぐ力の値として10.5倍とする。事業価値は純利益0.12億円×10.5倍=1.26億円。清算可能な純資産を別に足さない。
確率:2026年8月に客数増加と客単価低下が同時に起きたことは、価格競争の弱さを示す。店の閉鎖が続いて主力店の延べ来店数が減り、利益の改善が足踏みする可能性を高めに見る。
悲観 14% 主力店の競争力低下と財務再建の失敗 利益 −3 億円 · PBR 0.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1 円0 億円
夜間の飲酒需要が縮小し、低価格の居酒屋と中食に客を奪われる。「てけてけ」は販促を増やしても客足の減少を止められず、売上と店舗数がともに縮む。調理工程の集約も、残る店舗の数が減ることで固定費を吸収できなくなり、むしろ1店舗当たりの負担を増やす。
「the 3rd Burger」は大手チェーンとの差別化に失敗し、単価を上げられないまま店舗を縮小する。その他業態も収益改善の見込みを失い、撤退と減損が重なる。会社全体の営業損益は再び大幅な赤字となり、店舗を閉じても賃料、原状回復費、借入返済の負担が残る。
資金不足を補うために増資やスポンサー支援、資本再編が必要となり、普通株主の経済的な持分はほとんど残らない。仮に屋号や一部店舗が第三者の下で営業を続けても、それは現在の普通株式が十分な価値を保つことを意味しない。優待は経営が続いている前半の一部期間に限って支給されるが、2036年時点の普通株式価値はほぼ失われ、時価総額はごく小さな正の値にとどまる。これは上場廃止が既に決まっているという意味ではなく、10年先の下方リスクとしての仮定である。
- てけてけ・もつ焼酒場:数量 145(年間延べ来店人数(万人・推計))× 価格 2,850(1人1回当たり平均売上(円・推計))→ 売上 41 億円・営業利益 −1 億円。競争力の低下と撤退により延べ客数が現状比約39%減少。客単価も物価上昇に大きく遅れ、主力業態自体が赤字化する。
- the 3rd Burger:数量 19.0(年間延べ来店人数(万人・推計))× 価格 1,320(1人1回当たり平均売上(円・推計))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。店舗網縮小と集客難が重なり、利益率はマイナス10%。
- 新太郎・てけ八などその他業態:数量 2.0(年間延べ来店人数(万人・推計))× 価格 2,970(1人1回当たり平均売上(円・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。採算の良い店を十分に残せず、事業規模が大幅に縮む。
倍率:継続的な純損失と債務超過、優先株式の残存請求権から、2036年に普通株主へ帰属する残余価値は極めて小さい。過去の市場PBRを用いず、直近の自己資本約5.0億円を参照してPBR0.01倍とし、時価総額を0.05億円とする。これは清算価値の回復を見込むものではなく、破綻に近い筋書きのごく小さな正の残余価値を表す。
確率:新しい感染症の発生などを必要条件としない構造的な失敗の筋書きである。人口減少、夜間飲食需要の低下、採用難、価格競争が重なり、借入金と優先株式の負担に耐えられなくなる可能性を無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
てけてけ・もつ焼酒場
鶏料理と酒を中心に提供する主力飲食業態。居酒屋の夜間需要と一部の昼食需要を取り込む。
| 数量年間延べ来店人数(万人・推計) | 価格1人1回当たり平均売上(円・推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 239 | 2,450 | 59 | 1 |
| 10 年後 中立 | 250 | 3,280 | 82 | 4 |
取り方:2026年5月公表の事業計画及び成長可能性に関する資料における主力業態売上5,858百万円を使用。てけてけの夜間平均客単価約2,550円から、昼食を含む全時間帯平均を2,450円と独自推計し、売上を単価で割って約239万人の延べ来店回数を得た。単価の税区分、持ち帰り、その他収入の差は推定数量に吸収した。営業利益1.4億円は会社非開示の分析用推定値であり、ほかの業態と本社費を合算して全社営業損失約0.16億円と整合させている。
the 3rd Burger
ハンバーガーの小型チェーン。居酒屋とは異なる日中、軽食、持ち帰りの需要に対応する。
| 数量年間延べ来店人数(万人・推計) | 価格1人1回当たり平均売上(円・推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 38.3 | 1,150 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 1,540 | 6 | 0 |
取り方:会社の事業計画資料に示された2026年2月期の当業態売上440百万円と、平均客単価約1,150円を使用し、年間約38.3万人の延べ来店を逆算した。売上と客単価の税区分の差や細かな収入構成による誤差は推定数量に含む。営業損失0.25億円は業態別利益が非開示のための分析用推定であり、会社が公表した業態別営業利益ではない。
新太郎・てけ八などその他業態
魚介料理や酒場など、主力以外の少数店舗で構成される飲食業態。
| 数量年間延べ来店人数(万人・推計) | 価格1人1回当たり平均売上(円・推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 6.0 | 2,700 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 8.0 | 3,610 | 3 | 0 |
取り方:会社の事業計画資料に示されたその他業態売上162百万円を使用。店舗ごとの客単価と客数は非開示のため、夜間の飲食を主体とする業態として1回2,700円と仮定し、年間約6万人の延べ来店を逆算した。営業損失0.3億円は分析用推定であり、主力・バーガーとの合計営業利益0.85億円から本社費など1.01億円を控除すると、全社の営業損失約0.16億円に一致する。
リスクと懸念
普通株式より優先する資本の負担
借入金に加えてA種優先株式が存在し、普通株式より先に配当と残余財産の分配を受ける権利を持つ。2026年8月の優先配当1億円と9月の一部取得・消却は、普通株主が利益を受け取るまでにどの程度の現金が必要かを示している。普通株式の価値を考える時に、会社全体の会計上の利益をそのまま普通株主の利益と見なしてはいけない。
賃料と仕込み拠点の固定費
店舗の年間賃料は約10億円に及び、売上が減ってもすぐには削れない。仕込み拠点の固定費も店舗数が減れば負担率が上がる。客数の減少を価格上昇だけで埋めようとすると、今度は客離れを招きかねない。新リース会計基準の適用で負債の表示方法が変わっても、現実の賃料支払いと事業価値が改善するわけではない。
値上げと客数維持の両立
主力店では客数を増やしても客単価が下がる局面が確認された。鶏肉、米、油、人件費などのコストが上がる世界で、値上げをためらえば利益率が圧迫される。一方、値上げによって顧客が低価格の居酒屋や中食に移れば売上が減る。両方を同時に守れる店づくりができないことが、長期の最大の事業リスクである。
店舗投資の回収不足と減損
新店には敷金、内装、厨房設備、人材の採用と教育が必要になる。売上が計画に届かなければ、会計上の減損に加えて退店時の原状回復費も現金負担となる。過去の赤字と減損の大きさから、店舗数を増やすこと自体を成功と評価するのは危険である。投じた資本を何年で回収できるかを最優先の指標にする必要がある。
新業態と競合の規模格差
「the 3rd Burger」は日中需要を取り込めるが、大手ハンバーガーチェーンとの店舗網、調達、広告の規模格差は大きい。小さな業態が独立して高い利益を生むには、商品と立地で継続的に選ばれる必要がある。成長を急いで出店を増やし、後に閉店費用を負担する展開になれば、主力店の改善で生んだ利益まで失う可能性がある。
株式の希薄化と株主優待の経済価値
財務基盤が弱いため、再び大幅な赤字が続けば普通株式の増資や新たな資本調達が必要になりうる。これによる希薄化は現在の株主の取り分を直接減らす。また、優待券は会社の飲食店での利用が前提で、利用条件が変われば株主の受け取る実質的な価値も変わる。現金配当と同じ確実性で長期価値に加えることはできない。
今後の分かれ目
- てけてけの既存店で客数と客単価がともに前年を上回る状態が複数年続いたら
- 単なる値引き集客から、商品力と立地による集客へ変わった証拠となる。中立の主力業態来店数と営業利益率を上方修正し、やや楽観の確率を引き上げる。
- 全社営業利益率が3%を超えて定着し、営業現金収支も継続して黒字となったら
- 経費削減が一過性でないことを確かめたうえで、借入と優先株式の支払い能力を再評価する。普通株主に残る利益が増えるため、価値を上方修正する。
- 普通株式を希薄化させずに残存A種優先株式がすべて整理されたら
- 普通株式より優先する資本への請求権が減るため、同じ事業利益でも普通株主の取り分が改善する。ただし償還に使った現金や追加借入を控除したうえで評価する。
- 年間店舗賃料と仕込み拠点の固定費が売上に対して低下し始めたら
- 店舗数の増加に頼らず利益率を改善できる可能性が高まる。新規出店の収益性を確認できれば、長期の営業利益率を引き上げる。
- 既存店で客単価が下がり続け、来店数も前年割れに転じたら
- 販促による集客の限界が近いと判断する。やや悲観と悲観の確率を高め、店舗撤退に伴う減損・原状回復費と将来の希薄化を再検討する。
- 新たな普通株式増資、優先株式の追加発行、財務支援を伴う資本再編が発表されたら
- 発行条件と資金の帰属先を確認し、既存普通株主の持分比率を計算し直す。事業の存続には好材料であっても、既存株主の価値が高まるとは限らない。
見ておくもの
- てけてけの月次既存店売上、客数、客単価の3指標
- 2027年2月期の下方修正後予想に対する営業利益と現金収支の進捗
- 店舗数、閉店数、新店1店当たりの投資額と投資回収年数
- 店舗賃料、人件費率、食材原価率、仕込み拠点の稼働率
- 現預金、有利子負債、敷金・保証金、減損損失の推移
- A種優先株式の残存数、優先配当額、償還条件と取得・消却実績
- 普通株式の発行済株式数、潜在株式、追加増資の有無
- 株主優待の利用条件、引当金、実際の会社負担額
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や過去の市場PERから10年後の利益率や倍率を逆算していない。2026年2月期の業態別売上と平均客単価から延べ来店人数を推計し、2036年の実質客数、名目客単価、業態ごとの営業利益率、本社費を積み上げた。中立の客単価には10年間の物価上昇約34%を織り込み、数量に物価を重複計上していない。中立以外の客単価は価格転嫁力と販促の強弱に応じて変えた。
資本コストは基本7.5%から事業の質と再建途上の財務負担を評価して9.5%とした。楽観から中立の倍率は、ROE、弱い堀に応じた増分資本利益率、2036年以降の名目成長率2%から求めた正当化PERの上限そのものを用いている。やや悲観は稼ぐ力を上限とし、悲観は普通株主に帰属する売却可能資産が残らず、価値がほぼ失われる筋書きとして、直近自己資本に極小のPBRを用いた正の時価総額とした。過去のPBRの底は利用していない。
店舗賃料は営業費用に織り込み、リース負債としてさらに二重控除していない。新リース会計基準で貸借対照表の表示が変わっても、2036年の営業利益は従来どおり賃料を営業費用とする形にそろえる。既存設備の減価償却費に機械的に物価を掛けず、更新設備の取得価格上昇による現金負担を重視する。優先配当と優先株式の償還は普通株主への還元に含めない。株主優待は額面でなく会社負担費用を基準とした。結果として現在の時価総額から大きく離れたが、数字を現在の価格に寄せる調整はしていない。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 0.5%。基本7.5%に事業の質による1.5%と再建途上の追加0.5%を加え、資本コストを9.5%とする。株価ベータや小型株であることによる機械的な上乗せは使わない。